2016年09月09日

ブレイク中なら話は別だけど フレンズ10-18その5

皆様の応援のお陰で、現在、「人気ブログランキング」は4位、「にほんブログ村」は6位です。
ブログを続ける原動力となります。どうか今日も応援クリックをよろしくお願いします。
人気ブログランキングへ にほんブログ村 英語ブログへ


飛行機の中から携帯電話でロスの留守電にメッセージを入れていたレイチェル。
ロスはそのメッセージを茫然とした顔で聞いています。
「私も愛してる、って言うことすらできなかった」と言っているうちに、「愛してる。愛してる、、、 私あなたに会わなきゃ。私この飛行機を降りなきゃ!」とレイチェルが言い始め、留守電の音声の様子から、降りようとするレイチェルを客室乗務員が止める、という状態になっていることがわかるのですが、肝心なところで留守電の録音が終了してしまい、ロスが慌てて電話機に近づく、というシーン。
(The message is finished. Ross jumps over to the answering machine.)
(ピーという音がして)留守電メッセージが終わる。ロスは留守電のところに飛んで行く[慌てて近づく]。
ロス: No! No! Oh, my God. Did she get off the plane? Did she get off the plane? (だめだ! だめだ! なんてこった。彼女は飛行機を降りたのか? 彼女は飛行機を降りたのか?)
レイチェル: I got off the plane. (私は飛行機を降りたわ。)
声の方向にカメラが向き、入口で立っているレイチェルを映す。
ロス: You got off the plane. (君は飛行機を降りたんだね。)
(He walks over and kisses her.)
ロスはレイチェルに近づきキスをする。
レイチェル: I do love you. (あなたを本当に愛してる。)
ロス: I love you too, and I am never letting you go again. (僕も君を愛してる。僕は君を二度と離さないよ。)
レイチェル: Okay. 'Cause this is where I wanna be, okay? No more messing around. I don't wanna mess this up again. (ええ、だって、これが私がいたいところだから[私が望む場所だから]。もうこれ以上ばかなことをするのはいや。このこと[この関係]をまた台無しにしたくない。)
ロス: Me neither, okay? We are - we're done being stupid. (僕もいやだよ、だろ? バカをやるのはもうこれで終わりだ。)
レイチェル: Okay. It's you and me, alright? This is it. (そうね。あなたと私、そうでしょう? これなのよ[これが私たちの求めていたものよ]。)
ロス: This is it. Unless we're on a break. (これなんだよ。僕たちがブレイク中なら話は別だけどね。)
(Rachel gives him a look.)
レイチェルはロスを見る。
ロス: Don't make jokes now. (今は冗談言っちゃいけないな。)
(They kiss again.)
二人はまたキスをする。

ロスは留守電のところに飛んで行って、「彼女は飛行機を降りたのか?」と繰り返しながら、どこかに何か声が入っていないかとでもいうように留守電を操作している様子で、巻き戻し・早送りの際の音のようなキュルキュル音も聞こえています。

ロスが必死に電話を操作して、Did she get off the plane? Did she get off the plane? と2回言った後、少しの間があって、ロスの背後から I got off the plane. という声が聞こえます。
そして、カメラがそちらに移動し、その声の主、戸口に立っているレイチェルを映し出します。
観客からは大きな歓声と拍手が上がっていますね。

そこにレイチェルがいるのを確認したロスは、震える声で、You got off the plane. 「君は飛行機を降りたんだね」と言います。
レイチェルは半泣きの状態で、その後二人は、近づいてキスをします。

レイチェルは、さっきは電話でしか言えなかった「愛してる」という言葉をここで改めて言っています。
「さっき言ったことは本当よ」というように、I do love you. 「あなたを本当に愛してる」と love を強調する do を入れているのが印象的ですね。
ロスは、I love you too. と答え、「もう君を二度と離さない」と言います。

'Cause this is where I wanna be は「(ええ、離さないで) だってこれが私がいたいところだから」というニュアンスになるでしょうか。
here is なら、「今ここにいる場所が、ここが(私がいたい場所)」ということになるでしょうが、here ではなく this を使っているので、「ここという場所」というよりも、「この状況」をさしている感じが出るように思います。
「パリではなくここNYが私のいたいと思う場所」ということではなくて、「あなた(ロス)と一緒にいる、というこの状況が[こうしてロスと一緒にいることが]、私がいたいと思うところ、私がいたいと思う環境」のように言っているように思うわけですね。
ロスが「君をもう離さない」と言った、この「ロスとレイチェルが離れないで一緒にいる」という状況を this と言った、ということでしょう。

その後レイチェルは、mess around, mess up という表現を使っています。
まず、mess around はここでは「ばかなことをする」というニュアンスですね。
LAAD (Longman Advanced American Dictionary) では、
mess around : to play or do sillly things instead of working or paying attention (SYN: fool around)
例) Stop messing around and get ready for school.

つまり、「働いたり、または注意を払ったりする代わりに、遊んだり、ばかなことをしたりすること」。例文は「ばかなことはやめて[ばかなことをやってないで]、学校に行く準備をしなさい」。

mess up は「台無しにする、めちゃめちゃにする」。
LAAD では、
mess sth up / mess up sth : to spoil or ruin something, especially something important or something that has been carefully planned
例) His flight was canceled, which messed everybody's schedule up.

つまり、「何かを台無しにしたり、ダメにしたりすること、特に何か重要なこと、または注意深く計画されたことなどを」。例文は、「彼のフライトがキャンセルされて、それでみんなのスケジュールがめちゃくちゃになった」。

「二人の関係をまた台無しにしたくない」と言ったのを受けて、ロスも Me neither 「僕も(そんな風には)したくないよ」と言い、その後、we're done being stupid. と言っています。
done は do の過去分詞形ですが、be done で「〜を済ませる、〜を終える」という意味でも使われます。
ですから、we're done being stupid. は、「僕たちは、stupid でいることを[stupid であるという状態を]終える」という意味だと考えられるでしょう。
done と言っている時のロスの手のしぐさが、「もうこれでやめ、おしまい」という感じの手の動きに見えますし、「stupid でいることは[stupid という状態は](これで)もうおしまい」→「バカなことをするのはもうこれで終わりだ」と言っていると思われます。

It's you and me, alright? This is it. について。
It's you and me の it は訳さずに、「あなたと私なのよ」というニュアンスで考えれば良いでしょう。
This is it. は「これよ、これなのよ、これがそうなのよ」と訳せば良い感じになると思いますが、you and me というこの状態(this)が、it(私たちの求めるもの)である、という構造になります。
「あなたと私が一緒にいる、というこの状態が、私たちの求めていること、望んでいることよね」という感じですね。
ロスもその言葉に同意して、This is it. と答えるのですが、その後、ちょっといたずらっぽい顔で、Unless we're on a break. と言っています。
それを聞いたレイチェルは、ちょっとイライラしたような顔でロスをにらんでいます。
観客からも笑いが起こり、その笑いがかなり後を引く感じで、長く続いていますね。
それだけ「面白いセリフだった」ということになるわけですが、その Unless...のセリフについては、少し後で説明します。

レイチェルににらまれたロスは、Don't make jokes now. 「今はジョークを言っちゃいけないな、ジョークにしちゃダメだな」と言って、二人はまたキスをします。
この時に流れている音楽は、「U2 の With or Without You に良く似ているけれども少し違う曲」です。
フレンズ2-7 で、セントラルパークの前で初めてキスしたシーンに流れていた、ファンには思い出の曲ですね。
過去記事、ウィズオアウィズアウトユー フレンズ3-15その20 で、「2-7 の時は、似た音楽を使ったけれど、2-8 で「ロスがラジオでリクエストした曲」として、本物の With or Without You が使われた」など、そのU2風の音楽にまつわるトリビアについて触れています。

では、観客がオオウケしていた、Unless we're on a break. について。
on a break は「ブレイク中」みたいなことですが、この on a break は、フレンズにおけるキーワードですね。
レイチェルがファッション業界で働き始めるようになってから、ロスとレイチェルの二人はすれ違い状態になり、ブレイクをとる フレンズ3-15その14 で、レイチェルは、"maybe we should just take a break!" 「多分、私たちはただ、ブレイク(break)をとるべきだと思うの」という言葉を口にします。
その break という言葉にショックを受けたロスは動揺し、さらにレイチェルとマークとの仲を誤解して、その後、自分に好意を持っていたコピー屋のクロエと寝てしまうのですが、後でそのことで口論になった時に、お互いの break の認識が異なっていたことが判明します。
レイチェルの方は(自分の中でもはっきりしないながらも)「一時的に離れる」という感覚で break という言葉を出した、それに対してロスは break を「決定的な別れ」だと捉えていたことが、breakupとon a break フレンズ3-16その16 のセリフを見るとわかります。
その後も何かにつけて「他の女と寝た」ことをレイチェルが皮肉っぽく持ち出すたびに、"We were on a break!" 「僕たちはブレイク中だったんだ!」とロスが叫ぶのが、フレンズのお約束みたいになっています。
ロスが、We were on a break! と叫んでいるエピソードは、ブログの過去記事では、
君が非難できる立場か? フレンズ3-17その20valid reason フレンズ3-17その23
あなたが全責任を認めるのなら フレンズ4-1その5バランスの取れた見方 フレンズ4-1その6 などで出てきました。
その on a break というキーワードが、フレンズの最後のエピソード、それも二人がよりを戻してハッピーエンド♪ となったこの時にそのフレーズが出て来たことが、ファンにとっては面白くてしょうがないわけですね。

そして、unless は「もし〜でなければ(if ... not)」ということですが、今回のように何かを言った後で、付け足しのような感じで使う、Unless+文(SV). は、「もし(文)なら話は別だけど」と訳すとしっくりきます。
つまり、This is it. Unless we're on a break. は、「これがそうなんだ(僕たちが望んでいたことだ)。(でも)もし僕たちが(今)ブレイク中なら話は別だけどね」になるでしょう。
「僕たちが今、ブレイク中の状態じゃないのなら、This is it. って言えるけど、もしブレイク中なら、This is it. とは言えない」と言っている感覚になります。

「これがそうだ。今二人が一緒にいる状態が僕らの望む理想の姿だ」というのが、This is it. のニュアンスですが、「これがそうよね」「うん、そうだね」とレイチェルの言葉をいったんは認めた上で、Unless we're on a break. と付け足すことで、「僕らが今、ブレイク中だったりすると、This is it. とは言えなくなる・認められなくなるんだけど」→「ところで今は、ブレイク中じゃないよね、ブレイク中じゃない、って認識でオッケーだよね?」という発言をしているということだと思います。

レイチェルはパリ行きをやめてロスのところに戻ってきて、キスをして、お互い、I love you. と言い合った後なので、「何の問題も障害もない、大好きな二人がよりを戻したハッピーエンド」なわけですが、「念のために確認しとくけど、今のこの状態は、We are on a break. の状態じゃないよね? 僕たちはきちんとよりを戻したってことで大丈夫だよね。愛してるとは言い合ったけど、実はまだ別れた状態のまま、とかってことはないよね」のようなことを、これまで何度もモメる原因となっていたそのフレーズを持ち出すことで、表現したことになるでしょう。
これまで、「クロエと寝た時は、ブレイク中だったか、そうではなかったか」ということについて、二人の認識の違いが何かと喧嘩の原因になっていたわけですが、せっかく二人が幸せ絶頂な気分になっているこの時に、「今はブレイク中じゃないよね?」というフレーズを持ち出したことで、レイチェルは「今、そんなこと言う?」みたいな顔でにらんでいます。
ロスは嬉しくてつい、そんなジョークを口走ってしまったわけですが、「今はそんなジョークを言っちゃいけないな。このことをそんな風にジョークにしちゃいけないな」と反省し、二人はまたキスをすることになります。

ロスとレイチェルが離れ離れになってしまう、、というような悲しい結末はフレンズには似合わないと思いますので、二人がよりを戻すだろうことは、ある程度は想定内だったようにも思いますが、やっぱり実際にこうして幸せそうにキスする二人を見ると、あぁ〜良かった〜♪ と思えますね(^^)


ランキングをクリックして、応援していただけると嬉しいです。
人気ブログランキングへ にほんブログ村 英語ブログへ
posted by Rach at 14:45| Comment(6) | フレンズ シーズン10 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年09月07日

言うべきだったのに言わなかったこと フレンズ10-18その4

皆様の応援のお陰で、現在、「人気ブログランキング」は4位、「にほんブログ村」は6位です。
ブログを続ける原動力となります。どうか今日も応援クリックをよろしくお願いします。
人気ブログランキングへ にほんブログ村 英語ブログへ


[Scene: Ross's apartment. Ross enters and checks his messages.]
ロスのアパートメント。ロスは部屋に入り、留守電のメッセージをチェックする。
レイチェル: (on the answering machine) Ross. Hi, it's me. I just got back on the plane, and I just feel awful. That is so not how I wanted things to end with us. It's just that I wasn't expecting to see you. And all of a sudden you're there and saying these things, and..... Now I'm just sitting here and thinking of all the stuff I should have said and I didn't. I mean, I didn't even get to tell you that I love you too. Because of course I do. I love you. I love you. I love you. What am I doing? I love you! God, I've gotta see you. I've gotta get off this plane. ([留守電で] ロス。私よ。今、飛行機に戻ったの。ただもう最悪の気分よ。私たちのことをあんな風に終わらせたくなかった。ただ、私はあなたに会うとは思ってなかっただけなの。それで突然、あなたがそこにいて、ああいうことを言うから… 今私はただここに座って、いろんなことを考えてるの、私が言うべきだったのに言わなかったことを。ほら、私は、私も愛してる、ってことすら言わなかった。だって、もちろんそうなんだから。あなたを愛してる。愛してる。愛してる。私何してるの? 愛してる! あぁ、あなたに会わなくちゃ。この飛行機を降りなくちゃ!)
ロス: Oh, my God! (なんてこった!)
レイチェル: (on the answering machine) Okay, ex-- excuse me? ([留守電で] いいわ、あの、すみません。)
客室乗務員(Air stewardess): (on the answering machine) Miss? Please, sit down! ([留守電で] お客様? どうかお座り下さい!)
レイチェル: (on the answering machine) No, I'm sorry. I'm really sorry, but I need to get off the plane, okay? I need to tell someone that I love them. ([留守電で] いいえ、ごめんなさい、ほんとにごめんなさい。でも私は飛行機を降りないといけないのよ。ある人に、その人を愛してる、って私は言わなくちゃいけないの。)
客室乗務員: (on the answering machine) Miss, I can't let you off the plane. ([留守電で] お客様、あなたを飛行機から降ろすことはできません[飛行機から降りることを認めるわけにはいきません]。)
ロス: Let her off the plane! (彼女を飛行機から降ろしてやれよ!)
客室乗務員: (on the answering machine) I am afraid you are gonna have to take a seat. ([留守電で] 申し訳ありませんがお席に着いていただかなければなりません。)
レイチェル: (on the answering machine) Oh, please, miss. You don't understand! ([留守電で] あぁ、お願いよ、あなたはわかってないのよ!)
ロス: Try to understand! (わかろうとしてやれよ[わかってやれよ]!)
レイチェル: (on the answering machine) Oh, come on, miss, isn't there any way that you can just let me off the-- ([留守電] あぁ、お願いよ、とにかく私を降ろす方法が何かないかしら…?)
(The message is finished. Ross jumps over to the answering machine.)
(ピーという音がして)留守電メッセージが終わる。ロスは留守電のところに飛んで行く[慌てて近づく]。

ロスは空港から自宅に帰ってきます。
留守電をチェックすると、レイチェルの留守電メッセージが入っていました。
「ちょうど飛行機に戻ったところで、ただもう最悪の気分よ」と言っています。
That is so not how I wanted things to end with us. は、「さっきのは、私が私たちのことで物事をこんな風に終わらせたいと思うようなものでは全くなかった」というところでしょう。
so は not を強調していて、That is not how I wanted 「さっきの(ような別れ方)は、私が望んだ状態ではない」が基本的な構造になります。

It's just that... は「ただ…なだけなの」という感覚なので、「私が望んでああしたわけじゃなくて、ただ、あなたに会うとは予期してなかったから・思ってなかったから、あんな別れ方をしてしまった、ってだけなの」と言っていることになります。

And all of a sudden you're there and saying these things は、「そして突然(そこにいるとは思いもしなかった)あなたがそこにいて、こういうことを(「行かないで。愛してるんだ」と)言っている」。
そして今、私はここ(飛行機の席)に座って、all the stuff I should have said and I didn't を考えている、と続けます。
all the stuff 以下は、「私が言うべきだったのに(実際には)言わなかったことすべて」。
「言うべきだったのに言わなかったこと」の内容を、I mean 「それはつまり」と続けて、I didn't even get to tell you that I love you too. と言っています。
even get to のニュアンスを出して訳すとすると、「私もあなたを愛してるということを、あなたに言うことにすらならなかった」というところでしょう。
ただ「言わなかった」と言っているのではなく、言う状況にすらならなかった、言葉にするところまでも行かなかった、という感じで、言いたいことを何一つ言えないままの別れになってしまったことを後悔している様子が感じられますね。

その後、Because of course I do. は「だって、もちろん、私はそうなんだから[あなたを愛しているんだから]」。
「あなたが”愛してる”と言ってくれたことに対して、”私も愛してる”という返事をしなかった」ことを悔いる発言をしているその理由として、because を使って、「だってもちろん私はあなたを愛してるんだもの」と言っていることになるでしょう。
Because の後は、I do のように、love ではなく、代動詞 do を使っていますが、その後、はっきりと love という動詞を使って、何度も何度も I love you. を繰り返しています。
留守電のメッセージで、何度も何度も I love you. と言っているので、観客からも少し笑いが漏れていますが、その後、What am I doing? 「私、何やってるの?」と言って、もう一度、I love you! と切ない感じで言った後に、「あなたに会わなくちゃ。この飛行機を降りなくちゃ」と言い始めます。

留守電メッセージを聞いていたロスは、メッセージの中でレイチェルが「飛行機を降りなくちゃ」と言い始めたので、驚きの表情を浮かべています。
その後も、留守電に録音されている音声で、レイチェルが飛行機を降りようとしている様子がわかるようになっています。
レイチェルが、excuse me? と言った後、客室乗務員が、「お客様? どうかお座り下さい!」と言っていることから、レイチェルが座席から立ち上がっていることがわかります。
もうすぐ出発しようとしている飛行機から降りようとしているのは明らかで、乗務員に注意されたレイチェルは、ごめんなさいと謝った後、「私は飛行機を降りないといけないの」、その後、I need to tell someone that I love them. と言っています。
love them の them は、someone を受ける代名詞ですね。
someone は単数形ですが、someone を代名詞で受ける場合、このように them という複数形を使うことがよくあります。(拙著「読むだけ なるほど! 英文法」の p.104 でも説明しています)
「私はある人に、私はその人を愛してる、って言わないといけないの」という感覚ですね。

客室乗務員は当然のことながら、I can't let you off the plane. 「あなたを飛行機から降ろすことはできません。飛行機から降りることを認める[許可する]わけにはいきません」と引き留めます。
留守電メッセージでそんなやりとりが行われているのを、自宅で音を聞くだけしかできないロスですが、思わず立ち上がり電話に向かって、Let her off the plane! 「彼女を飛行機から降ろしてやれよ!」と叫んでいるのが面白いですね。
相手に聞こえないとわかってはいるでしょうが、「降りたいと言ってるんだから、降ろしてやれよ。止めるなよ!」と言わずにはいられない心境なわけですね。

客室乗務員は「申し訳ありませんが(I am afraid)、お席に着いていただかなければなりません」と説得を続けていますが、レイチェルは、You don't understand! 「(私がどれほど降りなければいけないか)あなたはわかってないのよ」と叫びます。
ただのわがままで言ってるわけじゃない、これには深い深い理由があるのよ、と言いたい感じですね。
それを聞いたロスがまた電話に向かって、Try to understand! 「わかろうとしてやれよ。わかってやれよ」と叫ぶのも面白いです。

「とにかく私を降ろす方法はないかしら?」と just let me off the-- と言ったところで、録音終了のピー音が鳴ります。
留守電のメッセージが肝心なところで終わってしまったので、ロスは電話機のところに飛んで行きます。
続きは、次回といたします(^^)


ランキングをクリックして、応援していただけると嬉しいです。
人気ブログランキングへ にほんブログ村 英語ブログへ
posted by Rach at 14:21| Comment(0) | フレンズ シーズン10 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年09月05日

今まで待つべきじゃなかったのに フレンズ10-18その3

皆様の応援のお陰で、現在、「人気ブログランキング」は5位、「にほんブログ村」は7位です。
ブログを続ける原動力となります。どうか今日も応援クリックをよろしくお願いします。
人気ブログランキングへ にほんブログ村 英語ブログへ


レイチェルが飛行機に乗ろうとした時に、何とか追いついたロスとフィービー。
二人を見て驚くレイチェルに、ロスは語り始めます。
ロス: Okay. Thing is.... (よし。言いたいことは…)
レイチェル: Yeah? (何?)
ロス: Don't go. (行くな。)
レイチェル: What? (何?)
ロス: Please, please stay with me. I am so in love with you. Please don't go. (どうかお願いだ、僕と一緒にいてくれ。僕は君をとても愛してる。どうか行かないでくれ。)
レイチェル: Oh, my God. (まぁ。)
ロス: I know. I know. I shouldn't have waited till now to say it, but I'm-- That was stupid, okay? I'm sorry. But I'm telling you now. I love you. Do not get on this plane. (そうだ、わかってる。それを言うのを今まで待つべきじゃなかったのに。でも僕は… 今までバカだった。ごめんよ。でも僕は今、これを言うよ。君を愛してる。この飛行機に乗らないで。)
ゲート案内係2: Miss? Are you boarding the plane? (お客様? 飛行機に乗られますか?)
ロス: Hey, hey. I know you love me. I know you do. (ねぇ。君が僕を愛してるってわかってる。君もそうだって僕にはわかってる。)
ゲート案内係2: Miss? (お客様?)
レイチェル: I.... I.... I have to get on the plane. (私、私…私は飛行機に乗らないといけないの。)
ロス: No, you don't. (だめだ、乗るな。)
レイチェル: Yes, I do. (いえ、乗るわ。)
ロス: No, you don't. (いや、乗っちゃだめだ。)
レイチェル: I do. They're waiting for me, Ross. I can't do this right now, I'm sorry. I'm sorry. (乗るわ。みんなが私を待ってるの、ロス。今はこんなことできない、ごめんなさい、ごめんなさい。)
ロス: Rachel? (レイチェル?)
レイチェル: I'm so sorry. (本当にごめんなさい。)
(She boards the plane.)
レイチェルは飛行機に乗り込む。
ロス: I really thought she'd stay. (彼女は残ってくれるって、僕は本当に思ってた。)
フィービー: I know. I'm sorry. (そうね。残念だわ。)
(Phoebe hugs Ross.)
フィービーはロスをハグする。

Thing is... / The thing is... は、これから大切なことを言おうとする際に、前振りとして使う表現。「そのこと=大事なこと」は(今から言う以下のこと)なんだ、という感覚ですね。
ロスはまず、端的に、Don't go. 「行くな」と言っています。
いきなりそう言われたレイチェルは、What? と返すしかありませんが、ロスはさらに「どうか僕と一緒にいてくれ」と言います。
そしてはっきりと、I am so in love with you. 「僕は君をとても愛してる」と言っていますね。
「愛してるから、行かないで」と空港で言われてしまったレイチェルは、感動した様子の震える声で、Oh, my God. と言います。

I shouldn't have waited till now to say it の shouldn't have p.p. は「〜すべきじゃなかったのに(実際には〜してしまった)」のような後悔の表現。
「それ(君をとても愛してる)という言葉を言うのを、今まで待つべきではなかったのに、結果として今言うことになってしまった。もっと前に言うべきだったのに言えなかった」という後悔になります。
That was stupid は「レイチェルに愛してると言えなかったことは、愚かだった」というところ。
言うべきことを言えなかった自分を反省し、僕がバカだった、と認めた上で、「でも今、僕は君に言うよ、僕は君を愛してる」と、はっきり I love you. という言葉を口にします。
自分の気持ちを正直に伝えた上で、さらに「この飛行機に乗らないで」と説得していますね。

ですが、出発間近の飛行機なので、空港の係員は、ゲートのところで乗るか乗らないかで迷っている乗客に対し、「お客様、飛行機に乗られますか?」と当然のように促すことになります。
係員にそう言われて困ってしまうレイチェルですが、ロスはレイチェルを全力で引き留めようと、強気な発言を続けます。
I know you love me. I know you do. 「君も僕を愛してるって僕にはわかってる」というのが泣けてしまいますね。
お互いがお互いを愛していることは、お互いをよく知る、長い付き合いの二人には当然わかっていたはずですが、これまでは心の底ではそう信じていても、過去の別れの経緯などもあり、なかなか口には出せなかった状態でした。
ここでレイチェルを引き留めなければ、レイチェルはパリに行ってしまう、という時になってやっと、「僕は君を愛してる。そして君も僕を愛してるはずだ。だからパリには行かずに僕と一緒にいて欲しい」という力強い発言をすることがロスにもやっとできたわけですね。

ロスがここまで正直な気持ちをぶつけたことで、レイチェルの心は大いに揺れ動いたはずですが、係員が「お客様?」とせかすので、レイチェルは「今はもう何も考えられない」という混乱した様子で、「とにかく私は飛行機に乗らなくちゃ」と言います。
ロスは必死に「乗るな」と止めるのですが、「みんなが私を待ってるのよ。今はこんなことできない。ごめんなさい」と言って、ついには飛行機に乗り込んでしまいます。

レイチェルが行ってしまった後、係員によってドアが閉められます。
レイチェルが去り、茫然とするロスに、フィービーは後ろからそっと近づき、慰めるようにロスの背中をさすります。
I really thought she'd stay. というロスのセリフが、本当に悲しみを誘います。
「レイチェルは残ってくれるだろうと、僕は本当に思っていた」ということですね。
実際のところ、「自分が気持ちを告白することで、絶対にレイチェルは残ってくれるはず」という自信があったとまでは言えなかったでしょうが、ロスが全力で自分の気持ちを伝えれば、僕のことを愛しているはずのレイチェルの心もきっと動いてくれるに違いない、という願いにも似た気持ちを持っていたのは間違いないでしょうね。
I love you. I know you love me. という言葉まで口にした後で、まさかレイチェルが僕の気持ちを受け入れずにそのままパリに旅立ってしまうなんて、、 というショックが隠しきれない様子が、このセリフからもよくわかります。
ロスに付き添っていたフィービーも、「そうね。残念だわ」と言ってハグするしかありません。

ロスが言うべきことを言えないままで、レイチェルが行ってしまう、、という流れは、コメディとしてよくあるパターンで、ここに至るまでもそういうことの繰り返しのようでしたが、今回のシーンのように、ロスがここまで自分の気持ちを正直に力強く告白したのに、それでもレイチェルは行ってしまった、、というのは、見ていてショックなものがありますね。
ロスの気持ちがよくわかる、という気持ちになったファンも多かったのではないでしょうか。


ランキングをクリックして、応援していただけると嬉しいです。
人気ブログランキングへ にほんブログ村 英語ブログへ
posted by Rach at 14:45| Comment(0) | フレンズ シーズン10 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年09月02日

念のために予備も積んでいます フレンズ10-18その2

皆様の応援のお陰で、現在、「人気ブログランキング」は5位、「にほんブログ村」は7位です。
ブログを続ける原動力となります。どうか今日も応援クリックをよろしくお願いします。
人気ブログランキングへ にほんブログ村 英語ブログへ


飛行機に乗ってしまったレイチェルを降ろそうと、フィービーは携帯電話で「その飛行機の左のフィランジ(フィービーの造語)が故障してる」と伝えます。
その会話を知ったレイチェルの隣の乗客が騒ぎ出し、乗っていた乗客は全て、飛行機を降りてしまいました。その後のシーン。
[Scene: The gate at the airport. The passengers are standing in line, and they're about to board the plane again.]
空港のゲート。乗客が列に並んでいて、再び飛行機に乗り込もうとしているところ。
ゲート受付係2(Gate attendant #2): Ma'am, I assure you, the plane is fine. (マダム、間違いなくこの飛行機は大丈夫です。)
乗客2: And you fixed the phalange? (それで、例のフィランジは修理したの?)
ゲート受付係2: Yes. The phalange's fixed. As a matter of fact, we've put a whole lot of extra phalanges onboard, just in case. (はい。そのフィランジは修理しました。実は、予備のフィランジも飛行機に積みました、念のために。)
(Rachel walks up to the gate. Cut to Ross and Phoebe who come running up to the gate.)
レイチェルがゲートに歩いてくる。ゲートに向かって走ってくるロスとフィービーに画面がカット。
ロス: Where is she? (レイチェルはどこ?)
フィービー: I don't see her. (姿が見えないわ。)
ロス: Rachel! Rachel Green! (レイチェル! レイチェル・グリーン!)
フィービー: There she is! (レイチェルはあそこよ!)
ロス: Rachel! (レイチェル!)
受付係2: Whoa, excuse me, sir, do you have a boarding pass? (おっと、失礼、搭乗券はお持ちですか?)
ロス: No, no. I just have to talk to someone. (いいや。僕はただある人に話をしないといけないだけなんだ。)
受付係2: I'm sorry. You cannot go any further without a boarding pass. (申し訳ありません。搭乗券なしではこれ以上先には進めません。)
ロス: No, no, no, but you don't-- (いやいや、でも…)
フィービー: (screaming) RACHEL!! ([叫んで] レイチェルー!!)
(Rachel comes back to the gate.)
レイチェルがゲートに戻ってくる。
レイチェル: What? Oh, my God. What.. What are you guys doing here? (何? なんてこと。あなたたち、ここで何してるの?)
フィービー: Okay. You're on. (よし。[ロスに] あなたの出番よ。)
レイチェル: What? What, Ross? Okay, you're scaring me. What's going on? (何? 何なの、ロス? [ロスはレイチェルの手を引っ張る] あぁ、私、怖いんだけど。何が起こってるの?)

ゲートのアテンダント(案内係)が乗客に、Ma'am, I assure you, the plane is fine. と言っています。
この ma'am だけでなく、その後も sir, Miss など丁寧な呼び掛け語を使っているところに、接客業の言葉遣いである感じが出ています。
assure は「保証する、請け合う」という動詞なので、I assure you (that) SV の形だと、「SV だと保証する」「大丈夫、SV だ」のように、後に続く SV という文の内容が「間違いない、保証する」感覚になります。
「左のフィランジに問題がある」と騒ぎになり、乗客全員が降りることになったので、乗客はまだその「フィランジ」のことを心配しています。
「あなたたち(航空会社)はその(例の問題になった)フィランジを修理した・直したの?」と尋ねた乗客に、Yes. The phalange's fixed. と答える係の人が面白いですね。
phalange というのはフィービーが言ったでまかせの造語で、本当にそんな部品や部分が飛行機にあるわけでもなかったのに、みんなが「フィランジが故障だ。フィランジがない」と大騒ぎをしたので、これ以上騒ぎにならないよう、客が納得するように話を合わせておこう、と思ったのがよくわかります。

それに続くセリフもまた面白いですね。
「実は(そのフィランジを修理しただけではなく)、予備のフィランジも飛行機に積みました、念のために」ということで、壊れただの、ないだのと騒がれたことへの対応として、ちゃんと予備の分も積んでありますから、さきほどのようなトラブルにはなりませんからご安心を、、と言ったことになります。

そんな時、ロスとフィービーがゲートの方に走ってきます。
二人はレイチェルの姿を探すのですが、すぐには見つかりません。
フィービーが「レイチェルはあそこよ!」と見つけた時には、飛行機の方に歩いていく後ろ姿が見えただけでした。
ロスはレイチェルを追いかけようとするのですが、係員にゲートで止められてしまいます。
こういう場合でも、sir という敬称を付け、客に対する言葉遣いで注意していますね。
「搭乗券はお持ちですか?」「持ってないけど、僕はただある人と話をしなくちゃいけないだけだ」との会話の後、「申し訳ありませんが、搭乗券なしではこれ以上先に(奥に)進むことはできません」と言われてしまいます。
それでも、、と何とか頑張ろうとするロスですが、ロスと一緒に来ていたフィービーが、すごい声で RACHEL!! (発音は、レイチョーーーーー!! みたいな感じw)と叫ぶので、その声が聞こえたらしいレイチェルが「何事?」という顔で戻ってくるのが、コメディっぽくて面白いですね。

名前を呼ばれて出てきたら、ロスとフィービーがそこにいるので、レイチェルは驚き、「(家でさよならを言ったはずなのに)どうしてあなたたちはここにいるの? どうして空港まで来たの?」と言います。
You're on. は「あなたの出番よ」という感覚ですね。
私が大声で叫んでレイチェルを連れ戻してあげたから、今後はあなたが頑張る番よ、あなたの出番よ、とフィービーは言っていることになります。

you're scaring me. の scare は「人を怖がらせる」という他動詞で、人が「怖い」と言う場合にはよく、I'm scared. という形で使われます。
何かによって私が怖がらせられるということから、be scared 「怖がらせられる」という受身形で「怖い。怖いと感じる」という意味になるわけですね。
今回は、「ここにいるはずのないロスがいて、飛行機に乗ろうとしている私に何か言おうとしている」というロスの様子が私を怖がらせる、というように、「私が何だか怖い、と感じる原因が、あなた(ロス)である。あなたが今私を怖がらせている」と、怖いと感じる原因が you であることをはっきり言及している表現になるでしょう。
「あなたがここにいて、そんな様子だから、私、今、怖いんだけど」というところですね。


ランキングをクリックして、応援していただけると嬉しいです。
人気ブログランキングへ にほんブログ村 英語ブログへ
posted by Rach at 16:05| Comment(0) | フレンズ シーズン10 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする