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ジョーイとフィービーは、ロスとレイチェルがお似合いであることをわからせようと、それぞれにわざと「最悪のデート相手」をセッティングしようと話がまとまります。
ジョーイはロスに「最悪のデート相手」を用意したつもりが、それは「ロスのタイプの女性」だとフィービーに指摘されてしまったので、女性にはデートがキャンセルになったと伝え、ロスにデート場所で待ちぼうけさせる作戦に変更します。
その後、レストランで、レイチェルが「最悪のデート相手」とデートしているシーン。
レイチェル: Wow, everything looks so good! I think I'm gonna have the chicken. (わぉ、全部すっごくおいしそう! 私はチキンをもらおうかしら。)
レイチェルが話している時は、相手の男性はカメラに背を向けた状態。
彼のセリフになった時、彼の顔が正面から映る。フレンズ1-15 に出てきたスティーブだとわかる。
スティーブ (staring at Rachel): I - I just have to say this. You're really beautiful. ([レイチェルを見つめて] 僕、僕はただこう言わないと[これだけは言わせて]。君はとってもきれいだ。)
レイチェル: Oh, wow, that's - that's very sweet. Thank you. (あぁ、わぉ、それって、それってとっても優しいわ。ありがとう。)
スティーブ: I'm kind of funny-looking. (僕って、ほら、見かけが変、って感じだろ。)
レイチェル: What? (何?)
スティーブ: Look, I mean, come on, you're way out of my league. Everybody in here knows it. I bet that guy over there's probably saying: "ooh, why's she out with him? He must be rich!" Well, I'm not! (ほら、君は僕には高嶺の花だよ。ここにいる人はみんなわかってる。向こうのあの男は多分こう言ってるね。「あぁ、どうして彼女みたいな人が、彼みたいな男とデートしてるんだ? 彼は金持ちに違いない!」ってね。あぁ、僕は金持ちじゃないし!)
レイチェル: (feeling awkward): So what do think you wanna order? I'm really excited about that chicken.([気まずさを感じながら] それであなたは何を注文したいの? そのチキンが私はとっても楽しみなの。)
スティーブ: I'm not funny, either. So if you were thinking, "well, he's not that good-looking, but maybe we'll have some laughs"... That ain't gonna happen. (僕は面白くもないんだ。だからもし君が「うーん、彼はそんなに美形じゃないけど、多分、(彼といれば)二人で笑いが起きたりするのよね」って思ってたとしたら… そんなことは起こらないよ。)
レイチェル: Well, come on, Steve, let's not rule out nervous laughter. Hey, now, wait a minute. Phoebe told me that - that you owned your own restaurant. That's impressive. (あぁ、ねぇ、スティーブ、神経質な笑いは除外しないようにしましょ[神経質な笑いも、笑いの数に含めましょ]。ねぇ、ほら、ちょっと待って。フィービーが私に言ってたわ、あなたは自分のレストランを持ってるって。それって素敵ね。)
スティーブ: I lost it... to drugs. (レストランは失った(手放した)んだ… ドラッグで。)
(Steve makes a face as if his mouth is too dry.)
スティーブは自分の口が渇き過ぎているかのような顔をする。
フィービーは「レイチェルに最悪のデート相手を用意した」とジョーイに言っていたのですが、その相手とのデートのシーン。
最初、メニューを見ながらレイチェルが話している時は、その相手の男性の顔はカメラからは見えない角度になっていて、その男性のセリフになった時、正面から彼の顔が映ります。
その瞬間、観客からは、おぉ〜という歓声と笑い声が起こっていますが、この男性は、フレンズ1-15 に出てきたスティーブです。
ネットスクリプトのト書きでは、このシーンの冒頭の説明で、以下のように書いてありました。
[Scene: Another restaurant. Rachel is studying the menu together with her date, Steve. Steve is the stoned restaurateur from 115 TOW the Stoned Guy.]
(ロスがデート相手を待っているのとは)別のレストラン。レイチェルはメニューをデート相手、スティーブと吟味中。スティーブは、フレンズ1-15 「麻薬で酔っぱらった[ヤク中]男の話」の、ヤク中の料理店主である。
stoned というのは、今、訳したように「(麻薬などで)酔っぱらって」という意味で、LAAD (Longman Advanced American Dictionary) では、
stoned : (informal) feeling very excited or extremely relaxed because you have taken an illegal drug
つまり、「非常に興奮している、または極度にリラックスしている、違法なドラッグを摂取したために」。
スティーブの登場シーンは、ブログの解説では、フレンズ1-15その6 です。(シーズン1を解説していた頃なので、2005年の記事になります)
その後、スティーブが出てくるシーンの麻薬を表す言葉について、大麻のいろんな呼び名 フレンズ1-15その7 という追加記事も書きました。
フレンズ1-15 のスティーブに関するあらすじをざっと書いておくと、
フィービーのマッサージ店のお客さんである、スティーブというレストランのオーナーが、ヘッドシェフを探していて、モニカの料理の腕を確かめるためにモニカの部屋にやって来た。
レイチェルは、ウェイトレス役として、スティーブをもてなそうとする。
フィービーと一緒に来る途中、車中でマリファナを吸っていたスティーブは、薬でおかしくなっていて、奇妙な言動を繰り返す。
いくらレストランを持っている人だと言っても、こんな人の店で働けない、、と、モニカはこの店のヘッドシェフになることをあきらめる。
というものでした。
そういう、シーズン1のエピソードの内容が記憶にあると、今回のレイチェルとスティーブのやりとりも、余計に楽しめると思います。
ちょっと話の整合性が取れない部分としては、レイチェルは、フレンズ1-15 で、スティーブと顔を合わせているのですが、「前に会ったことがある」というような話は今回一切出てきません。
今回のブラインド・デートでは、「お互い、全くの初対面」であるかのように話が進行している、という点が、長期ドラマにありがちな「設定の不一致、つじつまが合わない部分」になるでしょう。
「レイチェルはスティーブのことを知らない、もしくは覚えていない」とした方が、彼の言動にいちいちあきれ驚くこともできますし、「好みの男性は覚えているけれど、好みじゃない男性は全く記憶に残っていないw」という方が、レイチェルのキャラっぽいと受け止めることも可能かなぁ、と。
レイチェルは全く記憶にない、けれども、このシーンを見ている観客や視聴者は、フレンズ1-15 の the stoned guy だ! と気づいて見ることで、過去のエピソード繋がりの面白さなども盛り込まれて、余計に楽しめる、という仕組みです。
スティーブの説明が長くなってしまいましたが、そのスティーブはレイチェルを見て「君はとってもきれいだ」と言い、レイチェルも「そんな風に言ってくれて、とっても素敵、優しいわ」とお礼を言っています。
レイチェルを褒めた後、スティーブは唐突に、「僕って funny-looking って感じだろ」と言っています。
見かけが、ルックスが funny だということですから、何となくイメージはわかりますが、改めて英英辞典を見てみると、
Macmillan Dictionary では、
funny-looking [adjective] : unusual in appearance
つまり、「外見が変である、変わっている」。
レイチェルのことを「すっごくきれいだ」と褒めてから、自分のことは「僕の見かけは(君とは違って)変だよね」と自虐的なことを言ったことになります。
急にそんなことを言い出すので、「何?」と聞き返したレイチェルに、スティーブは you're way out of my league. と言います。
out of one's league は恋愛ドラマの頻出表現で、「高嶺の花」という意味ですね。
「自分のリーグの外」ということから、「自分には手の届かないレベルの人」という意味になります。
過去記事では、フレンズ1-6その6、フレンズ1-8その3、フレンズ1-8その5、ロジャー・ラビットの妻 フレンズ3-5その6 などに出てきました。
特に フレンズ1-8 では、そのフレーズがジョークとして効果的に使われていて、セミナーでも、くどいほど私が説明していた部分です^^
レイチェルに、「君は僕には高嶺の花だよ。ここにいるみんなは、それを知ってる・わかってる」と言った後、「あそこにいるあの男性はきっとこう言ってると思う」と言って、「どうして彼女が彼といるの? 彼は金持ちに違いない」と続けています。
その後、Well, I'm not! と言っているのが面白いですね。
「あんな男が、あんな美人といるなんて、きっとあの男は金持ちなんだな」って言ってるかもしれないけど、僕は金持ちなんかじゃないよ、と、見た目も良くない上に、お金もない、と自虐的なことを言っていることになります。
そんな自虐的な話ばかり聞かされてうんざりなレイチェルは、注文の話に逃げようとするのですが、スティーブの自虐はまだまだ続きます。
見かけも悪い、金持ちでもない、そして今回は「僕は面白くもない」と言っています。
So if you were thinking... 以下は、「もし君が…だと思ってるとしたら、そんなことは起こらないよ」ということですね。
レイチェルが思っているだろう内容を直訳すると、「彼はそんなに美形・イケメン・ハンサムじゃないけど、多分、私たちは(いくつかの)笑いを持つだろう」になるでしょうか。
「いくつかの笑いを持つ」というのは、「この先(会話の中で)笑ったりすることもある」ということですね。
私を笑わせるようなことをこの人は言ってくれるかもしれない、って君は期待してるかもしれないけど、笑いが起こることはない、僕が君を笑わせるようなことはない、と言っていることになります。
それに対するレイチェルのセリフ、let's not rule out nervous laughter. について。
rule out は「除外する、無視する」ですから、このセリフを直訳すると、「ナーバスな・神経質な笑いを除外しないようにしましょう」となります。
「除外しない」というのは「含める」ということで、「僕との会話で、これから笑うようなことはないよ」と言ったスティーブに対して、「神経質な笑いを除外しないのなら、神経質な笑いも”笑い”の範疇(はんちゅう)に含めるなら、これから先、笑うこともあるわよ」とレイチェルが返したことになるでしょう。
そう言った後、レイチェル自身が、ひきつったような笑いを浮かべていますが、これが nervous laughter のことですね。
スティーブが自虐的なことを言うと、レイチェルにとっては、ひきつった笑いを浮かべるしかありません。
そういうのも笑いってことにカウントしときましょうね、と言ったことになります。
その後、レイチェルは思い出したように、「フィービーが私に言ってたんだけど、あなたは自分のレストランを持ってる(所有してる)のね。それって素敵・印象的だわ」と褒めています。
自虐的なことばかり言われてはたまらないので、長所となるような話を持ち出して、話を明るい方向に変えたいわけですが、それに対してもスティーブは、I lost... というネガティブな返事をしています。
I lost it... to drugs. の lose A to B は「B のせいで A を失う」という意味。
"lose someone to 病気(病名)" の形で使われることも多いですね。
サビはボートのガンだ フレンズ3-7その18 では、「サビはボートのガンだ」と言うレイチェルのパパに、
ロス: Wow. I'm sorry, when I was a kid, I lost a bike to that. (あぁ、それはお気の毒に。僕も子供の時、バイク[自転車]をサビで亡くしました。)
とジョークで返していました。
また、「〜なのに」のwhen フレンズ9-7その4 では、
crying about losing Monica to a real man (本当の男のせいでモニカを失ったことで泣いて)
という表現も出てきました。
今回のスティーブのセリフは、I lost my (own) restaurant to drugs. と言っていることになり、「ドラッグ(クスリ)のせいで、自分の(所有していた)レストランを失った、手放した」と言っていることになります。
そして、ト書きにあるように、「口が非常に乾いている」様子で、口を開いていますが、これは「ヤクをやっている人の症状」のようですね。
こういうしぐさを彼がしていることで、自分で言ったように「ヤク中」であることが強調されるわけです。
フレンズ1-15 でも、一緒にタクシーに乗ってきたフィービーが「彼、タクシーの中で麻薬吸ってた」と言った直後、スティーブは、Is it dry in here? 「ここ(この部屋)、乾燥してる?」みたいに言って、同じような「口が渇く様子」のしぐさをしていました。
フレンズ1-15 と同じようなパターンになっているところに、「ゲストキャラ再登場」の楽しさが見える気がします。
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