2016年07月01日

箱を見れば昇進じゃないとわかる フレンズ10-14その4

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現在勤めているラルフ・ローレンには内緒で、グッチのヘッドハンティングの面接を受けていたことがバレたレイチェルは、ラルフ・ローレンをクビになってしまいます。
ロスに手伝ってもらって、ビルの外に自分の荷物を運び出している時、
(Mark, approaches from behind and recognizes her)
マークが後ろから近づき、レイチェルに気づく。
マーク: Rachel? (レイチェル?)
レイチェル: (turns around) Mark? Oh, my God! (puts the box on the chair and they hug each other) ([振り返って] マーク? なんてこと! [箱を椅子の上に置いてお互いにハグし合う])
マーク: How've you been? (どうしてた?)
レイチェル: Fantastic. You remember Ross? (素晴らしいわ。ロスは覚えてるわよね?)
マーク: Sure. Sure. (To Ross) What's with the chair? (Rachel signals him not to mention she's been fired) (もちろん、もちろん。[ロスに] その椅子はどうしたの? [レイチェルは自分がクビになってしまったことを言わないように[注:実際には「会社から椅子を持ち出したことは言わないように」だと思われます]、ロスに合図を送る])
ロス: Uh, you know, you can't always get a seat on the subway, so.... (laughs stupidly) (あー、ほら、地下鉄ではいつも席があるわけじゃないだろ、だから… [ばかばかしい感じで笑う])
マーク: Clever. (back to Rachel) So how are you? (賢明だね。[レイチェルに戻って] それで君はどう?)
レイチェル: Oh, well, (looks at her box and chair) you're not catching me on my best day. (あぁ、そうね、[自分の箱と椅子を見て] あなたは私の最高の日に、私を見つけてはいないわね[悪い日に(悪いタイミングで)見つかっちゃったわね]。)
マーク: Yeah, a box full of your desk stuff doesn't exactly say "big promotion." (そうだね、君のデスクのものでいっぱいの箱を見れば、必ずしも「大昇進」じゃないことはわかるよ。)
レイチェル: No, but it's good. You know, I'm gonna take some time off and do some charity work. (いいえ、でもいいの。ほら、私少し休みを取れるし、慈善事業もできるし。)
マーク: Are you sure? Because we may have something at Louis Vuitton. (ほんとに(そう思ってるの)? っていうのは、ルイ・ヴィトンで仕事があるかもしれないんだよ。)
レイチェル: Well, screw charity work. What do you got? (まぁ、慈善事業なんてどうでもいいわ。何(どんな仕事)があるの?)

マークとレイチェルは久しぶりに会い、ハグし合っています。
マークは、フレンズ3-11 でレイチェルと出会い、ブルーミングデールズの仕事を紹介してくれた男性でした。
レイチェルとマークが一緒の職場で働いていることにロスが猛烈に嫉妬して職場に押しかけるなどしたため、ロスとレイチェルは喧嘩となり、その後、「マークと浮気している」と勘違いしたロスが、自暴自棄になってクロエと寝てしまい、最終的に フレンズ3-16 でロスとレイチェルが別れることになってしまったんでしたね。

レイチェルと挨拶を交わした後、マークは目の前にある大きな椅子を見て、その椅子を持っているロスに「その椅子はどうしたの?」と尋ねます。
ここでレイチェルは「言わないで」というような顔をロスに向けています。
ネットスクリプトのト書きでは「クビになったことを言っちゃだめ」と説明してありますが、その後のシーンで、レイチェルがクビになったことを必死に隠そうとしている風でもないので、ここは「会社から私(レイチェル)が(無断で)椅子を持ち出したことは言わないで」という気持ちで、こういう表情をしているような気が私にはしました。
そんな顔をされたロスは「これはレイチェルの椅子なんだ」とも言えず、ロス自身がこの椅子を必要であるかのような理由を言わなければならなくなってしまったように思うのですね。

you can't always... の you は「一般の人々」を表すニュアンスで、ロスのセリフは「地下鉄では、人はいつも席をゲットできるわけじゃないだろ、だから…」という意味になります。
椅子を外に持ち出す理由として、「地下鉄で座る席がなかった場合に、この椅子があれば座れるから」みたいなことを言ったわけですね。
バカげた話にあきれながらも、ロスに、Clever. 「賢いね。賢明だね」と言った後、マークはレイチェルに「君はどう?」と様子を尋ねます。
ロスに椅子の件を押し付けたレイチェルまでもが、「もっとうまい言い訳思いつかなかったの?」と言いたげにあきれた顔を向けているのも面白いです。

誰がどう見ても、「会社をクビになって、荷物をまとめて出て行くところ」なのは明らかなので、レイチェルはそれを認めたような発言、you're not... 以下のセリフを言っています。
catch の基本語義は「捕らえる(とらえる)、捕まえる(つかまえる)」で、この場合は「人が何かをしているところを見つける、見かける」というニュアンスになります。
直訳すると、「あなたは私の最高の日に私を見つけてはいないわね」というところで、「今、あなたは私を見つけちゃったけど、とてもじゃないけど、いいところを見つかったとは言えないわね」→「見つかって欲しくない日に見つかっちゃったわね」と言っている感覚になるでしょう。

次のマークのセリフ、a box full of your desk stuff doesn't exactly say "big promotion." について。
直訳すると、「君の机のもの(所有物)でいっぱいの箱は、必ずしも”大昇進”とは言わないね」。
「君の仕事場の荷物であふれている箱を見たら、”大きな昇進があった”ってことじゃないのはわかるね」と言っているわけですね。
ダイレクトに言うと、「その箱を見れば、クビになったんだ、ってわかるよ」ということですが、クビになった人にそれを言うのも酷だと思ったのでしょう、それで「大昇進ってわけじゃなさそうだね」とソフトに言ってみせたわけですね。

同情された感じになったので、レイチェルは「でもいいのよ」と言って、「これから休みも取れるし、慈善事業もできるし」のように「私は平気」であることをアピールします。
それが本心からの言葉でないことはマークにもわかるのでしょう、マークは、Are you sure? 「それってほんとにそう思ってる?」みたいに言った後で、Because 以下のセリフを続けます。
この Because は「ほんとに君はそう思ってるわけ? のように君の意志を確認したのは、これから述べる理由があるからなんだよ」という感覚。
そして、「ルイ・ヴィトンで何か(の仕事)を持つ(仕事がある)かもしれない」のように言います。
その際の主語は we になっていますね。
マークが言っている内容としては、「ラルフ・ローレンをクビになった君だけど、ルイ・ヴィトンで何かの仕事があるかもしれない」みたいなことですから、主語はレイチェルを指す you でも良いのでしょうが、この主語が we になっているのは、今現在、マークがルイ・ヴィトンで働いているということを示唆しているのだろうと思います。
we という主語には、「親身の we 」という用法もあり、今回のこのセリフも、「君にいい仕事があると思うよ」ということを、レイチェルの気持ちに寄り添う形で親身に語っているニュアンスだと考えることも可能かもしれませんが、レイチェルがクビになった姿を見た途端に、「ルイ・ヴィトンでいい仕事を紹介してあげるよ」と言えたのは、やはりマーク自身がその会社に属していて事情がわかっているからこその発言だったのだろうと思うわけです。

マークは、レイチェルにブルーミングデールズでの仕事を紹介し、少しの間、同僚として働いた後、フレンズ3-14 で、荷物をまとめて職場を去るシーンがありました。
「何か仕事で失敗でもしたのかな?」などと言うロスに対してレイチェルは、
レイチェル: Nooo, he's leaving for a better job. (違うわ。彼はより良い仕事につくために、ここを去るのよ。)
と言っていましたので、その時にルイ・ヴィトンに移った可能性もあるように思います(あるいは、何度か転職を繰り返した後で、最終的にルイ・ヴィトンに勤務しているということもありえますね)。

「クビになってもいいのよ。休めるし慈善活動もできるし」などときれいごとを言っていたレイチェルでしたが、ルイ・ヴィトンの名前を聞くと、即座に前言撤回し、Screw charity work. と言って、「何があるの? どんな仕事なの?」と早速内容を尋ねることになります。
screw は Screw you! / Screw her! などの形で、人をののしる表現として使われます。
Macmillan Dictionary では、
screw you/her/him etc [phrase, offensive] : used for expressing your anger
つまり、「(侮辱的) 自分の怒りを表現するために使われる」。

この場合は、「ずっとやりたかった、素晴らしいこと」のように自分で挙げた charity work という言葉に対して、「そんなもん、もうどうでもいいわ! 知ったこっちゃないわ!」みたいに言った感覚になるわけですね。


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posted by Rach at 16:02| Comment(0) | フレンズ シーズン10 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする