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ロスはチャーリーを連れて、ベンジャミンのオフィスにやってきます。本当のことをチャーリーに話して欲しいと言うロスに、
ベンジャミン: Alright, it's true. I behaved horribly, but it's only because I still love you. And I would do anything to have you back in my life. (わかった、本当だ。僕はひどい行いをした、でもそれはただ、僕がまだ君を愛してるからだ。そして僕の人生に君を取り戻すためなら、僕は何だってするだろう。)
ロス: Too little, too late, Benji! (あまりにもちょっと、遅すぎるんじゃないかなぁ、ベンジー!)
チャーリー: I can't believe this. (こんなの信じられないわ。)
ベンジャミン: I never should've broken up with you. I think about you all the time. I mean, do you ever still think about me? (絶対に君と別れるべきじゃなかったのに。君のことをいつも思ってる。ほら、君だってまだ僕のことを思ってるだろ?)
ロス: (indignant) No! ([憤慨して] そんなことない!)
チャーリー: Yes! (そうよ!)
ロス: What? (何だって?)
チャーリー: I don't know what to say, Benji. This is all so... romantic. (何て言ったらいいかわからないわ、ベンジー。これって何もかもすっごくロマンティックだわ。)
ロス: Or...? (または〜?)
ベンジャミン: Listen, I know, I may be way out of bounds here, but is there any chance you would take me back? (ねぇ聞いて、わかってるんだ、今、言っちゃいけないことを言ってるって。でも、君が僕をもう一度受け入れてくれるチャンスはないかな?)
チャーリー: Maybe. (多分。)
ロス: Sweetie, this conversation is starting to make me a little uncomfortable. (スウィーティー、この会話は僕をちょっと不安に(居心地悪く)させ始めてるんだけど。)
チャーリー: Oh, God! I am so sorry, but-- (she puts her hand on Ross's cheek) I mean it's... there's so much history between us, you know? (なんてこと! ほんとにごめんなさい、でも… [チャーリーは自分の手をロスの頬に当てる] だって、私たちの間にはたくさんの歴史があるのよ[私たち二人の間にはいろいろなことがあったのよ]、わかるでしょ?)
ベンジャミン: (puts his hand on Ross's other cheek) I'm sorry too. ([ベンジャミンは自分の手をロスのもう一方の頬に当てる] 僕もごめんよ。)
(Charlie and Benji both let their hands slide down Ross's face, until their hands meet, and they hold hands.)
チャーリーとベンジーの二人は、手をロスの顔の下に向かって滑らせる、二人の手が合わさるまで、そして二人は手を繋ぐ。
ベンジャミン: I love you! (愛してる。)
チャーリー: I love you too! (and they start to kiss) (私も愛してるわ! [そして二人はキスし始める])
ロス: Okay, that's it. WE ARE SEEING OTHER PEOPLE! (よし、それまでだ。僕たちは別の人と付き合おう!)
behave horribly は「ひどく振る舞う、ひどい態度を取る、ひどい行動をする」。
チャーリーを目の前にして、「僕はひどい態度を取っちゃったけど、それはただ、君をまだ愛してるからなんだ」とベンジーは説明しています。
And I would do anything to have you back in my life. を直訳すると、「君を僕の人生に取り戻すために僕はどんなことだってするだろう」ということですね。
このセリフを聞いて、私は バーブラ・ストライサンド(Barbra Streisand)の Woman In Love の歌詞を思い出しました。
その歌詞は、
I am a woman in love
And I do anything
To get you into my world
というものですが、do anything to have you back in my life と do anything to get you into my world には、よく似たニュアンスが感じられますよね^^
そんなことを言うベンジャミンを見て、ロスは「ちょっと遅すぎるんじゃないかなぁ」と勝ち誇ったような顔で言い、チャーリーは茫然とした顔でただ「こんなの信じられないわ」と言っています。
ベンジャミンは「絶対に君と別れるべきじゃなかったのに」と続けます。
never should've p.p. は「絶対に〜すべきじゃなかったのに(実際には〜してしまった)」という後悔の念を表す表現ですね。
「僕はいつも君のことを思ってる。君だってまだ僕のことを思ってるだろ?」とベンジャミンが言うので、ロスは「そんなわけない!」というように、No! と強く言うのですが、チャーリーの方が「そうよ!(私もまだあなたのことを思ってるわ)」と答えるので、ロスは驚きの表情を見せています。
チャーリーが「何て言えばいいかわからない(言葉にできない)。これってすっごくロマンティックだわ」と言うのを聞いて、ロスが、Or...? と言うのが面白いですね。
「うまく言葉にできない。表現できない」と言った後に、「これってロマンティックだわ」と言ったので、「他に言うとしたらどんな言葉?」みたいに話を振って、「ロマンティックだけど、でも受け入れられない」とか、何かしらネガティブな言葉が出てくるのを期待した感じになるでしょう。
out of bounds は「アウト・オブ・バウンズ」としてスポーツ用語になっていますが、一般的に言うと「コート外に出る」というような意味ですね。
bounds は「境界、限界、範囲」なので、「範囲の外」という意味からそういうスポーツ用語になります。
今回のベンジャミンのセリフでは、「限界・限度を越える」というニュアンスで「言っちゃいけない」というニュアンスで使われています。
Macmillan Dictionary では、
out of bounds : if a subject is out of bounds, you are not allowed to talk about it, know about it etc
例) Details of his private life are strictly out of bounds.
つまり、「もしある話題が out of bounds という場合は、それについて話すこと、知ることが許されていない、など」。例文は「彼の私生活の詳細は全く(厳密に)話してはいけないことになっている」。
you would take me back するチャンスはないかな? というのは、「君が僕をもう一度受け入れるというチャンス・可能性はないかな?」と言っている感覚になるでしょう。
Maybe. というチャーリーの返事は、「多分、そんな可能性はあるわ」ということですね。
自分の彼女が元カノとよりを戻しかけていると知って、ロスは、「この会話は僕をちょっと居心地悪くし始めてるんだけど」と言っています。
「二人の会話を聞いてると、僕はどんどん不安で心配になってくる」と言っているわけですね。
チャーリーは「本当にごめんなさい」と言って、自分の手をロスの頬に当て、「ベンジーと私の間には、たくさんの history があるの」と言っています。
二人の間にはさまざまな出来事があった、と二人の関係の長さと深さを語っている感覚ですね。
その後、ベンジャミンがロスの反対側の頬に、チャーリーと同じように手を置いているのが面白いです。
チャーリーとベンジーの手はロスの手を滑り下りて、二人の手の平がロスの目の前で重なり、二人が指を組むのをロスは見せつけられることになります。
チャーリーとベンジーはお互いに「愛してる」と言ってキスをします。
それを見たロスは、「よし、それまでだ(Okay, that's it.)」と言って、we are seeing other people. と大声で言った後、二人を残して、一人で部屋を出て行きます。
we are seeing other people. の see は「付き合う」という感覚ですね。
「じゃあ僕ら(チャーリーと僕)は、それぞれ他の人と付き合うことにしよう」というところで、「君がその元カレとヨリを戻すのなら、僕は君のことを忘れて他の人と付き合うことにするよ」と捨てゼリフを残したような感じです。
実際の状況は、ロスが一方的に振られた形なわけですが、それを「よし、じゃあ、お互い別の人と付き合おうね」みたいに自分がみじめな風に見えないようなセリフを残して去っていた感覚になるでしょうね。
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2016年02月29日
2016年02月26日
発音されないMで始まる フレンズ10-6その5
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助成金の最終面接で、ベンジャミンはロスに対してだけ専門分野とは関係ない質問をして、ロスを困らせます。その後のシーン。
セントラルパークにチャーリーがいて、そこにロスが入ってきます。
ロス: Your ex-boyfriend is insane. (君の元カレは変だよ[おかしいよ]。)
チャーリー: Did you get the grant? (助成金はもらえたの?)
ロス: No, I didn't. And you wanna know why? Because your ex-boyfriend is still in love with you. (いいや、もらえなかった。そして、その理由を知りたい? その理由は、君の元カレが君のことをまだ愛してるからだ。)
チャーリー: What? (何ですって?)
ロス: Yeah. He wouldn't give me the grant, because I wouldn't give you up. (そうだよ。彼は僕に助成金を与えようとしなかったんだ、僕が君をあきらめようとしなかった、という理由でね。)
チャーリー: Benji isn't in love with me. I mean, he broke up with me. And besides, he's a very ethical man. (ベンジーは私を愛してないわ。ほら、彼が私を振ったのよ。それに加えて、彼はとっても倫理的な[道徳的に正しい]人だから。)
ロス: Really? Is it ethical to ask someone in a grant review: "Who was the voice of Underdog?" (ほんとに? 助成金の審査で、人にこんなことを尋ねるのが倫理的なの? 「アンダードッグの声優は誰だった?」って。)
チャーリー: I'm sure he was just joking, Ross. (彼はただ冗談を言ってるんだと思うわ、ロス。)
ロス: If you don't believe me, let's go talk to him, okay? I'm telling you, he didn't ask me one paleontological question. (僕の言うことを信じないなら、彼に話しに行こうよ。言っとくけど、彼は僕に古生物学の質問を一つもしなかった。)
チャーリー: Seriously? (本当に?)
ロス: Oh, I'm sorry. No, he did ask me one: "How do you spell Boscodictiasaur?" (いや、ごめん。違う、彼は確かに一つだけ僕に質問したよ。「ボスコディクティアサウルスのスペル(綴り)は?」って。)
チャーリー: Well, if it's like the Lake Mbosco in Congo, then M-B-O-- (そうねぇ、もしコンゴのボスコ湖のようだとしたら、それなら、M-B-O…)
ロス: Damn it! (くそっ!)
ロスはチャーリーを見るなり、「君の元カレは insane だ」と言っています。
insane は「おかしい、正気でない」という意味ですね。
助成金はもらえたの? とチャーリーが尋ねると、ロスは「もらえなかった。理由を知りたい? それは君の元カレが君のことをまだ愛してるからだ」と答えます。
He wouldn't give me the grant, because I wouldn't give you up. では、wouldn't が2回使われていますが、これは、「どうしても〜しようとはしなかった」というような「拒絶の意志」を表わす表現になります。
「チャーリーをあきらめようとしなかったから[チャーリーと別れろと言われて、僕がそれを頑として拒んだから]、彼は僕に助成金を与えようとしなかったんだ」と言っていることになるでしょう。
それを聞いたチャーリーは、「ベンジーは私を愛してないわ。だって、彼が私を振ったのよ」と言った後、And besides, he's a very ethical man. とも言っています。
ethic は「倫理、道徳律」で、その形容詞の ethical は「倫理的な、道徳的に正しい」という意味ですね。
LAAD (Longman Advanced American Dictionary) では、
ethical : morally good or correct
例) This type of advertisement may be legal, but is it ethical?
つまり、「道徳的に(見て)良いまたは正しい」。例文は「この手の広告は法的には合法かもしれないが、でも倫理的(と言える)かな?」。
「僕と別れなければ、助成金を与えない、とベンジャミンが言うんだ」と言うので、「彼は助成金の話と恋愛感情とをごっちゃにするような、非倫理的な人じゃない、道徳的に問題ありのそんな発言を言う人ではない」とチャーリーは言いたいわけですね。
彼はとても倫理的・道徳的な人だわ、と言うチャーリーに、「へぇ〜、じゃあ、助成金の審査でこんなことを質問するのが、倫理的だっていうの?」と言って、ベンジャミンが面接で出した質問を例に挙げています。
Who was the voice of Underdog? は「アンダードッグの声は誰だった?」ということですから、「アンダードッグの声優をしていたのは誰?」ということですね。
アンダードッグはアメリカで放映されていたアニメ。
フレンズ1-9 のタイトルは、The One Where the Underdog Gets Away (アンダードッグが逃げた話)でしたが、これは、感謝祭パレードで、アンダードッグのバルーンの紐が切れて飛んで行ったことを語る、"The most unbelievable thing has happened! Underdog has gotten away!" というセリフから来ています。
チャーリーは、ベンジャミンが変な質問をしたと聞いて、「彼はただ冗談を言ってるだけよ」と言うのですが、ロスはさらに、「君が信じないなら、彼に話しに行こうよ」と言って、「彼は古生物学の質問を一つもしなかった」と言っています。
「ほんとに?」と聞かれたロスは「あ、ごめん、それは間違いだ。確かに彼は一つだけ古生物学に関する質問をしたよ」と言って、"How do you spell Boscodictiasaur?" という質問を挙げています。
このシーンより前に出てきた実際の面接のやりとりは、以下のようになっていました。
ベンジャミン: Spell "Boscodictiasaur." (「ボスコディクティアサウルス」を綴れ[綴りを言いなさい]。)
ロス: (annoyed) um... I've never heard of a "Boscodictiasaur." ([困って] うーんと、「ボスコディクティアサウルス」は今まで聞いたことありません。)
ベンジャミン: Yeah, I just made it up. Spell it. (あぁ、僕がたった今、作った。その綴りを言いなさい。)
ロス: (stares at him angrily) Okay. (determined to spell it correctly) B-O-S-- ([彼を怒ったように見つめて] わかりました。[それを正しく綴ろうと固く心に決めて] B-O-S--)
ベンジャミン: No, it starts with a silent M. (いいや、発音されないM で始まるんだ。)
ロス: Oh, come on!! (あぁ、もう!)
古生物学に関する質問として、恐竜の名前の綴りを聞かれたのですが、ベンジャミンの発音の通りに、最初は B で始めようとしたところ、「その綴りは、サイレントM で始まる」と言われてしまったわけですね。
この場合の silent は、「(文字が)発音されない、黙音の」という意味。
LAAD の例文では、The "b" at the end of "thumb" is silent. 「thumb の最後の b はサイレントである[発音されない]」という例文が出ています。
ベンジャミン自身が言っていたように、「僕が今(即興で)作った名前」であり、架空の名前なわけですが、ロスとしては、「そんな架空の名前の綴りにサイレントM が付いてるかどうかなんてわかるかよ! そんなの、言った者勝ちじゃないか!」というところでしょう。
ロスはそんないじわるな質問をされていたわけですが、今回のシーンではそれがまたネタとして使われた上に、ロスに対してよりショックな結果となっている、というのが、このセリフの面白さだと言えるでしょう。
ロスは、ベンジャミンの質問が理不尽だと言いたげに、「ボスコディクティアサウルスの綴りは? って聞かれて、B で始めようとしたら、サイレントM がついてる、なんてナンセンスなことを言うんだよ」とボヤこうと思っていたことでしょう。
それが、その質問を聞いた、ベンジャミンの元カノのチャーリーは、ただ B から始めようとはせずに、ちょッと考えを巡らせて、Well, if it's like the Lake Mbosco in Congo, then M-B-O-- と答えることになります。
直訳すると、「そうねぇ、もしそれがコンゴのボスコ湖のようなら、それなら M-B-O…(という綴りになる)」ということですね。
さすがは元カノというか、ベンジャミンの引っかけの意図を瞬時に見抜き、似たような音の湖の名前を思い出して、サイレントM を含めた綴りを言ってみせたわけですね。
ちなみにこの「コンゴのボスコ湖」ですが、実際にはそういう名前の湖は存在しないようです。
つまり、脚本の流れとして、「似たような音の湖が存在するから、その恐竜の名前もそれと同じ綴りで、サイレントM がある」という風に話を持って行くための、架空の湖の名前だということですね(実在していたら、より面白かったのでしょうが、、、)
最初、面接でその質問をされた時のロスは、「サイレントM がついてるなんて、そんなのわかるわけない」という気持ちだったはずですが、チャーリーにはそれがわかってしまった、というところが、ロス的には何ともシャクだったことでしょう。
今は自分の彼女であるチャーリーが、元カレのベンジャミンと発想が同じであり、それも「コンゴのボスコ湖の綴りはサイレントM で始まる」というような(架空の設定とはいえ)学問的知識を必要とする発想なだけに、「わかる人にはわかる」という空気の中、自分だけが取り残されたような感じがして、Damn it! と言うしかなくなるということですね。
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ロス: Your ex-boyfriend is insane. (君の元カレは変だよ[おかしいよ]。)
チャーリー: Did you get the grant? (助成金はもらえたの?)
ロス: No, I didn't. And you wanna know why? Because your ex-boyfriend is still in love with you. (いいや、もらえなかった。そして、その理由を知りたい? その理由は、君の元カレが君のことをまだ愛してるからだ。)
チャーリー: What? (何ですって?)
ロス: Yeah. He wouldn't give me the grant, because I wouldn't give you up. (そうだよ。彼は僕に助成金を与えようとしなかったんだ、僕が君をあきらめようとしなかった、という理由でね。)
チャーリー: Benji isn't in love with me. I mean, he broke up with me. And besides, he's a very ethical man. (ベンジーは私を愛してないわ。ほら、彼が私を振ったのよ。それに加えて、彼はとっても倫理的な[道徳的に正しい]人だから。)
ロス: Really? Is it ethical to ask someone in a grant review: "Who was the voice of Underdog?" (ほんとに? 助成金の審査で、人にこんなことを尋ねるのが倫理的なの? 「アンダードッグの声優は誰だった?」って。)
チャーリー: I'm sure he was just joking, Ross. (彼はただ冗談を言ってるんだと思うわ、ロス。)
ロス: If you don't believe me, let's go talk to him, okay? I'm telling you, he didn't ask me one paleontological question. (僕の言うことを信じないなら、彼に話しに行こうよ。言っとくけど、彼は僕に古生物学の質問を一つもしなかった。)
チャーリー: Seriously? (本当に?)
ロス: Oh, I'm sorry. No, he did ask me one: "How do you spell Boscodictiasaur?" (いや、ごめん。違う、彼は確かに一つだけ僕に質問したよ。「ボスコディクティアサウルスのスペル(綴り)は?」って。)
チャーリー: Well, if it's like the Lake Mbosco in Congo, then M-B-O-- (そうねぇ、もしコンゴのボスコ湖のようだとしたら、それなら、M-B-O…)
ロス: Damn it! (くそっ!)
ロスはチャーリーを見るなり、「君の元カレは insane だ」と言っています。
insane は「おかしい、正気でない」という意味ですね。
助成金はもらえたの? とチャーリーが尋ねると、ロスは「もらえなかった。理由を知りたい? それは君の元カレが君のことをまだ愛してるからだ」と答えます。
He wouldn't give me the grant, because I wouldn't give you up. では、wouldn't が2回使われていますが、これは、「どうしても〜しようとはしなかった」というような「拒絶の意志」を表わす表現になります。
「チャーリーをあきらめようとしなかったから[チャーリーと別れろと言われて、僕がそれを頑として拒んだから]、彼は僕に助成金を与えようとしなかったんだ」と言っていることになるでしょう。
それを聞いたチャーリーは、「ベンジーは私を愛してないわ。だって、彼が私を振ったのよ」と言った後、And besides, he's a very ethical man. とも言っています。
ethic は「倫理、道徳律」で、その形容詞の ethical は「倫理的な、道徳的に正しい」という意味ですね。
LAAD (Longman Advanced American Dictionary) では、
ethical : morally good or correct
例) This type of advertisement may be legal, but is it ethical?
つまり、「道徳的に(見て)良いまたは正しい」。例文は「この手の広告は法的には合法かもしれないが、でも倫理的(と言える)かな?」。
「僕と別れなければ、助成金を与えない、とベンジャミンが言うんだ」と言うので、「彼は助成金の話と恋愛感情とをごっちゃにするような、非倫理的な人じゃない、道徳的に問題ありのそんな発言を言う人ではない」とチャーリーは言いたいわけですね。
彼はとても倫理的・道徳的な人だわ、と言うチャーリーに、「へぇ〜、じゃあ、助成金の審査でこんなことを質問するのが、倫理的だっていうの?」と言って、ベンジャミンが面接で出した質問を例に挙げています。
Who was the voice of Underdog? は「アンダードッグの声は誰だった?」ということですから、「アンダードッグの声優をしていたのは誰?」ということですね。
アンダードッグはアメリカで放映されていたアニメ。
フレンズ1-9 のタイトルは、The One Where the Underdog Gets Away (アンダードッグが逃げた話)でしたが、これは、感謝祭パレードで、アンダードッグのバルーンの紐が切れて飛んで行ったことを語る、"The most unbelievable thing has happened! Underdog has gotten away!" というセリフから来ています。
チャーリーは、ベンジャミンが変な質問をしたと聞いて、「彼はただ冗談を言ってるだけよ」と言うのですが、ロスはさらに、「君が信じないなら、彼に話しに行こうよ」と言って、「彼は古生物学の質問を一つもしなかった」と言っています。
「ほんとに?」と聞かれたロスは「あ、ごめん、それは間違いだ。確かに彼は一つだけ古生物学に関する質問をしたよ」と言って、"How do you spell Boscodictiasaur?" という質問を挙げています。
このシーンより前に出てきた実際の面接のやりとりは、以下のようになっていました。
ベンジャミン: Spell "Boscodictiasaur." (「ボスコディクティアサウルス」を綴れ[綴りを言いなさい]。)
ロス: (annoyed) um... I've never heard of a "Boscodictiasaur." ([困って] うーんと、「ボスコディクティアサウルス」は今まで聞いたことありません。)
ベンジャミン: Yeah, I just made it up. Spell it. (あぁ、僕がたった今、作った。その綴りを言いなさい。)
ロス: (stares at him angrily) Okay. (determined to spell it correctly) B-O-S-- ([彼を怒ったように見つめて] わかりました。[それを正しく綴ろうと固く心に決めて] B-O-S--)
ベンジャミン: No, it starts with a silent M. (いいや、発音されないM で始まるんだ。)
ロス: Oh, come on!! (あぁ、もう!)
古生物学に関する質問として、恐竜の名前の綴りを聞かれたのですが、ベンジャミンの発音の通りに、最初は B で始めようとしたところ、「その綴りは、サイレントM で始まる」と言われてしまったわけですね。
この場合の silent は、「(文字が)発音されない、黙音の」という意味。
LAAD の例文では、The "b" at the end of "thumb" is silent. 「thumb の最後の b はサイレントである[発音されない]」という例文が出ています。
ベンジャミン自身が言っていたように、「僕が今(即興で)作った名前」であり、架空の名前なわけですが、ロスとしては、「そんな架空の名前の綴りにサイレントM が付いてるかどうかなんてわかるかよ! そんなの、言った者勝ちじゃないか!」というところでしょう。
ロスはそんないじわるな質問をされていたわけですが、今回のシーンではそれがまたネタとして使われた上に、ロスに対してよりショックな結果となっている、というのが、このセリフの面白さだと言えるでしょう。
ロスは、ベンジャミンの質問が理不尽だと言いたげに、「ボスコディクティアサウルスの綴りは? って聞かれて、B で始めようとしたら、サイレントM がついてる、なんてナンセンスなことを言うんだよ」とボヤこうと思っていたことでしょう。
それが、その質問を聞いた、ベンジャミンの元カノのチャーリーは、ただ B から始めようとはせずに、ちょッと考えを巡らせて、Well, if it's like the Lake Mbosco in Congo, then M-B-O-- と答えることになります。
直訳すると、「そうねぇ、もしそれがコンゴのボスコ湖のようなら、それなら M-B-O…(という綴りになる)」ということですね。
さすがは元カノというか、ベンジャミンの引っかけの意図を瞬時に見抜き、似たような音の湖の名前を思い出して、サイレントM を含めた綴りを言ってみせたわけですね。
ちなみにこの「コンゴのボスコ湖」ですが、実際にはそういう名前の湖は存在しないようです。
つまり、脚本の流れとして、「似たような音の湖が存在するから、その恐竜の名前もそれと同じ綴りで、サイレントM がある」という風に話を持って行くための、架空の湖の名前だということですね(実在していたら、より面白かったのでしょうが、、、)
最初、面接でその質問をされた時のロスは、「サイレントM がついてるなんて、そんなのわかるわけない」という気持ちだったはずですが、チャーリーにはそれがわかってしまった、というところが、ロス的には何ともシャクだったことでしょう。
今は自分の彼女であるチャーリーが、元カレのベンジャミンと発想が同じであり、それも「コンゴのボスコ湖の綴りはサイレントM で始まる」というような(架空の設定とはいえ)学問的知識を必要とする発想なだけに、「わかる人にはわかる」という空気の中、自分だけが取り残されたような感じがして、Damn it! と言うしかなくなるということですね。
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2016年02月24日
俺が見てない、ってどうして断言できるの? フレンズ10-6その4
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広告業界で働いているチャンドラーは、CMの仕事をゲットしたと喜んでいます。
それを聞いた俳優のジョーイは、そのCMにキャスティングしてもらうため、自分が過去に出演したCMのビデオテープをチャンドラーに渡し、「チャンドラーが気に入ったら上司に見せてくれ」と頼みます。
ですがチャンドラーは、「ジョーイには向いてない役柄なのに、ビデオを見せたら上司にバカだと思われる」と考え、ビデオを見ないまま「俺がビデオを見た後で、上司に渡したけど、上司が気に入らなかった」と返事します。
それを聞いたジョーイは、「お前、ビデオ見てないだろ!」と怒り出し、「見てないくせに、見たって言うなんて、お前は嘘つきだ!」とチャンドラーに対して怒りをあらわにします。
[Scene: Joey and Rachel's apartment. Chandler and Rachel are talking.]
ジョーイとレイチェルのアパートメント。チャンドラーとレイチェルが話している。
チャンドラー: I can't believe Joey. I hate being called a liar. (ジョーイのことが信じられないよ。嘘つき呼ばわりされるのは嫌だ。)
レイチェル: But you are a liar. (でも、あなたは嘘つきでしょ[あなたは嘘をついたんでしょ]。)
チャンドラー: What did I just say? (俺、今、何て言ったっけ?[嘘つきって言われるのは嫌だ、って言ったばかりなんだけど(聞いてなかったの?)])
(Joey comes out of his room)
ジョーイが自分の部屋から出てくる。
ジョーイ: You still here? (お前、まだここにいるのか。)
チャンドラー: Yes, and I have to say, I'm not just hurt, I'm insulted. When I tell somebody I did something-- (あぁ、そして言わせてくれ、俺はただ傷ついてるだけじゃない、侮辱されてるんだ。俺が何かしたって人に言う時には…)
ジョーイ: Ok whoah-hey... Let me just stop you right there, okay? First, you lied. Right? Then you lied about lying, okay? Then you lied about lying about lying, okay? So before you lie about lying about lying about lying about... lying abou-- (loses count and begins to count the number of 'lyings' in the air but gives up.)(yelling) Stop lying! (あぁ、おい… そこでやめてもらおうか。まず最初に、お前は嘘をついた、だろ?それからお前は嘘をついたことについて嘘をついた、だろ? それから嘘をついたことについて嘘をついたことについて嘘をついた、だろ? それでお前が嘘をついたことについて嘘をついたことについて嘘をつく前に… [数がわからなくなって、lying ということばの数を宙で数えるがあきらめる][叫びながら] 嘘をつくのはやめろ!)
チャンドラー: Why are you so sure I didn't watch this tape? (俺がこのビデオテープを見てない、ってことを、どうしてそんなに確信してるんだ?)
ジョーイ: (very angry) You wanna know wh...? You wanna know why? (goes back into his room) ([非常に怒って] どうしてか知りたい? どうしてか知りたいか? [自分の部屋に戻る])
レイチェル: Well, this is going well. (Chandler looks worried) (あぁ、これっていい感じに進んでるわね。[チャンドラーは困惑した顔をする])
ジョーイ: (comes out holding the tape) Here's how I know you didn't watch the tape, okay? (puts it into the vcr) If you had seen what was on this tape, believe me, you would have some comments. Alright, now remember, I got paid a lot of money for this and it only aired in Japan. (presses play and he appears on the TV screen and a TV commercial begins) ([そのビデオテープを手に持ちながら出てくる] お前がそのテープを見てないってことをどのようにして俺が知ったか、というのがこれさ。[ビデオデッキにそのテープを入れる] このテープに録画されているものをもしお前が見ていたとしたら、絶対に、何かしらのコメントがあるだろう。よし、覚えとけ、これに対しては高額のギャラをもらったんだ、そしてそれは日本だけで放映されたんだぞ。[再生ボタンを押すと、ジョーイがテレビスクリーンに映り、あるテレビCMが始まる])
ジョーイに何度も嘘つき呼ばわりされたことで、チャンドラーは、I hate being called a liar. と言っています。
直訳すると、「嘘つきと呼ばれることは嫌い」ということですから、まさに日本語の「嘘つき呼ばわりされるのは嫌だ」ということですね。
ですが、実際にチャンドラーは、ジョーイが出演したCMビデオテープを見ずに「見た」と嘘をついたので、嘘をついたことは事実なわけですから、レイチェルは「嘘つき呼ばわりされるのが嫌、って言うけど、あなたは実際、嘘をついたわけなんだし(しょうがないんじゃないの)」みたいに、But you are a liar. と言っています。
be 動詞の are を強調することで、「でもあなたは(実際に・本当に)嘘つきでしょ」と言っているわけですね。
それに対するチャンドラーの返事、What did I just say? を直訳すると、「俺、今、何て言った?」になりますが、これは「ついさっきの俺の発言、君は聞いてなかったの? 俺さっき〜って言ったんだけど」のようなニュアンス。
ちなみに、1つ前のエピソード、欠けたところがなく完璧になった フレンズ10-5その1 にも、What did I just say? というセリフが出てきたのですが、それと同じニュアンスということになります。
つまり、「でもやっぱりあなたは実際に嘘つきなんだし」と言ったレイチェルに対して、「俺は今、”嘘つき呼ばわりされるのは嫌だ”って言ったばっかりなのに、その直後に俺のことを嘘つきって言うわけ? そう言われるのが嫌だ、って俺が言ったの、聞いてなかったの?」と返したことになるわけですね。
実際に嘘をついたチャンドラーが嘘つき呼ばわりされるのはある意味しょうがないことなのに、チャンドラーは「実際に俺が嘘をついたかどうかに関係なく、とにかく嘘つき呼ばわりされるのが嫌なんだ」みたいに開き直った発言をしていることになるでしょう。
自分の部屋から出てきたジョーイは、チャンドラーの顔を見るのも嫌だと言いたげに、「お前、まだここにいるのか」と言っています。
チャンドラーは、「俺に一言言わせてくれ、俺はただ傷ついてるだけじゃなくて、侮辱されてるんだ」と言います。
When I tell somebody I did something-- を直訳すると、「俺が何かをした、と誰かに言う時には」というところですね。
「俺がこうした、と言えば、実際にそうしたんだ。俺は実際にそうしたから、そうしたと言ってるんだ」のように、「実際にしたことをしたと言っているんであって、決して嘘なんかついてない」と主張するニュアンスになるでしょう。
チャンドラーがそう主張しても、ジョーイはチャンドラーが嘘をついているという主張を曲げず、Let me just stop you right there, okay? と言っています。
直訳すると、「ただそこで(その時点で)、俺にお前を止めさせろ」になるでしょう。
お前のぐだぐだした言い訳はもうそこでやめてくれ、俺にストップさせろ、ということですね。
そして、チャンドラーの言い分を聞く代わりに、今度はジョーイが、チャンドラーのしたことを、First... Then... 「まず最初に… それから次に」と挙げて行くことになります。
First, you lied. Then you lied about lying. は「まず最初に、お前は嘘をついた。次にお前は嘘をついたことについて嘘をついた」ということですね。
ジョーイ的には、嘘をついたことも許せないけど、嘘をついたくせに「嘘なんかついてない」のように、「嘘をついたことについて(また)嘘をついた」ことも許せないと言っていることになります。
その後の展開は予想された通り(笑)、「嘘をついたことについて嘘をついたことについて嘘をついた、、、」と、どんどん about lying が付け足されて、文が長くなっていくことになります。
about lying を延々繋げて延ばしたジョーイは、そのうち、自分が言っていること、そして何回 about lying と言ったかがわからなくなって、自分の言った言葉の中の lying を宙で数えるようなしぐさをしています。
そして最後には、「とにかく、嘘をつくな、っての!」みたいに、いらいらした様子で、Stop lying! と叫ぶことになるのですね。
このように、同じ言葉を延々繰り返して「いつまでやってんねん」とツッコミを入れたくなるようなジョークは日本にもありますね。
例えば、漫画「パタリロ!」では、「お前は誰だ?」と聞かれた後、「誰だ?と言うお前こそ誰だ?」「誰だ?と言うお前こそ誰だ?と言うお前こそ誰だ?」というのを延々やっているネタがあったように記憶しています。
ばかばかしいながら、そのしつこさが面白いというところですね^^
チャンドラーが嘘をついた、ということを非難し続けるジョーイに、チャンドラーは、"Why are you so sure I didn't watch this tape?" と言っています。
「俺がこのビデオテープを見なかった、ということに、なぜお前はそんなに確信を持ってるんだ?」というところですね。
「どうしてそこまで自信満々に、俺がテープを見てないってことを断言するんだ?」というニュアンスになるでしょう。
そう言われたジョーイは怒りながら、「どうしてか知りたいか?」と言って、自分の部屋に戻って行きます。
その後、ジョーイは部屋からビデオテープを持って出てきて、Here's how I know you didn't watch the tape, okay? と言って、ビデオデッキ(VCR=video cassette recorder)にテープを入れます。
Here's how... は、「お前がそのテープを見なかったことを俺がどのようにして知っているかがこれだ[ここにある]」というところですね。
「これを見たら、どうしてお前が見てないことを俺が知っているかがわかる」と言っていることになるでしょう。
その次の、If you had seen what was on this tape, believe me, you would have some comments. について。
これは、If you had p.p., you would... という組み合わせで、「もしお前が(過去のあの時)〜していたなら、(今)…するだろう」のような、時制のずれがある文章になります。
「お前は見たと言うけど、もし本当にそれ[このビデオに入っているもの]を見ていたのなら、何かコメントがあるはずだ」ということですね。
その後、ビデオが始まる前に、「覚えとけ」と言って、そのビデオの内容について、先に少し説明しています。
I got paid a lot of money for this and it only aired in Japan. を直訳すると、「この(CM)のために俺は多くの金を支払われた。そしてそれは日本でのみ放映された」となり、「このCMのギャラは高額で、放映されたのは日本でだけなんだ」と言っていることになります。
日本のCMで外国人俳優を起用する場合、かなりの高額なギャラを支払っているという話はよく聞くように思いますが、このジョーイ(笑)にまで、そんなに高い出演料を払ったことになっているかと思うと、笑えてしまいますね(アメリカでのジョーイの俳優としての人気や格のリサーチなしに依頼したのか、みたいなw)。
その「日本でのみ放映されたCM」というのは、DVDなどでご覧になっていただければ一目瞭然ですが、音楽が中国風で、意味不明の漢字が表示される、というような「日本と中国のイメージがごっちゃになっている」タイプの映像となっています。
男性用口紅のCMで、青い口紅をつけたジョーイが、Ichiban, lipstick for men. と言っており、CM中も「イチバン」「サイコー」みたいな日本語を使うことで、日本感を出しているようですね。
そんな「トンデモCM」には、つっこみどころ満載なのですが、「チャンドラーが見たら何かコメントするに決まってる」という題材に、日本がらみのネタが使われたことは、ちょっと面白かったです(^^)
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広告業界で働いているチャンドラーは、CMの仕事をゲットしたと喜んでいます。
それを聞いた俳優のジョーイは、そのCMにキャスティングしてもらうため、自分が過去に出演したCMのビデオテープをチャンドラーに渡し、「チャンドラーが気に入ったら上司に見せてくれ」と頼みます。
ですがチャンドラーは、「ジョーイには向いてない役柄なのに、ビデオを見せたら上司にバカだと思われる」と考え、ビデオを見ないまま「俺がビデオを見た後で、上司に渡したけど、上司が気に入らなかった」と返事します。
それを聞いたジョーイは、「お前、ビデオ見てないだろ!」と怒り出し、「見てないくせに、見たって言うなんて、お前は嘘つきだ!」とチャンドラーに対して怒りをあらわにします。
[Scene: Joey and Rachel's apartment. Chandler and Rachel are talking.]
ジョーイとレイチェルのアパートメント。チャンドラーとレイチェルが話している。
チャンドラー: I can't believe Joey. I hate being called a liar. (ジョーイのことが信じられないよ。嘘つき呼ばわりされるのは嫌だ。)
レイチェル: But you are a liar. (でも、あなたは嘘つきでしょ[あなたは嘘をついたんでしょ]。)
チャンドラー: What did I just say? (俺、今、何て言ったっけ?[嘘つきって言われるのは嫌だ、って言ったばかりなんだけど(聞いてなかったの?)])
(Joey comes out of his room)
ジョーイが自分の部屋から出てくる。
ジョーイ: You still here? (お前、まだここにいるのか。)
チャンドラー: Yes, and I have to say, I'm not just hurt, I'm insulted. When I tell somebody I did something-- (あぁ、そして言わせてくれ、俺はただ傷ついてるだけじゃない、侮辱されてるんだ。俺が何かしたって人に言う時には…)
ジョーイ: Ok whoah-hey... Let me just stop you right there, okay? First, you lied. Right? Then you lied about lying, okay? Then you lied about lying about lying, okay? So before you lie about lying about lying about lying about... lying abou-- (loses count and begins to count the number of 'lyings' in the air but gives up.)(yelling) Stop lying! (あぁ、おい… そこでやめてもらおうか。まず最初に、お前は嘘をついた、だろ?それからお前は嘘をついたことについて嘘をついた、だろ? それから嘘をついたことについて嘘をついたことについて嘘をついた、だろ? それでお前が嘘をついたことについて嘘をついたことについて嘘をつく前に… [数がわからなくなって、lying ということばの数を宙で数えるがあきらめる][叫びながら] 嘘をつくのはやめろ!)
チャンドラー: Why are you so sure I didn't watch this tape? (俺がこのビデオテープを見てない、ってことを、どうしてそんなに確信してるんだ?)
ジョーイ: (very angry) You wanna know wh...? You wanna know why? (goes back into his room) ([非常に怒って] どうしてか知りたい? どうしてか知りたいか? [自分の部屋に戻る])
レイチェル: Well, this is going well. (Chandler looks worried) (あぁ、これっていい感じに進んでるわね。[チャンドラーは困惑した顔をする])
ジョーイ: (comes out holding the tape) Here's how I know you didn't watch the tape, okay? (puts it into the vcr) If you had seen what was on this tape, believe me, you would have some comments. Alright, now remember, I got paid a lot of money for this and it only aired in Japan. (presses play and he appears on the TV screen and a TV commercial begins) ([そのビデオテープを手に持ちながら出てくる] お前がそのテープを見てないってことをどのようにして俺が知ったか、というのがこれさ。[ビデオデッキにそのテープを入れる] このテープに録画されているものをもしお前が見ていたとしたら、絶対に、何かしらのコメントがあるだろう。よし、覚えとけ、これに対しては高額のギャラをもらったんだ、そしてそれは日本だけで放映されたんだぞ。[再生ボタンを押すと、ジョーイがテレビスクリーンに映り、あるテレビCMが始まる])
ジョーイに何度も嘘つき呼ばわりされたことで、チャンドラーは、I hate being called a liar. と言っています。
直訳すると、「嘘つきと呼ばれることは嫌い」ということですから、まさに日本語の「嘘つき呼ばわりされるのは嫌だ」ということですね。
ですが、実際にチャンドラーは、ジョーイが出演したCMビデオテープを見ずに「見た」と嘘をついたので、嘘をついたことは事実なわけですから、レイチェルは「嘘つき呼ばわりされるのが嫌、って言うけど、あなたは実際、嘘をついたわけなんだし(しょうがないんじゃないの)」みたいに、But you are a liar. と言っています。
be 動詞の are を強調することで、「でもあなたは(実際に・本当に)嘘つきでしょ」と言っているわけですね。
それに対するチャンドラーの返事、What did I just say? を直訳すると、「俺、今、何て言った?」になりますが、これは「ついさっきの俺の発言、君は聞いてなかったの? 俺さっき〜って言ったんだけど」のようなニュアンス。
ちなみに、1つ前のエピソード、欠けたところがなく完璧になった フレンズ10-5その1 にも、What did I just say? というセリフが出てきたのですが、それと同じニュアンスということになります。
つまり、「でもやっぱりあなたは実際に嘘つきなんだし」と言ったレイチェルに対して、「俺は今、”嘘つき呼ばわりされるのは嫌だ”って言ったばっかりなのに、その直後に俺のことを嘘つきって言うわけ? そう言われるのが嫌だ、って俺が言ったの、聞いてなかったの?」と返したことになるわけですね。
実際に嘘をついたチャンドラーが嘘つき呼ばわりされるのはある意味しょうがないことなのに、チャンドラーは「実際に俺が嘘をついたかどうかに関係なく、とにかく嘘つき呼ばわりされるのが嫌なんだ」みたいに開き直った発言をしていることになるでしょう。
自分の部屋から出てきたジョーイは、チャンドラーの顔を見るのも嫌だと言いたげに、「お前、まだここにいるのか」と言っています。
チャンドラーは、「俺に一言言わせてくれ、俺はただ傷ついてるだけじゃなくて、侮辱されてるんだ」と言います。
When I tell somebody I did something-- を直訳すると、「俺が何かをした、と誰かに言う時には」というところですね。
「俺がこうした、と言えば、実際にそうしたんだ。俺は実際にそうしたから、そうしたと言ってるんだ」のように、「実際にしたことをしたと言っているんであって、決して嘘なんかついてない」と主張するニュアンスになるでしょう。
チャンドラーがそう主張しても、ジョーイはチャンドラーが嘘をついているという主張を曲げず、Let me just stop you right there, okay? と言っています。
直訳すると、「ただそこで(その時点で)、俺にお前を止めさせろ」になるでしょう。
お前のぐだぐだした言い訳はもうそこでやめてくれ、俺にストップさせろ、ということですね。
そして、チャンドラーの言い分を聞く代わりに、今度はジョーイが、チャンドラーのしたことを、First... Then... 「まず最初に… それから次に」と挙げて行くことになります。
First, you lied. Then you lied about lying. は「まず最初に、お前は嘘をついた。次にお前は嘘をついたことについて嘘をついた」ということですね。
ジョーイ的には、嘘をついたことも許せないけど、嘘をついたくせに「嘘なんかついてない」のように、「嘘をついたことについて(また)嘘をついた」ことも許せないと言っていることになります。
その後の展開は予想された通り(笑)、「嘘をついたことについて嘘をついたことについて嘘をついた、、、」と、どんどん about lying が付け足されて、文が長くなっていくことになります。
about lying を延々繋げて延ばしたジョーイは、そのうち、自分が言っていること、そして何回 about lying と言ったかがわからなくなって、自分の言った言葉の中の lying を宙で数えるようなしぐさをしています。
そして最後には、「とにかく、嘘をつくな、っての!」みたいに、いらいらした様子で、Stop lying! と叫ぶことになるのですね。
このように、同じ言葉を延々繰り返して「いつまでやってんねん」とツッコミを入れたくなるようなジョークは日本にもありますね。
例えば、漫画「パタリロ!」では、「お前は誰だ?」と聞かれた後、「誰だ?と言うお前こそ誰だ?」「誰だ?と言うお前こそ誰だ?と言うお前こそ誰だ?」というのを延々やっているネタがあったように記憶しています。
ばかばかしいながら、そのしつこさが面白いというところですね^^
チャンドラーが嘘をついた、ということを非難し続けるジョーイに、チャンドラーは、"Why are you so sure I didn't watch this tape?" と言っています。
「俺がこのビデオテープを見なかった、ということに、なぜお前はそんなに確信を持ってるんだ?」というところですね。
「どうしてそこまで自信満々に、俺がテープを見てないってことを断言するんだ?」というニュアンスになるでしょう。
そう言われたジョーイは怒りながら、「どうしてか知りたいか?」と言って、自分の部屋に戻って行きます。
その後、ジョーイは部屋からビデオテープを持って出てきて、Here's how I know you didn't watch the tape, okay? と言って、ビデオデッキ(VCR=video cassette recorder)にテープを入れます。
Here's how... は、「お前がそのテープを見なかったことを俺がどのようにして知っているかがこれだ[ここにある]」というところですね。
「これを見たら、どうしてお前が見てないことを俺が知っているかがわかる」と言っていることになるでしょう。
その次の、If you had seen what was on this tape, believe me, you would have some comments. について。
これは、If you had p.p., you would... という組み合わせで、「もしお前が(過去のあの時)〜していたなら、(今)…するだろう」のような、時制のずれがある文章になります。
「お前は見たと言うけど、もし本当にそれ[このビデオに入っているもの]を見ていたのなら、何かコメントがあるはずだ」ということですね。
その後、ビデオが始まる前に、「覚えとけ」と言って、そのビデオの内容について、先に少し説明しています。
I got paid a lot of money for this and it only aired in Japan. を直訳すると、「この(CM)のために俺は多くの金を支払われた。そしてそれは日本でのみ放映された」となり、「このCMのギャラは高額で、放映されたのは日本でだけなんだ」と言っていることになります。
日本のCMで外国人俳優を起用する場合、かなりの高額なギャラを支払っているという話はよく聞くように思いますが、このジョーイ(笑)にまで、そんなに高い出演料を払ったことになっているかと思うと、笑えてしまいますね(アメリカでのジョーイの俳優としての人気や格のリサーチなしに依頼したのか、みたいなw)。
その「日本でのみ放映されたCM」というのは、DVDなどでご覧になっていただければ一目瞭然ですが、音楽が中国風で、意味不明の漢字が表示される、というような「日本と中国のイメージがごっちゃになっている」タイプの映像となっています。
男性用口紅のCMで、青い口紅をつけたジョーイが、Ichiban, lipstick for men. と言っており、CM中も「イチバン」「サイコー」みたいな日本語を使うことで、日本感を出しているようですね。
そんな「トンデモCM」には、つっこみどころ満載なのですが、「チャンドラーが見たら何かコメントするに決まってる」という題材に、日本がらみのネタが使われたことは、ちょっと面白かったです(^^)
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2016年02月22日
そう言わないことはなかった フレンズ10-6その3
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ロスがもらえるかもしれない研究助成金の運営者がベンジャミンだとわかったので、ロスの今カノであり、ベンジャミンの元カノであるチャーリーが、二人の仲を取り持とうと3人で会食しているところ。
チャーリー: Ross, why don't you tell Benji about your proposal while I go to the ladies' room? (ロス、私がお手洗いに行ってる間に、あなたの提案をベンジーに話したらどうかしら?)
ベンジャミン: So tell me about it. (それじゃあ、その件について話してくれ。)
ロス: Okay, well, I would like to do a dig in the Painted Desert. (わかりました。あのー、ペインテッド砂漠で発掘したいと思っています。)
ベンジャミン: M-m. (んーん。)
ロス: See, there are still several areas that haven't been fully excavated. (完全には発掘されていない箇所が、まだいくつかありますから。)
ベンジャミン: Break up with Charlie. (チャーリーと別れろ。)
ロス: What? (何?)
ベンジャミン: What? (何?)
ロス: Did you just say "Break up with Charlie"? (今、「チャーリーと別れろ」って言いました?)
ベンジャミン: Well, yes and no. Yes, I did say it. And no, I didn't not say it. (あぁ、イエスでありノーだ。イエス、私はそう言った。そして、ノー、私はそう言わないことはなかった。)
ロス: Kind of inappropriate, don't you think? (ちょっと不適切だとは思いませんか?)
ベンジャミン: Listen, I'm sorry. I just haven't seen her for so long! All these feelings are rushing back! I'm starting to realize how much I've missed her. And I'm gonna need you to break up with her. (あぁ、すまない。彼女とは久しぶりだったから! こういう気持ちが一気に戻ってきてるんだ! 僕が彼女をどれほど恋しいと思っていたかが、今わかり始めてるんだ。だから、僕は君に彼女と別れてもらうことが必要になるんだよ。)
ロス: Are you serious? (本気ですか?)
ベンジャミン: If you say yes then I'm serious, if you say no then I'm joking! (もし君がイエスと言うなら僕は本気だよ。もし君がノーと言うなら冗談だ。)
ロス: No! (ノーですよ!)
ベンジャミン: Joking it is! (冗談だよ。)
チャーリーは、「私がお手洗いに行く間に、あなたの提案についてベンジー(ベンジャミン)に話してみたらどう?」と提案して、席を立ちます。
ベンジャミンは、、自ら「じゃあ、それについて僕に話してくれ」とロスの話を聞こうとする意志を見せ、ロスは、早速、「ペインテッド砂漠で発掘したいと思っています」と語り始め、「完全には発掘されていない箇所が、まだいくつかありますので」と続けます。
excavate は「(穴などを)掘る」「掘り出す、発掘する」という意味。
その前に出てきた dig 「掘る」という単語を、専門的に言い換えた感覚ですね。
そんな風に、自分の研究の話を真剣に語っていると、ベンジャミンは、Break up with Charlie. 「チャーリーと別れろ」というセリフをさらっと言います。
思いがけないことを言われたので、ロスが What? と聞き返し、それに対して言った当人のベンジャミンが What? と瞬時に返すのが面白いですね。
自分で言っておきながら、「僕、何か言ったっけ?」みたいに、すっとぼけているような感じです。
ロスがはっきりと、「あなたは今、”チャーリーと別れろ”って言いましたよね?」と尋ねると、ベンジャミンは、yes and no. 「イエスでありノーだ」と答えますが、その後の、イエス&ノーの説明が面白いです。
Yes, I did say it. And no, I didn't not say it. を直訳すると、「イエス(そうだ)、僕はそう言った。そして、ノー(違う)、僕はそれを言わないことはなかった」になりますね。
no, I didn't say it. なら、通常の否定文で、「いや、私はそんなことは言わなかった」になるわけですが、そこを、And no, I didn't NOT say it. のように、not を強く発音することで、「私はそんなことを”言わない”ことはなかった」→「実際に言った」のように、ノーと言いながらもやはり自分はそう言ったということを認めた発言になるわけですね。
イエスであり、ノーである、のように最初に言ったことで、「イエス、僕はそう言った。ノー、僕はそう言わなかった」のような答えが続くのかと一瞬想像されますが、それだと、両立しえない反対のことを言ったという矛盾発言になってしまいます。
No の後は流れとして否定文が続くことになりますが、実際にはそう言ったのに「言わなかった」と嘘をつくわけにもいかないので、「言わないことはなかった」と二重否定で表現することで、「確かに僕はそう言った」ということを認めたということですね。
自分の発言に矛盾がないようにした、頭の回転の速い人の言葉遊びみたいなものだと言えるでしょう。
そうやってはっきりと、「確かに僕は今、”チャーリーと別れろ”と君に言った」ことをベンジャミンが認めたので、チャーリーの今カレであるロスは、「ちょっと不適切だと思いませんか?」と言っています。
そう言われたベンジャミンは、素直に自分の不適切発言を認めるように、まずは謝罪し、そんなことをつい口走ってしまった理由を述べています。
I just haven't seen her for so long! は、「僕はただ、彼女を非常に長い間、見ていなかった」→「ものすごく久しぶりに彼女に会った(再会した)」
All these feelings are rushing back! は、「この全ての感情が急激に戻ってきている」→「彼女に対するこういう(恋愛)感情が僕の心に急によみがえってきた」
I'm starting to realize how much I've missed her. 「どんなに彼女を恋しいと思っていたかに、僕は今気づき始めている」
ということですね。
現在完了形と現在進行形の使い分けに、ネイティブ英語っぽい感覚がよく出ているように思います。
現在完了形は、「彼女と別れてから今までの期間」のことを言っていて、「今再会するまでのこれまでの間、長く彼女とは会っていなかった」「その間、どれほど彼女のことを愛しいと思っていたか、彼女がいなくてどれくらい寂しかったか」を語っていることになりますね。
そして現在進行形の方は、まさに今、ベンジャミンの心の中で起こっている進行中のことを語っている感覚となり、「こういう感情が、今急速によみがえってきている」「彼女のことをどんなに愛しいと思っていたかについて気づき始めている」と、刻々と変化する、時間の経過とともに強くなっていっている気持ちを表現していることになるでしょう。
「久しぶりに再会して、彼女に対する気持ちがよみがえってきて、ついあんなことを口走ってしまったんだ」のように反省の弁を述べているようなベンジャミンですが、その後、And I'm gonna need you to break up with her. と付け加えているのが面白いですね。
つまり、「(僕のチャーリーを愛する気持ちがまた再燃してしまったから)僕は、君が彼女と別れることを必要とするようになる」と言っていることになります。
「ついあんなことを言ってしまって」と反省しているかのように見せておいて、「僕の気持ちはこういうことなんで、君にはチャーリーと別れてもらわないといけないんだ」のように、自分の都合のいい方向にちゃっかりと話を持って行っている強引さとずうずうしさが面白いということですね。
専門分野においてはいくら相手の方が格上とは言え、男女の恋愛関係にまでそういう上下の関係を持ち込み、相手を自分の言いなりにしようとするような相手の発言と態度に、ロスはさすがにムッとした様子で、「あなた本気ですか? それは冗談ではなく本気で言ってるんですか?」と問い詰めます。
それに対するベンジャミンの返事がまた、「イエスでありノーだ」の発言と似た感じの、言葉遊びっぽいセリフとなっていて面白いです。
If you say yes... 以下のセリフを直訳すると、「もし君がイエスと言うのなら(それなら・その場合は)僕は真剣だ。もし君がノーと言うのなら(それなら)僕は冗談を言っているんだ」になりますね。
つまり、相手の答えに合わせて、自分の発言が真剣か冗談かを使い分けていることになります。
ロスがイエス、つまり「チャーリーと別れます」と言った場合は、「チャーリーと別れろ」と言った僕の発言は真剣なものとなるので、「チャーリーと別れろ、に対してロスがイエスと言ったことで、二人は別れることになる」。
ロスがノー、つまり「チャーリーとは別れません」と言った場合は、「チャーリーと別れろ」と言った僕の発言は「ただの冗談だよ」となるので、「チャーリーとは別れません、と言ったロスの発言は何の意味も持たないし、何の効力もない。ベンジャミンもそのロスの発言を意味のあるものとして受け止める必要がなくなる。”チャーリーと別れてくれ”という発言そのものが、あれはただの冗談だったとして、存在しなかったものになる」。
ということになるでしょう。
ロスはベンジャミンの発言を聞いた後、一瞬、考えを巡らせてから、No! と強い調子で返事します。
それを聞いたベンジャミンは、「君がノーって言ったから、(僕がさっき言った通りで)あれは冗談だよ」と笑いながら返します。
「ただの冗談だから、あの発言はなかったことにしてくれ。忘れてくれ」という感じですね。
if you say no then I'm joking という条件付けがなければ、ベンジー:「チャーリーと別れてくれ」、ロス:「チャーリーとは別れません」という会話が成立し、「ベンジーの頼みをロスが拒絶した」という事実ができてしまいます。
ロスが拒絶したということを事実として受け入れないで済むように、自分の発言そのものを冗談としてなかったことにしようとしているわけですね。
「もし〜なら」と条件付けをした上で、それぞれの結論を用意し、どっちに転んでも自分が損にならないように話を持って行っているところが、頭の切れる人っぽい部分が出ていて、非常に面白いセリフだなと思いました。
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チャーリー: Ross, why don't you tell Benji about your proposal while I go to the ladies' room? (ロス、私がお手洗いに行ってる間に、あなたの提案をベンジーに話したらどうかしら?)
ベンジャミン: So tell me about it. (それじゃあ、その件について話してくれ。)
ロス: Okay, well, I would like to do a dig in the Painted Desert. (わかりました。あのー、ペインテッド砂漠で発掘したいと思っています。)
ベンジャミン: M-m. (んーん。)
ロス: See, there are still several areas that haven't been fully excavated. (完全には発掘されていない箇所が、まだいくつかありますから。)
ベンジャミン: Break up with Charlie. (チャーリーと別れろ。)
ロス: What? (何?)
ベンジャミン: What? (何?)
ロス: Did you just say "Break up with Charlie"? (今、「チャーリーと別れろ」って言いました?)
ベンジャミン: Well, yes and no. Yes, I did say it. And no, I didn't not say it. (あぁ、イエスでありノーだ。イエス、私はそう言った。そして、ノー、私はそう言わないことはなかった。)
ロス: Kind of inappropriate, don't you think? (ちょっと不適切だとは思いませんか?)
ベンジャミン: Listen, I'm sorry. I just haven't seen her for so long! All these feelings are rushing back! I'm starting to realize how much I've missed her. And I'm gonna need you to break up with her. (あぁ、すまない。彼女とは久しぶりだったから! こういう気持ちが一気に戻ってきてるんだ! 僕が彼女をどれほど恋しいと思っていたかが、今わかり始めてるんだ。だから、僕は君に彼女と別れてもらうことが必要になるんだよ。)
ロス: Are you serious? (本気ですか?)
ベンジャミン: If you say yes then I'm serious, if you say no then I'm joking! (もし君がイエスと言うなら僕は本気だよ。もし君がノーと言うなら冗談だ。)
ロス: No! (ノーですよ!)
ベンジャミン: Joking it is! (冗談だよ。)
チャーリーは、「私がお手洗いに行く間に、あなたの提案についてベンジー(ベンジャミン)に話してみたらどう?」と提案して、席を立ちます。
ベンジャミンは、、自ら「じゃあ、それについて僕に話してくれ」とロスの話を聞こうとする意志を見せ、ロスは、早速、「ペインテッド砂漠で発掘したいと思っています」と語り始め、「完全には発掘されていない箇所が、まだいくつかありますので」と続けます。
excavate は「(穴などを)掘る」「掘り出す、発掘する」という意味。
その前に出てきた dig 「掘る」という単語を、専門的に言い換えた感覚ですね。
そんな風に、自分の研究の話を真剣に語っていると、ベンジャミンは、Break up with Charlie. 「チャーリーと別れろ」というセリフをさらっと言います。
思いがけないことを言われたので、ロスが What? と聞き返し、それに対して言った当人のベンジャミンが What? と瞬時に返すのが面白いですね。
自分で言っておきながら、「僕、何か言ったっけ?」みたいに、すっとぼけているような感じです。
ロスがはっきりと、「あなたは今、”チャーリーと別れろ”って言いましたよね?」と尋ねると、ベンジャミンは、yes and no. 「イエスでありノーだ」と答えますが、その後の、イエス&ノーの説明が面白いです。
Yes, I did say it. And no, I didn't not say it. を直訳すると、「イエス(そうだ)、僕はそう言った。そして、ノー(違う)、僕はそれを言わないことはなかった」になりますね。
no, I didn't say it. なら、通常の否定文で、「いや、私はそんなことは言わなかった」になるわけですが、そこを、And no, I didn't NOT say it. のように、not を強く発音することで、「私はそんなことを”言わない”ことはなかった」→「実際に言った」のように、ノーと言いながらもやはり自分はそう言ったということを認めた発言になるわけですね。
イエスであり、ノーである、のように最初に言ったことで、「イエス、僕はそう言った。ノー、僕はそう言わなかった」のような答えが続くのかと一瞬想像されますが、それだと、両立しえない反対のことを言ったという矛盾発言になってしまいます。
No の後は流れとして否定文が続くことになりますが、実際にはそう言ったのに「言わなかった」と嘘をつくわけにもいかないので、「言わないことはなかった」と二重否定で表現することで、「確かに僕はそう言った」ということを認めたということですね。
自分の発言に矛盾がないようにした、頭の回転の速い人の言葉遊びみたいなものだと言えるでしょう。
そうやってはっきりと、「確かに僕は今、”チャーリーと別れろ”と君に言った」ことをベンジャミンが認めたので、チャーリーの今カレであるロスは、「ちょっと不適切だと思いませんか?」と言っています。
そう言われたベンジャミンは、素直に自分の不適切発言を認めるように、まずは謝罪し、そんなことをつい口走ってしまった理由を述べています。
I just haven't seen her for so long! は、「僕はただ、彼女を非常に長い間、見ていなかった」→「ものすごく久しぶりに彼女に会った(再会した)」
All these feelings are rushing back! は、「この全ての感情が急激に戻ってきている」→「彼女に対するこういう(恋愛)感情が僕の心に急によみがえってきた」
I'm starting to realize how much I've missed her. 「どんなに彼女を恋しいと思っていたかに、僕は今気づき始めている」
ということですね。
現在完了形と現在進行形の使い分けに、ネイティブ英語っぽい感覚がよく出ているように思います。
現在完了形は、「彼女と別れてから今までの期間」のことを言っていて、「今再会するまでのこれまでの間、長く彼女とは会っていなかった」「その間、どれほど彼女のことを愛しいと思っていたか、彼女がいなくてどれくらい寂しかったか」を語っていることになりますね。
そして現在進行形の方は、まさに今、ベンジャミンの心の中で起こっている進行中のことを語っている感覚となり、「こういう感情が、今急速によみがえってきている」「彼女のことをどんなに愛しいと思っていたかについて気づき始めている」と、刻々と変化する、時間の経過とともに強くなっていっている気持ちを表現していることになるでしょう。
「久しぶりに再会して、彼女に対する気持ちがよみがえってきて、ついあんなことを口走ってしまったんだ」のように反省の弁を述べているようなベンジャミンですが、その後、And I'm gonna need you to break up with her. と付け加えているのが面白いですね。
つまり、「(僕のチャーリーを愛する気持ちがまた再燃してしまったから)僕は、君が彼女と別れることを必要とするようになる」と言っていることになります。
「ついあんなことを言ってしまって」と反省しているかのように見せておいて、「僕の気持ちはこういうことなんで、君にはチャーリーと別れてもらわないといけないんだ」のように、自分の都合のいい方向にちゃっかりと話を持って行っている強引さとずうずうしさが面白いということですね。
専門分野においてはいくら相手の方が格上とは言え、男女の恋愛関係にまでそういう上下の関係を持ち込み、相手を自分の言いなりにしようとするような相手の発言と態度に、ロスはさすがにムッとした様子で、「あなた本気ですか? それは冗談ではなく本気で言ってるんですか?」と問い詰めます。
それに対するベンジャミンの返事がまた、「イエスでありノーだ」の発言と似た感じの、言葉遊びっぽいセリフとなっていて面白いです。
If you say yes... 以下のセリフを直訳すると、「もし君がイエスと言うのなら(それなら・その場合は)僕は真剣だ。もし君がノーと言うのなら(それなら)僕は冗談を言っているんだ」になりますね。
つまり、相手の答えに合わせて、自分の発言が真剣か冗談かを使い分けていることになります。
ロスがイエス、つまり「チャーリーと別れます」と言った場合は、「チャーリーと別れろ」と言った僕の発言は真剣なものとなるので、「チャーリーと別れろ、に対してロスがイエスと言ったことで、二人は別れることになる」。
ロスがノー、つまり「チャーリーとは別れません」と言った場合は、「チャーリーと別れろ」と言った僕の発言は「ただの冗談だよ」となるので、「チャーリーとは別れません、と言ったロスの発言は何の意味も持たないし、何の効力もない。ベンジャミンもそのロスの発言を意味のあるものとして受け止める必要がなくなる。”チャーリーと別れてくれ”という発言そのものが、あれはただの冗談だったとして、存在しなかったものになる」。
ということになるでしょう。
ロスはベンジャミンの発言を聞いた後、一瞬、考えを巡らせてから、No! と強い調子で返事します。
それを聞いたベンジャミンは、「君がノーって言ったから、(僕がさっき言った通りで)あれは冗談だよ」と笑いながら返します。
「ただの冗談だから、あの発言はなかったことにしてくれ。忘れてくれ」という感じですね。
if you say no then I'm joking という条件付けがなければ、ベンジー:「チャーリーと別れてくれ」、ロス:「チャーリーとは別れません」という会話が成立し、「ベンジーの頼みをロスが拒絶した」という事実ができてしまいます。
ロスが拒絶したということを事実として受け入れないで済むように、自分の発言そのものを冗談としてなかったことにしようとしているわけですね。
「もし〜なら」と条件付けをした上で、それぞれの結論を用意し、どっちに転んでも自分が損にならないように話を持って行っているところが、頭の切れる人っぽい部分が出ていて、非常に面白いセリフだなと思いました。
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2016年02月19日
この分野に入った理由の一つがあなた フレンズ10-6その2
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ロスは、研究助成金をもらえる最終候補となったのですが、その助成金の運営者が、チャーリーの元彼ベンジャミン・ホバートだとわかります。
ホバートにロスのことを知ってもらおうと、チャーリーが3人の食事会をセッティングし、チャーリーがそれぞれを紹介したところ。
ロス: It's an honor to meet you. I can't tell you how long I've been an admirer of your work. I mean, that Nobel prize. (he thumbs up) whoooo! I mean, I have to tell you that you're one of the reasons I got into the field. (お会いできて光栄です。僕がどれほど長い間、あなたの業績を称賛し続けていたか、説明できないほどです。ほら、あのノーベル賞。[ロスはサムアップする] ウー! これだけは言わせて下さい、あなたは、私がこの分野[世界]に入った理由の一つなんですよ[あなたがいたから私はこの世界に入ったんですよ]。)
ベンジャミン: Oh, well, likewise. Actually, not likewise. I'd never heard of you until this morning. But it's nice to be nice! (あぁ、そう、私も同じだよ[こちらこそ]。実際には、同じじゃないけど。僕は今朝まで君のことを聞いたことなかったんで。でも、ナイスであることはナイスだからね[相手に親切にすることは良いことだからね]!)
チャーリーが二人を紹介した後、ロスは憧れの人に会った喜びの言葉を述べています。
「ずっと憧れていた人にやっと会えた時に使えるフレーズ」として、このロスのセリフは学びどころが多いですね。
1つ目の文は「あなたにお会いできるとは光栄です」。
I can't tell you how long... を直訳すると、「私がどれほど長い間ずっと、あなたの仕事の崇拝者(称賛者)であったかを言うことができない」になるでしょう。
「どれほど長く〜であったかを言うことができない」というのは、「言葉にできないほど・説明できないほど長い間、ずっと〜だった」と言っていることになりますね。
admirer を「崇拝者、称賛者」と訳してしまうと言葉が硬くなりすぎてしまいますが、「ずっとあなたに憧れていたあなたのファン」のような感覚に捉えると良いでしょう。
「どれほど長くあなたに憧れていたかを言うことができないほどです」→「説明できないほど長い間、ずっとあなたに憧れていました」というニュアンスですね。
I mean, that Nobel prize. は、「だって、あのノーベル賞ですよ!」というところ。
「同じ業界の人間として、あなたに憧れないはずはない。だってノーベル賞を取った方なんですから!」と言っている感覚になるでしょう。
そして、「すごい、最高ですよね!」という感じで、指をサムアップしてウー! とも言っています。
その部分は、ちょっと興奮し過ぎてボキャ貧になっている感じですが、とにかくすごい! とロスが思っていることは素直に伝わりますよね。
I have to tell you that... を直訳すると、「僕がこの分野に入った理由の一つがあなたであるということを私はあなたに言わなければならない」になるでしょう。
この場合の I have to tell you (that) は「(どうしてもこれを伝えなければなければならないので)これだけは言わせて下さい」という感覚ですね。
「あなたにずっと憧れていて、この分野に入ったのもあなたがいたからです」のように言われたベンジャミンは、Oh, well, likewise. と反射的に返した後で、Actually, not likewise. と言い直しています。
likewise は「同様に、同じように」という意味で、何かを言った相手に対して、"Likewise (for me)." と返した場合には、「私も同じ(同様・同感)です」と返事したことになります。
LAAD (Longman Advanced American Dictionary) では、
likewise [adverb] : (spoken) used to return someone's greeting or polite remark
例) "It's great to see you." "Likewise."
つまり、「(口語) 誰かの挨拶や丁寧な発言に返す(答える)時に使われる」。例文は、「お会いできて光栄です」「こちらこそ」。
ベンジャミンは、ロスから「あなたがいたから、私はこの分野[この世界]に入りました」と言われたことに対して、「こちらこそ」と返してしまったのですが、よく考えてみたら「こちらこそ」じゃないな、と気づいたようで、「今、Likewise. と答えてしまったけれど、実際のところは、likewise じゃないな」と、すぐさま訂正しています。
「同じように」であるためには、「君がいたから僕もこの世界に入った」というような同じ状況でなければならないわけですが、実際にはそんなことはないからね、というように、「今朝まで僕は君のことを聞いたことがなかった」と言っています。
今朝というのは、チャーリーがこの夕食会の件で連絡してきた時を指すでしょう。
hear of は「〜について(伝え)聞く」という感覚なので、「今朝まで、君のことは噂にも聞いたことなかった」、つまり、「チャーリーが君の名前を出すまで、君のことは全く知らなかった(名前も知らなかった、存在すら知らなかった)」と、はっきり説明したことになります。
二人の地位の差を考えると、当然の結果のようにも思いますが、それをわざわざ、「今朝(チャーリーが電話をくれるまで)君のことは聞いたこともなかったよ」とはっきり言われてしまうと、ロスとしてはがっかりでしょうね。
ロスに対して失礼な発言であることは気にも留めずに、ベンジャミンはしれっとした顔で、But it's nice to be nice! と言っています。
直訳すると、「ナイスであることはナイスである」ということですが、それはつまり、「人に対してナイスであること[相手に対して優しくすること、人当たりが良いようにすること]は、良いことである」と言っていることになりますね。
DVDの日本語訳では「まあ 社交辞令だ」となっていましたが、確かにそういうニュアンスで、「人に優しく対応することは悪いことじゃないだろ」のように、「実際には、Likewise. ではないのに、反射的に Likewise. と返したことは、人付き合いの面で良い行為だと思う」と言ったことになるわけですね。
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ロスは、研究助成金をもらえる最終候補となったのですが、その助成金の運営者が、チャーリーの元彼ベンジャミン・ホバートだとわかります。
ホバートにロスのことを知ってもらおうと、チャーリーが3人の食事会をセッティングし、チャーリーがそれぞれを紹介したところ。
ロス: It's an honor to meet you. I can't tell you how long I've been an admirer of your work. I mean, that Nobel prize. (he thumbs up) whoooo! I mean, I have to tell you that you're one of the reasons I got into the field. (お会いできて光栄です。僕がどれほど長い間、あなたの業績を称賛し続けていたか、説明できないほどです。ほら、あのノーベル賞。[ロスはサムアップする] ウー! これだけは言わせて下さい、あなたは、私がこの分野[世界]に入った理由の一つなんですよ[あなたがいたから私はこの世界に入ったんですよ]。)
ベンジャミン: Oh, well, likewise. Actually, not likewise. I'd never heard of you until this morning. But it's nice to be nice! (あぁ、そう、私も同じだよ[こちらこそ]。実際には、同じじゃないけど。僕は今朝まで君のことを聞いたことなかったんで。でも、ナイスであることはナイスだからね[相手に親切にすることは良いことだからね]!)
チャーリーが二人を紹介した後、ロスは憧れの人に会った喜びの言葉を述べています。
「ずっと憧れていた人にやっと会えた時に使えるフレーズ」として、このロスのセリフは学びどころが多いですね。
1つ目の文は「あなたにお会いできるとは光栄です」。
I can't tell you how long... を直訳すると、「私がどれほど長い間ずっと、あなたの仕事の崇拝者(称賛者)であったかを言うことができない」になるでしょう。
「どれほど長く〜であったかを言うことができない」というのは、「言葉にできないほど・説明できないほど長い間、ずっと〜だった」と言っていることになりますね。
admirer を「崇拝者、称賛者」と訳してしまうと言葉が硬くなりすぎてしまいますが、「ずっとあなたに憧れていたあなたのファン」のような感覚に捉えると良いでしょう。
「どれほど長くあなたに憧れていたかを言うことができないほどです」→「説明できないほど長い間、ずっとあなたに憧れていました」というニュアンスですね。
I mean, that Nobel prize. は、「だって、あのノーベル賞ですよ!」というところ。
「同じ業界の人間として、あなたに憧れないはずはない。だってノーベル賞を取った方なんですから!」と言っている感覚になるでしょう。
そして、「すごい、最高ですよね!」という感じで、指をサムアップしてウー! とも言っています。
その部分は、ちょっと興奮し過ぎてボキャ貧になっている感じですが、とにかくすごい! とロスが思っていることは素直に伝わりますよね。
I have to tell you that... を直訳すると、「僕がこの分野に入った理由の一つがあなたであるということを私はあなたに言わなければならない」になるでしょう。
この場合の I have to tell you (that) は「(どうしてもこれを伝えなければなければならないので)これだけは言わせて下さい」という感覚ですね。
「あなたにずっと憧れていて、この分野に入ったのもあなたがいたからです」のように言われたベンジャミンは、Oh, well, likewise. と反射的に返した後で、Actually, not likewise. と言い直しています。
likewise は「同様に、同じように」という意味で、何かを言った相手に対して、"Likewise (for me)." と返した場合には、「私も同じ(同様・同感)です」と返事したことになります。
LAAD (Longman Advanced American Dictionary) では、
likewise [adverb] : (spoken) used to return someone's greeting or polite remark
例) "It's great to see you." "Likewise."
つまり、「(口語) 誰かの挨拶や丁寧な発言に返す(答える)時に使われる」。例文は、「お会いできて光栄です」「こちらこそ」。
ベンジャミンは、ロスから「あなたがいたから、私はこの分野[この世界]に入りました」と言われたことに対して、「こちらこそ」と返してしまったのですが、よく考えてみたら「こちらこそ」じゃないな、と気づいたようで、「今、Likewise. と答えてしまったけれど、実際のところは、likewise じゃないな」と、すぐさま訂正しています。
「同じように」であるためには、「君がいたから僕もこの世界に入った」というような同じ状況でなければならないわけですが、実際にはそんなことはないからね、というように、「今朝まで僕は君のことを聞いたことがなかった」と言っています。
今朝というのは、チャーリーがこの夕食会の件で連絡してきた時を指すでしょう。
hear of は「〜について(伝え)聞く」という感覚なので、「今朝まで、君のことは噂にも聞いたことなかった」、つまり、「チャーリーが君の名前を出すまで、君のことは全く知らなかった(名前も知らなかった、存在すら知らなかった)」と、はっきり説明したことになります。
二人の地位の差を考えると、当然の結果のようにも思いますが、それをわざわざ、「今朝(チャーリーが電話をくれるまで)君のことは聞いたこともなかったよ」とはっきり言われてしまうと、ロスとしてはがっかりでしょうね。
ロスに対して失礼な発言であることは気にも留めずに、ベンジャミンはしれっとした顔で、But it's nice to be nice! と言っています。
直訳すると、「ナイスであることはナイスである」ということですが、それはつまり、「人に対してナイスであること[相手に対して優しくすること、人当たりが良いようにすること]は、良いことである」と言っていることになりますね。
DVDの日本語訳では「まあ 社交辞令だ」となっていましたが、確かにそういうニュアンスで、「人に優しく対応することは悪いことじゃないだろ」のように、「実際には、Likewise. ではないのに、反射的に Likewise. と返したことは、人付き合いの面で良い行為だと思う」と言ったことになるわけですね。
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2016年02月17日
夢の夕食会の招待客の一人 フレンズ10-6その1
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シーズン10 第6話
The One With Ross's Grant (ロス、恋の面接審査)
原題は「ロスの助成金の話」
ロスは、研究のための助成金をもらえる最終候補に残ったと喜んでいます。
その助成金の運営者が、チャーリーの元彼ベンジャミン・ホバートだとわかったので、チャーリーは3人で食事して、そこでロスのことをベンジャミンに紹介してあげる、と提案します。
その食事会当日。
[Scene: A restaurant. Ross and Charlie are waiting for her ex-boyfriend, Benjamin Hobart]
レストラン。ロスとチャーリーは、チャーリーの元彼ベンジャミン・ホバートを待っているところ。
ロス: I can't believe I'm about to meet Benjamin Hobart. I've always thought of him as one of the people I'd invite to my fantasy dinner party. Do you think there's any chance he'll bring Christie Brinkley or C-3PO? (ベンジャミン・ホバートと会おうとしてるところだなんて、信じられないよ。僕はずっと彼を、僕の夢の夕食会への招待客の一人として考えてきたんだ。彼がクリスティ・ブリンクリーか、C-3PO を連れてくるって可能性あると思う?)
チャーリー: (glances over Ross' shoulder) Sorry, looks like it's just him. ([ロスの肩越しに見て] 残念ね、彼だけみたいよ。)
ベンジャミン: Charlie! My God, you look absolutely stunning! (チャーリー! なんてことだ、君はものすごくきれいだよ!)
ロス: Well, I... I am having a good hair day. (あの… 今日は髪型、いい感じなんですよ。)
ベンジャミン: So good to see you. (会えてすごく嬉しいよ。)
チャーリー: Oh, you too. (she and Benjamin are hugging for very long and Ross starts pretending to clear his throat, until they stop) (あぁ、私もあなたに会えて嬉しいわ。[チャーリーとベンジャミンはかなり長くハグして、ロスは彼らがハグをやめるまで、咳払いをするふりをする]
ロス: I'm okay. (大丈夫ですよ。)
チャーリーの元彼のベンジャミン・ホバートは、ロスの研究分野での成功者であり有名人なので、その彼に会えると知って、ロスはわくわくしています。
ベンジャミンの名前は、過去記事、フレンズ9-20 に出てきました。
その部分は解説していなかったので、ここでご紹介させていただきますと、、。
チャーリーがロスに、自分の過去の恋人の話をしているシーン。
チャーリー: Albie was seriously insecure. I mean, he was really intimidated by the guy I dated before him. (アルビーは本当に不安だったのよ。つまり、彼は、私が彼の前に付き合っていた男性に怯えて[威圧されて]いたの。)
ロス: Who's intimidating to a guy who won the Nobel Prize? (ノーベル賞受賞者を威圧するような人って誰?)
チャーリー: A guy who won two. (2回受賞した人よ。)
ロス: (a little surprised) Two? Wha--? Don't tell me you dated Benjamin Hobart? ([少し驚いて] 2回? 何? (どうか)君が付き合ってたのは、ベンジャミン・ホバートだなんて言わないで!)
チャーリー: Yeah, for three years. (えぇ(彼と付き合ってたのよ)、3年間ね。)
「元彼にノーベル賞受賞者が2人いて、そのうちの1人は2回受賞」というのは、あまりにも話が大きすぎますが、そんな設定が許されるのもコメディならでは、というところなのでしょう。
be about to は「まさに〜しようとしている」なので、「僕が今からまさにベンジャミン・ホバートに会おうとしているだなんて信じられない」ということですね。
I've always thought of him as one of the people は、「僕は彼のことを〜する人々の一人だと、いつも思ってきた」。
どういう人々の一人かというと、I'd invite to my fantasy dinner party 「僕が自分のファンタジーのディナーパーティーに招待しようと思う(人々)」ということですね。
僕が夢見る夕食会の招待客の一人として、いつも彼のことを考えていたんだ、自分の夢の夕食会には彼を絶対に招待しようといつも思ってたんだ、と言っていることになります。
その後の、Do you think there's any chance... のセリフについて。
「彼が〜するチャンスが(少しは)あると君は思う?」ということで、その内容は、「彼がクリスティ・ブリンクリーか C-3PO を連れてくる(チャンス・可能性)」になります。
「来ることになっているベンジャミンが、その二人を連れて来てくれる、ってことあるかな?」と言っているのは、その二人を連れてきてくれたら、僕の「夢の夕食会」のメンバーが全員揃うんだけど、と言っていることになりますね。
そのクリスティさんは以下のウィキペディアで。
Wikipedia 日本語版 : クリスティ・ブリンクリー
アメリカのスーパーモデルで、ビリー・ジョエルの元妻。
ビリー・ジョエルの Uptown Girl のプロモーション・ビデオの女性を演じているのが、このクリスティさんなんですね^^
60代となった今もモデルとして美しい姿を見せておられることでも有名な方のようです。
そして、C-3PO は、ご存知、スターウォーズに登場するドロイドですね。
ロスが夢見る憧れの夕食会のゲストとして、「自分の専門分野での第一人者」を挙げたのはロスの「学者らしいところ」が出ていますが、他の招待客は専門分野の人ではなく、一人は「スーパーモデル」で、もう一人は「スターウォーズの登場人物(それもドロイド)」という全く方向性が違う3人を挙げた面白さになるでしょう。
それを聞いたチャーリーは、ロスの肩越しに見て「残念ね、彼一人だけみたいよ」と言っています。
ベンジャミンが来たことをそう表現しているわけですが、ロスが「残りの二人も連れてきてくれるといいのになぁ〜」と言ったことに対しての返事も兼ねてユーモラスに言っているのが、おしゃれだなぁと思います。
ベンジャミン・ホバートが登場すると、観客から歓声と拍手が上がっています。
演じているのはグレッグ・キニア(Greg Kinnear)で、1997年の映画「恋愛小説家」(原題:As Good as It Gets)では助演男優賞にノミネートされたという有名な俳優さんだそうです。
他にも、1998年の映画「ユー・ガット・メール」(原題:You've Got Mail)など様々な映画に出ておられるようですが、残念ながら、この方が出演された映画、私はどれも見ておりません、、、。
チャーリーの元彼であるベンジャミンは、チャーリーを見て、君はものすごく素敵だ! と絶賛しています。
stun は「人を気絶させる、人をぼうっとさせる」という意味。スタンガンのスタンは、この stun ですね。
「人を気絶させるような」という意味から、stunning は「(びっくりするほど)素敵な、素晴らしい、魅力的な」という褒め言葉になります。
LAAD (Longman Advanced American Dictionary) では、
stunning [adjective] : extremely attractive or beautiful
つまり、「極めて魅力的または美しい」。
研究社 新英和中辞典には、
She's absolutely stunning. 彼女は実にすてきだ。
という例文が出ていますが、absolutely stunning という組み合わせは今回のセリフと全く同じですね。
ベンジャミンとロスが会えるようにセッティングしてもらったというのに、ベンジャミンの方はロスには目もくれず、元カノのチャーリーを見つめ、絶賛しているので、「僕がいることをお忘れじゃないですかね」的なアピールも込めて、「実にすてきだ」という言葉がさもロスに向けられたものであるかのように、I am having a good hair day. と言っていることになるでしょう。
直訳すると、「僕は良い髪の毛の日を持っている」ということですが、要は「僕の今日の髪型はイケてる、決まってる、いい感じ」と言っている感覚ですね。
そんな風にアピールしても、ロスをちらっと見ることもなく、ベンジャミンはチャーリーと固いハグを交わします。
ハグして、さらに強く抱きしめる感じで、チャーリーからいっこうに離れる様子がないのを見て、チャーリーの現在の彼氏であるロスは、わざと咳払いをして、ベンジャミンの意識を自分に向けようとしています。
そして、咳をするロスをベンジャミンが見たので、「いや、咳は大丈夫ですよ」という感じで、I'm okay. と言ったわけですね。
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The One With Ross's Grant (ロス、恋の面接審査)
原題は「ロスの助成金の話」
ロスは、研究のための助成金をもらえる最終候補に残ったと喜んでいます。
その助成金の運営者が、チャーリーの元彼ベンジャミン・ホバートだとわかったので、チャーリーは3人で食事して、そこでロスのことをベンジャミンに紹介してあげる、と提案します。
その食事会当日。
[Scene: A restaurant. Ross and Charlie are waiting for her ex-boyfriend, Benjamin Hobart]
レストラン。ロスとチャーリーは、チャーリーの元彼ベンジャミン・ホバートを待っているところ。
ロス: I can't believe I'm about to meet Benjamin Hobart. I've always thought of him as one of the people I'd invite to my fantasy dinner party. Do you think there's any chance he'll bring Christie Brinkley or C-3PO? (ベンジャミン・ホバートと会おうとしてるところだなんて、信じられないよ。僕はずっと彼を、僕の夢の夕食会への招待客の一人として考えてきたんだ。彼がクリスティ・ブリンクリーか、C-3PO を連れてくるって可能性あると思う?)
チャーリー: (glances over Ross' shoulder) Sorry, looks like it's just him. ([ロスの肩越しに見て] 残念ね、彼だけみたいよ。)
ベンジャミン: Charlie! My God, you look absolutely stunning! (チャーリー! なんてことだ、君はものすごくきれいだよ!)
ロス: Well, I... I am having a good hair day. (あの… 今日は髪型、いい感じなんですよ。)
ベンジャミン: So good to see you. (会えてすごく嬉しいよ。)
チャーリー: Oh, you too. (she and Benjamin are hugging for very long and Ross starts pretending to clear his throat, until they stop) (あぁ、私もあなたに会えて嬉しいわ。[チャーリーとベンジャミンはかなり長くハグして、ロスは彼らがハグをやめるまで、咳払いをするふりをする]
ロス: I'm okay. (大丈夫ですよ。)
チャーリーの元彼のベンジャミン・ホバートは、ロスの研究分野での成功者であり有名人なので、その彼に会えると知って、ロスはわくわくしています。
ベンジャミンの名前は、過去記事、フレンズ9-20 に出てきました。
その部分は解説していなかったので、ここでご紹介させていただきますと、、。
チャーリーがロスに、自分の過去の恋人の話をしているシーン。
チャーリー: Albie was seriously insecure. I mean, he was really intimidated by the guy I dated before him. (アルビーは本当に不安だったのよ。つまり、彼は、私が彼の前に付き合っていた男性に怯えて[威圧されて]いたの。)
ロス: Who's intimidating to a guy who won the Nobel Prize? (ノーベル賞受賞者を威圧するような人って誰?)
チャーリー: A guy who won two. (2回受賞した人よ。)
ロス: (a little surprised) Two? Wha--? Don't tell me you dated Benjamin Hobart? ([少し驚いて] 2回? 何? (どうか)君が付き合ってたのは、ベンジャミン・ホバートだなんて言わないで!)
チャーリー: Yeah, for three years. (えぇ(彼と付き合ってたのよ)、3年間ね。)
「元彼にノーベル賞受賞者が2人いて、そのうちの1人は2回受賞」というのは、あまりにも話が大きすぎますが、そんな設定が許されるのもコメディならでは、というところなのでしょう。
be about to は「まさに〜しようとしている」なので、「僕が今からまさにベンジャミン・ホバートに会おうとしているだなんて信じられない」ということですね。
I've always thought of him as one of the people は、「僕は彼のことを〜する人々の一人だと、いつも思ってきた」。
どういう人々の一人かというと、I'd invite to my fantasy dinner party 「僕が自分のファンタジーのディナーパーティーに招待しようと思う(人々)」ということですね。
僕が夢見る夕食会の招待客の一人として、いつも彼のことを考えていたんだ、自分の夢の夕食会には彼を絶対に招待しようといつも思ってたんだ、と言っていることになります。
その後の、Do you think there's any chance... のセリフについて。
「彼が〜するチャンスが(少しは)あると君は思う?」ということで、その内容は、「彼がクリスティ・ブリンクリーか C-3PO を連れてくる(チャンス・可能性)」になります。
「来ることになっているベンジャミンが、その二人を連れて来てくれる、ってことあるかな?」と言っているのは、その二人を連れてきてくれたら、僕の「夢の夕食会」のメンバーが全員揃うんだけど、と言っていることになりますね。
そのクリスティさんは以下のウィキペディアで。
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アメリカのスーパーモデルで、ビリー・ジョエルの元妻。
ビリー・ジョエルの Uptown Girl のプロモーション・ビデオの女性を演じているのが、このクリスティさんなんですね^^
60代となった今もモデルとして美しい姿を見せておられることでも有名な方のようです。
そして、C-3PO は、ご存知、スターウォーズに登場するドロイドですね。
ロスが夢見る憧れの夕食会のゲストとして、「自分の専門分野での第一人者」を挙げたのはロスの「学者らしいところ」が出ていますが、他の招待客は専門分野の人ではなく、一人は「スーパーモデル」で、もう一人は「スターウォーズの登場人物(それもドロイド)」という全く方向性が違う3人を挙げた面白さになるでしょう。
それを聞いたチャーリーは、ロスの肩越しに見て「残念ね、彼一人だけみたいよ」と言っています。
ベンジャミンが来たことをそう表現しているわけですが、ロスが「残りの二人も連れてきてくれるといいのになぁ〜」と言ったことに対しての返事も兼ねてユーモラスに言っているのが、おしゃれだなぁと思います。
ベンジャミン・ホバートが登場すると、観客から歓声と拍手が上がっています。
演じているのはグレッグ・キニア(Greg Kinnear)で、1997年の映画「恋愛小説家」(原題:As Good as It Gets)では助演男優賞にノミネートされたという有名な俳優さんだそうです。
他にも、1998年の映画「ユー・ガット・メール」(原題:You've Got Mail)など様々な映画に出ておられるようですが、残念ながら、この方が出演された映画、私はどれも見ておりません、、、。
チャーリーの元彼であるベンジャミンは、チャーリーを見て、君はものすごく素敵だ! と絶賛しています。
stun は「人を気絶させる、人をぼうっとさせる」という意味。スタンガンのスタンは、この stun ですね。
「人を気絶させるような」という意味から、stunning は「(びっくりするほど)素敵な、素晴らしい、魅力的な」という褒め言葉になります。
LAAD (Longman Advanced American Dictionary) では、
stunning [adjective] : extremely attractive or beautiful
つまり、「極めて魅力的または美しい」。
研究社 新英和中辞典には、
She's absolutely stunning. 彼女は実にすてきだ。
という例文が出ていますが、absolutely stunning という組み合わせは今回のセリフと全く同じですね。
ベンジャミンとロスが会えるようにセッティングしてもらったというのに、ベンジャミンの方はロスには目もくれず、元カノのチャーリーを見つめ、絶賛しているので、「僕がいることをお忘れじゃないですかね」的なアピールも込めて、「実にすてきだ」という言葉がさもロスに向けられたものであるかのように、I am having a good hair day. と言っていることになるでしょう。
直訳すると、「僕は良い髪の毛の日を持っている」ということですが、要は「僕の今日の髪型はイケてる、決まってる、いい感じ」と言っている感覚ですね。
そんな風にアピールしても、ロスをちらっと見ることもなく、ベンジャミンはチャーリーと固いハグを交わします。
ハグして、さらに強く抱きしめる感じで、チャーリーからいっこうに離れる様子がないのを見て、チャーリーの現在の彼氏であるロスは、わざと咳払いをして、ベンジャミンの意識を自分に向けようとしています。
そして、咳をするロスをベンジャミンが見たので、「いや、咳は大丈夫ですよ」という感じで、I'm okay. と言ったわけですね。
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もっと愛してるなんて不可能 フレンズ10-5その6
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マイクとフィービーはレストランにいます。運ばれてきたケーキに指輪が入っていて、、、というプロポーズをしようとしていたマイクでしたが、プロポーズする前に、「B級映画のダサい男みたいに、ケーキに指輪が入ってる、みたいなプロポーズでも私はイエスって言うからね」と、チープなプロポーズの典型のようにフィービーに言われてしまったことで、またもやプロポーズするチャンスを逃してしまいました。
「どうして私はいつもダメにしちゃうのかしら。ごめんなさい」と謝るフィービーに、
マイク: No! It's my fault. I keep trying to propose in these stupid ways and all I wanna do is tell you that I love you, and I wanna spend the rest of my life with you.... (いいや! 僕のせいだよ。僕がこんなバカバカしい方法でプロポースしようとし続けるからだ。僕が望むのは、ただ、愛してるってこと、そして、残りの人生を君と一緒に過ごしたいってことを言うことだけなのに。)
(Phoebe has this weird, anxious, nervous look on her face)
フィービーは、妙な不安そうでナーバスな表情を浮かべる。
マイク: I'm gonna do this now. (今から、これをするよ[言うよ]。)
フィービー: Oh, my God! (なんてこと!)
(Mike starts to kneel in front of Phoebe.)
マイクはフィービーの前でひざまずこうとする。
マイク: Phoebe, I-- (フィービー、僕は…)
フィービー: Wait! Oh, wait! (she takes off a ring that was already on her left ring finger. After that Mike starts to kneel again, but then...) Oh no! (She was wearing rings on all her fingers and her thumb, and takes all of these off.) (待って、ちょっと待って! [フィービーは左手の薬指にはめていた指輪を取る。その後、マイクは再び、ひざまずこうとするが、その後] あぁ、だめ! [フィービーは指全部、親指にも指輪をはめていたので、それを全部取る])
マイク: Ready? ((準備は)いい?)
フィービー: Uh-huh! (and now Mike kneels properly) (ええ! [そして今、マイクはきちんとひざまずく])
マイク: Phoebe, I love you. There's no one else in the world I would ask to marry me... three times. But I wanna take care of you, have babies with you, and grow old with you. Phoebe Buffay, will you marry me? (フィービー、愛してる。僕と結婚して欲しいと請う相手は、世界中に君以外にはいない…3回もね。君を大切にしたい、君と子供を持ちたい、そして君と一緒に年を取りたいんだ。フィービー・ブッフェ、僕と結婚してくれる?)
フィービー: Yes. (はい。)
(Mike puts the ring on her finger)
マイクは指輪をフィービーの指にはめる。
マイク: I love you. (愛してる。)
フィービー: I love you more. (私はもっと愛してる。)
マイク: Not possible. (they kiss, and then Mike says proudly...) She's gonna be Mrs. No Balls! (そんなの無理だよ。[二人はキスして、マイクが誇らしげに言う] 彼女は「タマなし夫人」になるんだ!)
(They kiss again, and Phoebe looks at the ring.)
二人はまたキスをして、フィービーは指輪を見る。
マイクがやろうとしているプロポーズを、毎回邪魔してしまうことで、フィービーはごめんなさいと謝っています。
それに対してマイクは、「いいや(君が悪いんじゃない)。僕のせいだ、僕が悪いんだ」と言って、I keep trying 以下のセリフを言っています。
前から順番に訳すと、「僕はこういうバカな方法でプロポースしようとし続ける。そして僕がしたいことは、君に that 以下のことを言うことだけだ」になるでしょう。
「僕はバカな方法を使ってプロポーズしようと試みてきたけど、本当は君にただこう伝えたいだけなのに」と、趣向を凝らすことばかり考えていた自分を反省する言葉を述べているわけですね。
マイクがフィービーに言いたかったことは、「愛してる」そして「僕の残りの人生を君と一緒に過ごしたい」ということ。
「ただ、こう言いたかっただけなのに」と言葉にしたことで、「そうだ、方法なんか考えずにただそれを伝えればいいんじゃないか」と自分で気づいた様子のマイクは、I'm gonna do this now. 「今(から)僕はこれをするよ」と言います。
つまり、これからプロポーズの言葉を述べるつもり、ということなので、フィービーは驚きの声を上げていますね。
そして、プロポーズのお決まりポーズである、「女性の前にひざまずく」というポーズを取って、言葉を始めようとするマイクですが、フィービーは「待って」と言って、これから指輪がはめられることになる、左手の薬指にはめていた指輪を外します。
それを見て、マイクはプロポーズを始めようとしますが、フィービーはまた「待って」と言って、薬指以外にもつけている左手の指輪を全部外すことになります。
フィービーのファッションはいつも独特で、特にアクセサリーは派手でゴテゴテしたもの(ごめんw)をつけていることが多いですね。
今回も、両手の指にやたらと指輪を、それもごっつくてでっかい指輪をいっぱいはめていたのですが、右手はそのままながら、左手だけは「マイクから指輪をもらう手」にする準備として、それを全部外したことになります。
ト書きにあるように、親指にまで指輪をはめていて、「どんだけ指輪つけてんねん」とツッコミ入れたくなる感じですが、普段からそういう感じのファッションをしている人なので、今回は「特に指輪の数が多い」とは思うものの、いつものフィービーのイメージからかけ離れたものでもなく、フィービーらしいシーンになっていると思いました。
「準備はいい?」と聞いたマイクは、ついにきちんとプロポーズするためのひざまずく体勢になって、自分の気持ちを述べています。
まず最初に、愛してる、と言った後の、There's no one else というセリフについて。
前から順番に訳すと、「世界に(君の)他にはいない」「僕と結婚してと請うのは」「3回(も)」になるでしょう。
自然な日本語にすると、「僕と結婚してと3回も言う相手は、世界中で君の他にはいない」ということですが、ちょっと間を置いて付け足しのように「それも3回目もね」と言ったところに、プロポーズをしようとしては何度も失敗したこれまでの経緯をジョークっぽく盛り込んだことになるでしょう。
その後、「君を大切にしたい、君と子供を持ちたい、君と一緒に年を取りたい」という自分の望みを述べた後、フィービーの名前をフルネームで呼んで、定番の will you marry me? と言うことになります。
今回は、「どんなプロポーズでもイエスと言うわ」と断言していましたし、手から指輪を外して、マイクにはめてもらう準備も万全でしたから、フィービーはもちろん素直に Yes. と言って嬉しそうな顔をしています。
観客からも嬉しそうな歓声が上がっていますね。
その後のセリフ、"I love you." "I love you more." "Not possible." というやりとりも素敵ですね。
マイクに「(僕は君を)愛してる」と言われたことで、フィービーは「私の方があなたをもっと愛してるわ」という意味で more をつけたのですが、それに対してマイクは、「僕の方がさらにもっと愛してる」のような「もっと合戦」には持ち込まず、フィービーの発言に対して、「(そんなことは)不可能だ、無理だ」と表現しています。
フィービーが、「マイクが私を愛しているよりも、私はもっとマイクを愛してるわ」と答えたことについて、「そんなことはできっこない。僕より愛してるなんてありえない。だって僕はこれ以上ないっていうくらい、誰も僕に勝てないくらい、君を愛してるんだから」と言っていることになるわけです。
「それ以上〜するのは無理である」→「最高に〜する」という意味になるのは、I couldn't agree (with you) more. 「これ以上あなたに同意することはできない」→「最高に同意している。大賛成だ」という文章と同じことですね。
そうして二人は幸せそうなキスをし、その後、マイクは笑顔で周囲の人に聞こえるように、She's gonna be Mrs. No Balls! と言っています。
「彼女(フィービー)は、タマなし夫人になるんだ!」ということですが、それは自分のことを「タマなし(根性なし、男らしくない)」のように言っていたことを受けて、「そんな風に言われてた僕だけど、その僕も結婚して妻を持つんだよ!」ということを、自虐的なフレーズを使って誇らしげに言った、という面白さになるわけですね。
チャンドラー&モニカのようなフレンズ内のカップルではありませんが、フィービーとマイクはとてもお似合いだと思いますし、フレンズのメンバーであるフィービーがこうして結婚することになったのはやはりファンとして嬉しいですね♪
プロポーズのセリフというものは、愛を伝える一番のセリフでもあるわけです。
たまたま昨日バレンタインデーで、一日遅れとはなりますが、上のような「愛のセリフ」を記事で紹介することになったのはタイムリーだったように思いました(^^)
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マイクとフィービーはレストランにいます。運ばれてきたケーキに指輪が入っていて、、、というプロポーズをしようとしていたマイクでしたが、プロポーズする前に、「B級映画のダサい男みたいに、ケーキに指輪が入ってる、みたいなプロポーズでも私はイエスって言うからね」と、チープなプロポーズの典型のようにフィービーに言われてしまったことで、またもやプロポーズするチャンスを逃してしまいました。
「どうして私はいつもダメにしちゃうのかしら。ごめんなさい」と謝るフィービーに、
マイク: No! It's my fault. I keep trying to propose in these stupid ways and all I wanna do is tell you that I love you, and I wanna spend the rest of my life with you.... (いいや! 僕のせいだよ。僕がこんなバカバカしい方法でプロポースしようとし続けるからだ。僕が望むのは、ただ、愛してるってこと、そして、残りの人生を君と一緒に過ごしたいってことを言うことだけなのに。)
(Phoebe has this weird, anxious, nervous look on her face)
フィービーは、妙な不安そうでナーバスな表情を浮かべる。
マイク: I'm gonna do this now. (今から、これをするよ[言うよ]。)
フィービー: Oh, my God! (なんてこと!)
(Mike starts to kneel in front of Phoebe.)
マイクはフィービーの前でひざまずこうとする。
マイク: Phoebe, I-- (フィービー、僕は…)
フィービー: Wait! Oh, wait! (she takes off a ring that was already on her left ring finger. After that Mike starts to kneel again, but then...) Oh no! (She was wearing rings on all her fingers and her thumb, and takes all of these off.) (待って、ちょっと待って! [フィービーは左手の薬指にはめていた指輪を取る。その後、マイクは再び、ひざまずこうとするが、その後] あぁ、だめ! [フィービーは指全部、親指にも指輪をはめていたので、それを全部取る])
マイク: Ready? ((準備は)いい?)
フィービー: Uh-huh! (and now Mike kneels properly) (ええ! [そして今、マイクはきちんとひざまずく])
マイク: Phoebe, I love you. There's no one else in the world I would ask to marry me... three times. But I wanna take care of you, have babies with you, and grow old with you. Phoebe Buffay, will you marry me? (フィービー、愛してる。僕と結婚して欲しいと請う相手は、世界中に君以外にはいない…3回もね。君を大切にしたい、君と子供を持ちたい、そして君と一緒に年を取りたいんだ。フィービー・ブッフェ、僕と結婚してくれる?)
フィービー: Yes. (はい。)
(Mike puts the ring on her finger)
マイクは指輪をフィービーの指にはめる。
マイク: I love you. (愛してる。)
フィービー: I love you more. (私はもっと愛してる。)
マイク: Not possible. (they kiss, and then Mike says proudly...) She's gonna be Mrs. No Balls! (そんなの無理だよ。[二人はキスして、マイクが誇らしげに言う] 彼女は「タマなし夫人」になるんだ!)
(They kiss again, and Phoebe looks at the ring.)
二人はまたキスをして、フィービーは指輪を見る。
マイクがやろうとしているプロポーズを、毎回邪魔してしまうことで、フィービーはごめんなさいと謝っています。
それに対してマイクは、「いいや(君が悪いんじゃない)。僕のせいだ、僕が悪いんだ」と言って、I keep trying 以下のセリフを言っています。
前から順番に訳すと、「僕はこういうバカな方法でプロポースしようとし続ける。そして僕がしたいことは、君に that 以下のことを言うことだけだ」になるでしょう。
「僕はバカな方法を使ってプロポーズしようと試みてきたけど、本当は君にただこう伝えたいだけなのに」と、趣向を凝らすことばかり考えていた自分を反省する言葉を述べているわけですね。
マイクがフィービーに言いたかったことは、「愛してる」そして「僕の残りの人生を君と一緒に過ごしたい」ということ。
「ただ、こう言いたかっただけなのに」と言葉にしたことで、「そうだ、方法なんか考えずにただそれを伝えればいいんじゃないか」と自分で気づいた様子のマイクは、I'm gonna do this now. 「今(から)僕はこれをするよ」と言います。
つまり、これからプロポーズの言葉を述べるつもり、ということなので、フィービーは驚きの声を上げていますね。
そして、プロポーズのお決まりポーズである、「女性の前にひざまずく」というポーズを取って、言葉を始めようとするマイクですが、フィービーは「待って」と言って、これから指輪がはめられることになる、左手の薬指にはめていた指輪を外します。
それを見て、マイクはプロポーズを始めようとしますが、フィービーはまた「待って」と言って、薬指以外にもつけている左手の指輪を全部外すことになります。
フィービーのファッションはいつも独特で、特にアクセサリーは派手でゴテゴテしたもの(ごめんw)をつけていることが多いですね。
今回も、両手の指にやたらと指輪を、それもごっつくてでっかい指輪をいっぱいはめていたのですが、右手はそのままながら、左手だけは「マイクから指輪をもらう手」にする準備として、それを全部外したことになります。
ト書きにあるように、親指にまで指輪をはめていて、「どんだけ指輪つけてんねん」とツッコミ入れたくなる感じですが、普段からそういう感じのファッションをしている人なので、今回は「特に指輪の数が多い」とは思うものの、いつものフィービーのイメージからかけ離れたものでもなく、フィービーらしいシーンになっていると思いました。
「準備はいい?」と聞いたマイクは、ついにきちんとプロポーズするためのひざまずく体勢になって、自分の気持ちを述べています。
まず最初に、愛してる、と言った後の、There's no one else というセリフについて。
前から順番に訳すと、「世界に(君の)他にはいない」「僕と結婚してと請うのは」「3回(も)」になるでしょう。
自然な日本語にすると、「僕と結婚してと3回も言う相手は、世界中で君の他にはいない」ということですが、ちょっと間を置いて付け足しのように「それも3回目もね」と言ったところに、プロポーズをしようとしては何度も失敗したこれまでの経緯をジョークっぽく盛り込んだことになるでしょう。
その後、「君を大切にしたい、君と子供を持ちたい、君と一緒に年を取りたい」という自分の望みを述べた後、フィービーの名前をフルネームで呼んで、定番の will you marry me? と言うことになります。
今回は、「どんなプロポーズでもイエスと言うわ」と断言していましたし、手から指輪を外して、マイクにはめてもらう準備も万全でしたから、フィービーはもちろん素直に Yes. と言って嬉しそうな顔をしています。
観客からも嬉しそうな歓声が上がっていますね。
その後のセリフ、"I love you." "I love you more." "Not possible." というやりとりも素敵ですね。
マイクに「(僕は君を)愛してる」と言われたことで、フィービーは「私の方があなたをもっと愛してるわ」という意味で more をつけたのですが、それに対してマイクは、「僕の方がさらにもっと愛してる」のような「もっと合戦」には持ち込まず、フィービーの発言に対して、「(そんなことは)不可能だ、無理だ」と表現しています。
フィービーが、「マイクが私を愛しているよりも、私はもっとマイクを愛してるわ」と答えたことについて、「そんなことはできっこない。僕より愛してるなんてありえない。だって僕はこれ以上ないっていうくらい、誰も僕に勝てないくらい、君を愛してるんだから」と言っていることになるわけです。
「それ以上〜するのは無理である」→「最高に〜する」という意味になるのは、I couldn't agree (with you) more. 「これ以上あなたに同意することはできない」→「最高に同意している。大賛成だ」という文章と同じことですね。
そうして二人は幸せそうなキスをし、その後、マイクは笑顔で周囲の人に聞こえるように、She's gonna be Mrs. No Balls! と言っています。
「彼女(フィービー)は、タマなし夫人になるんだ!」ということですが、それは自分のことを「タマなし(根性なし、男らしくない)」のように言っていたことを受けて、「そんな風に言われてた僕だけど、その僕も結婚して妻を持つんだよ!」ということを、自虐的なフレーズを使って誇らしげに言った、という面白さになるわけですね。
チャンドラー&モニカのようなフレンズ内のカップルではありませんが、フィービーとマイクはとてもお似合いだと思いますし、フレンズのメンバーであるフィービーがこうして結婚することになったのはやはりファンとして嬉しいですね♪
プロポーズのセリフというものは、愛を伝える一番のセリフでもあるわけです。
たまたま昨日バレンタインデーで、一日遅れとはなりますが、上のような「愛のセリフ」を記事で紹介することになったのはタイムリーだったように思いました(^^)
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2016年02月12日
ケーキの中にそれを隠す フレンズ10-5その5
皆様の応援のお陰で、現在、「人気ブログランキング」は8位、「にほんブログ村」も8位です。
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マイクがプロポーズする前に、その方法をけなしてしまったフィービーは、「もうこれで二度とプロポーズしてくれないわ」とフレンズたちに嘆いています。
モニカに、「女の方からプロポーズするのもアリよ」とアドバイスされて、フィービーは、マイクがやろうとしていた「バスケの試合の大きなスクリーンでプロポーズする」という方法を使って、フィービーの方からプロポーズします。
ですが、言われたマイクは困惑した表情で、さらには場内アナウンサーにも、
アナウンサー: Get a load of this. She's proposing to him! Guess we know who wears the pants in that family. (これをよくお聞き下さい。彼女が彼に[女性から男性に]プロポーズしています! (二人が結婚した)その家庭で、どちらが主導権を握るかわかりますよね。)
と言われてしまいます。
まわりの観客からも大ブーイングされ、フィービーは怒り、マイクはさらに困惑することになってしまった、、、その後のシーン。
[Scene: Mike and Phoebe at a restaurant.]
マイクとフィービーはレストランにいる。
フィービー: That woman at the game didn't know what she was talking about, Mike. Obviously, you have balls. (試合の時のあの女性は、自分の言っていることがわかってなかったのよ。マイク、間違いなく、あなたはタマありよ。)
マイク: Please, let's just forget the whole thing. (頼むよ、その件については全部忘れて。)
フィービー: (the waiter puts a piece of cake on the table) I would love it. Consider it forgotten. ([ウェイターがテーブルに一切れのケーキを置く] それがいいわね。もう忘れたわ。)
マイク: Thank you. (ありがとう。)
フィービー: But just so you know. However and whenever you decide to propose, I promise I'll say yes. Whether, whether, you know, it's at a basketball game, or in skywriting, or, you know, like some lame guy in a cheesy movie who hides it in the cake. (でも、言っとくけどね。どんな風に、そしていつあなたがプロポーズすることを決めたとしても、私はイエスって言うって約束するわ。ほら、バスケの試合でも、空中に文字を書いても、それから、それ(指輪)をケーキの中に隠したりするような、B級映画のダサい男みたいでもね。)
(Mike's face changes from happy to sad, and he looks at the cake, disappointed.)
マイクの顔が幸せから悲しみにに変わり、彼はがっかりした様子でケーキを見る。
フィービー: It's in the cake, isn't it? (指輪がそのケーキの中に入ってるのね?)
マイク: (puts on a fake smile) Where else would lame Mr. No Balls hide it? (he takes the ring from the cake, and cleans it with a napkin) ([作り笑いをして] ダサい「タマなし男」がそれを他のどこに隠すっていうの? [マイクはケーキから指輪を取って、それをナプキンで拭く])
フィービー: What's the matter with me? How do I keep ruining this? I'm sorry. I'm sorry! (私はどうしちゃったの? どうしてこういうのをダメにし続けちゃうの? ごめんなさい、ごめんなさい!)
フィービーは、「試合の時のあの女性は、自分の言っていることがわかってなかった」と言った後、you have balls. と言っています。
have balls は一般的には「根性がある、勇気がある」という意味で使われますが、元々のダイレクトな意味で表現すると、「(男性が)タマを持っている、タマがある」というような感覚になります。
フィービーが you have balls. と言った後、ラフトラック(観客の笑い声)が起こっているのも、そのような「タマがある」というニュアンスで使っていることがわかるからですね。
「試合の時のあの女性の発言はおかしいわ。だってあなたは間違いなくタマありだもの」みたいに言っているのは、「女性から男性にプロポーズしたことで、ブーイングを受けた」ことについての話ですね。
アナウンサーが言っていた、wear the pants (in the family) を直訳すると、「パンツをはく」ということですが、これは「(家庭での)主導権を握る、家を仕切る」という意味で、主語が女性の場合だと、「妻が夫を尻に敷く、かかあ天下である」という意味で使われます。
プロポーズの時点から、女性側がリードしているようでは、この先、結婚しても、女性がリードし続けるに違いない、夫は妻の言いなりになって、尻に敷かれるのは間違いない、みたいに、アナウンサーに言われてしまったわけですね。
レストランでのフィービーのセリフでは、That woman at the game となっていますが、アナウンサーは男性だったので、フィービーは(そのシーンには出てこなかったけれども)観客の女性の誰かが言った発言について、ここで語っていることになるでしょう。
「あの女性は自分が言ってることがわかってなかったのよ。あなたはタマありよ」と言っていることから考えて、He has no balls. 「あの男性はタマなしね」みたいにマイクのことをけなした、ヤジを飛ばした女性がいたであろうことが想像できるわけですね。
フィービーは「みんなが何て言おうと、あなたは立派な男よ」と慰めようとしているわけですが、マイクはその時のことは思い出したくもないらしく、「その件は全部忘れようよ」と言っています。
フィービーもそれに同意する形で、I would love it. Consider it forgotten. と言うことになります。
I would love it. は「私もそうしたい、それがいいと思う」という感覚。
Consider it forgotten. は、Consider it to be forgotten. 「それを忘れられたとみなして・考えて」の to be が省略された形と考えればよいでしょう。
「それはもう忘れられたと考えて」→「もう忘れたわ。忘れたから安心してね」という感覚ですね。
同じような形の決まり文句として、Consider it done. というものがありますが、それも「それが済んだ(もの)と考えて」という意味から、人に頼まれごとをした場合の了解の返事「わかった。任せて。喜んでそうするよ」として使われます。
その後フィービーは、「どんな風に、いつ、あなたがプロポーズするって決めても、私は必ずイエスと言うわ」と言っています。
「今度プロポーズされた時には、どんな状況でもイエスって言うからね」ということをフィービーの方から言うことで、すっかりプロポーズすることが怖くなっているであろうマイクを励ました感じになるでしょう。
その後、whether A or B or C 「A であろうと、B であろうと、(はたまた)C であろうと(いずれにしても)」と譲歩の副詞節を使っています。
A, B, C みたいなプロポーズであっても、私はイエスって言うからね、ということで、「バスケの試合でも」を筆頭に、その後、2つの例を挙げています。
skywriting は、「空に書く(こと)」という意味から、何となくイメージが湧きますが、「飛行機で空中に文字を書くこと」ですね。
3番目の例の、like some lame guy in a cheesy movie who hides it in the cake について。
cheesy は「安っぽい、低級の、B級の」なので、「それをケーキの中に隠す、B級映画の(ある)ダサい男のように」と言っていることになります。
「it をケーキの中に隠す」と表現していますが、これは映画などでよく見かける「指輪をケーキの中に隠す」ことを指しています。
「B級映画のダサい男みたいに」と言っているように、安っぽい映画でよく見かけるシーンなので、あえて a ring と表現しなくても、it だけでわかるわけですね。
アリー my Love (原題: Ally McBeal)の、シーズン4第22話「運命のいたずら」(原題: Home Again)にも、そういうシーンがありました。
「安っぽい映画で、ダサい男がよくやるような、ケーキの中に指輪っていうプロポーズであっても、私はイエスって言うわよ」みたいに「ダサいプロポーズの例」として挙げたわけですが、それを聞いたマイクががっかりした顔で、今運ばれてきたばかりの目の前のケーキに視線を落としたので、フィービーはまた、自分が失言したことに気づきます。
ここでも、a ring ではなく、it を使って、It's in the cake, isn't it? 「それがそのケーキの中に入ってるのね?」とフィービーは尋ねることになります。
「試合の大スクリーンでのプロポーズ」に続き、「ケーキの中に指輪」というプロポーズもけなされてしまったマイクは、寂しそうな作り笑いを浮かべて、Where else would lame Mr. No Balls hide it? と言っています。
直訳すると、「ダサい、ミスター・ノー・ボールズが、それを他のどこに隠すっていうの?」みたいな感じですね。
前回の「大スクリーンでのプロポーズ」で、no balls のように言われたことを受けて、「男らしさのかけらもないダサい僕が指輪を隠すといったら、(同じような男がよくやる)ケーキの中に隠す以外にはないだろ? それ以外のおしゃれな場所に隠すわけないだろ」みたいなところですね。
no balls や lame という言葉を使って、自分のプロポーズのダサさ加減を自虐的に言ってみせている感覚です。
またもや、マイクがやろうとしていたプロポーズを、直前にけなしてしまったことで、フィービーは、「私ったら一体どうしちゃったの?」と言っています。
How do I keep ruining this? を直訳すると、「どのようにして、私はこれをダメにし続けるの?」ということですから、マイクがプロポーズしようとするのをことごとくダメにしてしまうという自分の言動が自分自身で信じられないと言っているニュアンスになるわけですね。
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マイクがプロポーズする前に、その方法をけなしてしまったフィービーは、「もうこれで二度とプロポーズしてくれないわ」とフレンズたちに嘆いています。
モニカに、「女の方からプロポーズするのもアリよ」とアドバイスされて、フィービーは、マイクがやろうとしていた「バスケの試合の大きなスクリーンでプロポーズする」という方法を使って、フィービーの方からプロポーズします。
ですが、言われたマイクは困惑した表情で、さらには場内アナウンサーにも、
アナウンサー: Get a load of this. She's proposing to him! Guess we know who wears the pants in that family. (これをよくお聞き下さい。彼女が彼に[女性から男性に]プロポーズしています! (二人が結婚した)その家庭で、どちらが主導権を握るかわかりますよね。)
と言われてしまいます。
まわりの観客からも大ブーイングされ、フィービーは怒り、マイクはさらに困惑することになってしまった、、、その後のシーン。
[Scene: Mike and Phoebe at a restaurant.]
マイクとフィービーはレストランにいる。
フィービー: That woman at the game didn't know what she was talking about, Mike. Obviously, you have balls. (試合の時のあの女性は、自分の言っていることがわかってなかったのよ。マイク、間違いなく、あなたはタマありよ。)
マイク: Please, let's just forget the whole thing. (頼むよ、その件については全部忘れて。)
フィービー: (the waiter puts a piece of cake on the table) I would love it. Consider it forgotten. ([ウェイターがテーブルに一切れのケーキを置く] それがいいわね。もう忘れたわ。)
マイク: Thank you. (ありがとう。)
フィービー: But just so you know. However and whenever you decide to propose, I promise I'll say yes. Whether, whether, you know, it's at a basketball game, or in skywriting, or, you know, like some lame guy in a cheesy movie who hides it in the cake. (でも、言っとくけどね。どんな風に、そしていつあなたがプロポーズすることを決めたとしても、私はイエスって言うって約束するわ。ほら、バスケの試合でも、空中に文字を書いても、それから、それ(指輪)をケーキの中に隠したりするような、B級映画のダサい男みたいでもね。)
(Mike's face changes from happy to sad, and he looks at the cake, disappointed.)
マイクの顔が幸せから悲しみにに変わり、彼はがっかりした様子でケーキを見る。
フィービー: It's in the cake, isn't it? (指輪がそのケーキの中に入ってるのね?)
マイク: (puts on a fake smile) Where else would lame Mr. No Balls hide it? (he takes the ring from the cake, and cleans it with a napkin) ([作り笑いをして] ダサい「タマなし男」がそれを他のどこに隠すっていうの? [マイクはケーキから指輪を取って、それをナプキンで拭く])
フィービー: What's the matter with me? How do I keep ruining this? I'm sorry. I'm sorry! (私はどうしちゃったの? どうしてこういうのをダメにし続けちゃうの? ごめんなさい、ごめんなさい!)
フィービーは、「試合の時のあの女性は、自分の言っていることがわかってなかった」と言った後、you have balls. と言っています。
have balls は一般的には「根性がある、勇気がある」という意味で使われますが、元々のダイレクトな意味で表現すると、「(男性が)タマを持っている、タマがある」というような感覚になります。
フィービーが you have balls. と言った後、ラフトラック(観客の笑い声)が起こっているのも、そのような「タマがある」というニュアンスで使っていることがわかるからですね。
「試合の時のあの女性の発言はおかしいわ。だってあなたは間違いなくタマありだもの」みたいに言っているのは、「女性から男性にプロポーズしたことで、ブーイングを受けた」ことについての話ですね。
アナウンサーが言っていた、wear the pants (in the family) を直訳すると、「パンツをはく」ということですが、これは「(家庭での)主導権を握る、家を仕切る」という意味で、主語が女性の場合だと、「妻が夫を尻に敷く、かかあ天下である」という意味で使われます。
プロポーズの時点から、女性側がリードしているようでは、この先、結婚しても、女性がリードし続けるに違いない、夫は妻の言いなりになって、尻に敷かれるのは間違いない、みたいに、アナウンサーに言われてしまったわけですね。
レストランでのフィービーのセリフでは、That woman at the game となっていますが、アナウンサーは男性だったので、フィービーは(そのシーンには出てこなかったけれども)観客の女性の誰かが言った発言について、ここで語っていることになるでしょう。
「あの女性は自分が言ってることがわかってなかったのよ。あなたはタマありよ」と言っていることから考えて、He has no balls. 「あの男性はタマなしね」みたいにマイクのことをけなした、ヤジを飛ばした女性がいたであろうことが想像できるわけですね。
フィービーは「みんなが何て言おうと、あなたは立派な男よ」と慰めようとしているわけですが、マイクはその時のことは思い出したくもないらしく、「その件は全部忘れようよ」と言っています。
フィービーもそれに同意する形で、I would love it. Consider it forgotten. と言うことになります。
I would love it. は「私もそうしたい、それがいいと思う」という感覚。
Consider it forgotten. は、Consider it to be forgotten. 「それを忘れられたとみなして・考えて」の to be が省略された形と考えればよいでしょう。
「それはもう忘れられたと考えて」→「もう忘れたわ。忘れたから安心してね」という感覚ですね。
同じような形の決まり文句として、Consider it done. というものがありますが、それも「それが済んだ(もの)と考えて」という意味から、人に頼まれごとをした場合の了解の返事「わかった。任せて。喜んでそうするよ」として使われます。
その後フィービーは、「どんな風に、いつ、あなたがプロポーズするって決めても、私は必ずイエスと言うわ」と言っています。
「今度プロポーズされた時には、どんな状況でもイエスって言うからね」ということをフィービーの方から言うことで、すっかりプロポーズすることが怖くなっているであろうマイクを励ました感じになるでしょう。
その後、whether A or B or C 「A であろうと、B であろうと、(はたまた)C であろうと(いずれにしても)」と譲歩の副詞節を使っています。
A, B, C みたいなプロポーズであっても、私はイエスって言うからね、ということで、「バスケの試合でも」を筆頭に、その後、2つの例を挙げています。
skywriting は、「空に書く(こと)」という意味から、何となくイメージが湧きますが、「飛行機で空中に文字を書くこと」ですね。
3番目の例の、like some lame guy in a cheesy movie who hides it in the cake について。
cheesy は「安っぽい、低級の、B級の」なので、「それをケーキの中に隠す、B級映画の(ある)ダサい男のように」と言っていることになります。
「it をケーキの中に隠す」と表現していますが、これは映画などでよく見かける「指輪をケーキの中に隠す」ことを指しています。
「B級映画のダサい男みたいに」と言っているように、安っぽい映画でよく見かけるシーンなので、あえて a ring と表現しなくても、it だけでわかるわけですね。
アリー my Love (原題: Ally McBeal)の、シーズン4第22話「運命のいたずら」(原題: Home Again)にも、そういうシーンがありました。
「安っぽい映画で、ダサい男がよくやるような、ケーキの中に指輪っていうプロポーズであっても、私はイエスって言うわよ」みたいに「ダサいプロポーズの例」として挙げたわけですが、それを聞いたマイクががっかりした顔で、今運ばれてきたばかりの目の前のケーキに視線を落としたので、フィービーはまた、自分が失言したことに気づきます。
ここでも、a ring ではなく、it を使って、It's in the cake, isn't it? 「それがそのケーキの中に入ってるのね?」とフィービーは尋ねることになります。
「試合の大スクリーンでのプロポーズ」に続き、「ケーキの中に指輪」というプロポーズもけなされてしまったマイクは、寂しそうな作り笑いを浮かべて、Where else would lame Mr. No Balls hide it? と言っています。
直訳すると、「ダサい、ミスター・ノー・ボールズが、それを他のどこに隠すっていうの?」みたいな感じですね。
前回の「大スクリーンでのプロポーズ」で、no balls のように言われたことを受けて、「男らしさのかけらもないダサい僕が指輪を隠すといったら、(同じような男がよくやる)ケーキの中に隠す以外にはないだろ? それ以外のおしゃれな場所に隠すわけないだろ」みたいなところですね。
no balls や lame という言葉を使って、自分のプロポーズのダサさ加減を自虐的に言ってみせている感覚です。
またもや、マイクがやろうとしていたプロポーズを、直前にけなしてしまったことで、フィービーは、「私ったら一体どうしちゃったの?」と言っています。
How do I keep ruining this? を直訳すると、「どのようにして、私はこれをダメにし続けるの?」ということですから、マイクがプロポーズしようとするのをことごとくダメにしてしまうという自分の言動が自分自身で信じられないと言っているニュアンスになるわけですね。
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2016年02月10日
もし俺が男なら、って言った? フレンズ10-5その4
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チャンドラーとモニカのアパートメントに入ってきたフィービーは、マジソン・スクエア・ガーデンで起こった出来事を、フレンズたちに話して聞かせています。
フィービー: We were at the game. And this guy proposed to his girlfriend on the big screen thing.... (私とマイクは試合を見ていたの。それで、ある男性が彼女にプロポースしたのよ、大きなスクリーン(のやつ)で…)
レイチェル: Oh, that is so tacky. (あぁ、あれはすっごく悪趣味よね。)
フィービー: Well, that's what I said. But it turns out Mike was planning on proposing to me that same way last night! (えぇ、私もそう言ったのよ。でも、昨日の晩、マイクが私に、それと同じ方法でプロポーズするつもりだったことがわかったのよ。)
モニカ: Oh, my God. Mike was gonna propose? (なんてこと。マイクはプロポーズするつもりだったの?)
レイチェル: Phoebe, that's huge! (フィービー、それっておおごとよ!)
ロス: Well, do you wanna marry him? (あぁ、君は彼と結婚したいの?)
フィービー: Yeah, I really do! Yes. But after I dumped on the way he was gonna propose to me, I don't think he's ever gonna ask again! I mean, I said no in Barbados, and now this? (うん、本当に結婚したいわ! そうよ。でも、彼が私にプロポーズしようとしていたやり方をけなした後じゃ、彼がもう一度、申し込んでくれるとは思えないわ! ほら、私はバルバドスでもノーと言ったでしょ、それで今はこれでしょ?)
チャンドラー: She's right! If I were a guy and.... (stops himself mid-sentence...everyone stares at him) Did I just say, "If I were a guy"? (フィービーの意見は正しいよ!もし俺が男なら… [文の途中で自分の発言を止める、みんながチャンドラーをじっと見る] 今、俺、「もし俺が男なら」って言った?)
モニカ: Maybe you don't need him to propose to you. Maybe you could propose to him! (多分、マイクからあなたにプロポーズしてもらう必要なんかないわよ。あなたが彼にプロポーズすることもできるんじゃない?)
フィービー: Oh, I don't know. I don't know. Isn't that a little desperate? (あぁ、どうかな。わからないわ。それってちょっと、必死じゃない[がっついてない]?)
モニカ: I proposed to Chandler! (Phoebe stops herself from laughing) Alright, moving on. (私は(私から)チャンドラーにプロポーズしたわ! [フィービーは笑っていたのをやめる] いいわ、続けましょう。)
チャンドラー: Oh, I don't think it was desperate. I think it was amazing! (あぁ、俺はがっついてたとは思わない。素晴らしかったと思うよ!)
モニカ: Thank you. (ありがとう。)
フィービーは、「私たちは試合を見ていて、その時に、ある男性がプロポーズした」と説明しています。
this guy = a guy 「ある男性」というニュアンスですね。
on the big screen thing の thing は、「〜のようなもの、〜のようなやつ」という感覚。
あのスクリーンの名前としては、ただ、the big screen と表現すればそれで良いわけでしょうが、男性陣ほどスポーツ観戦に詳しいわけではないので、専門的な名前や正式名称を知らないという意味で断言を避け、「あのビッグ・スクリーンみたいなやつ」と表現した感覚になるでしょう。
「大きなスクリーンでプロポーズした」という説明で、そういう演出のプロポーズだとわかったレイチェルは、「あぁ、あれはすっごく悪趣味(tacky)よね」とけなしています。
tacky という形容詞は、マイクと試合を見ている時にもフィービーが使っていた言葉ですね。
それでフィービーは、that's what I said. 「それ(今のレイチェルの発言)は、私が言ったことである」→「私も(あの時)そう言ったの[今レイチェルが言ったように、tacky だと言ったの]」と説明することになります。
「ね、ああいうプロポーズって、tacky だと思うでしょ? 私も実際にそう言ったのよ、でも…」と続けて、「昨日の晩、マイクが私に、それと同じ方法でプロポーズするつもりだったことがわかったの」と言っています。
フィービーから propose という言葉が出たので、フレンズたちは、「そうなの? それっておおごとよ!」と大騒ぎしています。
ロスに、「フィービー(の方)は、マイクと結婚したいと思ってるわけ?」と聞かれたフィービーは、「私は本当に結婚したいと思ってるわ! そうよ」と肯定するのですが、その後、But after... のセリフを言っています。
シンプルな構造にすると、「私が〜した後(では)、彼が…するとは思えない」ということですね。
dump は「ダンプカー」のダンプで、他動詞としては、「ごみなどを(投げ)捨てる、どさりと下ろす」という意味があります。
フレンズでは「(人を)ふる」という意味で使われることが多いですね。
今回の文では、dump on の形になっていますが、dump on で「〜をけなす、批判する」という意味になります。
LAAD (Longman Advanced American Dictionary) では、
dump on [phrasal verb] (informal) :
dump on somebody
to criticize someone very strongly and often unfairly
つまり、「非常に強く、しばしば不当に、人を批判すること」。
ロングマンの例では、dump on+人、の形になっていますが、今回のセリフでは、それを the way he was gonnna 「彼が〜しようとした方法」に対して使っていることになるでしょう。
つまり、「彼は、大きなスクリーンを使ってプロポーズしようとしていたのに、その方法を私がけなしてしまった後では、彼がもう一度、私にプロポーズしてくれるとは思えないわ」ということですね。
さらにそれが初めてのことではなく、わざわざバルバドスまで追いかけてプロポーズしてくれたマイクに対して、フィービーは既に一度、ノーと言っていますので、「バルバドスでもノーと言って、今はこんな風にプロポーズする前に方法をけなしちゃって」と言っていることになります。
それを聞いていたチャンドラーは、「フィービー(の言うこと)は正しいよ!」と言った後に、If I were a guy and.... と話を続けようとするのですが、そこまで言ったところで発言をストップし、フレンズたちも「今、何て言った?」という顔でチャンドラーを見つめています。
If I were a guy というのは、典型的な「仮定法過去」ですね。
現在の事実とは異なる仮定をする場合に、過去形の were が使われる、ということで、If I were... のように、「仮定法過去」を使ったということは、すなわち、「実際には、I am a guy ではない」と言っていることになってしまうわけです。
実際には男であるはずの(笑)チャンドラーが、仮定法過去を使って、「(事実とは異なり)もし俺が男なら」のように表現したので、フレンズたちも「え?」となったわけですね。
「もし俺が男なら、、って、じゃあチャンドラーは男じゃないわけ? 自分で男じゃないって認めたわけ?」とツッコミたくなるわけです。
チャンドラーも、自身の発言のおかしさに気づき、「今、俺、「もし俺が男なら」って言ったよね?」と、自らその発言の奇妙さについて語ることになります。
ゲイ疑惑をもたれたり、女子っぽい部分があることを指摘されたりするチャンドラーなので、こういう「自爆したかのような発言」がジョークになるわけですね。
モニカは、Maybe 「多分(〜なんじゃないかしら、〜だと思うわ)」を使って、プロポーズについてのアドバイスをしています。
最初の文を直訳すると、「(多分)あなたは、彼にプロポーズしてもらう必要がない」ですね。
2つ目の文は、「(多分)あなたが彼にプロポーズできる」になります。
「1回目は断って、2回目は方法をけなしちゃって、もう二度とマイクはプロポーズしてくれないわ」と言ったのを受けて、「別に彼にプロポーズしてもらわなくても、あなたから彼にプロポーズすればいいのよ」と助言したことになります。
それを聞いたフィービーは、「どうかしらね、わからないわ」と言った後、「それってちょっと desperate じゃない?」と言っています。
アメリカの人気ドラマ「デスパレートな妻たち(原題: Desperate Housewives)」というのもありますから、「デスパレート」というカタカナでもイメージはわきますが、日本語だと「必死の、死に物狂いの」というところですね。
DVDの日本語音声では、「だって、それってなんか、がっついてない?」と訳されていましたが、「がっつく、がっついている」というニュアンスも、このセリフにはよく合っていますよね。
フィービーに言わせると、「女の方からプロポーズするなんて、必死すぎる、がっついてるように見える」ということですが、そう言われたモニカは、「私はチャンドラーにプロポーズしたわ!」と言っています。
「がっついてるみたいでかっこ悪いと言いたいようだけど、私たちの場合は、女の私からプロポーズしたんだけど!」と言っているわけですね。
「私からチャンドラーにプロポーズした」というのは、過去記事、可能だと思った以上に幸せにする フレンズ6-25その6 に出てきましたね。
モニカが片膝をつくこのシーンは、何度見ても泣けてしまう、フレンズ屈指の名シーンだと思うのですが、それを後のエピソードで、ジョークの流れとして使うところもまた、フレンズっぽくていいですね。
この、フレンズ6-25 でのプロポーズシーンは、ジョーイが扉を閉めた後、チャンドラーとモニカが二人きりになった後で行われたものではありましたが、「どんな風にプロポーズしたのか」という詳しい状況について、他のフレンズたちにも後ほど話して聞かせたことでしょうし、「最初はモニカの方からプロポーズしようとした」ということも、フィービーは多分、知っていたのではないかと思います。
モニカとしては、「私がチャンドラーにプロポーズしたことを知っていて、その私の前で、”女の方からプロポーズなんて、がっついてない?”なんて言うわけ?」という気持ちだったのでしょう。
そんな風に怒っているモニカを見て、チャンドラーは「俺は(あのプロポーズが)がっついた必死なものだとは思わなかったよ。素晴らしいと、素敵だと思ったよ」とフォローし、モニカも素直に「ありがとう」と返すことになるわけですね。
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チャンドラーとモニカのアパートメントに入ってきたフィービーは、マジソン・スクエア・ガーデンで起こった出来事を、フレンズたちに話して聞かせています。
フィービー: We were at the game. And this guy proposed to his girlfriend on the big screen thing.... (私とマイクは試合を見ていたの。それで、ある男性が彼女にプロポースしたのよ、大きなスクリーン(のやつ)で…)
レイチェル: Oh, that is so tacky. (あぁ、あれはすっごく悪趣味よね。)
フィービー: Well, that's what I said. But it turns out Mike was planning on proposing to me that same way last night! (えぇ、私もそう言ったのよ。でも、昨日の晩、マイクが私に、それと同じ方法でプロポーズするつもりだったことがわかったのよ。)
モニカ: Oh, my God. Mike was gonna propose? (なんてこと。マイクはプロポーズするつもりだったの?)
レイチェル: Phoebe, that's huge! (フィービー、それっておおごとよ!)
ロス: Well, do you wanna marry him? (あぁ、君は彼と結婚したいの?)
フィービー: Yeah, I really do! Yes. But after I dumped on the way he was gonna propose to me, I don't think he's ever gonna ask again! I mean, I said no in Barbados, and now this? (うん、本当に結婚したいわ! そうよ。でも、彼が私にプロポーズしようとしていたやり方をけなした後じゃ、彼がもう一度、申し込んでくれるとは思えないわ! ほら、私はバルバドスでもノーと言ったでしょ、それで今はこれでしょ?)
チャンドラー: She's right! If I were a guy and.... (stops himself mid-sentence...everyone stares at him) Did I just say, "If I were a guy"? (フィービーの意見は正しいよ!もし俺が男なら… [文の途中で自分の発言を止める、みんながチャンドラーをじっと見る] 今、俺、「もし俺が男なら」って言った?)
モニカ: Maybe you don't need him to propose to you. Maybe you could propose to him! (多分、マイクからあなたにプロポーズしてもらう必要なんかないわよ。あなたが彼にプロポーズすることもできるんじゃない?)
フィービー: Oh, I don't know. I don't know. Isn't that a little desperate? (あぁ、どうかな。わからないわ。それってちょっと、必死じゃない[がっついてない]?)
モニカ: I proposed to Chandler! (Phoebe stops herself from laughing) Alright, moving on. (私は(私から)チャンドラーにプロポーズしたわ! [フィービーは笑っていたのをやめる] いいわ、続けましょう。)
チャンドラー: Oh, I don't think it was desperate. I think it was amazing! (あぁ、俺はがっついてたとは思わない。素晴らしかったと思うよ!)
モニカ: Thank you. (ありがとう。)
フィービーは、「私たちは試合を見ていて、その時に、ある男性がプロポーズした」と説明しています。
this guy = a guy 「ある男性」というニュアンスですね。
on the big screen thing の thing は、「〜のようなもの、〜のようなやつ」という感覚。
あのスクリーンの名前としては、ただ、the big screen と表現すればそれで良いわけでしょうが、男性陣ほどスポーツ観戦に詳しいわけではないので、専門的な名前や正式名称を知らないという意味で断言を避け、「あのビッグ・スクリーンみたいなやつ」と表現した感覚になるでしょう。
「大きなスクリーンでプロポーズした」という説明で、そういう演出のプロポーズだとわかったレイチェルは、「あぁ、あれはすっごく悪趣味(tacky)よね」とけなしています。
tacky という形容詞は、マイクと試合を見ている時にもフィービーが使っていた言葉ですね。
それでフィービーは、that's what I said. 「それ(今のレイチェルの発言)は、私が言ったことである」→「私も(あの時)そう言ったの[今レイチェルが言ったように、tacky だと言ったの]」と説明することになります。
「ね、ああいうプロポーズって、tacky だと思うでしょ? 私も実際にそう言ったのよ、でも…」と続けて、「昨日の晩、マイクが私に、それと同じ方法でプロポーズするつもりだったことがわかったの」と言っています。
フィービーから propose という言葉が出たので、フレンズたちは、「そうなの? それっておおごとよ!」と大騒ぎしています。
ロスに、「フィービー(の方)は、マイクと結婚したいと思ってるわけ?」と聞かれたフィービーは、「私は本当に結婚したいと思ってるわ! そうよ」と肯定するのですが、その後、But after... のセリフを言っています。
シンプルな構造にすると、「私が〜した後(では)、彼が…するとは思えない」ということですね。
dump は「ダンプカー」のダンプで、他動詞としては、「ごみなどを(投げ)捨てる、どさりと下ろす」という意味があります。
フレンズでは「(人を)ふる」という意味で使われることが多いですね。
今回の文では、dump on の形になっていますが、dump on で「〜をけなす、批判する」という意味になります。
LAAD (Longman Advanced American Dictionary) では、
dump on [phrasal verb] (informal) :
dump on somebody
to criticize someone very strongly and often unfairly
つまり、「非常に強く、しばしば不当に、人を批判すること」。
ロングマンの例では、dump on+人、の形になっていますが、今回のセリフでは、それを the way he was gonnna 「彼が〜しようとした方法」に対して使っていることになるでしょう。
つまり、「彼は、大きなスクリーンを使ってプロポーズしようとしていたのに、その方法を私がけなしてしまった後では、彼がもう一度、私にプロポーズしてくれるとは思えないわ」ということですね。
さらにそれが初めてのことではなく、わざわざバルバドスまで追いかけてプロポーズしてくれたマイクに対して、フィービーは既に一度、ノーと言っていますので、「バルバドスでもノーと言って、今はこんな風にプロポーズする前に方法をけなしちゃって」と言っていることになります。
それを聞いていたチャンドラーは、「フィービー(の言うこと)は正しいよ!」と言った後に、If I were a guy and.... と話を続けようとするのですが、そこまで言ったところで発言をストップし、フレンズたちも「今、何て言った?」という顔でチャンドラーを見つめています。
If I were a guy というのは、典型的な「仮定法過去」ですね。
現在の事実とは異なる仮定をする場合に、過去形の were が使われる、ということで、If I were... のように、「仮定法過去」を使ったということは、すなわち、「実際には、I am a guy ではない」と言っていることになってしまうわけです。
実際には男であるはずの(笑)チャンドラーが、仮定法過去を使って、「(事実とは異なり)もし俺が男なら」のように表現したので、フレンズたちも「え?」となったわけですね。
「もし俺が男なら、、って、じゃあチャンドラーは男じゃないわけ? 自分で男じゃないって認めたわけ?」とツッコミたくなるわけです。
チャンドラーも、自身の発言のおかしさに気づき、「今、俺、「もし俺が男なら」って言ったよね?」と、自らその発言の奇妙さについて語ることになります。
ゲイ疑惑をもたれたり、女子っぽい部分があることを指摘されたりするチャンドラーなので、こういう「自爆したかのような発言」がジョークになるわけですね。
モニカは、Maybe 「多分(〜なんじゃないかしら、〜だと思うわ)」を使って、プロポーズについてのアドバイスをしています。
最初の文を直訳すると、「(多分)あなたは、彼にプロポーズしてもらう必要がない」ですね。
2つ目の文は、「(多分)あなたが彼にプロポーズできる」になります。
「1回目は断って、2回目は方法をけなしちゃって、もう二度とマイクはプロポーズしてくれないわ」と言ったのを受けて、「別に彼にプロポーズしてもらわなくても、あなたから彼にプロポーズすればいいのよ」と助言したことになります。
それを聞いたフィービーは、「どうかしらね、わからないわ」と言った後、「それってちょっと desperate じゃない?」と言っています。
アメリカの人気ドラマ「デスパレートな妻たち(原題: Desperate Housewives)」というのもありますから、「デスパレート」というカタカナでもイメージはわきますが、日本語だと「必死の、死に物狂いの」というところですね。
DVDの日本語音声では、「だって、それってなんか、がっついてない?」と訳されていましたが、「がっつく、がっついている」というニュアンスも、このセリフにはよく合っていますよね。
フィービーに言わせると、「女の方からプロポーズするなんて、必死すぎる、がっついてるように見える」ということですが、そう言われたモニカは、「私はチャンドラーにプロポーズしたわ!」と言っています。
「がっついてるみたいでかっこ悪いと言いたいようだけど、私たちの場合は、女の私からプロポーズしたんだけど!」と言っているわけですね。
「私からチャンドラーにプロポーズした」というのは、過去記事、可能だと思った以上に幸せにする フレンズ6-25その6 に出てきましたね。
モニカが片膝をつくこのシーンは、何度見ても泣けてしまう、フレンズ屈指の名シーンだと思うのですが、それを後のエピソードで、ジョークの流れとして使うところもまた、フレンズっぽくていいですね。
この、フレンズ6-25 でのプロポーズシーンは、ジョーイが扉を閉めた後、チャンドラーとモニカが二人きりになった後で行われたものではありましたが、「どんな風にプロポーズしたのか」という詳しい状況について、他のフレンズたちにも後ほど話して聞かせたことでしょうし、「最初はモニカの方からプロポーズしようとした」ということも、フィービーは多分、知っていたのではないかと思います。
モニカとしては、「私がチャンドラーにプロポーズしたことを知っていて、その私の前で、”女の方からプロポーズなんて、がっついてない?”なんて言うわけ?」という気持ちだったのでしょう。
そんな風に怒っているモニカを見て、チャンドラーは「俺は(あのプロポーズが)がっついた必死なものだとは思わなかったよ。素晴らしいと、素敵だと思ったよ」とフォローし、モニカも素直に「ありがとう」と返すことになるわけですね。
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2016年02月08日
大動脈ポンプから文を書く フレンズ10-5その3
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[Scene: Monica's apartment. Joey enters the room]
モニカのアパートメント。ジョーイが部屋に入ってくる。
ジョーイ: Hey, finished my recommendation. (he hands it over to Chandler) Here. And I think you'll be very, very happy. It's the longest I ever spent on a computer without looking at porn. (やあ、俺の推薦状、(書き)終わったよ。[それをチャンドラーに手渡す] ほら。お前たちがすごくすごく喜ぶだろうと思うよ。ポルノを見ずにコンピューターを使った時間としては最長だ。)
チャンドラー: (reading) I don't... uh... understand. ([読みながら] わからない[理解できない]んだけど。)
ジョーイ: (sounding very proud of himself) Some of the words are a little too sophisticated for ya? ([自分を非常に誇らしげに思っている様子で] お前たちにはちょっと洗練され過ぎた言葉があるかな。)
モニカ: (also reading it) It doesn't make any sense. ([モニカもそれを読みながら] 全く意味が通じないわ[全く意味不明だわ]。)
ジョーイ: Well, of course it does! It's smart! I used a the-saurus! (もちろん意味は通じるさ[意味が通じるに決まってるさ]! 賢いんだ[賢い文だ]! 俺は、ズィ・ソーラス(ザ・サウルス)を使ったんだぞ!)
チャンドラー: On every word? (あらゆる単語に?)
ジョーイ: Yep! (ああ!)
モニカ: Alright, what was this sentence originally? (shows the sentence to Joey) (いいわ、この文章は元々何だったの? [その文章をジョーイに見せる])
ジョーイ: Oh, "They are warm, nice, people with big hearts." (あぁ、「彼らは温かく、優しい、大きな心を持った人たちです。」)
チャンドラー: And that became, "They are humid, prepossessing Homo Sapiens... with full-sized aortic pumps." (そしてそれがこうなったんだ、「彼らは湿潤(温暖)で、人の心をとらえるようなホモ・サピエンスです… フルサイズの大動脈ポンプ(心臓)を持った。」)
ジョーイ: Yeah. Yeah. And hey, I really mean it, dude. (そうそう。それでほら、俺は心からそう思ってるからね。)
モニカ: All right, Joey, I don't think we can use this. (いいわ、ジョーイ、これは使えないと思うの。)
ジョーイ: Why not? (どうしてダメなの?)
モニカ: Well, because you signed it: "Baby kangaroo Tribbiani." (Joey makes a 'and-what's-wrong-with-that' look) Hey, why don't you stop worrying about sounding smart and just be yourself! (それはあなたがサインしたからよ、”赤ちゃんカンガルー・トリビアーニ”って。[ジョーイは、”で、それの何が悪いの?”という顔をする] ねぇ、賢そうに見えることを気にするのはやめて、ただあなたらしくいたらどう?)
チャンドラー: You know what? You don't need a thesaurus. Just write from here. (points at his own heart) Your full-sized aortic pump. (ねぇ? ジョーイには類語辞典なんか必要ないよ。ただここから書けばいいんだ。[自分自身の心臓を指さして] お前のフルサイズの大動脈ポンプからね。)
部屋に入ってきたジョーイは、「俺の[俺が書くことになっていた]推薦状を(書き)終えたよ」と言って、それをチャンドラーに手渡しています。
「お前たちがすごくすごくハッピーになるだろうと思う」というのは、「それを読んだらきっと喜んでくれると思うよ」ということですね。
It's the longest... の文を直訳すると、「ポルノを見ることなしに、俺が今までコンピューターで時間を過ごした中で最も長い」になるでしょう。
つまり、「エッチなサイトを見たりしないで、こんなに長くコンピューターに向かっていたのは初めて」と言っているわけですね。
その推薦状を読んでいたチャンドラーは、「理解できないんだけど」と言っています。
そう言われたジョーイは、「お前らにとっては、その言葉のいくつかは、ちょっと洗練されすぎてるかな」みたいに、得意げな顔で返します。
ロスに教えてもらった類語辞典(シソーラス)を使って、できるだけ賢く聞こえるような単語に置き換えたことから、「置き換えた単語が難しすぎて、お前らにはわかんないかもね」と言っているのですね。
モニカもそれを読んで、「全く意味が通じない、意味をなさない、意味不明」と言っています。
of course it does! は、その前にモニカが、It doesn't make any sense. と言ったことを受けて、その否定文を肯定文にして反論していることになります。
つまり、of course it makes sense! 「(モニカは意味が通じないって言うけど)もちろん意味は通じるさ[意味は通じるに決まってるさ]!」ということですね。
「賢い文章なんだ」と言って、「俺は、the-saurus を使った」と言っています。
ジョーイの発音は、「ズィ・ソーラス」みたいに、the と saurus の間を区切った感じになっています。
類語辞典という意味の thesaurus は、the の部分は濁らない th なので、thesaurus という言葉をよく知らないジョーイは、ちょっと似たような発音の言葉を言ってみせたことになるでしょう。
saurus というのは、恐竜の名前の語尾につく言葉ですね。
例えば、ティラノサウルスなら、tyrannosaurus となりますが、日本人がローマ字で「サウルス」と呼んでしまいがちな部分は、英語の発音では「ソーラス」になります。
ですから、ジョーイが、the-saurus みたいに区切って言ったのは、「ザ・サウルス」のような恐竜っぽいイメージの言葉として発した感覚なんだろうと思います。
ジョーイは「ズィ・ソーラス」とちょっと変わった発音をしましたが、それでもそれが類語辞典の thesaurus を指していることはチャンドラーにも容易に理解できたようで、チャンドラーはあきれた様子で、「あらゆる単語に(シソーラスを使ったのか)?」と尋ねます。
モニカは、「この文章は元々何だったの?」と言って、文章をジョーイに見せています。
ジョーイは、「彼ら(チャンドラーとモニカ)は、温かく、優しく、大きな心を持った人々です」という、元々の文章の内容を伝えます。
続いてチャンドラーが、And that became 「そしてそれが…になった」と言っていることから、そのような一般的な推薦文が、ジョーイが類語辞典を使ったことで、こんな文章になってしまった、ということが以下に続くと想像できます。
その「変換された文章」を聞くと、各単語に類語辞典を使った、ということがよくわかりますね。
warm が humid になったのは、「人の性格が温かい」という意味だったのが、「気候・空気などが湿潤である」という「温暖」のイメージの単語に置き換わってしまっているということです。
prepossessing は辞書には「魅力のある、人の心をとらえる(ような)」という意味が出ています。
LAAD (Longman Advanced American Dictionary) では、
prepossessing : [adjective, formal] looking attractive or pleasant
つまり、「(フォーマル) 魅力的、または良い感じに見える」。
Cambridge Dictionaries Online には、以下のように例文も出ていました。
prepossessing : interesting, attractive, or impressive
例) He wasn't a very prepossessing sort of person.
つまり、「興味深い、魅力的である、印象的である」。例文は「彼はそんなに魅力的なタイプの人ではなかった」。
この例文にあるように、「人が魅力的である」という意味で使うことはできるようなので、ジョーイの表現は用法として間違いなわけではないようですが、ただ、nice は nice でいいだろうし、何か変えるにしても、kind くらいで良かったところを、辞書にもわざわざ formal と但し書きがあるような「長い綴りの難しそうに見える単語」に変えてしまった「やりすぎ感」が面白さのポイントになっているのだろうと思います。
people もわざわざホモ・サピエンスという「種の名前」に変えられており、with big hearts に関しては、full-sized aortic pumps 「フルサイズの大動脈ポンプ」に変換されています。
「心」という意味を「心臓」という意味に捉え、それを難しく学術的に表現したらこうなった、というところですね。
「ネイティブでそれはありえないだろ!」的なレベルにまで変換されているところが、コメディにありがちな笑いのポイントになっているわけですが、実は日本人が「単語の置き換え」で英文を作る場合には、この手の間違いは結構起きる可能性もあるのではないか、という意味で、なかなか興味深いように思います。
シソーラスに出てきた同義語に置き換えるのと、和英辞典で調べた単語をそのまま当てはめるのは、行動としては同じことになると思うわけですね。
言葉としては同じような意味の形容詞であっても、「人の形容には使わない」という用法の単語もありますし、話し言葉にそぐわないフォーマルすぎる単語を使うと浮いてしまうし、、というような、「ただ当てはめればいい、置き換えればいい、というものではない」ということを少し意識させてくれるように思いました^^
あらゆる言葉を類義語で変換しまくったせいでイミフな文章になっていても、ジョーイは「類語辞典で難しい言葉に変えて、賢い文章になった」と信じているようで、反省するどころか、And hey, I really mean it, dude. と言っています。
「それで、ほら、(そこに書いたことは)俺は本気でそう思ってるからな」みたいな感じですね。
「これは使えないわ」いうモニカに、「どうしてダメなの?」とジョーイはが尋ねると、モニカは、さらにこの推薦状のダメな点を指摘します。
because you signed it: は、「だってあなたはその推薦状に〜ってサインしたから」ということで、サインの内容は、Baby kangaroo Tribbiani となっています。
DVDの日本語字幕では、”赤ちゃんカンガルー”に「ジョーイ」というルビをふることで、「ジョーイ=赤ちゃんカンガルー」という意味であることを示しています。
その日本語訳の通り、joey という単語にはそういう意味があるようですね。
まず、英辞郎に、
joey=【1-名】〈豪〉カンガルーの子、幼児
という意味が出ています。
LAAD には載っていませんでしたが、Macmillan Dictionary には、
joey : a young kangaroo, wallaby, or possum
と出ていました。
カンガルーに限らず、「若い(子供の)カンガルー、ワラビー、ポッサム」のことを joey というようですね。
ちょっと脱線になりますが、過去記事、俺の提案を聞き入れなかった フレンズ8-22その3 で、ジョーイが出演した映画のプレミアで、チャンドラーが爆睡しているのを見て怒ったジョーイが、「カンガルーが出てくるシーンはどうだった?」と嘘のシーンをでっち上げて、チャンドラーが上映中に寝ていたことを指摘するシーンがありました。
その後、それはただの引っかけだけではなく、「カンガルーを出すように提案したけど却下された」というオチがついていたのですが、唐突な感じで出てきたカンガルーというアイテムも、もしかしたら joey=赤ちゃんカンガルー、という「かすかな、かすかな、名前繋がり」だったのかもしれないなぁ、、などと思ったりもします(ただの偶然かもしれませんがw)。
自分の名前まで変換しているジョーイに、モニカはそう指摘したわけですが、ジョーイはト書きにあるように、「それの何がいけないの? どこが問題なの?」みたいな顔をしてみせています。
自分の間違いに気づいていないジョーイに対し、モニカは「賢く聞こえるようにすることについて気にするのはやめて、ただあなたのままでいたらどう?」と提案しています。
無理に賢い文に見せようとすることはやめて、素のあなたのままで、文を書いてくれたらいいのよ、ということですね。
チャンドラーもそれに続いて、「お前には類語辞典なんか必要ないよ。ただここから書けばいいんだ」みたいに言って、自分自身の心臓部分を指しています。
つまり、「自分の心で思ったままを素直に書けばいいんだ」ということですが、そこはチャンドラーらしく、皮肉たっぷりに、「ここ、つまり、”お前のフルサイズの大動脈ポンプ”(から)ね」と付け加えるのを忘れません。
類語辞典なんかを使って技術に流れるんじゃなくて、素直に心のままに書けばいい、というのは、しごくもっともな説得ですが、「心から(思ったことを)、心のままに」と表現をジョークのオチにするために、ジョーイの推薦状の中に、「心」=「大動脈ポンプ(心臓)」という言葉を盛り込んでおいた、という伏線だったと言えるでしょうね。
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[Scene: Monica's apartment. Joey enters the room]
モニカのアパートメント。ジョーイが部屋に入ってくる。
ジョーイ: Hey, finished my recommendation. (he hands it over to Chandler) Here. And I think you'll be very, very happy. It's the longest I ever spent on a computer without looking at porn. (やあ、俺の推薦状、(書き)終わったよ。[それをチャンドラーに手渡す] ほら。お前たちがすごくすごく喜ぶだろうと思うよ。ポルノを見ずにコンピューターを使った時間としては最長だ。)
チャンドラー: (reading) I don't... uh... understand. ([読みながら] わからない[理解できない]んだけど。)
ジョーイ: (sounding very proud of himself) Some of the words are a little too sophisticated for ya? ([自分を非常に誇らしげに思っている様子で] お前たちにはちょっと洗練され過ぎた言葉があるかな。)
モニカ: (also reading it) It doesn't make any sense. ([モニカもそれを読みながら] 全く意味が通じないわ[全く意味不明だわ]。)
ジョーイ: Well, of course it does! It's smart! I used a the-saurus! (もちろん意味は通じるさ[意味が通じるに決まってるさ]! 賢いんだ[賢い文だ]! 俺は、ズィ・ソーラス(ザ・サウルス)を使ったんだぞ!)
チャンドラー: On every word? (あらゆる単語に?)
ジョーイ: Yep! (ああ!)
モニカ: Alright, what was this sentence originally? (shows the sentence to Joey) (いいわ、この文章は元々何だったの? [その文章をジョーイに見せる])
ジョーイ: Oh, "They are warm, nice, people with big hearts." (あぁ、「彼らは温かく、優しい、大きな心を持った人たちです。」)
チャンドラー: And that became, "They are humid, prepossessing Homo Sapiens... with full-sized aortic pumps." (そしてそれがこうなったんだ、「彼らは湿潤(温暖)で、人の心をとらえるようなホモ・サピエンスです… フルサイズの大動脈ポンプ(心臓)を持った。」)
ジョーイ: Yeah. Yeah. And hey, I really mean it, dude. (そうそう。それでほら、俺は心からそう思ってるからね。)
モニカ: All right, Joey, I don't think we can use this. (いいわ、ジョーイ、これは使えないと思うの。)
ジョーイ: Why not? (どうしてダメなの?)
モニカ: Well, because you signed it: "Baby kangaroo Tribbiani." (Joey makes a 'and-what's-wrong-with-that' look) Hey, why don't you stop worrying about sounding smart and just be yourself! (それはあなたがサインしたからよ、”赤ちゃんカンガルー・トリビアーニ”って。[ジョーイは、”で、それの何が悪いの?”という顔をする] ねぇ、賢そうに見えることを気にするのはやめて、ただあなたらしくいたらどう?)
チャンドラー: You know what? You don't need a thesaurus. Just write from here. (points at his own heart) Your full-sized aortic pump. (ねぇ? ジョーイには類語辞典なんか必要ないよ。ただここから書けばいいんだ。[自分自身の心臓を指さして] お前のフルサイズの大動脈ポンプからね。)
部屋に入ってきたジョーイは、「俺の[俺が書くことになっていた]推薦状を(書き)終えたよ」と言って、それをチャンドラーに手渡しています。
「お前たちがすごくすごくハッピーになるだろうと思う」というのは、「それを読んだらきっと喜んでくれると思うよ」ということですね。
It's the longest... の文を直訳すると、「ポルノを見ることなしに、俺が今までコンピューターで時間を過ごした中で最も長い」になるでしょう。
つまり、「エッチなサイトを見たりしないで、こんなに長くコンピューターに向かっていたのは初めて」と言っているわけですね。
その推薦状を読んでいたチャンドラーは、「理解できないんだけど」と言っています。
そう言われたジョーイは、「お前らにとっては、その言葉のいくつかは、ちょっと洗練されすぎてるかな」みたいに、得意げな顔で返します。
ロスに教えてもらった類語辞典(シソーラス)を使って、できるだけ賢く聞こえるような単語に置き換えたことから、「置き換えた単語が難しすぎて、お前らにはわかんないかもね」と言っているのですね。
モニカもそれを読んで、「全く意味が通じない、意味をなさない、意味不明」と言っています。
of course it does! は、その前にモニカが、It doesn't make any sense. と言ったことを受けて、その否定文を肯定文にして反論していることになります。
つまり、of course it makes sense! 「(モニカは意味が通じないって言うけど)もちろん意味は通じるさ[意味は通じるに決まってるさ]!」ということですね。
「賢い文章なんだ」と言って、「俺は、the-saurus を使った」と言っています。
ジョーイの発音は、「ズィ・ソーラス」みたいに、the と saurus の間を区切った感じになっています。
類語辞典という意味の thesaurus は、the の部分は濁らない th なので、thesaurus という言葉をよく知らないジョーイは、ちょっと似たような発音の言葉を言ってみせたことになるでしょう。
saurus というのは、恐竜の名前の語尾につく言葉ですね。
例えば、ティラノサウルスなら、tyrannosaurus となりますが、日本人がローマ字で「サウルス」と呼んでしまいがちな部分は、英語の発音では「ソーラス」になります。
ですから、ジョーイが、the-saurus みたいに区切って言ったのは、「ザ・サウルス」のような恐竜っぽいイメージの言葉として発した感覚なんだろうと思います。
ジョーイは「ズィ・ソーラス」とちょっと変わった発音をしましたが、それでもそれが類語辞典の thesaurus を指していることはチャンドラーにも容易に理解できたようで、チャンドラーはあきれた様子で、「あらゆる単語に(シソーラスを使ったのか)?」と尋ねます。
モニカは、「この文章は元々何だったの?」と言って、文章をジョーイに見せています。
ジョーイは、「彼ら(チャンドラーとモニカ)は、温かく、優しく、大きな心を持った人々です」という、元々の文章の内容を伝えます。
続いてチャンドラーが、And that became 「そしてそれが…になった」と言っていることから、そのような一般的な推薦文が、ジョーイが類語辞典を使ったことで、こんな文章になってしまった、ということが以下に続くと想像できます。
その「変換された文章」を聞くと、各単語に類語辞典を使った、ということがよくわかりますね。
warm が humid になったのは、「人の性格が温かい」という意味だったのが、「気候・空気などが湿潤である」という「温暖」のイメージの単語に置き換わってしまっているということです。
prepossessing は辞書には「魅力のある、人の心をとらえる(ような)」という意味が出ています。
LAAD (Longman Advanced American Dictionary) では、
prepossessing : [adjective, formal] looking attractive or pleasant
つまり、「(フォーマル) 魅力的、または良い感じに見える」。
Cambridge Dictionaries Online には、以下のように例文も出ていました。
prepossessing : interesting, attractive, or impressive
例) He wasn't a very prepossessing sort of person.
つまり、「興味深い、魅力的である、印象的である」。例文は「彼はそんなに魅力的なタイプの人ではなかった」。
この例文にあるように、「人が魅力的である」という意味で使うことはできるようなので、ジョーイの表現は用法として間違いなわけではないようですが、ただ、nice は nice でいいだろうし、何か変えるにしても、kind くらいで良かったところを、辞書にもわざわざ formal と但し書きがあるような「長い綴りの難しそうに見える単語」に変えてしまった「やりすぎ感」が面白さのポイントになっているのだろうと思います。
people もわざわざホモ・サピエンスという「種の名前」に変えられており、with big hearts に関しては、full-sized aortic pumps 「フルサイズの大動脈ポンプ」に変換されています。
「心」という意味を「心臓」という意味に捉え、それを難しく学術的に表現したらこうなった、というところですね。
「ネイティブでそれはありえないだろ!」的なレベルにまで変換されているところが、コメディにありがちな笑いのポイントになっているわけですが、実は日本人が「単語の置き換え」で英文を作る場合には、この手の間違いは結構起きる可能性もあるのではないか、という意味で、なかなか興味深いように思います。
シソーラスに出てきた同義語に置き換えるのと、和英辞典で調べた単語をそのまま当てはめるのは、行動としては同じことになると思うわけですね。
言葉としては同じような意味の形容詞であっても、「人の形容には使わない」という用法の単語もありますし、話し言葉にそぐわないフォーマルすぎる単語を使うと浮いてしまうし、、というような、「ただ当てはめればいい、置き換えればいい、というものではない」ということを少し意識させてくれるように思いました^^
あらゆる言葉を類義語で変換しまくったせいでイミフな文章になっていても、ジョーイは「類語辞典で難しい言葉に変えて、賢い文章になった」と信じているようで、反省するどころか、And hey, I really mean it, dude. と言っています。
「それで、ほら、(そこに書いたことは)俺は本気でそう思ってるからな」みたいな感じですね。
「これは使えないわ」いうモニカに、「どうしてダメなの?」とジョーイはが尋ねると、モニカは、さらにこの推薦状のダメな点を指摘します。
because you signed it: は、「だってあなたはその推薦状に〜ってサインしたから」ということで、サインの内容は、Baby kangaroo Tribbiani となっています。
DVDの日本語字幕では、”赤ちゃんカンガルー”に「ジョーイ」というルビをふることで、「ジョーイ=赤ちゃんカンガルー」という意味であることを示しています。
その日本語訳の通り、joey という単語にはそういう意味があるようですね。
まず、英辞郎に、
joey=【1-名】〈豪〉カンガルーの子、幼児
という意味が出ています。
LAAD には載っていませんでしたが、Macmillan Dictionary には、
joey : a young kangaroo, wallaby, or possum
と出ていました。
カンガルーに限らず、「若い(子供の)カンガルー、ワラビー、ポッサム」のことを joey というようですね。
ちょっと脱線になりますが、過去記事、俺の提案を聞き入れなかった フレンズ8-22その3 で、ジョーイが出演した映画のプレミアで、チャンドラーが爆睡しているのを見て怒ったジョーイが、「カンガルーが出てくるシーンはどうだった?」と嘘のシーンをでっち上げて、チャンドラーが上映中に寝ていたことを指摘するシーンがありました。
その後、それはただの引っかけだけではなく、「カンガルーを出すように提案したけど却下された」というオチがついていたのですが、唐突な感じで出てきたカンガルーというアイテムも、もしかしたら joey=赤ちゃんカンガルー、という「かすかな、かすかな、名前繋がり」だったのかもしれないなぁ、、などと思ったりもします(ただの偶然かもしれませんがw)。
自分の名前まで変換しているジョーイに、モニカはそう指摘したわけですが、ジョーイはト書きにあるように、「それの何がいけないの? どこが問題なの?」みたいな顔をしてみせています。
自分の間違いに気づいていないジョーイに対し、モニカは「賢く聞こえるようにすることについて気にするのはやめて、ただあなたのままでいたらどう?」と提案しています。
無理に賢い文に見せようとすることはやめて、素のあなたのままで、文を書いてくれたらいいのよ、ということですね。
チャンドラーもそれに続いて、「お前には類語辞典なんか必要ないよ。ただここから書けばいいんだ」みたいに言って、自分自身の心臓部分を指しています。
つまり、「自分の心で思ったままを素直に書けばいいんだ」ということですが、そこはチャンドラーらしく、皮肉たっぷりに、「ここ、つまり、”お前のフルサイズの大動脈ポンプ”(から)ね」と付け加えるのを忘れません。
類語辞典なんかを使って技術に流れるんじゃなくて、素直に心のままに書けばいい、というのは、しごくもっともな説得ですが、「心から(思ったことを)、心のままに」と表現をジョークのオチにするために、ジョーイの推薦状の中に、「心」=「大動脈ポンプ(心臓)」という言葉を盛り込んでおいた、という伏線だったと言えるでしょうね。
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