皆様の応援のお陰で、現在、「人気ブログランキング」は3位、「にほんブログ村」は6位です。
ブログを続ける原動力となります。どうか今日も応援クリックをよろしくお願いします。
シーズン9 第15話
The One With The Mugging (強盗フィービー)
原題は「強盗の話」
タルサでの単身赴任に嫌気がさして、会社を辞めてしまったチャンドラーは、その後、ずっと仕事を探していましたが、ついに広告業の仕事をゲットした、とフレンズたちに報告しています。
インターンシップだから給料は出ない、などと説明するチャンドラーに、
ロス: So, uh, what kinda stuff do you think they'll have you do there? (それで、そこではどんな感じの仕事をさせられそうに思うの?)
チャンドラー: Well, it's a training program, but at the end, they hire the people they like. (そうだな、研修(訓練)プログラムなんだけど、最後には、気に入った人を雇うんだって。)
フィービー: (enthusiastic) That's great! ([熱狂的に] それって最高!)
チャンドラー: Yeah, I mean, there's probably gonna be some grunt work which will probably stink, you know. A grown man getting people coffee is a little humiliating. (あぁ、ほら多分、どうしようもないような、単調でつらい仕事もあるだろうね。大人の男が他人にコーヒーを入れるのは、ちょっと屈辱的だよね。)
(At the same time, Gunther puts down a cup of coffee in front of Chandler)
と同時に、ガンターが、チャンドラーの目の前にコーヒーカップを置く。
Chandler: (grinning awkwardly) Humiliating and noble! Thank you. ([気まずそうに歯を見せて笑って] 屈辱的だけど高貴だ! ありがとう。)
(Gunther shoots a nasty look at him while leaving)
ガンターは立ち去る間、チャンドラーに嫌な目つきをする。
ロス: You know, if I didn't already have a job, I think, I would've been really good in advertising. (ねぇ、もし僕がすでに仕事を持ってるんじゃなかったら、僕は広告業界でかなりイケてただろうな、って思うよ。)
モニカ: Ross, you did not come up with "got milk?" (ロス、あなたが "got milk?" を思いついたんじゃないわ。)
ロス: Yes, I did! I did! (He turns to Joey, disappointed) I should've written it down! (いや、僕だよ、僕が思いついたんだ(僕のアイディアだ)! [ロスはがっかりしたようにジョーイの方を向いて] 書き留めておくべきだったのに!)
「そこではどんな仕事をさせられそうだって思うの?」とロスに尋ねられたチャンドラーは、「訓練プログラムだけど、最後には、彼ら(雇う側)は、彼らが好きな人々(自分たちが気に入った人間)を雇う」という仕組みを説明します。
「それって最高!」と言うフィービーに対して、チャンドラーは少々浮かない顔で、grunt work の話をしています。
grunt は動詞で「(人が)不平を言う、ぶうぶう言う」という意味。
英辞郎では、
grunt work=〈米俗〉単調でつらい仕事
と出ていますが、「ぶうぶうと不平を言う仕事」であることから、そういう意味になるようですね。
LAAD (Longman Advanced American Dictionary) では、
grunt [verb] : to make short sounds or say only a few words in a low rough voice, when you do not want to talk
つまり、「短い音を出す、または低く荒い声でわずかの言葉を話す、自分が話したくない時に」。
grunt work : [noun, uncountable] (informal) the hard uninteresting part of a job or project
つまり、「仕事やプロジェクトの、つらくて、つまらない(面白くない)部分」。
stink は元々「におう、悪臭を放つ」という意味ですが、そこから「ひどい、不愉快だ、いやだ」のような意味として使われます。
過去記事、stinkは「下手だ」 フレンズ4-14その6 では、stink の2つの意味を使った勘違いのやりとりもありますので、併せてお読みいただければ幸いです。
チャンドラーが「多分どうしようもなくひどいことになるような、grunt work もいくつかあるだろうね」と言っているのは、フィービーが「最高ね」と言ったことに対して、「(インターンで訓練プログラムだから)やりたくない仕事もいろいろしないといけないだろうね」と言っていることになるでしょう。
その話の続きとして、「成長した男(大人の男、大の男)が人にコーヒーを入れることはちょっと屈辱的だ」と言います。
この文章のメインの動詞は is で、その前が主語になります。
A grown man getting people coffee は、「大の男が人にコーヒーを入れること」という動名詞で、a grown man が、動名詞 getting の意味上の主語になります。
インターンだったら、人にコーヒー入れるとかのお茶くみの仕事もしないといけないだろうね、ということですね。
そんな愚痴を言っているちょうどその時、ガンターがチャンドラーの前にコーヒーカップを置きます。
ガンターは顔を近づけて、じーっとチャンドラーの顔を見つめます。
コーヒーハウスで働いていて、このようにコーヒーを出す仕事もするガンターの目の前で、「大の男が人にコーヒー入れるなんて屈辱的」と言ってしまった失言に気づいたチャンドラーは、その場を繕おうと、ニッと笑って、Humiliating and noble! と言っています。
and は順接だと捉えると、「屈辱的であり、高貴である!」になりますが、この場合は「屈辱的」だとけなした後で、「高貴だ」と褒めている、持ち上げているので、日本語としては「屈辱的だけど高貴だ!」と訳した方がしっくりくるでしょう。
実際、DVDの日本語訳も、「でも高貴な仕事だ」のように逆接のニュアンスで訳されていました。
チャンドラーが広告業界で働くと知り、ロスは「もし僕がすでに仕事を持ってるんじゃなかったら、僕は広告業界で really good だっただろう」と言っています。
ロスは、古生物学者として、大学で教えるなどの仕事を持っているわけですが、今の仕事じゃなくて、僕が広告業界に入っていたら、いい線行ってただろうと思うよ、と言っているわけですね。
それを聞いたモニカは、"got milk?" のことを言っています。
come up with は「(アイデア・考えなどを)思いつく、考えつく」という意味なので、そのモニカのセリフを直訳すると、「ロス、"got milk?" は、あなたが思いついたんじゃなかった」→「"got milk?" (のアイデア)は、あなたが考えたものじゃない」と言っていることになるでしょう。
ロスは、モニカの言った "got milk?" の話に即座に反応し、Yes, I did! I did! と言います。
これはその前の否定文を肯定文で受ける形で、「あなたが思いついたんじゃない」と言われたことに反論し、「いーや、あれは僕が思いついたんだ! あれは僕のアイデアだ!」と主張していることになります。
そして、隣にいるジョーイの方を向き、残念そうな顔で、「僕はそれを書き留めておくべきだった(のに僕はそうしなかった)」と言うことになります。
"got milk?" がキーワードとなっているので、それが何を指しているのかわからないと、瞬時に笑うことは難しいかもしれませんが、もしそれを知らない場合でも、この話の流れから、"got milk?" が広告の話であり、しかもその言葉を言うだけで、誰もがピンとくる有名な広告だろう、、ということがイメージできれば良いでしょう。
「それはあなたが思いついたものじゃないわ」「いや、あれを考えついたのは僕だ。(僕が考えたものだという証拠として)書き留めておくべきだった」と言っている流れを理解することで、「もしそれを考えたのが僕、っていうことが証明されれば、僕は広告業界で引っ張りだこになるよ」と言えるほどの実績となるような、有名な広告、キャッチコピーであることが想像できるということですね。
I should've written it down! の should have written (過去分詞)は、「(あの時)〜すべきだったのに(実際にはしなかった)」というニュアンスで、後悔の気持ちを表現する時によく使われるフレーズです。
今回もまさに、「あの時、書き留めておけば良かった、、、」という後悔の気持ちからの言葉ですね。
"got milk?" という有名な広告またはコピーが存在するであろうことを想定して、Google 検索してみました。
got milk でグーグル検索すると、グーグルサジェスト機能で、「got milk 広告」「got milk campaign」というサジェストが表示されました。
画像検索を見てみると、got milk? の文字と共に、有名な俳優さんがミルクのグラスを手に持っていたり、ミルクを飲んで唇の上が白ヒゲみたいになっているポスター写真のようなものがたくさんヒットします。
ちなみに、got milk? は、You got milk? ということですから、直訳すると「牛乳をゲットしたか?」ということですね。
「(君も)牛乳飲んだ?」「牛乳買った?(手に入れた)?」、または、got = have の意味でも使われるので、「牛乳持ってる? 牛乳(家に)ある?」みたいな感じなど、状況に合わせていろいろな日本語訳が考えられる気がしました。
牛乳の重要性と必要性を、シンプルな一言で言い表した、名コピーと言えそうです。
以下のサイトが公式サイトのようです。
Got milk? Drink to a brighter future.
そのサイトでは、TV COMMERCIALS も見られます。
詳しい説明は、以下の英語版ウィキペディアで。
Wikipedia 英語版: Got Milk?
牛乳の消費を促進するためのアメリカの広告キャンペーンのようですね。
ロゴでは、got milk? のように小文字表記が定番のようです。
背景黒に白抜き文字のロゴも、ものすごくシンプルながら、牛乳の「白」を強烈に連想させる効果があり、デザイン的にも素晴らしいなと思いました。
英語版ウィキペディアの Parodies and references に、その広告のパロディーや言及が書いてあるのですが、フレンズもありました!
それも2項目書いてあります。
引用させていただきますと、
In episode 15 of season 9 of Friends Ross claims that he had come up with the idea of "Got Milk?" and he wished he had written it down.
In episode 25 of season 3 of Friends there's a "Got Milk?" ad on Phoebe's fridge.
1つ目は、「フレンズ9-15 で、ロスは自分が "Got Milk?" のアイデアを思いついたと主張し、それを自分が書き留めていれば良かったと思っている」。
2つ目は、「フレンズ3-25 で、フィービーの冷蔵庫に "Got Milk?" の広告がある」。
1つ目の今回のエピソードの話は、今回ご紹介したロスのセリフのことをまさに言っていますね。
そして、2つ目の「フィービーの冷蔵庫に広告がある」という件、早速確認してみました。
3-25 というのは、シーズン3の最後のエピソードで、フレンズみんなでビーチに行く話ですが、この「フィービーの冷蔵庫」というのは、ビーチの近くで不動産業を営んでいる「フィービー・シニア」(同名のキャラがいる場合、年長者をこう呼ぶ)の家の冷蔵庫のこと。
ママの高校時代の友人にフィービーという名前の女性がいることを知ったフィービー(・ブッフェ)が、そのフィービーという名前の女性(Phoebe Sr.)を尋ねるというエピソードでした。
そのフィービー・シニアの登場シーンは、以下の過去記事で解説しています。
巨大な猫のトイレ フレンズ3-25その3、自分がどこから来たのかを知る権利 フレンズ3-25その6
その年長のフィービーと(我らが)フィービーが会話している時、フィービーの背景に冷蔵庫が映る角度となっていますが、フィービーが身体を動かしたりすると、確かに got milk? の「背景黒に白抜き文字」の広告がチラチラと見えます。
フィービーが、冷蔵庫に貼ってある写真を1枚盗むのですが、その左辺りに位置しています。
その6 の記事で、夜にシニアの家に忍び込んで見つかった後のシーンでも、画面上で何度か見えています。
got milk? のロゴの、ステッカーらしき広告が貼ってある、というのは、かなり細かいトリビアですが、フレンズとの関係はこれだけではないようで、got milk? の画像をいろいろ見ていると、「左にフィービー(黒い服)、右にレイチェル(白いTシャツとジーンズ)」の、got milk? ではなく、MILK と書いたポスターを発見しました。
フィービーもレイチェルも、ミルクヒゲをつけています^^
このポスターについて、情報を調べてみたところ、IMDb に言及がありました。
フィービー役のリサ・クドローの IMDb の Other Works では、
IMDb : Lisa Kurow : Personal Details : Other Works
(1995) Print ad for Milk (part of the "milk mustache" campaign series), with Jennifer Aniston.
と説明されています。
また、レイチェル役のジェニファー・アニストンの IMDb の Other Works でも、
IMDb : Jennifer Aniston : Personal Details : Other Works
(1995) Print advertising: "Got Milk?" campaign (with Lisa Kudrow).
と出ています。
それぞれ訳すと、
(リサの方) 1995年。Milk の印刷広告(”ミルクひげ”キャンペーンシリーズの一部)、ジェニファー・アニストンと。
(ジェニファーの方) 1995年。印刷広告。"Got Milk?" キャンペーン(リサ・クドローと)。
となります。
これを見ると(ポスターには、Milk としか書いてありませんが)、got milk? の広告だと考えて良さそうですね。
「フレンズ」の放映開始は 1994年ですから、1995年だとシーズン2の頃になります。
「シーズン2の広告」と聞いて、ふと思い出した話があります。
フレンズオフィシャル・ガイド−『フレンズ』10年間のすべて(DHC)
の p.47 にダイエット・コークのポスターが掲載されているのですが、その写真の説明が
非難を浴びたCM出演:第2シーズン中、『フレンズ』はいくつかのCMに出演したが、上のポスターは露出過剰だと非難されたものの1つ。
と書いてあります。
p.41-42 の第2シーズンの解説でも、シーズン2の頃、人気上昇に伴ってメディアへの露出が増え過ぎたため、反発が起き、批判にさらされた、という内容の説明があります。(フレンズのみんなも、大変だったんですね、、、涙)
この got milk? も年代的にその時期と一致するように思うのですが、どうなんでしょう??(シーズン2当時、アメリカで、リアルタイムにこのポスターを見た! という方がいらっしゃれば、情報など教えて下さい!)
なぜ女子3人ではなく2人なのか、しかも「フィービー&レイチェル」という組み合わせも何だか珍しく、いろいろな意味で面白いポスターだと思います。
ミルクひげの二人がかわいく、そしてかっこいいこのポスターは、got milk Jennifer Aniston や got milk Lisa kudrow などで画像検索するとヒットしますので、興味のある方は見てみて下さいね♪
ランキングをクリックして、応援していただけると嬉しいです。
2015年07月06日
2015年07月03日
もう少しでだまされるところだった フレンズ9-14その6
皆様の応援のお陰で、現在、「人気ブログランキング」は3位、「にほんブログ村」は5位です。
ブログを続ける原動力となります。どうか今日も応援クリックをよろしくお願いします。
レイチェルにエマの子守を頼まれたチャンドラーとモニカでしたが、今日が排卵最終日ということで、エマをリビングに残し、寝室でエッチしています。
その最中にたまたまジョーイが訪ねてきて、寝室で二人がエッチしているらしいと気づき、エマにそんな様子を聞かせられない! と、ジョーイはエマを連れて、部屋を出て行ってしまいます。
エッチの後、リビングに出てきた二人は、エマがいなくなっているので大パニック。
そのことでレイチェルに電話しようとしていたところに、ジョーイがエマを抱っこして入ってきたので、とりあえず安心し、電話を切った後。
モニカ: (to Joey) Why the hell did you take her? ([ジョーイに] 一体どうしてエマを連れて行ったの?)
ジョーイ: Because you two were having sex! (だって、お前ら二人がエッチしてたからだ!)
モニカ: No, we weren't! (いいえ、私たちは(そんなこと)してないわ!)
ジョーイ: Don't you lie to me! I could tell by Chandler's hair. (To Chandler.) You are so lazy. Can't you get on top for once? (俺に嘘をつくなよな! チャンドラーの髪の毛で、俺にはわかるんだ。[チャンドラーに] お前は怠(なま)けてるな。一度くらい、上に乗れないのか、お前は!)
チャンドラー: All right, all right, we were. We were trying to make a baby. Monica's ovulating. (わかった、わかった、俺たちはしてたよ。俺たちは子供を作ろうとしてたんだ。モニカは排卵中なんだよ。)
ジョーイ: Hey! It is unacceptable that you two would have sex with Emma in the next room. I'm gonna have to tell Rachel about this. (おい! エマが隣の部屋にいる状態で、お前ら二人がエッチするなんて、受け入れられることじゃない。この件について、俺はレイチェルに言うからな!)
(Joey starts to leave.)
ジョーイは出て行こうとする。
チャンドラー: No, no, no. (だめだ、だめだ、だめだ。)
モニカ: No, please don't. Please, Joey. She will kill us! (だめよ、どうかやめて。お願いよ、ジョーイ。レイチェルに殺されるわ!)
ジョーイ: Hey, I gotta! Unless.... (おい、俺は言わないといけないんだ! こういうことなら話は別だけど…)
モニカ: Unless what? (どういうことなら話は別なの?)
ジョーイ: Unless you name your first-born child Joey. (お前らが、最初に生まれた子供にジョーイって名付けるのなら、話は別だ[ジョーイって名付けるのなら、レイチェルには言わないよ]。)
チャンドラー: What? Why? (何だって? どうして?)
ジョーイ: Hey, I may never have kids, and somebody's gotta carry on my family name. (ほら、俺は子供を持たないかもしれないから、誰かが俺の名字を継がないといけないんだ。)
チャンドラー: Your family name is Tribbiani. (お前の名字はトリビアーニだぞ。)
ジョーイ: (BEAT) (Laughs.) You almost had me. ([困惑した顔で] [笑って] もうちょっとで、だまされるとこだった。)
(He leaves.)
ジョーイは去る。
モニカは「一体どうしてあなたはエマを連れて行ったの?」と尋ねています。
それに対してジョーイは、「だってお前ら二人がエッチしてたからだ!」と答えるのですが、sex の部分だけ、ささやくような小さな声で言っています。
赤ちゃんのエマにその言葉を聞かせたくない、ということですね。
ジョーイがエマを連れ出したのも、「赤ちゃんのエマがいるすぐそばで、エッチなんかするなよな」という理由だったのですが、プレイボーイのジョーイらしからぬ「子供に対する、妙に可愛らしく優しい気遣い」が面白いところだと思います。
過去記事、簡単になってるから試練が欲しい フレンズ8-7その4 では、赤ちゃんが同居することがどんなに大変かと言うことをレイチェルがジョーイに説明しているやりとりで、
レイチェル: They cry all the time. I mean, imagine bringing home some girl and trying to score when there's a screaming baby around. (赤ちゃんはずっと泣くものよ。想像してみて、ある女の子を家に連れてきて、モノにしてやろうとしている時に、泣き叫ぶ赤ちゃんが近くにいるのよ。)
ジョーイ: I could use a challenge! It's getting pretty easy. (そういう挑戦[試練]はぜひとも欲しいね! かなり簡単になってきてるからさ。)
というのがありました。
「泣き叫ぶ赤ちゃんがそばにいたって、俺なら女をモノにできるさ」と言っていることになりますので、自分の場合は赤ちゃんがいても構わずエッチする気のようです^^
そういう自分のことは棚に上げて、他人が赤ちゃんのそばでエッチしていることに苦言を呈するというそのギャップが、面白いところでもあるのでしょう。
「お前ら、エッチしてただろ」みたいに言われたモニカは、友達とは言え、やはり認めるのは抵抗があるらしく、「私たちは(エッチなんか)してなかった」と否定します。
ジョーイは、「俺に嘘をつくな!」と言っていますが、Don't you lie to me! は、Don't lie to me! という通常の否定の命令文よりも、さらに強いニュアンスになります。
I could tell by Chandler's hair. の tell は「わかる」という意味。
「俺はチャンドラーの髪の毛でわかるんだ」と言っているのは、「チャンドラーの髪の毛で(髪の毛を見れば)お前らがエッチしていたことがわかる」ということで、その後、そのことを説明しています。
lazy は「怠惰な、不精な」で、「チャンドラー、お前は怠けてるぞ、さぼってるぞ」と言っていることになります。
Can't you get on top for once? の get on top (of...) は「…の上に乗る」、for once は「一度だけは、一度くらいは」なので、「お前は、一度くらい上に乗ることができないのか?」と言っていることになりますね。
エッチの話で上に乗るだの乗らないだの、というのは、行為中の体位の話になりますので、「一度くらい上に乗れないのか?」というのは、「お前はいつも下にいて、上にいるのは女性のモニカの方だ」と言っていることになるわけです。
そう言われたチャンドラーは、後頭部の髪の毛を手で触っており、観客も大ウケしていますが、下になっている方はその部分の髪の毛がくちゃくちゃになっている、と言いたいわけですね。
上にいたらそんな髪型にはならない、そんな髪型になってるってことはお前が下だってことがすぐにわかるんだぞ、と言うことで、「行為をリードしてるのはモニカの方みたいだけど、怠けてモニカに任せてばかりじゃなく、お前もリードしろ」みたいにジョーイは言ったことになります。
そう言われたチャンドラーは、エッチしていたことを認めて、「俺たちは赤ちゃんを作ろうとしてたんだ。モニカが排卵中だから」と言います。
It is unacceptable that... の構造について。
with Emma... 以下の部分ですが、この with については、with Emma in the next room 全体にかかっていて、「エマが隣の部屋にいる状態で」という付帯状況を表す感覚になります。
通常、have sex with... は「…とエッチする」という意味ですから、仮にこのセリフが、you would have sex with Monica in the next room という文なら、「隣の部屋でお前がモニカとエッチする」という意味になりますね。
今回は主語が you two となっているので、you two would have sex 「お前ら二人がエッチする」でいったん文章が切れていて、その状況の説明として、with Emma in the next room 「エマが隣の部屋にいる状態で」と述べている形になるわけです。
話の流れを把握していれば、エッチの相手が赤ちゃんのエマであるはずはないので、have sex with Emma だと勘違いすることはないと思いますが、辞書で調べたフレーズの意味を機械的に当てはめてしまうと、「隣の部屋で、お前ら二人がエマとエッチすること」みたいに誤って訳してしまう可能性もあるので注意しましょう、ということですね。
ちなみに、このセリフでも、sex の部分で声を小さくしているのが面白いです。
「この件(エマがいるのにお前らがエッチしてたこと)を母親であるレイチェルに言うからな!」と言ってジョーイが出て行こうとするので、二人は必死に止めています。
「お願い、やめて。レイチェルに殺される」と言う二人に、ジョーイは Hey, I gotta! 「俺は言わないといけないんだ!」と言うのですが、その後、付け加える形で、Unless... と続けます。
Unless what? は Unless.... と言った後、もったいぶったように続きを言わないジョーイに対して、Unless の後は何が続くの? と説明を促すニュアンスですね。
こういう「付け足す感覚の unless」はフレンズ頻出で、「〜なら話は別だけど」と訳すと、いつもしっくりきます。
今回も Unless.... 「まぁ、(今から言おうとしている)こういうことなら話は別だけど」、Unless what? 「どういうことなら話が別なわけ?(その条件を早く言って)」という感覚になりますね。
「レイチェルに言わないといけないけど、こういう場合は除外する」という感覚で、ジョーイは「最初に生まれた子供に、お前らがジョーイと名付けるなら話は別だけど」と言っています。
「もし俺の名前を付けるなら、俺はレイチェルには言わない(で黙っといてやる)」ということですね。
「レイチェルに言わないでくれるのなら、何でもするよ」という気分の二人でしょうが、「ジョーイと名付けたら許してやる」と言ったジョーイの真意をはかりかね、チャンドラーは「何だって? どうして?」と尋ねます。
そこでジョーイは、「俺は子供を持たないかもしれない。だから誰かが俺の名字を継がないと」と言っていますが、これは今回のエピソードの過去記事、誰かが俺の名字を継がないと フレンズ9-14その3 でも言っていたセリフですね。
そこでも解説したように、ジョーイというのはファーストネーム(名前)で、彼の名字はトリビアーニの方です。
その3 のシーンでは、フィービーはそのセリフに「おや?」という顔をしながらも、間違いを指摘せずスルーしており、「間違いを指摘せず放置するパターンは、後でまたこのネタを使うという伏線」であることが多いと書いたのですが、こうして今回のシーンで、予想通りそのネタが再度使われたことになります。
チャンドラーは、フィービーのようにスルーすることなく、はっきりと言葉で「お前の名字はトリビアーニだぞ」と指摘します。
そう言われたジョーイは一瞬、「え? 何だって?」のような困ったような顔をするのですが、しばらく難しい顔をした後で、今度は、ほほぅ、と笑いながら、You almost had me. と言ってチャンドラーを指さし、勝ち誇ったような顔をして出て行きます。
モニカはあきれ顔、チャンドラーは、あっちゃー、だめだこりゃ、みたいな感じで両手で顔を覆っていますね。
この You almost had me. をむりやり直訳すると、「もう少しでお前は俺を持つところだった」というところですが、意味としては「もう少しでお前は俺をだましてしまうところだった」(ジョーイの立場で語ると「もう少しでお前にだまされるところだった」)という意味になります。
過去記事 フレンズ2-20その7 では、マーティン・スコセッシ監督の映画「グッドフェローズ」(原題: GoodFellas)のセリフから、
トミー: I almost had him. (こいつ、すっかりだまされやがった(ひっかかった)ぜ。)
というのをご紹介しましたが、それと同じニュアンスですね。
その以前の記事にも書いたのですが、have は「対象物を自由にできる状態で所有する」という感覚なので、主語の思い通りにしてやった、相手を振り回してやった、という感覚から、"主語+have someone(目的語)" で「主語が目的語(人)を所有した、思い通りにした」→「だました」という意味になるのだろうと思います。
チャンドラーが親切にも、「ジョーイの名字はトリビアーニの方だ」と指摘したにもかかわらず、ジョーイは「そんな嘘をついて、子供に俺の名字を付けないつもりだな? お前がそんなことを言うから、もうちょっとでだまされるとこだった」と言ったことになりますので、ジョーイはそのチャンドラーの言葉を聞いてもまだ、「俺の名字はジョーイ」だと思っていることがわかるという面白さですね。
そのセリフを言う前に、難しい顔で固まって、5秒ほど頭をいろいろと巡らせている様子なのですが、考えて出した結論が「もうちょっとでだまされるとこだった」で、やっぱり自分の間違いに気づいてないわけですから、ジョーイのおバカぶり炸裂、というセリフになっているわけです。
間違いを指摘された場合のオチとしては、いろいろなパターンが考えられるわけですが、「しばらーく考えて、ようやく間違いに気づくのかな、と思いきや、”そんな嘘を言って俺をだまそうとしちゃってぇ〜”みたいに返してきた」というこのオチは、ジョーイのキャラにバッチリ合った、チャンドラーが両手で顔を覆うのにふさわしい(笑)、フレンズらしいオチになっていると思いました。
ランキングをクリックして、応援していただけると嬉しいです。
ブログを続ける原動力となります。どうか今日も応援クリックをよろしくお願いします。
レイチェルにエマの子守を頼まれたチャンドラーとモニカでしたが、今日が排卵最終日ということで、エマをリビングに残し、寝室でエッチしています。
その最中にたまたまジョーイが訪ねてきて、寝室で二人がエッチしているらしいと気づき、エマにそんな様子を聞かせられない! と、ジョーイはエマを連れて、部屋を出て行ってしまいます。
エッチの後、リビングに出てきた二人は、エマがいなくなっているので大パニック。
そのことでレイチェルに電話しようとしていたところに、ジョーイがエマを抱っこして入ってきたので、とりあえず安心し、電話を切った後。
モニカ: (to Joey) Why the hell did you take her? ([ジョーイに] 一体どうしてエマを連れて行ったの?)
ジョーイ: Because you two were having sex! (だって、お前ら二人がエッチしてたからだ!)
モニカ: No, we weren't! (いいえ、私たちは(そんなこと)してないわ!)
ジョーイ: Don't you lie to me! I could tell by Chandler's hair. (To Chandler.) You are so lazy. Can't you get on top for once? (俺に嘘をつくなよな! チャンドラーの髪の毛で、俺にはわかるんだ。[チャンドラーに] お前は怠(なま)けてるな。一度くらい、上に乗れないのか、お前は!)
チャンドラー: All right, all right, we were. We were trying to make a baby. Monica's ovulating. (わかった、わかった、俺たちはしてたよ。俺たちは子供を作ろうとしてたんだ。モニカは排卵中なんだよ。)
ジョーイ: Hey! It is unacceptable that you two would have sex with Emma in the next room. I'm gonna have to tell Rachel about this. (おい! エマが隣の部屋にいる状態で、お前ら二人がエッチするなんて、受け入れられることじゃない。この件について、俺はレイチェルに言うからな!)
(Joey starts to leave.)
ジョーイは出て行こうとする。
チャンドラー: No, no, no. (だめだ、だめだ、だめだ。)
モニカ: No, please don't. Please, Joey. She will kill us! (だめよ、どうかやめて。お願いよ、ジョーイ。レイチェルに殺されるわ!)
ジョーイ: Hey, I gotta! Unless.... (おい、俺は言わないといけないんだ! こういうことなら話は別だけど…)
モニカ: Unless what? (どういうことなら話は別なの?)
ジョーイ: Unless you name your first-born child Joey. (お前らが、最初に生まれた子供にジョーイって名付けるのなら、話は別だ[ジョーイって名付けるのなら、レイチェルには言わないよ]。)
チャンドラー: What? Why? (何だって? どうして?)
ジョーイ: Hey, I may never have kids, and somebody's gotta carry on my family name. (ほら、俺は子供を持たないかもしれないから、誰かが俺の名字を継がないといけないんだ。)
チャンドラー: Your family name is Tribbiani. (お前の名字はトリビアーニだぞ。)
ジョーイ: (BEAT) (Laughs.) You almost had me. ([困惑した顔で] [笑って] もうちょっとで、だまされるとこだった。)
(He leaves.)
ジョーイは去る。
モニカは「一体どうしてあなたはエマを連れて行ったの?」と尋ねています。
それに対してジョーイは、「だってお前ら二人がエッチしてたからだ!」と答えるのですが、sex の部分だけ、ささやくような小さな声で言っています。
赤ちゃんのエマにその言葉を聞かせたくない、ということですね。
ジョーイがエマを連れ出したのも、「赤ちゃんのエマがいるすぐそばで、エッチなんかするなよな」という理由だったのですが、プレイボーイのジョーイらしからぬ「子供に対する、妙に可愛らしく優しい気遣い」が面白いところだと思います。
過去記事、簡単になってるから試練が欲しい フレンズ8-7その4 では、赤ちゃんが同居することがどんなに大変かと言うことをレイチェルがジョーイに説明しているやりとりで、
レイチェル: They cry all the time. I mean, imagine bringing home some girl and trying to score when there's a screaming baby around. (赤ちゃんはずっと泣くものよ。想像してみて、ある女の子を家に連れてきて、モノにしてやろうとしている時に、泣き叫ぶ赤ちゃんが近くにいるのよ。)
ジョーイ: I could use a challenge! It's getting pretty easy. (そういう挑戦[試練]はぜひとも欲しいね! かなり簡単になってきてるからさ。)
というのがありました。
「泣き叫ぶ赤ちゃんがそばにいたって、俺なら女をモノにできるさ」と言っていることになりますので、自分の場合は赤ちゃんがいても構わずエッチする気のようです^^
そういう自分のことは棚に上げて、他人が赤ちゃんのそばでエッチしていることに苦言を呈するというそのギャップが、面白いところでもあるのでしょう。
「お前ら、エッチしてただろ」みたいに言われたモニカは、友達とは言え、やはり認めるのは抵抗があるらしく、「私たちは(エッチなんか)してなかった」と否定します。
ジョーイは、「俺に嘘をつくな!」と言っていますが、Don't you lie to me! は、Don't lie to me! という通常の否定の命令文よりも、さらに強いニュアンスになります。
I could tell by Chandler's hair. の tell は「わかる」という意味。
「俺はチャンドラーの髪の毛でわかるんだ」と言っているのは、「チャンドラーの髪の毛で(髪の毛を見れば)お前らがエッチしていたことがわかる」ということで、その後、そのことを説明しています。
lazy は「怠惰な、不精な」で、「チャンドラー、お前は怠けてるぞ、さぼってるぞ」と言っていることになります。
Can't you get on top for once? の get on top (of...) は「…の上に乗る」、for once は「一度だけは、一度くらいは」なので、「お前は、一度くらい上に乗ることができないのか?」と言っていることになりますね。
エッチの話で上に乗るだの乗らないだの、というのは、行為中の体位の話になりますので、「一度くらい上に乗れないのか?」というのは、「お前はいつも下にいて、上にいるのは女性のモニカの方だ」と言っていることになるわけです。
そう言われたチャンドラーは、後頭部の髪の毛を手で触っており、観客も大ウケしていますが、下になっている方はその部分の髪の毛がくちゃくちゃになっている、と言いたいわけですね。
上にいたらそんな髪型にはならない、そんな髪型になってるってことはお前が下だってことがすぐにわかるんだぞ、と言うことで、「行為をリードしてるのはモニカの方みたいだけど、怠けてモニカに任せてばかりじゃなく、お前もリードしろ」みたいにジョーイは言ったことになります。
そう言われたチャンドラーは、エッチしていたことを認めて、「俺たちは赤ちゃんを作ろうとしてたんだ。モニカが排卵中だから」と言います。
It is unacceptable that... の構造について。
with Emma... 以下の部分ですが、この with については、with Emma in the next room 全体にかかっていて、「エマが隣の部屋にいる状態で」という付帯状況を表す感覚になります。
通常、have sex with... は「…とエッチする」という意味ですから、仮にこのセリフが、you would have sex with Monica in the next room という文なら、「隣の部屋でお前がモニカとエッチする」という意味になりますね。
今回は主語が you two となっているので、you two would have sex 「お前ら二人がエッチする」でいったん文章が切れていて、その状況の説明として、with Emma in the next room 「エマが隣の部屋にいる状態で」と述べている形になるわけです。
話の流れを把握していれば、エッチの相手が赤ちゃんのエマであるはずはないので、have sex with Emma だと勘違いすることはないと思いますが、辞書で調べたフレーズの意味を機械的に当てはめてしまうと、「隣の部屋で、お前ら二人がエマとエッチすること」みたいに誤って訳してしまう可能性もあるので注意しましょう、ということですね。
ちなみに、このセリフでも、sex の部分で声を小さくしているのが面白いです。
「この件(エマがいるのにお前らがエッチしてたこと)を母親であるレイチェルに言うからな!」と言ってジョーイが出て行こうとするので、二人は必死に止めています。
「お願い、やめて。レイチェルに殺される」と言う二人に、ジョーイは Hey, I gotta! 「俺は言わないといけないんだ!」と言うのですが、その後、付け加える形で、Unless... と続けます。
Unless what? は Unless.... と言った後、もったいぶったように続きを言わないジョーイに対して、Unless の後は何が続くの? と説明を促すニュアンスですね。
こういう「付け足す感覚の unless」はフレンズ頻出で、「〜なら話は別だけど」と訳すと、いつもしっくりきます。
今回も Unless.... 「まぁ、(今から言おうとしている)こういうことなら話は別だけど」、Unless what? 「どういうことなら話が別なわけ?(その条件を早く言って)」という感覚になりますね。
「レイチェルに言わないといけないけど、こういう場合は除外する」という感覚で、ジョーイは「最初に生まれた子供に、お前らがジョーイと名付けるなら話は別だけど」と言っています。
「もし俺の名前を付けるなら、俺はレイチェルには言わない(で黙っといてやる)」ということですね。
「レイチェルに言わないでくれるのなら、何でもするよ」という気分の二人でしょうが、「ジョーイと名付けたら許してやる」と言ったジョーイの真意をはかりかね、チャンドラーは「何だって? どうして?」と尋ねます。
そこでジョーイは、「俺は子供を持たないかもしれない。だから誰かが俺の名字を継がないと」と言っていますが、これは今回のエピソードの過去記事、誰かが俺の名字を継がないと フレンズ9-14その3 でも言っていたセリフですね。
そこでも解説したように、ジョーイというのはファーストネーム(名前)で、彼の名字はトリビアーニの方です。
その3 のシーンでは、フィービーはそのセリフに「おや?」という顔をしながらも、間違いを指摘せずスルーしており、「間違いを指摘せず放置するパターンは、後でまたこのネタを使うという伏線」であることが多いと書いたのですが、こうして今回のシーンで、予想通りそのネタが再度使われたことになります。
チャンドラーは、フィービーのようにスルーすることなく、はっきりと言葉で「お前の名字はトリビアーニだぞ」と指摘します。
そう言われたジョーイは一瞬、「え? 何だって?」のような困ったような顔をするのですが、しばらく難しい顔をした後で、今度は、ほほぅ、と笑いながら、You almost had me. と言ってチャンドラーを指さし、勝ち誇ったような顔をして出て行きます。
モニカはあきれ顔、チャンドラーは、あっちゃー、だめだこりゃ、みたいな感じで両手で顔を覆っていますね。
この You almost had me. をむりやり直訳すると、「もう少しでお前は俺を持つところだった」というところですが、意味としては「もう少しでお前は俺をだましてしまうところだった」(ジョーイの立場で語ると「もう少しでお前にだまされるところだった」)という意味になります。
過去記事 フレンズ2-20その7 では、マーティン・スコセッシ監督の映画「グッドフェローズ」(原題: GoodFellas)のセリフから、
トミー: I almost had him. (こいつ、すっかりだまされやがった(ひっかかった)ぜ。)
というのをご紹介しましたが、それと同じニュアンスですね。
その以前の記事にも書いたのですが、have は「対象物を自由にできる状態で所有する」という感覚なので、主語の思い通りにしてやった、相手を振り回してやった、という感覚から、"主語+have someone(目的語)" で「主語が目的語(人)を所有した、思い通りにした」→「だました」という意味になるのだろうと思います。
チャンドラーが親切にも、「ジョーイの名字はトリビアーニの方だ」と指摘したにもかかわらず、ジョーイは「そんな嘘をついて、子供に俺の名字を付けないつもりだな? お前がそんなことを言うから、もうちょっとでだまされるとこだった」と言ったことになりますので、ジョーイはそのチャンドラーの言葉を聞いてもまだ、「俺の名字はジョーイ」だと思っていることがわかるという面白さですね。
そのセリフを言う前に、難しい顔で固まって、5秒ほど頭をいろいろと巡らせている様子なのですが、考えて出した結論が「もうちょっとでだまされるとこだった」で、やっぱり自分の間違いに気づいてないわけですから、ジョーイのおバカぶり炸裂、というセリフになっているわけです。
間違いを指摘された場合のオチとしては、いろいろなパターンが考えられるわけですが、「しばらーく考えて、ようやく間違いに気づくのかな、と思いきや、”そんな嘘を言って俺をだまそうとしちゃってぇ〜”みたいに返してきた」というこのオチは、ジョーイのキャラにバッチリ合った、チャンドラーが両手で顔を覆うのにふさわしい(笑)、フレンズらしいオチになっていると思いました。
ランキングをクリックして、応援していただけると嬉しいです。
2015年07月01日
神経質な笑いを除外しない フレンズ9-14その5
皆様の応援のお陰で、現在、「人気ブログランキング」は4位、「にほんブログ村」は5位です。
ブログを続ける原動力となります。どうか今日も応援クリックをよろしくお願いします。
ジョーイとフィービーは、ロスとレイチェルがお似合いであることをわからせようと、それぞれにわざと「最悪のデート相手」をセッティングしようと話がまとまります。
ジョーイはロスに「最悪のデート相手」を用意したつもりが、それは「ロスのタイプの女性」だとフィービーに指摘されてしまったので、女性にはデートがキャンセルになったと伝え、ロスにデート場所で待ちぼうけさせる作戦に変更します。
その後、レストランで、レイチェルが「最悪のデート相手」とデートしているシーン。
レイチェル: Wow, everything looks so good! I think I'm gonna have the chicken. (わぉ、全部すっごくおいしそう! 私はチキンをもらおうかしら。)
レイチェルが話している時は、相手の男性はカメラに背を向けた状態。
彼のセリフになった時、彼の顔が正面から映る。フレンズ1-15 に出てきたスティーブだとわかる。
スティーブ (staring at Rachel): I - I just have to say this. You're really beautiful. ([レイチェルを見つめて] 僕、僕はただこう言わないと[これだけは言わせて]。君はとってもきれいだ。)
レイチェル: Oh, wow, that's - that's very sweet. Thank you. (あぁ、わぉ、それって、それってとっても優しいわ。ありがとう。)
スティーブ: I'm kind of funny-looking. (僕って、ほら、見かけが変、って感じだろ。)
レイチェル: What? (何?)
スティーブ: Look, I mean, come on, you're way out of my league. Everybody in here knows it. I bet that guy over there's probably saying: "ooh, why's she out with him? He must be rich!" Well, I'm not! (ほら、君は僕には高嶺の花だよ。ここにいる人はみんなわかってる。向こうのあの男は多分こう言ってるね。「あぁ、どうして彼女みたいな人が、彼みたいな男とデートしてるんだ? 彼は金持ちに違いない!」ってね。あぁ、僕は金持ちじゃないし!)
レイチェル: (feeling awkward): So what do think you wanna order? I'm really excited about that chicken.([気まずさを感じながら] それであなたは何を注文したいの? そのチキンが私はとっても楽しみなの。)
スティーブ: I'm not funny, either. So if you were thinking, "well, he's not that good-looking, but maybe we'll have some laughs"... That ain't gonna happen. (僕は面白くもないんだ。だからもし君が「うーん、彼はそんなに美形じゃないけど、多分、(彼といれば)二人で笑いが起きたりするのよね」って思ってたとしたら… そんなことは起こらないよ。)
レイチェル: Well, come on, Steve, let's not rule out nervous laughter. Hey, now, wait a minute. Phoebe told me that - that you owned your own restaurant. That's impressive. (あぁ、ねぇ、スティーブ、神経質な笑いは除外しないようにしましょ[神経質な笑いも、笑いの数に含めましょ]。ねぇ、ほら、ちょっと待って。フィービーが私に言ってたわ、あなたは自分のレストランを持ってるって。それって素敵ね。)
スティーブ: I lost it... to drugs. (レストランは失った(手放した)んだ… ドラッグで。)
(Steve makes a face as if his mouth is too dry.)
スティーブは自分の口が渇き過ぎているかのような顔をする。
フィービーは「レイチェルに最悪のデート相手を用意した」とジョーイに言っていたのですが、その相手とのデートのシーン。
最初、メニューを見ながらレイチェルが話している時は、その相手の男性の顔はカメラからは見えない角度になっていて、その男性のセリフになった時、正面から彼の顔が映ります。
その瞬間、観客からは、おぉ〜という歓声と笑い声が起こっていますが、この男性は、フレンズ1-15 に出てきたスティーブです。
ネットスクリプトのト書きでは、このシーンの冒頭の説明で、以下のように書いてありました。
[Scene: Another restaurant. Rachel is studying the menu together with her date, Steve. Steve is the stoned restaurateur from 115 TOW the Stoned Guy.]
(ロスがデート相手を待っているのとは)別のレストラン。レイチェルはメニューをデート相手、スティーブと吟味中。スティーブは、フレンズ1-15 「麻薬で酔っぱらった[ヤク中]男の話」の、ヤク中の料理店主である。
stoned というのは、今、訳したように「(麻薬などで)酔っぱらって」という意味で、LAAD (Longman Advanced American Dictionary) では、
stoned : (informal) feeling very excited or extremely relaxed because you have taken an illegal drug
つまり、「非常に興奮している、または極度にリラックスしている、違法なドラッグを摂取したために」。
スティーブの登場シーンは、ブログの解説では、フレンズ1-15その6 です。(シーズン1を解説していた頃なので、2005年の記事になります)
その後、スティーブが出てくるシーンの麻薬を表す言葉について、大麻のいろんな呼び名 フレンズ1-15その7 という追加記事も書きました。
フレンズ1-15 のスティーブに関するあらすじをざっと書いておくと、
フィービーのマッサージ店のお客さんである、スティーブというレストランのオーナーが、ヘッドシェフを探していて、モニカの料理の腕を確かめるためにモニカの部屋にやって来た。
レイチェルは、ウェイトレス役として、スティーブをもてなそうとする。
フィービーと一緒に来る途中、車中でマリファナを吸っていたスティーブは、薬でおかしくなっていて、奇妙な言動を繰り返す。
いくらレストランを持っている人だと言っても、こんな人の店で働けない、、と、モニカはこの店のヘッドシェフになることをあきらめる。
というものでした。
そういう、シーズン1のエピソードの内容が記憶にあると、今回のレイチェルとスティーブのやりとりも、余計に楽しめると思います。
ちょっと話の整合性が取れない部分としては、レイチェルは、フレンズ1-15 で、スティーブと顔を合わせているのですが、「前に会ったことがある」というような話は今回一切出てきません。
今回のブラインド・デートでは、「お互い、全くの初対面」であるかのように話が進行している、という点が、長期ドラマにありがちな「設定の不一致、つじつまが合わない部分」になるでしょう。
「レイチェルはスティーブのことを知らない、もしくは覚えていない」とした方が、彼の言動にいちいちあきれ驚くこともできますし、「好みの男性は覚えているけれど、好みじゃない男性は全く記憶に残っていないw」という方が、レイチェルのキャラっぽいと受け止めることも可能かなぁ、と。
レイチェルは全く記憶にない、けれども、このシーンを見ている観客や視聴者は、フレンズ1-15 の the stoned guy だ! と気づいて見ることで、過去のエピソード繋がりの面白さなども盛り込まれて、余計に楽しめる、という仕組みです。
スティーブの説明が長くなってしまいましたが、そのスティーブはレイチェルを見て「君はとってもきれいだ」と言い、レイチェルも「そんな風に言ってくれて、とっても素敵、優しいわ」とお礼を言っています。
レイチェルを褒めた後、スティーブは唐突に、「僕って funny-looking って感じだろ」と言っています。
見かけが、ルックスが funny だということですから、何となくイメージはわかりますが、改めて英英辞典を見てみると、
Macmillan Dictionary では、
funny-looking [adjective] : unusual in appearance
つまり、「外見が変である、変わっている」。
レイチェルのことを「すっごくきれいだ」と褒めてから、自分のことは「僕の見かけは(君とは違って)変だよね」と自虐的なことを言ったことになります。
急にそんなことを言い出すので、「何?」と聞き返したレイチェルに、スティーブは you're way out of my league. と言います。
out of one's league は恋愛ドラマの頻出表現で、「高嶺の花」という意味ですね。
「自分のリーグの外」ということから、「自分には手の届かないレベルの人」という意味になります。
過去記事では、フレンズ1-6その6、フレンズ1-8その3、フレンズ1-8その5、ロジャー・ラビットの妻 フレンズ3-5その6 などに出てきました。
特に フレンズ1-8 では、そのフレーズがジョークとして効果的に使われていて、セミナーでも、くどいほど私が説明していた部分です^^
レイチェルに、「君は僕には高嶺の花だよ。ここにいるみんなは、それを知ってる・わかってる」と言った後、「あそこにいるあの男性はきっとこう言ってると思う」と言って、「どうして彼女が彼といるの? 彼は金持ちに違いない」と続けています。
その後、Well, I'm not! と言っているのが面白いですね。
「あんな男が、あんな美人といるなんて、きっとあの男は金持ちなんだな」って言ってるかもしれないけど、僕は金持ちなんかじゃないよ、と、見た目も良くない上に、お金もない、と自虐的なことを言っていることになります。
そんな自虐的な話ばかり聞かされてうんざりなレイチェルは、注文の話に逃げようとするのですが、スティーブの自虐はまだまだ続きます。
見かけも悪い、金持ちでもない、そして今回は「僕は面白くもない」と言っています。
So if you were thinking... 以下は、「もし君が…だと思ってるとしたら、そんなことは起こらないよ」ということですね。
レイチェルが思っているだろう内容を直訳すると、「彼はそんなに美形・イケメン・ハンサムじゃないけど、多分、私たちは(いくつかの)笑いを持つだろう」になるでしょうか。
「いくつかの笑いを持つ」というのは、「この先(会話の中で)笑ったりすることもある」ということですね。
私を笑わせるようなことをこの人は言ってくれるかもしれない、って君は期待してるかもしれないけど、笑いが起こることはない、僕が君を笑わせるようなことはない、と言っていることになります。
それに対するレイチェルのセリフ、let's not rule out nervous laughter. について。
rule out は「除外する、無視する」ですから、このセリフを直訳すると、「ナーバスな・神経質な笑いを除外しないようにしましょう」となります。
「除外しない」というのは「含める」ということで、「僕との会話で、これから笑うようなことはないよ」と言ったスティーブに対して、「神経質な笑いを除外しないのなら、神経質な笑いも”笑い”の範疇(はんちゅう)に含めるなら、これから先、笑うこともあるわよ」とレイチェルが返したことになるでしょう。
そう言った後、レイチェル自身が、ひきつったような笑いを浮かべていますが、これが nervous laughter のことですね。
スティーブが自虐的なことを言うと、レイチェルにとっては、ひきつった笑いを浮かべるしかありません。
そういうのも笑いってことにカウントしときましょうね、と言ったことになります。
その後、レイチェルは思い出したように、「フィービーが私に言ってたんだけど、あなたは自分のレストランを持ってる(所有してる)のね。それって素敵・印象的だわ」と褒めています。
自虐的なことばかり言われてはたまらないので、長所となるような話を持ち出して、話を明るい方向に変えたいわけですが、それに対してもスティーブは、I lost... というネガティブな返事をしています。
I lost it... to drugs. の lose A to B は「B のせいで A を失う」という意味。
"lose someone to 病気(病名)" の形で使われることも多いですね。
サビはボートのガンだ フレンズ3-7その18 では、「サビはボートのガンだ」と言うレイチェルのパパに、
ロス: Wow. I'm sorry, when I was a kid, I lost a bike to that. (あぁ、それはお気の毒に。僕も子供の時、バイク[自転車]をサビで亡くしました。)
とジョークで返していました。
また、「〜なのに」のwhen フレンズ9-7その4 では、
crying about losing Monica to a real man (本当の男のせいでモニカを失ったことで泣いて)
という表現も出てきました。
今回のスティーブのセリフは、I lost my (own) restaurant to drugs. と言っていることになり、「ドラッグ(クスリ)のせいで、自分の(所有していた)レストランを失った、手放した」と言っていることになります。
そして、ト書きにあるように、「口が非常に乾いている」様子で、口を開いていますが、これは「ヤクをやっている人の症状」のようですね。
こういうしぐさを彼がしていることで、自分で言ったように「ヤク中」であることが強調されるわけです。
フレンズ1-15 でも、一緒にタクシーに乗ってきたフィービーが「彼、タクシーの中で麻薬吸ってた」と言った直後、スティーブは、Is it dry in here? 「ここ(この部屋)、乾燥してる?」みたいに言って、同じような「口が渇く様子」のしぐさをしていました。
フレンズ1-15 と同じようなパターンになっているところに、「ゲストキャラ再登場」の楽しさが見える気がします。
ランキングをクリックして、応援していただけると嬉しいです。
ブログを続ける原動力となります。どうか今日も応援クリックをよろしくお願いします。
ジョーイとフィービーは、ロスとレイチェルがお似合いであることをわからせようと、それぞれにわざと「最悪のデート相手」をセッティングしようと話がまとまります。
ジョーイはロスに「最悪のデート相手」を用意したつもりが、それは「ロスのタイプの女性」だとフィービーに指摘されてしまったので、女性にはデートがキャンセルになったと伝え、ロスにデート場所で待ちぼうけさせる作戦に変更します。
その後、レストランで、レイチェルが「最悪のデート相手」とデートしているシーン。
レイチェル: Wow, everything looks so good! I think I'm gonna have the chicken. (わぉ、全部すっごくおいしそう! 私はチキンをもらおうかしら。)
レイチェルが話している時は、相手の男性はカメラに背を向けた状態。
彼のセリフになった時、彼の顔が正面から映る。フレンズ1-15 に出てきたスティーブだとわかる。
スティーブ (staring at Rachel): I - I just have to say this. You're really beautiful. ([レイチェルを見つめて] 僕、僕はただこう言わないと[これだけは言わせて]。君はとってもきれいだ。)
レイチェル: Oh, wow, that's - that's very sweet. Thank you. (あぁ、わぉ、それって、それってとっても優しいわ。ありがとう。)
スティーブ: I'm kind of funny-looking. (僕って、ほら、見かけが変、って感じだろ。)
レイチェル: What? (何?)
スティーブ: Look, I mean, come on, you're way out of my league. Everybody in here knows it. I bet that guy over there's probably saying: "ooh, why's she out with him? He must be rich!" Well, I'm not! (ほら、君は僕には高嶺の花だよ。ここにいる人はみんなわかってる。向こうのあの男は多分こう言ってるね。「あぁ、どうして彼女みたいな人が、彼みたいな男とデートしてるんだ? 彼は金持ちに違いない!」ってね。あぁ、僕は金持ちじゃないし!)
レイチェル: (feeling awkward): So what do think you wanna order? I'm really excited about that chicken.([気まずさを感じながら] それであなたは何を注文したいの? そのチキンが私はとっても楽しみなの。)
スティーブ: I'm not funny, either. So if you were thinking, "well, he's not that good-looking, but maybe we'll have some laughs"... That ain't gonna happen. (僕は面白くもないんだ。だからもし君が「うーん、彼はそんなに美形じゃないけど、多分、(彼といれば)二人で笑いが起きたりするのよね」って思ってたとしたら… そんなことは起こらないよ。)
レイチェル: Well, come on, Steve, let's not rule out nervous laughter. Hey, now, wait a minute. Phoebe told me that - that you owned your own restaurant. That's impressive. (あぁ、ねぇ、スティーブ、神経質な笑いは除外しないようにしましょ[神経質な笑いも、笑いの数に含めましょ]。ねぇ、ほら、ちょっと待って。フィービーが私に言ってたわ、あなたは自分のレストランを持ってるって。それって素敵ね。)
スティーブ: I lost it... to drugs. (レストランは失った(手放した)んだ… ドラッグで。)
(Steve makes a face as if his mouth is too dry.)
スティーブは自分の口が渇き過ぎているかのような顔をする。
フィービーは「レイチェルに最悪のデート相手を用意した」とジョーイに言っていたのですが、その相手とのデートのシーン。
最初、メニューを見ながらレイチェルが話している時は、その相手の男性の顔はカメラからは見えない角度になっていて、その男性のセリフになった時、正面から彼の顔が映ります。
その瞬間、観客からは、おぉ〜という歓声と笑い声が起こっていますが、この男性は、フレンズ1-15 に出てきたスティーブです。
ネットスクリプトのト書きでは、このシーンの冒頭の説明で、以下のように書いてありました。
[Scene: Another restaurant. Rachel is studying the menu together with her date, Steve. Steve is the stoned restaurateur from 115 TOW the Stoned Guy.]
(ロスがデート相手を待っているのとは)別のレストラン。レイチェルはメニューをデート相手、スティーブと吟味中。スティーブは、フレンズ1-15 「麻薬で酔っぱらった[ヤク中]男の話」の、ヤク中の料理店主である。
stoned というのは、今、訳したように「(麻薬などで)酔っぱらって」という意味で、LAAD (Longman Advanced American Dictionary) では、
stoned : (informal) feeling very excited or extremely relaxed because you have taken an illegal drug
つまり、「非常に興奮している、または極度にリラックスしている、違法なドラッグを摂取したために」。
スティーブの登場シーンは、ブログの解説では、フレンズ1-15その6 です。(シーズン1を解説していた頃なので、2005年の記事になります)
その後、スティーブが出てくるシーンの麻薬を表す言葉について、大麻のいろんな呼び名 フレンズ1-15その7 という追加記事も書きました。
フレンズ1-15 のスティーブに関するあらすじをざっと書いておくと、
フィービーのマッサージ店のお客さんである、スティーブというレストランのオーナーが、ヘッドシェフを探していて、モニカの料理の腕を確かめるためにモニカの部屋にやって来た。
レイチェルは、ウェイトレス役として、スティーブをもてなそうとする。
フィービーと一緒に来る途中、車中でマリファナを吸っていたスティーブは、薬でおかしくなっていて、奇妙な言動を繰り返す。
いくらレストランを持っている人だと言っても、こんな人の店で働けない、、と、モニカはこの店のヘッドシェフになることをあきらめる。
というものでした。
そういう、シーズン1のエピソードの内容が記憶にあると、今回のレイチェルとスティーブのやりとりも、余計に楽しめると思います。
ちょっと話の整合性が取れない部分としては、レイチェルは、フレンズ1-15 で、スティーブと顔を合わせているのですが、「前に会ったことがある」というような話は今回一切出てきません。
今回のブラインド・デートでは、「お互い、全くの初対面」であるかのように話が進行している、という点が、長期ドラマにありがちな「設定の不一致、つじつまが合わない部分」になるでしょう。
「レイチェルはスティーブのことを知らない、もしくは覚えていない」とした方が、彼の言動にいちいちあきれ驚くこともできますし、「好みの男性は覚えているけれど、好みじゃない男性は全く記憶に残っていないw」という方が、レイチェルのキャラっぽいと受け止めることも可能かなぁ、と。
レイチェルは全く記憶にない、けれども、このシーンを見ている観客や視聴者は、フレンズ1-15 の the stoned guy だ! と気づいて見ることで、過去のエピソード繋がりの面白さなども盛り込まれて、余計に楽しめる、という仕組みです。
スティーブの説明が長くなってしまいましたが、そのスティーブはレイチェルを見て「君はとってもきれいだ」と言い、レイチェルも「そんな風に言ってくれて、とっても素敵、優しいわ」とお礼を言っています。
レイチェルを褒めた後、スティーブは唐突に、「僕って funny-looking って感じだろ」と言っています。
見かけが、ルックスが funny だということですから、何となくイメージはわかりますが、改めて英英辞典を見てみると、
Macmillan Dictionary では、
funny-looking [adjective] : unusual in appearance
つまり、「外見が変である、変わっている」。
レイチェルのことを「すっごくきれいだ」と褒めてから、自分のことは「僕の見かけは(君とは違って)変だよね」と自虐的なことを言ったことになります。
急にそんなことを言い出すので、「何?」と聞き返したレイチェルに、スティーブは you're way out of my league. と言います。
out of one's league は恋愛ドラマの頻出表現で、「高嶺の花」という意味ですね。
「自分のリーグの外」ということから、「自分には手の届かないレベルの人」という意味になります。
過去記事では、フレンズ1-6その6、フレンズ1-8その3、フレンズ1-8その5、ロジャー・ラビットの妻 フレンズ3-5その6 などに出てきました。
特に フレンズ1-8 では、そのフレーズがジョークとして効果的に使われていて、セミナーでも、くどいほど私が説明していた部分です^^
レイチェルに、「君は僕には高嶺の花だよ。ここにいるみんなは、それを知ってる・わかってる」と言った後、「あそこにいるあの男性はきっとこう言ってると思う」と言って、「どうして彼女が彼といるの? 彼は金持ちに違いない」と続けています。
その後、Well, I'm not! と言っているのが面白いですね。
「あんな男が、あんな美人といるなんて、きっとあの男は金持ちなんだな」って言ってるかもしれないけど、僕は金持ちなんかじゃないよ、と、見た目も良くない上に、お金もない、と自虐的なことを言っていることになります。
そんな自虐的な話ばかり聞かされてうんざりなレイチェルは、注文の話に逃げようとするのですが、スティーブの自虐はまだまだ続きます。
見かけも悪い、金持ちでもない、そして今回は「僕は面白くもない」と言っています。
So if you were thinking... 以下は、「もし君が…だと思ってるとしたら、そんなことは起こらないよ」ということですね。
レイチェルが思っているだろう内容を直訳すると、「彼はそんなに美形・イケメン・ハンサムじゃないけど、多分、私たちは(いくつかの)笑いを持つだろう」になるでしょうか。
「いくつかの笑いを持つ」というのは、「この先(会話の中で)笑ったりすることもある」ということですね。
私を笑わせるようなことをこの人は言ってくれるかもしれない、って君は期待してるかもしれないけど、笑いが起こることはない、僕が君を笑わせるようなことはない、と言っていることになります。
それに対するレイチェルのセリフ、let's not rule out nervous laughter. について。
rule out は「除外する、無視する」ですから、このセリフを直訳すると、「ナーバスな・神経質な笑いを除外しないようにしましょう」となります。
「除外しない」というのは「含める」ということで、「僕との会話で、これから笑うようなことはないよ」と言ったスティーブに対して、「神経質な笑いを除外しないのなら、神経質な笑いも”笑い”の範疇(はんちゅう)に含めるなら、これから先、笑うこともあるわよ」とレイチェルが返したことになるでしょう。
そう言った後、レイチェル自身が、ひきつったような笑いを浮かべていますが、これが nervous laughter のことですね。
スティーブが自虐的なことを言うと、レイチェルにとっては、ひきつった笑いを浮かべるしかありません。
そういうのも笑いってことにカウントしときましょうね、と言ったことになります。
その後、レイチェルは思い出したように、「フィービーが私に言ってたんだけど、あなたは自分のレストランを持ってる(所有してる)のね。それって素敵・印象的だわ」と褒めています。
自虐的なことばかり言われてはたまらないので、長所となるような話を持ち出して、話を明るい方向に変えたいわけですが、それに対してもスティーブは、I lost... というネガティブな返事をしています。
I lost it... to drugs. の lose A to B は「B のせいで A を失う」という意味。
"lose someone to 病気(病名)" の形で使われることも多いですね。
サビはボートのガンだ フレンズ3-7その18 では、「サビはボートのガンだ」と言うレイチェルのパパに、
ロス: Wow. I'm sorry, when I was a kid, I lost a bike to that. (あぁ、それはお気の毒に。僕も子供の時、バイク[自転車]をサビで亡くしました。)
とジョークで返していました。
また、「〜なのに」のwhen フレンズ9-7その4 では、
crying about losing Monica to a real man (本当の男のせいでモニカを失ったことで泣いて)
という表現も出てきました。
今回のスティーブのセリフは、I lost my (own) restaurant to drugs. と言っていることになり、「ドラッグ(クスリ)のせいで、自分の(所有していた)レストランを失った、手放した」と言っていることになります。
そして、ト書きにあるように、「口が非常に乾いている」様子で、口を開いていますが、これは「ヤクをやっている人の症状」のようですね。
こういうしぐさを彼がしていることで、自分で言ったように「ヤク中」であることが強調されるわけです。
フレンズ1-15 でも、一緒にタクシーに乗ってきたフィービーが「彼、タクシーの中で麻薬吸ってた」と言った直後、スティーブは、Is it dry in here? 「ここ(この部屋)、乾燥してる?」みたいに言って、同じような「口が渇く様子」のしぐさをしていました。
フレンズ1-15 と同じようなパターンになっているところに、「ゲストキャラ再登場」の楽しさが見える気がします。
ランキングをクリックして、応援していただけると嬉しいです。