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17:33
おしゃれなレストラン。アンジェラはチュチュチュと音を立てながら、骨付きチキンを食べている。
隣に座っているボブは、それを不思議そうな顔でまじまじと見つめている。
モニカ: Something went wrong with Underdog, and they couldn't get his head to inflate. So anyway, um, his head is, like, flopping down Broadway. And I'm just thinking.... how inappropriate this is. Um, I've got something in my eye, uh, Joey, could we check it in the light, please? (アンダードッグに何か問題があって、アンダードッグの頭を膨らますことができなかったの。[補足:アンジェラはボブのシャツの中に手を入れている] だから、とにかく、アンダードッグの頭は、ほらブロードウェイに落ちていくの。それで私は思ったのね… これって何て不適切なんだろう、って。あぁ、目に何か入ったわ。ねぇ、ジョーイ、明るいところで目に入ったものをチェックしましょ?)
[Her and Joey walk away from the table.]
モニカとジョーイはテーブルから離れる。
モニカ: Oh, my God! (なんてこと!)
ジョーイ: What? (何?)
モニカ: Hello! Were we at the same table? It's like... cocktails in Appalachia. (もしもし?[ちょっと!] 私たち、同じテーブルにいたでしょ? まるでアパラチアのカクテルみたいだわ。)
過去記事、リスかイタチみたいにかじる音 フレンズ1-5改その17 で、"That cute nibbley noise she makes when she eats. Like a happy little squirrel… or a weasel." 「彼女が食べる時に出す、あのかわいいかじる音だよ。幸せな子リスみたいな、、、もしくはイタチかな」とジョーイが言っていましたが、その音が今回のシーンの冒頭で聞けるという流れですね。
「ジョーイが言っていたのはこれかぁ〜」とでも言うように、マジマジとアンジェラを見ているボブにも笑えます。
go wrong は「調子が悪くなる、調子が狂う」。
something go wrong with... は「…において何か調子が悪くなる」という感覚になります。
Underdog は、1964年から1973年までアメリカで放送されていた Underdog という cartoon(アニメ、カルトゥーン)の主人公の犬のキャラクター。
underdog とは元々、「負け犬、敗北者」という意味。日本語も英語もどちらも「犬(dog)」なのが興味深いですね。
番組についてはこちら↓
Wikipedia 英語版: Underdog (TV series)
日本では「ウルトラわんちゃん」の名前で放映されていたようです。
Wikipedia 日本語版: ウルトラわんちゃん
このテレビアニメは、Shoeshine Boy という名前のダメ犬が、スーパーマンのようなヒーロー Underdog に変身して大活躍するというストーリー。
赤い服と青いマントがトレードマークで、赤い服の胸に白抜きで U の文字が入っていますが、これはスーパーマンの S の文字をイメージしたものでしょうね。
Underdog が現れた時の決めゼリフは、”There's no need to fear, Underdog is here!” 「恐れる必要はない、アンダードッグここに参上!」。
fear と here が韻を踏んでいるのもポイントです。
2007年には、Underdog というタイトルでアメリカで実写映画化されました。
60〜70年代の作品が2007年に実写化されたということで、いつまでも愛されているキャラクターなんだな、ということもわかりますね。
その実写版は日本では劇場未公開でしたが、「鉄ワン・アンダードッグ」のタイトルでDVDが発売されています。
少々話が脱線しますが、私も以前にこの実写作品をレンタルで見たことがあります。
その作品を見ていたら、
ジャック(息子): I told you I've wanted a dog since I was, like, eight. (僕は犬がずっと欲しかった、って言ったんだよ、ほら、8歳の頃からね。)
というセリフが出てきたので、
結婚したの、8歳くらいだっけ? フレンズ1-1改その22 の中で、「”ガキ、小さな子供”というニュアンスで 8(eight)という年齢を使う例」としてご紹介しました。
今回のエピソードの過去記事、バンドエイドを素早く剥がすと傷口が フレンズ1-5改その18 でも、
モニカ: It is so great to meet a guy who's smart and funny, and has an emotional age beyond, like, 8. (賢くて面白くて、その上、精神年齢が、ほら、8歳以上の男性に会えるなんて、すごく素敵!)
というセリフが出てきたのですが、フレンズ以外に「アンダードッグの実写版」にも 8 という年齢が出てきたことになります。
inflate は「空気などで〜を膨(ふく)らませる」という動詞。
inflate a balloon なら「風船を膨らませる」となるわけですが、そのフレーズのイメージ通り、この場合もアンダードッグの大きなバルーンのことを言っていることになります。
アメリカの感謝祭のパレードでは、大きなバルーンが使われるのですが、これより後のエピソード、フレンズ1-9 でまさにその「アンダードッグのバルーン」の映像が流れます。
フレンズ1-9 の原題は、The One Where the Underdog Gets Away(訳すと:アンダードッグが逃げる話)となっています。
1-5, 1-9 など複数のエピソードで話題に出てくるくらい、フレンズの世代にとっても馴染みのあるキャラクターだということですね。
they couldn't get his head to inflate は「彼らはアンダードッグの頭を膨らませることができなかった」ということで、they は漠然とパレード運営者、関係者を指すと考えれば良いでしょう。
バルーンの頭は勝手に膨らむわけではなく、人によって膨らまされるので、「人が彼の頭を膨らむ状態にする、彼の頭を膨らませる」のような get+目的語+to do の形が使われていることになります。
flop は「ばたばた動く、どさりと・ばたりと倒れる」という感覚の動詞。
バルーンの頭部分が膨らまなかったので、巨大なバルーンが飛ばず、ブロードウェイにどさりと落ちてしまったと言っていることになります。
そんな話を笑いながら話していたモニカですが、目の前にいるアンジェラが隣のボブのシャツの中に手を入れたりして、あからさまにイチャついているので、ついには笑顔が消え、And I'm just thinking... と言った後、how inappropriate this is と続けています。
inappropriate は「不適切な」。
二人が兄妹だと思っているモニカは、アンダードッグの話をしているかのように見せながら、目の前の二人の行為を「不適切」だと言った流れになります。
この inappropriate は、クリントン元大統領の疑惑の時に使われた inappropriate relationship(不適切な関係)という表現で有名ですね。
in the light は「明るい・光の当たるところで」。
モニカは目に何かが入ったようなふりをして、「目に入ったもの、チェックしてくれる?」という理由を使って、席を離れたことになります。
(2018.3.2 追記)
ト書きの [Her and Joey walk away from the table.] という表現について、非公開コメントにて「Her は She の間違いでしょうか?それともこれでいいのでしょうか?」というご質問を頂戴しました。
主語なのに主格(She)ではなく目的格(Her)が使われているため違和感がありますが、ネイティブの文章では時々こういう形の表現が出てくるんですよね。
フレンズのセリフの例で言うと、ルールでもあるみたいに フレンズ1-1改その13 に、
ジョーイ: And hey, you need anything, you can always come to Joey. Me and Chandler live right across the hall. And he's away a lot. (それに、ほら、君が何か必要なら、いつでもジョーイのところに来なよ。俺とチャンドラーは廊下の真向かいに住んでる。そして、チャンドラーはよく出かけてるんだ。)
という形で出てきました。
この例で、主語なのに、Me という目的格で始まっているのは(あくまで私のイメージに過ぎませんが)その前に Joey という自分の名前を出しているので、「そのジョーイである俺と、チャンドラーは」という風に「前から引き継いだ感覚、前の流れを受けた感覚」で、Me and で始めているのかなぁ、と思ったりします。
今回のト書きについても、モニカのセリフの直後のト書きで [Her and Joey walk away from the table.] となっているので、それも 1-1 と同様に「今セリフをしゃべっていたそのモニカとジョーイは」のような感じで「前から引き継ぐ、前の流れを受ける」ニュアンスから Her になっているのかな、と思います。
(追記はここまで)
ここでの Hello! は「もしもし!?」と強めに言うニュアンス。
Hello はご存知のように、「こんにちは」の挨拶で使われる言葉ですが、今回の場合は、「もしもしあなた起きてる? 寝ぼけないで。とぼけないでよ。何ばかなこと言ってんのよ」みたいに、相手のしたこと言ったことにあきれる感覚になります。
普通の挨拶よりも「ハッ、ロウ!?」と、さらにロウにアクセントがつく感じですね。
Were we at the same table? 「私たち、同じテーブルにいたでしょ?」というのは、二人の様子に気付いてないかのように「何のこと?」と言っているジョーイに対して、「あの一緒のテーブルで私と同じように見ていたはずなのに、とぼけないで」という気持ちからの発言になるでしょう。
cocktails in Appalachia という表現について。
Appalachia はアメリカ東部のアパラチア山脈の周辺地域のこと。発音は「アパレイシア」という感じです。
これについては過去記事でもご意見を頂戴したのですが、「外界と隔離されていたため近親結婚を繰り返していた」ことが由来となっているようです。
Wikipedia 日本語版: アパラチア にも「20世紀より前は、アパラチアの人々は地理的に他地域から孤立していた」という記述がありますので、「他地域から孤立」というイメージは一般的なものであると言えるでしょう。
cocktail という表現についても「カクテルは混ざり物、つまり近親結婚で同族の血が混ざるという事」とのご意見をいただきましたが、まさにそういうイメージで使っているんだろうなと私も思います。
モニカは、ボブとアンジェラのことを兄妹だと思っているので、その二人が男女の間柄のようにイチャついていることを「近親相姦のようだ」と言う意味で、その表現を使ったことになります。
特定の地域の人を言及した差別的とも言える表現ですので、ここで笑ってしまっていいのかな、とも思えるのですが、現在でも、Netflix でこのセリフのまま配信されているので、ギリギリ、スレスレのジョークとして受け入れられているということになるかなと思います。
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