2015年09月07日

心理学の授業を2つとった フレンズ9-19その3

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[Scene: Central Perk. Monica and Rachel are sitting on the sofa]
セントラルパーク。モニカとレイチェルがソファに座っている。
レイチェル: Can I ask you a question? (質問していい?)
モニカ: Yeah. (ええ。)
レイチェル: Have you ever had any... weird, romantic dreams? (奇妙な、ロマンティックな夢って見たことある?)
モニカ: Let me think. Oh, when I was younger, I used to dream that I got married to Mayor McCheese. And on our wedding night, I ate his head. (考えさせて。あぁ、私がもう少し若かった頃、マックチーズ市長と結婚した夢をよく見たものだわ。それで結婚式の夜に、私は彼の頭を食べたの。)
レイチェル: Okay. Well, this is like that... in no way. I had a...I had a dream last night that I wanted to kiss Joey. (わかった。そうね、これはそういう感じ…とは全然違うの。私は昨日の晩、ジョーイにキスしたいと思う夢を見たのよ。)
モニカ: Wow, you mean like "kiss him" kiss him? (まぁ。それって「彼にキスする」って感じで彼にキスするってこと?[冗談のキスじゃなくて、マジのキスってこと?])
レイチェル: Oh, yeah! I mean, that was pretty intense. (えぇ、そうよ! ほら、それってかなり情熱的だったのよ。)
モニカ: What do you think brought than on? (何がそんな夢を見させたと思う?[どうしてそんな夢を見たんだって思う?])
レイチェル: I don't know! I mean, maybe that's something to do with the fact that I saw him do a love scene yesterday. (わからないわ! ほら、多分、あのことと関係あると思うのよ、私が昨日、ジョーイがラブシーンを演じるのを見たって事実とね。)
モニカ: A love scene? With who? (ラブシーン? 誰との?)
レイチェル: Olivia. (オリヴィアよ。)
モニカ: Olivia? I thought she was marrying Connor?! (pause) Oh, right. Real life more important. (オリヴィアですって? 彼女はコナーと結婚するんだって思ってたのに?! [間があって] あぁ、そうよね。実生活の方がもっと重要よね。)
レイチェル: So do you think that my dream means anything? (それで、私の夢は何か意味があると思う?)
モニカ: I don't know. I mean, you saw him do a love scene. So maybe you don't have a thing for Joey. Maybe you have a thing for Drake. (どうかしらね。ほら、あなたは彼がラブシーンを演じるのを見た。だから多分、あなたはジョーイのことが大好きなんじゃない。多分ドレイクのことが大好きなのよ。)
レイチェル: Ah! Well, it was Joey reading Drake's lines in the dream. (あぁ! そうね、(私がキスしたいと思ったのは)夢の中でドレイクのセリフを読んでいるジョーイだったもの。)
モニカ: Of course it was! Trust me, when it comes to psychology I know what I'm talking about. I took two psych classes in college. (もちろんそうだったでしょうよ! ほんとよ、心理学のこととなると、私の言うことに間違いないわ。大学では心理学の授業を2つとった[受けた]んだから。)
レイチェル: You took the same class twice. (あなたは同じ授業を2回とったんでしょ?)
モニカ: It was hard! (難しかったの!)
レイチェル: I know. (そうね。)

レイチェルはモニカに、「奇妙な(変な)ロマンティックな夢って見たことある?」と尋ねています。
「考えさせて」と言ったモニカは、「私が今より若かった時(もう少し若かった時)、Mayor McCheese と結婚した夢を見たものだった」と言っています。
when I was younger というのは、when I was young とは少しニュアンスが異なりますね。
when I was young なら「私が若かった時」、when I was younger なら「私が今より若かった時」となります。
when I was young と表現した場合、I am old. 「今は自分は年である、老いている」ことを示唆してしまうように思います。
日本語で「私が若かった時」と表現した場合でも、(現在もまだ若い)若者が使うと何だか変な感じに聞こえるのと同じ感覚だと思うのですね。
「自分は今でも、young の範疇にいるけれど、その自分が今より年が若かった時」と表現したい場合には、今回のように when I was younger 「私が今よりも若かった時」と比較級 younger を使えば良い、ということになるだろうと思います。

今より年齢が若い頃(数年前)、こんな夢をよく見ていたものだったわ、と言ったその夢の内容は、「私が Mayor McCheese と結婚した夢」。
Mayor McCheese は、日本語では「マックチーズ市長」などと訳されているようで、英語で Mayor McCheese または日本語で「マックチーズ市長」の名前で画像検索すると、そのキャラクターの画像がたくさんヒットします。
名前の通り、頭がチーズバーガーのキャラクターです。
青色のタスキにマクドナルドの M の黄色いマークが入っていて、その M に続ける形で、(M)AYOR (市長)と文字が入っている画像がいくつかあったので(黄色い M だけのものもありましたが)、それがそのキャラクターの特徴の一つだったりするのかな、とも思います。

「マックチーズ市長と結婚する夢を見た」というモニカは、さらに続けて、「結婚式の夜、私は彼の頭を食べた」と言っています。
頭がチーズバーガーなので、その頭を食べてしまった、という夢だったわけで、まるで「僕の顔をお食べ」のアンパンマンの世界ですね^^
レイチェルが「奇妙でロマンティックな夢」のことを尋ねたので、モニカは「ある人と結婚する」というロマンティックな夢の話をしたわけですが、結局、「色気より食い気」みたいなオチになっているところが、モニカの夢らしいところだと思います。

this is like that... in no way. の in no way は「決して〜ない、少しも〜ない」なので、「これ(私が今から話そうとしている夢)は、それ(あなたが今語った夢)のよう…では全然ない」みたいに表現したことになるでしょう。
that の後に、少し間があって、in no way が続いていることから、「これはそんな感じ」と一瞬言ったようにみせておいて、最後に、「ってことはまったくない」と否定語をつけてひっくり返したような感覚になりますね。

その後レイチェルは、自分が見た夢についてモニカに語ります。
I had a dream last night that I wanted to kiss Joey. は、「私は昨晩ある夢を見た、その夢は、私がジョーイにキスしたいと思った夢だった」という感じでしょうか。
that は、「〜という」という意味の同格の that で、a dream that I wanted to kiss Joey 「私がジョーイにキスしたいと思った夢」になるわけですが、last night という時を表す言葉を、文の最後に持ってくると、had a dream の方にかかるのか、wanted to kiss の方にかかるのかがはっきりしないので、「昨晩ある夢を見た」と先に last night を言っておいてから、a dream の同格として、that I wanted... を続けた文章の形になっている、ということですね。

それを聞いたモニカは、Wow と驚いて、you mean like "kiss him" kiss him? と言っています。
直訳すると、「それってつまり、「彼にキスする」って感じで彼にキスする、ってこと?」みたいになりますが、要は、「友達として軽くキス、または冗談としておふざけ的にキス」とかじゃなくて、「好きな相手にキスする、っていう感じの本格的なキス」ってこと? と尋ねた感覚になるでしょう。
リアルなキス? 真剣なキス? みたいなことですね。

そう言われたレイチェルは、「えぇ、そうなの!」と言って、あれ(あの夢の中のキス)は、かなり intense だった、と言っています。
intense は「激しい、強烈な」と訳されることが多いですが、今回のような恋愛の場合は「熱情的な、情熱的な」という訳語の方がぴったり来るように思います。

What do you think brought than on? の bring on は「〜を引き起こす、もたらす」という意味なので、「何がそれを引き起こしたと、あなたは思う?」ということですから、「どうしてそんな夢を見たと思う?」のように、その夢を引き起こすことになった原因を尋ねていることになります。

レイチェルは、「わからないわ」と言いながらも、「多分、私が昨日、ジョーイがラブシーンをするのを(演じるのを)見たって事実と何か関係があると思う」と言っています。
その言葉を聞いて、モニカは、「ラブシーン? それって誰との?」と尋ねます。
レイチェルはスタジオで先に収録を見ているわけですが、モニカはまだテレビでそれを見ていないからそんなシーンやそんな展開を知らない、ということですね。
ラブシーンの相手役はオリヴィアだと聞いて、モニカは、「オリヴィア? 彼女はコナーと結婚するんだと思ってたのに!」と驚きの声を上げます。
が、その後、間があって、「えぇ、そうね。リアルライフ(現実の生活、実生活)の方がより重要よね」と言うことになります。
レイチェルが変な夢を見ちゃって、、とモニカに相談しているのに、ソープオペラの展開の方に興味津々になってちゃだめよね、と自分に言い聞かせている感じですね。

レイチェルが「私の夢には何か意味があると思う?」とモニカに意見を尋ねると、モニカは、have a thing for という表現を使って、「多分あなたは、have a thing for Joey じゃなくて、have a thing for Drake なのね」みたいに言っています。
この have a thing for というのは「〜が大好きである、〜に特別な感情を持っている」という意味。
LAAD (Longman Advanced American Dictionary) では、
have a thing for somebody/something : (informal) to like someone or a type of person or thing very much.
例) Claudia has a thing for older men.

つまり、「ある人や、あるタイプの人やものが、非常に好きであること」。例文は、「クラウディアは年上の男性が大好きである」。

ちなみにこの例文で、older men と出ていますが、今日の記事で触れた young/younger の違いと同様に、これも old man 「老人、老けた人」が好きなのではなくて、older man 「自分より年上の人」が好き、という意味になるでしょう。
-er のあるなしの違いだけなので、あまり意識せずにスルーしてしまいがちかもしれませんが、比較級が出てきた場合には「何と比べての比較」なのかをいうことを意識したいところですね。

モニカの意見を聞いたレイチェルは、「確かにそうね!」と同意した様子で、it was Joey reading Drake's lines in the dream. と言っています。
見た目が何となく、It is 〜 that... の強調構文に似た感じがしますが、よく見ると that がないころからもわかるように、これは強調構文ではなく、「(それは)夢の中でドレイクのセリフを読んでいるジョーイだった」という意味になります。
it was の it は、今話題にしているもの、レイチェルが頭の中に描いているものを指している感覚で、「あなたはジョーイが好きなんじゃなくて、ドレイクが好きなのよ」と言われたら、確かに「(夢の中で私がキスしたいと思った相手は)ドレイクのセリフを読んでいるジョーイだった」と言っている感覚になるでしょう。

モニカの推理が当たったような形になったので、モニカは、Of course it was! 「もちろん、そうだったでしょうよ」と得意げに言って、心理学のこととなると[心理学にかけては]、I know what I'm talking about. と続けます。
I know what I'm talking about. を直訳すると、「私が話していることを(私が何を話しているかを)私はわかっている」ということなので、「よくわかった上で話をしている、私の言うことに間違いはない・確信がある」と言っていることになるでしょう。
よく似た表現の、I know what I'm doing. だと、「私は自分のしていることがわかっている」→「わかった上でやっている、自分の判断・行動に自信がある」という意味になりますね。

そんな風に「心理学については自信があるのよ」と言った後、「(だって)私は大学で、心理学の授業を2つとった(受けた)」と言っています。
履修科目として、心理学の授業を2種類とった、と言っている感じですが、レイチェルに、「(2つとったと言ってるけど)それって、同じ授業を2回受けたんでしょ」と指摘されてしまいます。
モニカが、「難しかったの!」と言ったことで、その指摘が図星だったとわかるのですが、「得意だから2つも授業をとった」のではなくて、「一度単位を落としたから、また授業を受けないといけなかった」ということがわかるオチになるわけですね。


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posted by Rach at 13:40| Comment(0) | フレンズ シーズン9 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年09月04日

そうは書いてない。私がそう言ってるの フレンズ9-19その2

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俳優のジョーイが出演しているドラマで恋愛シーンがあり、友人としてスタジオ見学していたレイチェルは、その情熱的な恋愛場面に釘付けになってしまっていました。
その後、「話の続きが知りたい」というレイチェルに、ジョーイは台本を渡して、「俺のセリフ読みの相手役になって」と頼みます。
そうして二人で台本を読み合わせしているところ。
「妹が囚われの身で、私には彼と結婚するしか道はなかった」という相手役のセリフに対し、
ジョーイ/ドレイク(役): So, what about us? Everything we feel for each other? (それで、俺たちはどうなの? お互いに対して俺たちが感じることの全ては(どうなるの)?)
レイチェル/女優(役): It's over! You have to accept that. (終わったのよ! あなたはそれを受け入れないといけないわ!)
ジョーイ/ドレイク: How can I? Knowing I'll never hold you in my arms again, or touch your skin or feel your lips, knowing I'll never make love to you? How can I accept that... I can never kiss you again when it's all I can do not to kiss you right now? (どうやってそんなことができる? 君を俺の腕の中に抱いたり、君の肌に触れたり、君の唇を感じたりすることがもう二度とできないと知っていながら、君と二度と愛を交わすことができないと知っていながら? 君に二度とキスできないということをどうやって受け入れることができる? 俺にできることは、今君にキスしないでいることだけだと言うのに。)
レイチェル: (pause) Kiss me. ([間があって] キスして。)
ジョーイ: What? (何?)
レイチェル: Kiss me. (キスして。)
ジョーイ: Ah, Rach, it doesn't say that! (あー、レイチェル、そんなこと(脚本には)書いてないよ!)
レイチェル: No, I'm saying it. (いいえ、私が(そう)言ってるの。)
ジョーイ: But, but-- (でも、だけど…)
レイチェル: Just... don't talk. (she kisses him) (ただ…もう話さないで[黙って]。 [レイチェルはジョーイにキスする])
[Scene: Rachel's bedroom]
レイチェルの寝室。
レイチェル: (waking up) Ehhh, aw! (pause). Well, that's new! ([目が覚めて] あー! [間があって] まぁ、今のは新しいわね[新手(あらて)ね。斬新ね]!)

「私には彼と結婚するしか道はなかった」という相手役のセリフに対し、ドレイクは、「俺たちのことはどうなの? お互いに対して感じている全ては?」と言っています。
彼との間のことはそうだとしても、君と俺がお互いに抱いているこの気持ちについてはどうなるの? ということですね。
レイチェルが、「終わったのよ。あなたはそれを受け入れないといけないわ!」と言うと、ドレイクは、How can I? 以下の、非常に長いセリフを言います。

How can I? は、How can I accept that? ということで、that は It's over. 「(私たちのことは)終わった」を指していることになるでしょう。
「俺たちはもう終わった、なんてことを、どうやって俺が受け入れることができるんだ? そんなこと、俺に受け入れられるはずがないじゃないか!」という反語表現ですね。
Knowing は、How can I accept that, knowing... という分詞構文のニュアンスで、「〜ということを知りながら、二人の別れ・二人の終わりをどうやって受け入れられるって言うんだ?」という感覚になるでしょう。
Knowing I'll never... again は、「俺がもう二度と〜できないと知りながら」になりますね。
二度とそうすることはできない内容として、最初に、hold you in my arms, 次に、touch your skin, feel your lips という表現が続いています。
順番に訳すと、「君を俺の腕(の中)に抱く」「君の肌に触れる」「君の唇を感じる」となります。
ロマンティックなセリフという観点で、これらの表現を見てみると、ただ hold you 「君を抱く(ことができない」と言うよりも、hold you in my arms 「俺の腕に抱く(ことができない)」という方が、切なさがより強く出るように思います。
touch your skin の touch は主に「手で触る(さわる)、手で触れる(ふれる)」という意味で、ここでもまさにその通りの「手で触れる」という意味で使っていることになるでしょう。
feel your lips の feel も「手で触る、手で触れる」という意味がありますが、ご存知の通り、「触れる」以外にも「感じる」という意味としてよく使われる言葉ですよね。
このセリフでは、「身体(の部位)で感じる」という感覚で使っていて、キスすることで、自分の唇で君の唇を感じる、という意味で使っていることになるでしょう。
対象となる部位によって、動詞を使い分けているところが、ロマンティックだな、と思うわけですね。

knowing I'll never make love to you? は、「君と二度と愛を交わすことがない(愛を交わすことができない)と知りながら?」になります。
make love to 「(人)と愛を交わす」というフレーズは、sleep with のようなダイレクトな表現よりも、抽象的できれいな表現で、このような美しい恋愛シーンにおいては、よりロマンティックさが強まりますね。

次の How can I accept that... I can never kiss you again when it's all I can do not to kiss you right now? という長めのセリフについて。
この文章の基本構造は、How can I accept that A, when B ? で、とりあえず前から直訳してみると、「A ということをどうやって受け入れられるというのだろう? B である時に」となりますが、このような文脈で when が出てきた場合には、when を「なのに」というような逆接で訳すとしっくり来る場合も多いです。
また、特に今回の場合は、以下の研究社 新英和中辞典の語義が、よくあてはまるように思います。

when 【接】=…を考える[思う]と
How can you convince him when he will not listen? 耳を傾けようとしないのにどうして彼を説きつけられようか


この例文は、How can you... when...? の形になっていて、今回のセリフの How can I accept that A, when B ? の形とよく似ていますね。
上の例文が、「…のに(…を考えると・思うと)どうして〜することができようか」のように訳されていることを考えると、今回のセリフも、「B (という状態)なのに[B であるという状態を考えると・思うと]どうして A であることを受け入れることができようか」と訳すことができると思います。
when というのは「〜する時」と訳されることが多いですが、その when が表すものは「同時性」であると私は思っていて、そのため、文脈によっては、「〜なのに、〜であると考えると」と訳した方がしっくり来る場合もある、ということなのでしょう。

A と B に該当する部分を改めて訳してみると、A の I can never kiss you again は、「俺が君に二度とキスできない」ということで、B の it's all I can do not to kiss you right now は、It is C to (do). 「〜することは C である」という、形式主語の構文になります。
do not は don't ではなく、it's all I can do / not to kiss you のように、do と not の間に切れ目が入る感覚ですね。
To (do) is C. 「〜することは C である」のように主語が to不定詞になった文章を、主語が長くなるのを避けるため、it を形式主語として置いて、to不定詞を後ろに回した形となります。
今回は、その to不定詞が、not の付いた not to do の形(not to kiss...)になっているため、通常の形式主語の文章よりもわかりにくくなっているかもしれません。
つまり、B のセリフは、「今、君にキスしないこと(not to kiss you right now)が、俺ができる全てのこと(all I can do)である」という構造になります。
「俺ができる全てのこと」=「俺にはそれしかできない」ということですから、「俺にできることは、今君にキスしないことだけ」と言っていることになります。
「俺にできることは、〜しないことだけ」というのは、一風変わった表現ですが、「〜しないことしかできない」というのは、「〜することが俺にはできない、俺には許されていない」と言っていることになるでしょう。
今の俺にできるのは、ただ「キスしないでいる」ということだけ、と表現することで、今の俺は君に対してキスという行為をすることができない、ということを表現しているわけですね。

when を使って「〜だというのに」と表現することで、「君を目の前にした今も、君にキスすることができないというのに、これから先も二度とキスすることはないという事実をどうやって受け入れろっていうんだ」と言っていることになります。
DVDの日本語音声(吹替)では、「もう君にキスできないし、今もキスを我慢するしかないなんて」と訳されていましたが、言っている内容はまさにそういうことで、when の「〜だというのに」というニュアンスを出して訳すと、「今もキスを我慢するしかないというのに、もう二度と君にキスできないということをどうやって受け入れろと?」という感じになるでしょう。

そんな情熱的なセリフを、ドレイク役として読んでいるジョーイですが、レイチェルは、ジョーイが、knowing I'll never make love to you? のセリフを読んでいるあたりから、うっとりした顔になっています。
セリフの練習であることを忘れたかのように、気持ちが入り込んでしまっている感じです。

「もう二度と君にキスできないってことをどうやって受け入れることができる? 君を目の前にしている今も俺は君にキスできないっていうのに、、」とジョーイが言うのを聞いていたレイチェルは、しばらく間を置いてから、Kiss me. と言います。
それを聞いたジョーイも、しばらく間を置いてから、What? と言っていますね。
そのジョーイの What? の言い方から、「ドレイク役としてセリフを読んでいるのではなく、素(す)のジョーイがそう言っている」ことがわかるので、レイチェルが言った、"Kiss. me." という言葉は、脚本に載っていたセリフではない、脚本には書いていないことをレイチェルが言った、ということがわかるわけです。
観客や視聴者には、台本の内容はわかりませんので、レイチェルが Kiss me. と言った瞬間には、「レイチェルは台本の続きを読んでいるんだろう」と思えるのですが、ジョーイが「え?」と驚いた顔で What? と言った時に初めて、「Kiss me. なんてセリフは脚本には書いてない」ことがわかる仕組みになっているのですね。

ジョーイが What? と言っても、レイチェルはもう一度、Kiss me. と言っています。
その次のジョーイの it doesn't say that! は、「それ(脚本)はそんなこと言ってない」→「その脚本にはそんなセリフ書いてない」という意味になります。
このように say は、「(本などが)〜と書いてある」という意味で使われますね。

No, I'm saying it. は「いいえ、私がそれを言っているの」ということですから、これはまさに「言う」の意味で、「脚本には Kiss me. なんて書いてないよ」と言ったジョーイに対して、「Kiss me. は(脚本を読んでるんじゃなくて)私自身がそう言ってるの」と返したことになります。

日本語だと、「本にはそんなこと”書いて”ないよ」「いいえ、私がそう”言って”るの」となりますが、英語ではどちらも同じ動詞 say で表現されるということで、そのことが「脚本じゃなくて、私自身がそう言っている」という対比を際立たせることにもなりますね。

「私が”キスして”って言ってるの」ということですから、「キスして」と言われたことになるジョーイは、「でも…」と言葉に詰まっています。
Just... don't talk. は、「ただ(もう)話さないで」で、そう言ってレイチェルは、ジョーイの顔を手で挟んで、自分からジョーイにキスすることになります。
衝撃の展開に、観客からも「おぉ〜」というどよめきのような歓声が上がっていますが、そんなどよめきが上がった直後に、画面がレイチェルの寝室に切り替わり、白いタンクトップ姿で一人で寝ているレイチェルが驚いて飛び起きる様子を映します。
そのシーンが映し出されたことで、「レイチェルがジョーイにキスしたのは、レイチェルの夢の中の話だった」ということ、つまりは「夢オチ」だったことがわかるわけですね。

飛び起きたレイチェルは、Well, that's new! と言っています。
直訳すると、「さっきの(今の)は新しい」ということで、つまりは、「今見た夢は(これまでにない)新しいタイプのものね、斬新だわ」と言っている感覚になるでしょう。
DVDの日本語字幕では、「新手(あらて)の夢ね」と訳されていましたが、まさに「新手」というニュアンスがぴったりですね。
「ロマンティックなセリフを読み合っているうちに、私(レイチェル)の方からジョーイにキスしてしまう」という内容について、自分が見た夢ながら「思いがけない展開だった」と驚いているのがよくわかるセリフです。

今回のこの夢オチは、レイチェルの寝室が映るまでは「夢オチかもしれない」というような気配はほとんど感じられませんでした。
レイチェルがジョーイのドラマのスタジオ見学に行って、ロマンティックなシーンを演じるジョーイにうっとりと見とれていた、というシーンがあったため、二人きりで情熱的なセリフを読み合わせしているうちに、レイチェルに恋愛感情に似た気持ちが芽生えてしまう、、というのも、あり得るかもと思わせる展開になっていたからでしょう。
二人がキスした時に、観客も視聴者も「えーっ?!」となったはずですが、そのキスシーン自体はあまり長くはなく、すぐに寝ているレイチェルのシーンに移行したので、驚きの時間はそれほど長くはなかった、という感じですね。
「夢オチ」だというネタばらしが、ちょっと早すぎたような気もして、せっかくの「観客がどよめくほどの衝撃の展開」だったので、あともう1秒くらい長くキスシーンを見せてからのぉ〜オチ、でも良かったんじゃないかなぁ、、などと個人的には思ったりもしたのですが^^

ジョーイが言っていたセリフも、レイチェルの言った言葉、No, I'm saying it. Just... don't talk. も、どちらもとてもロマンティックですし、そういう表現にうっとりできればできるほど、夢オチとわかった後のレイチェルのセリフ、Well, that's new! が面白く感じられる気がしますね。


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posted by Rach at 14:29| Comment(0) | フレンズ シーズン9 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年09月02日

俺ほどには良くなかったけどね フレンズ9-19その1

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シーズン9 第19話
The One With Rachel's Dream (シュガー・ハイ・ジャーニー)
原題は「レイチェルの夢の話」


俳優のジョーイは、ソープオペラ Days of Our Lives に、ドクター・ドレイク・ラモレー役で出演中なのですが、とてもロマンティックな恋愛シーンが出てくるため、ジョーイはレイチェルに、「俺がうまく演技できているか、スタジオに見に来て欲しい」と頼みます。
スタジオに行ったレイチェルは、最初はジョーイの同僚の俳優にミーハーな対応をしていたのですが、ジョーイの恋愛シーンが始まると、ジョーイの演技に目が釘付けになってしまいます。
そんなスタジオ見学があった、しばらく後のシーン。
[Scene: Joey's apartment]
ジョーイのアパートメント。
レイチェル: Hi! (はーい!)
ジョーイ: Hey! (やあ!)
レイチェル: Joey, I gotta tell ya, I have been thinking all day about that scene you did. I mean, you were amazing! (ジョーイ、あなたに言わなくちゃ[これだけは言わせて]、私、一日中、あなたが演じたあのシーンについて考えていたの。ほら、あなたは最高だったわ!)
ジョーイ: Oh, you know, the writing was good. And the director's good. And... and my costar's good. But they're not as good as me! (あぁ、ほら、脚本が良かったんだよ。それから監督が良かった。それに…それに共演者が良かった。でも、それらは全部、俺ほどには良くなかったけどね![でも(それらよりも)俺が一番良かったけどね!])
レイチェル: God, you have to tell me what happens tomorrow! (あぁ、明日(ドラマの中で)何が起こるか教えてよ。)
ジョーイ: Ow, I'm just going over the script now! You wanna read lines with me? (おぉ、ちょうど、俺は今、脚本を読み返してるところなんだ! 俺と一緒にセリフを読みたい?)
レイチェル: Me? Oh, I am not an actress. (私が? あぁ、私は女優じゃないし。)
ジョーイ: Oh, all right, I can ask Monica. (じゃあ、いいよ、モニカに頼めるし。)
レイチェル: Oh screw her! That part is mine! (まぁ、モニカなんてだめよ! その役は私のものよ!)
ジョーイ: Right. (pause) Okay, so just from the top of the page right here. (わかった。[間があって] オッケー、それじゃあ、ちょうどここのページの頭から。)
レイチェル: Okay. (pause) (acting) Hello, Drake. I'm surprised to see you here. (わかった。[間があって] [演技しながら] こんにちは、ドレイク。あなたとここで会うとは驚きね。)
ジョーイ/ドレイク役(Joey/Drake): I can't believe you married him. (君が彼と結婚したとは信じられないよ。)
レイチェル/女優役(Rachel/actress): Well, what choice did I have? He was keeping my sister in a dungeon! (私にどんな選択肢があったというの? 彼は私の妹を地下牢に閉じ込めていたのよ!)

ジョーイは、スタジオで見たジョーイの演技に対して、まだ興奮冷めやらぬ様子で、家に戻ってくるなり、「あなたが演じたあのシーンについて、私、一日中ずーっと考えてたの」と言っています。
あのシーンが、一日ずっと頭から離れなかった、ということですね。
あなた、最高だったわ! と言われたジョーイは、絶賛されて照れた様子で、脚本(the writing)、監督(the director)、costar(共演者)が良かったんだ、と謙遜しているのですが、その後、But... のセリフを、満面の笑みと大きな声で言っています。
But they're not as good as me! を直訳すると、「でも(今俺が挙げた)それらは、俺ほどには良くなかった!」ということですね。
あのシーンが良かったのは、脚本、監督、共演者のおかげだけど、何より良かったのはやっぱり俺(の演技)だったよな! と自慢げに言っていることになります。

you have to tell me what happens tomorrow! は、have to のニュアンスを出して訳すと、「(あのシーンの続きで)明日何が起こるかをあなたは私に教えてくれなきゃだめよ」みたいな感じになるでしょうか。
あのシーンがすごく良くて、その続きが気になってしょうがないんだから、どうなるか絶対教えて! みたいな感じですね。

ジョーイは手に脚本を持っている状態で、「ちょうど、今、脚本を読み返してるところだ」と言い、「俺と一緒にセリフを読みたい?」と尋ねています。
台本の練習に付き合って、と言われたわけなので、レイチェルは、「私が? 私は女優じゃないしぃ〜」みたいに、もじもじと遠慮するような言葉を述べるのですが、ジョーイが、「じゃあいいや。モニカに頼めるし(モニカに頼むとするか)」みたいに言うので、さっきのもじもじとは打って変わった強い調子で、"Oh screw her! That part is mine!" と叫ぶことになります。
Screw her! は、少し前の記事、フレンズ9-18その3 に出てきた (So) screw you! と同様に、その人に対して怒りを表した表現となります。
今回の場合は、「彼女が何よ! 彼女なんかダメよ! 彼女なんかほっときなさいよ!」みたいになるでしょうか。
That part is mine. の part はこの場合は「(ドラマの)役」という意味ですね。
その役はモニカにはやらせないわよ、ジョーイの相手役は私のものよ! と言った感覚になります。

レイチェルが乗り気になったところで、ジョーイは「じゃあページの頭から」と言って、レイチェルに台本を読ませます。
ジョーイは自分のセリフはもう頭に入っているようで、レイチェルが読むセリフに合わせて、自分のセリフを挟んで行くことになります。

レイチェルは台本通りにセリフを読んで行きます。
「あなたとここで会うとは驚きだわ」と言うと、ドレイクは「君が彼と結婚したなんて信じられない」と返します。
what choice did I have? は、「私にどんな選択肢があったの?」ということですから、「私には、彼と結婚する以外の選択肢はなかったの」と言っていることになります。
その後、He was keeping my sister in a dungeon! というセリフを読むことになりますが、a dungeon という言葉を発した後、レイチェルは声には出さないものの「あー!」と言っている顔になり、ものすごく驚いた表情をしています。
「ストーリーがどうなるか知りたい」と言って、台本の読み合わせに付き合っているわけなので、レイチェル自身の発言を声に出しては台無しになってしまう、という思いから、「声には出さず、口の動きで伝える」という行為(これは、動詞の mouth というしぐさに当たります)で表現しているわけですね。

「ダンジョン」は、ゲームなどでよく聞く用語で、日本語としてもメジャーな言葉になっていますが、日本のゲームでは「(地下)迷宮」のような意味で使われているようですね(私はゲームに疎いので、ゲーム用語はあまり知りません)。
英語の意味は、上に訳したように、地下牢という意味で、ここで改めて、英英辞典の語義を見てみると、
LAAD (Longman Advanced American Dictionary) では、
dungeon : a dark prison that is below the surface of the earth, especially under a castle, used in the past
つまり、「地表の下(地下)にある、暗い牢獄、特に城の下にあり、過去に使われたもの」。

「彼と結婚したのは、彼が私の妹を地下牢に幽閉していたから」というのは、「私と結婚すれば妹を地下牢から出してやる」という交換条件を出されたことが想像されるのですが、「地下牢」という言葉が出てくるところに、「日常とかけ離れた、奇想天外でドロドロした設定が多いソープオペラ」っぽい部分がよく出ていると思いました。


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posted by Rach at 15:19| Comment(0) | フレンズ シーズン9 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする