2018年03月30日

今ので完了、これでよし フレンズ1-5改その28

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21:52
[Scene: Central Perk. Ross, Rachel, and Phoebe are there. Ross has an icepack to his head.]
シーン:セントラルパーク。ロス、レイチェル、フィービーがそこにいる。ロスは頭にアイスパック(氷枕)を乗せている。
レイチェル: Oh, are you sure you're okay? (まぁ、ほんとに大丈夫?)
ロス: Yeah. (うん。)
レイチェル: Does it still hurt? (まだ痛む?)
ロス: Yeah. (うん。)
フィービー: [seeing Rachel's clothes] What a neat idea. All your clothes match. I'm gonna do this. ([レイチェルの服を見ながら]なんて素敵なアイディアなの。服全部がマッチする[揃う]わ。私もこれやろうっと。)
[Monica and Joey enter.]
モニカとジョーイが入ってくる。
モニカ: Hi. (はーい。)
フィービー: Hey, how'd it go? (ねぇ、どうだった?)
ジョーイ: Excellent! (素晴らしいよ!)
モニカ: We ripped that couple apart and kept the pieces for ourselves. (私たちはあのカップルを引き裂いて、引き裂いたそれぞれを私たちのためにキープしたの[私たちがもらったの]。)
ロス: What a beautiful story. Hey, I'm fine, by the way. (なんて美しい話だ。あぁ、僕は大丈夫だからね、ついでの話だけど。)
モニカ: [notices his head] Oh, I'm sorry. ([ロスの頭に気づいて] あぁ、大変ね[大丈夫?]。)
レイチェル: Where's Chandler? (チャンドラーはどこ?)
フィービー: Oh, he needed some time to grieve. (あぁ、彼は悲しむ時間が必要だったのよ。)
[Chandler runs by the window outside, joyous.]
チャンドラーは外の窓のそばを喜びに満ちた様子で走る。
チャンドラー: I'm free! I'm free! (俺は自由だ! 俺は自由だ!)
フィービー: That ought to do it. (あれで[今ので]完了よ。)

ケガしたロスをレイチェルが気遣っている時、フィービーはレイチェルの失敗でピンクになってしまった洗濯物を見ています。
neat は「すばらしい」。
match は「マッチする、調和する」ですから、「全ての服がマッチする」、つまり「同じ色に揃うことで統一感が出る」と言っていることになります。

We ripped that couple apart and kept the pieces for ourselves. について。
rip は「〜を裂く、引き裂く」ですから、前半は「(私たちがダブルデートした)あのカップルを別々に引き裂いた」ということ。
the pieces は「ピース、破片」ということですが、この場合は「引き裂いたカップルのそれぞれ」という感覚。
元カップルが別れてばらばらになったそれぞれの男女を、私たちがそれぞれキープした、もらっちゃった、という感じですね。

Hey, I'm fine, by the way. の後付けの by the way について。
By the way は「ところで、話は変わるけど」という意味で、何か言う前の文頭につけることが多いですが、今回のロスのセリフのように、文章の最後におまけのようにつけることも多いです。
「あ、これはついでの話なんだけどさ。ちなみに」と、「本題ではないけれど、参考までに言ってみた」という感覚。
これは、自分たちがデート相手をゲットしたことに夢中になって、ロスがケガをしていることに目もくれない妹モニカに対して、「ま、大したことじゃないんだけどね。一応言っとくと、このケガについては大丈夫だからさ」という意味で付け足していることになります。

チャンドラーがいないことに気づいたレイチェルに、フィービーは「彼には深く悲しむ時間が必要だった」と返しています。
彼女であったジャニスと別れた直後なので、みんなと離れて一人で悲しむ時間が必要だったのよ、と言っていることが想像されますね。

最後のセリフ、That ought to do it. について。
この文の意味については、過去記事でも何度か話題になったのですが、今回改めてこのニュアンスについてまとめてみたいと思います。

このセリフは、ネットスクリプトでは、That oughta do it. と表記されており、発音は「ザット・アウタドゥーイット」のような感じです。
ought to という表現については、学校英語では ought to = should だと習いますよね(厳密には、ought to の方が意味が強いようです)。
今回の意味は「〜すべきだ」ではなく「〜のはずだ」のような意味だと思われます。

LAAD (Longman Advanced American Dictionary) では、例文の中に that ought to do it が使われているものがありました。
その意味と例文をご紹介すると、
ought to [modal verb] : used to say that you think something will probably happen, probably be true etc.
例)Just one more screw - there, that ought to do it (= used to say that something you have been working on is finished or enough).

つまり、ought to は「(法動詞)何かが多分起こるだろうと、多分正しいだろうと自分が考えていることを言うために使われる」。
例文は「ねじをあともう一つ… ほら、それで完了(終了)だ」(=自分がずっと作業し続けてきた(取り組んできた)ことが終わる、または十分であることを言うために使われる)。

ロングマン現代英英辞典(LDOCE)の do の項目には次のように出ていました。
24. that should do it
(also that ought to do it)
: (spoken) used to say that you will have finished doing something if you just do one more thing
例) I've just got to prepare the dessert and that should do it.

「もし、ただあともう一つのことをすれば、何かをすることを終えることになるだろう、と言うときに使われる」
例文は、「デザートの用意をしなくちゃ、そしたら、それで完了(終了)だわ。」

should と ought to がほぼ同じ意味で使われることから、That ought to do it. も That should do it. も同じ意味として使われるということですが、このフレーズの解釈のポイントは do it にあると思えますね。
英英辞典で do it を調べると「エッチする」の意味(「ヤる」的なニュアンス)しか出てこないのですが、英和では以下のような意味が出ていました。

英辞郎では、
do it=功を奏する、効力[効果]を発揮する、成功する
研究社 新英和中辞典では、
do it=[形容詞・副詞を主語にして]効を奏する
例) Easy [Slowly] does it. のんびり[ゆっくり]やるのが肝心だ。


これらの「功を奏する」というニュアンスは何となくわかる気がしますね。
do it を「それをする」よりもむしろ「それをなす」のように訳した方がより近いかもしれません。
it はこの場合、話者が頭の中にイメージしているものを指しますから、「主語がそれをなすはずだ」→「主語のおかげで何かが完成・完了する」という意味として使われるのだろうなぁと思うわけです。

ここで改めて今回のセリフを見直してみると、That はそのセリフの前に出てきたことを指し、「それで(今ので)完了するだろう、完了するはずだ」のような意味になると考えられます。

このセリフの前にフィービーは「チャンドラーには悲しむ時間が必要だった(過去形)」と言っています。
ジャニスと別れて、どこかで一人寂しく泣いているのかと思わせるセリフですが、その後、チャンドラーが嬉しさ大爆発という感じで大喜びで走っているのを見て、フレンズたちは「悲しんでいるんじゃなかったのかよ!?」みたいにあきれている様子。
そこでフィービーが「あれ(チャンドラーが喜びを爆発させて走り回っている様子)で完了ね」と言っていると考えると、「全然悲しんでないじゃん」と思っているフレンズたちに対して、「(悲しむ時間は)あれで完了するのよ」「最後に走り回って嘆きの時間はおしまい」「今のが最後の締め(しめ)なのよ」のように言っているということかなと思います。

ちなみに、この That ought to do it. という表現は、フレンズ4-20 のエンドクレジット直前にも出てきます。
ネタバレにならない程度に状況を説明すると、ある女性キャラ (A) が、ある男性キャラ (B) に好意を持っていた。男性 (B) が女性 (A) の家にやって来た時、(A) が来ていたある衣装を見てドン引きして、帰ってしまった、というシーンです。
B は見てはいけないものを見てしまった、という感じで、
B: I got to go. (僕、帰らなきゃ。)
A は B を引き留めるように B の名前を呼ぶが、あきらめたように戻ってきて、他の女性陣に、
A: Yeah, well, that ought to do it.

DVD の日本語訳は「字幕:そりゃ逃げるわね/音声:ま、いっか、すっきりした」となっていましたが、口をへの字にしてあっさり言ったその最後のセリフは、確かに「ま、いっか。別にもうどうでもいいわ」みたいなニュアンスが感じられます。
待って、と言いながらも実際には追いかけず、結局、その男性のことはそれほど好きでもなかったということを悟った様子で、英語の意味としては「今のでおしまい」というニュアンスで使ったのだろうと思います。

またフレンズ以外では、フルハウス 4-21 にも出てきます。
D.J. とステフがパパ(ダニー)の寝室でモメていて、誤って壁に穴を開けてしまい、その穴をパテで修理した時のセリフ。
D.J. : That ought to do it.
DVD日本語訳は「字幕:これでよし/音声:これでよし、っと」になっていました。
穴をふさぐ修理が完了した瞬間のセリフで、英英辞典の語義にあった「作業し続けてきたことが終わる」という感覚、仕事が完了した時に「最後の仕上げ、これで完了」「これでよし、っと」と言うニュアンスそのままの使われ方になるでしょう。

余談ですが、新刊「リアルな英語の9割は海外ドラマで学べる!」の p.203 に、「フルハウス」のスピンオフ「フラーハウス」の 1-3 の話を紹介しています。
その話の中で「パパに怒られそうになって、二人でパパ大好きという歌を歌ってごまかしたの」という小さい頃の思い出話をしているのですが、その「怒られそうになった」というのは前作「フルハウス」の 4-21 で「パパの寝室の壁に穴を開けてしまった」ことを言っていて、その穴を修理した時のセリフが、先ほどご紹介した That ought to do it. になります。
「この話はあのエピソードのあのシーンのことだ!」とわかったりするのは長期に続くシリーズを観る醍醐味でもありますし、たまたま関連した内容を新刊で取り上げたばかりだったので、タイムリーかと思いご紹介してみました♪

ちなみに日本語では「これでよし」のように「これ」という代名詞を使いますが、英語では That ought to do it. のように that が使われていますよね。
英語で this と言う場合は「これから先にすること、言うこと」を指し、直前にしたこと、言ったことは that で表現する傾向があります。
フルハウスで穴をパテでペタペタしてふさいだ直後に「これでよし」と言う場合は、「今の作業で仕事は完了」ということですから、英語では this ではなく直前のものを指す that が使われているのだと解釈できると思います。

今回のフレンズの場合は、喜び一杯で店の外を横切って行ったチャンドラーのことを指していますので、日本語で距離が離れたものを指す「”あれ”で完了ね」と訳しても違和感はないでしょう。
ただ、英語での実際のニュアンスは、距離が近いか遠いかどうかということではなく、その発言よりも少し前に起こったことを指しているから that が使われている、と考えれば良いと思います。


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posted by Rach at 10:45| Comment(2) | フレンズ シーズン1改 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年03月27日

4刷決定しました!「リアルな英語の9割は海外ドラマで学べる!」

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2017年12月15日に発売となりました、私の4冊目の著書「リアルな英語の9割は海外ドラマで学べる!」(池田書店)が、おかげさまで売れ行き良好で4刷が決まりました。
今月3月2日に「3刷決定」のお知らせをさせていただいたのですが、同じ3月中にまた重版のお知らせができること、本当に嬉しくありがたく思っております。
お買い上げ下さった皆様、本当にありがとうございます<(_ _)>

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このたびめでたく4刷となりましたことで、また一人でも多くの方に拙著を読んでいただけることになれば、とても嬉しく思います。
これを励みにこれからも頑張ります!

Rachからの嬉しいお知らせでした♪


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posted by Rach at 16:26| Comment(2) | 著書4冊目 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年03月22日

あなたなしではこんなことできなかった フレンズ1-5改その27

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21:00
[Rachel looks at Ross, who motions to her to get the cart back.]
レイチェルはロスを見る。ロスは「カートを取り戻せ」というしぐさをする。
レイチェル: I'm sorry. You know, maybe I wasn't being clear. Uh, this was our cart. (ごめんなさい。ほら、多分私の言い方がはっきりしなかったのね。これは私たちのカートだったのよ。)
女性: Hey, hey, hey, there aren't any clothes in it! (おいおいおい、カートの中には服が全然入ってないよ!)
レイチェル: Hey, hey, hey, hey! Quit making up rules! (おいおいおいおい! ルールをでっち上げるのはやめなさいよ!)
女性: Let go! Come on, it's my cart. (離しなよ! ちょっと、私のカートだよ。)
[They struggle for the cart. Finally, Rachel climbs inside of it.]
二人はカートをめぐってもめる。ついに、レイチェルはカートの中に登って入る。
レイチェル: All right. Listen, Mitzi, if you want this cart, you're gonna have to take me with it! (いいわ。ねぇ、ミッツィー、もしあなたがこのカートを欲しいのなら、私が入った状態で持っていくことになるわ!)
[She thinks it over, and then walks away.]
女性は思いを巡らせて、それから歩いて去る。
レイチェル: [to Ross] Yes! Did you see that? ([ロスに] やったわ! 今の見た?)
ロス: You were incredible. A brand-new woman, ladies and gentlemen. (君は信じられないほど素晴らしかった。真新しい(生まれ変わった)女性です、みなさん。)
レイチェル: I could not have done this without you. (あなたなしでは、こんなことできなかったわ。)
[Rachel stands up and kisses Ross. He is stunned. A moment of silence follows.]
レイチェルは立ち上がり、ロスにキスする(注:実際には、レイチェルはカートに乗ったままロスのシャツを掴み、引き寄せてキスしている)。ロスは呆然としている。少しの沈黙が続く。
ロス: Ok, um, uh, more clothes in the dryer? [Ross turns and bangs his head on an open dryer door.] I'm fine, I'm fine. (よし。まだ服が乾燥機の中にあるかな? [ロスは向きを変えて、開いている乾燥機のドアに頭をぶつける] 僕は大丈夫、大丈夫だよ。)
レイチェル: Are you sure? (ほんとに?)
ロス: No. (いや。)

「そのカートを持っていた」という表現をしたことで「私だって過去に持っていた細いウエストを失った。持っていたものは失われることもある」みたいに言い返されてしまったので、「私の言い方が明白ではなかったようね、あなたにわからなかったみたいね」と言って、「持っていた」ではなく「これは私たちのカートだった」とレイチェルは言い直しています。

女性が hey を3回言うと、レイチェルが hey を4回、つまり相手より1回多く言うのが面白いですね。
そのおばさんの勢いにレイチェルも負けずに頑張っている感じが出ています。
hey, hey, hey は日本語で言うと「おいおいおい、ちょっとちょっとちょっと」みたいな感覚ですね。

「カートの中に服は全然入ってないじゃないか」と言うおばさんに、レイチェルは、Quit making up rules! と言っています。
make up の基本的なニュアンスは「作り上げる」ということですが、根拠もないことを勝手に作り上げるというという意味の「でっちあげる」という意味でもよく使われます。
「作り話をする」の「作る」という感覚ですね。

直訳すると「ルールを作るのはやめなさいよ!」ということで「ありもしないルールをでっち上げるのはやめなさいよ!」ということですね。
カートの中に服が入っていない、と指摘するおばさんに、カートをキープするには中に服を入れなければならないなんてルールはないわよ、洗濯機の時みたいに勝手に自分の都合のいいルール作らないでよ! と怒っているセリフになります。

レイチェルがおばさんに対する呼び掛け語として使った Mitzi について。
このおばさんのキャラクターの名前がそれということはないようで、
エンドクレジットでも、
guest starring Camille Saviola as the Horrible Woman
と表記されています。
レイチェルはこのおばさんの知り合いではないので、そもそも名前を知っているというのも変ですから、レイチェルが何らかのイメージで呼び掛けた名前ということになるのでしょう。
誰か有名人の名前なのかなと思って調べてみると、一番有名そうだったのはミッツィ・ゲイナー(Mitzi Gaynor)という女優さんでした。
Wikipedia 日本語版: ミッツィ・ゲイナー
「ショウほど素敵な商売はない」「南太平洋」など、有名なミュージカル映画に出演しています。
写真などを見ると、特にこのおばさんとの共通点はなさそうで、あえて言うと髪型がショートで短いということくらいですが、おばさんの髪型は(帽子でよく見えないものの)かなりのベリーショートのようなので、髪型が同じとも言い難い感じです。
なので、どうしてレイチェルがおばさんのことを Mitzi と呼んだのかは正直よくわかりませんでした、、、。

レイチェルはカートの中に入って、「カートを持って行きたいのなら、中に入った私ごと持って行きなさいよ!」みたいに言っています。
そう言われたおばさんは、喧嘩するのをあきらめて去って行くことになります。

レイチェルが言う Yes! は「よし! やった!」というニュアンスですね。
このような「やった!」というニュアンスは、LAAD (Longman Advanced American Dictionary) でも以下のように説明されています。

yes [interjection] : used to show that you are very excited or happy about something
例)"Dad says we can go to the movies." "Yes!"

つまり「(間投詞)自分が何かに非常に興奮している、または幸せであることを示すために使われる」。例文は「僕たち映画に行けるって、パパが言ってるよ」「やった!」

incredible は unbelievable と同じように「信じられないほど素晴らしい」というニュアンス。
「インクレディブル」という単語は 2004年公開の「Mr.インクレディブル」(原題:The Incredibles)というピクサーのアニメ映画のおかげで、日本人にもなじみがある単語と言えるでしょう。
私はこの作品が好きで DVDも持っているのですが、久しぶりの続編「インクレディブル・ファミリー」(原題:Incredibles 2)が今年2018年6月15日に公開されるとのことです。楽しみですね♪

A brand-new woman, ladies and gentlemen. というのは、まるでそこに聴衆がいるかのように、生まれ変わったレイチェルを紹介しているような感覚。
前はおばさんに言い負かされてしまっていたレイチェルが、今度は一人で立ち向かい、おばさんを退散させたので、それがまるで生まれ変わった真新しい女性のようである、と言っていることになります。
「ほら皆さん、ここに生まれ変わった女性がいますよ。見てやって下さい、褒めてやって下さい」みたいな感じですね。

I could not have done this without you. は「あなたがいなければ、こんなことはできなかった」。
謝辞を述べる際などによく使われるフレーズで、仮定法過去完了の例文にでてきそうな典型的な文章だと言えます。
「もし(事実に反して)あなたがいてくれなければ、私はこんなことはできなかったでしょうに」という感覚で、「実際にはこうしてあなたがいてくれたお陰で、こんな(すごい)ことが私にもできちゃった」というニュアンスになります。
あのおばさんを退散させたことが自分でもよほど嬉しかったのでしょう、興奮気味で話しているレイチェルは、ロスにムチュ〜! という感じの熱烈なキスをしていますね。
学生時代からレイチェルのことが好きだったロスは、そのレイチェルにキスされて呆然としています。
ロスとしてはレイチェルにキスされてうっとり、、というところでしょうが、ロマンティックな恋愛感情からのキスではなく感謝のキスですから、ロスは冷静さを装わないといけないところが辛いですね。
もっと乾燥機に入れる? みたいに言ったところ、開いていたドアに頭をぶつけてしまうロス。
「大丈夫」と言いながらも、やっぱり頭がクラクラしてふらついているロスを映してエンドクレジットとなります。


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posted by Rach at 12:20| Comment(2) | フレンズ シーズン1改 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年03月16日

全てが〜みたいに見えるのを除けばね フレンズ1-5改その26

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20:38
[Scene: The Launderama. Rachel is sorting her now-pink clothes.]
シーン:コインランドリー。レイチェルは今やピンクとなった服を分けている。
ロス: You got the clothes clean. Now that's the important part. (君は服をきれいにしたんだ。今はそれが大事なところだよ。)
レイチェル: Oh, I guess. Except everything looks like jammies now. (えぇ、(私も)そう思うわ。今や全部がパジャマみたいに見えるのを除けばね。)
[The same woman walks over and takes Rachel's laundry cart.]
例の同じ女性が歩いて近づいてきて、レイチェルの洗濯カートを取る。
レイチェル: Whoa, I'm sorry. Excuse me. We had this cart. (ちょっと、ごめんなさい。すみません。私たちこのカートを取ってたんですけど。)
女性: Yeah, well, I had a 24-inch waist. You lose things. Come on. Get out of my way. (そう、私だって24インチのウエストだったわ。人は何か(もの)を失うものなんだよ。ちょっと。私の邪魔しないで[私の前からどきな]。)

You got the clothes clean. は「君はその服をクリーン(清潔)(な状態)にした」という感覚。
その後、それが重要な部分だよ、と言っているように、「洗濯において一番大切なのは服をきれいにすることで、今回はそれができたからいいじゃないか」と慰めている感じですね。

レイチェルはそれを肯定したように I guess. と言った後、Except SV. の文を続けています。
これは「SV であることを除けば、あなたの言う通りね」というところですが、このように後から Except を付け加える形で言った場合には、「そうね。ただし〜を除けばの話だけど」のように「付け足しで例外を述べた」感覚になります(拙著「読むだけ なるほど! 英文法」p.317 でも説明しています)。

ロスが「きれいになったことが一番大事じゃないか。色が付いちゃったことなんてささいなことだよ」みたいに励ましてくれているとわかっていても、レイチェルは「こんな見た目になってしまったら洗濯に成功したとはとても言えない」という気持ちなのですね。

jammies は pajamas 「パジャマ」の口語表現(インフォーマルな形)。
どちらの形でもこのように複数形で使います。

そこに、洗濯機の取り合いをした例の女性がやってきて、レイチェルたちのカートを横取りしてしまいます。
We had this cart. 「私たちはこのカートを持っていた・取っていた」→「このカートの所有権は私にある」と主張するレイチェルに、相手の女性は同じ動詞 had を使って、I had a 24-inch waist. と返します。
1インチ=2.54cm なので、24インチ=60.96センチ。
(こういうものは、Google検索で「24インチ」と入れるだけで、トップに「24インチ=60.96センチメートル」と表示してくれるので便利ですね)
今はスタイルが良いとは言えないこの女性ですが、「私だって若い頃はウエスト60センチだったんだから、ちょっと若くてスタイルがいいからって偉そうにしないでよ」みたいに言ってみせたわけですね。

その後の You lose things. について。
この you については、この言葉を投げつけている相手の「レイチェル」だけを指しているというよりも、もう少し広い意味で一般的な人も含めた「人間というものの一般論」を述べているように思います。

You lose things. という現在形を直訳すると「You は(いろんな)こと・ものを失うものだ」のような感覚。
話の流れで言うと「私たちはカートを持っていた」「私だって細いウエストを持っていた。(何かを持っていたとしても)(いつかは)ものを失うんだよ」と言っていることになりますね。
おばさんが自分の細いウエストを失った話を出しているように、「ものを失う」というのはレイチェルだけの話ではなく、「(あんたも私も含めて)人はみな何かを持っていたとしてもいつかはそれを失う。持っていたものは失われるものだ」という原理・真理のようなものを言ったと考えた方がしっくりくると思います。
そのように「一時的に持ってたからと勝ち誇るな」という意味で「私が細いウエストを失ったように、あんたが持ってたカートを失うこともあるんだよ」のように言ってみせたことになるでしょう。


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posted by Rach at 16:32| Comment(0) | フレンズ シーズン1改 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年03月13日

今のどうやるの? 才能みたいなものよ フレンズ1-5改その25

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19:46
フィービー: Oh, my God! [Chandler downs another espresso.] How many of those have you had? (なんてこと! [チャンドラーはもう1杯エスプレッソを飲み干す] (エスプレッソを)あなた何杯飲んだの?)
チャンドラー: Oh, I don't know. A million? (さあね。百万杯かな?)
フィービー: Chandler, easy, easy. Go to your happy place. La la la la la la la. (チャンドラー、落ち着いて、落ち着いて。幸せな場所に行くのよ。♪ララ、ラララ、ラララ♪)
チャンドラー: I'm fine, I’m fine. (大丈夫。大丈夫。)
フィービー: All right. (いいわ。)
[Janice returns from the bathroom.]
ジャニスがお手洗いから戻ってくる。
チャンドラー: I'm not fine. Here she comes. (大丈夫じゃない。彼女がこっちに来る。)
フィービー: Wait here, okay? Breathe. (ここで待ってて、いいわね? 深呼吸して。)
[Phoebe goes over to speak to Janice. She talks to her for a few seconds, and then Janice immediately smiles, hugs her, waves to Chandler, and leaves.]
フィービーは話をするためにジャニスのところに行く。フィービーはジャニスに2、3秒話し、それからジャニスはすぐに微笑み、フィービーをハグして、チャンドラーに手を振り、店を出ていく。
チャンドラー: How do you do that? (今の(さっきの)どうやるの?)
フィービー: It's like a gift. (才能みたいなものよ。)
チャンドラー: We should always, always break up together. (俺たち、常に、常に、別れを一緒にすべきだね。)
フィービー: Oh, I'd like that! (まぁ、それっていいわね。)

フィービーが飲んでいたエスプレッソをチャンドラーが引ったくるようにして飲んだ後、フィービーは How many of those have you had? と尋ねています。
those のところでチャンドラーが持っているカップを示すようなしぐさをしていますので、「これまでにエスプレッソを何杯飲んだの?」と問うていることがわかります。
A million? 「百万杯かな?」のように、million という大きな数字を使った誇張表現は英語でよく出てきますよね。
もう何杯飲んだかわからないくらい大量に飲んだよ、ということを自虐的に大袈裟に表現したことになります。

フィービーはチャンドラーの心を落ち着かせようと歌を歌い、チャンドラーも一瞬は I'm fine. 「大丈夫」と言うのですが、お手洗いからジャニスが出てきたのを見て、I'm not fine. 「大丈夫じゃない」と言っています。

Here she comes. という語順について。
「彼女がここに来る」だと She comes here. ということですが、このように Here を前に出す形の文もよく見かけますね。
このような here については、以下の研究社 新英和中辞典の説明がわかりやすいと思います。
here=[文頭に用いて][特に相手の注意を引くために用いて] ほらここに[へ]
Here comes John. ほらジョンが(こっちへ)やってきたよ。
用法:代名詞の時は Here he comes. の語順


「ここに」というのを強調するために文頭に出しており、その場合、代名詞なら Here he comes. (Here SV.) の語順になり、それ以外なら Here VS. の語順になるということですね。

今回のチャンドラーのセリフは she という代名詞が使われているので、Here she comes. になっているということです。
ビートルズの曲に Here Comes the Sun というタイトルの曲がありますが、こちらは主語の the sun が代名詞ではないので、Here VS. の語順になっています。

フィービーはジャニスの元に行き、少し話をしています。
ジャニスはフィービーとハグして、穏やかな表情でチャンドラーの方を向き、そのまま店を出ていきます。
フィービーが自分の彼のトニーと別れた時も、相手はハグした後、あっさり出ていきましたが、今回はその再来という感じですね。
チャンドラーは驚いて、How do you do that? と言っています。
直訳すると「君はどのようにしてそれをするの?」ということ。
例えば目の前で驚くような手品やトリックなどを見せられた時などに How did you do that? と言うことがありますが、その場合だと「今の[今見たそれ]、どうやったの?」というところですね。
今回のセリフがもし How did you do that? という過去形であれば、今見た「フィービーがジャニスとハグしてあっさり別れられたこと」のみを指すことになるでしょうが、チャンドラーは恐らく「フィービーがトニーと別れた時」のことも含める意味で「習慣・習性を表す現在形」を使ったのだろうと思います。
今やったようなこと(ハグしてあっさり別れること)を君はいつもするけど、それはどのようにしてやってるの? どうやってるの? という感覚ですね。

It's like a gift. について。
「ギフト」というと、「贈り物」をまず想像しますが、ここでは「才能、天賦の才能」という意味。
gifted だと「天賦の才能がある、有能な」という意味の形容詞になります。
LAAD (Longman Advanced American Dictionary) では
gift :
2. a) a natural ability (SYN: talent), b) an ability that is given to you by God

つまり、a) は「生まれつきの才能(類義語:talent)、b) は「神から与えられた才能」。
「神から与えられた贈り物」が「与えられた才能」なわけですね。

人とすんなり別れられるのは才能ね、と言うフィービーに、チャンドラーは「人と別れる時は君と俺で一緒にやろうよ」みたいに言っています。
別れ話は本来楽しいものではないはずですが、フィービーも「それっていいわね」みたいに喜んでいるのも面白いですね。


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posted by Rach at 18:49| Comment(2) | フレンズ シーズン1改 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年03月09日

彼女の目を叩いちゃった フレンズ1-5改その24

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19:17
[Scene: Central Perk. Chandler is still trying to ease things over with Janice, and there are about a dozen empty Espresso cups in front of him. He is extremely wired.]
シーン:セントラルパーク。チャンドラーはまだジャニスとの件を収めようとしている。チャンドラーの前には約12個(注:実際には10個)のエスプレッソのカラのカップがある。チャンドラーは極度に興奮している。
チャンドラー: Here's the thing, Janice. You know, I mean, it's like we're different. I'm like the bing, bing, bing. You're like the boom, boom, boom. [Chandler flails his hand out and hits Janice in the eye] (こういうことなんだよ、ジャニス。ほら、つまり、俺たちは違うって感じなんだ。俺はビンビンビンって感じで。君はブンブンブンって感じなんだよ。[チャンドラーは手を振り回して、ジャニスの目を叩く]。)
ジャニス: Ow! (痛っ![アウ!])
チャンドラー: Oh, my God! I'm so sorry! Are you okay? (なんてこった! ほんとにごめん! 大丈夫?)
ジャニス: Ow. Um, it's just my lens. It's my lens. I'll be right back. (痛い。あー、ただ私のコンタクト(のせい)よ。コンタクト(のせい)なの。すぐに戻るわ。)
[She leaves.]
ジャニスは席を離れる。
チャンドラー: [to Phoebe] I hit her in the eye! I hit her in the eye! This is the worst breakup in the history of the world! ([フィービーに] 彼女の目を叩いちゃった! 彼女の目を叩いちゃった! これって史上最悪の別れ方だ!)

セントラルパークでは、テーブルに10個ものエスプレッソのカラのカップが並んでいるのが映り、続いて、木のテーブルを打楽器のようにトントコトントコとリズミカルにチャンドラーが叩いている姿が映ります。
ジャニスに一言言う前に、気付け薬か何かのようにエスプレッソをぐっと飲み干してから話す、というのをもう10回くらい繰り返していることがわかる描写ですね。
カフェインの過剰摂取で興奮してハイになっていることが、その机トントコの姿に表れていると言えるでしょう。

Here's the thing. は「こういうことなんだ」という意味で、これから大事なことを切り出そうとする時の表現。
It's like, I'm like, You're like のように like が連続で使われていますが、どれも「主語は〜という感じ」というニュアンス。
チャンドラーは「君と俺とは違うんだ」ということを説明しようとして「俺はビンビンビンって感じで、君はブンブンブンって感じなんだ」と言っています。
bing という表現を使っているのはやはり、Chandler Bing という自分の名字の音からでしょうね。
boom に対しては「ビン」と同じような擬音語っぽい音「ブン」を選んだということになるのでしょう。
手を振り回しながらブンブンブーン!と言った時、3回目のブンで振り回した手がジャニスの目に当たってしまい、ジャニスは痛そうに Ow! 「アウ」と言っています。
日本語の「いた! いて! 痛い!」に相当するのがこの Ow! ですね。
LAAD (Longman Advanced American Dictionary) では、
ow [interjection] : said to show that something hurts you
つまり「何かが自分を痛くする[自分に痛みを与える]ことを示すのに使われる」。
ouch 「アウチ」も「痛い!」という意味で使われますが、「いたたた、いててて」「痛い痛い」のように痛いことを連呼する場合には、Ow, ow, ow... と ow を繰り返しているのをよく見ます。

It's just my lens. は「私のコンタクト(レンズ)のせいなの」「問題となっているのはコンタクトなの」というニュアンス。
lens = contact lens ということで、省略して lens と呼んでいるのですね。
英語ではもっぱら lens と言われることが多いように思うのですが、今回、改めて英英辞典を調べてみたところ、contact の方もコンタクトレンズを指すと説明してありました。

LAAD では、
lens : a contact lens
contact : a contact lens


Macmillan Dictionary では、
lens : a contact lens
contact : (INFORMAL) a contact lens


コンタクトレンズは物としては「レンズ」なので、lens という略称の方が本来の姿を表していると言える気がしますが、日本語で「コンタクト」と呼ぶように、英語の場合も contact という略称もアリ、ということみたいですね。
マクミランでは、contact の方だけに「インフォーマル」と書かれているので、lens よりも contact の方がよりくだけた使われ方なのかなと思ったりします。

フレンズではもっぱら lens の方が使われていますし、一般的にも lens という呼び名の方が多いような気はするのですが、上の英英辞典の説明を見る限り、日本語風の「コンタクト」(contact)という略称も可能ということになりそうです。

実は過去記事、プラグとレンズをつけた フレンズ1-2改その28 で、"And you got lenses." 「それに、コンタクトつけたのね」というセリフが出てきた際、「コンタクトは英語では lens と言う」と説明したのですが、今回の記事の内容に合わせ、そちらの過去記事も追記にて訂正させていただいています。

I hit her in the eye! について。
「“彼女の目を”叩いた」と日本語では言いますが、英語ではこのように、hit her in the eye と言います。
叩いた相手は彼女なので、彼女を叩いた、と言い、その後で、具体的に叩いた場所(この場合は、in the eye)を詳しい説明として付け加える形ですね。
「彼女を叩いた、叩いた場所は目の中だった」という感覚になります。
hit him on the head 「彼の頭を叩く」、take her by the arm 「彼女の腕をつかむ」など、こういうパターンは多いので、出てくるたびにその感覚をつかんでいくようにしたいですね。

This is the worst breakup in the history of the world! という大げさな表現も面白いです。
世界の歴史において最悪のブレイクアップ、ということですから、史上最悪の別れ(方)だと言っていることになります。
別れを告げようとしている相手の目を叩いてしまったわけですから、チャンドラーのパニクり具合にも納得、というところですね。


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posted by Rach at 16:10| Comment(2) | フレンズ シーズン1改 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年03月06日

あなたの話に笑わずにはいられなかった フレンズ1-5改その23

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18:59
[Scene changes to later that night. Monica accidentally spilled her drink on Bob's shirt and is wiping it off. Joey is making eyes at Angela.]
シーンがその夜の後の時間に移る。モニカはうっかり自分の飲み物をボブのシャツにこぼしてしまい、それを拭き取っているところ。ジョーイはアンジェラに色目を使っている(注:実際には冒頭ではジョーイとアンジェラは映っておらず、色目を使っている姿は、モニカとボブのやりとりの後に出てきます)。
モニカ: I'm so sorry, I can't believe I did this. I just couldn't stop laughing at your Norman Mailer story. (ほんとにごめんなさい。自分がこんなことしたなんて信じられないわ。ただ笑わずにはいられなかったの、あなたのノーマン・メイラーの話にね。)
[Angela is eating chicken wings and making the weasel-like noise Joey had told Bob about.]
アンジェラは手羽先を食べていて、ジョーイがボブに話したイタチっぽい音を立てている。
ジョーイ: Uh, waiter? One more plate of chicken wings over here. (あぁ、店員さん? ここに手羽先をもう一皿追加ね。)

画面が切り替わると、ボブのシャツの胸元をモニカが「ごめんなさい」と言いながら拭いている姿が映ります。
その後、I just couldn't stop laughing... と言っていることから、ボブの話に笑ってしまって思わず吹き出してしまったとか、持っていた飲み物をこぼしてしまったであろうことが想像できますね。
ト書きには Monica accidentally spilled her drink on Bob's shirt と書いてありますが、acccidentally は「偶然に、誤って、ついうっかり」というニュアンス。
この直前のシーンで、ジョーイとモニカが協力してボブとアンジェラを別れさせる作戦を始めようとしていることがわかるので、実際には本当の「うっかり」ではなく「うっかりを装ったわざと」だったのだろうと思えますね。

過去記事、偶然を装い、壊してみる フレンズ1-1改その18 では、
ポール: Well, he might try accidentally breaking something valuable of hers. Say her-- (そうだな。彼(君の兄さん)は、彼女(妻)の持ち物で価値のあるものを「ついうっかり」 break してみてもいいかも。例えば彼女の…)
のように、セリフの中で accidentally が出てきました。
1-1 のセリフでは「偶然に、うっかり」というのを意味ありげに使っていて、本当は「偶然を装った風にして、偶然ってことにして」という意味になります。
その意味をはっきり示す形の accidentally on purpose 「偶然を装っているが、実際は故意に」というフレーズも存在しますが、1-1 のセリフと同様に、今回の 1-5 のト書きも accidentally だけで、accidentally on purpose というニュアンスを表していることになるでしょう。
on purpose をつけずに「偶然に(ってふりをしてわざと)」と伝えたい場合には、accidentally を(意味ありげに)わざと強調して発音するとわかりやすいですね。

your Norman Mailer story の Norman Mailer は「ノーマン・メイラー」という名前の作家。
ピューリッツァー賞を2度受賞しています。代表作は「裸者と死者(The Naked and the Dead)」など。
詳しくは以下のウィキペディアで。
Wikipedia 日本語版: ノーマン・メイラー

上のウィキペディアではその代表作「裸者と死者」について、「それは彼自身の戦中の経験に基づいたものであり、第二次大戦を描いた最良のアメリカ小説のうちの1つとされる」と説明されています。
ウィキペディアではその作品「裸者と死者」のページもあります。
Wikipedia 日本語版: 裸者と死者

あらすじや作品解説によると、戦争中の兵士の苦悶、確執、葛藤、恐怖などを描いた作品だとのこと。
そのような重くシリアスな作品であれば、メイラーの作品の話でも、メイラー自身の話にしても、いずれも女子が大笑いするような話ではないという気がしますね。
「面白くて吹き出すような話でもないのに、わざと服にこぼしてそれをふいて、ボディータッチして誘惑している演技」であることを示すために、脚本上、わざとそのような「堅い、重い」イメージの作家の名前を出した、ということが考えられると思います。

また(これはちょっと深読みしすぎかもしれないのですが)ウィキペディアの「裸者と死者」の説明でちょっと気になるところがありました。
それは「f*ck という卑語の代わりに fug という婉曲表現を使っている」という点、そして「日本語翻訳者の方が猥褻文書の疑いで警察の捜査を受けた」という点です。

作品の内容自体は、大笑いとは程遠い重くシリアスな内容だと思うのですが、猥褻ともとられるような性的な表現が出てくる作品でもあるということで、人によっては、文学としての内容よりも「過激な性的表現が出てくる作品」という印象が先に立つようなこともあるのかもしれない、と思ったりします。
もしかするとボブはその作品の性的表現に関連したジョークを言ったのかもしれない、という気もするのですね。

脚本上、ボブがメイラーについてどんな話をしたのかは明らかになっていないのでここは想像するしかないわけですが、いろいろな作家がいる中で「ノーマン・メイラー」を選択したことは脚本家のセンスでもありますよね。
「とても笑い話にできるような作家・作品ではない」という意味での選択だったと考えるのが自然な気はするのですが、「重い作品だけれどもその中の過激な性的表現のことを思い浮かべる人もいる」というイメージからの選択だった可能性も、もしかしたらあるのかなぁ、と思いました。

モニカがボブの気を引こうとしている中、アンジェラはジョーイがイタチっぽいと表現した音を出しながら、手羽先を食べています。
ジョーイはそれをニヤニヤしながら見ていますね。
シーンのト書きでは Joey is making eyes at Angela. と表現されていますが、make eyes at は「人に色目を使う」という意味。
LAAD (Longman Advanced American Dictionary) では、
make eyes at somebody : to look at someone in a way that shows you find them sexually attractive
つまり「自分がある人を性的に魅力的だと思っていることを示す様子で、その人を見ること」。

相手に気がある様子を隠すこともなく、「君、色っぽいねぇ」みたいな顔をして相手を見る、という感じですね。

ジョーイがボブに「アンジェラはイタチみたいな音を出して食べる」と説明したことは、ボブがアンジェラに幻滅するように仕向けるための悪口だったと思われるのですが、ジョーイ本人はアンジェラのその食べ方を嫌っている様子はなく、ト書きでも「色目を使う」と表現されているようにむしろ嬉しそうな顔をして見ている気がしますね。
ジョーイはウェイターに「手羽先もう1皿ね」と注文していますが、ボブに対して見せつける意味以上に、ジョーイがその姿をもっと見ていたくて頼んだのかな、と思える気もします。


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posted by Rach at 15:51| Comment(0) | フレンズ シーズン1改 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年03月02日

再重版(3刷)決定しました!「リアルな英語の9割は海外ドラマで学べる!」

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2017年12月15日に発売となりました、私の4冊目の著書「リアルな英語の9割は海外ドラマで学べる!」(池田書店)が、おかげさまで売れ行き良好で、再重版(3刷)が決まりました。
このブログでも 1月27日に最初の重版についてご報告させていただいたのですが、発売から2か月半という短期間に重版が2回決まったことは本当に嬉しく、新刊をお買い上げ下さった皆様方のおかげと、心より感謝しております。本当にありがとうございます<(_ _)>

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めでたく3刷となりましたことで、書店に並んでいるこの本、この表紙に、一人でも多くの方が目を留めて下さると嬉しいなと思います。
これからも、本、セミナー、そしてこのブログで、海外ドラマで英語を学ぶ楽しさと素晴らしさを伝えられるよう、精一杯頑張りますね!

Rachからの嬉しいお知らせでした♪


P.S. 「フレンズ解説記事」は、今日、この下に(1つ前の記事として)投稿しています。


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posted by Rach at 18:05| Comment(2) | 著書4冊目 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

兄とやんちゃしたことないみたいに フレンズ1-5改その22

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18:13
ジョーイ: Come on, they're close. (おいおい、二人は親しいんだよ。)
モニカ: Close? She's got her tongue in his ear. (親しい? アンジェラはボブの耳に舌を入れてたわよ。)
ジョーイ: Oh, like you've never gotten a little rambunctious with Ross. (おや、まるでモニカはロスとちょっとしたやんちゃ(度を過ぎたこと)をしたことないみたいに(言うねぇ)。)
モニカ: Joey, this is sick. It's disgusting. It's, it's… not really true, is it? (ジョーイ、これって気持ち悪い[不健全よ]。ぞっとするわ。それって…本当じゃないのね?)
ジョーイ: Well, who's to say what's true? I mean.... (なぁ、何が真実なんて誰が言うんだ?[何が真実かなんて誰にも言えない] つまり…)
モニカ: Oh, my God, what were you thinking? (なんてこと、あなた何考えてたのよ!)
ジョーイ: All right, look, I'm not proud of this, okay? Well, maybe I am a little. (わかった、ねぇ、俺だってこんなこと自慢には思わないよ、だろ? でも多分、ちょっとは誇らしいかな。)
モニカ: [hits him lightly] Oh! ([ジョーイを軽く叩いて] もう!)
ジョーイ: Ow! (いて!)
モニカ: [leaving] I'm out of here! ([立ち去ろうとしながら] 私ここを出ていくわ!)
ジョーイ: Wait, wait, wait! Come on! You like him. I want her. He likes you. (待って待って待って! ねぇ! モニカはボブが好きだろ。俺はアンジェラが欲しい。ボブはモニカを気に入ってるよ。)
モニカ: Really? (ほんとに?)
ジョーイ: Yeah. Listen, I'm thinking, if we put our heads together, between the two of us, we can break them up. (そうだよ。ねぇ、俺、考えてるんだけど、もし俺たちが協力し合えば、ここだけの話だけど、俺たちで彼ら(ボブとアンジェラ)を別れさせることができるよ。)

ジョーイがついた嘘で、ボブとアンジェラが兄妹だと思っているモニカは、二人のいちゃつきぶりを見て驚いているのですが、ジョーイはその嘘をつき通そうとして、二人は close なだけだ、のように説明します。
close という綴りは動詞の「閉じる」という意味で使いますが、その場合の発音は「クロウズ」で、今回のセリフでは「クロウス」と発音されており、その場合は「親しい」という意味の形容詞になります。

兄妹の仲が良いんだよ、と言うジョーイに、モニカは「親しい、なんてレベルじゃないわ」という感じで「アンジェラはボブの耳の中に舌を入れてるわ」と続けます。
映像でも、モニカが言ったようなことをしている二人が画面に映っていますね。

Oh, like you've never gotten a little rambunctious with Ross. について。
この Like SV の形は「まるで〜みたいに(言うねぇ)」というニュアンス。
この like は as if と同じような意味になります。
拙著「読むだけ なるほど! 英文法」(学研)の p.339 でも解説しましたが、セリフによく出てくる表現で、過去記事 ルールでもあるみたいに フレンズ1-1改その13 に出てきた
ジョーイ: Like there's a rule or something? (まるで(結婚式の日にはナンパしちゃいけないっていう)ルールか何かでもあるみたいに(言うねぇ)。)
が、フレンズのセリフで登場した最初の例になります。

rambunctious は「やんちゃな、無軌道な」という意味。
研究社 新英和中辞典では、
rambunctious=【形】《米口語》〈人・行動が〉乱暴な、むちゃな、無軌道な、始末に負えない
と出ています。

LAAD (Longman Advanced American Dictionary) では、
rambunctious : noisy, full of energy, and behaving in a way that cannot be controlled
つまり「うるさくて、元気いっぱいで、制御できないようなやり方で行動していること」。

Macmillan Dictionary で、rambunctious を調べると、
(MAINLY AMERICAN) rumbustious
と出ており、その rumbustious を調べると、
(BRITISH) noisy, lively, and happy
つまり「うるさく、活発で、幸せ」と説明されています。

このマクミランの説明は、「rambunctious は主にアメリカ英語であり、意味はイギリス英語の rumbustious と同じ」ということですね。
研究社 で「米口語」と注意書きが出ていた通り、マクミランでもこれがアメリカ英語であると説明されていることになります。
「モニカはロスとやんちゃしたことないみたいに言うねぇ」というのは、裏を返せば「モニカだってロスとあんな感じのやんちゃなこと(兄妹の関係を越えちゃうような度の過ぎた行為)をしたことあるだろ?」と言った感覚になります。

disgusting は「むかつくような、うんざりするような、気持ち悪い」。
兄妹なのにそんな関係性だなんてぞっとする、とまくしたてるモニカですが、そんなモニカに対してジョーイは何だか情けない顔、嘘がバレちゃった? というような気まずい顔をしています。
そのジョーイの表情で嘘だと気づいたらしいモニカは「二人が兄妹だっていうのは本当じゃないのね。嘘なのね?」のように問い返します。

Who's to say what's true? の Who's to say...? は、Who is to say...? ということ。
be to は学校文法で、運命、可能などの意味があると習ったりしますね。
数研出版「基礎と完成 新英文法」(安藤貞雄 著)の p.87 では、そのようないろいろなニュアンスを説明する前に、まずは、
準助動詞としての be to の基本的意味は<取り決め・手はず>である。
と説明されています。
その「基本的意味」を当てはめるとすると、「何が正しいかを誰が言うことになっているか?」のような感じになるでしょうか。

be to の細かいニュアンスを知らなかった場合には、まずは細かい語尾は表現せずにざっくりイメージすることから始めれば良いかなと思います。
ざっと訳すと「何が正しいかを誰が言う?」というところになりますが、「ジョーイが言ったこと、私が信じていたことは嘘なのね?」のように言われたことに対しての「何が正しいかを誰が言うのか?」であれば「何が正しいかなんて誰にも言えない、誰にもわからない、誰にも決められない」のように「正しいか正しくないかということについて絶対的な判断はない」かのように言ってみせていると想像できる気がします。

このセリフについては、「本当じゃなくて嘘なのね?」と非難されたことに対して「何が本当かなんて誰にも決められない」のような「抽象的な話にすり替えて逃げている」感じがわかれば良いかと思います。

what were you thinking? を直訳すると「あなたは何を考えていたの?」ということですが、これは純粋に「過去に考えていた内容を問うている」のではなく、日本語で非難めいた口調で「あなた一体何考えてたのよ!」というのと同じく、そんなこと考えてたなんて信じられないというニュアンスですね。
ジョーイが「何が本当かなんて誰にもわからないだろ」と「逃げた」ことで、「あの二人は本当に兄妹なんだってば!」と反論できないことがわかるので、「カップルの二人を兄妹だと私に教えたなんて信じられない」という意味で非難したわけですね。

I'm not proud of this, okay? は「俺だってこんなこと自慢に思ってるわけじゃない。これをすることが正しいと思ってやってるわけじゃない」という感覚。
やむを得ずこんな嘘をついちゃっただけだ、というところですね。
ですがその後、maybe I am a little. と付け加えて、「自慢じゃないって言ったけど、ちょっとは自慢に思ってるかな」と言ったことになります。
モニカも今まで騙されてたわけだし、我ながら良い作戦だったと思うよ、みたいなことですね。

ボブはアンジェラの彼氏だと判明し、ジョーイにも反省の色がないので、怒ったモニカはダブルデートから帰ろうとするのですが、ジョーイはそれを引き留めて、You like him. I want her. He likes you. と言っています。
最後の「ボブは君のことを気に入ってる」というのを聞いて、モニカはころっと気が変わったように嬉しそうな顔をして軽い調子で Really? と返します。

put our heads together は「頭を寄せて一緒に考える、一緒に難しい問題について考える」。協力して解決策を練る感じですね。
between the two of us は、between us または between you and me ということで、「俺たち二人の間だけのことだけど、ここだけの話で他の人には内緒だけど」という意味になります。


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posted by Rach at 16:29| Comment(0) | フレンズ シーズン1改 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする