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10:02
ロス: (CLUTCHING A BEER CAN AND SNIFFING) This was Carol's favorite beer. She always drank it out of the can. I should have known. ([ビールの缶を握りながら、鼻をすすって] これはキャロルのお気に入りのビールだった。キャロルはいつも缶から(直接)ビールを飲んでた。僕は気づくべきだったのに。)
ジョーイ: Ross, let me ask you a question. She got the furniture, the stereo, the good TV. What did you get? (ロス、ひとつ質問させて。キャロルは家具、ステレオ、いいテレビをゲットした[取った、手に入れた]。お前は何をゲットしたの?)
ロス: You guys. (君たち。)
チャンドラー: Oh, man. (あぁ、なんてこった。)
ジョーイ: You got screwed. ((だまされて)巻き上げられたな。)
チャンドラー: Oh, my God. (なんてこった。)
ロスは缶ビールを指さして、泣きそうな顔で鼻をすすりながら、「これはキャロルの好きなビールだった」と言っています。
drink ... out of the can は「〜を缶から飲む」。
グラスに入れて飲むのではなく、「缶に口をつけて、缶から直接飲む」というニュアンスのようです。
out of は「〜の外に」なので、「缶から出して(グラスに注いで)飲む」のように解釈できそうな気もしますが、英英辞典の Macmillan Dictionary の drink の項目に、以下の表現が出ていました。
drink from/out of : Rosie drank thirstily from a can of cola.
つまり、drink from と drink out of は同じ意味で、例文は「ロージーはコーラの缶から、(喉が渇いている様子で)ごくごくと飲んだ」という感じになるでしょうか。
drink from だと「缶から(直接)飲む」ニュアンスを素直に感じることができますが、スラッシュで並べられていることから、drink out of も drink from と同じニュアンスで使われる、と言えるように思います。
また、フレンズの他のエピソードでの使用例を調べてみたところ、この フレンズ1-1 よりは後のエピソードになってしまいますが、フレンズ2-22 に似たような表現が出てきます。
ネタバレしない程度に、セリフを抜粋して簡単に説明しますと、ある女性が、ある男性に対して怒っているセリフで、
女性: He always ridiculed my pottery classes. (彼はいつも私の陶芸教室をバカにしてたの。)
女性: But when all is said and done, he still drinks out of the mugs. (でも、結局、彼はいまだに、そのマグカップから飲んでいるのよ。)
「まだ(いまだに)そのマグカップから飲む」というのは、「私が陶芸をやっていることをバカにしていたくせに、今でも飲み物を飲む時は、私が陶芸教室で作ったマグカップを使って飲んでいる」ということだと考えられますので、drink out of the mugs は「マグを使って(マグから直接)飲み物を飲んでいる」という表現になるだろうと思います。
from は「〜から」という起点の感覚で、out of は「〜の中から外へ、〜から出て」というニュアンスになりますが、どちらも「缶から外に出る形で飲む」ということになり、2つの表現は同じように「缶から直接飲む、缶で飲む」というような意味になるようですね。
I should have known. の should+have+過去分詞形は「…すべきだったのに(実際はしなかった)」という意味なので、「僕は気づくべきだった(のに実際には気づくことができなかった)」というニュアンスになるでしょう。
「グラスに移さずに、缶から直接ビールを飲むしぐさ」とは、恐らく「男っぽいしぐさ」のイメージで、ある時期からそんな風に飲むようになった、そこに誰か別の人の影響を見て取るべきだった、ということなのかなと思います。
ジョーイは let me ask you a question 「俺に一つ質問させて」と言った後、「キャロルは、家具、ステレオ、いいテレビをゲットした(それらを持って、出て行った)」と言っています。
ロスが新しい家具を組み立てているのは、キャロルがたくさんの家具を持って行ってしまったからで、この状況に合った説明になるでしょう。
What did you get? 「(あれこれキャロルに持ってかれて)お前は何をゲットしたの?(お前が得たもの、持ってるものは何?)」と聞かれたロスは、You guys. 「君たち」と答えます。
金目(かねめ)のものは何もない、君ら以外に僕に残されたものはないよ、みたいな、寂しさ漂う返事ですね。
チャンドラーは、Oh, man. と言っていますが、この man は「なんとまぁ、なんてこった」というニュアンスの間投詞。
LAAD (Longman Advanced American Dictionary) では、
man [interjection]
oh, man : used when you are disappointed, annoyed, or surprised, in order to emphasize what you are saying
例) Oh, man, it's snowing.
つまり、「(間投詞)oh, man の形で:失望したり、うんざりしたり、驚いたりした時に使われる、自分が言っていることを強調するために」。例文は「なんてこった、雪が降ってる」。
You got screwed. について。
研究社 新英和中辞典では、以下の語義が出ています。
screw=《俗》
1 〈人を〉だます (注:しばしば受身で用いる)
He was completely screwed. 彼はすっかりだまされた。
2 〔+目+out of+【(代)名】〕〈人を〉だまして〔…を〕巻き上げる (注:しばしば受身で用いる)
I was screwed out of 50 dollars. だまされて50ドル巻き上げられた。
つまり、got screwed で「だまされた」、got screwed out of の形では「だまされて(〜を)巻き上げられた」という意味になるということですね。
LAAD では、
screw
5. screw somebody also screw somebody over :
(slang) to cheat someone or treat them in a dishonest or unfair way (SYN) cheat
6. be screwed : (slang) to be in a lot of trouble or in a very difficult situation
つまり、5. の意味は、「誰かをだます、あるいは、誰かを不正な、不公平なやりかたで扱うこと」
6. の be screwed は、「多くのトラブルの中にある、または、非常に難しい状況にいる」
Macmillan Dictionary では、
screw:
[TRANSITIVE] VERY INFORMAL to cheat someone, or to treat someone in an unfair way
screw someone out of something: We were just screwed out of £20!
つまり、「(非常にインフォーマル) 人を騙すこと、または人を不公平な・不当なやり方で扱うこと」。例文は「我々はだまされて20ポンドを巻き上げられたんだ!」
キャロルに家財道具を全部持っていかれて、ロスに残ったものは男友達だけというこの状況。
多分、キャロルはいろいろ理屈をつけたり権利を主張したりして、持てるものを全部持って出て行ってしまったので、「お前はすっかりだまされたな」「だまされて、家財道具一式、巻き上げられちゃったな」のように言っているのでしょうね。
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2016年10月31日
2016年10月28日
部品がない脚の感覚もない フレンズ1-1改その16
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9:30
SCENE 3: ROSS' APARTMENT (THE GUYS ARE ASSEMBLING FURNITURE)
ロスのアパートメント。男性陣は家具を組み立てているところ。
ロス: (SQUATTING AND READING INSTRUCTIONS) I'm supposed to attach a bracket-y thing to the side things, using a bunch of these little worm guys. I have no bracket-y thing, I see no worm guys whatsoever and I cannot feel my legs. ([しゃがみながら、説明書を読んでいる] ブラケット[張り出し棚]的なものを横のやつに、この小さいワーム(ウォーム)たちを使って取り付けることになってる。そのブラケットっていうものもないし、ワームってやつらも全く見当たらない、そして…脚の感覚もない。)
(CHANDLER AND JOEY HAVE APPARENTLY FINISHED A BOOKCASE, BUT THERE IS A BIT LEFT OVER)
チャンドラーとジョーイはどうやら本棚(の組み立て)を終えたようだが、少し使い残したものがある。
ジョーイ: What's this? (これ、何だ?)
チャンドラー: I have no idea. (全然わかんない。)
(JOEY CHECKS ROSS IS NOT LOOKING AND DUMPS IT IN A PLANT POT)
ロスが(こちらを)見ていないことをジョーイは確かめて、それ(残った部品)を植木鉢に放り込む。
ジョーイ: Done with the bookcase. (本棚、完了!)
チャンドラー: All finished. (全て終了。)
I'm supposed to は、前回の記事「その15」にも出てきましたが「〜することになっている」。
前回と今回の記事で連続で出てきたことからもわかるように、フレンズのセリフによく出てくるフレーズです。
家具の組立説明書にはそういう指示が書いてある、ということですね。
I'm supposed to... のこのセリフをシンプルな構造にすると、
I'm supposed to attach A to B, using C. 「C を使って、A を B に取り付ける・留めることになっている」。
A に当たる a bracket-y thing は「ブラケット的なもの」というところ。
bracket は「張り出し棚」。
LAAD (Longman Advanced American Dictionary) では、
bracket : SUPPORT
a piece of metal, wood, or plastic, often in the shape of the letter L, put in or on a wall to support something such as a shelf.
つまり、「金属、木材、プラスチックの部品、しばしばL字型をしており、棚のようなものを支えるために、壁にはめ込まれる、または壁の表面に付けられるもの」。
どんな物体なのかを確認するのに、Google 画像検索が便利ですが、試しに bracket で画像検索してみると、括弧(かっこ)や、トーナメント表が多くヒットします。
その結果からわかるように、bracket には「かっこ」という意味があり、また bracket または tournament bracket には「勝ち抜きトーナメント表」の意味もあります。
今回のセリフの部品の画像を見たい場合には、bracket shelf で検索すると、棚を支えるL字型の部品の bracket の画像がたくさんヒットしました。
ちなみに、歯列矯正で、ワイヤーを通すために1つ1つの歯の表面に付いているあの装置のこともブラケットと言います。
「ワイヤーを支えるために歯の表面に付けられているもの」ですから、上のロングマンの語義が示すものに該当すると言えますね。
今回のセリフで bracket 「ブラケット」そのものではなく、bracket-y と言っているのは、「ブラケット風の・的な・のようなもの」という感覚になるでしょう。
-y という接尾辞は、研究社 新英和中辞典では、
-y =【接尾】[名詞から形容詞を造る]
2. 「…から成る」「…の性質をもった」の意 (例:milky, greedy)
3. 「やや…の」「…に似た」の意 (例:chilly, wintry)
辺りのニュアンスに該当すると思われます。
組立説明書に、ブラケットのような絵が書いてあり、その「ブラケットみたいなやつ」を横の部品にくっつけることになってるんだけど、と表現しているのでしょうね。
a bunch of は「たくさんの」。
worm は「(ミミズのような)足のない細長い虫」を指しますが、ここでは「ワーム(またはウォーム)という部品」を指しています。
「ウォーム 部品」で画像検索すると、歯車とかみ合うようになっている、ねじ状の部品の写真がヒットします。
ミミズのような虫の形状に似ているので、そう呼ばれているのでしょう。
小さなねじ状の部品で取り付けることになっているということを、「これらの小さなワームガイたち[ねじ君たち]をたくさん使って」と表現している感覚でしょうね。
whatsoever は、whatever の強調形。
whatever は、研究社 新英和中辞典では、
whatever=【形】 [否定・疑問文で名詞・代名詞の後に用いて] 少しの…も、何らの…も
There's no doubt whatever. 何の疑いもない。
と説明されています。
つまり、今回のセリフだと、「ワームたちも少しも見えない、全く見当たらない」と言っていることになります。
cannot feel one's legs は「自分の脚を感じることができない、脚の感覚がない」ですから、「脚がしびれる」。
ヤンキー座り(?)みたいな姿勢で座っていたので、脚がしびれた、と言っているのですね。
このロスのセリフでは、I have no... I see no... and I cannot feel... のように、否定語が3回連続して使われているのが面白いです。
no... no... と「あれもない、これもない」とぼやいていて、最後には「脚の感覚までない」と言っている「ないないづくし」になっているところがオチのポイントですね。
部品が見当たらないとロスが言った直後に、ジョーイは何か部品のようなものを手にして、これは何だ? と言っています。
I have no idea. というセリフを、チャンドラーは、I have NO idea. とことさらノーの部分を強調して言っています。
妙な節(ふし)を付けてしゃべるというキャラ設定は、このエピソードの後もチャンドラーの特徴の一つとなってきます。
今さら変な部品が出てきたところで、また最初から組み立て直すのも面倒だと思ったのでしょう、ロスが気づいていないのをいいことに、ジョーイが観葉植物の植木鉢に部品を押し込めて隠した後、二人が口々に「本棚は完了」「全て終了」と言っているのが面白いですね。
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9:30
SCENE 3: ROSS' APARTMENT (THE GUYS ARE ASSEMBLING FURNITURE)
ロスのアパートメント。男性陣は家具を組み立てているところ。
ロス: (SQUATTING AND READING INSTRUCTIONS) I'm supposed to attach a bracket-y thing to the side things, using a bunch of these little worm guys. I have no bracket-y thing, I see no worm guys whatsoever and I cannot feel my legs. ([しゃがみながら、説明書を読んでいる] ブラケット[張り出し棚]的なものを横のやつに、この小さいワーム(ウォーム)たちを使って取り付けることになってる。そのブラケットっていうものもないし、ワームってやつらも全く見当たらない、そして…脚の感覚もない。)
(CHANDLER AND JOEY HAVE APPARENTLY FINISHED A BOOKCASE, BUT THERE IS A BIT LEFT OVER)
チャンドラーとジョーイはどうやら本棚(の組み立て)を終えたようだが、少し使い残したものがある。
ジョーイ: What's this? (これ、何だ?)
チャンドラー: I have no idea. (全然わかんない。)
(JOEY CHECKS ROSS IS NOT LOOKING AND DUMPS IT IN A PLANT POT)
ロスが(こちらを)見ていないことをジョーイは確かめて、それ(残った部品)を植木鉢に放り込む。
ジョーイ: Done with the bookcase. (本棚、完了!)
チャンドラー: All finished. (全て終了。)
I'm supposed to は、前回の記事「その15」にも出てきましたが「〜することになっている」。
前回と今回の記事で連続で出てきたことからもわかるように、フレンズのセリフによく出てくるフレーズです。
家具の組立説明書にはそういう指示が書いてある、ということですね。
I'm supposed to... のこのセリフをシンプルな構造にすると、
I'm supposed to attach A to B, using C. 「C を使って、A を B に取り付ける・留めることになっている」。
A に当たる a bracket-y thing は「ブラケット的なもの」というところ。
bracket は「張り出し棚」。
LAAD (Longman Advanced American Dictionary) では、
bracket : SUPPORT
a piece of metal, wood, or plastic, often in the shape of the letter L, put in or on a wall to support something such as a shelf.
つまり、「金属、木材、プラスチックの部品、しばしばL字型をしており、棚のようなものを支えるために、壁にはめ込まれる、または壁の表面に付けられるもの」。
どんな物体なのかを確認するのに、Google 画像検索が便利ですが、試しに bracket で画像検索してみると、括弧(かっこ)や、トーナメント表が多くヒットします。
その結果からわかるように、bracket には「かっこ」という意味があり、また bracket または tournament bracket には「勝ち抜きトーナメント表」の意味もあります。
今回のセリフの部品の画像を見たい場合には、bracket shelf で検索すると、棚を支えるL字型の部品の bracket の画像がたくさんヒットしました。
ちなみに、歯列矯正で、ワイヤーを通すために1つ1つの歯の表面に付いているあの装置のこともブラケットと言います。
「ワイヤーを支えるために歯の表面に付けられているもの」ですから、上のロングマンの語義が示すものに該当すると言えますね。
今回のセリフで bracket 「ブラケット」そのものではなく、bracket-y と言っているのは、「ブラケット風の・的な・のようなもの」という感覚になるでしょう。
-y という接尾辞は、研究社 新英和中辞典では、
-y =【接尾】[名詞から形容詞を造る]
2. 「…から成る」「…の性質をもった」の意 (例:milky, greedy)
3. 「やや…の」「…に似た」の意 (例:chilly, wintry)
辺りのニュアンスに該当すると思われます。
組立説明書に、ブラケットのような絵が書いてあり、その「ブラケットみたいなやつ」を横の部品にくっつけることになってるんだけど、と表現しているのでしょうね。
a bunch of は「たくさんの」。
worm は「(ミミズのような)足のない細長い虫」を指しますが、ここでは「ワーム(またはウォーム)という部品」を指しています。
「ウォーム 部品」で画像検索すると、歯車とかみ合うようになっている、ねじ状の部品の写真がヒットします。
ミミズのような虫の形状に似ているので、そう呼ばれているのでしょう。
小さなねじ状の部品で取り付けることになっているということを、「これらの小さなワームガイたち[ねじ君たち]をたくさん使って」と表現している感覚でしょうね。
whatsoever は、whatever の強調形。
whatever は、研究社 新英和中辞典では、
whatever=【形】 [否定・疑問文で名詞・代名詞の後に用いて] 少しの…も、何らの…も
There's no doubt whatever. 何の疑いもない。
と説明されています。
つまり、今回のセリフだと、「ワームたちも少しも見えない、全く見当たらない」と言っていることになります。
cannot feel one's legs は「自分の脚を感じることができない、脚の感覚がない」ですから、「脚がしびれる」。
ヤンキー座り(?)みたいな姿勢で座っていたので、脚がしびれた、と言っているのですね。
このロスのセリフでは、I have no... I see no... and I cannot feel... のように、否定語が3回連続して使われているのが面白いです。
no... no... と「あれもない、これもない」とぼやいていて、最後には「脚の感覚までない」と言っている「ないないづくし」になっているところがオチのポイントですね。
部品が見当たらないとロスが言った直後に、ジョーイは何か部品のようなものを手にして、これは何だ? と言っています。
I have no idea. というセリフを、チャンドラーは、I have NO idea. とことさらノーの部分を強調して言っています。
妙な節(ふし)を付けてしゃべるというキャラ設定は、このエピソードの後もチャンドラーの特徴の一つとなってきます。
今さら変な部品が出てきたところで、また最初から組み立て直すのも面倒だと思ったのでしょう、ロスが気づいていないのをいいことに、ジョーイが観葉植物の植木鉢に部品を押し込めて隠した後、二人が口々に「本棚は完了」「全て終了」と言っているのが面白いですね。
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2016年10月25日
できたらいいんだけどやりたくない フレンズ1-1改その15
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8:42
ロス: So, Rachel, what're you, uh... what're you up to tonight? (それで、レイチェル、その… 君は今夜、何か予定あるの?)
レイチェル: Well, I was kinda supposed to be headed for Aruba on my honeymoon, so, nothing. (そうねぇ、私はハネムーンでアルバ島へ向かうことになってたって感じだから、(予定は)何もないわね。)
ロス: Right. You're not even getting your honeymoon, God. No, no, although, Aruba. This time of year? Talk about your... (THINKS)... big lizards. Anyway, if you don't feel like being alone tonight, Joey and Chandler are coming over to help me put together my new furniture. (そうだね。君はハネムーンさえ行けないんだね。あぁ、いやいや、でも、アルバ島だよ。一年のうちのこの時期と言えば? まさにこれだよね・・・ 大トカゲだよ。とにかく、もし今夜一人でいたくないって気分なら、ジョーイとチャンドラーが僕の家に来て、新しい家具を組み立てるのを手伝ってくれる予定なんだけど。)
チャンドラー: (DEADPAN) Yes, and we're very excited about it. ([無表情で] そうさ、そして俺たちはものすごくワクワクしてる。)
レイチェル: Well, actually thanks. But I think I'm just gonna hang out here tonight. It's been a long day. (うーん、ほんとにありがと。でも私は今夜ここで過ごすことにするわ。長い一日だったから。)
ロス: Oh, sure. Okay, sure. (あぁ、そうだね。わかったよ。)
ジョーイ: Hey, Pheebs, you wanna help? (ねぇ、フィービー、君は手伝いたい?)
フィービー: Oh, I wish I could, but I don't want to. (あぁ、そうできればいいんだけど、でも手伝いたくないの。)
(AD BREAK)
CMの切れ目。
ロスはレイチェルに、what're you up to tonight? と尋ねています。
up to は「〜しようとして、〜にとりかかって」というニュアンス。
英和辞典には、「(よからぬことを)たくらんで」という意味が載っていて、研究社 新英和中辞典では、
up to=〈よくないこと〉に取りかかって、やっていて、…をたくらんで
He is up to something [no good]. 彼は何か[よからぬ事を]たくらんでいる。
What are you up to? 何をやっているんだい。
と説明されています。
Macmillan Dictionary にも以下のように「よからぬ事を」というニュアンスの語義が出ています。
up to something : doing something wrong or secret
例) When he's quiet like this, I know he's up to something.
つまり、「悪いこと、または秘密のことをやっている」。例文は「彼がこのように静かな時は、何かたくらんでいると俺にはわかる」。
そのように「よからぬことをたくらむ」という意味でよく使われるようですが、今回は「よからぬ」という意味は特になく、ただ「今夜何かやろうと思ってるの? 今夜何か予定あるの?」と尋ねているだけになるでしょう。
kinda = kind of で、「〜みたいに、みたいな」と「ちょっとはぐらかす」表現。
be supposed to は、is supposed to と現在形の場合は「〜することになっている」。
「〜するはずだ、〜するのが決まりだ、〜する予定だ」というニュアンスです(なるほど英文法 p.276)。
今回は was supposed to と過去形になっているので、「〜することになっていた」。
過去形で表現されていることで、「〜することになっていたけれど、(レイチェルが結婚式を逃げ出したことで)その予定が変わってしまった」ということまでが示唆されます。
日本語っぽく訳すと、「アルバ島に向かっている”はずだったんだけど”…」と、逆接が続くようなニュアンスですね。
「でもロスも知ってる通り、私は結婚式を逃げ出して、その予定が変わったから」という理由をわざわざ付け加えなくても、was supposed to 「〜することになっていた」と過去形で表現することで、「その予定が変わってしまった」ことがわかるので、その後すぐに「だから(予定は)何もないわ」と繋がるのですね。
head という動詞について。
普通は、head という自動詞として使うと、head for で「〜へ向かう、行く、進む」という意味になり、Where are you heading for? だと「どこへ行くつもりですか?」になります。
上のセリフでは、それが be headed for、つまり、「be動詞+過去分詞」という「受身形」で書かれていますが、この場合の head は他動詞で、「head+目的語+for」で、「(目的語)を〜へ向ける、進める」という意味です。
そういう他動詞の意味があるために、be headed for でも「〜の方向へ向かう」という意味になり、意味的には、head = be headed のようなことになります。
アルバ島については、以下のウィキペディアで。
Wikipedia 日本語版 : アルバ
「島には美しい真っ白なビーチが幾つかあり、観光客で賑わっている」「観光客のほとんどがアメリカからであり」との説明もありますので、新婚旅行の行き先としても人気なのでしょうね。
「新婚旅行の予定だったけど、それがなくなったから」というレイチェルの発言を聞いて、ロスは「そうだよね。君は新婚旅行をゲットすることすらない」のように表現しています。
新婚旅行に行くことすらない、新婚旅行にまでたどり着かなかった、というようなニュアンスになるでしょう。
「そうか、君は新婚旅行すら行けないのか、、」みたいにしみじみ言っているロスの発言は、まるで「僕は離婚はしたけど、新婚旅行には行けたからね」のように、何だかレイチェルを憐れむみたいな言い方にも聞こえそうで、実際レイチェルに睨(にら)まれたロスは、「いや、でも、アルバ島だよ」と言い直しています。
Talk about your... big lizards. について。
talk about は「…について話す」ということですが、Talk about...(!) として使われると、「まさに・実に・すごい…である」「…とはまさにこのことである」というような意味になります。
研究社 新英和中辞典では、
Talk about...! (口語)=…の話なら(…に及ぶものはない)
Talk about wit! 天下一品の機知だ(った)。
Talk about snow! 実にすごい雪だ(った)。
その語義にあるように、「〜の話なら及ぶものはない」という感覚から、「まさに〜である、すごい〜である」という意味になるのですね。
強調する言い方なので、語尾に感嘆符がつくことが多いです。
Macmillan Dictionary では、
talk about... : used for emphasizing something
Talk about cold - I was freezing!
Talk about being lazy - she wouldn't move an inch!
つまり、「何かを強調するために使われる」。例文は、「寒いとはまさにこのことだよ。僕は凍えそうだった!」。「怠惰とはまさにこのことだ。彼女は1インチも動こうとはしなかった!」
今回のロスのセリフも、「この時期のアルバ島と言えば、まさにこれだよね、、」と何か素晴らしいことを言おうとして、頭を巡らせてみたのですが、「大トカゲ」しか思いつかなかった、という拍子抜けのジョークになるでしょう。
lizard は「トカゲ」。ポケモンで、ヒトカゲ→リザード→リザードンという進化がありますので、それをイメージすれば、lizard がトカゲなのはすっと覚えられそうですね^^
feel like doing は「〜したい気がする」ですから、if you don't feel like being alone tonight は、「君が今夜一人でいたくない気がするなら」。
その後、「ジョーイとチャンドラーが、僕の新しい家具を put together するのを手伝うために来てくれる予定だ」と説明しています。
put together は「合わせる、集める」という感覚なので、家具であれば組み立てるということ。
それを聞いたチャンドラーは、「ロスの手伝いをするのをとても楽しみにしてるんだ、ワクワクしてるんだ」と言葉では言っていますが、声のトーンと表情から、全く嬉しそうではないのが丸わかりですね。
「一人で寂しいなら、レイチェルも僕の家に来て一緒に手伝う?」とロスは言っているわけですが、その家具の組み立てがさも楽しげなもののように言っているロスに対して、「俺たちもそれをすっごく楽しみにしてるんだよね」と言葉でだけ言ってみた感じになるでしょう。
レイチェルは気遣いに対するお礼を言ってから、「でも私は今夜ここで hang out するわ」と答えます。
hang out は「時を過ごす、ブラブラする」という意味。
フレンズたちのような大人が、友達と一緒に時間を過ごす、という意味でも hang out はよく使われます。
LAAD (Longman Advanced American Dictionary) では、
hang out : (informal) to spend a lot of time in a particular place or with particular people.
つまり、「ある場所で、またはある人々と一緒に、多くの時間を過ごすこと」。
「(大人が)友達と遊ぶ」というようなニュアンスですね。
「遊ぶ」と聞くと、play という動詞が頭に浮かぶ方も多いと思いますが、英語の play だと子供たちがワーイと遊ぶニュアンスになります。
ジョーイがフィービーに、ロスの家具の組み立ての手伝いをしてみたい? と尋ねた後、フィービーは、Oh, I wish I could, but I don't want to. と答えています。
この第1話の最初でも、ロスのどんよりオーラを浄化しようとしていた、ちょっと変わったキャラクターのフィービーでしたが、このセリフはフィービー節(ぶし)炸裂というべき一言ですね。
普通は、I wish I could 「手伝えればいいんだけど」と言うだけで、「手伝えるものなら手伝いたいけど、事情があって残念ながらそれはできないの」というニュアンスが出ます。
普通ならその後、「残念ながら先約があるの、他に用事があるの」というような理由が続いたりするのですが、フィービーが言ったのは「手伝いたくないから」。
手伝えない理由は「私が手伝いたくないからだ」と言ってしまっているところに、フィービーの「普通の人とは違うズレ具合」が出ています。
これなら、I wish I could.... と言ってそのまま言葉を濁していた方が、何かしらの事情があってダメなんだな、とわかってもらえて丸く収まったところ。
それをわざわざ「やりたくない」という正直な理由を言ってしまっているところがフィービーっぽいわけで、それを聞いたジョーイが、「正直だねぇ」みたいな顔をしているのもまた、面白いですね。
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8:42
ロス: So, Rachel, what're you, uh... what're you up to tonight? (それで、レイチェル、その… 君は今夜、何か予定あるの?)
レイチェル: Well, I was kinda supposed to be headed for Aruba on my honeymoon, so, nothing. (そうねぇ、私はハネムーンでアルバ島へ向かうことになってたって感じだから、(予定は)何もないわね。)
ロス: Right. You're not even getting your honeymoon, God. No, no, although, Aruba. This time of year? Talk about your... (THINKS)... big lizards. Anyway, if you don't feel like being alone tonight, Joey and Chandler are coming over to help me put together my new furniture. (そうだね。君はハネムーンさえ行けないんだね。あぁ、いやいや、でも、アルバ島だよ。一年のうちのこの時期と言えば? まさにこれだよね・・・ 大トカゲだよ。とにかく、もし今夜一人でいたくないって気分なら、ジョーイとチャンドラーが僕の家に来て、新しい家具を組み立てるのを手伝ってくれる予定なんだけど。)
チャンドラー: (DEADPAN) Yes, and we're very excited about it. ([無表情で] そうさ、そして俺たちはものすごくワクワクしてる。)
レイチェル: Well, actually thanks. But I think I'm just gonna hang out here tonight. It's been a long day. (うーん、ほんとにありがと。でも私は今夜ここで過ごすことにするわ。長い一日だったから。)
ロス: Oh, sure. Okay, sure. (あぁ、そうだね。わかったよ。)
ジョーイ: Hey, Pheebs, you wanna help? (ねぇ、フィービー、君は手伝いたい?)
フィービー: Oh, I wish I could, but I don't want to. (あぁ、そうできればいいんだけど、でも手伝いたくないの。)
(AD BREAK)
CMの切れ目。
ロスはレイチェルに、what're you up to tonight? と尋ねています。
up to は「〜しようとして、〜にとりかかって」というニュアンス。
英和辞典には、「(よからぬことを)たくらんで」という意味が載っていて、研究社 新英和中辞典では、
up to=〈よくないこと〉に取りかかって、やっていて、…をたくらんで
He is up to something [no good]. 彼は何か[よからぬ事を]たくらんでいる。
What are you up to? 何をやっているんだい。
と説明されています。
Macmillan Dictionary にも以下のように「よからぬ事を」というニュアンスの語義が出ています。
up to something : doing something wrong or secret
例) When he's quiet like this, I know he's up to something.
つまり、「悪いこと、または秘密のことをやっている」。例文は「彼がこのように静かな時は、何かたくらんでいると俺にはわかる」。
そのように「よからぬことをたくらむ」という意味でよく使われるようですが、今回は「よからぬ」という意味は特になく、ただ「今夜何かやろうと思ってるの? 今夜何か予定あるの?」と尋ねているだけになるでしょう。
kinda = kind of で、「〜みたいに、みたいな」と「ちょっとはぐらかす」表現。
be supposed to は、is supposed to と現在形の場合は「〜することになっている」。
「〜するはずだ、〜するのが決まりだ、〜する予定だ」というニュアンスです(なるほど英文法 p.276)。
今回は was supposed to と過去形になっているので、「〜することになっていた」。
過去形で表現されていることで、「〜することになっていたけれど、(レイチェルが結婚式を逃げ出したことで)その予定が変わってしまった」ということまでが示唆されます。
日本語っぽく訳すと、「アルバ島に向かっている”はずだったんだけど”…」と、逆接が続くようなニュアンスですね。
「でもロスも知ってる通り、私は結婚式を逃げ出して、その予定が変わったから」という理由をわざわざ付け加えなくても、was supposed to 「〜することになっていた」と過去形で表現することで、「その予定が変わってしまった」ことがわかるので、その後すぐに「だから(予定は)何もないわ」と繋がるのですね。
head という動詞について。
普通は、head という自動詞として使うと、head for で「〜へ向かう、行く、進む」という意味になり、Where are you heading for? だと「どこへ行くつもりですか?」になります。
上のセリフでは、それが be headed for、つまり、「be動詞+過去分詞」という「受身形」で書かれていますが、この場合の head は他動詞で、「head+目的語+for」で、「(目的語)を〜へ向ける、進める」という意味です。
そういう他動詞の意味があるために、be headed for でも「〜の方向へ向かう」という意味になり、意味的には、head = be headed のようなことになります。
アルバ島については、以下のウィキペディアで。
Wikipedia 日本語版 : アルバ
「島には美しい真っ白なビーチが幾つかあり、観光客で賑わっている」「観光客のほとんどがアメリカからであり」との説明もありますので、新婚旅行の行き先としても人気なのでしょうね。
「新婚旅行の予定だったけど、それがなくなったから」というレイチェルの発言を聞いて、ロスは「そうだよね。君は新婚旅行をゲットすることすらない」のように表現しています。
新婚旅行に行くことすらない、新婚旅行にまでたどり着かなかった、というようなニュアンスになるでしょう。
「そうか、君は新婚旅行すら行けないのか、、」みたいにしみじみ言っているロスの発言は、まるで「僕は離婚はしたけど、新婚旅行には行けたからね」のように、何だかレイチェルを憐れむみたいな言い方にも聞こえそうで、実際レイチェルに睨(にら)まれたロスは、「いや、でも、アルバ島だよ」と言い直しています。
Talk about your... big lizards. について。
talk about は「…について話す」ということですが、Talk about...(!) として使われると、「まさに・実に・すごい…である」「…とはまさにこのことである」というような意味になります。
研究社 新英和中辞典では、
Talk about...! (口語)=…の話なら(…に及ぶものはない)
Talk about wit! 天下一品の機知だ(った)。
Talk about snow! 実にすごい雪だ(った)。
その語義にあるように、「〜の話なら及ぶものはない」という感覚から、「まさに〜である、すごい〜である」という意味になるのですね。
強調する言い方なので、語尾に感嘆符がつくことが多いです。
Macmillan Dictionary では、
talk about... : used for emphasizing something
Talk about cold - I was freezing!
Talk about being lazy - she wouldn't move an inch!
つまり、「何かを強調するために使われる」。例文は、「寒いとはまさにこのことだよ。僕は凍えそうだった!」。「怠惰とはまさにこのことだ。彼女は1インチも動こうとはしなかった!」
今回のロスのセリフも、「この時期のアルバ島と言えば、まさにこれだよね、、」と何か素晴らしいことを言おうとして、頭を巡らせてみたのですが、「大トカゲ」しか思いつかなかった、という拍子抜けのジョークになるでしょう。
lizard は「トカゲ」。ポケモンで、ヒトカゲ→リザード→リザードンという進化がありますので、それをイメージすれば、lizard がトカゲなのはすっと覚えられそうですね^^
feel like doing は「〜したい気がする」ですから、if you don't feel like being alone tonight は、「君が今夜一人でいたくない気がするなら」。
その後、「ジョーイとチャンドラーが、僕の新しい家具を put together するのを手伝うために来てくれる予定だ」と説明しています。
put together は「合わせる、集める」という感覚なので、家具であれば組み立てるということ。
それを聞いたチャンドラーは、「ロスの手伝いをするのをとても楽しみにしてるんだ、ワクワクしてるんだ」と言葉では言っていますが、声のトーンと表情から、全く嬉しそうではないのが丸わかりですね。
「一人で寂しいなら、レイチェルも僕の家に来て一緒に手伝う?」とロスは言っているわけですが、その家具の組み立てがさも楽しげなもののように言っているロスに対して、「俺たちもそれをすっごく楽しみにしてるんだよね」と言葉でだけ言ってみた感じになるでしょう。
レイチェルは気遣いに対するお礼を言ってから、「でも私は今夜ここで hang out するわ」と答えます。
hang out は「時を過ごす、ブラブラする」という意味。
フレンズたちのような大人が、友達と一緒に時間を過ごす、という意味でも hang out はよく使われます。
LAAD (Longman Advanced American Dictionary) では、
hang out : (informal) to spend a lot of time in a particular place or with particular people.
つまり、「ある場所で、またはある人々と一緒に、多くの時間を過ごすこと」。
「(大人が)友達と遊ぶ」というようなニュアンスですね。
「遊ぶ」と聞くと、play という動詞が頭に浮かぶ方も多いと思いますが、英語の play だと子供たちがワーイと遊ぶニュアンスになります。
ジョーイがフィービーに、ロスの家具の組み立ての手伝いをしてみたい? と尋ねた後、フィービーは、Oh, I wish I could, but I don't want to. と答えています。
この第1話の最初でも、ロスのどんよりオーラを浄化しようとしていた、ちょっと変わったキャラクターのフィービーでしたが、このセリフはフィービー節(ぶし)炸裂というべき一言ですね。
普通は、I wish I could 「手伝えればいいんだけど」と言うだけで、「手伝えるものなら手伝いたいけど、事情があって残念ながらそれはできないの」というニュアンスが出ます。
普通ならその後、「残念ながら先約があるの、他に用事があるの」というような理由が続いたりするのですが、フィービーが言ったのは「手伝いたくないから」。
手伝えない理由は「私が手伝いたくないからだ」と言ってしまっているところに、フィービーの「普通の人とは違うズレ具合」が出ています。
これなら、I wish I could.... と言ってそのまま言葉を濁していた方が、何かしらの事情があってダメなんだな、とわかってもらえて丸く収まったところ。
それをわざわざ「やりたくない」という正直な理由を言ってしまっているところがフィービーっぽいわけで、それを聞いたジョーイが、「正直だねぇ」みたいな顔をしているのもまた、面白いですね。
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2016年10月21日
Dear Diaryの瞬間 フレンズ1-1改その14
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7:39
(THE DOOR BUZZER SOUNDS. CHANDLER GETS IT)
ドアのブザーが鳴る。チャンドラーがそれに出る[応対する]。
チャンドラー: Please don't do that again. It's a horrible sound. (どうか今の(ブーブーとブザーを鳴らすこと)は二度としないでくれるかな。不快な音だ。)
ポール: (OVER INTERCOM) Uh, it's, uh, it's Paul. ([インターコム越しに] あぁ、あの、ポールだ。)
モニカ: Buzz him in. (解錠ボタンを押して、彼を中に入れてあげて。)
ジョーイ: Who's Paul? (ポールって誰?)
ロス: Paul, the wine guy, Paul? (ワイン担当のポール、のポールか?)
モニカ: Maybe. (多分ね[そうかもね]。)
ジョーイ: Wait a minute. Your "not a real date tonight," is with Paul, the wine guy? (ちょっと待て。モニカの”今夜は本当のデートじゃない”は、ワイン担当のポールとなのか?)
ロス: He finally asked you out? (彼はついにモニカを誘ったのか?)
モニカ: Yes. (そうよ。)
チャンドラー: Ooh, this is a "Dear Diary" moment. (あぁ、これは”親愛なる日記さんへ”の瞬間だな。)
モニカ: Rach, wait, I can cancel. (レイチェル、待って、私、キャンセルできるわよ[キャンセルしてもいいわよ]。)
レイチェル: Please, no. Go, I'll be fine. (どうかやめて。行って、私は大丈夫よ。)
モニカ: (TO ROSS) Are, Ross, are you okay? I mean, do you want me to stay? ([ロスに] ロスは大丈夫? ほら、私に(ここに)いて欲しい?)
ロス: (CHOKED VOICE) That'd be good. ([息を詰まらせながら] そうしてくれるとありがたいね。)
モニカ: (HORRIFIED) Really? ([怯えた様子で] ほんとに?)
ロス: (NORMAL VOICE) No, go on! It's Paul, the wine guy! ([普通の声で] いや、そのまま続けなよ! ワイン担当のポールだぞ!)
(A KNOCK AT THE DOOR. MONICA GETS IT; IT'S PAUL)
ドアにノックがある。モニカがそれに出る[応対する]と、ポールである。
モニカ: Hi, come in! Paul, this is... (THEY ARE ALL LINED UP NEXT TO THE DOOR)... everybody, everybody, this is Paul. (はーい、入って! ポール、こちらは… [フレンズたちはみんな、ドアの横に整列している]…みんなよ。みんな、こちらがポールよ。)
みんな: Hey! Paul! Hi! The wine guy! Hey! (やあ! ポール! はーい! ワインガイ[ワインの人]! やあ!)
チャンドラー: I'm sorry, I didn't catch your name. Paul, was it? (申し訳ない、君の名前聞き取れなかった。ポール、だったっけ?)
モニカ: (SHOWS PAUL IN) Sit down. Two seconds. ([ポールを中に招き入れて] 座って。2秒[少し]待って。)
フィービー: Ooh, I just pulled out four eyelashes. That can't be good. (あぁ、今、まつ毛を4本、(引き)抜いちゃったわ。それって良い(兆候な)はずないわね。)
誰かが訪ねてきてブザーを鳴らすので、チャンドラーは、そのブザーに応対しつつ、「そんな音を鳴らすのはもうやめてくれ。不快な音だ」などと言っています。
口調で冗談だとはわかりますが、いきなりそんなことを言われたポールは「変なやつがいるな」と思ったことでしょうね。
相手が「ポールだ」と名乗るのを聞いて、モニカは、Buzz him in. と言っています。
日本語の「ブザー」は英語では buzzer で、英語の発音は「バザー」という感じ。
buzz は動詞で「(ハチ・機械などが)ブンブンいう、ブンブンうなる」ということで、その動詞に -er がついたものが、buzzer になります。
buzz は、人を目的語に取る他動詞では「人をブザーで合図する、人をブザーを押して呼ぶ」という意味になり、今回は、buzz him in. なので、「ブザーを押して彼が中に入るようにして」→「オートロックのボタン[開錠ボタン]を押して、彼を中に入れてあげて」と言っていることになります。
ポールという名前を聞いて、ロスは、Paul, the wine guy, Paul? とモニカに尋ねています。
the wine guy は「ワインガイ、ワイン男」みたいな感じですが、ワインの業務を担当している男性というニュアンスで使っているらしいことがわかります。
モニカは、Maybe. と答えていますが、Yes. 「そうよ」と答えるのが照れくさいのか恥ずかしいのかで、Maybe. 「多分そうみたいね」と少しはぐらかした感じでしょう。
次のジョーイの、Your "not a real date tonight," is with Paul, the wine guy? について。
"not a real date tonight" が引用符でくくられているので、日本語訳も
モニカの「今夜、本当のデートじゃない」は、ワイン担当のポールとなのか?
のように、かぎかっこでくくるとわかりやすいでしょう。
今回のエピソードの冒頭で、モニカは「職場の人と夕食を食べに行くだけで、デートじゃないわ」と説明していましたが、その相手がこのポールなのか? と尋ねているのですね。
ask someone out は、「(人)をデートに誘う、(人)とデートの約束をする」という意味。
「彼はついにモニカをデートに誘ったのか?」とロスが言って、モニカが嬉しそうであることから、モニカはポールとデートしたいと思っていて、それがついに叶ったということがわかりますね。
this is a "Dear Diary" moment. について。
Dear Diary を直訳すると「親愛なる日記さんへ」。
日記を擬人化し、その「日記さん」に対して手紙を書くようなつもりで、日記の冒頭に書く言葉です。
Dear Diary で Google の画像検索をすると、実際に、Dear Diary, で書き始めている日記らしき画像がいくつも見つかります。
日記に記したい今日のビッグニュースだね、素晴らしい出来事の瞬間だね、というニュアンスになるでしょう。
ポールとデートなの! ということで嬉しそうなモニカですが、結婚式から逃げてきて大変な状況のレイチェルに対し、「デートの予定だったけど、あなたが大変ならデートはキャンセルしてもいいわよ」みたいに気遣いを見せています。
レイチェルが大丈夫と言うと、今度は「妻が家出して傷心の兄ロス」に対しても、「デートに出かけないで、私はロスと一緒にここにいた方がいい?」と尋ねます。
悲しそうに息を詰まらせながら、ロスは That'd be good. と言っていますが、これは That would be good. ということですね。
この would は「もしそうしてくれたら(モニカがここにいてくれたら)ありがたい」のような、仮定のニュアンスが入っています。
ドアにノックがあり、ポールが入ってきたので、モニカは早速みんなを紹介しようとするのですが、振り向いたらみんなが興味津々で見ているので、一瞬絶句していますね。
みんなが口々に、「やあ。ポール。ワイン担当のポールだね」のように挨拶する中、最後にチャンドラーが、I'm sorry, I didn't catch your name. Paul, was it? と言っています。
I didn't catch your name. は相手が名乗った名前を聞き逃した、よく聞き取れなかった時の定番表現。
「名前を聞き逃してしまった(ので、名前をもう一度聞かせて)」という感覚になります。
Paul, was it? と過去形になっているのは、少し前に本人が名乗って、一度聞いた名前だからですね。
日本語で言うところの、「さっき君が言った名前はポールだったっけ? ポールって言ったっけ」というニュアンス。
ポールという名前はよくある名前で聞き取りやすいはずなのに、まるでわかりにくい名前であるかのように、わざと聞き返しているようですね。
モニカは「座って」と言った後、指を2本立てて、Two seconds と言っています。
2秒、つまり、少しだけ待って、という意味。
英語では少しの時間を「2秒」「3秒」などと秒で表現することも多いです。
実際にそれだけの秒だと短すぎるわけですが、それくらい短い時間だから、と短さを強調している表現になります。
ロスがモニカに対して、「ポールは、背もこんなに高いよね」とジェスチャーで背が高い様子を示し、Good job. という風に指を立てているのが、妹の幸せを喜んでいる兄っぽい感じが出ていて微笑ましいですね。
モニカのデート相手が来た、とフレンズたちが騒いでいる中、フィービーは、I just pulled out four eyelashes. と言っています。
eyelash は「まつ毛」。pull out は「外に引っ張る」という感覚ですから、まつ毛の場合だと「引き抜く、引っこ抜く」というところ。
That can't be good. の can't は「〜のはずがない」で、「それ(まつ毛を4本も抜いちゃったこと、まつ毛が4本も抜けちゃったこと)が良いはずないわ」→「良い兆候であるはずないわ、縁起悪いに違いないわ」と言っていることになります。
自分が訪ねて来た早々、「縁起悪そうなことが起こった」と言われてしまったポールは、苦笑いするしかないですね。
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7:39
(THE DOOR BUZZER SOUNDS. CHANDLER GETS IT)
ドアのブザーが鳴る。チャンドラーがそれに出る[応対する]。
チャンドラー: Please don't do that again. It's a horrible sound. (どうか今の(ブーブーとブザーを鳴らすこと)は二度としないでくれるかな。不快な音だ。)
ポール: (OVER INTERCOM) Uh, it's, uh, it's Paul. ([インターコム越しに] あぁ、あの、ポールだ。)
モニカ: Buzz him in. (解錠ボタンを押して、彼を中に入れてあげて。)
ジョーイ: Who's Paul? (ポールって誰?)
ロス: Paul, the wine guy, Paul? (ワイン担当のポール、のポールか?)
モニカ: Maybe. (多分ね[そうかもね]。)
ジョーイ: Wait a minute. Your "not a real date tonight," is with Paul, the wine guy? (ちょっと待て。モニカの”今夜は本当のデートじゃない”は、ワイン担当のポールとなのか?)
ロス: He finally asked you out? (彼はついにモニカを誘ったのか?)
モニカ: Yes. (そうよ。)
チャンドラー: Ooh, this is a "Dear Diary" moment. (あぁ、これは”親愛なる日記さんへ”の瞬間だな。)
モニカ: Rach, wait, I can cancel. (レイチェル、待って、私、キャンセルできるわよ[キャンセルしてもいいわよ]。)
レイチェル: Please, no. Go, I'll be fine. (どうかやめて。行って、私は大丈夫よ。)
モニカ: (TO ROSS) Are, Ross, are you okay? I mean, do you want me to stay? ([ロスに] ロスは大丈夫? ほら、私に(ここに)いて欲しい?)
ロス: (CHOKED VOICE) That'd be good. ([息を詰まらせながら] そうしてくれるとありがたいね。)
モニカ: (HORRIFIED) Really? ([怯えた様子で] ほんとに?)
ロス: (NORMAL VOICE) No, go on! It's Paul, the wine guy! ([普通の声で] いや、そのまま続けなよ! ワイン担当のポールだぞ!)
(A KNOCK AT THE DOOR. MONICA GETS IT; IT'S PAUL)
ドアにノックがある。モニカがそれに出る[応対する]と、ポールである。
モニカ: Hi, come in! Paul, this is... (THEY ARE ALL LINED UP NEXT TO THE DOOR)... everybody, everybody, this is Paul. (はーい、入って! ポール、こちらは… [フレンズたちはみんな、ドアの横に整列している]…みんなよ。みんな、こちらがポールよ。)
みんな: Hey! Paul! Hi! The wine guy! Hey! (やあ! ポール! はーい! ワインガイ[ワインの人]! やあ!)
チャンドラー: I'm sorry, I didn't catch your name. Paul, was it? (申し訳ない、君の名前聞き取れなかった。ポール、だったっけ?)
モニカ: (SHOWS PAUL IN) Sit down. Two seconds. ([ポールを中に招き入れて] 座って。2秒[少し]待って。)
フィービー: Ooh, I just pulled out four eyelashes. That can't be good. (あぁ、今、まつ毛を4本、(引き)抜いちゃったわ。それって良い(兆候な)はずないわね。)
誰かが訪ねてきてブザーを鳴らすので、チャンドラーは、そのブザーに応対しつつ、「そんな音を鳴らすのはもうやめてくれ。不快な音だ」などと言っています。
口調で冗談だとはわかりますが、いきなりそんなことを言われたポールは「変なやつがいるな」と思ったことでしょうね。
相手が「ポールだ」と名乗るのを聞いて、モニカは、Buzz him in. と言っています。
日本語の「ブザー」は英語では buzzer で、英語の発音は「バザー」という感じ。
buzz は動詞で「(ハチ・機械などが)ブンブンいう、ブンブンうなる」ということで、その動詞に -er がついたものが、buzzer になります。
buzz は、人を目的語に取る他動詞では「人をブザーで合図する、人をブザーを押して呼ぶ」という意味になり、今回は、buzz him in. なので、「ブザーを押して彼が中に入るようにして」→「オートロックのボタン[開錠ボタン]を押して、彼を中に入れてあげて」と言っていることになります。
ポールという名前を聞いて、ロスは、Paul, the wine guy, Paul? とモニカに尋ねています。
the wine guy は「ワインガイ、ワイン男」みたいな感じですが、ワインの業務を担当している男性というニュアンスで使っているらしいことがわかります。
モニカは、Maybe. と答えていますが、Yes. 「そうよ」と答えるのが照れくさいのか恥ずかしいのかで、Maybe. 「多分そうみたいね」と少しはぐらかした感じでしょう。
次のジョーイの、Your "not a real date tonight," is with Paul, the wine guy? について。
"not a real date tonight" が引用符でくくられているので、日本語訳も
モニカの「今夜、本当のデートじゃない」は、ワイン担当のポールとなのか?
のように、かぎかっこでくくるとわかりやすいでしょう。
今回のエピソードの冒頭で、モニカは「職場の人と夕食を食べに行くだけで、デートじゃないわ」と説明していましたが、その相手がこのポールなのか? と尋ねているのですね。
ask someone out は、「(人)をデートに誘う、(人)とデートの約束をする」という意味。
「彼はついにモニカをデートに誘ったのか?」とロスが言って、モニカが嬉しそうであることから、モニカはポールとデートしたいと思っていて、それがついに叶ったということがわかりますね。
this is a "Dear Diary" moment. について。
Dear Diary を直訳すると「親愛なる日記さんへ」。
日記を擬人化し、その「日記さん」に対して手紙を書くようなつもりで、日記の冒頭に書く言葉です。
Dear Diary で Google の画像検索をすると、実際に、Dear Diary, で書き始めている日記らしき画像がいくつも見つかります。
日記に記したい今日のビッグニュースだね、素晴らしい出来事の瞬間だね、というニュアンスになるでしょう。
ポールとデートなの! ということで嬉しそうなモニカですが、結婚式から逃げてきて大変な状況のレイチェルに対し、「デートの予定だったけど、あなたが大変ならデートはキャンセルしてもいいわよ」みたいに気遣いを見せています。
レイチェルが大丈夫と言うと、今度は「妻が家出して傷心の兄ロス」に対しても、「デートに出かけないで、私はロスと一緒にここにいた方がいい?」と尋ねます。
悲しそうに息を詰まらせながら、ロスは That'd be good. と言っていますが、これは That would be good. ということですね。
この would は「もしそうしてくれたら(モニカがここにいてくれたら)ありがたい」のような、仮定のニュアンスが入っています。
ドアにノックがあり、ポールが入ってきたので、モニカは早速みんなを紹介しようとするのですが、振り向いたらみんなが興味津々で見ているので、一瞬絶句していますね。
みんなが口々に、「やあ。ポール。ワイン担当のポールだね」のように挨拶する中、最後にチャンドラーが、I'm sorry, I didn't catch your name. Paul, was it? と言っています。
I didn't catch your name. は相手が名乗った名前を聞き逃した、よく聞き取れなかった時の定番表現。
「名前を聞き逃してしまった(ので、名前をもう一度聞かせて)」という感覚になります。
Paul, was it? と過去形になっているのは、少し前に本人が名乗って、一度聞いた名前だからですね。
日本語で言うところの、「さっき君が言った名前はポールだったっけ? ポールって言ったっけ」というニュアンス。
ポールという名前はよくある名前で聞き取りやすいはずなのに、まるでわかりにくい名前であるかのように、わざと聞き返しているようですね。
モニカは「座って」と言った後、指を2本立てて、Two seconds と言っています。
2秒、つまり、少しだけ待って、という意味。
英語では少しの時間を「2秒」「3秒」などと秒で表現することも多いです。
実際にそれだけの秒だと短すぎるわけですが、それくらい短い時間だから、と短さを強調している表現になります。
ロスがモニカに対して、「ポールは、背もこんなに高いよね」とジェスチャーで背が高い様子を示し、Good job. という風に指を立てているのが、妹の幸せを喜んでいる兄っぽい感じが出ていて微笑ましいですね。
モニカのデート相手が来た、とフレンズたちが騒いでいる中、フィービーは、I just pulled out four eyelashes. と言っています。
eyelash は「まつ毛」。pull out は「外に引っ張る」という感覚ですから、まつ毛の場合だと「引き抜く、引っこ抜く」というところ。
That can't be good. の can't は「〜のはずがない」で、「それ(まつ毛を4本も抜いちゃったこと、まつ毛が4本も抜けちゃったこと)が良いはずないわ」→「良い兆候であるはずないわ、縁起悪いに違いないわ」と言っていることになります。
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2016年10月19日
ルールでもあるみたいに フレンズ1-1改その13
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7:24
ジョーイ: (SITTING BESIDE HER) And hey, you need anything, you can always come to Joey. Me and Chandler live right across the hall. And he's away a lot. ([レイチェルの隣に座りながら] それに、ほら、君が何か必要なら、いつでもジョーイのところに来なよ。俺とチャンドラーは廊下の真向かいに住んでる。そして、チャンドラーはよく出かけてるんだ。)
モニカ: Joey, stop hitting on her! It's her wedding day. (ジョーイ、レイチェルに言い寄る[レイチェルをナンパする]のはやめてよ! レイチェルの結婚式の日なのよ。)
ジョーイ: What? Like there's a rule or something? (何? まるで(結婚式の日にはナンパしちゃいけないっていう)ルールか何かでもあるみたいに(言うねぇ)。)
ジョーイはレイチェルの隣りに座って、レイチェルに話し掛けています。
you need anything, you can... は、If you need anything 「もし君が何か必要なら、〜できる[〜したらいい]」というニュアンスですね。
何か必要なもの・ことがあったら、ジョーイ(俺)のところに来たらいい、と言っていることになります。
you can always come to Joey. と言いながら、ドレス姿のレイチェルの肩の素肌部分を左手でしっかりつかんでいるので、レイチェルは「えらく馴れ馴れしくこんなところに手を置いて。何この人?」とでも言いたそうな、ちょっとあきれた顔をしているのも面白いです。
この時のジョーイは、左手はレイチェルの肩に手を置いて、右手にはサンドウィッチを持って、、という状態。
今後のエピソードでジョーイは「プレイボーイで食いしん坊」というイメージが出来上がってくるのですが、既にパイロット版の第1話でその片鱗を見せている感じもありますね。
次の Me and Chandler live right across the hall. について。
意味としては、「俺とチャンドラーは廊下のちょうど向かいに住んでいる」ということ。
本来ならば「俺とチャンドラー」が主語なので、Chandler and I live... のように、I (主格)を使うべきところですが、Me and Chandler のように、me (目的格)が使われているところが、口語っぽい感じですね。
ちなみに、主格を使った例として、「俺とチャンドラーは」ではなく、「チャンドラーと俺は」という順番にしたのは、主語が複数で I が含まれる場合には、A and I のように、I が後ろになるのが一般的だからです。
研究社 新英和中辞典の I の項目には以下の説明があります。
語法:人称の異なる単数形の人称代名詞、または名詞を並列する時は、2人称、3人称、1人称の順が慣例: You [He, She, My wife] and I are...
今回のセリフで、主語なのに、Me という目的格で始まっているのは、その前に Joey という自分の名前を出しているので、「そのジョーイである俺と、チャンドラーは」という風に前から引き継いだ感覚で、Me and で始めているのかなぁ、と思ったりします。
away は「離れて」ということで、ここでは「不在で、留守で、いなくて」。
チャンドラーは不在にしていることが多い、つまり、俺一人だけのことが多いよ、と言って誘っているのですね。
hit on は「(異性に)言い寄る、ナンパする」。
LAAD (Longman Advanced American Dictionary) では、
hit on somebody : (informal) to talk to someone in a way that shows you are sexually attracted to them
例) He's hit on every woman in the department.
つまり、「性的に惹かれていると示すような様子で人に話しかけること」。例文は、「彼は部の全ての女性を口説いてきた」。
この例文、いかにもプレイボーイっぽい感じですね^^
「今日はレイチェルの結婚式の日なんだから、ナンパするのはやめてよ」とモニカが言ったので、ジョーイは、Like...? 以下のセリフを言っています。
like は「〜みたいに、〜みたいな、〜と同じような」という意味でよく使われますが、ここでの「Like+SV(文)」の形は、「まるで〜みたいに(言うねぇ)」 というニュアンスで、この like は as if と同じような意味になります(なるほど英文法 p.339)
「まるで〜みたいに言うけど、実際はそんなことないだろ」という反語的なニュアンスが含まれていて、上のジョーイのセリフも、「そんなルールでもあるみたいに俺を非難してるけど、結婚式の日にはナンパしちゃいけないなんてルールは存在しないだろ?」と言いたいのですね。
or something は「〜か何か」。
言葉を限定せずに、「それとかそんな感じの・類のこと」と濁しています。
名前がはっきりわからない、もしくは限定したくなくて「そういう感じのこと」と言いたい場合に便利な表現です。
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7:24
ジョーイ: (SITTING BESIDE HER) And hey, you need anything, you can always come to Joey. Me and Chandler live right across the hall. And he's away a lot. ([レイチェルの隣に座りながら] それに、ほら、君が何か必要なら、いつでもジョーイのところに来なよ。俺とチャンドラーは廊下の真向かいに住んでる。そして、チャンドラーはよく出かけてるんだ。)
モニカ: Joey, stop hitting on her! It's her wedding day. (ジョーイ、レイチェルに言い寄る[レイチェルをナンパする]のはやめてよ! レイチェルの結婚式の日なのよ。)
ジョーイ: What? Like there's a rule or something? (何? まるで(結婚式の日にはナンパしちゃいけないっていう)ルールか何かでもあるみたいに(言うねぇ)。)
ジョーイはレイチェルの隣りに座って、レイチェルに話し掛けています。
you need anything, you can... は、If you need anything 「もし君が何か必要なら、〜できる[〜したらいい]」というニュアンスですね。
何か必要なもの・ことがあったら、ジョーイ(俺)のところに来たらいい、と言っていることになります。
you can always come to Joey. と言いながら、ドレス姿のレイチェルの肩の素肌部分を左手でしっかりつかんでいるので、レイチェルは「えらく馴れ馴れしくこんなところに手を置いて。何この人?」とでも言いたそうな、ちょっとあきれた顔をしているのも面白いです。
この時のジョーイは、左手はレイチェルの肩に手を置いて、右手にはサンドウィッチを持って、、という状態。
今後のエピソードでジョーイは「プレイボーイで食いしん坊」というイメージが出来上がってくるのですが、既にパイロット版の第1話でその片鱗を見せている感じもありますね。
次の Me and Chandler live right across the hall. について。
意味としては、「俺とチャンドラーは廊下のちょうど向かいに住んでいる」ということ。
本来ならば「俺とチャンドラー」が主語なので、Chandler and I live... のように、I (主格)を使うべきところですが、Me and Chandler のように、me (目的格)が使われているところが、口語っぽい感じですね。
ちなみに、主格を使った例として、「俺とチャンドラーは」ではなく、「チャンドラーと俺は」という順番にしたのは、主語が複数で I が含まれる場合には、A and I のように、I が後ろになるのが一般的だからです。
研究社 新英和中辞典の I の項目には以下の説明があります。
語法:人称の異なる単数形の人称代名詞、または名詞を並列する時は、2人称、3人称、1人称の順が慣例: You [He, She, My wife] and I are...
今回のセリフで、主語なのに、Me という目的格で始まっているのは、その前に Joey という自分の名前を出しているので、「そのジョーイである俺と、チャンドラーは」という風に前から引き継いだ感覚で、Me and で始めているのかなぁ、と思ったりします。
away は「離れて」ということで、ここでは「不在で、留守で、いなくて」。
チャンドラーは不在にしていることが多い、つまり、俺一人だけのことが多いよ、と言って誘っているのですね。
hit on は「(異性に)言い寄る、ナンパする」。
LAAD (Longman Advanced American Dictionary) では、
hit on somebody : (informal) to talk to someone in a way that shows you are sexually attracted to them
例) He's hit on every woman in the department.
つまり、「性的に惹かれていると示すような様子で人に話しかけること」。例文は、「彼は部の全ての女性を口説いてきた」。
この例文、いかにもプレイボーイっぽい感じですね^^
「今日はレイチェルの結婚式の日なんだから、ナンパするのはやめてよ」とモニカが言ったので、ジョーイは、Like...? 以下のセリフを言っています。
like は「〜みたいに、〜みたいな、〜と同じような」という意味でよく使われますが、ここでの「Like+SV(文)」の形は、「まるで〜みたいに(言うねぇ)」 というニュアンスで、この like は as if と同じような意味になります(なるほど英文法 p.339)
「まるで〜みたいに言うけど、実際はそんなことないだろ」という反語的なニュアンスが含まれていて、上のジョーイのセリフも、「そんなルールでもあるみたいに俺を非難してるけど、結婚式の日にはナンパしちゃいけないなんてルールは存在しないだろ?」と言いたいのですね。
or something は「〜か何か」。
言葉を限定せずに、「それとかそんな感じの・類のこと」と濁しています。
名前がはっきりわからない、もしくは限定したくなくて「そういう感じのこと」と言いたい場合に便利な表現です。
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2016年10月17日
かえって良い結果になる フレンズ1-1改その12
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6:50
(CUT TO SAME SET. RACHEL IS BREATHING INTO A PAPER BAG)
同じセットにカットが移る。レイチェルは紙袋の中に[紙袋を使って]呼吸している。
モニカ: Okay. Just breathe. That's it. Just try to think of nice calm things. (いいわ、ただ息をして。そうよ。ただ、素敵で穏やかなことを考えるようにしてみて。)
フィービー: (SINGS) Raindrops on roses ([歌う] 薔薇の上の雨粒)
And whiskers on kittens (そして子猫のひげ)
(RACHEL AND MONICA TURN TO LOOK AT HER)
レイチェルとモニカは振り返ってフィービーを見る。
Doorbells and sleigh bells (ドアベルにそりのベル)
And something with mittens (そして、ミトンのついた…何か)
La la la something (ラララ、なんとか)
With string (紐のついた)
レイチェル: I'm all better now. (私はもう、すっかり気分がいいわ[良くなったわ]。)
フィービー: (GRINS AND WALKS TO KITCHEN. TO CHANDLER AND JOEY) I helped. ([歯を見せて笑い、キッチンに歩いて行く。チャンドラーとジョーイに向かって] 私、役に立ったわ。)
モニカ: Okay, look, this is probably for the best, y'know? Independence. Taking control of your life. (よし、ねぇ、これは多分、結局一番いいことになるわ、でしょ? 自立。自分の人生をコントロールすることよ。)
レイチェルは紙袋に口を当てて、呼吸をしています。
興奮して過呼吸になった場合、このように紙袋に口を当てて呼吸する方法を「ペーパーバッグ法」と言うそうです。
フレンズ3-8 でも、あるキャラクターがこのペーパーバッグ法を使って呼吸するシーンが出てきます。
ト書きに Rachel is breathing into a paper bag と書いてありますが、英辞郎にも、
breathe into a paper bag=紙袋の中で呼吸する
と出ていました。
「中へ、中に向かって」という感覚の into が、「紙袋の中に向かって息をする、呼吸する」という行為を的確に表していると感じます。
モニカは、Just breathe. Just try to think... のように、Just+動詞の原形、つまり命令形を使っていますね。
このように命令形につく Just は「ただ〜して」「(つべこべ言わず、何も考えず)とにかく〜して」というニュアンスが出ます。
That's it. にはいろんな意味がありますが、この場合は「そうそう、それよ」「それでいいわ」という意味。
今、レイチェルが行っている行為が that で、それが it 「話者が頭の中にイメージしていること、こうすべきだとイメージされていること」であると言っている感覚になります(なるほど英文法 p.71)
calm は「穏やかな」なので、パニクっている今、さらに心を動揺させるようなことは考えずに、素敵な心休まるようなことを考えるようにして、とアドバイスしていることになります。
そのモニカの言葉を聞いていたフィービーは、ある歌を歌い始めます。
フィービーが歌っているのは、映画「サウンド・オブ・ミュージック(The Sound of Music)」の挿入歌、My Favorite Things (邦題:私のお気に入り)という曲。
「素敵で穏やかなこと」と聞いて、「私の好きなもの」を挙げるこの歌を思い出して歌ったことになるでしょう。
唐突に歌い出すフィービーに、レイチェルとモニカは驚きの表情を向けていますが、いきなり歌い出した、ということ以外に、このフィービーが歌う歌詞が、ところどころ本当の歌詞と違っていて、それも笑いのポイントになっているようです。
本当の歌詞は以下のようになっています。
Raindrops on roses and whiskers on kittens
Bright copper kettles and warm woolen mittens
Brown paper packages tied up with strings
These are a few of my favorite things
Cream-colored ponies and crisp apple strudels
Doorbells and sleigh bells and schnitzel with noodles
Wild geese that fly with the moon on their wings
These are a few of my favorite things
フィービーのは、1番と2番の歌詞が混ざってしまっている上に、わからない部分は something 「なんちゃら」とごまかしていて、いかにも歌詞を忘れている感じが出ています。
それでモニカとレイチェルはあきれているのですね。
レイチェルが「私はもう、すっかり気分がいいわ」と言ったので、フィービーは歌うのをやめます。
歌うのをやめて欲しくてレイチェルがそう言ったのはミエミエですが、それを聞いたフィービーは満足げに笑い、チャンドラーとジョーイに向かって、I helped. と言っています。
help は「(人)を助ける」という他動詞でよく使われますが、ここでは、人に当たる目的語がないので、自動詞として使われていることになります。
自動詞にも「助ける、手伝う」という意味がありますが、ここでは「役に立つ」というニュアンスが近いかなと思います。
I helped her. 「私は彼女(レイチェル)を助けたわ」というよりも、I helped. 「私は役に立ったわ」という感じでしょう。
モニカはレイチェルに、this is probably for the best 以下のセリフを言っています。
for the best は、研究社 新英和中辞典では、以下のように出ています。
(all) for the best
(2) 結局いちばんよいことになって
It will be all for the best. 「それがかえってよい結果になるだろう」
Macmillan Dictionary では、
be (all) for the best : used for saying that something bad that has happened is not really as bad as it seems because it will make the situation better in the end
例) He's failed all his exams, but perhaps it's for the best because he's not really the academic type.
つまり、「起こったばかりの何か悪いことが見た目ほどそんなに悪くないということを言うために使われる、結局、それが状況をより良くするだろうという理由で」。
例文は、「彼は試験全部に落ちてしまったが、多分、それがかえって良い結果になるだろう、なぜなら彼はそんなにアカデミックなタイプではないからだ」。
「結局、状況をより良くする」わけですが、それが「見た目には悪いことが起こった場合でも」というところにポイントがあるようですね。
It's the best なら「それが最高」なのでしょうが、「〜へ向かって」という方向、行き先を表す for が使われることで、「最高に向かっている」→「結局、最終的にはベストな結果になる」というニュアンスになるのだろうと思います。
Independence は「独立」。Independence Day なら、「インデペンデンス・デイ」というタイトルの映画もある通り、アメリカの独立記念日ですね。
take control of は「〜を制御・管理する」。
結婚式から逃げてきて、パパからの援助も受けられなくなりそうなこんな状態だけど、実は悪いことじゃないのかもよ、と言った後、それってつまりはこういうことでしょ、のように、「独立」と「自分の人生をコントロールすること」という名詞(taking の方は動名詞)を挙げている感覚になります。
ちなみに、このモニカのセリフ、日本版DVD では記事の最初に示した形になっていますが、北米版DVD では、以下のようになっているそうです。
モニカ: Independence. Taking control of your life. The whole, 'hat' thing.
この The whole, 'hat' thing という表現について、過去記事でご質問をいただいたことがあるので、日本版ではカットされたセリフではありますが、以下に語ってみたいと思います。
the whole... thing は「…のこと全体、全部」という感じなので、「あの一連の hat 関係の件、話、やつよ」みたいな感覚になると思います。
つまり、モニカのセリフは、「独立。自分の人生をコントロールすること。ほら、さっきの「帽子」ってやつよ」のような意味になり、レイチェルがパパとの電話で話していた、「靴じゃなくて、帽子になりたかったとしたら?」という「靴と帽子のメタファー」を踏まえて、「ほら、あなたがさっき言っていた、帽子ってやつよ」みたいに言っていることになるでしょう。
となると、The whole, 'hat' thing. という言葉が、Independence. Taking control of your life. と同義であると考えるのが自然ですが、では、この the whole, 'hat' thing が具体的に指しているものが何か考えてみました。
1. I wanna be a hat. 「帽子になりたい」のように「自分がなりたいものになる」という意味での「独立、自立」。
2. a shoe (単独では機能しないもの)に対しての、a hat (単独で機能するもの)という「自立」の隠喩。
1. について。
What if I wanna be a- a purse, y'know? Or a- or a hat? とセリフで言っていたことから、I wanna be a hat. 「帽子になりたい」のように「自分がなりたいものになる」という意味で、hat のこと=自立したいという話に繋がる。
この場合は、a hat という単語に「独立、自立」の意味を持たせているわけではなくて、レイチェルが「自分がなりたいもの」の例として使ったことから、モニカも同じように使っただけ。
2. について。
You're a shoe. についての記事で考察してみた、「1個の靴」と「1つの帽子」という対比関係、「1つだけで機能するかしないか」=「自立できるかできないか」の隠喩の延長線上にあるもので、モニカもその隠喩を汲んで、「独立・自立できるもの」として hat という言葉を選んだ。
私は a shoe, a purse & a hat についての記事で、「ペアで機能するものか、単独でも機能するものか」という隠喩が脚本にこっそり込められていたのではないか、ということを、「もしかしたらそうかも」レベルの見解として述べました。
ですが、a shoe, a purse & a hat についてネイティブに尋ねると、「特に意味はない。ただ比喩として挙げただけ」という答えが返ってくることが多いことを考えると、このセリフを聞いて「ペアか単独か」ということを意識するネイティブはあまりいないのかなぁ、という気はします。
最初に放映された部分からセリフがカットされる、というのは尺の問題だと思うのですが、カットする場合はやはり「そこが抜けても問題なさそうなところ」を選ぶことになりそうですよね。
これは深読みのし過ぎだと我ながら思うのですが(笑)、もしも脚本家が、「一人でも生きていける人」の隠喩として「あからさまにではなく、さりげなく」 a hat という単語を使った場合、このモニカのセリフで、「独立」の言い換えとして hat という単語を出したら、そのこっそり込めた隠喩があからさまになってしまう、みんなが「???」となっていたレイチェルの「靴、バッグ、帽子」の例えが、何だか意味深いものに聞こえてしまう恐れがあるので、「あくまでレイチェルはファッションアイテムを挙げただけでそれ以上の意味はない」という風に見せるために、The whole, 'hat' thing. をカットした、という可能性もあるかもしれないなぁ、と。
ドラマの流れを見ると、レイチェルが言った靴と帽子の比喩について、みんなの反応は明らかに「レイチェルの比喩、わけわかんない」という雰囲気でした。
ですから、ドラマの流れは、「靴、帽子には何の意味もない。比喩としてただファッションアイテムを挙げただけ」という理解でいいと思うのですね。
上の考察 2. のように、The whole, 'hat' thing. という言葉が存在していたことで、帽子に「一人でも生きていける人、独立できる人」の意味が込められていると判断できる、と解釈してしまうと、その前のレイチェルの靴と帽子の例えが、人生を語る意味ある言葉になってしまう、「みんなが、何それ? という顔であきれていた」という流れがおかしくなってしまうと思うわけです。
それを考えても、a hat という「単語そのものの意味」ではなく、あくまで「レイチェルは、私が本当になりたいものの比喩として a hat を挙げた」というレイチェルの使用例に倣って、モニカが「あなたが言っていた、”私は a hat になりたい”っていう話よ」と言っただけという可能性の方が高い、上の見解では、2. ではなくて、1. が正しいように私には感じられました。
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(CUT TO SAME SET. RACHEL IS BREATHING INTO A PAPER BAG)
同じセットにカットが移る。レイチェルは紙袋の中に[紙袋を使って]呼吸している。
モニカ: Okay. Just breathe. That's it. Just try to think of nice calm things. (いいわ、ただ息をして。そうよ。ただ、素敵で穏やかなことを考えるようにしてみて。)
フィービー: (SINGS) Raindrops on roses ([歌う] 薔薇の上の雨粒)
And whiskers on kittens (そして子猫のひげ)
(RACHEL AND MONICA TURN TO LOOK AT HER)
レイチェルとモニカは振り返ってフィービーを見る。
Doorbells and sleigh bells (ドアベルにそりのベル)
And something with mittens (そして、ミトンのついた…何か)
La la la something (ラララ、なんとか)
With string (紐のついた)
レイチェル: I'm all better now. (私はもう、すっかり気分がいいわ[良くなったわ]。)
フィービー: (GRINS AND WALKS TO KITCHEN. TO CHANDLER AND JOEY) I helped. ([歯を見せて笑い、キッチンに歩いて行く。チャンドラーとジョーイに向かって] 私、役に立ったわ。)
モニカ: Okay, look, this is probably for the best, y'know? Independence. Taking control of your life. (よし、ねぇ、これは多分、結局一番いいことになるわ、でしょ? 自立。自分の人生をコントロールすることよ。)
レイチェルは紙袋に口を当てて、呼吸をしています。
興奮して過呼吸になった場合、このように紙袋に口を当てて呼吸する方法を「ペーパーバッグ法」と言うそうです。
フレンズ3-8 でも、あるキャラクターがこのペーパーバッグ法を使って呼吸するシーンが出てきます。
ト書きに Rachel is breathing into a paper bag と書いてありますが、英辞郎にも、
breathe into a paper bag=紙袋の中で呼吸する
と出ていました。
「中へ、中に向かって」という感覚の into が、「紙袋の中に向かって息をする、呼吸する」という行為を的確に表していると感じます。
モニカは、Just breathe. Just try to think... のように、Just+動詞の原形、つまり命令形を使っていますね。
このように命令形につく Just は「ただ〜して」「(つべこべ言わず、何も考えず)とにかく〜して」というニュアンスが出ます。
That's it. にはいろんな意味がありますが、この場合は「そうそう、それよ」「それでいいわ」という意味。
今、レイチェルが行っている行為が that で、それが it 「話者が頭の中にイメージしていること、こうすべきだとイメージされていること」であると言っている感覚になります(なるほど英文法 p.71)
calm は「穏やかな」なので、パニクっている今、さらに心を動揺させるようなことは考えずに、素敵な心休まるようなことを考えるようにして、とアドバイスしていることになります。
そのモニカの言葉を聞いていたフィービーは、ある歌を歌い始めます。
フィービーが歌っているのは、映画「サウンド・オブ・ミュージック(The Sound of Music)」の挿入歌、My Favorite Things (邦題:私のお気に入り)という曲。
「素敵で穏やかなこと」と聞いて、「私の好きなもの」を挙げるこの歌を思い出して歌ったことになるでしょう。
唐突に歌い出すフィービーに、レイチェルとモニカは驚きの表情を向けていますが、いきなり歌い出した、ということ以外に、このフィービーが歌う歌詞が、ところどころ本当の歌詞と違っていて、それも笑いのポイントになっているようです。
本当の歌詞は以下のようになっています。
Raindrops on roses and whiskers on kittens
Bright copper kettles and warm woolen mittens
Brown paper packages tied up with strings
These are a few of my favorite things
Cream-colored ponies and crisp apple strudels
Doorbells and sleigh bells and schnitzel with noodles
Wild geese that fly with the moon on their wings
These are a few of my favorite things
フィービーのは、1番と2番の歌詞が混ざってしまっている上に、わからない部分は something 「なんちゃら」とごまかしていて、いかにも歌詞を忘れている感じが出ています。
それでモニカとレイチェルはあきれているのですね。
レイチェルが「私はもう、すっかり気分がいいわ」と言ったので、フィービーは歌うのをやめます。
歌うのをやめて欲しくてレイチェルがそう言ったのはミエミエですが、それを聞いたフィービーは満足げに笑い、チャンドラーとジョーイに向かって、I helped. と言っています。
help は「(人)を助ける」という他動詞でよく使われますが、ここでは、人に当たる目的語がないので、自動詞として使われていることになります。
自動詞にも「助ける、手伝う」という意味がありますが、ここでは「役に立つ」というニュアンスが近いかなと思います。
I helped her. 「私は彼女(レイチェル)を助けたわ」というよりも、I helped. 「私は役に立ったわ」という感じでしょう。
モニカはレイチェルに、this is probably for the best 以下のセリフを言っています。
for the best は、研究社 新英和中辞典では、以下のように出ています。
(all) for the best
(2) 結局いちばんよいことになって
It will be all for the best. 「それがかえってよい結果になるだろう」
Macmillan Dictionary では、
be (all) for the best : used for saying that something bad that has happened is not really as bad as it seems because it will make the situation better in the end
例) He's failed all his exams, but perhaps it's for the best because he's not really the academic type.
つまり、「起こったばかりの何か悪いことが見た目ほどそんなに悪くないということを言うために使われる、結局、それが状況をより良くするだろうという理由で」。
例文は、「彼は試験全部に落ちてしまったが、多分、それがかえって良い結果になるだろう、なぜなら彼はそんなにアカデミックなタイプではないからだ」。
「結局、状況をより良くする」わけですが、それが「見た目には悪いことが起こった場合でも」というところにポイントがあるようですね。
It's the best なら「それが最高」なのでしょうが、「〜へ向かって」という方向、行き先を表す for が使われることで、「最高に向かっている」→「結局、最終的にはベストな結果になる」というニュアンスになるのだろうと思います。
Independence は「独立」。Independence Day なら、「インデペンデンス・デイ」というタイトルの映画もある通り、アメリカの独立記念日ですね。
take control of は「〜を制御・管理する」。
結婚式から逃げてきて、パパからの援助も受けられなくなりそうなこんな状態だけど、実は悪いことじゃないのかもよ、と言った後、それってつまりはこういうことでしょ、のように、「独立」と「自分の人生をコントロールすること」という名詞(taking の方は動名詞)を挙げている感覚になります。
ちなみに、このモニカのセリフ、日本版DVD では記事の最初に示した形になっていますが、北米版DVD では、以下のようになっているそうです。
モニカ: Independence. Taking control of your life. The whole, 'hat' thing.
この The whole, 'hat' thing という表現について、過去記事でご質問をいただいたことがあるので、日本版ではカットされたセリフではありますが、以下に語ってみたいと思います。
the whole... thing は「…のこと全体、全部」という感じなので、「あの一連の hat 関係の件、話、やつよ」みたいな感覚になると思います。
つまり、モニカのセリフは、「独立。自分の人生をコントロールすること。ほら、さっきの「帽子」ってやつよ」のような意味になり、レイチェルがパパとの電話で話していた、「靴じゃなくて、帽子になりたかったとしたら?」という「靴と帽子のメタファー」を踏まえて、「ほら、あなたがさっき言っていた、帽子ってやつよ」みたいに言っていることになるでしょう。
となると、The whole, 'hat' thing. という言葉が、Independence. Taking control of your life. と同義であると考えるのが自然ですが、では、この the whole, 'hat' thing が具体的に指しているものが何か考えてみました。
1. I wanna be a hat. 「帽子になりたい」のように「自分がなりたいものになる」という意味での「独立、自立」。
2. a shoe (単独では機能しないもの)に対しての、a hat (単独で機能するもの)という「自立」の隠喩。
1. について。
What if I wanna be a- a purse, y'know? Or a- or a hat? とセリフで言っていたことから、I wanna be a hat. 「帽子になりたい」のように「自分がなりたいものになる」という意味で、hat のこと=自立したいという話に繋がる。
この場合は、a hat という単語に「独立、自立」の意味を持たせているわけではなくて、レイチェルが「自分がなりたいもの」の例として使ったことから、モニカも同じように使っただけ。
2. について。
You're a shoe. についての記事で考察してみた、「1個の靴」と「1つの帽子」という対比関係、「1つだけで機能するかしないか」=「自立できるかできないか」の隠喩の延長線上にあるもので、モニカもその隠喩を汲んで、「独立・自立できるもの」として hat という言葉を選んだ。
私は a shoe, a purse & a hat についての記事で、「ペアで機能するものか、単独でも機能するものか」という隠喩が脚本にこっそり込められていたのではないか、ということを、「もしかしたらそうかも」レベルの見解として述べました。
ですが、a shoe, a purse & a hat についてネイティブに尋ねると、「特に意味はない。ただ比喩として挙げただけ」という答えが返ってくることが多いことを考えると、このセリフを聞いて「ペアか単独か」ということを意識するネイティブはあまりいないのかなぁ、という気はします。
最初に放映された部分からセリフがカットされる、というのは尺の問題だと思うのですが、カットする場合はやはり「そこが抜けても問題なさそうなところ」を選ぶことになりそうですよね。
これは深読みのし過ぎだと我ながら思うのですが(笑)、もしも脚本家が、「一人でも生きていける人」の隠喩として「あからさまにではなく、さりげなく」 a hat という単語を使った場合、このモニカのセリフで、「独立」の言い換えとして hat という単語を出したら、そのこっそり込めた隠喩があからさまになってしまう、みんなが「???」となっていたレイチェルの「靴、バッグ、帽子」の例えが、何だか意味深いものに聞こえてしまう恐れがあるので、「あくまでレイチェルはファッションアイテムを挙げただけでそれ以上の意味はない」という風に見せるために、The whole, 'hat' thing. をカットした、という可能性もあるかもしれないなぁ、と。
ドラマの流れを見ると、レイチェルが言った靴と帽子の比喩について、みんなの反応は明らかに「レイチェルの比喩、わけわかんない」という雰囲気でした。
ですから、ドラマの流れは、「靴、帽子には何の意味もない。比喩としてただファッションアイテムを挙げただけ」という理解でいいと思うのですね。
上の考察 2. のように、The whole, 'hat' thing. という言葉が存在していたことで、帽子に「一人でも生きていける人、独立できる人」の意味が込められていると判断できる、と解釈してしまうと、その前のレイチェルの靴と帽子の例えが、人生を語る意味ある言葉になってしまう、「みんなが、何それ? という顔であきれていた」という流れがおかしくなってしまうと思うわけです。
それを考えても、a hat という「単語そのものの意味」ではなく、あくまで「レイチェルは、私が本当になりたいものの比喩として a hat を挙げた」というレイチェルの使用例に倣って、モニカが「あなたが言っていた、”私は a hat になりたい”っていう話よ」と言っただけという可能性の方が高い、上の見解では、2. ではなくて、1. が正しいように私には感じられました。
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2016年10月13日
私は「多分」って言ったわよ フレンズ1-1改その11
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6:20
ロス: You can see where he'd have trouble. (君のパパがどこで理解に苦しむだろうかがわかるよね。)
レイチェル: Look, Daddy, it's my life. Well, maybe I'll just stay here with Monica. (ねぇ、パパ。私の人生なの。えぇ、多分、私はここでモニカと一緒にいる[住む]わ。)
モニカ: Well, I guess we've established she's staying here with Monica. ((うーん、思うに、レイチェルがここでモニカと一緒にいるつもり[モニカのところにとどまるつもり]であることが(今)わかったわね[立証されたわね、はっきりしたわね]。)
レイチェル: Well, maybe that's my decision. Well, maybe I don't need your money. Wait! Wait! I said maybe! (えぇ、多分、それが私の決心よ。えぇ、多分、私はパパのお金は必要ないわ。待って! 待って! 私は”多分”って言ったわよ!)
レイチェルが、「あなたは靴(a shoe)だ、とずっと言われ続けていたけど、もし私がバッグや帽子になりたかったとしたらどうなるの? 私は帽子を買って欲しいんじゃなくて、私が帽子だって言ってるの。メタファーよ、パパ!」と大声で言った後、ロスは、静かな様子で、"You can see where he'd have trouble." と言っています。
You're a shoe. に続いて、このロスのセリフもなかなか解釈が難しい部分だと思うのですが、まず he'd have というのは、he would have ということですね。
have trouble は文字通り「トラブル・困難を持つ」ということですから、これを直訳すると、「(君は)パパがどこでトラブる[苦労する・困る]だろうかがわかるね」みたいなことになるでしょうか?
ここでの have trouble は「理解に困る、理解に苦しむ、理解できない、わからない」という意味だろうと思うので、「どこをパパは理解できないか、どういう部分がパパにはわからないかが、君にはわかるよね」みたいに言っているのかなぁ、と。
where という言葉をわざわざ使ったのは、「パパがわからない場所はそこ、その部分」ということを言いたいからな気がします。
「どこをパパは理解できないだろうかがわかる」→「パパが理解できないだろう部分はそこだね」と言っているように思うわけですね。
パパは、帽子という単語を出した際、「なんだ、帽子を買って欲しいのか?」と誤解した。
そもそも、レイチェルの「靴」と「バッグ、帽子」の比喩は、自分たちにとってもよくわからない、ピンとこない例えだけど、パパはそれを比喩だと理解する以前に、そんなところでトンチンカンな理解をしている。
僕たちにもその比喩はわからないけど、パパはそれ以上に、もっと根本的なところでそもそもわかってない。
「私が帽子になりたかったら?」という例えを、「私は帽子を買って欲しい」と曲解するようなパパに話しても無駄っぽいね、ということを、「君のパパは、そういうところでそもそも理解できてないみたいだね」と言ってみせたのかなぁ、と思います。
比喩が全く通じないので、レイチェルは比喩の話はやめ、「私の人生よ」と語り始めます。
maybe I'll just stay here with Monica. は、「多分、私はただ、モニカと一緒にここ(モニカの家)にいるわ」。
maybe は「たぶん、もしかしたら、もしかすると」。
LAAD (Longman Advanced American Dictionary) では、
maybe :
1. used to say that something may happen or may be true, but you are not certain (SYN: perhaps)
4. (spoken) used to make a suggestion you are not very sure about
つまり、1. は「何かが起こるかもしれない、または何かが真実かもしれないけれど、自分は確信していないことを言うのに使われる。類義語(同義語): perhaps」。
4. は「あまり確信が持てない提案をする時に使われる」。
そのロングマンの語義にあるように、perhaps も「たぶん」という意味ですが、フレンズでは maybe の方がよく出てきます。
最近記事に書いた、最終回の1話前に当たる フレンズ10-17 の中で、ジョーイが反復も含めると合計8回も、maybe という単語を使っていたことがありました。
確信が持てないことを言う時に、まずは Maybe と言ってから自分の考えや意見を述べる、というパターンがフレンズには非常に多いということです。
レイチェルが電話の向こうのパパに「私はここでモニカと一緒に住むわ」と宣言してしまったので、フレンズたちは一斉にモニカの方を見ます。
自分に相談もなく、勝手にそう宣言されてしまった後のモニカのセリフ、I guess we've established she's staying here with Monica. について。
このセリフも、establish という動詞をどういうニュアンスで捉えるかが難しい部分だと思います。
I guess SV は「私は SV だと思う」「私が思うに、SV である」。
she's staying here with Monica の現在進行形は「決まった近い予定」を表す感覚で、「彼女はここでモニカと住むつもり、住む予定」と言っていることになるでしょう。
establish は一般的には、「設立する、確立する」と訳されることが多いですが、今回のこのセリフについては「立証する」というようなニュアンスが近いかなと思います。
研究社 新英和中辞典では、
establish
2 〔+that〕〈…ということを〉確証する、立証する
establish that one is innocent 人が無実であることを証明する
It has been established that he was not there when the murder was committed. 殺人の行なわれた時に彼がその場にいなかったことが確証された。
3 〔+wh.〕〈…かを〉立証する
We have established where the boundary lies. 境界(線)がどこにあるかを立証した。
LAAD (Longman Advanced American Dictionary) では、
establish : to find out facts that will prove that something is true (SYN: find out)
例) Investigators have not established a reason for the attack.
つまり、「何かが本当であると証明するような事実を見つけること」。例文は、「捜査当局は、その攻撃(襲撃)の理由を、まだ立証していない」。
ロングマンの説明の「同義語:find out(〜ということを知る、見つけ出す、発見する)」というのも、ニュアンスの参考になるように思います。
上の establish の語義を当てはめると、モニカの了解も得ずに勝手にそんなことを言っているレイチェルの発言を聞いて、当事者であるモニカが、「レイチェルはモニカ(私)と住むつもりらしいということが(今のレイチェルの発言で)わかった」と言っている皮肉っぽい表現なんだろうと思います。
この家の住人であるモニカに事前に何の相談もないまま、電話で自分のパパに「私、ここでモニカと住むから」と言ったレイチェルに対して、「今のレイチェルの発言で、そんなことは全く知らなかった我々にも、その事実がわかった、レイチェルの発言でそのことが立証された」という感覚だろうと。
establish = find out ということですから、we've found out she's... とも言い換え可能なわけで、そちらの方がイメージは掴みやすいかもしれません。
find out よりも、establish の方が言葉として「堅い」感じがするのですが、わざとそういう「もってまわった、もったいつけた」言い方をして、「レイチェルがここでモニカと住む、という事実が立証された」と言ってみせたわけでしょう。
英和の例文にあるような、It has been established that 「that 以下であることが確証・立証された」という受身の形であれば、もう少しわかりやすかったかもしれません。
それを、英和の「境界」の例文にあるように、we've established の形で使っているのが今回のセリフですね。
It has been established のように受身にするより、We've established のように主語を we にした方が、「我々はそのことを立証した、我々はそのことを知った・発見した」というニュアンスが出るため、「今の話で、私たちにはそのことがわかっちゃったわね」と言いたい今回のセリフの場合は、we が主語の形が使われた、ということになるだろうと思います。
モニカが、with me ではなく、with Monica と表現しているのも、「モニカっていう人[モニカさん、っていう人]と一緒に住むつもり、ってことが私たちには(今この瞬間に)わかったわね」とまるで他人のことのように語ることで、「当事者であるモニカが知らないうちに決められてしまった。それを自分を含めた we が、レイチェルの発言を聞いたことで、事後確認のように知った」感じを出しているんだろうと思います。
このような、We've established という形は、他のフレンズのエピソード、フレンズ3-25 に出てきたことがあります。
先のエピソードに当たるので、ネタバレしない程度に紹介しておくと、
(ある人): Well, no. You're Chandler. Y'know, Chandler! (いいえ。あなたはチャンドラーだもん。ほら、チャンドラーよ。)
チャンドラー: Okay, so we've established my name, (以下省略) (よし、それで俺たちは俺の名前がわかった[日本語字幕:名前の確認は済んだ]。)
チャンドラーの発言の後、「だってあなたはチャンドラーよ!」と連呼した相手に、「確かに俺の名前はチャンドラーだ、ってことを、俺たちは今、確認したね、お互い了解済みだね」と返したニュアンスになるでしょう。
establish は、この日本語訳のように「確認した」、あるいは「了解した」という日本語の方が、しっくりくるかもしれません。
また、別の作品の中では、「パイレーツ・オブ・カリビアン2」でも、We've established という表現が出てきました。
以下のやりとりでは、日本語訳として、DVDの日本語字幕を使わせていただきますと、
A: One soul is not equal to another. (あいつの魂では釣り合わん)
B: We've establish my proposal is sound in principle. Now we're haggling over price. (魂の値段を話し合えばいいわけだな?)
A: Price? (値段?)
B: Just how many souls do you think my soul is worth? (俺の魂は換算すると幾らだ?)
A: One hundred souls. (ざっと100人分の魂だな)
このやりとりでは、一人分の魂では等価とは言えない、という話をしていて、じゃあ一人分ではなくて何人分なら釣り合うんだ? という風に話を持って行っています。
We've establish my proposal is sound in principle. Now we're haggling over price. を直訳すると、「俺の提案はおおむね[原理上は]適切だ[正しい]ということを俺たちは立証した。では俺たちは値切り交渉をしよう」になるでしょう。
つまり、魂の交換という話を提案して、「一人対一人では釣り合わん」と言われたので、「人数の問題であって、魂の交換という交渉そのものはそれで問題ないってことでいいんだな」みたいなことを言っていることになりますね。
my proposal is sound in principle ってことでオッケーか? お互いそういう認識で了解ってことでいいよな、というニュアンスが、We've established 「〜を我々は立証した」ということだろうと思うのです。
「おおむね俺の提案は正しいってことでいいわけだな? じゃあ値切り交渉をしよう」の「いいわけだな?」のニュアンスが、「魂の値段を話し合えばいいわけだな?」という日本語訳に表現されているんだろうと思うわけですね。
モニカが困惑しているのも構わずに、レイチェルは「多分、それが私の決心よ」と話を続けています。
フレンズでは maybe がよく使われる、と先ほど説明したように、このレイチェルのセリフでも、3回使われていますよね。
「多分、パパのお金は必要ないわ」と強気な発言をした後、「待って待って!(電話を切らないで!) 私は maybe って言ったわ!」と言っています。
捨て台詞的なことを言ったら、本当に電話を切られて慌てているような様子から、「パパのお金なんか要らないわ。パパの援助なんか必要ないわ」と言った後、パパが電話を切ってしまったので、「今のは勢いで言っちゃっただけで”絶対”ってわけじゃない。私は”絶対”じゃなく、maybe って言ってたでしょ? そんなにあっさり電話を切っちゃわないで」のように、失言を撤回しようとしている様子がうかがえると思います。
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6:20
ロス: You can see where he'd have trouble. (君のパパがどこで理解に苦しむだろうかがわかるよね。)
レイチェル: Look, Daddy, it's my life. Well, maybe I'll just stay here with Monica. (ねぇ、パパ。私の人生なの。えぇ、多分、私はここでモニカと一緒にいる[住む]わ。)
モニカ: Well, I guess we've established she's staying here with Monica. ((うーん、思うに、レイチェルがここでモニカと一緒にいるつもり[モニカのところにとどまるつもり]であることが(今)わかったわね[立証されたわね、はっきりしたわね]。)
レイチェル: Well, maybe that's my decision. Well, maybe I don't need your money. Wait! Wait! I said maybe! (えぇ、多分、それが私の決心よ。えぇ、多分、私はパパのお金は必要ないわ。待って! 待って! 私は”多分”って言ったわよ!)
レイチェルが、「あなたは靴(a shoe)だ、とずっと言われ続けていたけど、もし私がバッグや帽子になりたかったとしたらどうなるの? 私は帽子を買って欲しいんじゃなくて、私が帽子だって言ってるの。メタファーよ、パパ!」と大声で言った後、ロスは、静かな様子で、"You can see where he'd have trouble." と言っています。
You're a shoe. に続いて、このロスのセリフもなかなか解釈が難しい部分だと思うのですが、まず he'd have というのは、he would have ということですね。
have trouble は文字通り「トラブル・困難を持つ」ということですから、これを直訳すると、「(君は)パパがどこでトラブる[苦労する・困る]だろうかがわかるね」みたいなことになるでしょうか?
ここでの have trouble は「理解に困る、理解に苦しむ、理解できない、わからない」という意味だろうと思うので、「どこをパパは理解できないか、どういう部分がパパにはわからないかが、君にはわかるよね」みたいに言っているのかなぁ、と。
where という言葉をわざわざ使ったのは、「パパがわからない場所はそこ、その部分」ということを言いたいからな気がします。
「どこをパパは理解できないだろうかがわかる」→「パパが理解できないだろう部分はそこだね」と言っているように思うわけですね。
パパは、帽子という単語を出した際、「なんだ、帽子を買って欲しいのか?」と誤解した。
そもそも、レイチェルの「靴」と「バッグ、帽子」の比喩は、自分たちにとってもよくわからない、ピンとこない例えだけど、パパはそれを比喩だと理解する以前に、そんなところでトンチンカンな理解をしている。
僕たちにもその比喩はわからないけど、パパはそれ以上に、もっと根本的なところでそもそもわかってない。
「私が帽子になりたかったら?」という例えを、「私は帽子を買って欲しい」と曲解するようなパパに話しても無駄っぽいね、ということを、「君のパパは、そういうところでそもそも理解できてないみたいだね」と言ってみせたのかなぁ、と思います。
比喩が全く通じないので、レイチェルは比喩の話はやめ、「私の人生よ」と語り始めます。
maybe I'll just stay here with Monica. は、「多分、私はただ、モニカと一緒にここ(モニカの家)にいるわ」。
maybe は「たぶん、もしかしたら、もしかすると」。
LAAD (Longman Advanced American Dictionary) では、
maybe :
1. used to say that something may happen or may be true, but you are not certain (SYN: perhaps)
4. (spoken) used to make a suggestion you are not very sure about
つまり、1. は「何かが起こるかもしれない、または何かが真実かもしれないけれど、自分は確信していないことを言うのに使われる。類義語(同義語): perhaps」。
4. は「あまり確信が持てない提案をする時に使われる」。
そのロングマンの語義にあるように、perhaps も「たぶん」という意味ですが、フレンズでは maybe の方がよく出てきます。
最近記事に書いた、最終回の1話前に当たる フレンズ10-17 の中で、ジョーイが反復も含めると合計8回も、maybe という単語を使っていたことがありました。
確信が持てないことを言う時に、まずは Maybe と言ってから自分の考えや意見を述べる、というパターンがフレンズには非常に多いということです。
レイチェルが電話の向こうのパパに「私はここでモニカと一緒に住むわ」と宣言してしまったので、フレンズたちは一斉にモニカの方を見ます。
自分に相談もなく、勝手にそう宣言されてしまった後のモニカのセリフ、I guess we've established she's staying here with Monica. について。
このセリフも、establish という動詞をどういうニュアンスで捉えるかが難しい部分だと思います。
I guess SV は「私は SV だと思う」「私が思うに、SV である」。
she's staying here with Monica の現在進行形は「決まった近い予定」を表す感覚で、「彼女はここでモニカと住むつもり、住む予定」と言っていることになるでしょう。
establish は一般的には、「設立する、確立する」と訳されることが多いですが、今回のこのセリフについては「立証する」というようなニュアンスが近いかなと思います。
研究社 新英和中辞典では、
establish
2 〔+that〕〈…ということを〉確証する、立証する
establish that one is innocent 人が無実であることを証明する
It has been established that he was not there when the murder was committed. 殺人の行なわれた時に彼がその場にいなかったことが確証された。
3 〔+wh.〕〈…かを〉立証する
We have established where the boundary lies. 境界(線)がどこにあるかを立証した。
LAAD (Longman Advanced American Dictionary) では、
establish : to find out facts that will prove that something is true (SYN: find out)
例) Investigators have not established a reason for the attack.
つまり、「何かが本当であると証明するような事実を見つけること」。例文は、「捜査当局は、その攻撃(襲撃)の理由を、まだ立証していない」。
ロングマンの説明の「同義語:find out(〜ということを知る、見つけ出す、発見する)」というのも、ニュアンスの参考になるように思います。
上の establish の語義を当てはめると、モニカの了解も得ずに勝手にそんなことを言っているレイチェルの発言を聞いて、当事者であるモニカが、「レイチェルはモニカ(私)と住むつもりらしいということが(今のレイチェルの発言で)わかった」と言っている皮肉っぽい表現なんだろうと思います。
この家の住人であるモニカに事前に何の相談もないまま、電話で自分のパパに「私、ここでモニカと住むから」と言ったレイチェルに対して、「今のレイチェルの発言で、そんなことは全く知らなかった我々にも、その事実がわかった、レイチェルの発言でそのことが立証された」という感覚だろうと。
establish = find out ということですから、we've found out she's... とも言い換え可能なわけで、そちらの方がイメージは掴みやすいかもしれません。
find out よりも、establish の方が言葉として「堅い」感じがするのですが、わざとそういう「もってまわった、もったいつけた」言い方をして、「レイチェルがここでモニカと住む、という事実が立証された」と言ってみせたわけでしょう。
英和の例文にあるような、It has been established that 「that 以下であることが確証・立証された」という受身の形であれば、もう少しわかりやすかったかもしれません。
それを、英和の「境界」の例文にあるように、we've established の形で使っているのが今回のセリフですね。
It has been established のように受身にするより、We've established のように主語を we にした方が、「我々はそのことを立証した、我々はそのことを知った・発見した」というニュアンスが出るため、「今の話で、私たちにはそのことがわかっちゃったわね」と言いたい今回のセリフの場合は、we が主語の形が使われた、ということになるだろうと思います。
モニカが、with me ではなく、with Monica と表現しているのも、「モニカっていう人[モニカさん、っていう人]と一緒に住むつもり、ってことが私たちには(今この瞬間に)わかったわね」とまるで他人のことのように語ることで、「当事者であるモニカが知らないうちに決められてしまった。それを自分を含めた we が、レイチェルの発言を聞いたことで、事後確認のように知った」感じを出しているんだろうと思います。
このような、We've established という形は、他のフレンズのエピソード、フレンズ3-25 に出てきたことがあります。
先のエピソードに当たるので、ネタバレしない程度に紹介しておくと、
(ある人): Well, no. You're Chandler. Y'know, Chandler! (いいえ。あなたはチャンドラーだもん。ほら、チャンドラーよ。)
チャンドラー: Okay, so we've established my name, (以下省略) (よし、それで俺たちは俺の名前がわかった[日本語字幕:名前の確認は済んだ]。)
チャンドラーの発言の後、「だってあなたはチャンドラーよ!」と連呼した相手に、「確かに俺の名前はチャンドラーだ、ってことを、俺たちは今、確認したね、お互い了解済みだね」と返したニュアンスになるでしょう。
establish は、この日本語訳のように「確認した」、あるいは「了解した」という日本語の方が、しっくりくるかもしれません。
また、別の作品の中では、「パイレーツ・オブ・カリビアン2」でも、We've established という表現が出てきました。
以下のやりとりでは、日本語訳として、DVDの日本語字幕を使わせていただきますと、
A: One soul is not equal to another. (あいつの魂では釣り合わん)
B: We've establish my proposal is sound in principle. Now we're haggling over price. (魂の値段を話し合えばいいわけだな?)
A: Price? (値段?)
B: Just how many souls do you think my soul is worth? (俺の魂は換算すると幾らだ?)
A: One hundred souls. (ざっと100人分の魂だな)
このやりとりでは、一人分の魂では等価とは言えない、という話をしていて、じゃあ一人分ではなくて何人分なら釣り合うんだ? という風に話を持って行っています。
We've establish my proposal is sound in principle. Now we're haggling over price. を直訳すると、「俺の提案はおおむね[原理上は]適切だ[正しい]ということを俺たちは立証した。では俺たちは値切り交渉をしよう」になるでしょう。
つまり、魂の交換という話を提案して、「一人対一人では釣り合わん」と言われたので、「人数の問題であって、魂の交換という交渉そのものはそれで問題ないってことでいいんだな」みたいなことを言っていることになりますね。
my proposal is sound in principle ってことでオッケーか? お互いそういう認識で了解ってことでいいよな、というニュアンスが、We've established 「〜を我々は立証した」ということだろうと思うのです。
「おおむね俺の提案は正しいってことでいいわけだな? じゃあ値切り交渉をしよう」の「いいわけだな?」のニュアンスが、「魂の値段を話し合えばいいわけだな?」という日本語訳に表現されているんだろうと思うわけですね。
モニカが困惑しているのも構わずに、レイチェルは「多分、それが私の決心よ」と話を続けています。
フレンズでは maybe がよく使われる、と先ほど説明したように、このレイチェルのセリフでも、3回使われていますよね。
「多分、パパのお金は必要ないわ」と強気な発言をした後、「待って待って!(電話を切らないで!) 私は maybe って言ったわ!」と言っています。
捨て台詞的なことを言ったら、本当に電話を切られて慌てているような様子から、「パパのお金なんか要らないわ。パパの援助なんか必要ないわ」と言った後、パパが電話を切ってしまったので、「今のは勢いで言っちゃっただけで”絶対”ってわけじゃない。私は”絶対”じゃなく、maybe って言ってたでしょ? そんなにあっさり電話を切っちゃわないで」のように、失言を撤回しようとしている様子がうかがえると思います。
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2016年10月11日
続「あなたは靴よ!」 フレンズ1-1改その10
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前回の記事、あなたは靴よ!って言われてきた フレンズ1-1改その9 で、レイチェルの You're a shoe. というセリフについて、3つの見解に分けて、私の考えを述べさせていただきました。
その後、その記事のコメント欄で貴重なご意見をいただいたので、私ももう一度頭を整理させていただきました。それを今日は記事にしたいと思います。
前回は見解を3つに分けましたが、今回はそれを再編した形になりますので、見解A、見解Bとさせていただきます。
見解Aがメインの解釈で、見解Bは「そういう可能性があるかも」程度です。
見解Aは前回の見解1と2を融合させたもの、見解Bは前回の見解3を引き継いだものとなります。
見解A:a shoe に何か意味があると思わせて、ただの例えに過ぎなかったと後でわかるオチ
前回の記事のコメント欄で、You're a shoe. というセリフについて、
>知り合いのネイティブには「深い意味はない、考えすぎ!」と切り捨てられました
というご意見を頂戴しました。
今の私も「深い意味はない、というネイティブの意見」が、最も納得できる気がしています。
「これはどういう意味?」と聞かれて、「特に意味はないよ」などとあっさり答えられるのは、ある意味ネイティブの特権というか、逆にノンネイティブの立場ではなかなかそこまで断言するのは難しいですよね。
ネイティブならわかる意味や感覚を自分が知らないだけではないかと勘繰り、何か意味があるはずだ、とあれこれ調べたくなってしまいますよね。
「単に、靴、バッグ、帽子に例えただけ」と言える根拠のために、私は前回の見解1で、「It's like... で始まっていて、a metaphor だと説明している流れから、「ただの比喩」だと解釈できる」としましたが、「レイチェルがまるで実際にそう言われたかのように、臨場感たっぷりに話している」ことと、「英語字幕で、It's like が省略されている」という点に引っかかってしまったため、「実際にレイチェルがそう言われてきた」と仮定した見解2を書きました。
その後、前回の記事のコメント欄で、
>仲間「靴のような人であれ、って何だろう。何か意味があるのかな。」
(中略)
>レイチェル「帽子が欲しいんじゃなくて比喩よ」
>仲間「は、なんだ、それ。靴に何も意味はなかったのか。」
という流れなのではないか、というご意見をいただき、私はまさにそれが、今回のセリフの「オチへの流れ」であると感じました。
そういう流れだと考えると、それぞれのキャラの行動の一つひとつが、非常に納得のいくものに見えてきたのですね。
まずはセリフの進行に合わせて、各人の行動がどうなっているかを書いてみます。
C'mon, Daddy, listen to me! It's like all of my life, everyone has always told me, "You're a shoe! You're a shoe, you're a shoe, you're a shoe!"
レイチェルは大声で臨場感たっぷりに話している。みんなは「何?」という顔で、一斉にレイチェルの方を向く。
And then today I just stopped and said, "What if I don't wanna be a shoe? What if I wanna be a- a purse, y'know? Or a- or a hat?"
ここでロスは、「は? レイチェルは一体何言ってるの?」という顔をしている。
No, I don't want you to buy me a hat, I'm saying I am a ha- It's a metaphor, Daddy!
shoe という単語を連呼した後、みんなは興味津々な様子でレイチェルの電話の続きを聞いていますが、それは4回も連呼した、You're a shoe. という言葉の意味を知りたかったからだと言える気がします。
shoe という単語は状況によっていろんな意味で使われることがあるようですし、逆に、前後の文脈のない You're a shoe. だけでは「この意味」だと決めることはできません。
ですから、この段階で、フレンズを含めたネイティブは、何の意味かわからない、だからその続きを聞くことで意味を知ろうとするでしょう。
a shoe をどういう意味で使っているのかわかるかなと期待して耳を傾けた結果、レイチェルが「もし私がバッグになりたかったら? 私が帽子になりたかったら?」と言ったところで、ロスが「は?」という顔をしています。
意味がわかるのかと思って聞いていたら、単に「人から言われていたものとは別のものになりたかったら?」という例えとして、ファッションアイテムである「靴、バッグ、帽子」を3つ挙げただけだったとわかった、You're a shoe. という言葉には何の意味もないとわかった、というオチになる、ということだろうと。
私は前回の記事で、
単に「人から言われていたものとは別のものになりたかったら?」という例えに過ぎないのなら、もっとさらっと言ってもいいように思う、あんなに興奮して4回も繰り返す必要はない気もするのですね。
と書いたのですが、実はレイチェルがこんな風に臨場感たっぷりに4回も繰り返したことで、「You're a shoe. という表現に、何か意味があるのかな?」と聞いている人(観客、視聴者、そしてフレンズたち)に思わせる効果があったんだろうと思います。
ただ例えとして挙げただけに過ぎない、と思わせてしまっては、オチの笑いに繋がらないので、まるでレイチェルが実際にその言葉を言われたことがあるかのように、何かその言葉に意味があるかのように、興奮して4回も繰り返したんだろうと。
そういう意味では、「例えばこんな感じよ」のような比喩を連想させるフレーズ It's like は、ない方が効果的かもしれませんし、それで(概してセリフのほとんどを拾っている)Netflix の英語字幕でも It's like が省略されていたのかもしれないなぁ、と。
実際にレイチェルがそう言われてきたかのように聞こえて構わないし、そう思わせた方が「それってどういう意味?」とフレンズたちの興味をより引くことができるわけですからね。
私は前回の記事で「実際にレイチェルが言われてきたことなら、a shoe には靴以外の何らかの意味があるはず」と書きましたが、聞いているフレンズたちも「何か意味があるはず」と思って続きを聞いてみたのだろうと思います。
ところが最後まで聞いて、「例としてファッションアイテムを挙げただけだった」とわかった、という、「え、それだけ? ただの例え?」という肩透かし感、がっかり感がこのオチの笑いになると思われるのです。
ネイティブに You're a shoe. の意味を尋ねた場合、「特に意味はない。ただの比喩」という返事が返ってくるのは、その後に a purse と a hat の比喩が出てくるというオチまで聞いた上で、そう判断しているのだろうと思います。
このセリフを初めて聞く場合、You're a shoe! を4回連呼している時点では、ネイティブの方も「何かしらの意味や含蓄があるかもしれない」という気持ちを持って聞いているはずだと思うのです。
a shoe って何のこと? とまるで何か意味があるかのように思わせておいて、おしゃれ大好きなレイチェルが例えにファッションアイテムを挙げただけだった、とわかるオチ。
今の私はそう解釈しています。
見解B:それでも、a shoe, a purse & a hat という順番には意味があるのではないか?
現時点では、上の見解Aで私の心はほぼ決まっているのですが、ただ、この「順番」を見ると、そこに何か「込められたもの」を感じないではいられない、という気持ちもまだ少しあります。
ネイティブの方の見解が、「ただの比喩で深い意味はない」ということであれば、他の3つのアイテムでも良いし、さらにはこの「靴、バッグ、帽子」の順番を入れ替えても問題ない、ということになりますね。
「ただの比喩であって、それ以上の深い意味はない」と解釈されたネイティブの方は、「比喩に過ぎないのだから、当然順番を変えても問題ないよ」とおっしゃると思うのですが、では、「普通ペアなもの」と「一つで機能するもの」をこのように対比の形で挙げた今回の順番は単なる偶然に過ぎないのだろうか? と思うわけです。
もちろんレイチェル自身がそこまで深い意味を込めて言っていたようには思えません。
表面上は、たまたま、靴、バッグ、帽子という順番になっただけで、「何だ、靴って表現に意味はなかったのかよ〜」的なオチになるわけでしょうが、よくよくそのセリフを見てみると、実は人生を語る含蓄に富んだセリフだった、レイチェルの例えを「ただファッションアイテムを挙げただけかよ」とみんな軽くあしらっているけれども、実は深いんだよ、みたいな、脚本家のいたずら的な仕掛けだったりすると楽しいなぁと思うのですね。
前回の記事のコメント欄で、「この You're a shoe. というフレーズを、米国人の多くが、そして Rachel を演じた Jennifer Aniston 自身が、「周囲が決めつけた自分」のメタファーとして使っている」という情報を頂戴しました。
「Friends 由来の言い回しと認識されている」とのことで、非常に興味深いお話だと思います。
このセリフをレイチェルが「人から言われていたものとは別のものになりたかったら?」という例えで使っていることからも、人気ドラマであるフレンズでこのセリフが使われて以降、「a shoe=人から言われていたもの、周囲が決めつけた自分」のメタファーとして使われるという話には大いに納得できますよね。
そのメタファーとしての使われ方は、a shoe という単語の意味ではなく、レイチェルのセリフの中での使われ方に起因するものだとは思いますが、「靴の片方」だったり「ペアでないと機能しないもの」だったり(はたまた「人に履かれて、人の行き先に連れて行かれるだったり」?)という a shoe という単語は、「あなたはこうなのよ!」と周囲が決めつけた自分のイメージ、「本当になりたいものはそんなものじゃないのに」というイメージとして使う言葉として、a purse や a hat よりもふさわしいような気もします。
この考察Bはあくまでも「深読みすると」という話であって、コメディとしてオチで笑うための理解としては、考察Aの考え方になるだろうと今の私は思います。
私は解釈のヒントになると思われることを全て書き出すような形で、前回の記事を書きました。
ある解釈をするに至った根拠と過程を記すことで、他の方に「ここからここの論理が飛躍している、間違っている」などに気づいてもらえる、自分が再度考え直す際に過去の思考過程が参考になる場合もあると思うからです。
前の記事で私が気になると書いたのは、「まるで自分が言われたことのように臨場感たっぷりに4回も繰り返したこと」だったのですが、それは、ただの比喩に過ぎないと最初から思わせないように、まるで本当に言われた言葉で何か意味があるかのように見ている人に感じさせる「意図的な演出」だったと考えれば、全てが丸く収まる気がしたわけです。
前回の記事では、「レイチェルは実際にこう言われていたのか?」というところに私の意識が向かっていたわけですが、実際に言われていたかどうかはどうでもよくて、「まるで実際に言われていたかのような、意味のあるセリフっぽく聞こえるようにする」ことが重要だったと思われるわけですね。
今回も長くなってしまいましたが、今現在の私の解釈は以上です。
ここまでお読みいただき、ありがとうございました<(_ _)>
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前回の記事、あなたは靴よ!って言われてきた フレンズ1-1改その9 で、レイチェルの You're a shoe. というセリフについて、3つの見解に分けて、私の考えを述べさせていただきました。
その後、その記事のコメント欄で貴重なご意見をいただいたので、私ももう一度頭を整理させていただきました。それを今日は記事にしたいと思います。
前回は見解を3つに分けましたが、今回はそれを再編した形になりますので、見解A、見解Bとさせていただきます。
見解Aがメインの解釈で、見解Bは「そういう可能性があるかも」程度です。
見解Aは前回の見解1と2を融合させたもの、見解Bは前回の見解3を引き継いだものとなります。
見解A:a shoe に何か意味があると思わせて、ただの例えに過ぎなかったと後でわかるオチ
前回の記事のコメント欄で、You're a shoe. というセリフについて、
>知り合いのネイティブには「深い意味はない、考えすぎ!」と切り捨てられました
というご意見を頂戴しました。
今の私も「深い意味はない、というネイティブの意見」が、最も納得できる気がしています。
「これはどういう意味?」と聞かれて、「特に意味はないよ」などとあっさり答えられるのは、ある意味ネイティブの特権というか、逆にノンネイティブの立場ではなかなかそこまで断言するのは難しいですよね。
ネイティブならわかる意味や感覚を自分が知らないだけではないかと勘繰り、何か意味があるはずだ、とあれこれ調べたくなってしまいますよね。
「単に、靴、バッグ、帽子に例えただけ」と言える根拠のために、私は前回の見解1で、「It's like... で始まっていて、a metaphor だと説明している流れから、「ただの比喩」だと解釈できる」としましたが、「レイチェルがまるで実際にそう言われたかのように、臨場感たっぷりに話している」ことと、「英語字幕で、It's like が省略されている」という点に引っかかってしまったため、「実際にレイチェルがそう言われてきた」と仮定した見解2を書きました。
その後、前回の記事のコメント欄で、
>仲間「靴のような人であれ、って何だろう。何か意味があるのかな。」
(中略)
>レイチェル「帽子が欲しいんじゃなくて比喩よ」
>仲間「は、なんだ、それ。靴に何も意味はなかったのか。」
という流れなのではないか、というご意見をいただき、私はまさにそれが、今回のセリフの「オチへの流れ」であると感じました。
そういう流れだと考えると、それぞれのキャラの行動の一つひとつが、非常に納得のいくものに見えてきたのですね。
まずはセリフの進行に合わせて、各人の行動がどうなっているかを書いてみます。
C'mon, Daddy, listen to me! It's like all of my life, everyone has always told me, "You're a shoe! You're a shoe, you're a shoe, you're a shoe!"
レイチェルは大声で臨場感たっぷりに話している。みんなは「何?」という顔で、一斉にレイチェルの方を向く。
And then today I just stopped and said, "What if I don't wanna be a shoe? What if I wanna be a- a purse, y'know? Or a- or a hat?"
ここでロスは、「は? レイチェルは一体何言ってるの?」という顔をしている。
No, I don't want you to buy me a hat, I'm saying I am a ha- It's a metaphor, Daddy!
shoe という単語を連呼した後、みんなは興味津々な様子でレイチェルの電話の続きを聞いていますが、それは4回も連呼した、You're a shoe. という言葉の意味を知りたかったからだと言える気がします。
shoe という単語は状況によっていろんな意味で使われることがあるようですし、逆に、前後の文脈のない You're a shoe. だけでは「この意味」だと決めることはできません。
ですから、この段階で、フレンズを含めたネイティブは、何の意味かわからない、だからその続きを聞くことで意味を知ろうとするでしょう。
a shoe をどういう意味で使っているのかわかるかなと期待して耳を傾けた結果、レイチェルが「もし私がバッグになりたかったら? 私が帽子になりたかったら?」と言ったところで、ロスが「は?」という顔をしています。
意味がわかるのかと思って聞いていたら、単に「人から言われていたものとは別のものになりたかったら?」という例えとして、ファッションアイテムである「靴、バッグ、帽子」を3つ挙げただけだったとわかった、You're a shoe. という言葉には何の意味もないとわかった、というオチになる、ということだろうと。
私は前回の記事で、
単に「人から言われていたものとは別のものになりたかったら?」という例えに過ぎないのなら、もっとさらっと言ってもいいように思う、あんなに興奮して4回も繰り返す必要はない気もするのですね。
と書いたのですが、実はレイチェルがこんな風に臨場感たっぷりに4回も繰り返したことで、「You're a shoe. という表現に、何か意味があるのかな?」と聞いている人(観客、視聴者、そしてフレンズたち)に思わせる効果があったんだろうと思います。
ただ例えとして挙げただけに過ぎない、と思わせてしまっては、オチの笑いに繋がらないので、まるでレイチェルが実際にその言葉を言われたことがあるかのように、何かその言葉に意味があるかのように、興奮して4回も繰り返したんだろうと。
そういう意味では、「例えばこんな感じよ」のような比喩を連想させるフレーズ It's like は、ない方が効果的かもしれませんし、それで(概してセリフのほとんどを拾っている)Netflix の英語字幕でも It's like が省略されていたのかもしれないなぁ、と。
実際にレイチェルがそう言われてきたかのように聞こえて構わないし、そう思わせた方が「それってどういう意味?」とフレンズたちの興味をより引くことができるわけですからね。
私は前回の記事で「実際にレイチェルが言われてきたことなら、a shoe には靴以外の何らかの意味があるはず」と書きましたが、聞いているフレンズたちも「何か意味があるはず」と思って続きを聞いてみたのだろうと思います。
ところが最後まで聞いて、「例としてファッションアイテムを挙げただけだった」とわかった、という、「え、それだけ? ただの例え?」という肩透かし感、がっかり感がこのオチの笑いになると思われるのです。
ネイティブに You're a shoe. の意味を尋ねた場合、「特に意味はない。ただの比喩」という返事が返ってくるのは、その後に a purse と a hat の比喩が出てくるというオチまで聞いた上で、そう判断しているのだろうと思います。
このセリフを初めて聞く場合、You're a shoe! を4回連呼している時点では、ネイティブの方も「何かしらの意味や含蓄があるかもしれない」という気持ちを持って聞いているはずだと思うのです。
a shoe って何のこと? とまるで何か意味があるかのように思わせておいて、おしゃれ大好きなレイチェルが例えにファッションアイテムを挙げただけだった、とわかるオチ。
今の私はそう解釈しています。
見解B:それでも、a shoe, a purse & a hat という順番には意味があるのではないか?
現時点では、上の見解Aで私の心はほぼ決まっているのですが、ただ、この「順番」を見ると、そこに何か「込められたもの」を感じないではいられない、という気持ちもまだ少しあります。
ネイティブの方の見解が、「ただの比喩で深い意味はない」ということであれば、他の3つのアイテムでも良いし、さらにはこの「靴、バッグ、帽子」の順番を入れ替えても問題ない、ということになりますね。
「ただの比喩であって、それ以上の深い意味はない」と解釈されたネイティブの方は、「比喩に過ぎないのだから、当然順番を変えても問題ないよ」とおっしゃると思うのですが、では、「普通ペアなもの」と「一つで機能するもの」をこのように対比の形で挙げた今回の順番は単なる偶然に過ぎないのだろうか? と思うわけです。
もちろんレイチェル自身がそこまで深い意味を込めて言っていたようには思えません。
表面上は、たまたま、靴、バッグ、帽子という順番になっただけで、「何だ、靴って表現に意味はなかったのかよ〜」的なオチになるわけでしょうが、よくよくそのセリフを見てみると、実は人生を語る含蓄に富んだセリフだった、レイチェルの例えを「ただファッションアイテムを挙げただけかよ」とみんな軽くあしらっているけれども、実は深いんだよ、みたいな、脚本家のいたずら的な仕掛けだったりすると楽しいなぁと思うのですね。
前回の記事のコメント欄で、「この You're a shoe. というフレーズを、米国人の多くが、そして Rachel を演じた Jennifer Aniston 自身が、「周囲が決めつけた自分」のメタファーとして使っている」という情報を頂戴しました。
「Friends 由来の言い回しと認識されている」とのことで、非常に興味深いお話だと思います。
このセリフをレイチェルが「人から言われていたものとは別のものになりたかったら?」という例えで使っていることからも、人気ドラマであるフレンズでこのセリフが使われて以降、「a shoe=人から言われていたもの、周囲が決めつけた自分」のメタファーとして使われるという話には大いに納得できますよね。
そのメタファーとしての使われ方は、a shoe という単語の意味ではなく、レイチェルのセリフの中での使われ方に起因するものだとは思いますが、「靴の片方」だったり「ペアでないと機能しないもの」だったり(はたまた「人に履かれて、人の行き先に連れて行かれるだったり」?)という a shoe という単語は、「あなたはこうなのよ!」と周囲が決めつけた自分のイメージ、「本当になりたいものはそんなものじゃないのに」というイメージとして使う言葉として、a purse や a hat よりもふさわしいような気もします。
この考察Bはあくまでも「深読みすると」という話であって、コメディとしてオチで笑うための理解としては、考察Aの考え方になるだろうと今の私は思います。
私は解釈のヒントになると思われることを全て書き出すような形で、前回の記事を書きました。
ある解釈をするに至った根拠と過程を記すことで、他の方に「ここからここの論理が飛躍している、間違っている」などに気づいてもらえる、自分が再度考え直す際に過去の思考過程が参考になる場合もあると思うからです。
前の記事で私が気になると書いたのは、「まるで自分が言われたことのように臨場感たっぷりに4回も繰り返したこと」だったのですが、それは、ただの比喩に過ぎないと最初から思わせないように、まるで本当に言われた言葉で何か意味があるかのように見ている人に感じさせる「意図的な演出」だったと考えれば、全てが丸く収まる気がしたわけです。
前回の記事では、「レイチェルは実際にこう言われていたのか?」というところに私の意識が向かっていたわけですが、実際に言われていたかどうかはどうでもよくて、「まるで実際に言われていたかのような、意味のあるセリフっぽく聞こえるようにする」ことが重要だったと思われるわけですね。
今回も長くなってしまいましたが、今現在の私の解釈は以上です。
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2016年10月07日
あなたは靴よ!って言われてきた フレンズ1-1改その9
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レイチェル: C'mon, Daddy, listen to me! It's like all of my life, everyone has always told me, "You're a shoe! You're a shoe, you're a shoe, you're a shoe!" And then today I just stopped and said, "What if I don't wanna be a shoe? What if I wanna be a- a purse, y'know? Or a- or a hat?" No, I don't want you to buy me a hat, I'm saying I am a ha- It's a metaphor, Daddy! (ねぇ、パパ、私の話を聞いて! まるでこんな感じよ、私の人生ではずっと、みんながいつも私にこう言っていた、「あなたは靴(a shoe)よ! あなたは靴、あなたは靴、あなたは靴」って。そしてそれから今日、私はただ(立ち)止まって、こう言ったの。「もし私が靴になりたくないとしたら(どうなるの)? もし私が… バッグ(a purse)になりたいとしたら? もしくは帽子(a hat)になりたいとしたら(どうなるの)?」 いいえ、私はパパに帽子を買ってもらいたいんじゃないわ、私は、私が帽子だ、って言ってるの… メタファー(隠喩、暗喩、比喩)よ、パパ!)
みんながテレビで盛り上がっている中、レイチェルは電話の相手のパパに、さっきよりもさらに大きな声で話しています。
そのセリフ、It's like all of my life, everyone has always told me, "You're a shoe! ... について。
この You're a shoe! という表現とその意味については、2005年のブログ開始当初から、フレンズ1-1その1 のコメント欄 で何度も何度も話題となっています。
解釈について様々な意見が出るということは、解釈が難しい部分であるということの証でもありますので、正直、この部分は「よくわからない」と感じても、特に問題ないと思います。
ただ、何度も議論の対象になったセリフなので、シーズン1に戻ってきたこの機会に、現在の私の見解を以下に述べさせていただきますね。
見解1:単なる比喩である
まず、It's like... は「まるで〜のようだ、〜のようなものだ」という感覚。
all of my life 以下は、「私の人生ではずっと、みんながいつも私に「あなたは a shoe よ!」と言っていた」になるでしょう。
そして、You're a shoe! の a shoe とは何か? ですが、基本的な意味は「靴(の片方)」という意味ですね。
靴はペアで使うものなので、通常は shoes という複数形で使われますが、ここでは a shoe という「単数形」になっていることも、気になる点だと言えるでしょう。
聞いた瞬間によく意味がわからない場合、その単語の意味がピンと来ない場合に考えられる可能性を、以下の3つに分類してみたいと思います。
a. その単語の本来の意味として使われていて、それ以上の意味はない。本来の意味のままで、何かの例えや比喩として使われている。
b. 辞書に載っていないような特殊な意味、ネイティブにしかわからないような意味として使われている。
c. その単語を何かの象徴として使い、別の概念などをイメージさせる。
英語を理解するには、本来は「聞こえたままにイメージしていく」ことが必要ですが、とりあえず今回は、イメージが湧かない単語はその英単語のままで置いておいて、まずは文章全体の構造を理解して、何を言わんとしているのかを考えてみます。
最後の Daddy! までをとりあえず訳してみると、
まるでこんな感じよ、私の人生ではずっと、みんながいつも私にこう言っていた。
「あなたは a shoe よ!」(4回繰り返し)って。
そしてそれから今日、私はただ(立ち)止まって、こう言ったの。
「もし私が a shoe になりたくないとしたら(どうなるの)?
もし私が… a purse になりたいとしたら? もしくは a hat になりたいとしたら(どうなるの)?」
いいえ、私はパパに a hat を買ってもらいたいんじゃないわ、私は、私が a hat だと言ってるの…
メタファー(隠喩、暗喩、比喩)よ、パパ!
最初に、It's like... 「まるで〜のようだ」と言った上で、a shoe, a purse, a hat の話を出し、最後に a metaphor だと説明しています。
「まるで〜のようだ」という表現に注目すると、それ以下の「私はこんな風に言われてきた」というのは単なる例えであって、実際にそんな風に言われたわけではない、と考えられるように思います。
その場合は、「まるで〜のようだ」の「〜」に当たる比喩部分が、all of my life から or a hat? までの全部になる、ということですね。
「今まで周りから言われた通りに生きてきたけど、自分が望むことがそれと違うと気づいたら?」というような話を、「まるで、”あなたは靴だ”ってずっと言われてきたけど、例えば帽子になりたいと思ったとしたらどうなるの? みたいな感じよ」のように例えた、つまり「レイチェルは比喩・例えとして、この3つの単語を出しただけで、それぞれの単語には「靴、ハンドバッグ、帽子」の意味しかない(それ以上の意味はない)」という解釈がまずは成り立つと思います。
3つの分類で言うと、a. 本来の意味のままで、比喩として使われている、ということですね。
ちなみに、日本語で「パース」と言うと、口金付きの財布、小銭入れのイメージが強いですが、英語ではそういう意味もありつつ、フレンズではもっぱら「ハンドバッグ」という意味で使われることが多いです。
フレンズ1-1その1 のコメント欄 で、a shoe について多くの意見をいただいたのですが、その中で、複数のアメリカ人の方の意見として、「軽い意味。ファッションが好きだから、その系統のもの羅列したんだろう」というものがありました。
それはつまり、ネイティブが聞いても、You're a shoe. は「あなたは靴よ」でしかなかった、それ以上の何か特別な意味が a shoe という言葉にあるわけではなかった、ということになりますね。
その過去記事のコメント欄では、「調べてみたら、a shoe にはこんな意味がありました」という結果を多くの方が教えて下さっていて、例えば「ヘマをする人、ダメな人」「ビシッと決めたやつ」「なんでも相手の言う通りにする人」「(特に white shoe の形で)アイビーリーグの大学生(または裕福な上流階級のイメージ)」などの意味が挙げられています。
そんな風にいろいろな意味で使われることがある中で、じゃあ、このシーンで、You're a shoe! というセリフが出てきた時に、ネイティブは何を連想するか? どんな意味だと捉えるか? という部分に私は大変興味があったのですね。
3つの分類の b. 辞書に載っていないような特殊な意味、ネイティブにしかわからないような意味、のうちのどれに該当するんだろう? と私も考えたのですが、「この場合は、特殊な意味、深い意味はなく、単に文字通りの”靴”という意味で使っている」とネイティブが受け止めたのだとしたら、私はそれに非常に納得するものを感じるのです。
この You're a shoe! の a shoe について、ネイティブが10人いたら10人とも「(靴以外の)この意味だと断定」するわけではないとしたら、「それはこういう意味だよ」とネイティブ全員が一致する確固たるイメージがないとしたら、a shoe の意味をそれ以上掘り下げる必要もまたない、と言える気がするのですね。
ネイティブが深い意味はないと考えたのであれば、それは文字通り「靴」という意味でしかなく、It's like という表現を使って「靴」を比喩のアイテムとして使っただけ、ということになるでしょう。
見解2:実際にレイチェルがそう言われていたと仮定した場合
It's like... で始まっていて、a metaphor だと説明している流れから、「ただの比喩」だという解釈は十分可能だと思いますが、ただ、ちょっと気になるのは、You're a shoe! を4回も(!)連呼していることですね。
レイチェルは興奮気味にしゃべっていますが、It's like... で始まっているとは言え、all of my life, everyone has always told me のように、「自分の人生では、みんながいつも私にこう言っていた」と表現していますし、You're a shoe! を大声で連呼しているのも、「いっつもいっつもこう言われてた、みんなにこう言われ続けてた」という「事実」を述べている感じもします。
「あなたは靴よ、って言われてた。でももし靴になりたくなかったら?」というのが、単に「人から言われていたものとは別のものになりたかったら?」という例えに過ぎないのなら、もっとさらっと言ってもいいように思う、あんなに興奮して4回も繰り返す必要はない気もするのですね。
もちろん、「例えばこんな感じよ」という「比喩」を、自分が実際にそんな風に言われたとして、臨場感たっぷりにリアルに表現したという可能性もありますが。
この It's like という部分、音声では間違いなく It's like と言っているのですが、DVD や Netflix の英語字幕では、It's like が省略されて、All of my life からセリフが始まっています。
DVD などの字幕は、実際のセリフより省略されていることがありますが、細かいニュアンスはともかく、「基本的に大意は変わらない程度に省略される」のが常です。
ですが今回、It's like が省略されてしまって、All of my life, everyone has always told me... ということになると、それは比喩ではなくなり、実際に「私の人生で、みんなが私にそう言っていた」という事実を述べていることになりそうですね。
その場合、It's a metaphor, Daddy! の「メタファー(比喩)よ!」という説明は主に、「私は帽子を買って欲しいんじゃなくて、私が帽子になりたい、っていう比喩よ」と説明した感じになるでしょう。
上に述べたように「レイチェルがまるで実際にそう言われたかのように、臨場感たっぷりに話している」ことと、「英語字幕で、It's like が省略されている」という2点から、「これが比喩ではなくて、実際にレイチェルがそう言われてきた」と仮定した場合の解釈を以下に考えてみます。
今、パパと電話で話していることから、everyone というのはもっぱら、レイチェルの家族(グリーン家の人々、特に両親?)のことを言っているように思えますし、実際にレイチェルが、You're a shoe! と言われ続けていたとしたら、その a shoe という言葉には「靴」以外の何らかの意味があると考えるべきでしょう。
ただその a shoe が、例えば「ダメなやつ」なのか「(上流階級の)お嬢様」なのか(はたまた別の意味なのか、、)というのは、このセリフからはわからない、グリーン家の人がどういうニュアンスでそう言っていたのかまでは、前後の文脈のないこのセリフからだけではわからない、もし実際にグリーン家で使われていたフレーズであったとしたら、それはグリーン家の人しかわからない例えである可能性もあります。
そういうことなら、「グリーン家では何か意味があるんだろう」程度の理解で済ませておいて良いレベルで、あえてその意味をここで確定させる必要もないでしょう。
「あなたは靴(a shoe)よ」と言われてた、という、ざっくりした理解のままで構わない気がする、ということですね。
「私はずっと、"You're a shoe!" って言われてきた!」と興奮気味で話すレイチェルに、フレンズたちも振り向いていますが、その言葉だけでは意味がピンと来なかったので「一体何のことを言ってるんだ?」と思って、その続きのセリフに耳を傾けた、ということかな、と。
それで、You're a shoe! って言われてた、って何の話? みたいにみんなが聞き耳を立てている中で、レイチェルは言葉を続けるのですが、「もし私が a shoe になりたくないとしたら?」と言って、a shoe 以外のものを挙げ始めます。
a purse と言う前に、a と言ってから、言葉を探して言い淀んでいるような間がありますね。
「例えば、そう、ほら、a purse とか」のように、その場の思いつきで a purse という単語を挙げたニュアンスが出ている気がします。
次の Or a- or a hat? も同じく、ちょっと考えてから単語を挙げた感じがありますよね。
a purse, a hat の例えを挙げた後、冷蔵庫のドアを閉めたロスの表情が見えますが、「レイチェルは一体何を言ってるの?」という顔をしているように思います。
そのレイチェルが出した例えの意味がわからない感じですね。
そのロスの表情からも、また、レイチェルが思いつきで言った感じからも、a purse, a hat に至っては、「バッグ、帽子」以外の深い意味は何もないことが想像されます。
単にレイチェルがファッション好きな人だから、ファッション関係のもの、ファッションアイテムを並べただけというところでしょう。
そうやってファッションアイテムを挙げた後、レイチェルが、No, I don't want you to buy me a hat, I'm saying I am a ha- 「違うわ、私はパパに帽子を買って欲しいんじゃないの、私が言ってるのは、私が帽子だってこと…」と言っていることから、電話の向こうのパパが「バッグや帽子って、、何だお前は、帽子を買って欲しいのか?」みたいな反応をしたことが想像されます。
自分がなりたいものの比喩として、ファッションアイテムを挙げることで、「それを買って欲しいのか?」とパパに誤解させるというオチが可能になったわけですね。
電話の内容を聞いていたフレンズたちは、You're a shoe. だけでは何のことかわからなくて、その意味を知りたいと思ってずっと聞いていたけれど、結局、レイチェルのセリフを最後まで聞いても You're a shoe. の意味がよくわからなかった、というのがここの笑いどころなのかもしれないと思います。
見解3:ペアで機能するものか、単体でも機能するものか
また、「ファッションアイテムを3つ挙げた」ことについてですが、a shoe と、a purse/a hat には、ある違いがあり、過去のコメント欄でも、そのことが何度も話題となりました。
それは、a shoe は shoes というペアで機能するもの、a purse と a hat はそれぞれ単体で機能するもの、という違いです。
a shoe の「ダメなやつ」という意味は、「片方の靴だけでは、靴として機能しないから」という意味から来ているように思われます。
今回は結婚の話と大きくかかわっているので、「一人では生きて行けない人、結婚してペアにならないとダメな人」みたいなニュアンスで使っている可能性もあります。
a shoe という単語を聞いて、すぐに「独身では生きていけない人」みたいな意味が浮かぶわけでもないと思うのですが、英語というのは単複に厳しい言語なので、(a pair of) shoes ではない a shoe だと、「片方の靴」というイメージが強く出るため、「あなたは結婚しないとダメなのよ!」的なニュアンスで、a shoe という「単数形」を使っていたという可能性も否定できない気はします。
レイチェルが思いつきで挙げた感じの a purse, a hat ではありますが、a shoe と比較すると、「ペアではなく単体で機能するもの」なのは明らかで、「結婚しなきゃダメよ」と言われ続けていたけれど、「一人でも生きていけるかも」という意味で、a purse, a hat を挙げたという可能性もある気がするわけですね。
その場合は、3つの分類の c. その単語を何かの象徴として使い、別の概念などをイメージさせる、になります。
ただ、そういう意味を込めて、a shoe, a purse, a hat という順番で挙げたとすると、結婚式から逃げてきた、世間知らずっぽいお嬢様キャラのレイチェルにしては、ちょっと「セリフとして出来過ぎ、練られ過ぎ、冴え過ぎ、うまいこと言い過ぎ」な気もするのですね。
それを言ったレイチェルが、そこまで洒落たセリフを言えるようなキャラ設定ではない、と言いますか(笑)。
周りのフレンズたちの反応を見ると、「その比喩の意味がよくわからない」という感じでしたし、電話相手のパパも、「何だ、帽子を買って欲しいのか?」みたいに言っているらしいことから、仮にそういうニュアンスで言っていたとしても、その比喩の深い意味を周りの人がくみ取っている様子でもありません。
セリフそのものの意味としては、そこまでの深い意味は持たせていないかもしれないけれども、脚本家はそういう意味を、暗にこっそり込めた、という可能性はある気がします。
「単数と複数、単体とペア」の対比を使った比喩は、結婚の比喩として大いにあり得る気がしますし、これがポエムとかならそういう深読みは十分できそうだし、そういう比喩ならセンスあるなぁと思うし、単複の違いに鈍感な日本人(笑)としては、そういう単複のニュアンスを利用した表現であってくれたら嬉しいなぁ、という思いもあるのです。
また、これは後のシーンに絡んでくるセリフですが、「北米版DVDにはあって、日本版DVDではカットされているセリフ」の中に、The whole, 'hat' thing. という一文が出てきます。
これはまた、そのシーンの時に説明しようと思いますが、「独立、独り立ち」に関する言葉の続きに、このフレーズが使われていて、hat を「単体でも機能するもの」の象徴として使っているようにも思えるのですね。
まとめますと、
1. レイチェルは比喩・例えとして、靴、バッグ、帽子という単語を出しただけで、それ以上の深い意味はなさそう。
2. ただ、「私はこれまで "You're a shoe!" といつも言われていた」というレイチェルの表現から、実際にそういう言葉を家庭内(グリーン家)で言われてきたようにも思える。その場合は、グリーン家の中で使われる a shoe という言葉に、単なる「靴」以外の何か他の意味があると思われるが、それはここではわからない(し、ここではその意味がわからなくても問題ない)。
3. 結婚に絡めて、「ペアで機能するものと、単体で機能するもの」を挙げている可能性もあるが、バッグ、帽子の例えになった時に、みんな「わかんない」という顔をしていることから、脚本家がその意味をこっそり込めた程度で、セリフそのものがそういう意味で解釈されることを期待してはいない。
になるでしょうか。
過去記事のコメント欄で何度も議論されたことを、今回の記事ですっきりまとめようと思ったのですが、やっぱり長くなってしまいました。すみません<(_ _)>
(2016.10.11 追記)
コメント欄で貴重なご意見をいただきましたので、次の記事、続「あなたは靴よ!」 フレンズ1-1改その10 で、再び、You're a shoe. についての見解を述べています。
併せてお読みいただけると幸いです。
(追記はここまで)
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5:54
レイチェル: C'mon, Daddy, listen to me! It's like all of my life, everyone has always told me, "You're a shoe! You're a shoe, you're a shoe, you're a shoe!" And then today I just stopped and said, "What if I don't wanna be a shoe? What if I wanna be a- a purse, y'know? Or a- or a hat?" No, I don't want you to buy me a hat, I'm saying I am a ha- It's a metaphor, Daddy! (ねぇ、パパ、私の話を聞いて! まるでこんな感じよ、私の人生ではずっと、みんながいつも私にこう言っていた、「あなたは靴(a shoe)よ! あなたは靴、あなたは靴、あなたは靴」って。そしてそれから今日、私はただ(立ち)止まって、こう言ったの。「もし私が靴になりたくないとしたら(どうなるの)? もし私が… バッグ(a purse)になりたいとしたら? もしくは帽子(a hat)になりたいとしたら(どうなるの)?」 いいえ、私はパパに帽子を買ってもらいたいんじゃないわ、私は、私が帽子だ、って言ってるの… メタファー(隠喩、暗喩、比喩)よ、パパ!)
みんながテレビで盛り上がっている中、レイチェルは電話の相手のパパに、さっきよりもさらに大きな声で話しています。
そのセリフ、It's like all of my life, everyone has always told me, "You're a shoe! ... について。
この You're a shoe! という表現とその意味については、2005年のブログ開始当初から、フレンズ1-1その1 のコメント欄 で何度も何度も話題となっています。
解釈について様々な意見が出るということは、解釈が難しい部分であるということの証でもありますので、正直、この部分は「よくわからない」と感じても、特に問題ないと思います。
ただ、何度も議論の対象になったセリフなので、シーズン1に戻ってきたこの機会に、現在の私の見解を以下に述べさせていただきますね。
見解1:単なる比喩である
まず、It's like... は「まるで〜のようだ、〜のようなものだ」という感覚。
all of my life 以下は、「私の人生ではずっと、みんながいつも私に「あなたは a shoe よ!」と言っていた」になるでしょう。
そして、You're a shoe! の a shoe とは何か? ですが、基本的な意味は「靴(の片方)」という意味ですね。
靴はペアで使うものなので、通常は shoes という複数形で使われますが、ここでは a shoe という「単数形」になっていることも、気になる点だと言えるでしょう。
聞いた瞬間によく意味がわからない場合、その単語の意味がピンと来ない場合に考えられる可能性を、以下の3つに分類してみたいと思います。
a. その単語の本来の意味として使われていて、それ以上の意味はない。本来の意味のままで、何かの例えや比喩として使われている。
b. 辞書に載っていないような特殊な意味、ネイティブにしかわからないような意味として使われている。
c. その単語を何かの象徴として使い、別の概念などをイメージさせる。
英語を理解するには、本来は「聞こえたままにイメージしていく」ことが必要ですが、とりあえず今回は、イメージが湧かない単語はその英単語のままで置いておいて、まずは文章全体の構造を理解して、何を言わんとしているのかを考えてみます。
最後の Daddy! までをとりあえず訳してみると、
まるでこんな感じよ、私の人生ではずっと、みんながいつも私にこう言っていた。
「あなたは a shoe よ!」(4回繰り返し)って。
そしてそれから今日、私はただ(立ち)止まって、こう言ったの。
「もし私が a shoe になりたくないとしたら(どうなるの)?
もし私が… a purse になりたいとしたら? もしくは a hat になりたいとしたら(どうなるの)?」
いいえ、私はパパに a hat を買ってもらいたいんじゃないわ、私は、私が a hat だと言ってるの…
メタファー(隠喩、暗喩、比喩)よ、パパ!
最初に、It's like... 「まるで〜のようだ」と言った上で、a shoe, a purse, a hat の話を出し、最後に a metaphor だと説明しています。
「まるで〜のようだ」という表現に注目すると、それ以下の「私はこんな風に言われてきた」というのは単なる例えであって、実際にそんな風に言われたわけではない、と考えられるように思います。
その場合は、「まるで〜のようだ」の「〜」に当たる比喩部分が、all of my life から or a hat? までの全部になる、ということですね。
「今まで周りから言われた通りに生きてきたけど、自分が望むことがそれと違うと気づいたら?」というような話を、「まるで、”あなたは靴だ”ってずっと言われてきたけど、例えば帽子になりたいと思ったとしたらどうなるの? みたいな感じよ」のように例えた、つまり「レイチェルは比喩・例えとして、この3つの単語を出しただけで、それぞれの単語には「靴、ハンドバッグ、帽子」の意味しかない(それ以上の意味はない)」という解釈がまずは成り立つと思います。
3つの分類で言うと、a. 本来の意味のままで、比喩として使われている、ということですね。
ちなみに、日本語で「パース」と言うと、口金付きの財布、小銭入れのイメージが強いですが、英語ではそういう意味もありつつ、フレンズではもっぱら「ハンドバッグ」という意味で使われることが多いです。
フレンズ1-1その1 のコメント欄 で、a shoe について多くの意見をいただいたのですが、その中で、複数のアメリカ人の方の意見として、「軽い意味。ファッションが好きだから、その系統のもの羅列したんだろう」というものがありました。
それはつまり、ネイティブが聞いても、You're a shoe. は「あなたは靴よ」でしかなかった、それ以上の何か特別な意味が a shoe という言葉にあるわけではなかった、ということになりますね。
その過去記事のコメント欄では、「調べてみたら、a shoe にはこんな意味がありました」という結果を多くの方が教えて下さっていて、例えば「ヘマをする人、ダメな人」「ビシッと決めたやつ」「なんでも相手の言う通りにする人」「(特に white shoe の形で)アイビーリーグの大学生(または裕福な上流階級のイメージ)」などの意味が挙げられています。
そんな風にいろいろな意味で使われることがある中で、じゃあ、このシーンで、You're a shoe! というセリフが出てきた時に、ネイティブは何を連想するか? どんな意味だと捉えるか? という部分に私は大変興味があったのですね。
3つの分類の b. 辞書に載っていないような特殊な意味、ネイティブにしかわからないような意味、のうちのどれに該当するんだろう? と私も考えたのですが、「この場合は、特殊な意味、深い意味はなく、単に文字通りの”靴”という意味で使っている」とネイティブが受け止めたのだとしたら、私はそれに非常に納得するものを感じるのです。
この You're a shoe! の a shoe について、ネイティブが10人いたら10人とも「(靴以外の)この意味だと断定」するわけではないとしたら、「それはこういう意味だよ」とネイティブ全員が一致する確固たるイメージがないとしたら、a shoe の意味をそれ以上掘り下げる必要もまたない、と言える気がするのですね。
ネイティブが深い意味はないと考えたのであれば、それは文字通り「靴」という意味でしかなく、It's like という表現を使って「靴」を比喩のアイテムとして使っただけ、ということになるでしょう。
見解2:実際にレイチェルがそう言われていたと仮定した場合
It's like... で始まっていて、a metaphor だと説明している流れから、「ただの比喩」だという解釈は十分可能だと思いますが、ただ、ちょっと気になるのは、You're a shoe! を4回も(!)連呼していることですね。
レイチェルは興奮気味にしゃべっていますが、It's like... で始まっているとは言え、all of my life, everyone has always told me のように、「自分の人生では、みんながいつも私にこう言っていた」と表現していますし、You're a shoe! を大声で連呼しているのも、「いっつもいっつもこう言われてた、みんなにこう言われ続けてた」という「事実」を述べている感じもします。
「あなたは靴よ、って言われてた。でももし靴になりたくなかったら?」というのが、単に「人から言われていたものとは別のものになりたかったら?」という例えに過ぎないのなら、もっとさらっと言ってもいいように思う、あんなに興奮して4回も繰り返す必要はない気もするのですね。
もちろん、「例えばこんな感じよ」という「比喩」を、自分が実際にそんな風に言われたとして、臨場感たっぷりにリアルに表現したという可能性もありますが。
この It's like という部分、音声では間違いなく It's like と言っているのですが、DVD や Netflix の英語字幕では、It's like が省略されて、All of my life からセリフが始まっています。
DVD などの字幕は、実際のセリフより省略されていることがありますが、細かいニュアンスはともかく、「基本的に大意は変わらない程度に省略される」のが常です。
ですが今回、It's like が省略されてしまって、All of my life, everyone has always told me... ということになると、それは比喩ではなくなり、実際に「私の人生で、みんなが私にそう言っていた」という事実を述べていることになりそうですね。
その場合、It's a metaphor, Daddy! の「メタファー(比喩)よ!」という説明は主に、「私は帽子を買って欲しいんじゃなくて、私が帽子になりたい、っていう比喩よ」と説明した感じになるでしょう。
上に述べたように「レイチェルがまるで実際にそう言われたかのように、臨場感たっぷりに話している」ことと、「英語字幕で、It's like が省略されている」という2点から、「これが比喩ではなくて、実際にレイチェルがそう言われてきた」と仮定した場合の解釈を以下に考えてみます。
今、パパと電話で話していることから、everyone というのはもっぱら、レイチェルの家族(グリーン家の人々、特に両親?)のことを言っているように思えますし、実際にレイチェルが、You're a shoe! と言われ続けていたとしたら、その a shoe という言葉には「靴」以外の何らかの意味があると考えるべきでしょう。
ただその a shoe が、例えば「ダメなやつ」なのか「(上流階級の)お嬢様」なのか(はたまた別の意味なのか、、)というのは、このセリフからはわからない、グリーン家の人がどういうニュアンスでそう言っていたのかまでは、前後の文脈のないこのセリフからだけではわからない、もし実際にグリーン家で使われていたフレーズであったとしたら、それはグリーン家の人しかわからない例えである可能性もあります。
そういうことなら、「グリーン家では何か意味があるんだろう」程度の理解で済ませておいて良いレベルで、あえてその意味をここで確定させる必要もないでしょう。
「あなたは靴(a shoe)よ」と言われてた、という、ざっくりした理解のままで構わない気がする、ということですね。
「私はずっと、"You're a shoe!" って言われてきた!」と興奮気味で話すレイチェルに、フレンズたちも振り向いていますが、その言葉だけでは意味がピンと来なかったので「一体何のことを言ってるんだ?」と思って、その続きのセリフに耳を傾けた、ということかな、と。
それで、You're a shoe! って言われてた、って何の話? みたいにみんなが聞き耳を立てている中で、レイチェルは言葉を続けるのですが、「もし私が a shoe になりたくないとしたら?」と言って、a shoe 以外のものを挙げ始めます。
a purse と言う前に、a と言ってから、言葉を探して言い淀んでいるような間がありますね。
「例えば、そう、ほら、a purse とか」のように、その場の思いつきで a purse という単語を挙げたニュアンスが出ている気がします。
次の Or a- or a hat? も同じく、ちょっと考えてから単語を挙げた感じがありますよね。
a purse, a hat の例えを挙げた後、冷蔵庫のドアを閉めたロスの表情が見えますが、「レイチェルは一体何を言ってるの?」という顔をしているように思います。
そのレイチェルが出した例えの意味がわからない感じですね。
そのロスの表情からも、また、レイチェルが思いつきで言った感じからも、a purse, a hat に至っては、「バッグ、帽子」以外の深い意味は何もないことが想像されます。
単にレイチェルがファッション好きな人だから、ファッション関係のもの、ファッションアイテムを並べただけというところでしょう。
そうやってファッションアイテムを挙げた後、レイチェルが、No, I don't want you to buy me a hat, I'm saying I am a ha- 「違うわ、私はパパに帽子を買って欲しいんじゃないの、私が言ってるのは、私が帽子だってこと…」と言っていることから、電話の向こうのパパが「バッグや帽子って、、何だお前は、帽子を買って欲しいのか?」みたいな反応をしたことが想像されます。
自分がなりたいものの比喩として、ファッションアイテムを挙げることで、「それを買って欲しいのか?」とパパに誤解させるというオチが可能になったわけですね。
電話の内容を聞いていたフレンズたちは、You're a shoe. だけでは何のことかわからなくて、その意味を知りたいと思ってずっと聞いていたけれど、結局、レイチェルのセリフを最後まで聞いても You're a shoe. の意味がよくわからなかった、というのがここの笑いどころなのかもしれないと思います。
見解3:ペアで機能するものか、単体でも機能するものか
また、「ファッションアイテムを3つ挙げた」ことについてですが、a shoe と、a purse/a hat には、ある違いがあり、過去のコメント欄でも、そのことが何度も話題となりました。
それは、a shoe は shoes というペアで機能するもの、a purse と a hat はそれぞれ単体で機能するもの、という違いです。
a shoe の「ダメなやつ」という意味は、「片方の靴だけでは、靴として機能しないから」という意味から来ているように思われます。
今回は結婚の話と大きくかかわっているので、「一人では生きて行けない人、結婚してペアにならないとダメな人」みたいなニュアンスで使っている可能性もあります。
a shoe という単語を聞いて、すぐに「独身では生きていけない人」みたいな意味が浮かぶわけでもないと思うのですが、英語というのは単複に厳しい言語なので、(a pair of) shoes ではない a shoe だと、「片方の靴」というイメージが強く出るため、「あなたは結婚しないとダメなのよ!」的なニュアンスで、a shoe という「単数形」を使っていたという可能性も否定できない気はします。
レイチェルが思いつきで挙げた感じの a purse, a hat ではありますが、a shoe と比較すると、「ペアではなく単体で機能するもの」なのは明らかで、「結婚しなきゃダメよ」と言われ続けていたけれど、「一人でも生きていけるかも」という意味で、a purse, a hat を挙げたという可能性もある気がするわけですね。
その場合は、3つの分類の c. その単語を何かの象徴として使い、別の概念などをイメージさせる、になります。
ただ、そういう意味を込めて、a shoe, a purse, a hat という順番で挙げたとすると、結婚式から逃げてきた、世間知らずっぽいお嬢様キャラのレイチェルにしては、ちょっと「セリフとして出来過ぎ、練られ過ぎ、冴え過ぎ、うまいこと言い過ぎ」な気もするのですね。
それを言ったレイチェルが、そこまで洒落たセリフを言えるようなキャラ設定ではない、と言いますか(笑)。
周りのフレンズたちの反応を見ると、「その比喩の意味がよくわからない」という感じでしたし、電話相手のパパも、「何だ、帽子を買って欲しいのか?」みたいに言っているらしいことから、仮にそういうニュアンスで言っていたとしても、その比喩の深い意味を周りの人がくみ取っている様子でもありません。
セリフそのものの意味としては、そこまでの深い意味は持たせていないかもしれないけれども、脚本家はそういう意味を、暗にこっそり込めた、という可能性はある気がします。
「単数と複数、単体とペア」の対比を使った比喩は、結婚の比喩として大いにあり得る気がしますし、これがポエムとかならそういう深読みは十分できそうだし、そういう比喩ならセンスあるなぁと思うし、単複の違いに鈍感な日本人(笑)としては、そういう単複のニュアンスを利用した表現であってくれたら嬉しいなぁ、という思いもあるのです。
また、これは後のシーンに絡んでくるセリフですが、「北米版DVDにはあって、日本版DVDではカットされているセリフ」の中に、The whole, 'hat' thing. という一文が出てきます。
これはまた、そのシーンの時に説明しようと思いますが、「独立、独り立ち」に関する言葉の続きに、このフレーズが使われていて、hat を「単体でも機能するもの」の象徴として使っているようにも思えるのですね。
まとめますと、
1. レイチェルは比喩・例えとして、靴、バッグ、帽子という単語を出しただけで、それ以上の深い意味はなさそう。
2. ただ、「私はこれまで "You're a shoe!" といつも言われていた」というレイチェルの表現から、実際にそういう言葉を家庭内(グリーン家)で言われてきたようにも思える。その場合は、グリーン家の中で使われる a shoe という言葉に、単なる「靴」以外の何か他の意味があると思われるが、それはここではわからない(し、ここではその意味がわからなくても問題ない)。
3. 結婚に絡めて、「ペアで機能するものと、単体で機能するもの」を挙げている可能性もあるが、バッグ、帽子の例えになった時に、みんな「わかんない」という顔をしていることから、脚本家がその意味をこっそり込めた程度で、セリフそのものがそういう意味で解釈されることを期待してはいない。
になるでしょうか。
過去記事のコメント欄で何度も議論されたことを、今回の記事ですっきりまとめようと思ったのですが、やっぱり長くなってしまいました。すみません<(_ _)>
(2016.10.11 追記)
コメント欄で貴重なご意見をいただきましたので、次の記事、続「あなたは靴よ!」 フレンズ1-1改その10 で、再び、You're a shoe. についての見解を述べています。
併せてお読みいただけると幸いです。
(追記はここまで)
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2016年10月05日
私にとっては重要なことよ フレンズ1-1改その8
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5:11
SCENE 2: MONICA'S APARTMENT (ALL PRESENT AND WATCHING A SPANISH SOAP ON TV)
モニカのアパートメント。みんながそこにいて、テレビでスペイン語のソープオペラ(昼メロ)を見ている。
モニカ: Now I'm guessing that he bought her the big pipe organ, and she's really not happy about it. (今、私が推測するに[私が思うに]、彼は彼女に大きなパイプオルガンを買って、彼女はそれが本当に気にいらないのね。)
レイチェル: (ON PHONE) Daddy, I just... I can't marry him. I'm sorry. I just don't love him. Well, it matters to me! ([電話で] パパ、私はただ… 私は彼とは結婚できない。ごめんなさい。ただ彼のことを愛してないの。え、私にとっては重要な[大事な]ことよ!)
チャンドラー: (RE TV) Ooh, she should not be wearing those pants. (再びテレビに戻って) うー、彼女はあんなパンツをはくべきじゃないな。)
ジョーイ: I say push her down the stairs! (彼女を階段から突き落とせ!)
フィービー・ロス・チャンドラー・ジョーイ: Push her down the stairs! Push her down the stairs! Push her down the stairs! (SHE IS PUSHED DOWN THE STAIRS. THEY CHEER) (彼女を階段から突き落とせ! 彼女を階段から突き落とせ! 彼女を階段から突き落とせ! [彼女は階段から突き落とされる。みんなは喝采する])
チャンドラー: All right. (よし。)
guess は「推測する」。
LAAD (Longman Advanced American Dictionary) では、
guess : WITHOUT BEING SURE
to try to answer a question or make a judgment about something without knowing all the facts, so that you are not sure whether you are correct.
例) I think she's about 30, but I'm only guessing.
つまり、「全ての事実を知らずに、ある問題に答えようとする、または何かについて判断しようとすること、そのため、自分が正しいかどうかは確信が持てない」。例文は、「彼女は30歳ぐらいだと思うけど、ただ推測してる[当て推量してる]だけよ」。
フレンズでは、I guess (that) SV の形で、「私は〜だと思う」という意味でもよく出てきます。
モニカの、I'm guessing that は、スペイン語でしゃべっているドラマの内容を、モニカが「私はこういうことじゃないかと思うんだけど」と自分の推測を述べているニュアンスになります。
画面では女性が男性に向かってしゃべっているのですが、「男性が女性に大きなパイプオルガンを買って、彼女がそのことを全然喜んでないのね」とモニカは推測しています。
女性の後ろに確かにパイプ状のものは見えていますが、それが本当にパイプオルガンなのかどうかは画面からはよくわかりません。
仮にパイプオルガンの前で彼女がしゃべっているにしても、「彼が彼女にでっかいパイプオルガンを買った」というのは、大きさ的にも価格的にもありえない感じなので、「スペイン語のセリフではきっとこんなことを言っているのね」と、全然見当違いの、トンチンカンな推測をしている面白さでしょう。
she's really not happy about it. は、really と not が使われていますが、not の前に really が来るというこの語順では、really は not という否定を強調していることになります。
彼女がそのことについて、not happy であることを really で強調しているわけですね。
not really のように、really の前に not が来る語順だと、really というわけではない、という意味になり、「そんなに〜ではない」という部分否定の感覚になります(なるほど英文法 p.156)。
みんながテレビを見ている時、キッチンの方でレイチェルが電話で話しています。
Daddy と言っていることから、自分の父親と電話で話していることがわかりますね。
「私は彼(バリー)とは結婚できない。ごめんなさい。私はただ、彼を愛してないの」と言うのですが、少し間を置いてから、Well, it matters to me! と me を強く発音して言っています。
matter は名詞だと「問題、件、物質」などの意味がありますが、ここでは自動詞で「重要である」という意味。
LAAD では、
matter [verb, intransitive] : [not in progressive] to be important, especially to be important to you personally, or to have a big effect on what happens
例) Do you think what I say will matter to him?
つまり、「(自動詞。進行形では使わない) 重要であること、特に人にとって個人的に重要であること、または起こることに大きな影響を持つこと」。例文は、「私の言うことが彼にとって重要になると思う?」
「私にとっては」という意味の to me の me を強調して話していることから、電話の相手のパパが It doesn't matter. 「お前がバリーを愛してないとか、そんなことは問題じゃない、重要なことじゃない」などと言ったことに対して、「私にとっては重要なことなのよ!」と反論したことが想像できますね。
コメディの電話のシーンでは、こちら側のセリフから相手が言ったことが想像されて、それが笑いに繋がるということもよくあります。
画面を切り替えて、電話でのそれぞれのセリフをはっきり聞かせる場合もありますが、今回のように、相手のパパが何と言っているかを観客には聞かせずに、レイチェルのセリフからそれを想像させて笑わせるというパターンも多いということです。
チャンドラーはテレビを見ながら、「彼女はあんなパンツをはいているべきじゃない」と言っています。
画面を見ると、階段のところに立っているパンツ姿の女性の後ろ姿が見えていますが、お尻が大きく、太ももが太く、パンツがはち切れそうな感じですね^^
あの体型にパンツは似合わないから、パンツなんかはくなよ、と文句を言っていることになるでしょう。
push someone down the stairs は、「人を階段から下に押す」という感覚ですから、自然な日本語にすると、「人を階段から突き落とす」ですね。
ジョーイもその女性が気に入らないらしく(笑)、「彼女(その女)を階段から突き落とせ!」と言い、その後、みんなも声を揃えて、「突き落とせ!」と言っています。
みんなが声を揃えて言うこのセリフの、音の強弱とリズムは、是非意識したいところです。
Push her down the stairs! のうち、push, down, stairs の部分が強く発音されていますね。
英語のリズムを理解するために、手拍子に合わせて英語を発音する練習がありますが、このセリフはまさに、手拍子に合わせて、push, down, stairs を言えば、そのリズムを体感しやすいでしょう。
意味としても、押す(push)、下に(down)、階段(stairs)という強い部分が聞き取れればおのずと意味は理解できますし、それは長い文章になっても同じことです。
「英語の音が速すぎてわからない」と感じる方こそ、「強い部分を聞き取る」ということに意識を向けていただければと思います。
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5:11
SCENE 2: MONICA'S APARTMENT (ALL PRESENT AND WATCHING A SPANISH SOAP ON TV)
モニカのアパートメント。みんながそこにいて、テレビでスペイン語のソープオペラ(昼メロ)を見ている。
モニカ: Now I'm guessing that he bought her the big pipe organ, and she's really not happy about it. (今、私が推測するに[私が思うに]、彼は彼女に大きなパイプオルガンを買って、彼女はそれが本当に気にいらないのね。)
レイチェル: (ON PHONE) Daddy, I just... I can't marry him. I'm sorry. I just don't love him. Well, it matters to me! ([電話で] パパ、私はただ… 私は彼とは結婚できない。ごめんなさい。ただ彼のことを愛してないの。え、私にとっては重要な[大事な]ことよ!)
チャンドラー: (RE TV) Ooh, she should not be wearing those pants. (再びテレビに戻って) うー、彼女はあんなパンツをはくべきじゃないな。)
ジョーイ: I say push her down the stairs! (彼女を階段から突き落とせ!)
フィービー・ロス・チャンドラー・ジョーイ: Push her down the stairs! Push her down the stairs! Push her down the stairs! (SHE IS PUSHED DOWN THE STAIRS. THEY CHEER) (彼女を階段から突き落とせ! 彼女を階段から突き落とせ! 彼女を階段から突き落とせ! [彼女は階段から突き落とされる。みんなは喝采する])
チャンドラー: All right. (よし。)
guess は「推測する」。
LAAD (Longman Advanced American Dictionary) では、
guess : WITHOUT BEING SURE
to try to answer a question or make a judgment about something without knowing all the facts, so that you are not sure whether you are correct.
例) I think she's about 30, but I'm only guessing.
つまり、「全ての事実を知らずに、ある問題に答えようとする、または何かについて判断しようとすること、そのため、自分が正しいかどうかは確信が持てない」。例文は、「彼女は30歳ぐらいだと思うけど、ただ推測してる[当て推量してる]だけよ」。
フレンズでは、I guess (that) SV の形で、「私は〜だと思う」という意味でもよく出てきます。
モニカの、I'm guessing that は、スペイン語でしゃべっているドラマの内容を、モニカが「私はこういうことじゃないかと思うんだけど」と自分の推測を述べているニュアンスになります。
画面では女性が男性に向かってしゃべっているのですが、「男性が女性に大きなパイプオルガンを買って、彼女がそのことを全然喜んでないのね」とモニカは推測しています。
女性の後ろに確かにパイプ状のものは見えていますが、それが本当にパイプオルガンなのかどうかは画面からはよくわかりません。
仮にパイプオルガンの前で彼女がしゃべっているにしても、「彼が彼女にでっかいパイプオルガンを買った」というのは、大きさ的にも価格的にもありえない感じなので、「スペイン語のセリフではきっとこんなことを言っているのね」と、全然見当違いの、トンチンカンな推測をしている面白さでしょう。
she's really not happy about it. は、really と not が使われていますが、not の前に really が来るというこの語順では、really は not という否定を強調していることになります。
彼女がそのことについて、not happy であることを really で強調しているわけですね。
not really のように、really の前に not が来る語順だと、really というわけではない、という意味になり、「そんなに〜ではない」という部分否定の感覚になります(なるほど英文法 p.156)。
みんながテレビを見ている時、キッチンの方でレイチェルが電話で話しています。
Daddy と言っていることから、自分の父親と電話で話していることがわかりますね。
「私は彼(バリー)とは結婚できない。ごめんなさい。私はただ、彼を愛してないの」と言うのですが、少し間を置いてから、Well, it matters to me! と me を強く発音して言っています。
matter は名詞だと「問題、件、物質」などの意味がありますが、ここでは自動詞で「重要である」という意味。
LAAD では、
matter [verb, intransitive] : [not in progressive] to be important, especially to be important to you personally, or to have a big effect on what happens
例) Do you think what I say will matter to him?
つまり、「(自動詞。進行形では使わない) 重要であること、特に人にとって個人的に重要であること、または起こることに大きな影響を持つこと」。例文は、「私の言うことが彼にとって重要になると思う?」
「私にとっては」という意味の to me の me を強調して話していることから、電話の相手のパパが It doesn't matter. 「お前がバリーを愛してないとか、そんなことは問題じゃない、重要なことじゃない」などと言ったことに対して、「私にとっては重要なことなのよ!」と反論したことが想像できますね。
コメディの電話のシーンでは、こちら側のセリフから相手が言ったことが想像されて、それが笑いに繋がるということもよくあります。
画面を切り替えて、電話でのそれぞれのセリフをはっきり聞かせる場合もありますが、今回のように、相手のパパが何と言っているかを観客には聞かせずに、レイチェルのセリフからそれを想像させて笑わせるというパターンも多いということです。
チャンドラーはテレビを見ながら、「彼女はあんなパンツをはいているべきじゃない」と言っています。
画面を見ると、階段のところに立っているパンツ姿の女性の後ろ姿が見えていますが、お尻が大きく、太ももが太く、パンツがはち切れそうな感じですね^^
あの体型にパンツは似合わないから、パンツなんかはくなよ、と文句を言っていることになるでしょう。
push someone down the stairs は、「人を階段から下に押す」という感覚ですから、自然な日本語にすると、「人を階段から突き落とす」ですね。
ジョーイもその女性が気に入らないらしく(笑)、「彼女(その女)を階段から突き落とせ!」と言い、その後、みんなも声を揃えて、「突き落とせ!」と言っています。
みんなが声を揃えて言うこのセリフの、音の強弱とリズムは、是非意識したいところです。
Push her down the stairs! のうち、push, down, stairs の部分が強く発音されていますね。
英語のリズムを理解するために、手拍子に合わせて英語を発音する練習がありますが、このセリフはまさに、手拍子に合わせて、push, down, stairs を言えば、そのリズムを体感しやすいでしょう。
意味としても、押す(push)、下に(down)、階段(stairs)という強い部分が聞き取れればおのずと意味は理解できますし、それは長い文章になっても同じことです。
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