2017年06月05日

ひとつふたつ教えてやった フレンズ1-3改その22

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11:26
レイチェル: I mean, it-it was like, it was like he made us into a team. (つまり、アランが私たちをチームにしてくれた、って感じだったの。)
チャンドラー: Yep. We sure showed those Hasidic jewelers a thing or two about softball. (そうなんだ。間違いなく俺たちは、あのハシディック・ジュエラーズ[ユダヤ教ハシディズム派の宝石商]にソフトボールについて一つ二つ(いろいろ)教えてやったよ。)

it was like he made us into a team は「彼(アラン)が私たちを一つのチームにしてくれた、って感じだった」ということですね。
show someone a thing or two about... は、言葉上の意味としては「(人)に〜について、一つ二つ教えてやる」ということ。
「教える」という単語にはいろいろありますが、show は「”示して、見せて”教える」ことを指します。

LAAD (Longman Advanced American Dictionary) では、show ではなくて、know が使われた形が以下のように説明されています。
know a thing or two (about something) (informal) : to have a lot of useful information gained from experience
例)Coach Anderson knows a thing or two about winning.

つまり「経験から得られた有益な情報をたくさん持っていること」。例文は「コーチのアンダーソンは勝つということについて多くのことを知っている」。

a thing or two は直訳すると「一つか二つのこと」ですが、上のロングマンの語義を見ると、実際には「一つか二つの少しだけ」という意味ではなくて、a thing or two と言いながら、その実は a lot であることを暗に示していることになるでしょう。
know でも show でも、その a thing or two のニュアンスは同じでしょうから、あえて a lot と言わずに控えめに表現している、ということで、「一つ二つ教えてやったんだ」→「かなりのことを教えてやったよ」と言っていることになります。
今回のセリフでは、「あの Hasidic jewelers に、ソフトボールについていろいろと教えてやったよ」と自慢げに語っているわけですね。

最後の softball という部分ですが、これがジョークのオチにもなっているように思います。
過去記事、バッグス・バニーのような守備 フレンズ1-3改その21 の最初のト書きで、IN SOFTBALL GEAR 「ソフトボールの用具一式を持っている」と説明されていましたが、シーン最初のト書きで「ソフトボールと明言されていた」のは、後に出てくるチャンドラーのセリフから softball の試合をしていたことがわかったから、それをト書きに反映させているわけですね。
ただ、実際にこのエピソードを初見で見た場合には、「フレンズたちがしょげた様子で入ってきて、手には”野球”用具一式を持っている」のようにイメージする方が多いだろうと思います。
観客や視聴者は「フレンズたちは野球の試合をしてきたんだな」と思って、そのまま話を見ていると、チャンドラーのここのセリフで「ソフトボール」という単語が出てきたので、「野球じゃなくてソフトボール?!」とわかる感じのオチになっているのだろうということですね。
野球とソフトボールを比較すると、オリンピック種目でも、男子が野球、女子がソフトボールになっているように、ソフトボールにはどうしても女子のイメージが強いように思いますので、「野球かと思ってたら実はソフトボールだった」という「想像してたのと”ちょっぴり”違う面白さ」を醸し出していると思います。

Hasidic jewelers はソフトボールの対戦相手のを指すと考えられますね。
「そういう名前のチーム」ということだとそれで話は終わるのですが、調べているといろいろなことがわかってきたので、長くなってしまいますが、以下に Hasidic jewelers についての見解を書かせて下さいね。

jewel は「宝石」で、それに人を表す語尾 -er がついた jeweler は宝石に関わることをする人を意味しますから、宝石を作る人である「宝石職人、宝石細工人」や、宝石を売買する人である「宝石商、宝石商人」などの意味になります(綴りは、アメリカでは jeweler、イギリスでは jeweller)。

そして、Hasidic の方ですが、Hasidic というのはユダヤ教に関係する用語のようです。
Wikipedia 日本語版:ハシディズム
上のウィキペディアによると、ハシディズムは英語では、Hasidism や Hasidic Judaism と表記され、「超正統派のユダヤ教運動」を指す言葉だそうです。
Hasid という単語は、LAAD にも以下のように載っていました。
Hasid [noun] (plural: Hasidim) :
a member of a Jewish religious group who wear special clothes and believe in coming close to God through prayer
Hasidism [noun]

つまり、「特別な衣服を着用し、祈りを通じて神に近づくことを信じる、ユダヤ教の宗教グループのメンバー」。

上の語義の中の Jewish は「ユダヤ人の、ユダヤ教の」という意味で、Jew だと名詞で「ユダヤ人」を指しますね。
LAAD では、アルファベット順の単語の並びとして、Jew の次に jewel という単語が来ており、またその発音も jew「ジュー」の部分が全く同じ発音となります。
音的に Jew を連想させる jewel / jeweler を使って、「ユダヤ人のチームにありそうな架空のチーム名」を脚本上作った、という解釈がまずは考えられるのですが、、、ここで気になったのは、those Hasidic jewelers という字幕表記。

「架空のチーム名」であれば、jewelers の最初も Jewelers のように大文字になるような気がするのですが、DVD英語字幕は jewelers、ネットスクリプトは jewellers とどちらも単語の頭は小文字になっています(Netflix は全部大文字表記なので、大文字小文字の区別がつきません)。
また、those Hasidic jewelers のように、複数形の指示形容詞 those がついているのも、一つのチーム名としてではなく「jeweler たち」という「複数の人間」を意識したもののようにも思えるのですね。

そう思って、"Hasidic jewelers" という言葉で検索してみると、英語で書かれた本の文章中に Hasidic jewelers という言葉が登場していました。
架空のチーム名なら、フレンズの脚本にしか出てこないでしょうが、一般の本に出てきたことを考えると、この言葉は「ありそうなチーム名を作った」というよりは「(ユダヤ教)ハシディズム(派)の宝石商」のような意味で使っていると考えるべきかなと思います。

ユダヤ人というと、商才があり、大企業の経営者などビジネスで成功した人も多い、という印象がありますよね。
先ほど触れたように Jew と jewel の文字や発音が似ていることもありますし、高価なものを扱う宝石商は商才が発揮される職種でもありますから、Hasidic jewelers「ユダヤ人の宝石商」というのは、音的にも自然で、ユダヤ人の成功者としてイメージしやすい典型的な職種なのかなぁ、と思ったりもします。
Hasidic というユダヤ教の言葉が使われていることから、対戦相手がユダヤ人チームであった可能性は十分あると思いますが、その人たちが実際に「(ユダヤ教)ハシディズム(派)の宝石商」だったということではなく、「勝ち組、できるやつら、すごいやつら」の響きを持った対戦相手のイメージなのだろうと私は思いました。
いつもは勝てない自分たちが、アランのおかげで今回はそんな勝ち組にも勝ったんだよ、ということを強くアピールしている表現なんだろうと思った、ということですね。


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posted by Rach at 15:44| Comment(0) | フレンズ シーズン1改 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年06月03日

目黒セミナー応募締切は4日、その後、抽選結果ご連絡となります

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キャンペーン書店にて拙著をお買い上げ下さった方から抽選で40名をご招待する、6月18日(日)の目黒でのセミナーですが、その応募申込の締切は、6月4日(日)24:00まで、となっております。
締切後、抽選を行い、6月9日(金)までに抽選結果をご連絡いたします。
既にお申込み下さった皆様には、結果ご連絡までお待たせすることになっており申し訳ありません。
結果のお知らせまで、今しばらくお待ち下さいませ。

目黒セミナーについては、以下の拙ブログ記事に詳細があります。
6月に東京セミナー開催します!

皆様にお会いできるのを今から楽しみにしております♪
締切が近づきましたので、一言ご連絡まで。


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posted by Rach at 12:13| Comment(0) | セミナー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年06月01日

バッグス・バニーのような守備 フレンズ1-3改その21

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10:51
SCENE 5: CENTRAL PERK (MONICA ALONE. ENTER ROSS, RACHEL, CHANDLER AND JOEY, DEJECTEDLY, IN SOFTBALL GEAR)
シーン5: セントラルパーク(モニカだけがいて、そこに、ロス、レイチェル、チャンドラー、ジョーイが登場。落胆した[しょげた]様子で、ソフトボールの用具一式を持っている)
モニカ: Hi. How was the game? (はーい、ゲームはどうだったの?)
ロス: Well.... (えーっと…)
みんな: We won! Thank you! Yes! (俺たちが勝った! ありがとう! やった!)
モニカ: Fantastic! One question: How is that possible? (素晴らしいわね! 一つ質問。そんなことがどうしてできたの?)
ジョーイ: Alan. (アランだ。)
ロス: He was unbelievable! He was like that-that-that Bugs Bunny cartoon where Bugs is playing all the positions, right. But instead of Bugs, it was 1st base, Alan. 2nd base, Alan. 3rd base, Alan.... (彼は信じられないくらい素晴らしかったんだ! 彼はまるで、あの…バッグス・バニーのアニメみたいだった、バッグスが全部のポジションを守ってる、っていうやつ。でもバッグスの代わりにこうなってたんだ、1塁がアラン、2塁がアラン、3塁がアラン…)

セントラルパークに、ロス、レイチェル、チャンドラー、ジョーイが何だか元気のない様子で入ってきて、それぞれ手には、バット、グローブ、スパイクなどを持っています。
ネットスクリプトのト書きには、IN SOFTBALL GEAR と書かれているのですが、この gear は「(使う)用具・道具一式、一揃いの装備」という意味なので、ト書きの IN SOFTBALL GEAR は「ソフトボールの用具一式を持って、ソフトボールの装備の状態で」のように説明してあることになります。
「ソフトボール」と限定しているのは、後のシーンで softball という単語が出てくるからなのですが、それについてはまたその時に語ります。

みんなの入ってきた様子は「スポーツをした後、がっかりして帰ってきた」感じが出ていますし、モニカもその流れに合う形で「試合はどうだった?」と尋ねていますね。
モニカはみんなが試合に行ったのを知っていて、そう尋ねていることがわかります。
4人はしばらく沈黙していたのですが、ちょっと間をあけてから一斉に We won! と叫んでいます。
won は win 「勝つ、勝利する」の過去形ですから、We won! は「俺・私たちは勝った!」ということですね。

モニカは、ファンタスティックね! と褒めた後、「1つ質問。どんな風にしてそれが可能なの?」のように尋ねています。
「どうして試合に勝つことができたの?」というニュアンスですね。

ジョーイが「(勝てた理由は)アランだ」と答えた後、ロスはアランのすごさを語り始めますが、that-that-that と、どもった感じになっているところにロスの興奮具合がよく出ていますね。
cartoon はアニメのこと。
日本にも「カートゥーン ネットワーク(CARTOON NETWORK)」というアニメ専用チャンネルもありますので、cartoon という言葉がアニメを指すことをご存じの方も多いでしょうか。
日本のアニメや漫画が世界で人気となった今は、anime や manga で通じるようになりましたので、日本のアニメは anime と呼ばれることが多いですね。

Bugs Bunny は「バッグス・バニー」。
アメリカのアニメ「ルーニー・テューンズ(Looney Tunes)」シリーズに登場するウサギのキャラクター。
好物のニンジンを手に持っている、グレーと白のウサギで、このキャラクターは有名なので日本でも知っている方は多いでしょう。
"What's up, doc?" というのが口癖で、現在の吹替担当の山口勝平さんバージョンでは「どったの センセー?」といつも訳されています。
「ルーニー・テューンズ」のキャラクターたちの、イラスト入りのわかりやすい説明は、以下のワーナー公式サイトで。
【ワーナー公式】ルーニー・テューンズ

2013年に映画館のワーナー・マイカル・シネマズがイオンシネマに名称変更したのですが、ワーナー・マイカル・シネマズの頃は、映画が始まる前に、バッグス・バニーを始めとするルーニー・テューンズの仲間たちが映画鑑賞時の注意などを述べている映像がよく流れていたものでした。
「フレンズ」もワーナーですから、セリフにバッグス・バニーが出てきたのはワーナー繋がりとも言えますね(^^)

is playing all the positions は「すべてのポジションをプレーする」つまり「全てのポジションを担当している、守っている」ということ。
that Bugs Bunny cartoon where SV という形の where は関係副詞で、意味としては「バッグスが全ポジションを守ってるっていうバッグス・バニーのアニメ」ということになりますが、聞こえた順番に前からイメージしていくと、「あのバッグス・バニーのアニメ、そこでは(その中で)バッグスが全ポジションを守ってる」というニュアンスになるでしょう。
先に「あのバッグス・バニーのアニメ」と言っておいてから、where を使ってその内容を詳しく付け足している感覚です。
instead of は「〜の代わりに」なので、そのアニメではバッグスが全ポジションを守っていたけど、今回の僕らの試合では、バッグスの代わりにアランが全ポジションを守ってるって感じだった、と言っていることになります。
「1塁アラン、2塁アラン、3塁アラン」と言いながら、各ポジションを守っている様子を描写しているロスの動きが面白いですね。

「一人で全ポジションを守る」というのはいかにもアメリカのアニメでありそうな感じですが、これは「ありそうな感じ」だけではなく、実際にそういう作品が存在しており、ロスは、バッグス・バニーが一人で全ポジションを守るという Baseball Bugs(邦題:バッグスの野球狂時代)という作品のことを言及しています。
映画やドラマの作品データが掲載されている、Internet Movie Database にも載っていました。
IMDb: Baseball Bugs (1946)
上の IMDb の最初の説明にも、以下のように出ています。
Bugs plays every defensive position against the Gashouse Gorillas.
つまり、「バッグスは、ガスハウス・ゴリラズ相手に[と対戦し]、すべての守備位置(ポジション)を守る」ということですね。

この作品が収録されているDVDが、Amazon にありました。
ルーニー・テューンズ コレクション バッグス・バニー 特別版 [DVD]
ルーニー・テューンズ コレクション バッグス・バニー 特別版 [DVD]

Amazon にはジャケットの裏面の画像も載っているのですが、13作品が収録されている中で、「バッグスの野球狂時代」は、リストの一番最初に出ています。
ちなみに、ジャケット裏面にある、このDVDの宣伝コピーの英文がなかなか面白いですね。
全部大文字なので、読みやすく小文字表記にしてみますと、
Bugs Bunny in his most hare-larious 13 cartoons!
その hare-larious というのは「とても楽しい・愉快な、大笑いを誘う、爆笑させられる」という意味の形容詞 hilarious をもじったもの。
hare (発音は「ヘア」)は「ウサギ」のことで、rabbit よりも大きなものを指します。
ヒラリアスをヘアラリアスのように、ウサギにかけたダジャレにした感覚で、「最も笑える13のアニメのバッグス・バニー。バッグス・バニーの最も大爆笑な13作品」のようなキャッチコピーになっているわけですね。
各作品のタイトルでは、hare も rabbit もどちらも使われていますし(rabbit の方が数は多い)、バッグスは擬人化されたキャラクターなので、厳密にどちらかに分類されるわけでもないのでしょう。
上に紹介したコピーの場合はたまたま hare だどダジャレとして使えるから、、ということで hare になっているということでしょうね。

参考までに私もこの作品をレンタルして見てみました。
ロスが言っているのによく似たシーンが確かに出てきます。
DVD の 2:42 辺りからで、英語音声は以下のようになっています。

Catching, Bugs Bunny. Left field, Bugs Bunny. Right field, Bugs Bunny.
Pitching, Bugs Bunny. Third base, Bugs Bunny. Center field, Bugs Bunny.
First base, Bugs Bunny. Shortstop, Bugs Bunny. Second base, Bugs Bunny.


日本語字幕では、
捕手 バッグス 左翼 バッグス 右翼 バッグス
投手 三塁 センター
一塁 二塁 全部バッグス

のように訳されていました(文字数制限と、「全部」という言葉を是非入れたいからでしょうね、、ショート(shortstop)がない!)

「フレンズ」でのロスは、まるで忍者のようにポジションを素早く移動するかのようなしぐさをしていましたが、実際のバッグスのアニメでは、ずっとピッチャーの位置のバッグスが画面に映っているだけで、アナウンスで各ポジションがバッグスであることを言っているのみでした。
ロスがした動きのように、バッグスが各ポジションにささっと移動していたら面白いなぁと思ったのですが、残念ながら本家の方ではそういう動きはなかったということです。
ですが、Third base, Bugs Bunny のように順番にポジションを言っていくのと、「ポジション+名前」をとことん続ける「くどい」感じが、元ネタの「バッグスの野球狂時代」にそっくりだと思います。
アニメでは、その後、「バッグスが投げた球を受けるために、ピッチャーだったバッグスが急いでホームベースに走って行ってキャッチャーになる」という、「いかにもアメリカのアニメ」っぽいシーンも出てくるのが楽しいです。
ロスの「ポジションを移動するかのようなしぐさ」は、そのシーンのイメージから来ているのかもしれませんね。
1946年の古い作品で、きっと何度も再放送されているので、みんなこのシーンのことをよく知っているのでしょう。
試合でアランが大活躍したということの形容として、「バッグスみたいに全ポジションを守ってた、って感じだよ」と表現すれば、みんなの頭にはその作品が瞬時に浮かぶということなのでしょうね。


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posted by Rach at 16:38| Comment(8) | フレンズ シーズン1改 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする