2017年05月04日

よくやってたことへのご褒美 フレンズ1-3改その12

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5:50
モニカ: Chandler, what are you doing? (PULLING HIM UP) Hey. What are you doing? (チャンドラー、何してるの? [チャンドラーを引っ張り上げて] ちょっと、何してるのよ?)
(CHANDLER TRIES TO SHRUG NONCHALANTLY BUT EVENTUALLY HE HAS TO EXHALE A MOUTHFUL OF SMOKE)
チャンドラーは何食わぬ顔で肩をすくめるが、ついには(たまりかねて)口いっぱいの煙を吐き出さなければならない。
みんな: Oh! Oh, God! (あぁ! もう!)
モニカ: Oh, gross! (もう、いやだぁ〜!)
ロス: What is this? (何だよこれは?)
チャンドラー: I'm smoking! I'm smoking! I'm smoking! (タバコを吸ってる! タバコを吸ってる! タバコを吸ってるんだ!)
フィービー: Oh, I can't believe you! You've been so good for three years! (まぁ、あなたって信じられないわ。3年間もよくやってたのに!)
チャンドラー: And this is my reward. (そして、これは俺のご褒美だよ。)
ロス: Hold on a second, all right? Just think about what you went through the last time you quit. (ちょっと待てよ、いいか? 最後に禁煙した時に自分がしたつらい経験について考えてみろよ。)
チャンドラー: Okay, so this time I won't quit. (わかった、だから今回は禁煙しないよ。)
みんな: Ohhh! Put it out! (もうー! (タバコの)火を消せよ!)
チャンドラー: All right! I'm putting it out, I'm putting it out! (HE DROPS IT IN PHOEBE'S COFFEE) (わかったよ! 消すよ、火を消すよ! [チャンドラーはフィービーのコーヒーの中にタバコを落とす])
フィービー: Oh, no! I- I can't drink this now. (あぁ、もう! これ飲めないわ、今は。)

チャンドラーがカウチの背面に身を乗り出して、何かこそこそしている様子なので、モニカは、What are you doing? と言って、チャンドラーを引っ張り上げるようにします。
そしてト書きの通り、「何のこと?」みたいな顔でチャンドラーは肩をすくめてみせますが、しばらく口を閉じていて、数秒してから口から煙を吐き出します。
タバコを吸っていたことがわかって、フレンズたちは口々に非難の声を上げています。
その反応のひとつ、Oh, gross. の gross は「実に不快な、胸の悪くなるような、ぞっとする」という意味。
Gross! という一言で、「いやだー、不潔ー、きたなーい」というニュアンスでよく使われます。
LAAD (Longman Advanced American Dictionary) では、
gross : (spoken) very disgusting to look at or think about (SYN: disgusting)
つまり、「そのことを見たり考えたりすることが非常に不快なこと」。

みんなに責められ、ロスに「何だよこれは」みたいに言われたチャンドラーは、I'm smoking! を3回繰り返します。
「見りゃわかるだろ、タバコ吸ってんだよ!」と開き直ったような発言ですね。
フィービーは信じられないと言って、「あなたは3年間、とても good だったのに」みたいな言い方をしています。
have been+形容詞で、3年間ずっと(形容詞)の状態だった、という継続を表す完了形ですね。
今タバコの話をしているので、ずっと good だったというのは、「3年間、タバコを吸わずに我慢してた、頑張ってた、よくやってた」ということになるでしょう。
And this is my reward. の reward は「褒美(ほうび)、報酬」。
「頑張ったことへのご褒美なんだよ」のように言って、右手のタバコを見せています。
LAAD では、
reward : something that you receive because you have done something good or helpful
つまり、「何か良いこと、または助けになることをしたという理由で、受け取るもの」。
この語義の have done something good と、セリフの have been good は、good という言葉が共通していますね。
「good なことをしたことに対して受け取るもの」が reward ですから、「ずっと good だったのに」と言ったフィービーの発言を受けて、「ずっと good だったから、reward として今このタバコを吸ってるんだ」みたいに言ってみせたことになります。
頑張って禁煙したことを称えて、ご褒美としてタバコを吸っている、という本末転倒なチャンドラーらしい屁理屈ですが、「ずっとタバコをやめてたのに、ずっと禁煙してたのに」という「タバコをやめた」ことを指すセリフではなく、「ずっと good だった」、つまり「ずっといい子にしてたのに」のような good であったと語ったセリフになっているおかげで、「good にしてたから、こうして reward をもらってる」ときれいに繋がるわけですね。
逆に言うと、「これは頑張った俺へのご褒美だ」というニュアンスにするために、「やめてた」という言葉ではなく、good という言葉を、脚本上フィービーに言わせた、ということにもなるでしょう。
フィービーのセリフには「あなたは(せっかく)3年間も頑張ったのに」というニュアンスがあるわけですが、チャンドラーはそれを And で繋げることで「俺は3年間頑張った。そして(だから)これがご褒美」と表現したことになります。

the last time SV は「S が V した最後の時、この前・最後に S が V した時」。
quit は「〜をやめる」。quit one's job なら「仕事をやめる、辞職する」。
この場合はタバコの話なので、quit smoking 「タバコを吸うのをやめる、禁煙する」ということですね。
ロスのセリフは、「またこんな風に吸い始めちゃったようだけど、最後に禁煙した時に、自分が go through したことをただ思い出せ」ということ。
go through は「通り抜けて行く、通り抜ける」という感覚から「体験する、経験する」。
「最後に禁煙した時に、体験したことを思い出せ」ということは「前に禁煙した時の、つらかった、苦しかった経験を思い出せ」と言っているわけですね。

Okay, so this time I won't quit. は「わかった、だから今回は(今度は)俺はやめない(禁煙しない)」という宣言。
やめるのがつらかったことは俺だって覚えてる。だから今回は禁煙するつもりはないんだ、このまま吸い続けるつもりだ、ということですね。

ここでの put out は「火を消す」。
タバコの火を消せ! とみんなに言われ、「わかったよ、今から消すよ」という感じで I'm putting it out! と言ったチャンドラーは、隣のフィービーが手に持っていた黄色い大きなマグカップの中にタバコを放り投げます。
自分が飲もうとしていたコーヒーの中にタバコを入れられたわけなのでフィービーは嫌な顔をしていますが、この I can't drink this now. というセリフは、最後の now のオチが面白いですね。
タバコを入れられて「こんなの飲めないわ」というのは当たり前の反応ですが、フィービーは最後に now と言っていて、それも now の部分を特にはっきり言っているように思いますし、観客も、その最後の now を聞いたところで笑っている感じです。
not now 「今は飲めない」ということはつまり、「後で飲む、後でなら飲める」(I'll drink this later. / I can drink this later.)と言っていることになるので、観客も笑っているのですね。
この部分、DVDの日本語訳も「すぐには飲めないわ」と訳されていましたし、「すぐには飲めない、、って、じゃあ後で飲むつもりなんかーい!」とツッコミを入れたくなるようなセリフになっているところが、フィービーっぽいと言えるでしょう。
最後の now でオチになる感じを出して日本語に訳すと、「あぁ、もう! これ飲めないわ、今は」のような感じになるでしょうか。
日本語だと「今”は”」のように「は」を使うことで「今は無理だけど、後でならオッケー」感を出すことにもなりますが、英語では now などの副詞は文の最後に来るのが普通なので、ちょっと now を強めに言うだけで、自然なオチになるわけですね。


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posted by Rach at 12:18| Comment(0) | フレンズ シーズン1改 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年05月02日

来世への巨大な借りになる フレンズ1-3改その11

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5:27
フィービー: Okay. Okay. Let's say I bought a really great pair of shoes. Do you know what I'd hear with every step I took? "Not mine. Not mine. Not mine." And even if I was happy, okay, and, and skipping, I'd hear, "Not-not mine. Not-not mine. Not-not mine. Not-not mine." (いいわ、いいわ。じゃあ私が本当に素敵な靴を買ったとしましょう。私がステップを踏むたびに何て聞こえる(だろう)か知ってる? ”ノッ・マイン、ノッ・マイン、ノッ・マイン[私のじゃない]” そしてもし私が幸せだったとしても、ほら、そしてスキップしてたとしても、私にはこんな風に聞こえるでしょうね、”ノ・ノッ・マイン、ノ・ノッ・マイン、ノ・ノッ・マイン、ノ・ノッ・マイン”)
モニカ: We're with you. We got it. (同感よ。わかったわ。)
(CHANDLER LEANS OVER THE BACK OF THE COUCH, OUT OF SIGHT)
チャンドラーはカウチの背面に身を乗り出して、みんなから見えない状態。
フィービー: Okay. I'd- just- I'd never be able to enjoy it. It would be like this giant karmic debt. (いいわ、私はただ、それを楽しむことができないでしょうね。巨大なカルマの借金(来世への巨大な借り)みたいになっちゃうわ。)

Let's say SV. は、文(SV)と言いましょう、ということですから、「例えば・仮に(文)としてみましょう」という感覚。
「知らぬ間に自分の口座に入っていたお金を使っちゃえば、それはショッピングになるわ」とレイチェルが言ったことを受けて、「じゃあ(レイチェルが言うように、そのお金で)本当に素敵な靴を1足買ったとしましょうよ」ということですね。
Do you know what I'd hear with every step I took? を前からまとまりごとに細切れにイメージすると、「知ってる? 私に何が聞こえる(だろう)かを、ステップごとに、私が take する(ステップ)」みたいな感じです。
意味するところは、「私が一歩進むたびに、私には何が聞こえるか知ってる(わかる)?」ということですが、最後の I took までを聞いてから日本語をイメージしていたのでは音の速さについていけませんから、区切りごとにこまめにイメージしていくようにしましょう。
I'd hear は、I would hear ということで、フィービーとしてはこのお金でそういう靴を買うつもりはないけれど、もし仮に買ったとしたら、という仮定法過去の bought を受ける形で、「もしそういう靴を買ったら、私にはこんなことが聞こえるだろう」という意味で would を使っていることになります。

「ステップ踏むたびに、こんな風に聞こえるわ」という、その音の描写が面白いですね。
not mine は、「私のものじゃない」ということですが、それを、「ノッ・マイン」とステップに合わせるようにリズミカルに発音しているのに笑えます。
歩くたびに、「私のお金で買ったものじゃないから、この靴は私のものじゃない」という音が聞こえてきそう、とフィービーは思っているわけですね。
とりあえずそこで終わっても「歩くたびにこう聞こえてくる」という面白さは出るわけですが、さらにダメ押しのような続きがあるところが、フレンズぽい面白さとなっています。
even if I was happy は、「例え私が幸せ・ハッピーだったとしても」。
これも「靴を買うことをフィービーは想定していない」ので、「靴を買った時に例えハッピーだったとしても」も仮定法過去が使われていることになります。
私がハッピーで、その時、スキップしていたとしても、私にはこんな風に聞こえちゃうわ、とフィービーは言い、その音を not-not mine と表現します。
普通に歩くのと違い、スキップになると独特のリズムが出ますが、聞こえてくる音もスキップバージョンの not-not mine になる、と言いたいのですね。

楽しそうにスキップしてても、そんな風に聞こえてくるわ、とまで言うフィービーに、モニカは、もうそれ以上言わなくてもいいわ、わかったから、という感じで手を伸ばし、We're with you. We got it. と言います。
We're with you. は「あなたに同意するわ。同感よ」という意味。
be with you は「あなたと一緒にいる」ということですが、「あなたの側にいる」という意味であることから、「〜に同意する、同感だ、賛成だ、あなたと同意見である」という意味になります。
「同意する」という場合には agree with you も使えますが、agree という動詞ではなく、be with だけでもそのニュアンスは出せるということですね。
We got it. は「わかった、理解した」。
この場合の get は understand の意味になります。

この時のチャンドラーはト書きにあるように、みんなから見えない角度でソファの向こう側で何かをしている様子ですが、フィービーはそれに気に留めることなく話を続けています。
I'd never be able to enjoy it. の I'd もまた、I would で、「もしそのお金で何かを買ったとしても、スキップするたびにそんな音が聞こえてくるような状態になるだろうから、私にはそれを楽しむことなんかできないでしょうね」と言っていることになります。

karmic は、名詞 karma の形容詞形。名詞の karma は、仏教やヒンズー教の言葉で「カルマ、業(ごう)、因縁、宿命」という意味で、「現世での行動が来世に影響を与える」という考え方のこと。
LAAD (Longman Advanced American Dictionary) では、
karma [noun] [uncountable] :
1. according to the Hindu and Buddhist religions, the force that is produced by the things you do in your life and that will influence you in the future or in future lives.
2. (informal) luck resulting from your actions (SYN: fate)

つまり、1. は「ヒンズー教または仏教によると、自分の人生において自分がすることによって生み出され、未来または来世において自分に影響を与えることになる力」。
2. は「(インフォーマル)自分の行動によって生じる運・運命。類義語は fate 」。

1. の語義は、the force that is... and that will... という形になっており、karma というのは、関係代名詞 that 以下で詳しく説明されているところの the force 「力」になります。
the force that... 以下が大変長いですが、その部分は SV という文の形にはなっておらず、the force (that...) のように、名詞を修飾する関係代名詞の that 以下が大変長くなっている形だということですね。
ですからシンプルにすると、「カルマというのは(ヒンズー教・仏教によると)〜という力である」と説明してあることになります。
元々はそのように宗教用語なのですが「自らの行動に起因する運」のような意味で、fate と似た感覚で日常的にも使われるのですね。

debt は「借金」。b の部分は発音せず「デット」のような音になります。
つまり、karmic debt は「カルマの借金、カルマ的な借金」ということで、貰ういわれのない大金を手にして幸せになることで、来世では、そのプラス分をチャラにするほどの不幸な出来事が起こってしまう、来世の運を現世で使いつくしてしまって、来世では不幸のどん底に落ちてしまう、来世でバチが当たる、というニュアンスで使っているようです。
フィービーは、フレンズ1-1 で、ロスのどんよりオーラを浄化しようとしていたこともありましたので、このような「来世への借りになる」という輪廻転生的な発言も、その流れを汲んでいるものと言えるでしょう。


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posted by Rach at 13:51| Comment(0) | フレンズ シーズン1改 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする