2016年02月05日

こんなに誰かを愛せるなんて思わなかった フレンズ10-5その2

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フィービーとマイクは、1周年記念日ということで、マジソン・スクエア・ガーデンにニックス戦を見に来ているところ。
[Scene: Madison Square Garden. Mike and Phoebe are walking to their seats.]
マジソン・スクエア・ガーデン。マイクとフィービーは、自分たちの席へ歩いて行くところ。
フィービー: Excuse me. Anniversary. Excuse me. Anniversary. (looking at her ticket) Uhm. Sir, could you move your nachos? They're in my seat. It's my anniversary. (to Mike) Here we are! (Mike nods) Can't believe it's been a whole year! (失礼。記念日なの。失礼。記念日なの。[自分のチケットを見ながら] あー、すみません、あなたのナチョスを動かして[どけて]もらえます? 私のシートに置いてあるの。私の記念日なのよ。[マイクに] とうとうね! [マイクはうなずく] まる1年なんて信じられないわ!)
マイク: I know. This has been the best year.... (the crowd starts cheering so he starts yelling) THIS HAS BEEN THE BEST YEAR OF MY LIFE! (そうだね。今年はこれまでで最高の一年… [群衆が歓声を上げ始めるので、マイクは叫び始める] 今年は僕の人生で最高の1年だったよ!)
フィービー: ME TOO! I NEVER THOUGHT I COULD LOVE SOMEONE THIS MUCH! (私もよ! 自分がこんなに誰かを愛せるなんて思わなかったわ!)
マイク: I FEEL THE SAME WAY! (僕も同じ気持ちだよ!)
フィービー: YOU'RE SO GENEROUS AND KIND AND (crowd stops cheering) YOU'RE AMAZING IN BED. (everyone hears it and stare at them) (to everybody) IT'S OUR ANNIVERSARY! (あなたはとっても心が広くて、優しくて、そして [群衆は歓声をやめる] あなたはベッドでもすごいもの! [みんながそれを聞いて、二人をじっと見る] [みんなに対して] 私たちの記念日なの!)
アナウンサー: Knicks fans, please turn your attention to the big screen on the scoreboard. Someone has a special question to ask. (on the screen there's written ‘Julie, will you marry me?’ and goes on to show a guy kneeling down in front of a girl holding out a ring to her) (ニックスファンの皆様、スコアボードの大きなスクリーンにどうかご注目下さい。ある方からの特別な問いかけがあります。[スクリーンには、”ジュリー、僕と結婚してくれる?”と書かれている。そして続いて、指輪を差し出しながら、ある女性の前にひざまずいている男性が(画面に)映される])
フィービー: Oh, how lame. Oh, it's so tacky and impersonal. (あぁ、なんてダサいの。すごく悪趣味で、個人に向けられた感じがしないわ。)
マイク: Really? (ほんとに?)
フィービー: Oh, it's the worst way to propose! (えぇ、プロポーズするには最悪の方法ね!)
マイク: (looks strangely shocked) Excuse me. (he leaves, then Phoebe realizes what she did). ([尋常ではない感じのショックを受けた様子で] 失礼。[マイクは去る、その後、フィービーは自分がしたことに気づく])

自分たちの席に行くまでに、フィービーは何度も、「失礼。記念日なの」と言っています。
既に多くの人が席に着いている中、その人たちの前を通って自分の席に行くのに、「申し訳ないけど、私たちの大切な日だから許してね」と言っている感じですね。
記念日だということが嬉しくてたまらない様子もよく表れています。

自分の座る席に、隣の男性がナチョスを置いているのを見て、フィービーは、Sir, could you move your nachos? They're in my seat. と言っています。
they = nachos のことで、直訳すると、「すみません、あなたのナチョスを動かして[どけて]もらえますか? そのナチョスが私の席にあるの」になるでしょう。
あなたのナチョスが置いてあるために、私が自分の席に座れないから、それをどけてほしいと言っているわけですが、Sir, could you...? というのは丁寧な口調ですね。
相手は若い男性で、年齢的にはフィービーよりも年下だと思われるのですが、それでも見ず知らずの人に何かを頼む場合には、今回の Sir, could you...? 「すみませんが、(どけて)もらえます?」のように、できるだけ丁寧な言い方でお願いする方が、トラブルにならなくていい、と言えるでしょう。

二人が席に着いたところで、フィービーは、「まる1年(経った)なんて信じられないわ!」と言っています。
マイクも、This has been the best year.... 「今年は(これまでで)最高の年だった…」ということを言いかけたところ、客席の観衆が何かに反応し、急に歓声を上げ始めたので、普通の声ではフィービーに聞こえないと思ったマイクは、叫ぶような感じで、声を大きくしてしゃべり始めます。
大声でしゃべっていることがわかりやすいように、ネットスクリプトでは大文字表記となっていますが、This has been the best year of my life! は、「今年は僕の人生で最高の1年だった!」ということですね。

観衆の歓声がずっと続いているので、二人はお互いに大声で話し続けています。
フィービーは、「私もよ」と言った後、I never thought I could love someone this much! と言っています。
「私が誰かをこんなにも(強く)愛することができるなんて思わなかった」ということですね。
日本語でも、「人をこんなに愛せるなんて思わなかった」という言い回しをしますので、そういう気持ちは日英同じなんですね^^
それに対してマイクも、I feel the same way! と返します。
直訳すると、「僕も同じように感じている」ということで、「僕も同じ気持ちだよ」ということですね。

あなたって、心が広くて(generous)、優しくて(kind)、、と、マイクの素敵なところを大声で挙げているフィービーですが、次のセリフを言うところで、急に群衆の歓声がやみ、フィービーが大声で言っている内容が、静かな中、響き渡ってしまうことになります。
その内容は、you're amazing in bed! 「あなたはベッドですごい!」、つまり、「あなたのエッチはすごい!」ということですね。
まわりがシーンとしている中で、そんなことを大声で言ってしまったので、まわりの人々が二人をじーっと見るのですが、フィービーは「今日は私たちの記念日なんだから、まぁ、それくらいのこと言ってもいいじゃない」みたいに、また、anniversary という単語を出すことになります。

その後、アナウンスで、「ニックスファンの皆様、どうかスコアボードの大きなスクリーンにご注目下さい」という声が流れます。
turn your attention to... は「あなたの注意を…に向ける」ということですね。
Someone has a special question to ask. を直訳すると、「ある人には、尋ねるべき、特別な質問がある」というところでしょうか。
そして、ト書きにあるように、スクリーンには、"Julie, will you marry me?" 「ジュリー、僕と結婚してくれる?」という「質問」が映し出され、プロポーズの定番ポーズである「女性の前にひざまずき、指輪を差し出す」男性の姿も映ります。

そんなプロポーズの映像を見たフィービーは、嫌そうな顔で、Oh, how lame. Oh, it's so tacky and impersonal. と言っています。
lame は「まずい、下手な、ダサい」、tacky は「安っぽい、悪趣味な」。
impersonal は、personal に、否定の意味を表わす im- がついたものですね。

Macmillan Dictionary では、
impersonal : not showing any friendly feelings or interest in someone
例) His manner was cold and impersonal.

つまり、「人に対して、友好的な感情や興味を示さない」。例文は、「彼の態度は冷たくて、個人的な感情がこもっていない」。

このマクミランの意味は、「普通、人間が別の人間に対して持つであろう感情や興味を持ち合わせない」みたいな感覚ですね。
フィービーにしてみれば、「結婚のプロポーズというものは、極めて個人的なものであるはずなのに、それをこんな大勢の前で、見せ物みたいにやってみせるのは、個人に向けられたものという気がしない、個人に対する感情が表れたものとは感じられない」と言いたいのでしょう。

批判的な意見を述べるフィービーに、マイクはこわばった顔で、Really? と言っています。
その顔から、「マイクもフィービーに対して、同じようなプロポーズをしようと考えていた」ことがわかりますね。
ですがフィービーは、隣のマイクがそんな表情をしていることには全く気づかず、さらに追い打ちをかけるように、「えぇ、プロポーズするには最悪の方法ね!」と、the worst 「最悪」とまで断言することになります。

そう言われたマイクは、ものすごくショックを受けた様子で、失礼、と言って席を立つのですが、それを見送ったフィービーはその後、ト書きにあるように、「自分のしたことに気づく」ことになります。
「あんなプロポーズ、最低!」と言った後に、マイクが立ちあがった、ということは、マイクもそういうプロポーズを予定していたけれど、フィービーはそういうのは大嫌いだということが判明したため、それを慌ててキャンセルしに行った、、みたいなことが想像されるわけですね。


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posted by Rach at 18:51| Comment(0) | フレンズ シーズン10 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年02月03日

欠けたところがなく完璧になった フレンズ10-5その1

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シーズン10 第5話
The One Where Rachel's Sister Baby-sits (フィービー&マイクのアニバーサリー)
原題は「レイチェルの妹が子守をする話」


ジョーイは、自分の部屋でパソコンをいじっています。
ロス: What... what you working on? (何、何をやってるの?)
ジョーイ: (using a laptop) Oh, Monica and Chandler's recommendation. I want it to sound smart, but I don't know any big words or anything, so.... ([ラップトップを使いながら] あぁ、モニカとチャンドラーの(養子縁組のための)推薦状だよ。賢く聞こえる[思われる]ようにしたいんだけど、難しい[難解な]言葉とかそういうのを、俺、全然知らないからさぁ…)
ロス: Why don't you use your thesaurus? (シソーラス(類語辞典)を使ったらどう?)
ジョーイ: What did I just say? (さっき、俺、何て言ったっけ?)
ロス: Watch. (he takes the laptop) Here, you ehm... You highlight the word you want to change, go under "tools" and the thesaurus generates-- 'gives'... 'gives' a whole list of choices. You can pick the word that sounds smartest. (見てて。[ロスはラップトップを取る] ほら、変えたいと思う言葉をハイライト(反転表示)して、下の「ツール」に進むと、シソーラスが gives を表示する(→ 下に追記と訂正あり)。選択肢の全リストを表示してくれるんだ。一番賢そうに聞こえる言葉を選べばいいんだよ。)
ジョーイ: Oh my God, that's great! I'm smart!! No, no, I'm: (he uses the Thesaurus) "Brainy, bright, clever." I love this thing! Look out, ladies! Joey Tribbiani's got the whole package!! (なんてこった、それって最高だよ! 俺は賢い! いやいや、俺は [シソーラスを使って] ”頭がいい、聡明、利口”だ。こいつ、大好き! 見てくれ(→訂正:気をつけろ)、レディーたち! ジョーイ・トリビアーニは、フルパッケージになったぞ[欠けたところ(弱点)がなくなったぞ]!)

ジョーイが珍しくパソコンを触っているので、ロスは「何してるの?」と尋ねています。
Monica and Chandler's recommendation 「モニカとチャンドラーの推薦状」というのは、養子縁組の事務所に出す推薦状のことで、このエピソードの冒頭で、ジョーイがそれを引き受けることになっていました。

I want it to sound smart を直訳すると、「それ(推薦状)をスマートに(賢く)聞こえるようにしたい」という感じで、つまりは、「賢く思われるような(文章の)推薦状にしたい」ということですね。
big words は「難解な言葉」ということで、「俺はそういう小難しい、お堅い言葉を知らないから(今、ちょっと困ってるとこ)」みたいに説明したことになります。

難しい言葉を知らない、と言ったジョーイに、ロスは、thesaurus を使ったら? と提案します。
thesaurus は「シソーラス」として、日本語になっていますが、「類語辞典」のことですね。
your thesaurus のように、your がついているのは、「君が今使っているそのパソコンに(機能として)組み込まれているシソーラス」というニュアンスになるでしょう。

そうアドバイスされたジョーイは、What did I just say? と返していますね。
直訳すると、「俺は今さっき、何て言った?」になるでしょう。
話の流れから、そして通常のロスとジョーイのキャラから考えても、ロスが使ったシソーラスという言葉を、ジョーイが知らなかった、わからなかったということが想像できるのですが、ロスが言った言葉が意味不明でそれを聞き返す場合だと、What did you just say? のように「今、お前、何て言った?」になりそうですよね。
ですが今回の場合は、What did I just say? のように、主語が I になっています。
これは、ロスの「シソーラスを使ったら?」という文章の意味が全くわからなくて、「それって俺がさっき言ったことに対する答えなの? さっき俺はお前に何て言ったんだっけ?」みたいに、「ロスのそういう返事を求めるようなことを、俺はさっき言ったかな?」という感じの、「自分が言ったセリフと、それに対するロスの返事が全くジョーイの中で繋がらない」ことを表したセリフになっているように思いました。
理解不能な答えが返ってきた場合に、「俺、そもそも、何を質問したんだっけ?」みたいに言う感覚ですね。
(2016.2.24 追記)
What did I just say? の解釈について、下のコメント欄でご意見をいただきました。
このセリフは、「俺は難しい言葉を知らないんだ」とジョーイが言ったにもかかわらず、thesaurus という「まさに難しい言葉」をロスが使ったので、「俺、さっき、難しい言葉知らない、って言ったばかりなんだけど(そういう俺に対して早速難しい言葉を使うわけ?)」のような抗議のニュアンスのセリフになります。
下のコメント欄に訂正と追加説明がありますので、詳しくはそちらをご覧下さい。
(追記はここまで)

ロスのアドバイスが全く理解できない様子のジョーイを見て、シソーラスとは何かというのを口で説明するよりも、実演して見せた方が早い、と思ったらしいロスは、Watch. と言って、ジョーイのラップトップを自分が操作してみせています。
「見る」という単語には、see, look, watch などがありますが、特に watch は「観察する」と訳されるように、「動いているものを注意して見る」というニュアンスがありますので、ただ、画面に目をやるだけではなく、「僕が今からやることをよーく見ててよ」みたいな意味になるわけですね。

「変えたいと思う言葉をハイライトして」とあるのは、その言葉をドラッグして、色を反転させることですね。
そして、tools 「ツール」に進むと、「類語辞典が gives を生成する」と言っています。
'gives' a whole list of choices の意味としては、「その gives で表示される内容が、選択肢の全リストを与える」ということですが、文章の構造としては、the thesaurus 'gives' a whole list of choices ということになりますね。
「gives というのは、シソーラスが選択肢の全リストを”与える”ってことなんだ」という感覚になるでしょう。
反転させた言葉の、類義語リストが表示されるので、その中から、「一番賢そうに聞こえるもの(思われるもの)」を選べばいいんだよ、とロスは説明しています。
(2016.2.24 追記)
generates-- 'gives' となっている部分について、下のコメント欄でご意見をいただきました。
これは、ロスがいったんは generates と言ったものの、「俺は難しい言葉がわからないんだ」と言っていたジョーイにキッと睨まれて、それを簡単な単語の gives と言い直した、つまり、「難しい単語を簡単な単語に言い換えた」ニュアンスになります。
下のコメント欄に訂正と追加説明がありますので、詳しくはそちらをご覧下さい。
(追記はここまで)

実演してみせてくれたことで、やり方を理解したジョーイは、「それって最高だよ! 俺は賢い!」と言っています。
I'm smart!! というのは、ロスからこのやり方を聞いたことで、「今の俺は賢い俺になってる!」みたいな感じでしょうね。
そう言って喜んだ後、「いやいや、smart っていうよりは、、」みたいに、さっそくシソーラスを使って、同じような「賢い」という意味の、brainy, bright, clever という単語で言い換えています。

「これって大好き! 見てくれ、女たち!」と言って、Joey Tribbiani's got the whole package!! と言うことになります。
package は「パッケージ」で、直訳すると、「ジョーイ・トリビアーニは、フルパッケージを得た」みたいになるでしょうか。
欠けたものがない、全て揃っているという感覚で、DVDの日本語訳も、「(字幕)俺の弱点が消えたぞ!/ジョーイ・トリビアーニが完璧になったぞ!」となっていましたが、まさにそういうことだろうと思います。
難しい言葉が使えないということが、ジョーイとしては「唯一の弱点」だったんでしょうか(笑)、それで、シソーラスでこんな難しい言葉も使えるようになった俺は、欠点・弱点のない完璧な男になったぞ! と大喜びしているわけですね。
(2016.8.12 追記)
Look out! について、非公開コメントでご意見をいただきました。
Look out! は「気をつけろ! 注意しろ!」と訳すべきでした。ここに謹んで訂正いたします。
「賢くなったことで、プレイボーイのジョーイは欠点がなくなり完璧になった」ということから、「気をつけろよ、女性たち(ご婦人方)」と言っていることになります。
DVDの日本語訳(音声)でも「女ども、惚れんな(惚れるな)。ジョーイ・トリビアーニが完璧になったぞ!」となっていましたが、「完璧になった俺に惚れちまうから、気をつけろよ」という意味で言っているということですね。
(追記はここまで)


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posted by Rach at 15:42| Comment(9) | フレンズ シーズン10 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年02月01日

以前ここに住んでたもんな フレンズ10-4その6

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ロスに「誰も部屋から出すな」と言いつけられていたのに、エマの祖父母に当たるゲラーパパとママ(ジャックとジュディ)をあっさり帰してしまったジョーイ。
そのことを非難された後、
ジョーイ: (Shocked) Oh! Well, that's it! He's the last one to go. I'm locking you guys in. (turns the bolts of the door, thereby locking it) ([ショックを受けて] あぁ! じゃあ、それまでだ! 彼が(ここから)帰る最後の人だ[ここから人が帰るのは、彼で最後だ]。俺は君らを部屋の中に、鍵を掛けて閉じ込める。[ドアのボルトを回す、それによって鍵が閉まる])
チャンドラー: You do know I can just turn them the other way around, right? (俺がそれを反対側に回せばいいだけだって、お前、わかってるよな?)
ジョーイ: Oh! I forgot you used to live here! (あぁ! お前が昔、ここ[この部屋]に住んでたことを忘れてたよ!)
(The phone rings, Joey picks up)
電話が鳴る。ジョーイが電話に出る。
ジョーイ: Hello? (もしもし?)
エステル: (on the other side of the line) Joey! It's Estelle! ([電話の向こう側で] ジョーイ! エステルよ!)
ジョーイ: Hey! (smiles) (どうも! [微笑む])
エステル: So how'd your audition go today? (それで、今日のオーディションはどうだった?)
ジョーイ: (smile fades) What audition? ([微笑みが消え] 何のオーディション?)
エステル: The one I told you about last week? (先週話したやつだけど?)
ジョーイ: What? You never said anything about an audition! (何だって? オーディションについて、あなたは何も言ってなかったですよ!)
エステル: (Looks confused) Let me start over. I just got a call about an audition. I think you can still make it. It's down at the Astor Theatre and you need to have a monologue prepared. ([困惑した顔をして] 最初からやり直させて[もう一度最初から言うわね]。たった今、オーディションの件で電話があったの。まだ間に合うと思うわ。アスター劇場で、モノローグ(独白・ひとり芝居)の用意をしていくことが必要よ。)
ジョーイ: A monologue? I don't have a-- (sees the book he was reading before for his "dramatic reading") I got it. (hangs up) (announces to the room) Aah! so... I'm gonna take off! (モノローグだって? 俺はそんな用意は… [”ドラマティックな朗読”のために、少し前にジョーイが読んでいた本を見て] 了解! [電話を切る] [部屋(にいる全員)に宣言する] あー! そういうことで…俺は出かけるよ!)

ゲラーパパとママを帰したことで非難されたジョーイは「あぁ、じゃあ、それまでだ(今ので終わりだ)」と言った後、He's the last one to go. I'm locking you guys in. と言います。
つまり、「(ここを)出て行くのは彼が最後の人だ。俺は君らを lock in する」ということですね。
lock someone in は「人を中にいる状態で鍵をかける」ということですから、「鍵をかけて人を中に閉じ込める、鍵をかけて人が外に出ないようにする」ということになります。
そう言ってト書きにあるように、部屋の中から、ドアの鍵を回して閉めるのですが、それを見ていたチャンドラーは、You do know I can... のセリフを言うことになります。

You do know のように、You know が do で強調される形になっているので、「お前は(絶対に)知ってるよな(知ってるはずだよな)」と、「お前、当然わかってるよね」的なニュアンスになるでしょう。
「おまえ、わかってるよな」と言ったその内容は、「俺がただそのカギを反対側に回すことができるってことを」になります。
つまり、「お前は今、”お前らを閉じ込めてやる!”と言って、中から鍵をかけたけど、俺ら中にいる人間は、その鍵を反対に回せば、鍵を開けて外に出ることが簡単にできちゃうんだけど?」ということですね。

中にいる人間は中から鍵を開ければ済むことだ、と言うことで、「お前らを鍵かけて閉じ込めてやったぞ」と言っているジョーイの勘違いを指摘したことになるのですが、それを聞いたジョーイの返答が、ジョーイっぽくて面白いです。
Oh! I forgot you used to live here! を直訳すると、「あぁ! お前が以前ここに住んでいたことを、俺は忘れてたよ!」になりますね。
つまりジョーイは、「そっか、お前は(ジョーイとの同居という形で)以前この部屋に住んでたことがあるから、鍵の開け方、知ってるんだったよな。お前が元住人で、鍵の仕組みを知ってることを忘れてた俺がバカだった」みたいに言ったことになります。
ですが、「ドアの鍵を中から開けられる」というのは、普通のドアの仕様は全てそうなわけで、別にこの部屋に限ったことではありません。
「中から鍵かけたって、中の人は開けられる」という、一般的なドアの仕様について言ったのに、それが「元住人だからその仕組みがわかった」みたいに言っている面白さになるわけですね。
「元住人だからわかる、じゃなくて、ドアって普通そういうもんなんだけど、、」と言いたそうな顔をしているチャンドラーではありますが、それについて言葉で指摘することはなく、ジョーイのあまりのおバカ加減にただ困った顔をすることになります。

そんな中、電話がかかってきて、ジョーイが出ると、相手はエージェントのエステル。
軽い挨拶の後、エステルは「今日のオーディションはどうだった?」と尋ねています。
How'd your audition go? は、How did your audition go? 「あなたのオーディションは、どんな風に行った?」→「オーディションはどうだった? どんな感じだった?」と、オーディションがうまく行ったかどうかの結果を尋ねる質問になります。
その質問を聞いたジョーイは、顔から微笑みが消えて、「何のオーディション? オーディションって何のこと?」みたいに問い返します。
The one I told you about last week? は、「先週、(それについて)私があなたに話したものだけど?」という感覚で、「ほら、先週、あなたにオーディションのこと、話したでしょ? あのオーディションのことよ」と言っているニュアンスになります。
「先週話した」と説明したエステルに対してジョーイは、「あなたはオーディションについてのことなんて、何も言ってなかったですよ!」と指摘します。

そう言われた電話の向こう側のエステルは、「あれ、そうだったかな? 言ってなかったかな?」みたいな顔をして、Let me start over. と言います。
start over は「(最初から)やり直す」ということですから、直訳すると、「私に最初からやり直させて」と言っていることになりますね。
そう言って、I just got a call... 以下のセリフを言っていますが、これは「たった今、あるオーディションの件で電話があったの」ということ。
少し前には「先週話したオーディションよ」と、お互いがそれと認識できているものとして語っていたエステルですが、ジョーイにそのオーディションのことを言い忘れていたとわかって、「じゃあ、もう一度最初から言うわね」と言って、「先週話したオーディション」というものは存在しない大前提で、「あるオーディション(an audition)の件でさっき電話があったのよ」と、さも新しい情報であるかのように言っている面白さになります。
日本人が苦手とする、冠詞の a/the の使い分けですが、「今初めてそのオーディションの話を伝えたかのように言う」今回の場合には、the audition 「そのオーディション、例のオーディション」ではなく、初出の感覚の an audition を使うことになる、という仕組みになるわけですね。
「さっき言ったことは聞かなかったことにして。もう一度話を最初からやり直すわ」みたいに言って、新規情報を提供するふりをしていることが、an audition という冠詞に表れている、ということになります。

make it は「間に合う」という意味なので、I think you can still make it. は「まだ(今なら)そのオーディションに間に合うと思うわ」ということですね。
さもさっき聞いたかのようなふりをしてはいますが、ジョーイには「先週話した件」と言ってしまっているので、「そのオーディションは、今から行けばまだ間に合うから」とそこは正直に説明していることになります。
そのオーディションはアスター劇場であるのよ、と言った後、you need to have a monologue prepared と続けます。
直訳すると、「モノローグが準備されている状態があなたには必要である」というところで、要は「モノローグができるように準備していくことが必要よ」ということですね。
monologue は「モノローグ」として日本語になっていますが、「独白、ひとり芝居」という意味ですね。
「モノローグって言われても、急にそんなもの準備できないよ…」と言いかけたジョーイですが、そばにある本を見て、「了解」と言うことになります。
ト書きにも少し説明されていますが、今回のエピソードの中で、エマへのプレゼントを用意していなかったジョーイが、「自分は俳優だから、エマに”ドラマティックな朗読(読み聞かせ)”をしてあげられるよ」と言って、赤ちゃん向けの絵本を即興で、そして実際にドラマティックに読み上げてフレンズたちを感動させる、というシーンがありました。
「本を読むことで人を感動させた」ばかりのジョーイは、オーディションの演目はモノローグと聞いて、「それなら準備しなくても、さっきの朗読をそのままやればいいんだ!」と気づき、即座に了解して電話を切ったことになります。

その後、ロスに「誰も出て行かないように見張ってて」と言われたはずのジョーイなのに、「あぁ、そういうことで、俺は出かけるよ!」と、部屋にいるフレンズたちに宣言することになります。
オーディションで落ちることが多いジョーイなので、急に聞いたオーディションで、内容も難しそうなものなら、「ロスに見張りを頼まれたし」という事情もありますし、準備してないから行っても無駄だろうな、と思って、あきらめてしまう可能性も高いですよね。
ですが今回の場合は、演目がモノローグで、みんなが感動するような読み聞かせをしたばかりなので、「これは絶好のチャンス!」と思い、見張りをお願いされたことなどすっかり忘れ、「絶対にオーディションに行きたい!」となってしまう流れになっているということで、「ジョーイが本を朗読した」という伏線が、ここで生きてくるということですね。


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posted by Rach at 14:26| Comment(0) | フレンズ シーズン10 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする