2016年12月31日

作ったの?それとも注いでるだけ? フレンズ1-1改その39

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21:36
(EXIT RACHEL TO HER BEDROOM. ENTER MONICA IN DRESSING GOWN, AS ROSS IS LEAVING)
レイチェルは自分の寝室へと退場。ガウンを着たモニカが登場、その時、ロスは部屋を出て行こうとしている。
モニカ: See ya. Wait, wait. Hey, what's with you? (じゃあね。待って、待って。ねぇ、どうしたの?)
ロス: I just grabbed a spoon. (EXIT ROSS) (たった今、スプーンを掴んだんだ。[ロス退場])

レイチェルが寝室に行った後、ロスは微笑み、口にクッキーを入れ、立ち上がります。
元気が漲(みなぎ)ってきた、というような歩き方をしていて、ドアに向かうそのロスの後ろ姿に、寝室から出てきたモニカが声を掛けます。
What's with you? は「どうしたの?」ということで、出て行った元妻キャロルのことでどんより暗かったはずのロスの顔に微笑みが浮かんでいるのを見て、「どうしたの? 何か(いいことでも)あったの?」のように言ったことになるでしょう。

I just grabbed a spoon. は「僕はたった今、スプーンを掴(つか)んだ」ということですが、これは過去記事、結婚したの、8歳くらいだっけ? フレンズ1-1改その22 に出てきた、
ジョーイ: Welcome back to the world. Grab a spoon! ((現実の)世界によく戻ってきた! スプーンを掴めよ!)
のセリフを受けてのものですね。
ジョーイは女性をアイスクリームのフレーバーに例え、「アイスクリームにたくさんのフレーバーがあるように、世間には女性がたくさんいる。スプーンを掴んで、アイスクリームで好きなフレーバーを選ぶように、女性を自分の目で選んでみろよ、女性を誘ってみろよ」という意味で「スプーンを掴め!」と言ったのですが、その後、悲しみのヒーロー Billy Don't Be a Hero フレンズ1-1改その26 で、
ロス: "Grab a spoon." (中略) Even if I could get it together enough to- to ask a woman out... who am I gonna ask? (「スプーンを掴め」って? (中略) 僕が、ある女性をデートに誘えるほどの気持ちになったとしても[誘えるほどに気持ちが落ち着いても]… 僕は誰を誘うことになるの?[誰を誘えばいいの?] )
と言っていました。
そのロスのセリフは、「キャロルのことから立ち直ったとしても、誰を誘えばいいのかわからない。僕にはそんな人はいない」ということだったわけですが、レイチェルと二人きりになった時に、「いつか君をデートに誘うよ」と言ってオッケーをもらったことで、ロスには「誘いたいと思う人ができた」わけで、そのことを「僕は今、スプーンを掴んだんだ」と表現したことになります。
ロスがチャンドラーとジョーイに「誰を誘えばいいの?」と言っていたシーンでは、その直後に窓の外を見るレイチェルの姿が映っていました。
「妻に去られた男」のロスと、「結婚式を逃げ出してきた女」のレイチェルは、それぞれ今は一人きり、という描写で、「相手と別れた男女が出会う」というシチュエーションは、映画でもドラマでもよくあるパターンですが、それぞれ今は一人となった、ロスとレイチェルを順番に映すことで、この二人の間にこの先何か起こりそうかも、、と予感させるようなシーンになっていました。
その二人がエピソードの最後の方のシーンで「何かいい感じ」になるというのが、「こういう作品だと知ってもらうためのパイロット版」として、完成された形になっていると思います。

手で掴むしぐさを見せるロスに対し、モニカは笑顔ながらも、ロスが言っている意味はよくわからないけど、、という表情をしています。
女性をアイスクリームのフレーバーに例える話は、男性陣だけの間で交わされていたことなので、モニカは「スプーンを掴んだ」と言われても何のことかわからないわけですが、ロスの様子から、ロスが少し元気を取り戻した、前向きになったことは感じられたということですね。


22:07
(CLOSING CREDITS)
エンドクレジット
CREDITS SCENE: CENTRAL PERK
クレジットのシーン:セントラルパーク
ジョーイ: I can't believe what I'm hearing here. (ここで聞いてること、信じられないよ。)
フィービー: (SINGS) I can't believe what I'm hearing here. ([歌って] ♪ ここで聞いてること、信じられないよ ♪)
モニカ: What? I-I said you had a.... (何? 私が言ったのはあなたが…)
フィービー: (SINGS) What I said you had a.... ([歌って] ♪ 何? 私が言ったのはあなたが… ♪)
モニカ: (TO PHOEBE) Would you stop? ([フィービーに] やめてくれる?)
フィービー: Oh, was I doing it again? (まぁ、私またやってた?)
みんな: Yes! (ああ!)
レイチェル: (WALKS UP WITH A POT OF COFFEE) Would anybody like more coffee? ([コーヒーのポットを持ちながら近づいてきて] 誰かコーヒーのおかわり、いかがですか?)
チャンドラー: Did you make it, or are you just serving it? (君がそれ(コーヒー)を作ったの[いれたの]? それともただ給仕してる[飲み物を注いでる]だけ?)
レイチェル: I'm just serving it. (ただ注いでるだけよ。)
みんな Yeah. Yeah, I'll have a cup of coffee. (よし、よし。コーヒーを一杯もらうよ。)
チャンドラー: Kids, new dream. I'm in Las Vegas. I'm Liza Minnelli. (君たち、新しい夢(の話)だ。俺はラス・ベガスにいる。俺はライザ・ミネリだ。)

セントラルパークで、ジョーイとモニカが話している時、フィービーは、彼らが言ったセリフに変な節(ふし)をつけて、歌うような感じで繰り返しています。
「やめてくれる?」と言われたフィービーが「私、またやってた?」と答えると、みんなが Yes! と答えるので、他人が何か言った後、歌うように繰り返すという行為を、これまでも何度もしたことがあって、それがみんなの癇に障っていただろうことがわかります。

would like は want の丁寧な言い方。
このエピソードの中で、レイチェルが人生で初めて入れたコーヒーが非常にまずかったので、レイチェルが作った[いれた]コーヒーか、別人が作ったコーヒーかをチャンドラーは尋ねています。
コーヒーを作ったとしたらそれは少し前なので make の文は過去形(Did を使った疑問文)、今、コーヒーを給仕しているところなので serve は現在進行形になっている、という時制の違いにも注目したいところです。

チャンドラーは最後に、新しい夢の話をしています。
これは、普段は電話してこない フレンズ1-1改その2 で、「高校の時、カフェテリアの真ん中で真っ裸で立っていると、電話がかかってきて、、」という夢の話をしていたことがあったので、また今回は別の新しい夢の話をしようとしているということです。

Liza Minnelli (ライザ・ミネリ)は、1972年の映画「キャバレー」でアカデミー主演女優賞を受賞した、有名な女優さんですね。
ライザ・ミネリの母親は、映画「オズの魔法使」(原題:The Wizard of Oz)で主役のドロシーを演じたジュディ・ガーランド。
「夢の中で、俺はラスベガスにいて、俺はライザ・ミネリになってる」と話し始めたところで、フレンズ1-1 は終了となります。
また「わけのわからないナンセンスな夢の話」が続くんだろうなと思わせる終わり方ですね。


(Rach からの年末のご挨拶)
今日の記事が、2016年最後の記事になります。
この記事でちょうど フレンズ1-1 の解説が終わったので、キリが良い形で、新年から フレンズ1-2 の解説を始めることができます♪

今年9月に、このブログはファイナルに到達し、その後、「シーズン1改」を始めました。
フレンズの解説としては「2周目」になりますので、1周目の時には飛ばしてしまっていた部分を、じっくり丁寧に解説することができるように心がけました。
結果として、「フレンズ1-1改その39」の記事まで書くことになりましたが、20分強のドラマ1話分(DVD の時間では 22:48)のセリフの中に、様々な文法事項と使える英語表現がたくさん詰まっていたことを実感していただけたら、と思っています。

ファイナルが終わった後、こうして再び シーズン1 の最初に戻って解説を書き始めることについて、多くの方のご賛同と応援をいただけたことは、私にとって本当に大きな励みとなりました。
フレンズで英語を学ぼうと思った方がまず最初にご覧になるのはやはり第1話だろうと思いますので、フレンズ1-1 をご存知の方はかなりの数おられるように感じます。
実際、ファイナルシーズンのシーズン10 を解説していた頃よりもブログのアクセス数は増えており、私の解説がどなたかの英語学習のお役に立てていることを実感することができています。

また年末のお礼となってしまいましたが、私が記事中で綴りミス(タイポ)をした際、タイポのご指摘を下さった皆様、本当にありがとうございました。
(非公開コメントにてのご指摘という温かいお気遣いもありがとうございました。今後ご指摘いただける際には、公開コメントでも大丈夫です! 、、、というより、来年はタイポしないように気をつけます!^^ )

ファイナルに到達した後、このブログをどうするか? というのは今年の大きなテーマでした。
私がファイナル到達後に始めようとしていることを読者の皆様が受け入れて下さるかどうかもわかりませんでしたので、正直、このブログで新しいお正月を迎えることができるのかな? という不安があったのですが、こうして無事、年内に フレンズ1-1改 を終わることができて、新年から フレンズ1-2 を始めることができることになって、嬉しく幸せな気持ちでいっぱいです。
これまでは「ファイナルまで頑張ります!」が合言葉のようになっていましたが、シーズン1改に戻った今は、「どこまで」とは言わずに、フレンズのセリフの面白さと、フレンズで英語を学ぶ楽しさを伝えられるよう、一つ一つの記事を充実させていきたいと思っています。

今年は、上に書いた「ファイナル到達」以外の出来事としては、4月に著書3冊目となる「海外ドラマDVD英語学習法」(CCCメディアハウス)を出版、7月には枚方T-SITE でセミナーも開催しました。
そして、来年、2017年2月5日(日)には、京都でセミナーを開催します。
(セミナー告知記事:京都でセミナー開催します!

今年も私にとって充実した一年でした。
来年もまた良い年にできればいいなと思っています。

今年一年、皆様本当にありがとうございました。
来年も、どうかよろしくお願いいたします。
皆様も、どうか良いお年をお迎え下さいませ♪


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posted by Rach at 14:06| Comment(4) | フレンズ シーズン1改 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年12月28日

僕の傷つきやすさは気にせずに フレンズ1-1改その38

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20:40
ロス: Okay. (THEY SPLIT IT) You know you probably didn't know this, but back in high school, I had a, um, major crush on you. (オッケー。[二人は一つのクッキーを分ける] ほら、多分君はこのことを知らなかっただろうけど、昔、高校の頃、僕は、その、君にものすごく惚れてたんだよ。)
レイチェル: I knew. (知ってたわ。)
ロス: You did? Oh.... I always figured you just thought I was Monica's geeky older brother. (知ってたの? あぁ… 僕はいつも思ってたんだよね、君はただ、僕のことをモニカのオタクな兄だと思ってるだろうって。)
レイチェル: I did. (そう思ってたわ。)
ロス: Oh. Listen, do you think.... And try not to let my intense vulnerability become any kind of a factor here. But do you think it would be okay if I asked you out sometime, maybe? (あぁ。ねぇ…。あぁ、ねぇ、聞いて。君は… 僕の極度なもろさ[傷つきやすさ]が[僕が非常に傷つきやすい人間だってことが]、ここでの(結果に影響を与える)要因にならないようにしてね。でも、僕がいつか、多分、君をデートに誘うとしたら、それをオッケーだと君は思うかな?)
レイチェル: Yeah.... Maybe. (えぇ…多分。)
ロス: Okay... okay, maybe I will. (よし…よし、多分僕はそうする(君をデートに誘う)よ。)
レイチェル: Good night. (おやすみ。)
ロス: Good night. (おやすみ。)

back in high school の back は「昔に、過去に、さかのぼって」というニュアンスなので、back in high school は「昔(さかのぼって)高校の頃」という感覚。
have a crush on は「(人)に首ったけである、熱をあげている、惚れている」。
LAAD (Longman Advanced American Dictionary) では、
crush [noun] : [countable] a feeling of romantic love for someone, especially someone you do not know very well, used especially about feelings that young people have.
つまり、「誰かに対するロマンティックな愛の感情、特に自分があまりよく知らない人に対して、特に若者が持つ感情について使われる」。
ロングマンやマクミランの例文で、a schoolgirl crush というフレーズが出ているのですが、それも「女子生徒がお熱をあげていること」というニュアンスになるでしょう。

少し前のシーン、カウチの上でクラッシュ フレンズ1-1改その36 で、You gonna crash on the couch? 「カウチの上で寝る?」というセリフがありました。
その crash と、今回の crush は、見た目がよく似ていて、日本語で書くとどちらも「クラッシュ」になってしまいますが、英語では、綴りも発音も違う、別の単語であることに注意しましょう。

Monica's geeky older brother は「モニカのオタクな兄」。
形容詞 geeky は「オタクな」で、名詞 geek は「オタク」。
後のエピソードで、ロスのそのオタクっぽいところが、どんどん出てくることになります。
geek 以外に nerd という言葉も「オタク」の意味で使われます。
映画「ベイマックス」(原題:Big Hero 6)では、「オタク」の意味で nerd が使われており、
What are we doing at your nerd school? (ここは兄さんのオタク大学じゃないか)
Welcome to the nerd lab. (”オタクの巣”へようこそ)
というセリフもありました。

英語の brother は、「兄または弟」を指し、日本語のようにどちらが年上であるかをはっきりさせませんが、はっきり「兄」という場合は、older brother になります。younger sister なら「妹」ですね。

intense は「強烈な、激しい」。
vulnerability は「傷つきやすいこと、脆弱性、もろさ」で、形容詞 vulnerable は「(感情的に)傷つきやすい」。
factor は「(結果を生じさせる)要因、原因」。
try not to let my intense vulnerability... は前振りのセリフですね。
それまでの会話で「僕は君のことが好きだった」「知ってた」、「モニカのオタクな兄だと思ってた?」「思ってた」のように、レイチェルが正直でストレートな返事をしてきていたので、今度はあまりショックな答えが返ってこないように、事前に一言注意を入れている感覚になります。
文字通りの意味としては、「僕の強烈な脆弱性を要因にしないようにしてね」ということで、「僕はとっても傷つきやすい人間なんだけど、それがこの後の答えに影響する要因とならないようにして欲しい、僕のもろさを考慮せずに[気にせずに]正直に答えて欲しい」と言っていることになります。
口では正直に答えて欲しいと言いながらも、自分の「もろさ」を伝えたのは、「僕はちょっとしたことでも傷ついてしまうような人間だから」と暗に示すことで、「僕がショックを受けるような答えでないことを期待してるよ」と言いたいわけですね。

「いつか、多分だけど、もし僕が君を誘ってそれがオッケーだと君は思うかな?」のように、かなり遠回しな感じでロスが尋ねると、レイチェルはロスが使った maybe を使って、「ええ、多分」と答えます。
「多分、あなたが誘ってもオッケーだと思うわ」という返事なので、ロスは maybe I will. = maybe I will ask you out (sometime). のようにまた maybe を使ってはいますが、「じゃあ僕は(いつか)君を誘うよ」と答えます。
「いつか誘ってもいいかな?」という漠然とした問いではありましたが、「いいと思うわ」と答えてくれたので、ロスにとっては嬉しい返事となるわけですね。


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posted by Rach at 17:20| Comment(2) | フレンズ シーズン1改 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年12月26日

見つけた場所に戻しといて フレンズ1-1改その37

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20:06
レイチェル: Hey, Mon, look what I just found on the floor. (MON SMILES) What? (ねぇ、モン[モニカ]、私が今、床の上で見つけたものを見て[見て、私今、床の上でこんなものを見つけたんだけど]。[モニカは微笑む] 何?)
モニカ: That's Paul's watch. You just put it back where you found it. Oh, boy! All right. Good night, everybody. (それはポールの腕時計よ。(ただ)あなたがそれを見つけた場所に戻しておいて。あ〜ぁ(疲れた〜、という口調)! よし。おやすみ、みんな。)
ロス&レイチェル: Good night. (おやすみ。)
(STOMPS ON PAUL'S WATCH AND GOES TO HER ROOM)
モニカはポールの腕時計を、ドシンと踏みつけて、自分の寝室に行く。
ロス: Mmm. (THEY BOTH REACH FOR THE LAST COOKIE) Oh, no- (んーん。[二人とも、最後に残った1つのクッキーに手を伸ばす] あぁ、いや…。)
レイチェル: Oh. Sorry. (あぁ、ごめんなさい。)
ロス: Oh. No no no, go. (あぁ。いやいや、いいんだ。どうぞ。)
レイチェル: No, have it, really. I don't want it.... (いいえ、あなたがどうぞ、ほんとに。私はいらないわ…。)
ロス: Split it? (分ける?)
レイチェル: Okay. (そうね。)

look what I just found on the floor. を直訳すると、「私がたった今、床の上で見つけたものを見て」ということですが、自然な日本語にすると、「ほら見て、私今、床の上でこんなものを見つけたの[見つけたんだけど]」という感じになるでしょう。
その「床に落ちていたもの」を見てモニカがニヤッと笑ったので、レイチェルが What? と尋ねると、モニカは「それはポールの腕時計よ」と答えます。

You just put it back where you found it. の where は関係副詞で「〜するところ(場所)」という意味。
where の中に先行詞を含んでいる感覚で、the place where の the place が省略された形と考えればわかりやすいでしょう。
ですからこのセリフは、「あなたはただ、あなたがそれ(ポールの腕時計)を見つけたところ(場所)に、それ(腕時計)を戻して(おいて)」という意味になります。
レイチェルは「なぜ、そんなことをするの?」と言いたげな顔をしながらも、腕時計を元の場所に戻します。

その後、モニカは「あ〜ぁ、疲れた〜」という口調で、Oh, boy! と言った後、おやすみを言って自分の寝室に向かうのですが、寝室に行く通り道に落ちた状態になっているポールの腕時計を、左足で思い切り、ドシン! と踏みつけています。

この行動は、過去記事、偶然を装い、壊してみる フレンズ1-1改その18 で、ポールが言っていた、「元妻の腕時計を”ついうっかり”(accidentally)壊してみた」というセリフと繋がっています。
妻が浮気をして出て行った辛さを乗り切るために「妻の腕時計を“偶然のふりをしてわざと”壊した」ポールでしたが、今度はモニカが、ポールに騙されて寝てしまったという悔しさを「ポールの腕時計を“偶然のふりをしてわざと”壊す」ことで晴らしたことになります。
その壊し方も、壁に投げつけて壊す、などではなく、「元々落ちていた場所に戻しておいてから通りすがりに踏む」のが accidentally なわけですね。
ポール、または別の誰かに事情を説明する時に、「わざと壊したんじゃなくて、落ちてたから間違って踏んづけちゃった」という「アクシデント」なんだ、と言い訳できるということです。
accidentally、つまり「わざとじゃない」ならば、責任は少し軽くなる、、、というのをわかっていて、ポールと同様、モニカもそうやって憂さ晴らしをしたわけですね。

コメディの王道として、「少し前に出てきたネタを、忘れた頃に持ち出す」というものがありますが、「偶然を装うふりをしてわざと壊してみるんだ」とアドバイスした彼に仕返しするために、それと全く同じことをここで実践してみせた、ポールの場合は「言葉で状況を説明しただけ」でしたが、モニカは try accidentally breaking his watch という「言葉」では表現せずに、しぐさと行動で accidentally に break する様子を見せた、という面白さですね。
英語学習者の視点で言うと、「”ついうっかり”(と言いながらその実、わざと)壊す」というのは、こういう感じなんだな、とイメージするのに役立つことになるでしょう。

モニカが寝室に入って、リビングで二人きりになったロスとレイチェルは、お皿の上に残った最後の1つのクッキーに同時に手を伸ばし、同時に遠慮して手を引っ込めています。
split は「割る、裂く」「分ける、分割する」で、この場合は「一つのクッキーを2つに割って分ける」という感覚ですね。


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posted by Rach at 16:23| Comment(0) | フレンズ シーズン1改 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年12月22日

カウチの上でクラッシュ フレンズ1-1改その36

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19:22
(A PAUSE)
ロス: The word you're looking for is: "Anyway...." (君が探している単語は… 「とにかく…」)
モニカ: All right. You ready? (よし。準備はいい?)
レイチェル: I don't think so. (無理よ。)
ロス: Oh. C'mon. Cut, cut, cut... (あぁ、頑張れ。カット、カット、カット…)
みんな: Cut, cut, cut, cut, cut, cut, cut... (SHE CUTS THEM ALL UP. THEY CHEER) (カット、カット、カット… [レイチェルは全部のカードをカットする。みんなは喝采する])
みんな: Hey! Yay! (ヘイ! イェイ!)
モニカ: Welcome to the real world! It sucks. You're gonna love it! (現実の世界にようこそ! 最低だけど、あなたは(きっと)好きになるわ!)

ママが自殺し、一緒に暮らしていた彼も自殺し、、というフィービーの壮絶な経験を聞かされて、茫然としているレイチェル。
その様子を見ていたロスは、「君が探している単語は、Anyway...」みたいに言っています。
anyway は「とにかく」というニュアンスで、それまでと話題を変える機能がありますから、それはそれとして、その話はいったん終えて、とにかく私が言いたいのは、、、のように、「今聞いた話はなかったかのように、次の話を言いたい気分だろうね」という感覚で、Anyway という言葉を出したのでしょう。

モニカは You ready? と言っていますが、これは、Are you ready? または You are ready? の be動詞 are が抜けた形ですね。
How you doing の時にも説明しましたが、口語のセリフではこのように、be動詞が抜けることが非常に多いです。
I don't think so. は「私はそうは思わない」ですから、「準備いい?」に対して、「私は準備がいいとは思わない。自分の心の準備ができてるとは思えない」→「まだ無理、だめ」と言っていることになります。
ですが、みんなに Cut, cut! と連呼され、カードを切らざるを得ない状況になり、レイチェルは辛そうな顔をしながら、ハサミでカードを切っていきます。

みんなが拍手喝采した後、モニカは立ち上がり、レイチェルを横から抱きしめて、「現実の世にようこそ!」と言っています。
親から自立すると言いながら親のカードで買い物をするような「都合のいい、夢のような世界」ではなく、自分の力で生きて行かないといけない現実世界にようこそ、ということでしょう。
suck は「最低だ、ひどい」という意味の自動詞。
LAAD (Longman Advanced American Dictionary) では、
suck: BE BAD [intransitive] (spoken, informal) to be very bad
例) The food there sucks.

つまり、「(口語、インフォーマル) 非常に悪いこと」。例文は「あそこの食べ物は最低だ」。

You're gonna love it! は「あなたはそれを好きになるわ」ですから、「現実の世界っていうのは最低なもの(ひどいもの)だけど、でもきっと好きになるわよ」という感覚ですね。


19:50
(CUT TO SAME SET. MONICA, RACHEL AND ROSS HAVE JUST FINISHED WATCHING A FILM)
同じセットに画面がカット。モニカ、レイチェル、ロスがちょうど映画を見終えたところ。
モニカ: Well, that's it. (よし、ここまでね[これで終わりね]。)
レイチェル: (TO ROSS) You gonna crash on the couch? ([ロスに] カウチの上で寝る?)
ロス: No. No, I gotta go home sometime. (いや。寝ないよ、そのうち、家に帰らないと。)
モニカ: You be okay?(→訂正:You'll be okay? 訂正ここまで)((これから)大丈夫?)
ロス: Yeah. (ああ。)

That's it. にはいろいろな意味がありますが、テレビ放映終了の音楽が流れているので、ここでは「それでおしまい」という感覚。
You gonna crash on the couch? の crash on the couch は「カウチ(ソファ)で寝る」。
crash は「クラッシュする、衝突する、墜落する」という意味ですが、「(ある場所に一時的に)泊まる、寝る」という意味もあります。
LAAD では、
crash : SLEEP [intransitive] (spoken)
a) to stay at someone's house for the night, especially when you have not planned to
b) also crash out
to go to bed, or to go to sleep very quickly, because you are very tired

つまり、a) は、「誰かの家で一晩を過ごす、特に予定していなかった時に」。b) は、「寝ること、もしくはすぐに眠ること、非常に疲れているために」。

a) が「泊まる」で、b) が「寝る」の意味ですね。
テレビ放送が終わるまでカウチに座っていたので、眠いならこのままカウチの上で寝ちゃう? と尋ねたことになります。

sometime は「(過去または未来の)いつか」「(未来の)そのうち、近々」。sometimes 「時々」と間違えないようにしましょう。
そのうち家に帰らないといけないし、カウチで寝込んじゃったらまずいから起きるよ、ということを言っていることになるでしょう。

その後のモニカのセリフ、"You be okay?" について。
このセリフは、ネットスクリプトでは You be okay? と表記されていて、実際の音声も You be okay? と言っているように聞こえます。
また、DVD英語字幕では、Are you gonna be okay? となっており、Netflix では、You going to be okay? と表記されています。
DVD や Netflix の表記のように、このセリフには、be going to / be gonna のニュアンスが入っていると考えられるでしょう。
今の相手の状態を尋ねる場合だと、You are okay? または、Are you okay? になりますが、その場合は、軽く発音される be動詞の are が省略されて、You okay? という形になることが多いです。
この記事の前半で解説した You ready? も、この be動詞の are が省略された形に該当しますね。

You be okay? というのは、一見すると、You are okay? のことのように思いますが、You are okay? の場合は are を省略するのが普通で、「are を、なんとなく(笑)、原形の be に変えちゃう」というようなことはしません。
「わざわざ be の形で be動詞が入っている」というのは、「何かが省略されて be が残った」という感覚になるでしょう。
原形の be が残るというのは、未来を表す be going to のような to が入る言葉が省略されたと考えるのが自然で、DVD や Netflix にあるような Are you gonna be okay? / You going to be okay? の意味になるだろう、ということです。
「今、大丈夫?」と聞いているのではなく、そのうち家に帰らないと、とロスが言っていることに対して、「帰るって言ってるけど、これから(一人で)大丈夫?」みたいに、この先、今後のことを心配して言っている感覚になるだろうということですね。
(2018.2.21 追記)
"You be okay?" と表記されているセリフは "You'll be okay?" ではないかとのご指摘をコメント欄で頂戴しました。
音声を再確認してみたところ、ご指摘のように "You'll be okay?" と発音されているようです。
下のコメント欄に訂正と追加説明がありますので、詳しくはそちらをご覧下さい。
(追記はここまで)


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posted by Rach at 13:23| Comment(2) | フレンズ シーズン1改 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年12月19日

親に頼れないから結婚しようとした フレンズ1-1改その35

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18:47
(CUT TO THE GANG AT MONICA + RACHEL'S, SITTING ROUND A TABLE. ON THE TABLE ARE RACHEL'S CREDIT CARDS AND A PAIR OF SCISSORS)
モニカとレイチェルの部屋にいるギャング(フレンズたち)に画面がカット。みんなはテーブルの周りに座っている。テーブルの上にはレイチェルのクレジットカードとハサミが置いてある。
モニカ: C'mon, you can't live off your parents your whole life. (ねぇ、一生、自分の両親に頼って生きることはできないのよ。)
レイチェル: I know that. That's why I was getting married. (そんなことわかってるわ。だから、私は結婚しようとしたのよ。)
フィービー: Give her a break, it's hard being on your own for the first time. (レイチェルを大目に見てやってよ、初めて自活するってことは大変なのよ。)
レイチェル: Thank you. (ありがとう。)
フィービー: You're welcome. I remember when I first came to this city. I was 14. My mom had just killed herself and my stepdad was back in prison. And I got here, and I didn't know anybody. And I ended up living with this albino guy who was, like, cleaning windshields outside port authority. And then he killed himself. And then I found aromatherapy. So believe me, I know exactly how you feel. (どういたしまして。私がこの街に初めて来た時のことを思い出すわ。私は14歳だった。私のママが自殺した直後で、育ての父は刑務所に逆戻り。そして私はここ(この街)に来たの。知ってる人は誰もいなかった。そして私はアルビノの彼と暮らすことになったの。その人は、港湾管理局(2016.12.21 訂正→ポート・オーソリティ・バスターミナル)の外で、自動車の窓(フロントガラス)を拭いていたわ。それから、彼は自殺した。それから、私はアロマセラピーを見つけたの[アロマセラピーに出会ったの]。だから信じて、私にはあなたの気持ちがよくわかるのよ。)

live off は「〜で暮らし・生計を立てる、〜のすねをかじる」。
LAAD (Longman Advanced American Dictionary) では、
live off (of) somebody : (disapproving) to get the money that you need to live from someone else, especially instead of earning it yourself
例) Dave's been living off his girlfriend for a year.

つまり、「(非難の[非難めいた]言葉) 生活するために必要な金を他の人から得ること、特にそれを自分で稼ぐことなしに」。例文は「デイブは1年間、自分の彼女(恋人)の金で暮らしていた」。

語義説明の disapproving は、「非難する」ニュアンスで使われるという意味で、つまりは悪口として使われる言葉ということですね。
モニカは「一生、親に頼って生きて行くことはできないのよ」と言うことで、「親から離れて暮らすことにしたのに、そうやっていつまでも親が払うことになるクレジットカードで買い物しまくっててもいいの?」とレイチェルに反省を促しています。

そのように言われた後の、レイチェルのセリフが面白いです。
That's why は「それが〜の理由である、そんなわけで〜だ、だから〜だ」。
ここでは、「親に一生頼れないってことはわかってる。それが自分が結婚しようとした理由だ」という意味。
一生、親のすねをかじって生きることはできないってわかってるから、今度は親に代わって頼るべき人(=夫)と結婚しようとしたのよ、と言っていることになり、依存の別の形として、生きて行くためのお金を得るため、結婚しようとしたのだと言っていることになります。

give someone a break は「人を勘弁してやる、大目に見てやる」。
Give me a break. なら「助けてくれよ、勘弁してくれよ」という意味でよく使われます。
on one's own は「自力で、独力で」で、be on one's own は「自活する、自立する」。

その後、フィービーは自分の身の上話をしています。
stepdad は stepfather のことで、「継父、義父、育ての父」。ママがその男性と再婚したことで、その人は私のパパになった、ということで、血縁関係のないパパです。
ママは自殺、継父は牢屋に逆戻りと言っていますが、逆戻り、ということは、以前にも刑務所に入っていたことがある、ということを示唆していますので、何度も刑務所に入るような人が育ての父親だったという壮絶な話ですね。
back in prison という言葉が出た後、モニカは口では微笑みながら、目は伏し目がちになっています。

end up with は「結局…するようになる」で、知り合いがいなかったんだけど、結局、ある男性と暮らすことになった、ということ。
albino は「アルビノ、先天的に皮膚などの色素が欠けている人」。
LAAD では、
albino : MEDICINE a person or animal with a genetic condition that makes the skin and hair extremely pale or white
つまり、「(医学用語) 肌や髪を、きわめて色を薄く、または白くするような遺伝子状態を持つ人間または動物」。

windshields の shield は名詞で「盾(たて)」、動詞 shield A from B の形で「A を B から守る、保護する」という意味。
ですから、windshield は「風から守る、風を防ぐ」という意味の「風防」で、自動車のフロントガラスを指します(「フロントガラス」という言葉は和製英語)。
authority は「権威、権力」という名詞でまずは覚えることが多いと思うのですが、ここでは「当局」「公共事業機関」のニュアンスで使われています。
port 「港」の公共機関なので、港湾管理局のようなものに当たるでしょう。
そこで自動車の窓を拭いていた、というのは、そうすることでお金を稼いでいた、という感覚ですね。
(2016.12.21 追記)
port authority について、コメント欄でご指摘いただきました。
これは「ポート・オーソリティ・バスターミナル(Port Authority Bus Terminal)」で、NYマンハッタンにある巨大なバスターミナルのこと。
ニューヨーク・ニュージャージー港湾公社(Port Authority of New York and New Jersey)が所有・運営しているため、このような名前になっているようです。
下のコメント欄に訂正と追加説明がありますので、詳しくはそちらをご覧下さい。
(追記はここまで)

ママが自殺した、という最初の話に続いて、ここではその彼までもが自殺した、と語るので、聞いているレイチェルも「え?」という驚きの表情を浮かべています。
そしてフィービーは、その頃、アロマセラピー(アロマテラピー)を見つけた[に出会った]と言います。
アロマセラピーはアロママッサージなどを行なったりしますので、少し前のシーンで、フィービーがモニカに「足出して」と言って足をマッサージしてあげていたことが、このアロマセラピーの話と繋がる気がしますね。

若い頃の自分の過去を語ったフィービーは、「だから信じて」と言った後、I know exactly how you feel. と言います。
exactly は「まさに」「正確に」で、I know exactly how you feel. は「あなたの感じていること、あなたの気持ちがまさに手に取るように正確にわかるわ」という感覚。
「私はこんな経験をした。だから私はあなた(レイチェル)の気持ちがよくわかるわ」と言った後、フィービーは満足そうに立ち上がり、聞いていたレイチェルの方は茫然としています。

レイチェルは苦労知らずのお金持ちのお嬢様ですから、このフィービーの境遇とは全く違った世界で育っていました。
育った環境が全然違うのに、「あなたの気持ちは完全にわかる」と言われても、、というところでしょう。
モニカに「いつまでも親に頼るつもり?」みたいに非難された後、フィービーは「初めての自活は大変なのよ」とレイチェルをかばうような発言をしていたので、レイチェルも最初は喜んだのでしょうが、想像を絶する話を聞かされて茫然とするしかないわけですね。


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posted by Rach at 12:54| Comment(6) | フレンズ シーズン1改 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年12月16日

俺のことをよくご存知で フレンズ1-1改その34

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18:11
(ENTER RACHEL WITH SHOPPING)
レイチェルが買い物(袋)を持って登場。
レイチェル: Guess what? (何だと思う?)
ロス: You got a job? (仕事をゲットしたの?)
レイチェル: Are you kidding? I'm trained for nothing. I was laughed out of 12 interviews today. (冗談でしょ? 私は何のトレーニング[職業訓練]もしてないのよ。今日、12個の面接で、(面接官に)笑って追い出されたわ。)
チャンドラー: And yet you're surprisingly upbeat. (それでも、びっくりするほど上機嫌だね。)
レイチェル: Well, you would be too if you found Joan and David boots on sale 50% off. (そうね、あなたも私と同じように上機嫌になるわよ、ジョーン・アンド・デイビッドのブーツが 50%オフの特価になっているのを見つけたら。)
チャンドラー: Oh, how well you know me. (おぉ、君は俺のことをよくご存知で。)
レイチェル: They're my new "I don't need a job, I don't need my parents, I've got great boots" boots. (これは私の新しい、「仕事なんていらない、両親もいらない、私は素敵なブーツを手に入れた」ブーツなのよ。)
モニカ: How did you pay for them? (その(ブーツの)お金をあなたはどうやって払ったの?)
レイチェル: Uh, credit card. (あー、クレジットカードよ。)
モニカ: And who pays for that? (そして、誰がそれ(カードの代金)を払うの?)
レイチェル: Um... my... father. (あー、私の…お父さん。)

guess は「推測する」。
Guess what? を直訳すると「何があったか当ててみて」ということで、何かビッグニュースがあった時などに、「ねぇ聞いて聞いて。何があったと思う?」と相手に期待させて話を切り出す時の決まり文句です。
"I'm gonna go get one of those... job things." と言っていたレイチェルが、喜んで帰ってくれば、「仕事をゲットしたの?」と思うのが普通ですよね。
それでロスも、You got a job? 「仕事をゲットしたの?」と返したのですが、レイチェルは、「私は何かの仕事をするような訓練を受けたことがないのに、仕事をゲットしたなんてありえないわよ」のように言っています。

I'm trained for nothing. を直訳すると「私は何に対しても訓練されていない」というところで、「私は職を得るための訓練を何も受けてないのよ、何の職業訓練もしてないのよ」、つまり「職業のスキルが皆無なんだから、仕事ゲットできるわけないじゃない」と言いたいのですね。

interview はいわゆる「インタビュー」ですが、仕事の話だと job interview 「就職の面接」を意味します。
I was laughed out of 12 interviews today. は、They (= interviewers) laughed me out of... ということで、「面接官が笑って私を面接から追い出す」ようなニュアンスになると思います。
「今日、12個の面接で、(面接官に)笑って追い出されたわ」というところでしょう。
経歴も職歴もなくスキルもない状態で君は応募してきたのか? と面接官にあざ笑われて、面接を退出した、面接室から追い出された感じが出ていると思います。

surprisingly は「驚くほど」、upbeat は「上機嫌な、陽気な、明るい」。
仕事がゲットできなかったと言っているわりには、意外なほど元気だねぇ、ということです。

you would be too if you found... というのは仮定法過去。
「もしあなたが〜を見つけたら、あなたも(私と)同じように(上機嫌に)なるでしょう」ということ。
この found (find) は、find+目的語+補語の形で、「目的語が補語の状態であるのを見つける」。
find Joan and David boots on sale 50% off だと、「ジョーン・アンド・デイビッドのブーツが 50%オフの特価である[50%オフでセール中である]のを見つける」になります。

Joan and David で Google画像検索すると、靴の写真ばかりがズラリとヒットしますので、実在の靴ブランドであることがわかりますね。
Joan and David は、妻である Joan Helpern とその夫の David Helpern が作った会社で、妻の Joan さんがデザイナーだったようです。
Joan さんの英語版ウィキペディアは以下(その中に Joan & David という会社の説明もあります)。
Wikipedia 英語版: Joan Helpern
ウィキペディアによると、Joan さんは今年(2016年)5月に89歳でご逝去されたとのことです。

お気に入りのブランドの靴が半額になっていると喜んでいるらしいレイチェルが「あなたもこの靴が半額だと知ったら、私みたいにご機嫌になっちゃうわよ」と言ったことに対して、チャンドラーは、Oh, how well you know me. と言っています。
how well you know me. は感嘆文の形。
「(そんなことを言うなんて)君は俺のことをなんてよく知ってるんだ!」という意味になりますが、実際のところは、「俺は女の子じゃないし、君みたいにブーツに興味はないから、あなただってこれが50%オフなら大喜びするわよ、という推測は外れてるよ」と言いたいのですね。
「俺はそんなものに興味がない、ってこと、ちっともわかってないねぇ。俺がそんなことで喜ぶはずないだろ」という本音を、「いやぁ、俺のことをよくご存知ですねぇ〜」と皮肉っぽく言った感覚になるでしょう。

They're my new "I don't need a job... という長いセリフについて。
引用符でくくられている長い部分 "I don’t need a job...I've got great boots" が、文の最後に位置する boots という名詞を、形容詞的に修飾しています。
引用符ではなく、I-don't-need-a-job... のように、すべてをハイフンで結んで形容詞的に使う場合もあります(なるほど英文法 p.266)。
参考までに、DVD英語字幕では引用符、Netflix ではハイフンが使われていました。

「これは私の(これこれこういう)ブーツなのよ」と、引用符部分でブーツを説明しているわけですが、「おしゃれでスタイリッシュなブーツ」などのように形容詞で説明するのではなく、「仕事なんていらない、両親もいらない、私は素敵なブーツを手に入れた」って感じの、そういう気持ちで表現されるブーツなのよ、と言っている感覚になります。
「仕事も親も必要ないわ。だって私はこんなに素敵なブーツを手に入れたんだもの!」っていうそのブーツ! みたいな感じですね。

How did you pay for them? は「どうやって[どのようにして]そのブーツのお金を払ったの?」ということで、代金を支払った方法を尋ねる感覚。
「どうやって?」に「クレジットカードで払った」とレイチェルが答えると、モニカは続けて「そして、誰がそれ(そのカードの請求金額)を払うの?」と尋ねます。
レイチェルは、言いにくそうな顔をして、「マイファーアー」みたいな不明瞭な発音で、カードの支払は父親が行なうと答えます。
面接が失敗しても、素敵なブーツをゲットしてご機嫌なレイチェルでしたが、モニカに「逃げ出してきたのに、買い物のお金を親に出してもらうつもり?」みたいに指摘された形になり、レイチェルの元気もなくなってしまうわけですね。


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posted by Rach at 13:48| Comment(0) | フレンズ シーズン1改 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年12月14日

より洗練された答えを探してる フレンズ1-1改その33

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17:30
(CUT TO THE GANG MINUS RACHEL AT CENTRAL PERK)
セントラルパークの、レイチェルを除くフレンズたちの場面にカット。
ジョーイ: (PERCHED ON THE SIDE OF THE SOFA) Of course it was a line. ([ソファの反対側に腰掛けた状態で] もちろん、嘘の作り話だったんだよ。)
モニカ: Why?! Why? Why, why would anybody do something like that? (どうして(なぜ)? どうして? どうして、どうして、そんなことをしたりする人がいるの?)
ロス: I assume we're looking for an answer more sophisticated than... "To get you into bed." (僕が思うに、僕たちは(今)もっと洗練された[上品な]答えを探してるんだよ… 「君をベッドに連れ込むため」よりもね。)
モニカ: Is it me? Is it like I have some sort of beacon that only dogs and men with severe emotional problems can hear? ((こうなった原因は)私なの?[私のせいなの?] 犬と、深刻な感情的問題を抱えている男だけが聞こえるようなビーコン(信号)のようなものを私が持ってるみたいなことなの?)
フィービー: All right, c'mere, gimme your feet. (SHE MASSAGES THEM) (いいわ。こっちに来て、足を出して。[フィービーがモニカの足をマッサージする])
モニカ: I just thought he was nice, y'know? (私はただ、彼はいい人だと思ってたのに、でしょ?)
ジョーイ: (BURSTS OUT LAUGHING AGAIN) I can't believe you didn't know it was a line. ([またプッと噴き出して] モニカが作り話だとわからなかったなんて、信じられないよ。)
(MONICA PUSHES HIM OFF THE SOFA.)
モニカはジョーイをソファから突き落とす。

line の基本語義は「線、ライン」ですが、「(ドラマや芝居の)セリフ(台詞)」の意味もあります。
メインキャラのジョーイが俳優であることから、フレンズでは「セリフ」という意味でよく登場します。
「本人の言葉ではなく、役者としてのセリフ」という意味からの連想なのかなぁ、と思うのですが、line には「嘘の発言、作り話」のような意味があり、今回もそのような意味で使われています。
研究社 新英和中辞典では、
line=【C】 《口語》 偽りの[大げさな]話
He gave [《英》 shot] me a line about what a success he was. 彼はどれほど出世したか私にほらをふいた。


LAAD (Longman Advanced American Dictionary) では、
line : REMARK [countable] (informal) something that someone says, especially something you think is insincere or dishonest
例) She gave me a line about her mother being sick.

つまり、「発言。誰かが言う言葉、特に誠実でない、正直でないと思うようなこと」。例文は「彼女は、彼女の母親が病気であるという嘘の話を私にした」。

「どうしてそんなことをしたりする人がいるの?」と Why を連発するモニカに、兄であるロスは、I assume 以下のセリフを言っています。
assume は「推測する、(証拠はないが)〜だと思う」。
「洗練された答えを僕たちは探しているところ」のように言っていますが、an answer more sophisticated than... 「〜よりももっと洗練された答え」のように比較級を使っていることから、than 以下では「あまり洗練されていないダイレクトすぎる言い方」が続くことが示唆されます。
その後、than 以下に「君(モニカ)をベッドに連れ込むため」という表現が続いているので、ロスのセリフ全体としては、「もっと上品な言い方があるといいんだけど、見つからないんでダイレクトに言っちゃうと[身も蓋もない言い方をしちゃうと]、「君と寝たかったから」ってことだね」と言い切っていることになります。

Is it me? は「こうなった原因は私なの? 私のせいなの?」という感覚(なるほど英文法 p.55)。
beacon は「ビーコン、信号」。
「犬と、深刻な感情的問題を抱えている男だけが聞こえるようなビーコン(信号)」というのは、犬、そして心に問題がある男だけを引き寄せるようなビーコンを私は発信してるの? ということですね。
ここで、dogs と言っているのは、「自分には男運がなくて、問題ある男以外に寄ってくるのは犬(オス犬)くらいかしら」というような自虐的な表現になるでしょう。
「どうして私はこんなに男運がないの? 全部私のせいなの?!」と嘆くモニカを見て、フィービーはモニカの心を落ち着けるためでしょう、「足を出して」と言ってマッサージを始めます。

I just thought 「思ってたのに」というのは、「こうしてだまされたと知るまではそう思っていた」ということで、「だまされたとわかった今は、彼のことを nice だとは思っていない」という感覚になります。
このように、I thought という過去形を使うことで、「以前は〜と思っていた(でも実際は違った)」というニュアンスを出すことができるのですね(なるほど英文法 p.22)。

モニカは悲しげな様子で「彼はいい人だと私思ってたのに(裏切られて悲しい、ショック)」と言っていて、聞いているフレンズたちもしんみりした雰囲気ですが、モニカの言うことを「うんうん、わかるよ」とうなずいていたように見えたジョーイは、急に噴き出して、「作り話(line)だったとモニカがわからなかったなんて、信じられないよ」と言っています。
最初に「もちろん、そんなの作り話だよ」と言ったのがジョーイでしたが、モニカの話を聞いた後でも、またそれを繰り返して「そんな男のありがちな嘘にだまされるなんて、信じられないよ」と言っているのですね。
信じたモニカがバカだと言わんばかりのジョーイに対して、モニカは仕返しのように「もう!」という感じでジョーイを突き飛ばし、ソファの端に腰掛けていたジョーイは、押された勢いで落ちてしまうことになります。
モニカがちょっと押しただけなのに、足を高く上げて、大きな動きで落ちるジョーイの動きがいかにもコメディっぽいですね。


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posted by Rach at 16:11| Comment(0) | フレンズ シーズン1改 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年12月12日

私と同じようにあなたも知ってるの? フレンズ1-1改その32

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16:52
SCENE 5: IRIDIUM (JUST MONICA, WORKING)
イリジウム(レストランの名前)。モニカだけが働いているところ。
(ENTER FRANNIE)
フラニーが入ってくる。
フラニー: Hey, Monica. (はーい、モニカ。)
モニカ: Hey, Frannie. Welcome back. How was Florida? (はーい、フラニー。お帰りなさい。フロリダはどうだった?)
フラニー: You had sex, didn't you? (あなた、エッチしたわね?)
モニカ: How do you do that? (どうしてわかるの?)
フラニー: So, who? (それで、(相手は)誰?)
モニカ: You know Paul? (ポール、知ってるでしょ?)
フラニー: Paul, the wine guy? Oh yeah, I know Paul. (ワイン担当のポール? ええ、(もちろん)私はポールを知ってるわ。)
モニカ: You mean, you know Paul like I know Paul? (それって、私がポールを知ってるように[私と同じように]ポールを知ってるってこと?)
フラニー: Are you kidding? I take credit for Paul. Y'know, before me, there was no snap in his turtle for two years. (冗談でしょ[当然よ]。私はポールに貸しがあるの[私はポールの恩人なの]。ほら、私が現れる前は、彼のタートル[カメ]は2年間元気がなかったのよ[ピクリとも動かなかったのよ]。)

このシーンの最初には、Iridium と書かれたレストランの外観が映っています。
その後、シェフの格好をして料理をしているモニカが映っていますので、これがモニカの職場であることがわかります(ちなみに「イリジウム」は元素の名前で、原子番号は77、元素記号は Ir です)。

モニカが一人で料理しているところに、同じ服を着た女性が入ってきたので、彼女が同僚シェフであることがわかりますね。
Welcome back. は「お帰りなさい」、How was Florida? は「フロリダはどうだった?」ということなので、その話の流れから、「フラニーは(旅行か何かで)フロリダに行ってきたらしい」ことがわかります。

日本では、家族が家に帰ってきた時に「お帰りなさい」と毎日のように言いますが、英語では日々のお決まりの挨拶のように Welcome back. と言うことはありません。
フレンズでも、誰かが家に帰ってきた時は、Hey. Hi. という挨拶や、How was your date? 「デートはどうだった?」みたいな今日の様子を尋ねる言葉から会話から始まりますが、そこで毎回、Welcome back. と言うのを聞くことはないですね。
Welcome back. というのは、しばらくここを離れていて、久しぶりに帰ってきた人に言うニュアンスの言葉になります。

How was Florida? は、how を使って、フロリダが「どう」であったかを尋ねる感覚。
How was...? は、How are you? と同じことで、... に当たるものの様子、感じを尋ねる表現で、フレンズでは、How was your date? 「デートはどうだった?」、またその変形バージョンで be動詞ではなく go を使った、How did the audition go? 「オーディションはどうだった?」というのも登場します。

フロリダに旅行してきたらしいフラニーは、フロリダについては答えずに、即座に「モニカ、エッチしたでしょ」と言っています。
語尾に didn't you? がついた付加疑問文ですが、語尾の発音の調子が下がっているので、相手に「したのね?」と尋ねるというよりは、「あなた、エッチしたでしょ! そうなんでしょ!」とかなりの確信を持って問い詰めているようなニュアンスが感じられます。

次のモニカの How do you do that? を直訳すると、「どのようにしてあなたはそうするの[そんなことをするの]?」になるでしょう。
DVD の日本語訳は、「(字幕)分かるの?/(音声)なんで分かったの?」となっていましたが、まさにそういうニュアンスでしょうね。
do that は、「私(モニカ)は何も言っていないのに、”モニカはエッチしたんでしょ!”とわかる、気づく、当てる」ことを指していると思います。
「どのようにしてそんなことがわかるのか?」→「どうしてわかるの? なんでわかったの?」という意味になるわけですね。

モニカが「どうしてわかるの?」と言ったということは、フラニーの指摘が正しいと認めたことになるので、フラニーは続けて、「それで、相手は誰なのよ?」のように尋ねてきます。
モニカは軽い感じで、「ほら、あなたも知ってるでしょ、相手はポールよ」と言うのですが、フラニーの返事は、"Oh yeah, I know Paul." というものでした。
仕事仲間なので知ってるのは当然なのに、わざわざフラニーが、I know Paul. と言い直したところがモニカも気になったようで、You mean, you know Paul like I know Paul? のように聞き直しています。

普通の会話では、"You know Paul?" みたいに聞かれたら、"Paul the wine guy? Oh, he's so cute." 「ワイン担当のポール。あぁ、彼って素敵よね」みたいな会話が自然な流れになるでしょう。
ところが今回のように、You know..? という質問に対して、I know とわざわざ言うと、それはまるで、「もちろん知ってるわ。知ってるに決まってるわ」という風に、相手に挑戦的な態度を取っているように聞こえてしまいます。
日本語で言うと、「あぁ、彼のこと? 彼なら”知ってる”わよ」のように、「知っている」という部分を、さも「よーく知っている」のように強調して言うようなニュアンスになるでしょう。

少し前の記事、私たちはそうやって物を買う フレンズ1-1改その29 で、
レイチェル: So, like, you guys all have jobs? (それで、ほら、あなたたちはみんな仕事を持ってるの?)
モニカ: Yeah, we all have jobs. See, that's how we buy stuff. (えぇ、私たちはみんな仕事を持ってるわよ。ほら、そうやって私たちはものを買うの。)
というやりとりが出てきた時にも解説しましたが、相手が尋ねた文章とほとんど同じ文章を「わざわざ」繰り返すのは、「ええ、”もちろん、当然” そうよ」のように強調している感覚になるということですね。

「私がポールを知ってるかって? ええ、もちろん私はポールを”知ってる”わよ」のようなフラニーの意図を感じ取ったモニカは、You mean を使って、あなたが言おうとしているのはこういうこと?と尋ねています。
You mean... は、「(あなたが言ったのは、あなたが言いたいのは)〜という意味ですか?、〜ということですか?」と、相手の言いたい意図、意味を確認するフレーズ。
この場合は、あなたが I know Paul. と言ったのは、「私はポールと親しくなってエッチまでしたけど、あなたもそういうレベルでポールを知ってる、って意味なの?、そう言いたいの?」と確認しているのですね。

それに対してフラニーは、Are you kidding? 「冗談でしょ」と返します。
「私と同じように知ってるの?」と驚くモニカに対して、「知ってるなんてどころの騒ぎじゃない。そんなふざけたこと聞かないでよ」という感覚ですね。

credit は「功績」で、take credit for は「〜のことで功績がある(と思う)、〜のことで役立ったと思っている、〜のことで手柄がある」。
ここでは「ポールのためになることを私はしてあげた、私はポールの恩人なのよ」みたいなことが言いたいようです。
before me は「私が現れる前には、彼が私に会う前には」。
turtle は「タートル、カメ」ですが、ここでは暗に「カメ」の姿から連想されるような(笑)彼の大事な部分、彼の「モノ」を指しています。

there was no snap in his turtle for two years を直訳すると、「2年間、彼のタートル(彼のモノ)には snap がなかった」になるでしょう。
snap という単語は、動詞では「パチン、ピシッと鳴らす」「(ふたなどを)パタッと閉める」という感覚。
そのパチン、ビシッ、パタッ、という感覚から、「パクリと噛む(かむ)、かみつく」という意味もあり、snapping turtle だと「カミツキガメ」を指します。
今回のセリフでは、there was no snap in という形になっているので、snap は名詞ですね。
研究社 新英和中辞典では、名詞の項目に以下の語義が載っていました。

snap=【名】
T 【C】 パチッ[パタッ、ピシャ、ピシッ]といわせること、ポキンと折れること、ブッツリ切れること、パチンと割れること、パチンと閉まる音
U 【C】1 食いつくこと 2 (すばやく)ひったくること、ひっつかむこと
X 【U】 《口語》 精力、元気、活気。きびきびしたところ
a style without much snap あまりぴりっとしない文体


基本的には「パチッ、ビシッ」という音がするイメージで、そのイメージから「そういう音を出して素早く動く」ことも意味することになるでしょう。

no snap in his turtle のように、snap と turtle という言葉が同時に使われているので、先ほど説明した snapping turtle 「カミツキガメ」の連想も働くのですが、「彼のカメの中に(in his turtle) snap が存在しなかった」のような存在を表す there was 構文は、「彼のカメは2年間噛みつかなかった」という意味にはならないような気が私にはしました(「カメ”の中に”かみつくことが存在する」だと意味不明な気がする、という意味で)。

もし彼のモノを動物のカミツキガメに例えて、本来するべき行動・動きをしなかった的な意味で「彼のカメは2年間噛みつくことがなかった」と言いたいのであれば、before me, his turtle hadn't snapped for two years. のように、turtle を主語(S)、snap を動詞(V)の形で表現するように思うのですね。

ですから「カミツキガメが噛みつくこと」という連想の snap ではなく、「パチッ、ビシッとすばやく動くイメージ」や「元気、活気」みたいな意味で使っているような気が私はした、ということになります。
つまり、彼のタートルは2年間も元気がなかったんだけど、私と出会って、彼のタートルが元気になった、みたいなことを言っているように思うのです。
私に会うまで、私が現れるまでの2年間は、彼のタートルはピクリとも動かなかったのよ、みたいな感じかなぁ、と。

フラニーは2年間(two years)という言葉を出していますね。
日本料理店でのデートのモニカとポールの会話でも、「妻に逃げられてから2年間、性的に機能していない」と言っていましたので、2年間という年数が同じであることも含め、モニカに語ったのと全く同じ話を、それより以前にフラニーにも言っていたことがわかります。
それは当時に、「私は彼の恩人よ」と偉そうに言っているフラニーも、モニカと同じようにポールの作り話に騙されて寝た女性の一人、ということにもなるわけですね。
「妻に逃げられてから不能なんだ」という話をして女性の同情を買いエッチに持ち込むというのがポールの作戦だった、ということがここでわかったことになるでしょう。

ポールとデートして嬉しそうだったモニカに対しても、「こんな僕でもまたデートしてくれるかな」のようにどこまでも控えめな態度を崩さなかったポールでしたが、それも全て「妻に逃げられてから自信をなくしている男」の演出の一つ、相手の同情を誘うポーズだったということでしょうね。


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2016年12月09日

口にハンガー入れて寝たみたい フレンズ1-1改その31

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16:06
モニカ: So how you doing today? Did you sleep okay? Talk to Barry? I can't stop smiling. (それで今日はどう? よく眠れた? バリーと話した? 私、笑みが止まらないわ。)
レイチェル: I can see that. You look like you slept with a hanger in your mouth. (見てそうだとわかるわ。あなたはまるで、口の中にハンガーを入れて寝たみたいに見えるもの。)
モニカ: I know. He's just so... Do you remember you and Tony De Marco? (そうね。彼はただすっごく… あなたとトニー・デ・マルコのことを覚えてる?)
レイチェル: Oh, yeah. (ええ。)
モニカ: Well, it's like that. With feelings. (えーっと、そんな感じなのよ。感情付きの。)
レイチェル: Oh wow. Are you in trouble! (わお。あなた、ほんとに大変ね!)
モニカ: Okay. Okay. I am just going to get up, go to work, and not think about him all day. Or else I'm just gonna get up and go to work. (よし、いいわ。私は今から起きて、仕事に行く、そして一日彼のことは考えない。でなければ(あるいは)、ただ起きて仕事に行くわ。)
レイチェル: Oh, wish me luck! (あぁ、幸運を祈ってて!)
モニカ: What for? ((幸運を祈るって)何に対して?)
レイチェル: I'm gonna go get one of those... job things. (私はこれからゲットしに行くのよ、そういう… 仕事ってやつをね。)
(EXIT MONICA)
モニカ退場。

So how you doing today? は「今日は調子どう?」という感覚。
how you doing の部分は、文法的に言うと、how are you doing という現在進行形になるところですが、セリフのような口語では、be動詞の are が省略された、こういう形になることがよくあります。
後にジョーイのキャッチフレーズとなるナンパのセリフに、How you doin'? というものがありますが、それも常に、be動詞のない How you doin'? の形で使われています。
現在進行形の be動詞は強く発音されないので、かすかに発音される、もしくは全く発音されずに省略されてしまうわけですね(なるほど英文法 p.242)。

Did you sleep okay? というのも、なかなか口語っぽい表現です。
この位置に okay があることから、okay が副詞として使われていることがわかります。
無理矢理訳すと、「あなたは okay に寝た?」というところですね。
この副詞の okay については、研究社 新英和中辞典では以下のように出ていました。
O.K., OK=【副】好調に、うまく、ちゃんと
The machine is working O.K. 機械は好調に動いている。
We're doing O.K. 我々は順調にやっている。


「うまく、ちゃんと」(動詞)する、ということですから、副詞 well によく似た感覚になるでしょう。

Talk to Barry? はいきなり動詞で始まっていますが、だからと言って命令形ではなく、Did you talk to Barry? の Did you が省略された形です。
その前に Did you sleep okay? と言っているので、その流れで、あえてわかりきった Did you は省略して、いきなり動詞から続けている感覚です。

結婚式から逃げ出したレイチェルのことを気遣うような言葉を言いながらも、自然と笑顔になってしまうモニカは、自分で「笑みが止まらないわ」と言っています。
I can see that. は「それ(モニカが笑みが止まらないこと)がわかる・見える」という感覚ですので、「あなたがそうなのは、見ていてわかるわ、見てわかるわ」と言っていることになるでしょう。
look like は「〜のように見える」。
you slept with a hanger in your mouth の with は付帯状況を表しており、「口の中にハンガーを入れた状態で」あなたは寝た、と言っていることになります(なるほど英文法 p.182)。
つい嬉しくて笑ってしまい、口角上がりすぎ、みたいな口が横に広がっている状態の表情を見て、「口にハンガー入れた状態で寝たかのように、口が思いっきり横に広がってるわよ」と言ってみせたわけですね。

そのレイチェルの表現を I know. 「そうね」と受けた後、モニカは「彼(ポール)はただとっても…」と言いかけてから、「あなたとトニー・デ・マルコ(のこと)を覚えてる?」と言います。
自分がデートして、一夜を過ごしたポールのことを語るために、レイチェルとその男性の名前を出したということは、レイチェルとトニーもそういう恋愛関係にあっただろうことが想像できます。

it's like that. は「そんな感じ(なのよ)」。
With feelings. は恐らく「感情付きの」というニュアンスだろうと思います。
「レイチェルとトニーみたいな感じだけど、さらに感情付きなの」と言っているように私は解釈したのですが、それはつまり、「あなたとトニーの場合は感情・気持ちはなかったけどね」→「あなたとトニーはただ体だけの関係だったけどね」みたいに言ったのかなぁ、と思います。

モニカはポールと一夜を過ごした後、レイチェルの前でずっとニヤけていますが、そこにはポールが好きで好きでたまらない、みたいな感じが出ていますよね。
「エッチした」という行為だけではなく、二人の気持ちが通じ合ったのが嬉しいみたいなことをモニカは言いたくて、「あなたとトニーの場合とは違って、私とポールの間には気持ちもしっかりあるのよ」と嬉しそうに言ったのかなぁ、と思ったわけです。

それを聞いたレイチェルは、Are you in trouble! と言っています。
Are you という倒置の形になっていますが、最後が疑問符(?)ではなく、感嘆符(!)になっていますし、疑問文のように語尾が上がっているわけでもないので、これは疑問文ではありません。
何かに驚いた時などに、このような倒置の形の文にすることがあり、今回もその一例だと思います。
倒置という特殊な形にすることで、驚きをさらに強調している感覚ですね。
これから先のフレンズでも時折そのような「強調の倒置」が出てくるのですが、同じシットコムである「フルハウス」でも、このような倒置をよく見かけます。

「フルハウス」シーズン1だけでも、以下に挙げるセリフで倒置が使われています。
1-2 Boy, are you strict.
1-2 Boy, are you gonna get it.
1-5 Oh, boy, am I a happy camper.
1-7 Champ, I'm sorry. Oh, boy, am I sorry.
1-11 Boy, am I in trouble. Joey?
1-14 Boy, does he work fast.
1-21 Really? Boy, did she rip off Madonna.

他にも、「スター・ウォーズ エピソード4 新たなる希望」(Star Wars IV A NEW HOPE) でも、
Boy, am I gonna get it.
Boy, am I glad to see you.
というセリフが出てきます。
ちなみに、2つ目のセリフは、探していたベン・ケノービ(オビ=ワン・ケノービ)にやっと会えた時にルークが言っていたセリフ。
倒置にすることで、「やっと会えた!」感が出ているわけですね。

上に挙げたフルハウスやスター・ウォーズの倒置の形では、どれも文頭に Boy (または Oh, boy)がついていることに気づきます。
Boy というのは「いやはや、全く」という驚きなどを表す間投詞。
今回のレイチェルのセリフには、Boy はついていませんし、こういう倒置に Boy が必須条件ということでもないでしょうが、強調の倒置は間投詞の Boy との組み合わせの相性が良い、ということは言えると思います。

倒置となっているのは疑問文ではなく、驚きを強調しているとわかったところで、このレイチェルのセリフの意味を考えてみます。
Are you in trouble! は、You are in trouble! を強調したニュアンスだとすると、「あなたはトラブルの中にいるわ!」ということですね。
be in trouble は「トラブルの中にいる」という直訳から想像される通り、「苦難に陥っている、困っている」という意味がありますが、このレイチェルのセリフを「あなた、苦難に陥っているわね、困ってるわね!」と訳すと何だか合わない気がしますよねぇ。

たまたま、上に挙げたフルハウスのセリフで、
1-11 Boy, am I in trouble. Joey?
というよく似たものが出ていますが、これは本当に困った状態の時のセリフで、日本語字幕も「参った」となっていました(このセリフからもわかるように「フルハウス」にも Joey という名前のレギュラーキャラがいます^^)。

レイチェルが言った Are you in trouble! は、言葉としては「あなた、困った状態になってるわね」みたいなセリフですが、言われたモニカの方は相変わらず嬉しそうな様子なので、レイチェルはとても幸せそうなモニカに対して、冗談っぽくその言葉を言ったのかなぁ、という気がします。
言うなれば「あなたほんとに大変な状態ね!」みたいなことで、例えに出されたレイチェルとトニーは「感情のない関係だった」のと比較して、モニカとポールは感情あふれた恋愛となっている状況を、「私の場合は、気持ちとか別に関係なかったから気楽だったけど、そんなに気持ちが入っちゃったら、あなた大変ねぇ」みたいに言ってみせたのかなぁ、と。

幸せそうなモニカは、さあ私も一日を始めなきゃ、という感じで、「ただこれから起きて、仕事に行って、そして一日、彼のことは考えないようにする」のように言っています。
get up は「起きる、起床する」ですね。
モニカはレイチェルとしゃべっていることからわかるように状態としては既に起きているわけですが、ポールとのことをあれこれ思い出している起き抜け状態の朝から、しっかり目を覚まして起き上がる、立ち上がる、活動する、のような感覚、朝の余韻からしっかり気持ちを切り替える、という意味で、get up という言葉を使ったのかなと思います。

一日中ポールのことを考えてしまいそうだから、わざと言葉に出して「仕事に行ったら、今日一日彼のことは考えない!」と宣言したのですが、やっぱりきっと考えちゃうから、自らそれをやめる宣言をすることないと思ったのでしょうね、not think about him all day の部分のみカットする形で、「起きて仕事に行くわ」という言葉を繰り返しています。
or else は「でなければ、あるいは」。
「A, B, C をする。あるいは、A, B をする」のように表現することで、「C はやめるわ」みたいに言わずに、C だけを取り消したことを示しているわけですね。

wish someone luck は「(人)に幸運を祈る」ですから、Wish me luck! は「私に幸運を祈って(祈ってて)!」
What for? を完全な文章にすると、What do you want me to wish you luck for? になるでしょう。
幸運を祈るには、何かに向けて祈るという対象が必要になるので、「何に向けて、何に対して、何に幸運を祈るの?」とその対象を尋ねた感覚になります。

I'm gonna go get one of those... job things. の go get は、go to get もしくは go and get の意味で「ゲットしに行く」。
口語ではこのように、to や and が省略されて、go+動詞の原形の形で使われます(なるほど英文法 p.217)。

one of those は「そういう(よくある)ものの一つ」というニュアンスで、みんながしている、持っているというそういう仕事の一つ、という感覚(なるほど英文法 p.349)。

job things は、job という単語に漠然とした「もの、こと」を表す things をつけた形。
仕事をしたことのないお嬢様育ちのレイチェルには、job という言葉がしっくりこないのでしょう。
「その、みんなが job って言ってるやつ」みたいに job things と表現しているところに、いかにも「job がどんなものかよくわかっていない人」っぽいところが出ていますね。


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posted by Rach at 16:24| Comment(0) | フレンズ シーズン1改 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年12月07日

ピノキオ公演見たなら話は別だけど フレンズ1-1改その30

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15:45
モニカ: Oh wait, wait. Unless you happened to catch the Wee One's production of Pinocchio. (あぁ、待って待って。もしあなたがたまたま、ウィーワンのピノキオ公演を見たことあったりしたら話は別だけど[ウィーワンのピノキオ公演ならもしかしたら見たことあるかもよ]。)
チャンドラー: "Look, Geppetto. I'm a real live boy." (「見て、ゼペット(おじさん)。僕は本物の生きた少年だよ」)
ジョーイ: I will not take this abuse. (WALKS TO DOOR AND OPENS IT TO LEAVE) (こんな嫌がらせを俺は受け入れないぞ。[ドアに歩いて行き、出るためにドアを開ける])
チャンドラー: You're right. I'm sorry. (BURSTS INTO SONG AND DANCES OUT OF THE DOOR) (そうだな。ごめんよ。[突然、歌とダンスを始めて、ドアから出て行く])
チャンドラー: Once I was a wooden boy A little wooden boy (♪ かつて、僕は木でできた少年だった。木でできた小さな少年だった ♪)
(EXIT JOEY AND CHANDLER)
ジョーイとチャンドラー退場。

レイチェルに「俳優やってるあなたを見たことあるかしら?」と言われたジョーイが、「ないと思うよ。主に地域の仕事をしてるから」と答えた後、それを聞いたモニカが「ちょっと待って」と言って、Unless 以下のセリフを言っています。
Unless 以下の部分は、

ネットスクリプトでは、unless you happened to catch the Reruns' production of Pinocchio
DVD英語字幕では、Unless you happen to catch the Wee One's production of Pinocchio
Netflix では、Unless you caught the wee ones production of Pinocchio

と表記されていました。
ネットスクリプトの表記にある rerun という単語は「再放送、再演」という意味ですが、お芝居の再演という意味での rerun だった場合には、reruns' のような所有格ではなく、the rerun of 作品名という形になることから、再演と言う意味で書いているわけではなさそうです。
Reruns' という大文字表記になっているのは「リランズ」という固有名詞に聞こえたということかもしれません。
固有名詞っぽく聞こえたということであれば、ファンが耳で聞いて書き起こしたネットスクリプトよりも、DVD や Netflix の方が情報としてはオフィシャルだと思うので、ここは、the Wee One's または the wee ones が正しいと判断すべきでしょう。

production は、日本語で「プロダクション」と言うと、芸能プロダクションのような「制作(製作)会社」のイメージが浮かびますが、今回のセリフでは「製作、上演」または「製作作品、上演作品」の意味になるようです。
研究社 新英和中辞典の例文では、
put on a production of Hamlet ハムレットを上演する
と出ていました。
これに倣うと、production of Pinocchio は「ピノキオの上演・公演」ということになるでしょう。

wee は「小さい、ちっちゃな」という意味のようです。
LAAD (Longman Advanced American Dictionary) では、
wee [adjective, usually before noun] : (old-fashioned) very small
例) a wee girl

Macmillan Dictionary では、
wee [adjective, scottish] : small
例) a wee child

ロングマン、マクミランとも、「(非常に)小さい」という意味で、「ちっちゃな少女・子供」のような使い方をするということですね。

wee one または wee ones ということであれば、little one/ones 「(小さな)子供(たち)」と似たようなニュアンスだろうと思います。
「ピノキオ」は、原作がイタリア児童文学で、ディズニーによってアニメ化もされたような「子供が好きな作品」のイメージですよね。
俳優のジョーイが出ているお芝居の説明で、「ウィーワン(ズ)製作のピノキオ」ということであれば、「小さな子供たち」を意味する Wee One(s) という組織は、子供向けのお芝居を製作するようなイメージの固有名詞なのかなと思います。

catch は「捕らえる、つかまえる」で、この場合は「見つける」というニュアンス。
you happened to catch the Wee One's production of Pinocchio は「あなた(レイチェル)がたまたま(偶然に)ウィーワンのピノキオ公演を見つけた」。

文頭の Unless について。
unless は、if not 「もし〜でなければ」という意味で使われますが、先に何かを言った後で、付け足しのように Unless SV という形で登場した時には、「もし SV なら話は別だけと」と訳すとしっくりきます(なるほど英文法 p.321)。
「話は別だけど」というのは、その前にジョーイが言った「レイチェルは俳優の俺を見たことないはず」を否定する流れ、つまり「レイチェルは俳優のジョーイを見たことある」ということを指します。
レイチェルが「あなたが俳優してるとこ、私見たことあるかな?」と言い、ジョーイが「見たことないと思うよ。俺は主に(全国的じゃなく)地域の仕事しかしてないから」と言ったことを受けて、「あ、でもウィーワンのピノキオ公演をたまたまどこかで見かけた、とかなら話は別かもよ」→「ウィーワンのピノキオ見たかもしれないから、それなら見たことないってことにはならないわよね(俳優のジョーイを見たことになるわね)」と言ったわけですね。

ピノキオの話が出たので、チャンドラーは、ピノキオが言いそうなセリフを芝居じみた感じで言っています。
Geppetto は「ゼペット(じいさん・おじさん)」で、人形のピノキオを作ったおもちゃ屋さんの名前。
木でできた人形のピノキオは最後に人間の男の子になるのですが、チャンドラーはその時のセリフを真似していることになるでしょう。
今回話題に挙がっているのは(架空の制作会社と思われる)ウィーワンのピノキオ(公演)なのですが、似たようなセリフがあるかを確認するために、有名なディズニー映画のピノキオ(原題:Pinocchio、1940年公開)のDVDを借りて、童心に帰って^^ 見てみました。
最後に、人間の男の子になるシーンは、以下のようなやりとりになっていました。

ピノキオが死んでしまったと悲しんでいるゼペット。
ピノキオ: But, Father, I'm alive. See? And I'm... I'm... I'm real! I'm a real boy! (でも、お父さん、僕は生きてるよ。でしょ? それに僕は…僕は…僕は本物だ! 僕は本物の(本当の・人間の)男の子だ!)
ゼペット: You're alive and... and you are a real boy! A real live boy. This calls for a celebration! (お前は生きてる…そして、そして、お前は本当の男の子だ! 本物の生きてる男の子だ! これはお祝いしないとな!)

チャンドラーが真似したセリフと、ディズニー映画のピノキオのセリフを比べると、a real live boy という表現は同じですね。
real というのは人形だったピノキオが「本物の人間の男の子」になったという意味での real です。
大きく違うのは、Geppetto と Father という部分で、ディズニーのピノキオでは、ピノキオは、自分を作ってくれたゼペットおじさんのことを、(人形であった頃から)劇中ずっと Father 「お父さん」と呼んでいました。
チャンドラーのセリフも、Father となっていたら、よりディズニー版に近かったのでしょうが、ゼペットという固有名詞を出すことで、より「ピノキオという作品のセリフを真似している」ということが強調されるため、(脚本的に)あえて固有名詞を使ったということなんだろうなと思います。

take this abuse の take は「〜を受け入れる」、abuse は child abuse だと「児童虐待」になりますが、この場合は「嫌がらせ、悪口、悪態」というニュアンスになるでしょう。
チャンドラーのそのセリフの言い方に、「ジョーイは子供向けのお芝居に出てたよな」みたいな、ちょっとバカにするようなニュアンスを感じたので、ジョーイは「俺はこんな嫌がらせを受け入れないぞ」と言ったわけですね。

怒った様子のジョーイに、チャンドラーは謝っていますが、その後、踊り歌いながら部屋を出て行きます。
Once I was a wooden boy の once I was は「かつて僕は〜だった」。
wooden は「木でできた、木製の」。
チャンドラーのその歌とダンスは、ピノキオが自分のことを「僕は昔、木でできた男の子(の人形)だった」と歌っているイメージでしょう。
ようやく人間になれた後に、そんな歌を歌っていることもありえそうだったのですが、残念ながらディズニー版のピノキオにはピノキオがこんな歌を歌っているシーンはありませんでした(こんなメロディーとリズムの歌がディズニー映画に出てくるのでは? と期待したのですがw)

ただ、wooden という言葉は何度も出てきています。
ピノキオがまだ生命を持たないあやつり人形だった頃に、ゼペットおじさんがピノキオをあやつりながら一緒にダンスするシーンがあり、その時にゼペットおじさんが歌っていた歌に、wooden という言葉が登場します。
wooden が含まれている部分だけを挙げてみると、
Little woodenhead go play your part
Little wooden feet and best of all
Little wooden seat in case you fall
My little woodenhead


little woodenhead は「小さな木の坊や」と訳されていましたが、little wooden がピノキオの形容として何度も使われているのは確かです。
有名なディズニー映画と全く同じセリフや歌ではありませんでしたが、チャンドラーが使っていたキーワードはやはりディズニーと似た感じのものだった、ということですね。


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posted by Rach at 14:40| Comment(2) | フレンズ シーズン1改 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする