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養子縁組を希望しているチャンドラーとモニカは、養子縁組斡旋事務所で赤ちゃんを妊娠中の女性(エリカ)と面接します。
システム上のミスで、「チャンドラーが医者、モニカが牧師」だと思い込んでいるエリカは、二人と面談した後、「私の心は決まっています。お二人を里親として選びます」と宣言します。
[Scene: Monica and Chandler's hotel room. They enter.]
モニカとチャンドラーのホテルの部屋。二人が入ってくる。
チャンドラー:
We are NOT signing those papers. (俺たちは、その(養子縁組の)書類にサインはしないよ。)
モニカ:
Why not? (どうしてダメなの?)
チャンドラー:
It's wrong. They made a mistake. They think we're somebody else. (間違ってるよ。みんな勘違いしてるんだ。俺たちが別の誰かだとみんな思ってるんだよ。)
モニカ:
God works in mysterious ways. (神様はミステリアスなやりかたで行動されるのよ。)
チャンドラー:
You have gotta stop! (それ、やめなきゃだめだよ!)
モニカ:
But she liked us. (でも、エリカは私たちのことを気に入ってたわ。)
チャンドラー:
She likes Doctor Chandler and Reverend Monica. (エリカは、医者のチャンドラーと牧師のモニカが好きなんだよ。)
モニカ:
Well, if you think about it, I'm kind of like a reverend. I mean, as a chef, I serve God by feeding the hungry and poor. (looks very convinced about what she just said) (あぁ、ちょっと考えてみてよ、私は牧師みたいなもんよ。ほら、シェフとして、私は神に仕えてるの、空腹で貧しい人々に食物を与えることでね。[自分がたった今言ったことに非常に納得した様子で])
チャンドラー:
Your veal chop is $34.95! (君の店の子牛肉のチョップは、34ドル95セントもするんだぞ!)
モニカ:
C'mon Chandler, I just-- I think we've been given an opportunity. I mean, the mistake's already been made. They're writing up the papers right now. (ねぇ、チャンドラー、私はただ… 私たちはチャンスを与えられたと思ってるの。ほら、間違いはすでに起こってしまってるのよ。今頃、書類を作成しているところだわ。)
チャンドラー:
But we are not the ones she chose! How can you feel okay about this? (でも俺たちは彼女が選んだ人じゃない。どうやったらこのことが問題ないって君には思えるんだ?[どうして君は平気なんだ?])
モニカ: (very emotional)
Because.... We may not be who she thinks we are... but no one will ever love that baby more than us. ([非常に感情的に] だって… 私たちは彼女が思ってる人じゃないかもしれない…でも、私たちよりもその子を愛せる人はいないわ。)
チャンドラー:
I know. (わかってるよ。)
モニカ:
I mean, who knows how long it's gonna take for someone else to give us a baby? What if, what if no one ever picks us? (だって、誰か別の人が私たちに赤ちゃんをくれるのに、どれだけの時間がかかるかなんて誰にもわからないわ。もし、もし誰も私たちを選んでくれなかったら?)
チャンドラー:
Oh, honey.... (あぁ、ハニー。)
モニカ: (Almost crying)
Please? Please. We are so close. ([ほとんど泣きそうになって] お願いよ? お願い。もう少しなの[私たち、あとちょっとのところまできてるのよ]。)
チャンドラー:
Monica, I want a baby too. But this woman is giving away her child. She deserves to know who it's going to. (モニカ、俺だって赤ちゃんは欲しいよ。でもこの女性は自分の子供を手放そうとしてるんだ。彼女はその子が誰の手に託されるのかを知る権利がある。)
モニカ: (realizes Chandler is right. She's almost crying)
Okay. You're right. (They hug) ([チャンドラーが正しいと悟る。モニカはほとんど泣きそうである] わかった。あなたが正しいわ。[二人はハグする])
部屋に入るなり、チャンドラーは、「俺たちはその(養子縁組の)書類にサインしないぞ」と言っています。
モニカが「どうしてダメなの?」と尋ねると、チャンドラーは「それは間違いだ。彼らは勘違いしてるんだ。彼らは俺たちを他の誰かだと思ってるんだ」と言います。
they というのは、赤ちゃんを妊娠中のエリカや、この養子斡旋業者の担当男性などのことですね。
チャンドラーの指摘は正しいものですが、それに対してモニカは、God works in mysterious ways. と返します。
直訳すると、「神は働く・動く、ミステリアスな方法で」になるでしょう。
DVDの日本語音声では「神は謎めいた行いをなさるのよ」と訳されていましたが、まさにそういうことですね。
神様が(通常とは異なる)謎めいた行動をされたせいで、みんなが勘違いすることになってしまった。この勘違いが起こったのは、神のいたずら、神のご意志よ、みたいに言ってみせたわけですね。
この表現が、「牧師だと勘違いされて、牧師のふりをし続ける」ことの続きであるのは明らかなので、チャンドラーは、You have gotta stop! 「(そんなことをするのを)やめなきゃだめだ。いい加減、そんな牧師の真似事をするのはやめて!」と言っているのですね。
モニカはそれでも反論して、「でもエリカは私たちのことを気に入ってたわ」と返します。
それに対してチャンドラーは、「彼女は俺たちのことを気に入っていたんじゃなくて、医者のチャンドラーと牧師のモニカを気に入っていたんだ」と、モニカにとっては痛いところを指摘します。
エリカ自身が「書類を見た時から、心はほぼ決まっていた」と言っていた通り、二人の職業が決め手であって、俺たちのことを選んだのは、俺が医者で君が牧師だと思い込んでいたからだ、ということですね。
するとモニカは、「ちょっと考えてみて。私は牧師みたいなものよ」と言い出します。
そして、「ほら、シェフとして、私は神に仕えてる。空腹で貧しい人々に食物を与えることで」と言います。
the hungry and poor のように、the+形容詞の形は、「(形容詞)である人々」を指しますね。
料理人として、恵まれない人々に食べ物を提供していることは、神に仕えることと同じ、と言ってみせたわけですが、それを聞いたチャンドラーは、「君の店の子牛肉のチョップは、34ドル95セントだ!」と指摘し、小さな子牛肉のチョップに、そんな高値を付けてるくせに、それで「貧しい人々に食事を提供している」みたいに言うなよな、お金持ち相手の高級店のシェフをしているのに、そんな理屈は通らない、とチャンドラーは言いたいのですね。
ちなみに、veal というのは「子牛肉」のことですが、この単語はフレンズ9-7 に出てきました。
フィービーがマイクの両親の家に挨拶に行った時、料理に子牛肉が出てきたシーンがあったのですね。
フィービーはベジタリアンなので、普段なら肉は食べないのですが、マイクとマイクの両親の顔を立てるために、無理して食べようとしたのが、その veal 「子牛肉」でした。
また、フレンズ9-21 でも、レイチェルがマッサージチェーン店のサービス券を使おうとした時に、「フィービーはマッサージチェーン店を憎んでるから、友達のあなたはそこに行っちゃだめ」とモニカに止められた時、
レイチェル:
Ah, what, now I can't get a massage? There are so many things that she disapproves of! I can't eat veal. I can't wear fur. I can't go hunting. (あぁ、何? 私はマッサージを受けられないの? フィービーが認めないものってすっごくたくさんあるのよ! 子牛を食べちゃだめ。毛皮を着ちゃだめ。ハンティングに行っちゃだめ、って。)
というセリフを言っていました。
動物愛護の精神が強いフィービーにとっては、「まだ小さな子牛の肉を食べること」というのは、一番抵抗が大きいのでしょうね。
それで、レイチェルもこんな風に、いろんな肉の中で特に子牛肉を例に挙げてみせたということでしょう。
veal という単語自体は、料理に出てくる名前なのでさほど重要ではないでしょうが、veal と聞いて、フレンズ9-7 や 9-21 に出てきたことを思い出したりするのも楽しいのではないかと思い、ちょっと触れてみました(^^)
「シェフの仕事って、ある意味、牧師みたいなものよ」という意見が、あっさりチャンドラーに否定されてしまった後、モニカはもう冗談でごまかすことはやめ、真剣にチャンドラーに訴えています。
モニカの言い分としては、「私たちはチャンスを与えられたと思ってる。もう間違いは起こってしまった。彼らは今頃書類を作成しているところだ」ということですね。
「経緯はどうあれ、実際にそういう手違い・勘違いが起こってしまったことを、私はチャンスをもらえたんだと考えてるの。間違いはもう起こってしまったんだから、今さら訂正できない。彼らだってもう、書類を作成中なんだから、もう後戻りはできないわ」と言っていることになります。
それに対してチャンドラーは、「でも俺たちは、彼女が(書類上で)選んだ人じゃない!」と言って、How can you feel okay about this? と言っています。
直訳すると、「この件について、どのようにして君はオーケーと感じることができるのか?」ということで、「彼女が選んだ人じゃないのに、どうしてそれで問題ないって(平気だって)思えるんだ? 嘘をついて契約するなんて何でそんなことができるんだ?」と言っていることになります。
「君は嘘をついたままで平気なのか? 良心が痛まないのか?」みたいに言われたモニカは、泣きそうな顔になって、Because.... We may not be who... 以下のセリフを言っています。
直訳すると、「だって… 私たちは彼女が私たちだと思う人ではないかもしれない… でも、誰もその赤ちゃんを私たち以上には愛せない」ということですね。
「私たちは、書類でエリカが選んだ人ではないけれど、エリカが思っている人ではないとしても、私たち以上にその赤ちゃんを愛せる人なんかいない、って私には断言できる。職業なんかどうでもいいじゃない。私たちは絶対にその子を愛して、その子を幸せにしてあげられるんだから!」とモニカは言っているのですね。
そう言っているモニカの気持ちは、チャンドラーも痛いほどわかるのでしょう、I know. 「わかってるよ」と答えると、モニカはさらに続けます。
who knows how long... は、「他の誰かが私たちに赤ちゃんをくれるのに、どれだけの長い期間がかかるかは誰にもわからない」ということで、「今回のことがダメになったら、次にその話が来るのがいつになるかわからない、どれだけ待たないといけなくなるかわからない」ということ。
what if no one ever picks us? は、「もし誰も私たちを(里親として)選んでくれなかったら?」ですね。
このチャンスを逃すと、次はいつになるかわからない、もう一生、里親になるチャンスは来ないかもしれない、と言われ、チャンドラーもすぐには返す言葉が出てきません。
We are so close. は、「私たちはすごく近いところにいる。ゴールまでもう少しのところにいる」という「あとちょっと、もうちょっと」というニュアンス。
せっかくここまで来たのに、あきらめられない、という気持ちがよく出ていますね。
モニカがそう訴えるのを聞いた後、チャンドラーは静かな声で、「モニカ、俺だって赤ちゃんは欲しいよ」と言った後、「でもこの女性(エリカ)は自分の子供を(他人に)引き渡そうとしているんだ」と続けます。
その次のセリフ、She deserves to know who it's going to. について。
deserve to do は「〜する価値がある、〜を受けるに足る、〜するべきである」という意味で、it's going to の it = her baby ですね。
まだ妊娠2ヶ月で、性別がわからない赤ちゃんのことを、中性代名詞の it で表現していることになります。
the baby is going to someone のように、「その赤ちゃんがある人のところに行く」の someone 部分が、「誰(のところに行くか)」の who となって前に出たのが、who it's going to の形ですね。
その文を直訳すると、「自分の赤ちゃんが誰のところに行くことになるかを、彼女は知るべきである(彼女にはそれを知る権利がある)」と言っていることになります。
このセリフは「子供を産んだ母親」が持つ「知る権利」ですが、生まれた子供の方から、その「知る権利」を語っているセリフが、過去のフレンズにありました。
自分がどこから来たのかを知る権利 フレンズ3-25その6 の以下のセリフです。
フィービー:
Now, look, I deserve to know where I came from. All right? So if you can help me find my father, then you should. (ねぇ、私は私がどこから来たのかを知る権利があるの。そうでしょ? だから、私がお父さんを探すのをあなたが助けることができるなら、それならあなたは助けるべきだわ。)
ママの旧友の家に、自分のパパらしき人物が写っている写真を発見して、その旧友に「パパのこと知ってるなら教えて」と言っているシーンでした。
ここでも、deserve to know という同じ表現が使われていますよね。
今回のエピソードに戻ります。
モニカの気持ちはよくわかるけれど、自分が産んだ子を手放す彼女のことも考えてあげないと、とチャンドラーは言っているわけですね。
その子を産むことになる彼女は、里親となる相手のことを知る権利がある、彼女に対して嘘をつき通すことは、やっぱりいけないことなんだよ、と諭したことになるでしょう。
相手の女性には知る権利がある、と言われて、とうとうモニカもチャンドラーの意見が正しいことを受け入れることになります。
このシーンでは、最初はモニカが牧師の真似をし続けたり、とコメディっぽいセリフも入っていましたが、二人にとっては人生を左右する重大な事柄なので、途中からはお互い、真剣な話し合いをすることになります。
モニカは自分の気持ちを正直に述べ、チャンドラーはそれを理解しつつも、「正しいことをしよう」と説得し、最後にはモニカもそれに従う、という流れになっていますね。
過去のフレンズでは、好きだけど別れなければいけなかった時などに、I did the right thing. 「自分は正しい(と思える)ことをした」と言ったりするシーンが出てきます。
誰かが悩んだ末に出した結論に対して、その相手を励ますために、You did the right thing. 「あなたは正しいことをしたのよ」と言うシーンもよく見かけます。
今回のシーンでは、モニカは悪いことだとわかっていても、嘘をつき通してでも、このチャンスを逃したくないと強く思っていたわけですが、それを夫のチャンドラーが静かに諭して、We did the right thing. 「俺たちは正しいことをした」と言える結論に辿り着いた、という気がします。
シットコムは基本コメディではありますが、10シーズンかけて6人が成長してきたドラマでもありますし、その「シリアスなドラマ」の部分が、今回のシーンによく出ていたように思いました。
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