2016年08月31日

左のフィランジが故障 フレンズ10-18その1

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ついに、フレンズ最終話(フレンズ10-18)の解説に入りました♪

シーズン10 第18話
The Last One - Part 2 (グランド・フィナーレ - part 2)
原題は「最後の話 パート2」


パリに旅立つレイチェルを追いかけるため、フィービーは自分のキャブでロスを空港まで送ります。
二人は JFK空港に着いたのですが、レイチェルがいるのはニューアーク空港だとわかり茫然。
慌ててニューアーク空港にキャブで向かうのですが、間に合わないと言うロスに、フィービーは「携帯でレイチェルに電話すればいい」と言って、自分の携帯からレイチェルに電話をかけます。
レイチェル: Hello? (もしもし?)
フィービー: Rachel? Oh, good. (レイチェル? あぁ、良かった。)
レイチェル: Phoebe? Is everything okay? (フィービー? 大丈夫?)
フィービー: Uhm, actually no. No. You, you have to get off the plane. (あの、それが大丈夫じゃないの。あなたは飛行機を降りないといけないわ。)
レイチェル: What? Why? (何? どうして?)
フィービー: I have this feeling that something's wrong with it. Something is wrong with the left phalange. (何かがおかしい[異常がある]って気がするの。何かがおかしいわ、左のフィランジ[ファランジ]が。)
レイチェル: Oh, honey, I'm sure there's nothing wrong with the plane. (あぁ、ハニー、飛行機には何も問題ないって思うわよ。)
(The passenger in the seat next to Rachel looks at her and seems a little nervous.)
レイチェルの隣の席の乗客がレイチェルを見て、少し心配そうな様子。
レイチェル: Alright, look, I have to go. I love you, and I will call you the minute I get to Paris. (いいわ、ねぇ、私はもう行かなきゃいけないの。愛してるわ、それでパリに着いたら電話するわね。)
(Rachel hangs up.)
レイチェルは電話を切る。
乗客1(Passenger #1): Uhm, what was that? (あのー、今のは何?)
レイチェル: Oh, that was just my crazy friend. She told me I should get off the plane because she had a "feeling" that there was something wrong with the left phalange. (あぁ、今のはただの私の変な友達よ。彼女が、私に飛行機を降りろ、左のフィランジに何か異常がある[左のフィランジが故障してる]、って感じがするから、って言ったのよ。)
乗客1: Okay. That doesn't sound good. (そう。それって良くない感じだね。)
レイチェル: Oh, I wouldn't worry about it. She's always coming up with stuff like this, and you know what? She's almost never right. (あぁ、私なら気にしないわ。彼女はいつもこんな感じのことばっかり考えるのよ。でね、彼女はほとんど当たってることがないの。)
乗客1: But she is sometimes. (でも時々なら当たるんだ。)
レイチェル: Well.... (まあね…)
(The passenger stands up and gets his suitcase from the overhead compartment.)
その乗客は立ち上がり、頭上のコンパートメントから自分のスーツケースを取り出す。
客室乗務員(Air stewardess): Excuse me, sir. Where are you going? (お客様。どこへ行かれるのですか?)
乗客1: I have to get off this plane, okay? Her friend has a feeling something's wrong with the left phalange. (この飛行機を降りないといけないんだよ。彼女の友達が、左のフィランジが故障してる、って感じるんだって。)
レイチェル: Could I get some peanuts? (ピーナッツ、もらえます?)
乗客2: What's wrong with the plane? (飛行機が故障してるの?)
乗客1: Yeah! The left phalange! (あぁ! 左のフィランジが!)
客室乗務員: There's no "phalange." (”フィランジ”(なんてもの)はありません。)
乗客1: Oh, my God. This plane doesn't even have a phalange! (なんてこった! この飛行機にはフィランジを持ってさえいないんだ![フィランジがないんだ!])
乗客3: What's going on? (何が起こってるんだ?)
乗客1: We're all getting off. There is no phalange! (俺たち飛行機を降りるぞ![みんな、飛行機を降りよう!] (この飛行機には)フィランジがないんだぞ!)
(Everybody walks out of the plane.)
みんなが飛行機を降りる。

飛行機に乗った後で、フィービーがわざわざ携帯で電話をしてきたことから、レイチェルは「何か問題でもあるの?」というように Is everything okay? と尋ねています。
そう言われたフィービーは、「実は大丈夫じゃないの」と言って、「あなたは飛行機を降りないといけないわ」と言っています。
このままではロスと会わないままパリに旅立ってしまうので、とにかく飛行機を降りてもらわないと、、いう想いから、そのように言ったわけですね。
レイチェルは当然「どうして?」と返してきますので、そこでフィービーは、飛行機に何かしらの問題があるから降りないといけない、のように、理由をでっち上げています。

I have this feeling that something's wrong with it. について。
この wrong は「具合が悪くて、故障して、調子が狂って、おかしくて」というニュアンス。
研究社 新英和中辞典にも、
There's something wrong with the engine. そのエンジンはどこか故障がある
という例文が載っています。
it = the plane (レイチェルが乗っている飛行機)ですから、フィービーは「その飛行機がどこかおかしい、故障してるって気がする」と言っていることになります。
その後、さらに故障している箇所を Something is wrong with the left phalange. と言っていますが、隣のロスはそれを聞いて、「何だよ、それは、、」と少しあきれ顔をしています。

このフィランジ(ファランジ)と発音している単語ですが、DVDとブルーレイの英語字幕では phalange、ネットスクリプトでは Philange、Netflix では filangee と表記されています。
ツールごとに綴りが違っているのは、実際に飛行機にそういう部分・部品があるわけではないという、フィービーの造語だからですね。

この単語は、これまでのフレンズで、フィービーの偽名として何度も登場したものです。
ですから、フレンズをずっと見続けてきた人にとっては、「フィービー、またこの単語使ってる」と気づけて笑えてしまうわけですね。
グランドフィナーレに登場したということで、これまでの使用例を今日の記事の最後にまとめることにしますが、まずは今回のストーリーの方から説明します。

とにかくレイチェルを飛行機から降ろすために、適当な部品名をでっち上げて、そこに異常があるから、と説明したことになりますが、レイチェルは「そんな部品、部分があるのかな」と思ったようで、その名前について特に追求することもなく、「別に飛行機には異常がある様子じゃないわ」と説明し、「私は行かなくちゃ(だからそんなはっきりしない理由では降りられないわ)」と言い、「着いたら電話するから」と言って携帯を切ります。

ですが、フィービーとの電話でレイチェルが「飛行機には何も問題ないと思うわよ」と言ったのを聞いていた隣の男性が「今の電話は何? 飛行機のことで何を言って来たの?」のように尋ねます。
レイチェルはフィービーが言ってきた内容をそのまま素直に話します。
「今のは私の(ちょっと)変わった・変な友達(から)だったの」と言って、「彼女はこう言ったのよね、私は飛行機を降りるべきだ、左のフィランジが故障してるって「フィーリング」がするから、って」と説明します。
feeling を強調している感じなのは、「実際にここにいるわけでもなく、離れた場所から、”そんな感じがする、そんな気がする”みたいに言っているだけなのよ」というのをはっきりさせたいからですね。
ですが、隣の男性は心配性なのか、「それって良くない感じだね(聞く限り、あまりいい話とは言えないね)」と言います。

I wouldn't worry about it. の I wouldn't は「(あなたは心配しているようだけど)私ならそんなこと気にしないわ」のような「もし私なら〜しない」というニュアンスが含まれています。
その理由として、「電話をかけてきた彼女はいつもこんな感じだから」ということを説明していますね。

She's always coming up with stuff like this の「be always doing という現在進行形に always がついた形」は、「いつも・しょっちゅう〜してばかりいる」という話者の不満のニュアンスが込められています。
come up with は「思いつく、考えつく、考え出す」なので、「彼女はいつも、こんな感じのことを思いついてばっかりなの」というところ。
そう言った後、「でね、彼女の言うことはほとんど正解じゃないの、彼女はほとんど当たることがないの」と言います。
「こんなことばっか言ってて、当たった試しもほとんどないし」と言ったのですが、never ではなく、almost never のように almost がついたことが気になった様子の隣の客は、But she is sometimes (right). 「でも(ほとんど当たらないということなら)時には・時々は当たるんだね」と返します。
「絶対に当たらない」と言うこともできず、レイチェルが口をへの字にして、「まあね」という顔をすると、隣の客はすっくと立ち上がり、頭上から自分のスーツケースを取り出します。
もうすぐ離陸だと言うのに、降りようとする様子の乗客を見て、客室乗務員が声を掛けますが、乗客は「飛行機の部品が故障している、問題がある、という感じがする」という発言に囚われてしまった様子で、その内容を乗務員に伝えています。
自分が話してしまったことで、「飛行機を降りようとする客とそれを止めようとする客室乗務員」の状況を生んでしまったので、「彼女の友達がそう言ったんだ」と名指しされたレイチェルはただただ気まずい様子で、そのことを追求されたくもないのでしょう、乗務員に「ピーナッツもらえます?」と言って、その話題から逃れようとしています。

降りようとした乗客が「左のフィランジが故障してる」と大声で話したので、他の乗客たちもざわつき始めます。
「左のフィランジが!」と何度も言う乗客に、乗務員は「フィランジに異常があると言っておられますが、そもそも飛行機にはフィランジなんてものは存在しません。そんな部品や部分はありません」という意味で、There's no "phalange." という事実を述べるのですが、それを聞いた乗客は、「フィランジがない、だって? そこに異常があるどころか、必要な部品であるフィランジを積んですら[搭載してすら]いないのか?」のように、さらに勘違いしているのが面白いですね。
その乗客が「みんな、降りろ。フィランジがないんだぞ!」と叫んで、乗客は次々と飛行機を降りることとなります。

レイチェルは「いつものフィービーのたわごと」としか思っていなかったのに、それを聞いた隣の人がパニクってしまい、大ごとに発展してしまう、乗務員が言った一言でさらに状況が悪化してしまう、、という流れが英語で理解できればいいですね。

それでは、フレンズの過去エピソードでフィランジ(ファランジ)という言葉が出てきたことのまとめを書きます。
名前、それも偽名だということで、DVD でもネットスクリプトでも、その時々で綴りが違っていて、統一されていないのですが、私が調べたところ、この偽名が登場するのは、5-1, 5-24, 7-20, 8-4, 8-21, 10-13, 10-18 の回。
過去記事では、シーズン5に突入! フレンズ5-1その1 と、ジョーイとフィービーの偽名 フレンズ8-4その5 で、その名前について解説しています。

5-1 フィービーがロンドンに電話をかけて、
フィービー: (On the phone, in New York) Uh, hello, this is Ross Geller's personal physician, Dr. Philange. ([NYにいて、電話で] あぁ、こんにちは。こちらはロス・ゲラーの主治医のドクター・フィランジーです。)
と名乗る。(フィービーの偽名)

5-24 フィービーがベガスのカジノで、出張中のビジネスウーマンのふりをして、
フィービー: Hello. My name is Regina Falangie. I'm a businesswoman in town on business. Would you like to see my card? (こんにちは。私の名前はレジーナ・フィランジー[ファランジー]よ。私は出張中のビジネスウーマンなの。私の名刺をご覧になる?)
と名乗る。(フィービーの偽名)

7-20 レイチェルの大学の友人メリッサ(演じるはウィノナ・ライダー)と、ソロリティー(sorority: 大学の女子学生社交クラブ)の話をしていて、自分もそういうソロリティーに入ってた、と嘘をついたフィービーは、
フィービー: Yeah! Y'know, we were really huge too. But then they had to shut us down when Regina Phalangie died of alcohol poisoning. (ええ! ほら、私たち(のソロリティー)もすっごく大きかったのよ。でも、解散しないといけなくなったの、レジーナ・フィランジーが(急性)アルコール中毒で死んでしまった時にね。)
と説明する。(知り合いの女子学生の名前として使う)

8-4 チャンドラーとモニカが、知り合った夫婦に偽の電話番号を渡されたという話をした時、「きっと本当の名前も教えてないね」と言われ、
モニカ: Okay, maybe people give out fake numbers, but they don't give out fake names. (ねぇ、偽の番号を渡す人は多分いるだろうけど、でも偽の名前を名乗る人はいないわ。)
ジョーイ: Oh, yeah? (To Phoebe) Hi. Ken Adams. Nice to meet you. (あぁ、そうかい? [フィービーに] はーい、ケン・アダムズだ。こんにちは。)
フィービー: Regina Philange. (Ken and Regina shake hands.) (レジーナ・フィランジーよ。[ケンとレジーナは握手する])
(ジョーイはケン・アダムズ、フィービーはレジーナ・フィランジーという偽名をよく使っているという描写)

8-21 新しい仕事の面接を受けるつもりのチャンドラーに、面接の練習をしてあげるフィービー。
フィービー: All right, all right, we'll just do our best. Okay? So let's say I'm the interviewer and I'm meeting you for the first time. Okay. "Hi! Come on in. I'm uh, Regina Phalanges." (わかった、わかった、ベストを尽くしましょう、ね? じゃあ、私が面接官で、私はあなたと初対面よ。いい? 「こんにちは! 入って。私はレジーナ・ファランジーよ。)
(面接官のふりをする時の偽名)

10-13 フランス語を話す役が欲しいジョーイは(フランス語が話せる)フィービーと練習したけれど、結局フランス語が話せないままで、オーディションに落ちてしまう。オーディションが終了した直後、そのオーディション会場にフィービーが現れて、
フィービー: (in a French accent) Uh, excuse me? Uh, I am Reginé Philange. I was passing by when I heard this man speaking the regional dialect of my French town of Estée Lauder. ([フランス語のアクセントで] あの、よろしいかしら? 私はレジーン・フィラーンジュ。私はたまたま通りかかったの、この男性が私のフランスの故郷エスティローダーの訛り(なまり)を話しているのが聞こえたので。)
(その後、ジョーイにはわからないように「彼は私の弟なの」とフランス語で話す。つまりジョーイの姉を演じた時の偽名。フランス語風にしゃべっているので、名前もフランス語読み風となっている。
エスティローダーは化粧品の製造・販売メーカーですが、その名前をフランスのある地方の名前のように言っているのもジョークのポイント。)

この過去の使用一覧からわかるように、1回は友人の偽名で、他は全てフィービーが他人のふりをする際の偽名です。
そして今回のグランドフィナーレで初めて、「フィービーの偽名ではなく、ある部分の名称(今回は飛行機の装置または部品の名前)」として使われたことになります。
最終話では、いつもの「偽名」ではなく、ちょっと違った使われ方をしたのが何だか楽しいですね(^^)


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posted by Rach at 12:33| Comment(4) | フレンズ シーズン10 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年08月29日

忘れられる、でも忘れたくない フレンズ10-17その6

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チャンドラーとモニカは、エリカが妊娠していた赤ちゃんを養子に迎えることになっていましたが、その赤ちゃんは双子でした。
チャンドラーとモニカがその双子の赤ちゃんを家に連れ帰り、フレンズたちに披露した後、レイチェルはみんなにさよならを言って、パリに向かうため、チャンドラーとモニカのアパートメントを去ります。
その後のシーン。
フィービー: So you just let her go? (それでただレイチェルを行かせちゃうの?)
ロス: Yeah. (あぁ。)
ジョーイ: Hey, maybe that's for the best. (なぁ、多分、それが一番いいんだよ。)
ロス: Yeah? (そう?)
ジョーイ: Yeah. You know, you just-- Look, you gotta-- You gotta think about last night the way she does. Okay? You know, maybe.... Maybe sleeping together was the perfect way to say goodbye. (そうさ。ほら、レイチェルが考えたように、お前も昨日の晩のことを考えないとだめだ。だろ? ほら、多分、多分、一緒に寝たのは、さよならを言う完璧な方法だったんだ、って。)
フィービー: But now she'll never know how he feels! (でも、もうレイチェルはロスの気持ちを知ることはないのよ。)
ジョーイ: Maybe that's okay, you know? Maybe, maybe it is better this way. I mean, now.... Now you can move on. I mean, you've been trying to for so long. Maybe now that you're on different continents.... (Looks at Phoebe) Right? (多分それでいいんだよ、だろ? 多分、こうする方がいいんだよ。ほら、今、ロスは前に進める。お前はずっと長い間、そうしようと[前に進もうと]頑張ってきた。多分、今はもうお前らは違う大陸にいることになるから… [フィービーを見て] (俺の発言)合ってるよね?)
(Phoebe nods.)
フィービーはうなずく。
ジョーイ: Maybe now you can actually do it, you know? You can finally get over her. (多分、今お前は実際にそうすることができる、だろ? ついにレイチェルを忘れることができるんだ。)
ロス: Yeah, that's true. Except.... I don't wanna get over her. (あぁ、その通りだ。ただし… 僕が彼女を忘れたくない、ってことを除いては。)
ジョーイ: What? (何だって?)
ロス: I don't! I wanna be with her. (忘れたくないんだ! 僕は彼女と一緒にいたい。)
ジョーイ: Really? (ほんとか?)
ロス: Yeah, I'm gonna go after her. (あぁ、僕は彼女を追いかけるよ。)
ジョーイ: Yeah, you are! (あぁ、追いかけろ!)
フィービー: Woo! (ウー!)
(Monica and Chandler look shocked as Ross goes to leave.)
モニカとチャンドラーは驚いた様子で、ロスは出て行こうとする。
フィービー: Wait! Wait! Get your coat! Get your coat! (待って! 待って! コートを取って! コートを取って!)
ロス: My coat. (僕のコートだ!)
ジョーイ: This is so cool! (これって最高だよ!)
チャンドラー: I have no idea what's going on, but I am excited! (何が起こってるのか全くわからないけど、でも興奮してる!)
ジョーイ: But Ross, Ross. What do you, what do you think she's gonna say? (でも、ロス、ロス。彼女は何て言うと思う?)
ロス: I don't know, but I.. Look, even if she shoots me down, at least I won't spend the rest of my life wondering what would have happened. Where - where is my coat?! (わからないよ、でも、ほら、例えレイチェルに振られたとしても、少なくとも僕は残りの人生を、(もし告白していたら)どうなっていたかって悩みながら過ごさなくて済む。どこ、僕のコートはどこ?)
フィービー: You didn't bring one! My cab's downstairs. I'll drive you to the airport. (あなたはコートを持ってきてなかったわ! 私のタクシーがビルの下にある。あなたを空港まで送ってあげるわ。)
ロス: Okay, guys, wish me luck. (よし、みんな、僕に幸運を祈ってて。)
フィービー: Hurry! (急げー!)
ジョーイ: Good luck! Good luck! (頑張れ! 頑張れ!)
(Phoebe and Ross leave.)
フィービーとロスが去る。

レイチェルが出て行ってしまった後、フィービーはロスに「ただレイチェルを行かせちゃうの?(引き留めなくていいの?)」と尋ねます。
ロスはまだ頭の中が混乱している様子ながらも Yeah. と言うと、ジョーイは「なあ、多分それが一番いいんだよ」と言っています。
レイチェルがパリに行ってしまうことをものすごく嫌がっていたジョーイが、「それで(レイチェルを行かせて)良かったんだよ」と言うのは、他のフレンズや観客にも少し意外な印象を与えるところでしょう。
それでロスも、「やっぱりそうかな? ジョーイもそう思うの?」と言うように、Yeah? とジョーイの発言を促すような返事を返します。
その後、ジョーイは「これで良かったんだ」と思う理由を真剣な表情で述べていますね。
You gotta think about last night the way she does. は「彼女がするように、お前は昨晩のことを考えないといけない」ということで、つまりは、「彼女が考えるのと同じように、お前も昨晩のことを捉えないといけない。昨晩のことについては、レイチェルと同じように考えるべきだ」と言っていることになります。
「レイチェルが昨晩のことについてこう考えた」というのは、ジョーイのその次のセリフに出てくる「一緒に寝たことが、さよならを言うのに完璧な方法だった」という捉え方ですね。
レイチェルは「最後に寝たことで、最高のさよならができた」と思っているので、ロスもレイチェルと同じように考えるべきだ、とアドバイスしていることになります。

ジョーイはそのように受け入れろとアドバイスしていますが、フィービーはまだあきらめきれないようで、「でも(このままじゃ)レイチェルはロスの気持ちを知ることはないのよ!」と言っています。
よりを戻したいと思っているロスの気持ちを伝えない、こんなままで終わってしまっていいの? ということですね。
フィービーがそのように言っても、ジョーイは自分の意見を変えず、「それでいいんだよ。こうした方がいいんだよ」と言って、「今、ロスは前に進める」と続けます。
move on は「(失恋などの)つらい過去を忘れて前に進む」という意味で、フレンズに何度も出てきましたね。
you've been trying to for so long. というのは、「前に進もうと、ものすごく長い間、お前は頑張り続けてきた」ということで、レイチェルと別れた後も、また近づいてまた離れてを繰り返し、ロスはこれまで何度も「レイチェルのことは忘れて前に進もう」と頑張ってきたじゃないか、と言っていることになります。
ずっと move on しようと頑張ってあがいてきたけれど、今そのレイチェルが目の前からいなくなったわけだから、今こそ本当に move on できるじゃないか、やっと move on できるチャンスが巡って来たんだよ、みたいなことですね。

その後、Maybe now that you're on different continents.... と言ってから、隣のフィービーに向かって、Right? と尋ねるのもジョーイらしくていいですね。
continent は「大陸」ですから、「今や二人(ロスとレイチェル)は別の大陸にいる(ことになる)んだし…」と言っていることになります。
NYは北アメリカ大陸、フランスのパリはヨーロッパ大陸なので、ジョーイの言う通り、「二人は別々の大陸に離れ離れになる」わけですが、自分で大陸という言葉を出しておいてから、「パリは別の大陸にある、っていう俺の発言、合ってたよね? 間違ってないよね?」というように、フィービーに確認しているのがジョーイっぽくて微笑ましいところです。

レイチェルを忘れて前に進もうと長年もがいていたロスにとっては、レイチェルがすぐそばにいると忘れようとするのも難しいけれど、レイチェルが遠い場所、それも別の大陸に行ってしまえば忘れるのがずっと楽になるはずだ、とジョーイは言っていることになります。
now you can actually do it, you can finally get over her というのも、「今実際にお前は move on することができる、ついに彼女を忘れることができる」ということで、お前はずっとそれを望んでただろ、そうしようともがいてきたことがついにできることになるんだぞ、と言っているわけですね。

ちなみに、ジョーイがロスに語るこのセリフの中で、反復も含めると、ジョーイは合計8回も maybe という単語を言っています。
maybe は「多分」ということですが、自分でも100%確信を持っているわけではないけど、俺はこんな風に思うんだ、という意見を述べる感覚が出ているように思います。
ジョーイ自身も意見を言いながらも、「これが絶対の正解とは言えないかもしれないけど」という気持ちがどこかにある、ということを示しているような気がします。
LAAD (Longman Advanced American Dictionary) では、
maybe :
1. used to say that something may happen or may be true, but you are not certain
4. (spoken) used to make a suggestion you are not very sure about

つまり、1. は「何かが起こるかもしれない、または何かが真実かもしれないけれど、自分は確信していないことを言うのに使われる」。
4. は「あまり確信が持てない提案をする時に使われる」。

「違う大陸にいることになって、これでやっとロスはレイチェルを忘れて前に進める」と言われたロスは、Yeah, that's true. 「あぁ、それは正しい(それは確かだ)」と言った後、思いを巡らすような顔をしながら、Except.... と言います。
この場合の except は接続詞で、except (that) SV で「SV であることを除いては、SV であること(事実)を別にすれば」というニュアンス。
つまり、Yeah, that's true. Except.... までを聞いた時点で、ロスは確かにジョーイの言う通りであると認めたけれど、「except 以下に出てくる条件においてはそうではない(ジョーイの言うことは正しくない、間違っている)」ことが示唆されるわけですね。
そしてその後に続くセリフは、I don't wanna get over her. となっています。
それらを続けた文章にすると、Yeah, that's true, except (that) I don't wanna get over her. となり、文章全体の意味としては、「僕が彼女を忘れたくないという事実を別にすれば、あぁ、それ(ジョーイが言ったこと)は正しいよ」ということになりますね。
実際には、前から順番に発言されているので、「あぁ確かにジョーイの言ったことは正しい。でもそれは僕が彼女を忘れたくないという事実を別にすれば、という話だけどね」→「ジョーイの意見は正しいけど、でも僕はやっぱり彼女を忘れたくないんだ」と言っていることになるでしょう。
Yeah, that's true. で発言が終わっていれば、「ジョーイの言う通りだね」と認めロスも納得した、ということになるのですが、そこに except... で言葉が続いた時点で、「ただ、でも」のように「別の条件なら話は別だ、また話は違ってくる」という流れになること、ロスが完全に納得しておらず何か別のことを今から言おうとしていることが察せられるということです。
英語でこのシーンを見ていて、ロスの Except.... という言葉で、風向きが変わったことに気付ければいい感じ♪ ということですね。

「ジョーイの言う通りだけど、でも僕はレイチェルを忘れたくない」という発言を聞いて、ジョーイは What? と返しますが、ロスは心が決まった様子で、I don't! I wanna be with her. 「忘れたくない! 僕はレイチェルと一緒にいたい」と言います。
それを聞いたジョーイは Really? と言いますが、その顔はとても嬉しそうですね。
もう迷いがなくなったロスは、「あぁ、僕は(これから)レイチェルを追いかける」と言います。

Except.... 以下のセリフを言う際、ロスは叫ぶでもなく、静かなトーンでそのセリフを語っています。
ジョーイやフィービーに対して高らかに宣言するという風ではなく、自分に言い聞かせているようなトーンで、「そうするしかない。それ以外考えれない」というように、改めて自分の本心に気付いてそれを噛み締めているようなニュアンスが感じられた気がしました。

「レイチェルを追いかける」と言って、「じゃあ」という感じで軽くジョーイの胸に手を置いて、フレンズたちへの挨拶もそこそこに出て行こうとしているのも、今は自分の正直な心のままに行動しようという気持ちのみであることが描写されている気がします。

そうやってロスが出て行こうとする時、フィービーが「ロス、コートは?」と言ったので、ロスはコートを取りに戻ってきます。
チャンドラーとモニカは、エリカの出産に付き添っていたため、ロスとレイチェルが今どういう状況になっているのか詳しいことを知りません。
それで「何が起こってるのか全くわからないけど」と言っているわけですが、それでもロスがレイチェルを追いかけようとしていることを知って、喜んでいます。
コートを探しているロスに、「レイチェルは何て言うと思う?」とジョーイが尋ねると、ロスは「わからないけど、でも、、」と言った後、even if she shoots me down, at least I won't spend the rest of my life wondering what would have happened. と言っていますね。
shoot down は「撃ち落とす、撃墜する」ということですから、この場合は「ロスが自分の気持ちを伝えて、レイチェルがそれを拒んでも(レイチェルが僕を振っても、レイチェルに撃沈されることになっても)」というニュアンスになるでしょう。
at least I won't spend the rest of my life wondering what would have happened. は、「少なくとも、(もしあの時気持ちを伝えていたら)何が起こっただろうなぁ、と悩みながら、残りの人生を過ごさなくて済む」ということですね。
「あの時、告白していれば自分が望む形になったかもしれない、、 そんな後悔をしながら残りの人生を過ごすのは嫌だ」、「後悔するくらいなら、今は当たって砕けろの精神で彼女に本心を伝えたい」と言っていることになります。

そんなことを言いながら、ロスは「僕のコートはどこ?」と探し回っていますが、フィービーが You didn't bring one! 「あなたはコートを持って来てなかったわ!」と叫ぶのが面白いですね。
そもそもロスが出て行こうとしていた時に、フィービーが、Get your coat! と言ったから探し回っていたと言うのに、言い出しっぺのフィービーが「ロスはコートなんか着て来なかったでしょ!」と言っている、そのズレ具合がフィービーっぽいところです。

フィービーは自分のキャブが下にある、と言って、空港まで送るわ、と申し出ます。
みんなの声援を背に受け二人が空港へ向かうところでエンドクレジットとなり、後は最終話の フレンズ1-18 を残すのみ、となります。

グランドフィナーレのパート1の終わりで、ロスがレイチェルを追いかけることを決めたことになるわけですが、このロスが心を決める様子は、セントラルパークでレイチェルに気持ちを伝えようとしてガンターに先を越されたことと、見事な対比になっていると思います。
セントラルパークの時は、ロスはフィービーに「自分の気持ちを伝えなきゃだめよ」と説得されて、自分の気持ちを伝える決心をしていました。
フィービーもジョーイも、ロスを応援する気持ちを持っていて、フレンズたちの後押しがあってこそ、というところがあったわけですね。
それがガンターに先を越されてしまったせいで、言うタイミングを失ってしまい、チャンドラーとモニカの家での最後のお別れの場面でも、何も言えないまま、さよなら、となってしまったわけですが、その後、「自分の気持ちを伝えなきゃだめよ」とフィービーが励ますと、今度はジョーイが「これで良かったんだ。これでやっとロスはレイチェルを忘れて前に進めるんだから」と、別れを認めるべきだと説得する流れになります。

「これでやっとレイチェルのことを忘れられるんだぞ」とジョーイに言われて初めて、ロスは「でも僕はやっぱりレイチェルを忘れたくない」という自分の本当の気持ちに気づき、「これで良かったんだよ」という意見を振り切る形で、自分の判断で、自分の正直な気持ちに従い、レイチェルを追いかけることになったわけですね。
「気持ちを伝えなさいよ」と友人にアドバイスされて「やっぱりそうすべきだよね」と思い、気持ちを伝える、というのと比べ、友人はこれで良かったんだとあきらめさせようとしたのに、それを振り切って追いかける、という方が、より強い気持ちが出ていることが描写されるように思うわけです。

ジョーイは大根役者という設定(笑)ですから、「これで良かったんだよ」のようにわざとあきらめさせるようなことを言って、逆にロスの心に火を付けようとした、というような策略(演技)ではなかっただろうと思います。
ロスが気持ちを告げずレイチェルが去ってしまった以上どうしようもない、ロスとレイチェルのくっついたり離れたりを繰り返す微妙な関係を長年見続けてきたジョーイとしては「これでレイチェルのことを忘れられるだろ」と言ったのは、本心からのアドバイスだったと思います。
ずっと一緒のフレンズたちの意見はもちろん大事ですが、こと恋愛については、当事者が自分の心で決めて欲しいと思いますし、今回のことも、レイチェルとの関係をどうするかについて、最終的にロス自身が決めた、というのが、これまでずっとフレンズを見続けてきたファンにとっても、嬉しい展開になってくれていたと思いました。
「そうだ、これでレイチェルのことを忘れられるんだ、、、 でもやっぱり僕はレイチェルを忘れたくない」ということに、ロス自身が気付いてくれたこの瞬間が、私には本当に嬉しく感じられましたね(^^)


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posted by Rach at 14:32| Comment(0) | フレンズ シーズン10 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年08月26日

太陽よりも輝く髪の毛の男性 フレンズ10-17その5

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ロスはフィービーに「よりを戻したいというあなたの気持ちをレイチェルに伝えるべきよ。そうしたら気が変わって、パリに行かないかもしれない」と説得されます。
その後、レイチェルがセントラルパークに入ってきて、少しの会話の後、レイチェルがカウンターの方に行っている間、
ロス: Alright. You know what? You're right. I should at least tell her how I feel. (わかったよ。ねぇ、フィービーは正しい。せめて(とにかく)僕は自分の気持ちをレイチェルに言うべきだ。)
(He stands up.)
ロスは立ち上がる。
ジョーイ: Ross. Wait, wait! (ロス、待って、待って!)
ロス: What? What? (何? 何?)
ジョーイ: Could you get me a muffin? (俺にマフィンを取ってきてくれる?)
(Ross walks up to Rachel, but Gunther gets there first.)
ロスは歩いてレイチェルに近づく、が、ガンターがそこに先に来る。
ガンター: Rachel? (レイチェル?)
レイチェル: Yeah? (はい?)
ガンター: I... I know you're leaving tonight, but I just have to tell you. I love you. (僕は、君が今夜旅立つことは知ってるんだけど、でもただ君に言わなくちゃ(と思って)。僕は君を愛してる。)
(Ross is shocked.)
ロスはショックを受ける。
ガンター: Now, I don't know if that changes your plans at all. But I thought you should know. (ほら、そのこと(僕が今の言葉を言ったこと)で君の予定が少しでも変わるのかどうかはわからないけど。でも君に知っておいて欲しいと思ったから。)
レイチェル: (touched) Gunther... Oh... I love you too. Probably not in the same way. But I do. And, and when I'm in a café having coffee, or I see a man with hair brighter than the sun, I'll think of you. Aw. ([感動した様子で] ガンター、、 あぁ… 私もあなたを愛してるわ。多分、同じようにではないけれど。でも愛してる。そして、私がコーヒーを飲みながら(パリの)カフェにいる時、または太陽よりも輝く髪の毛の男性を見る時、私はあなたのことを考えるわ。あぁ。)
(She kisses him on the cheek and looks over at the others.)
レイチェルはガンターの頬にキスして、他の人の方を見る。
レイチェル: Oh... Bye, you guys. (あぁ… さよなら、みんな。)
フィービー: Bye. (さよなら。)
(Rachel leaves.)
レイチェルは去る。
ロス: Oh, my God! (なんてこった!)
フィービー: Unbelievable! (信じられないわ!)
ジョーイ: Hey, you know what might help? (なぁ、今、助けになるかもしれないのが何かわかる?[今、何をしたらいいと思う?])
ロス: I'm not getting you a muffin! (僕はお前にマフィンを取って来ないぞ!)

セントラルパークに入ってきたレイチェルがカウンターに向かったので、ロスはフィービーに、「フィービーが言ったことは正しい。せめて僕は自分の気持ちをレイチェルに言うべきだ」と言います。
そうやって立ち上がったロスに、ジョーイは「ロス、待って待って」と呼び止めます。
これからレイチェルに気持ちを伝えようとする時に、わざわざ呼び止めたので、「頑張れよ」という励ましか、もしくは何らかのアドバイスでもするかのように感じられる行動です。
ロスもそういうことを期待したらしく、「何、何?」と興味深そうに耳を傾けるのですが、ジョーイが言ったのは、「俺にマフィン(を1個)取ってきてくれる?」でした。
レイチェルに話すためにカウンターに行くのなら、ついでにマフィンもらってきてくれよ、と頼んだわけですね。
ロスはそれには返事せず、ムッとした様子でカウンターに向かうのですが、ロスがレイチェルに近づこうとした際、奥からガンターが歩いてきて、ロスより先にレイチェルに声を掛けます。

ガンターは、「君が今夜(パリに)発つのは知ってるんだけど、ただ君に言わなくちゃいけないと思って」と言い、少し間を置いた後、レイチェルの顔をまっすぐ見て、I love you. と言います。
それを見たロスは驚きの顔をして、ジョーイやフィービーと顔を見合わせています。
「僕の気持ちをレイチェルに言うぞ」とロスは意気込んでいたのに、ガンターに先を越されてしまったのでショックを受けているわけですが、先を越されたこと以上に、ガンターの言葉が、I love you. というダイレクトで強い言葉だったことが、ロスには余計にショックだったことでしょう。
ずっと前からレイチェルのことが好きで、その一途な気持ちがこれまでの言動の端々に表れていたガンターでしたが、最後の最後のお別れの時になって、照れることなくまっすぐレイチェルの目を見て告白した、というのは、「昨夜レイチェルとベッドまで共にしたのに、肝心の自分の気持ちをレイチェルに伝えることができておらず、フィービーたちに説得されてやっと今、決死の覚悟で気持ちを告げようと向かった」というロスとは対照的な姿だと言えますね。
準レギュラーとして、フレンズ6人の次に出演回数が多かったガンターですが(出演したエピソードは 150回)、最後のフィナーレで良い出番があって良かったね、と感じたファンは多かったかもしれませんね。

I don't know if that changes your plans at all. を直訳すると、「そのこと(僕が君を愛してると告白したこと)が君の計画(パリに行くこと)を少しでも変えるかどうかはわからないけど」。
僕がこんな告白をして、君のパリ行きの予定が変わる、パリに行かなくなるなんてことが起こるかどうかはわからないけど、ということですね。
そう言った上で、「君が僕の気持ちを知っておいた方がいいと僕は思ったから(告白した)」と言います。
今そばでそれを聞いているロスも、「結果がどうなるかわからない、それでレイチェルを引き留められるかどうかはわからないけど、とにかく今は自分の気持ちを伝えなきゃ」という気持ちでレイチェルに告白しようとしていたので、そういうことまで含めて全く同じことを、先にガンターに言われてしまったことになります。

ガンターからのまっすぐな告白を聞いたレイチェルは感動した様子で、「あぁ、私もあなたを愛してるわ」と言います。
その後、Probably not in the same way. 「多分、同じようにではないけれど」とちゃっかり付け足すことで、「あなたが私を女性として愛しているように、私はあなたを男性として愛しているわけじゃないけれど、男女の恋愛関係として I love you too. と言ったわけじゃないけれど」というのを念押ししているのもレイチェルらしいですね。
そうは言いながらも、But I do. 「でも(本当に)あなたを愛しているわ」と言っているのは、さよならのこの時にガンターが告白してくれたことをレイチェルが嬉しく感じていることを表していることになるでしょう。

その後、「(パリの)カフェでコーヒーを飲んでいる時、または太陽よりも輝く(太陽よりも明るい、鮮やかな色の)髪の毛の男性を(パリで)見る時、あなたを思う、思い出す」と言っているのも面白いですね。
コーヒーハウスでいつもコーヒーを入れてくれていたガンターなので、「コーヒーと言えばガンターを思い出す」ということ、さらに、ガンターの銀髪は確かに「太陽よりも輝く」という表現がぴったりなので、パリで輝く髪の毛の色の人を見たらあなたを思い出すわ、あなたを思うわ、と言ったわけですね。
レイチェルはガンターの頬にキスをして、「今ガンターはこんな素敵な言葉を言ってくれたわ」というように、ロスたちの方を見ます。
ガンターからの告白に感動した様子のまま、フレンズたちには「さよなら」と言っただけで、レイチェルはセントラルパークを出て行きます。
告白しようとしていたロスは、Oh, my God! と言うしかありません。
茫然とするロスに、ジョーイは、Hey, you know what might help? と声を掛けます。
直訳すると、「なぁ、何が(今ここで)助けになるかもしれないかわかるか?」ということですね。
何も考えられない、何も行動できずに固まっているロスに、「今、何したらいいと思う? こうすればいいんだよ」のようにアドバイスしたような発言に聞こえますが、ジョーイの意図に気づいたロスは、「ジョーイは”今ロスがやるべきことはこれだよ”と言うつもりだろ」という気持ちを込めて、「僕は(お前が頼んでた)マフィンをお前のために取って来たりしないからな!」と先に言うことになります。


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2016年08月24日

お前の言葉で話そうとしてるだけ フレンズ10-17その4

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ジョーイとフィービーに、昨日レイチェルとベッドを共にしたことを話したロスは、フィービーに「よりを戻したいの?」と尋ねられ、昨日の夜のことを思い出すうちに、「そうだ、僕はレイチェルとよりを戻したい!」という自分の気持ちに気づきます。
ジョーイとフィービーが席を外した後、ロスとレイチェルはキスをして、昨日の晩の出来事は素敵だったと語り合うのですが、その会話の中でレイチェルが、It's just the perfect way to say goodbye. 「(昨日の晩のことは)さよならを言う完璧な方法だった」→「昨日は最高のさよならができた」と言ったので、ロスはショックを受けます。
その後のシーン。
[Scene: Central Perk. Ross, Phoebe and Joey are there.]
セントラルパーク。ロス、フィービー、ジョーイがそこにいる。
ロス: And then she said it was the perfect way to say goodbye. (それからレイチェルは言ったんだ、さよならを言う最高の方法だった[最高のさよならだった]、って。)
ジョーイ: Oh, my God! What did you say? (なんてこった! お前は何て言ったんだ?)
ロス: Nothing! What do you say to that? (何にも[言ってないよ]! それに対して何て言うんだよ?)
フィービー: Ross, you've got to tell her how you feel! (ロス、あなたは自分の気持ちをレイチェルに言わなきゃいけないわ!)
ロス: No way! (だめだよ[嫌だよ]!)
ジョーイ: Well, you can't just give up! Is that what a dinosaur would do? (ただあきらめちゃだめだ! 恐竜ならそんなことするか?)
ロス: What? (何?)
ジョーイ: Dude, I'm just trying to speak your language. (おいおい、俺はただ、お前の言葉で話そうとしただけだよ。)
フィービー: Ross, Rachel doesn't know that you even wanna get back together. If she did, she might feel differently. She might not even go. (ロス、あなたがよりを戻したいと思ってることをレイチェルは知らないわ。もし彼女がそれを知ったら、彼女は違う気持ちになるかもしれない。(パリに)行かないかもしれないわ。)
ロス: You really think so? (ほんとにそう思う?)
フィービー: I'm telling you! Oh, okay! This is the part of the musical where there'd be a really good, convincing song. (Singing) "Bum-bum-bum-bum. Don't take no for an answer, bum-bum-bum. Don't let love fly away, bum-bum-bum-bum." (本当よ[もちろんよ]! あぁ、よし! ここが、本当に素敵な、説得力のある歌の出てくるミュージカルのパートよ。[歌いながら] バンバンバンバン、ノーの答えは受け入れないで! バンバンバン、愛を飛んで行かせないで。バンバンバンバン…)
(Rachel enters and interrupts Phoebe's song.)
レイチェルが入ってくるので、フィービーの歌が中断される。
レイチェル: Hi! (はーい。)
フィービー: Can't a girl finish a song around here? (ここでは女の子が1曲歌い終えることもできないの?)

ロスはジョーイとフィービーに、レイチェルが言った言葉を説明しています。
ロスはレイチェルとよりを戻そうと思っていたのに、レイチェルには全くそのつもりがない様子のその言葉に、ジョーイとフィービーもショックを隠せません。
「そんな風に言われて、お前は何て言ったんだよ?」とジョーイに言われ、ロスは、Nothing! What do you say to that? と返します。
Nothing! は「(僕は)何も言わなかったよ!」ということですね。
What do you say to that? を直訳すると、「you はそれに対して何て言う?」ということですが、この場合の you は、ロスが話している相手のジョーイを指しているというよりも、一般の人々のニュアンスで使っているように思います。
「自分はよりを戻したいと思っていたけれど、自分がその気持ちを伝える前に相手の方から、最高のさよならができたわね、と言われてしまったら、それに対して(人は)何を言うんだ? 何を言えるって言うんだ?」みたいな一般論を語っている感覚になると思います。
「そんな風に言われたら、誰でも何も言えなくなるだろ」というところですね。

フィービーが、how you feel 「あなたがどのように感じているか」=「あなたの気持ち」をレイチェルに伝えなきゃだめよ、と強く言うのですが、ロスは、No way! と強く否定します。
それに対して「ただあきらめちゃだめだ」と言った後のジョーイのセリフ、Is that what a dinosaur would do? が面白いですね。
直訳すると、「それが、恐竜なら(そう)するだろうことか?」になるでしょうか。
つまりは、「自分の気持ちをレイチェルには言わない」と言ったことに対して、「恐竜ならそんなことするか?」と言ったことになります。
唐突に恐竜が出てきたので、ロスも「は?」となっていますが、I'm just trying to speak your language. と理由を言っているのも面白いです。
「俺はただ、お前の言葉・言語で話そうとしているだけだ」ということで、DVDの日本語訳では、「(字幕)お前向けの例だ/(音声)お前がわかる例を出したんだよ」となっていましたが、まさにそんな感じですね。
ロスにとって身近な存在である恐竜に例えてみたら、お前にはわかりやすいかと思ってそうしてみた、というところです。

フィービーはさらにロスの説得を続けています。
ロスがよりを戻したいと思っていることをレイチェルは知らないから、もしそのことを知れば、違う風に感じるかもしれない→気持ちが変わるかもしれない、ということですね。
「ほんとにそう思う?」とロスが言った後の、フィービーの I'm telling you! は「本当よ。本当なんだから」のように強調するニュアンス。
LAAD (Longman Advanced American Dictionary) では、
I tell you also I'm telling you, let me tell you : used to emphasize that what you are saying is true, even though it may be difficult to believe
つまり、「自分が言っていることが真実であると強調するために使われる、例えそれが信じがたいことかもしれなくても」。

次の This is the part of the musical where there'd be a really good, convincing song. について。
convincing は「説得力のある、人を納得させる」ですから、直訳すると、「これは、本当に良い、説得力のある歌が存在する、ミュージカルのパートである」となるでしょう。
「今この時が、ミュージカルで素敵な説得力のある歌が登場するまさにその場面ね」という感覚ですね。
そう言ってフィービーは、バンバン…と言いながら、ミュージカル風の歌を歌い始めます。
今回のエピソードでは、ロスとレイチェルが復縁するかもしれない、チャンドラーとモニカの子供が生まれるかもしれない、などの嬉しいニュースが続いた時に、フィービーが、I feel like I'm in a musical! 「私、ミュージカル(にいる)みたいな気分よ」と言って、歌い始めるシーンがありました。
その時、レイチェルが部屋に入ってきて、歌が中断されてしまった時、フィービーは、"Guess you'll never know how it ends." 「その歌がどう終わるかを(人が)知ることはないようね」と言っていました。
最後まで歌いたかったのに中断されてしまったことを、「歌を最後まで聞いてもらえないようね」と表現したわけですね。
今回歌い始めたのは、先にそういう「ミュージカル風の歌を歌う」というシーンがあったことからの流れとなります。

not take no for an answer は、「答え・返事として、ノーを受け入れない」ということですから、don't take no for an answer は否定の命令文で、「ノーの返事を受け入れないで、相手にノーと言わせないで」と言っていることになるでしょう。
fly away は「飛び去る」ですから、don't let love fly away は「愛を飛び去らせないで」→「愛が逃げて行くのを許しちゃだめ、愛を逃がしちゃだめ」ということになります。
ご機嫌で歌い上げている時に、レイチェルが部屋に入ってきて歌が中断されてしまったフィービーは、すねたような顔をして、「ここでは女の子が1曲歌い終えることもできないの?」と言っています。
これはさきほど説明した、"Guess you'll never know how it ends." と同じ流れですね。
これより前のシーンで最初に歌った時も、レイチェルが入ってくることで歌が中断され、「歌を最後まで聞いてもらえない」とボヤいていましたが、今回もまたレイチェルが入ってきたことで邪魔されてしまったので、「この辺りでは、女の子が1曲歌い終えることもできないの?」と表現することで、「少し前にも邪魔されたし、また今回も邪魔された。ただ女の子が歌を歌おうとしているだけなのに、最後まで歌い切ることすらできないのね、ここでは」と言っていることになります。


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posted by Rach at 13:56| Comment(0) | フレンズ シーズン10 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年08月22日

キスしたことをしゃべるような男じゃない フレンズ10-17その3

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ジョーイとレイチェルの部屋。ジョーイとフィービーが話しているところにロスが入ってきます。
ロス: Is Rachel here? (レイチェルはここにいる?)
ジョーイ: Uh, I think she's still asleep. Hey, hey, how did it go with you guys last night? She seemed pretty pissed at you. (あー、レイチェルはまだ寝てると思うよ。なぁ、なぁ、昨日の晩、お前ら二人はどうなったんだ? レイチェルはお前にかなり怒ってるようだったぞ。)
ロス: Uh, we, y'know, we worked things out. (あー、僕ら、丸く収まったんだよ。)
フィービー: What's that smile? Did something happen with you two? (その微笑みは何? あなたたち二人に何か起こったの?)
ロス: Hey, I'm not one to kiss and tell. But I'm also not one to have sex and shut up. We totally did it! (もう、僕はキスしてしゃべる[キスしたことを(ペラペラ)しゃべる]ような男じゃないよ。でもエッチして黙ってるような男でもない。僕たち、本当にヤッちゃった[エッチしちゃった]んだ!)
ジョーイ: Oh, my God. You and Rachel? (なんてこった。お前とレイチェルが?)
ロス: I know, it's pretty great. (そうなんだ、最高だよ。)
ジョーイ: So, what does that mean? Are you guys getting back together? (それで、それってどういう意味? お前らはよりを戻すつもりなの?)
ロス: Oh, I.. I don't know. We didn't really get to talk. (あぁ、わかんないけど。僕たちちゃんと話をすることにはならなかったんだ。)
フィービー: But do you wanna get back together? (でも、ロスはよりを戻したいんでしょ?)
ロス: I don't know. It was incredible. I mean, it just felt so right. When I was holding her, I mean, I never wanted to let her go. You know what? Yeah, I do. I wanna be together. (どうかな。(昨日の晩のことは)素晴らしかった。ほら、しっくり・ぴったり来たんだ。僕がレイチェルを抱き締めている時、僕は彼女を絶対に離したくないと思った。ねぇ。そうだよ、そうだ。僕は彼女と一緒にいたい。)

ロスが「レイチェルはいる?」と尋ねると、ジョーイは「レイチェルはまだ寝てると思うけど、昨日の晩、お前ら二人はどうなったんだ? レイチェルはお前にかなり怒ってるようだったぞ」と心配そうに尋ねます。
レイチェルがロスにだけさよならを言わなかったことでロスが激怒し、ロスがその怒りをレイチェルにぶつけたことを知っていたので、そのまま喧嘩した状態なのかと心配しているわけですね。
we worked things out. の work out は「うまくいく、丸く収まる、良い結果となる」。
そう言ってニヤニヤしているロスを見て、フィービーは「その微笑み(にやけた顔)は何? あなたたち二人に何か起こったの?」と尋ねます。

それに対するロスの返事が、英語表現としてなかなか面白いですね。
I'm not one to A. But I'm also not one to B. という形になっていて、「僕は A するような男(人間)じゃない。でも B するような男でもない」となります。
A に当たる部分は、「キスして話す」ですから、前半部分は、「キスをした後、キスしたことを人に話すような男じゃない」ということですね。
恋愛がらみの出来事、二人の秘め事を人にペラペラ話すような男じゃない、というところです。

この kiss and tell というのは決まり文句で、kiss-and-tell として辞書にも載っています。
研究社 新英和中辞典では、
kiss-and-tell=【形】【A】 情事暴露のゴシップものの

アカデミックな辞書である、LAAD (Longman Advanced American Dictionary) にも載っていて、
kiss-and-tell [adjective] : (informal) a kiss-and tell story, book etc. is one in which someone publicly tells the secret details of a romantic or business relationship.
つまり、「(インフォーマル) kiss-and-tell の話や本などは、その中で、恋愛関係またはビジネス関係の秘密の詳細を、誰かが公然と(世間に)話すもの」。

この語義を見ると、romantic relationship だけではなく、business relationship についても使われるようですから、必ずしも恋愛に限定されているわけでもなく、普通は他人には言わないようなプライベートな関係の詳細を暴露する場合に使われるということになるでしょう。

この言葉を知らなくても、「キスして(そのことを人に)しゃべる」という表現から、恋愛のプライベートな事柄を人にペラペラしゃべるイメージは連想できますよね。
kiss and tell と同じような形で、後半では、have sex and shut up という表現が使われています。
「エッチして黙る」ということから、「誰かとエッチしたことを、人に話さない、黙っておく」という意味であることがわかりますね。
kiss and tell という決まり文句に似せた表現を使ってみせたことになるでしょう。
tell 「人に話す」の反対の意味として、shut up 「人に話さないで黙っておく」を使い、「キスして話す」ような男じゃないけど、「エッチして黙る」ような男でもない、と続けることで、結局、「キスしたことを話すようなタイプじゃないけど、エッチしたことを黙ってられる人間でもないから、言っちゃうね」のように、結局は、have sex and tell を実行することになる、という流れです。
A はしない。でも B もしない、と表現することで、最初は「僕はキスしたことを人に話すような口の軽い男じゃないよ〜」みたいに思わせておいて、後半で、「B (エッチしたことを黙っている・人に言わない)ということもしない」=「エッチしたことを(ペラペラ)人にしゃべる・暴露する」というオチに繋がるわけですね。

「キスしたことをしゃべるような男じゃないけど、エッチしたことを黙ってられるような男でもない」という表現は、「キスしたとか言えないよ、、とか言いながら、結局、さらに過激な内容を暴露するんかーい!」とツッコミたくなるような、日本語に訳してもわかりやすい、なかなか面白い表現だと思います。
We totally did it! の did it はまさに have sex という意味で、「エッチして黙ってられるような男じゃないから言っちゃうけど、ほんとに僕ら、エッチしちゃったんだ!」と告白したことになります。

ロスとレイチェルがエッチしたと聞いて、ジョーイとフィービーも驚いています。
ジョーイが「二人がエッチしたってことは、お前らはよりを戻すつもりなのか?」と尋ねると、ロスは、わからない、と言って、We didn't really get to talk. と答えます。
get to talk の get to は「talk するという状態になる」と考えれば良いでしょう。
単に、We didn't talk. 「僕たちは話さなかった」というよりも、「自分たちのこれからについて話そうという状況にならなかった」という感じが出るように思います。
not really のように部分否定になっていますので、「それほど真剣に(じっくりと)話すような状況にはならなかった」のように解釈すれば良いでしょう。

二人がエッチしたと知ったフィービーは、嬉しそうな顔をして、「でもロスは、レイチェルとよりを戻したいんでしょ?」と尋ねます。
そう聞かれたロスはまた、I don't know. と答えるのですが、二人で過ごした夜のことを思い出して、「素晴らしかった」、そして it just felt so right. と続けます。
feel right は「正しいと感じる」ということですね。
これが正しい・本来の姿・状態である、というようなところで、「まさにこうなるべきだったという状態に感じられた、ぴったり・しっくり来た、何の違和感もなく感じられた」のようなニュアンスになるでしょう。
When I was holding her, I mean, I never wanted to let her go. は「彼女を(腕に)抱いていた時、僕は彼女を絶対に離したくないと思った」。
その言葉から、ロスがその時、どれほどレイチェルを愛しいと感じていたか、ということがよくわかりますね。

最初は、I don't know. と言いながらも、昨日二人で過ごした夜が素晴らしかったこと、レイチェルのことを離したくないほど愛おしいと思ったことに思いを巡らせたロスは、You know what? と言った後、Yeah, I do. I wanna be together. と言います。
これは、フィービーに do you wanna get back together? と問われたことに対して、いったんは、I don't know. と答えたけれど、その後、いろいろ考えた上で改めてそれ(よりを戻したいの?)に対しての返事として、「あぁ、そうだ。僕は一緒になりたい(レイチェルとよりを戻したい)」と答えたことになります。
自分の気持ちに正直になって考えてみたら、やっぱり僕はそうしたいと思った、という結論に至ったわけで、その気持ちの変化の過程を英語のセリフから感じられると、いい感じ♪ だと思います。


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posted by Rach at 13:26| Comment(0) | フレンズ シーズン10 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年08月19日

両方の痛みを経験できる人はいない フレンズ10-17その2

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チャンドラーとモニカは、エリカという女性が妊娠中の赤ちゃんを養子として迎える約束になっています。
そのエリカに陣痛が来たので、チャンドラーとモニカも病室で付き添っています。
モニカがトイレに行くため、少しの間、部屋を離れることになり、部屋にはチャンドラーとエリカの二人だけとなった状態。
チャンドラー: So, ah... Any plans for the summer? (それで、あの… 夏には何か予定あるの?)
エリカ: I don't know. Maybe church camp? (さあね。多分、教会のキャンプとか?)
チャンドラー: Hah. May not wanna mention this. So you ever wonder which is worse? You know, going through labor or getting kicked in the nuts? (はは。こんなこと言わないほうがいいな。で、君はどっちがつらいか考えたことある? ほら、陣痛に耐えるのと、タマタマを蹴られるのと?)
エリカ: What? (何?)
チャンドラー: Well, it's just interesting. You know, because no one will ever know because no one can experience both. (うん、ただ興味あってさ。ほら、だって誰にもわからないだろ、誰も両方を経験することはできないから。)
(Erica just looks at him like he's crazy.)
エリカは、チャンドラーはクレイジーだというような目で彼を見る。
チャンドラー: One of life's great unanswerable questions. I mean, who knows? Maybe there's something even more painful than those things. Like this. (人生の答えられない大きな質問の一つだ。だって、誰にもわからないだろ? 多分、そういうのよりももっとつらいこともあるけどね。こんな風に[今のこの状況みたいに]。)

モニカが部屋を出て行ったため、妊婦のエリカと二人きりになったチャンドラーは、何か会話をしなければ、と思ったのでしょう、「この夏に何か予定ある?」と尋ねています。
聞かれたエリカは、「多分、church camp とか?」と答えます。
camp と言えば、ボーイスカウトのキャンプ(scout camp)や サマーキャンプ(summer camp)などがイメージされますね。
LAAD (Longman Advanced American Dictionary) で camp を見てみると、以下のように出ています。
camp : a place where children go to stay for a short time and take part in special activities, often as members of an organization.
つまり、「子供が短期間、滞在しに行き、特別な活動に参加する場所、しばしばある組織のメンバーとして」。
ですから、church camp は「所属する教会の一員として、参加するキャンプ」ということになるでしょうね。
Google 画像検索で、church camp を調べると、大勢の子供が参加している写真がたくさんヒットしましたので、やはり「子供が参加するキャンプ」のイメージで挙げたのだろうと思います。

今、陣痛で苦しんでいる妊婦のエリカに、「この夏の予定は?」などと尋ねるのは何ともトンチンカンな感じがしますよね。
エリカも今そんな質問をされたことに対して、あきれの気持ちがあるのでしょう、それで、子供に夏の予定を聞いた時のよくある答えである「キャンプ」を挙げて、「そういう返事を期待してるのかしら?」という気持ちで返事したのだろうと思います。
エリカがチャンドラーの質問にあきれていることがわかったので、チャンドラーは「こんなこと言うべきじゃないな、言わない方がいいな」と言ってから、話題を変えて、「それで君は、どっちがひどい(悪い、つらい)かって疑問に思ったことある?」とまずは問いかけます。
その後、「どっちがつらいと思うか?」の具体例を挙げていますが、その例えが面白いですね。

going through labor の go through は「体験する、経験する」、labor は妊娠の話だと「陣痛」ですね。
getting kicked in the nuts? の nuts は、俗語・卑語で「睾丸」という意味ですから、「タマタマを蹴られること」。
チャンドラーは、「ねぇ、どっちがつらい(痛い)と思う? 陣痛を体験する[陣痛に耐える]のと、タマタマを蹴られるのと」という質問を世間話として挙げたわけですが、今、陣痛で苦しんでいるエリカに対して、「今の君の痛みと、男が股を蹴られる痛みと、どっちが痛いだろうねぇ?」なんていう質問をぶつけるデリカシーのなさが、笑いのポイントになっていると言えるでしょう。

エリカは明らかに「今、陣痛中の私にそんな質問する?」みたいな顔をしていますが、話題に出した以上、引くに引けなくなったのか、まだその話で引っ張ろうとするチャンドラーが、彼らしくて面白いです。
「ほら、ただ興味あるんだよ、興味深いんだよ」と言った後の、because... のセリフもいいですね。
「だって誰にもわからないんだ、誰も(陣痛の痛みと、股を蹴られた痛みの)両方を経験することはできないから」ということです。
どちらも痛みも、「女にしかわからない痛み」「男にしかわからない痛み」の例えとして、日本人の会話でもよく挙げられる項目なだけに、日本人にもわかりやすいジョークだと言えるでしょう。

KYな質問にもかかわらず、まだ話を続けようとするチャンドラーに、エリカは冷たい視線を送っています。
One of life's great unanswerable questions. は「人生における答えられない[答えの出ない]偉大な質問の中の一つ」。
自分が言った質問を、さも「人生における最大の謎」のように仰々しく表現したチャンドラーでしたが、エリカの視線が相変わらず冷たいので、その後、Maybe there's something even more painful than those things. Like this. と続けています。
than those things までを 直訳すると、「多分、そういうこと(陣痛や股を蹴られること)よりもずっともっと痛い(つらい)ことがある」。
Like this. はここでは「(例えば)このような。こんな感じ・こんな状況」のように、今のチャンドラーが置かれている situation を指していることになるでしょう。
陣痛も股を蹴られるのも究極に痛いけど、今、変な質問をしてエリカに睨まれているこの状況は、もっと痛い(つらい)よね、と言っているわけですね。


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2016年08月17日

今、笑ってるのは誰かな? フレンズ10-17その1

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シーズン10 第17話
The Last One - Part 1 (グランド・フィナーレ - part 1)
原題は「最後の話 パート1」


前回のエピソードの最後で、レイチェルはロスに「あなたにさよならが言えなかったのは、言うのがあまりにもつらすぎたから。あなたのことが誰よりも大事だったから」と告げます。
それを聞いたロスはレイチェルにキスをし、レイチェルもそのキスに応える、、というところでエンドクレジットになっていました。
その続きとなるシーン。
[Scene: Ross's bedroom. Rachel is putting on her shoes as Ross shows up from underneath the covers.]
ロスの寝室。レイチェルは靴を履いている。するとロスがベッドカバーの下から顔を出す。
ロス: Hey. (やあ。)
レイチェル: Shh.. Go back to sleep. I have to go home. (シー…。眠りに戻って[もう一度寝て]。私、家に帰らないと。)
ロス: Oh, God. This was amazing. (あぁ。素晴らしかったよ。)
レイチェル: It really was. You've learned some new moves! (ほんとにそうだったわね。あなた、新しい技(動き、動作、テク)、覚えたのね!)
ロス: Yeah, well, this guy at work gave me Sex for Dummies as a joke. (あぁ、職場のやつが僕に”バカのためのエッチ(バカでもできるエッチ)”(って本)を冗談で僕にくれたんだよ。)
レイチェル: Ah. (まぁ。)
ロス: Who's laughing now? (今、笑ってるのは誰かな?)
レイチェル: I know. (そうね。)(注:このセリフ、I am. と表記されているものもあります。詳しくは以下の解説にて)
(They kiss.)
二人はキスする。

前回のエピソードのラストでキスした二人は一体どうなったのか、、? とみんながハラハラする中、画面にはベッドに腰掛けて靴を履いているレイチェルと、ベッドカバーの下から顔を出すロスの姿が映ります。
顔を出したロスにレイチェルは「シー」と言って、「(あなたは)もう一度寝て。私は家に帰らないといけないから」と言います。
二人が愛し合っているシーンそのものは全く見せずに、その後の二人の雰囲気と様子だけの描写に留めていますが、普通の恋人同士のような穏やかな様子で自然に会話している二人の姿を見ると、お互いへの愛を再確認する素敵な時間を過ごせたんだな、ということがわかりますね。

"This was amazing." と言ったロスに、"It really was." とレイチェルが同意した後、レイチェルは急に何かを思い出したように、トーンを上げて、You've learned some new moves! と言っています。
この moves は「動き、動作」ということで、エッチにおける動作の話ですから、「新しい動作」→「新しい技、新しいテク」のようなことを指していることになるでしょう。
過去記事、コーヒーのだしがらをこぼさないと思うけど フレンズ7-12その5 でも、
チャンドラー: I was giving you some of my best moves, and you missed it. So please wake up so we can do it right! (俺は君に俺の最高のテクを行なおうとしてたんだ。で君はそれを逃した。だから、それをちゃんとできるように、お願いだからもう一回起きてよ。)
というセリフで moves が使われていました。
ロスとレイチェルがエッチしたのは、エマができた時のエッチ以来ですから、「あれから、あなた、新しい技覚えたのね!」と感心したように言ったことになります。

ロスは、職場のやつがジョークとして、僕に Sex for Dummies をくれた、と言っています。
DVD英語字幕でイタリック表記になっていることから、本のタイトルであることが想像できます。
dummy は「ダミー」として「替え玉」のような意味がありますが、ここでは「ばか、間抜け、とんま」のような意味。
「バカのためのエッチ」ということですから、本のタイトルとしてありがちな感じにすると、「バカにもわかる、バカでもわかる、バカでもできる(エッチ)」という雰囲気のタイトルだということですね。

その後、ロスはちょっと得意気な顔で、Who's laughing now? と言っています。
「今、笑ってるのは誰?」というのは、「同僚は(冗談とは言え)僕をバカにしてそんな本をくれたけど、その本を読んでからエッチして、相手の女性を喜ばせた僕の方が、今は笑う番じゃないかなぁ? 僕の方が勝者じゃないかなぁ?」という意味になるでしょう。
DVD日本語字幕では「バカはどっち?」と訳されていましたがまさにそういうところで、「こういう結果になったから、バカだったのは”僕をバカにして本をくれた”あいつの方だよね」「あいつは僕のことをバカにして笑っていたけど、今は僕が彼のことをバカにして笑う番だよね」という意味で言っていることになります。

そして、ロスの Who's laughing now? に対するレイチェルのセリフですが、この部分、I am. と表記されているものと、I know. と書かれているものがあります。
話の流れや、聞いた音の感じとイントネーションから、私は "I know." が正しいと思うのですが、それについて以下に説明させていただきますね。

まず、DVDの英語字幕では "I am." となっており、2012年発売のブルーレイの英語字幕でも、"I am." となっていました。
ですが、Netflix の英語字幕には、"I know." と書いてあります。

まずは、話の流れと意味から考えてみたいと思います。
DVDとブルーレイでの表記である、"I am." だとすると、ロスが「今、笑ってるのは誰?(勝者は僕だよね?)」と言ったことに対して、「勝者はあなたじゃなく、この私よ(I am laughing now.)」とレイチェルが言っていることになるでしょう。
その場合には「ロスの同僚がロスにそんな本をあげた結果、最終的な勝者は私よ」と言っていることになりますが、それだと「ロスのテクで最高の気分になれた私が勝者ね」みたいに言っていると考えられます。
"I know." だとした場合は、ロスのセリフが結局は「バカにした同僚よりも僕の方が勝者だよね」という意味であることを受けて、素直に「そうね」と認めた流れになりますね。

「僕の勝ちだよね」と言ったことに対して、「本当の勝者は私よ」と言えば、「一番得したのは私よ」的なニュアンスで、さっきのエッチが私にとってはとても素敵なものだった、すごく気持ちいいものだった、と言っていることになりますので、話の流れとしては I am. も可能だろうと思います。
ただ、もしそういう意味であれば、「おぉ〜、レイチェルそこまで言う?!」的な発言になるので、観客からも歓声が上がるとか、ロスの発言の後、さらにもう一度笑いが起こる、というような反応があるように思うのですが、観客の笑いの反応を見ると、レイチェルの発言に対して新たなリアクションがあるような感じはありません。

そして一番の決め手になると思われる、実際のレイチェルの発音ですが、私には I know. と言っているように聞こえました。
これがもし、"Who's laughing now?" "I am." ということだと、Who? という問いに対しての「答え」なので、「笑ってるのは(他でもないこの)私よ」というニュアンスから、I am. という単語2語ともが、「アイ・アム」とはっきり発音されると思うのです。
また「本当の勝者は私よ」という意味ならば、ロスの発言を否定して「あなたじゃなく私よ」と言っていることになるので、レイチェルはちょっと勝ち誇った感じの得意気でいたずらっぽいような顔で、そのセリフを言うように思うのですね。

実際のこのシーンのレイチェルのセリフでは、I ***. の部分をさらっと言っており、「誰が笑ってるの?」という「問いに対しての答え」というよりは、「誰が笑ってるの?」=「バカにしてた同僚より僕の方が勝者だよね」というロスの勝利宣言に対して、「そうね、ロスの言う通りね」と軽く返した感じの I know. の方が、今回のレイチェルのさらっとした感じの I ***. に近いと思うのです。

ロスの発言に対して、さらに笑いを取る意味での "I am." であったなら、レイチェル自身の言い方も、笑いを取るためにもう少しはっきり発音するでしょうし、カメラもレイチェルの顔をもう少しはっきり映すと思います。
実際の映像では、ロスの "Who's laughing now?" に対する笑いが起きたという流れのまま、レイチェルが軽く I ***. と言って、すぐにさらっとオープニングに繋がっていますので、このレイチェルの発言は、ジョークとして笑いを取ったり、観客に「おぉ!」と思わせるような内容ではなく、単なる相槌である I know. だという気が私にはする、ということです。

I know. か I am. かについて、「DVD/Blu-ray と Netflix とで字幕が違っていた→その場合、2つは意味が大きく異なってしまう」ということが興味深かったので長々語ってしまいました^^


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posted by Rach at 15:03| Comment(4) | フレンズ シーズン10 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年08月15日

10年経つのに何一つわかってない フレンズ10-16その6

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レイチェルは他のフレンズ4人には個別にさよならを言ったのに、ロスだけさよならを言ってもらえなかったことで、ロスはレイチェルの部屋に行き、「僕らの間にはいろいろあったのに、こんな終わらせ方をするなんて信じられない!」と怒りをぶつけ、去って行きました。
それからしばらく後のシーン。
[Scene: Ross's apartment. Rachel bursts in.]
ロスのアパートメント。レイチェルが突然入ってくる。
レイチェル: You really think I didn't say goodbye to you because I don't care? (私が(あなたのことを)どうでもいいと思ってるから私があなたにさよならを言わなかったと、本気で思ってるの?)
ロス: That's what it seemed like. (そんな風に見えたけどね。)
レイチェル: I cannot believe that after 10 years, you do not know ONE thing about me! (10年も経つのに、あなたが私のこと何一つわかってないなんて信じられない!)
ロス: Fine, then why didn't you say something? (いいだろう、で、どうして君は(何かしらの言葉を)言わなかったわけ?)
レイチェル: Because it is too damn hard, Ross! I can't even begin to explain to you how much I'm gonna miss you. When I think about not seeing you every day, it makes me not want to go. Okay? So if you think that I didn't say goodbye to you because you don't mean as much to me as everybody else, you're wrong. It's because you mean more to me. So there, all right? There's your goodbye! Oh! (それはあまりにも辛すぎるからよ、ロス! あなたをどれほど恋しく思うかってことをあなたに説明しようとしても言葉に詰まってしまう。あなたに毎日会えないと考えたら、私は行きたくなくなってしまうのよ。わかる? そして、あなたが他のみんなほど私にとって意味がないからという理由で私があなたにさよならを言わなかったともしあなたが思ってるなら、間違いよ。私にとってあなたが(他の人より)もっと大事だからよ。だからほら(それで)いい? 今のがあなたへのさよならよ。あぁ!)
ロス: Rach! (レイチェル!)
レイチェル: What? (何?)
ロス: You keep-- You keep-- You can't-- (君は…君は…君は…できない…)
レイチェル: WHAT? (何?)
(Ross walks over to her and starts to kiss her passionately. After a while Rachel backs out. She thinks a while and starts kissing him back.)
ロスはレイチェルのところに歩いて行って、レイチェルに情熱的なキスをし始める。しばらくして、レイチェルは身を引く。レイチェルはしばらく考えてから、レイチェルの方からキスを返し始める。

レイチェルは、ロスのアパートメントに入ってきて、いきなり、You really think I didn't say goodbye to you because I don't care? と言っています。
「私があなたのことをどうでもいいと思ってる[あなたのことを気にしてない]から私はあなたにさよならを言わなかった、って、あなたは本気で思ってるの?」ということですね。
「本気でそんな風に思ってるわけ?」というのは「そんなわけないでしょう?」という意味であることが示唆されますが、ロスはただ、That's what it seemed like. と返します。
seem like は「〜のように見える」ですから、「それ(今君が言ったこと)=”〜のように見えた”の〜の内容」ということになります。
「(僕には)そんな風に見えたけどね」→「僕のことをどうでもいいと思ってるから君はさよならをくれないんだって風に僕には見えたけどね」ということで、「本気でそう思ってるの?」って言われたけど、僕にはそうとしか見えなかったよ、と言っているわけですね。

それを聞いた後のレイチェルのセリフに泣けてしまいます。
I cannot believe that after 10 years, you do not know ONE thing about me! で、指で1を示しながら、one (ワン)の部分を強調して言っています。
「10年も経つのに、あなたが私について一つもわかってないなんて、信じられない」→「知り合ってからもう10年の付き合いになるのに、そんなに長い間一緒にいて、私のこと未だに何一つわかってくれてない!」ということですね。
レイチェルとしては、「長い間一緒にいたあなたなら、私から言葉で説明しなくても、私の気持ちわかってくれると思ってた」と言いたいわけですね。

そう言われたロスは「いいさ(わかったよ)」と言って、then why didn't you say something? と続けます。
ここが Why didn't you say anything? のような anything ではなく、something が使われている感覚としては、以下の研究社 新英和中辞典の説明が分かりやすいでしょうか。

something=[疑問文で] 何か、あるもの、ある事
(用法:疑問文・否定文では通例 something を用いず anything が用いられるが、話し手の心の中に肯定の気持ちが強い場合には something が用いられる)
Is there something to eat? 何か食べるものがありますか (比較 Is there anything to eat? 何か食べるものがありませんか)
Can't you do something? 何とかなりませんか (比較 Can't you do anything? どうにもなりませんか)


Why didn't you say anything? であれば、not anything 「何も〜ない」ということから、「(じゃあ)どうして(あの時)何も言わなかったの?」ということになりますが、something を使った場合は、「どうして何かしらの言葉を言う、ということを君はしなかったの?」のように、「何か言ってくれても良かったのに」「さよならの一言くらいあっても良かったはずなのに」という気持ちが込められているような気がします。

why? と理由を聞かれたレイチェルは、Because で理由を述べます。
too damn hard の damn は、Damn it! 「ちくしょう!」などの形で使われる単語ですが、今回は副詞で「すごく、ひどく」という強調語となりますので、too damn hard は「あまりにもものすごくつらすぎる」ということ。
「あなたにさよならを言わなかったのは、さよならを言うことがあまりにもつらすぎるからよ!」と言った後のセリフが、また泣けてしまいます。

I can't even begin to explain to you how much I'm gonna miss you. は「私がどんなに(どれほど)あなたを恋しく思うか[あなたがいなくなって寂しく思うか]を、あなたに説明し始めることすらできない」。
「説明し始めることができない」というのは、説明しようとしてもうまく言えない、言葉にならない、言おうとすると言葉に詰まって言えなくなってしまう、というようなことですね。

When I think about not seeing you every day, it makes me not want to go. は、「あなたと毎日会えないことを考えると、それが私を行きたくないという気持ちにさせる」。
「あなたと毎日会えなくなる、あなたの顔が毎日見れなくなるって考えたら、(パリに)行きたくなくなっちゃうのよ」ということ。

So if you think that I didn't say goodbye to you because you don't mean as much to me as everybody else, you're wrong. は長めの文章ですが、基本的な構造は、if you think that..., you're wrong. 「もしあなたが(that 以下)と思ってるなら、それは間違いよ[あなたは間違ってるわ]」ということですね。
that 以下の文章は、今回のシーンの冒頭でレイチェルが言っていた内容(I didn't say goodbye to you because I don't care)を少し言い換えた形になっています。
「気にしてないから、あなたのことがどうでもいいから」という I don't care の部分が、you don't mean as much to me as everybody else 「あなたが私にとって、他のみんなほど重要じゃない[大きな意味を持たない]から」のように、他のみんなとの比較の形を取っています。
とにかくロスが怒っていたのは、「他のみんなは個別に挨拶してもらえたのに、僕一人だけなかった。僕一人が軽んじられて、無視された」という内容だったので、レイチェルは自分がさよならを言わなかったのは、「他の5人に比べてあなたが重要じゃないからとか、あなたを軽んじていたからとか、そんな理由じゃない」という風に、比較で表現したわけですね。

「あなたが他のみんなより重要じゃない、大事な存在じゃないからって理由で、さよならを言わなかったとあなたが思ってるなら、それは間違いよ」と言った後、本当の理由として、It's because you mean more to me. 「それはあなたが私にとって、(他のフレンズたちよりも)もっと大切だからよ、重要だからよ」と説明します。
not mean as much as (everybody else) 「他の人より大切じゃない」だなんてとんでもない、その正反対で、mean more 「他の人より(あなたの方が)もっと大切」だからよ、と大切さの違いを比較で説明した形になります。
more と言う時に、人差し指でロスの胸をドンと突いているのが印象的ですね。
みんなより「あなた」の方が「もっと!」大切だからそうしたのに、どうしてそれがわかってくれないの! という気持ちがそのしぐさに出ています。

So there, all right? There's your goodbye! について。
So there, all right? は、「じゃあ、ほら[それで、今ので]いいわね?」というところでしょう。
There's your goodbye! は「そこにあなたのさよならがある!」という感覚ですから、「今言った言葉が、(あなたが欲しがっていた)あなたの分のさよなら(私からあなたへのさよなら)よ!」というニュアンスになるでしょう。

そう言い残して、レイチェルはドアの方に歩いて行きます。
ロスは Rach! と呼び掛けて、You keep-- You can't-- と言うのですが、言葉になりません。
レイチェルが二度目の What? を言うと、ロスは黙ってレイチェルにキスします。
キスの後、いったんは身を引いた形になるレイチェルですが、その後、しばらくして今度はレイチェルの方からキスをして、エンドクレジット、、となります。

今回のエピソードでは、「レイチェルからの言葉を期待して待っていたロスは、さよならさえ言ってもらえなかった」ということが、コメディとしては笑いの要素となっており、またロスへの同情にも繋がっていました。
「何でさよなら一つさえ言えないの?」と、ロスを始めフレンズたちも観客たちも、ずっと疑問に思い続けて、最後の最後にその理由を、「さよならを言うことがあまりにもつらすぎるから。どんなに寂しくなるか言葉にすることもできない。あなたに毎日会えないと思うと、パリに行きたくなくなっちゃう。さよならを言えないのはあなたが誰より一番大事だから」とレイチェルが告白することで、レイチェルの切なく苦しい気持ちをより強く感じられる、という効果が生まれたと言えるでしょう。
「10年も一緒にいたのに、あなたは私のこと、何一つわかってない!」と言って、レイチェルが気持ちを爆発させる様子が何とも切なく、またそのように「10年」という年月がセリフの中に言葉として出てくることも、フレンズをファイナルまで見続けたファンにとっては感慨深いものがありますね。


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posted by Rach at 15:21| Comment(0) | フレンズ シーズン10 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年08月12日

僕らにはいろいろあったのに、こんなの信じられない フレンズ10-16その5

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パリに転勤になるレイチェルは、フレンズ一人一人に個別にお別れの挨拶をするのですが、ロスにはさよならの一言もなく、自分の部屋に戻ってしまいます。
自分だけ無視された形になったロスは、怒ってレイチェルの部屋に入ってきます。
(Ross takes big steps leaving for Joey and Rachel's apartment, where Rachel is going through her papers.)
ロスは大股歩きで、ジョーイとレイチェルのアパートメントに向かう。そこではレイチェルが書類に目を通している。
ロス: I don't get a goodbye? (僕はさよなら一つもらえないの?)
レイチェル: What? (何?)
ロス: (talking agitated and angry) Everyone gets a goodbye but me? What do I gotta do to get a goodbye, huh? Be best friends with you? Uh, go out with you? Have a baby with you? Oh, wait a minute, wait a minute! I did all those things! ([イライラして怒りながら話す] 僕以外のみんなはさよならをもらえるのに? 僕がさよならをもらうには僕は何をすべきなんだろうね? 君と親友になる? 君とデートする? 君との間に赤ちゃんを持つ? あぁ、ちょっと待って、ちょっと待って! そういうこと全部、僕はしたよね!)
レイチェル: Ross-- (ロス…)
ロス: Or maybe it's me, I'm just not giving you enough credit. Uh, I mean, it is difficult to say goodbye to five people. Uh, goodbye, goodbye, goodbye, goodbye, g-- (makes choking noises) IT'S PHYSICALLY IMPOSSIBLE. You know what? After all we've been through, I can't believe this is how you want to leave things between us. Have a, have a good time in Paris. (He leaves the apartment. Rachel looks kind of desperate.) (もしくは多分、僕のせいなんだ、僕はただ君を十分に評価してないんだよね。ほら、5人の人間にさよならを言うのは難しいもんね。あぁ、さよなら、さよなら、さよなら、さよなら、さ… [喉が詰まるような音を出して] 物理的に不可能だ! ねぇ、僕たちが経験してきた全ての(こと)の後で、君が僕たちの間に物事をこんな風に残したいなんて[物事をこんな風に終わらせたいなんて]信じられないよ。パリで素敵な時間を過ごしなよ。[ロスはその部屋を去る。レイチェルは少し絶望的な顔をしているように見える])

Everyone gets a goodbye but me? 「僕以外のみんなはさよならをもらえるの?」と言った後、What do I gotta do to get a goodbye, huh? とロスは言います。
gotta = got to = have got to = have to ということで、I gotta go. 「行かなきゃ(ならない)」などの形で使われるように、gotta は「〜しなければならない」(have to)ということですね。
「さよならをもらうために僕は何をしなくちゃいけないのかな?」とロスは言い、その後、しなければならないことの例として、Be best friends with you? Uh, go out with you? Have a baby with you? の3つを挙げています。
be, go, have と原形が使われているのは、「僕は何をしなくちゃいけないの?」の続きとして、Do I have to be best friends with you? のように、gotta/have to の後に続く形として原形で表現していることになります。
ニュアンスとしては、「(君からさよならをもらうためには僕は)君と親友にならなくちゃいけないの? 君とデートしないといけないの? 君と子供を持たないといけないの?」というところですね。
興奮した様子で、そうまくし立てた後、「あ、ちょっと待って、ちょっと待って。僕はそれらのこと全部したよね!」と言っています。
それはつまり、「僕はレイチェルと親友で、恋人として付き合っていたこともあって、さらには二人の間にはエマという娘までいるのに、そんな間柄の僕に対して、レイチェルはさよならの一言すらくれないのか?」ということですね。
「他のフレンズたちよりも僕との方が関係も絆も深くて、挨拶に一番時間をかけてもいいはずなのに、一言さよならの挨拶すらないなんて信じられないよ」というレイチェルに対する大きな非難の言葉となるでしょう。

Or maybe it's me, I'm just not giving you enough credit. について。
この場合の it's me は「僕のせいだ」というニュアンスで、「問題となっているのは・原因は、僕だ」と言っている感覚になるでしょう。
give someone credit は「人を正しく評価する」という感覚。
ですから、このロスのセリフは、「(レイチェルが悪いんじゃなくて)多分、問題は僕の方にあるんだよね。僕がただ君を十分に評価していない、ってことなんだよね」と言っていることになるでしょう。
その後、「ほら、5人の人間にさよならを言うのは難しいんだよね」と言って、さよなら、さよなら、と4回まで言った後、5人目になった時に、グッ!と息を詰まらせて、「物理的に不可能だ!」と叫びます。
「4人にはさよならを言って、ただ最後の5人目の僕にも同じようにさよならって言うだけなのに、そんなことすらしてくれないなんて、ひどすぎるよ」という気持ちから、ここまでウザくて嫌味な(笑)言い方で非難していることになるでしょう。

After all we've been through, I can't believe this is how you want to leave things between us. について。
まず、最初の After all we've been through の after all は、「結局」というフレーズではなく、「all の後で」つまり「僕たちがこれまで be through してきたすべて(のこと)の後で」という意味になるでしょう。
through は「通り抜けて、中を通って」ということですから、「経てきた、経験してきた」のような感覚。
ですから、After all... は「友達で、恋人になって、娘もできて、僕たちはいろんなことを二人で経験してきた、そういう全ての出来事があった後(最後のお別れというこの時に)」というニュアンスになるでしょう。

次に、I can't believe this is how you want to leave things between us. について。
直訳すると、「僕には信じられない、僕たち二人の間に君が物事をどんな風に残したいかが[物事をどんな状態にしておきたいかが]、これだなんて」みたいになるでしょうか。
DVDの日本語訳(音声)では、「僕らの間には、いろいろあったのに、信じられないよ、こんな終わらせ方を君がするなんて、、」となっていましたが、意味としてはまさにそういうニュアンスだろうと思います。
他動詞 leave には「(もの)を残す」「(もの)を(補語)の状態にしておく」という意味がありますので、「君が僕の前から去ろうとする時に、ものごとを僕たちの間に、ある状態で残しておこうと君が望む、その状態がこれだなんて僕には信じられないよ」と言っている感覚になるでしょう。
こんな風に、僕たちの間に things を leave することが君の望みなの? いろいろあった僕たちの関係を、「一言のさよならも言わない」っていうこんな状態で終わらせることが君の希望なの? という気持ちですね。
「僕たち二人の間に、物事をこんな状態にしておく[こんな状態で残しておく]」というのが、「君が去る時に、僕たちの関係をこんな形で終わらせる」という感覚になる、ということです。

そう言った後、「パリで素敵な時間を過ごしなよ」と言って、ロスは部屋を出て行きます。
自分にだけさよならの挨拶がなかったことが、あまりにもショックでやりきれない、、 そういうロスの苛立ちと怒りがよく出ているシーンだと思います。


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posted by Rach at 13:29| Comment(0) | フレンズ シーズン10 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年08月09日

プライドあるからそんなことできない フレンズ10-16その4

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パリに転勤するレイチェルは、フレンズ一人一人を別室に呼んでお別れの挨拶をしています。
ジョーイとの挨拶も終わり、今は挨拶をしていないのはロスだけ、となった状態。
ロス: Okay, here we go. (よし、いよいよだ。)
レイチェル: Oh... (holding Ross's shoulder) Well.... (あぁ… [ロスの肩を掴んで] えーっと…)
ロス: Yeah. (あぁ。)
レイチェル: I think I'm gonna take off. (pats Ross on his back, but he looks very surprised) (じゃあ私は行くわね。[ロスの背中を叩くが、ロスは非常に驚いた顔をしている])
ロス: Huh? (は?)
レイチェル: Oh, you guys. This was an amazing night. Thank you so much. I love you. Good night. (あぁ、みんな。今夜は素晴らしい夜だったわ。ほんとにありがとう。愛してるわ。おやすみなさい。)
(She leaves the apartment and they all stare at Ross)
レイチェルはその部屋を去り、みんなはロスを見つめる。
ロス: What?! I don't get a goodbye? (何? 僕はさよならをもらえないの?)
ジョーイ: (still very emotional) Lucky bastard! ([いまだにとても感情的な様子で] ラッキーなやつめ!)
アドブレイク
[Scene: Monica's apartment continued... Phoebe, Chandler, Monica and Joey are sitting down and Ross is pacing up and down.]
引き続き、モニカのアパートメント。フィービー、チャンドラー、モニカ、ジョーイは座っていて、ロスは行ったり来たりしている。
ロス: Unbelievable. She says goodbye to everyone but me! (信じられないよ。レイチェルは僕以外のみんなにはさよならを言うのに!)
モニカ: Well, maybe she thought that with all of your history it could be, you know, implicit. (そうねぇ、多分レイチェルは思ったのよ、あなたたちにはいろいろあったから、ほら、暗黙の了解もありかな、って[言わなくてもわかるんじゃないか、って]。)
ロス: Well, it needs to be "plicit." (はっきりしてもらう必要があるよ。)
ジョーイ: All right, let's think about this. I mean, there's gotta be an explanation. Uh... did you do anything to make her mad? (よし、この件について考えよう。ほら、何か説明があるはずだ。うーんと、お前は何かレイチェルを怒らせるようなことをしたか?)
ロス: No, I don't think so. (うーん、そうは思わないけど[そんなことしてないと思うけど]。)
フィービー: You know, maybe she was just really spent from our talk. It was pretty intense. (ほら、多分、レイチェルはただ私たちとの話で疲れちゃったのよ。かなり真剣(で強い感情を起こすよう)なものだったから。)
モニカ: Yeah, mine too. (えぇ、私の[私とレイチェルの話]もね。)
チャンドラー: Mine was a humdinger. (俺のは、すごく素晴らしいものだったよ。)
ロス: (annoyed) O-kay! I mean, don't I deserve anything? I mean, a few tears, a cursory hug? (Joey gives Ross a hug) NOT FROM YOU! (Joey lets go) ([いらいらして] わかったよ! だって、僕は何も受ける価値がないの?[何を受けるにも値しないの?] ほら、2、3粒の涙とか、ぞんざいな[通り一遍の、お義理の]ハグとか? [ジョーイはロスをハグする] 君から(のハグ)じゃないよ! [ジョーイは離れる])
フィービー: Ross, if you're this upset, you should go and talk to her. (ロス、もしあなたがこんなに怒ってるなら、レイチェルのところに行って話すべきよ。)
モニカ: And say what? "You owe me a goodbye"? I mean, he's got more pride than that. (それで何て言うの? ”君は僕にさよならを言う義務がある”って? ほら、ロスはそんなことをする以上のプライドがあるのよ[ロスにはプライドがあって、そんなことはできないわ]。)
ロス: THE HELL I DO! (あぁ、もちろん、あるともさ!)
(Ross takes big steps leaving for Joey and Rachel's apartment, where Rachel is going through her papers.)
ロスは大股でジョーイとレイチェルのアパートメントに向かう。そこではレイチェルが書類に目を通している。


ついにレイチェルからの挨拶はロスを残すだけとなり、ロスもいよいよだと覚悟を決めるのですが、レイチェルは、I think I'm gonna take off. と言った後、ロスの背中をパンパンと叩いて、そのままスタスタと歩いて行くので、ロスは Huh? と言って驚いた顔をしています。
ドアの前で、今日のお別れパーティーのお礼をみんなに言って、そのまま部屋を去って行ってしまったので、フレンズたちも驚いてロスをじっと見つめます。
I don't get a goodbye? を直訳すると、「僕は(ひとつの)さよならもゲットしないの?」というところですね。
ロス以外のみんなは、個室に呼ばれ、それぞれさよならの言葉をもらえたのに、僕にはさよならの一言さえ言ってもらえないの? という気持ちです。
ロスだけ無視されたような形になってしまい、フレンズたちも何とも言えない顔でロスの方を見ていますが、その中でジョーイだけが、泣きながら恨みがましい目でロスを見て、Lucky bastard! と言っています。
bastard は「ひどい人、いやなやつ」、あるいは単に「やつ、野郎」という意味でも使われる言葉。
研究社 新英和中辞典では、
bastard=《俗》 【C】 ひどい人[もの], いやな人[もの]; 運の悪いやつ; やつ, 野郎
a lucky bastard 運のいいやつ
You bastard! この野郎

のように出ています。
憎々しげに You bastard! と言うと、「この野郎」という意味になるわけですが、a lucky bastard だと「運のいいやつ」という意味になるということで、今回のジョーイのセリフも、ロスに対して「お前は運のいいやつだな! ラッキーなやつめ」と言っていることになります。
この前のシーンで、レイチェルはバルコニーでジョーイにさよならを言っていましたが、挨拶が終わった後、ジョーイはバルコニーを乗り越え飛び降りようとするしぐさをして、慌ててレイチェルに止められていました。
ジョーイにとってはそれくらい、レイチェルの別れの挨拶がショックで悲しいものだった、ということで、それを経験しないで済んだロスのことを、「あんな辛くて悲しい思いをしなくて済んだお前は、ラッキーだったな」と言ってみせたわけですね。

アドブレイクで暗転の後、先ほどのシーンの続き。
ロスは「信じられないよ」と言って、She says goodbye to everyone but me! と言っています。
この but は「〜以外に、〜を除いて」という前置詞で、everyone but me で「僕以外のみんな」という意味になります。

次のモニカの maybe she thought that with all of your history it could be, you know, implicit. について。
with all of your history の with は「〜と一緒に(ある)」という感覚ですから、「〜が原因で、〜のために、〜のせいで」のような意味になるでしょう。
「あなたたちの歴史のすべてのせいで」→「あなたたちには二人の間にいろいろあった、という歴史があるから、そういうもののせいで、そういうものが原因で」というところですね。
it could be, you know, implicit. の implicit は「暗黙の、無言の、暗に示された」。
対義語は、explicit 「明白な、はっきりした」。
ですから、このモニカのセリフは、「あなたたちにはいろいろ(な歴史・経緯が)あったから、暗黙の了解となることが可能(かもしれない)とレイチェルは思ったのかもしれないわ」と言っていることになるでしょう。
お互いいろいろあって、もう言わなくてもお互いの気持ちはわかるから、あえて言葉では言わなかったんじゃない? ということですね。

それを聞いたロスは、it needs to be "plicit." と言っています。
plicit という単語は存在しませんし、わざわざ引用符でくくってあることからも、これは造語的に使っていることがわかります。
implicit という単語をモニカが使ったことに対して、ロスは im- を除いた形の「plicit である必要がある」と答えたことになりますね。
implicit という単語の成り立ち自体は、plicit という単語が存在しないことからもわかるように、「plicit という単語に im- という否定の接頭辞が付いたものではない」わけですが、今回のロスのセリフは、im- という接頭辞に「無、不」という not の意味があることを踏まえて、not のように見える im- を取り除くことで、「implicit ではない状態」を表したことになるでしょう。
ここで、not の意味の否定の接頭辞について少し説明しておきますと、通常は、in- になりますが(例:incredible=信じられない)、b, m, p の前では im- になります。
m の場合では immoral 「不道徳な」、今回のような p の場合だと、impossible 「不可能な」、impatient 「耐えられない、我慢できない」などがありますね。

上でも説明しましたように、implicit の対義語は explicit ですから、it needs to be explicit. のように表現すれば、「(暗黙の了解じゃなくて)明白に・はっきりする必要がある」という、ごく普通の表現になるわけですが、あえてその一般的な対義語を使わずに、ちょうど im- という「否定の接頭辞に見える部分」を取り除くことで、対義語っぽく表現したという面白さになるでしょう。

次にジョーイは、「この件について考えてみよう。(レイチェルがそういう行動を取ったことには)何か説明があるはずだ。何かレイチェルを怒らせるようなことしたか?」とロスに尋ねます。
何も思い当たる節がない様子のロスに、今度はフィービーが、「多分、私たちとの話でレイチェルはただ疲れちゃったのよ。かなり intense だったから」と言っています。
spent は spend の過去分詞ですが、形容詞として be spent の形で「疲れ切った」という意味で使われます。
LAAD (Longman Advanced American Dictionary) では、
spent [adjective] : (literary) extremely tired
つまり、「(文語的) 極度に疲れて」。
intense は「強烈な、激しい」ですが、ここでは「真剣な、本気の、まじめな」というニュアンスが近いでしょうか。
LAAD では、
intense : serious and making you feel strong emotions or opinions
例) an intense conversation

つまり、「真剣(本気・まじめ)で、強い感情や意見を感じさせるような」。例は「真剣で強い感情を起こさせる会話」。
ちょうどロングマンの例文に conversation が使われていますが、今回のフィービーのセリフも、our talk のことを言っていますので、上の語義の「intense な会話」と同じニュアンスだと考えればよいでしょう。

モニカが「私の会話もそうだったわ」と同意すると、チャンドラーは「俺のは humdinger だった」と言っています。
humdinger は「非常に素晴らしいもの」という意味。
LAAD では、
humdinger [noun] [singular] : (informal) a very exciting or impressive game, performance, or event
つまり、「(インフォーマル) 非常にエキサイティングな、または印象的な試合、演技、イベントなど」。

ロスは一言のさよならも貰えなかったというのに、みんなが口々に、疲れちゃうほど intense だった、すごく素晴らしかった、などと言うので、ロスは怒ったように Okay! と言ってから、「僕は何かをもらうに値しないの? 2、3(粒)の涙や、cursory hug をもらう価値もないの?[もらうにふさわしくないの?]」と言います。
cursory は「ぞんざいな、急ぎの」ですから、ぎゅーっとハグしてもらえなくてもいいから、ちょっと形だけのハグさえもないわけ? と言っていることになりますね。
それを聞いたジョーイは、ロスをハグしていますが、「僕が欲しいのは君(ジョーイ)からのハグじゃない!」とロスが怒ることになります。

次のフィービーのセリフの upset は「動揺・動転して、うろたえて、取り乱して、腹を立てて、憤慨して」などいろいろな訳語が可能ですが、とにかく「尋常ではない状態」を指します。
今のロスはオロオロしているというよりは怒っているので、「怒っている、激怒している」がこの場合はふさわしいですね。
「こんなに怒ってるのなら(私たちにいろいろ言ってないで)(直接)レイチェルのところに言って話すべきよ」とフィービーはアドバイスするのですが、モニカは「それで(実際に行って)何て言うの?」と言った後、"You owe me a goodbye"? と言います。
owe は owe A B の形で、「A(人)に B(義務・恩義など)を負っている」ですから、「君は僕にさよならを言う義務を負っている」→「君は僕にさよならを言う義務がある、さよならを言うべきだ」ということですね。

he's got more pride than that. の has got = has で、「彼(ロス)はそれ(今言ったこと)以上のプライドを持っている」→「彼にはプライドがあるから、そんなことはできない」と言っていることになります。
妹のモニカにそう言われたロスは、The hell I do! と言っていますが、the hell は What the hell is that? 「一体あれは何だ?」などの形で使われる強意語ですね。
the hell を強意語として使うのは下品とされていますが、ここではそういう言葉をセリフの中で使うことで、ロスの憤りとイライラが最高潮であることを表現していることになるでしょう。

The hell I do! は、I do! を強調しているので、I have more pride than that. 「僕にはそれよりもプライドがある」を強調していることになり、「あぁ、もちろん、僕にはプライドがあるからね、”レイチェルは僕にさよならを言うべきだ”なんてことは言えないよ」と言っていることになるわけですが、そんな風に言いながらも、大股歩きで、廊下を挟んだレイチェルの部屋に向かいます。
その行動はレイチェルに対して文句を言いに行っているのが明らかで、口では「僕にだってプライドがあるから、そんなことは言えないよ」と言いながらも、やはりこのまま済ますことはできずに、結局フィービーのアドバイス通りに行動している、という面白さになるでしょうね。


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posted by Rach at 16:29| Comment(0) | フレンズ シーズン10 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする