2018年06月27日

取り除く、脱ぐの意味のlose フレンズ1-6改その20

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13:29
SCENE 5: FILM SET (JOEY IS ENTERING FOR HIS SCENE)
シーン5 : 映画セット。(ジョーイが自分のシーンのために入ってくる)
監督(DIRECTOR): (TO PHONE) Damn it! Hire the girl. (PUTS DOWN PHONE) Okay, everybody ready? ([電話に] くそっ! その子を雇え! [電話を切る]よし、みんな準備はいいか?)
ジョーイ: Uh, listen, I just wanna thank you for this great opportunity. (あのー、この素晴らしい機会についてただお礼を言わせて下さい。)
監督: Lose the robe. (ローブを脱げ。)
ジョーイ: Me? (俺ですか?)
監督: That would work. (それならうまく行くだろ[それなら納得だろ、つじつま合うだろ]。)
ジョーイ: Right. Okay. Losing the robe! (TAKES IT OFF) Okay, and the robe is lost. (確かに。わかりました。ローブを脱いでいるところです。[ローブを脱ぐ] よし、そしてそのローブは脱げました[ローブは脱がされました]。)

シャワーシーンの撮影のために、ジョーイがスタジオに来ている時、監督は電話で誰かと話しています。
Hire the girl. の hire は「人を雇う」。
逆に「人を解雇する、首にする」は他動詞 fire を使いますが、対義語である hire と fire は発音も似ていますし、紛らわしいので注意しましょう。

撮影に入る前、ジョーイは神妙な顔で「素晴らしい機会のお礼を言わせてください」と言うのですが、監督はそのような言葉には興味がない様子で、無表情なまま Lose the robe. と言います。
lose the robe は「(バス)ローブを脱ぐ」で、この場合の lose は「取り除く、取り外す」という意味で、get rid of と同じようなニュアンスになります。
lose の基本的な意味を LAAD (Longman Advanced American Dictionary) で見てみると、
lose : NOT HAVE ANYMORE if you lose something, you stop having it, especially because it has been taken from you or destroyed
つまり「もはや持っていない。人が何かを lose するというのは、それを持つのをやめること、特にそれが取られた時または壊された時に」。
主語が持っていたいと思うものであれば「失う」という感覚になるでしょうが、その何かが取られてもはや持っていないという状態を指すわけですから、今着ている衣服(ローブ)であれば「そのローブをなくせ」→「そのローブを取れ、脱げ」という感覚になるということですね。
lose=失う、というイメージが強いと、命令形を「失え」のように訳してしまいそうになりますが、「なくせ、取れ、取り除け」という意味でイメージすればわかりやすいかと思います。
今回のエピソードで後ほどまた、Lose (something). という命令形が出てきますので、先に詳し目に説明してみました。

That would work. の work は「うまくいく」というニュアンスで捉えれば良いでしょう。
ローブを脱げと言われて、Me? 「俺ですか?」と尋ねたジョーイに、「そうだったら、うまくいくだろうな」と答えている、つまり、ローブを脱ぐのが、他の誰でもなくお前だったら、ことが順調に上手く進むだろうな、と言っていることになるでしょう。
ジョーイの顔を見て、Lose the robe. と言っているのだから、ジョーイにローブを脱げと言っているのは明らかなのに、ジョーイが Me? と返してきたので、暗に「お前以外に誰がいるんだ、お前以外の誰かがローブを脱いでどうするんだ、お前に決まってるじゃないか」と言いたいわけですね。
ジョーイは今回役を与えてくれたことに対して一生懸命感謝の言葉を述べていたのに、それには全く反応せずに違うことを言われたため、思わず Me? と返してしまったのでしょうが、監督にしてみれば、尻の代役くらいでそんな礼をぐだぐだ言ってないでとっとと始めろ、という気持ちなのでしょう。

ジョーイの Losing the robe! Okay, and the robe is lost. について。
Losing the robe! は、I'm losing the robe! ということで、つまりは現在進行形ですね。
そして、the robe is lost は、lose the robe 「ローブを脱ぐ」という能動態を受動態にした形、つまりくどいくらいに受動態の感覚を出して訳すと「そのローブは脱がされた」になります。
最初は能動態の進行形を使い、次には受動態を使うというこの対比が面白いと思います。
能動態の進行形の方は、「脱げ」と命じられたことに対して、言われたことを今やっているところですよ〜とアピールしている感覚ですね。
その作業が終わったところで、今度はローブの方を主語にして「(あなたが脱ぐように言っていた)そのローブは(今、完全に)脱がれました[取り除かれました]」と説明しています。
監督としては演技が始められるように早くローブを脱いでほしいわけで、「ジョーイが脱いでいる」という「主語の行為」よりも「ローブが脱げた・外された状態である」という「ローブの状態」の方が重要なわけですから、まずは「脱いでいます」という行為を説明した後で、「(この通り)ローブはなくなりました」という監督が求めていた「結果」になったことを表現している感覚になるでしょう。


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posted by Rach at 13:48| Comment(2) | フレンズ シーズン1改 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年06月22日

残りの人生でずっと覚えているような大切な瞬間 フレンズ1-6改その19

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12:04
SCENE 4: MONICA AND RACHEL'S (MORNING) (MONICA IS GETTING THE DOOR)
シーン4: モニカとレイチェルの家。朝。(ノックがあったので)モニカがドアに出ようとしている。
モニカ: Alright, alright, alright... (はい、はい、はい…)
(ENTER JOEY WITH MONICA'S PAPER- HE GIVES IT TO HER)
モニカの新聞を持ってジョーイ登場。新聞をモニカに渡す。
ジョーイ: Here. I need to borrow some moisturizer. ([新聞を渡しながら]はいこれ。保湿剤借りたいんだけど。)
モニカ: For what? (何のために?)
ジョーイ: What do you think? Today's the big day! (何だと思う? 今日は重要な日なんだぞ!)
モニカ: Oh, my God! Okay, go into the bathroom. Use whatever you want. Just don't ever tell me what you did in there. (なんてこと。いいわ、バスルームに行って。何でも好きなものを使って。ただそこであなたが何をしたかは私に絶対に言わないで。)
ジョーイ: Thank you. (GOES OFF TO THE BATHROOM) (ありがとう。[バスルームへ向かう])
(ENTER CHANDLER WITH A PHONE)
電話を持ったチャンドラー登場。
チャンドラー: Where's Joey? His mom's on the phone. (ジョーイはどこ? ジョーイのママから電話なんだ。)
モニカ: He's in the bathroom. I don't think you wanna go in there! (ジョーイはバスルームよ。チャンドラーはそこには入らない方がいいと思うわ!)
チャンドラー: Oh, come on, we're roommates. (HE GOES INTO THE BATHROOM, SCREAMS AND RUNS OUT) My eyes! My eyes! (おいおい、俺たちはルームメイトだぞ。[チャンドラーはバスルームに入り、叫んで走り出てくる] 俺の目が! 俺の目が!)
モニカ: I warned you. (警告したのに。)
(ENTER RACHEL FROM HER ROOM)
レイチェルが自分の部屋から登場。
レイチェル: Who is being loud? (騒がしくしてるのは誰?)
チャンドラー: Oh, that would be Monica. Hey, listen, I wanna borrow a couple of things? Aurora spent the night, I really wanna make her breakfast. (あぁ、それってモニカだろ。なぁ、いくつか物を借りたいんだけど。オーロラがうちに泊まったんだ。彼女に朝食を作ってあげたいんだよ。)
モニカ: Oh, you got the whole night, huh? (まぁ、一晩中なの?)
チャンドラー: Yeah, well, I only have 20 minutes until Ethan, so, y'know.... (HE STARTS TO RAID THE FRIDGE) (あぁ、まあね、イーサンまでに20分しかないけど、だからほら… [チャンドラーは冷蔵庫をあさり始める])
レイチェル: Ooh, do I sense a little bit of resentment? (まぁ、ちょっと憤りを感じる気がするんだけど、どうかしら?)
チャンドラー: No, no, no, no. No resentment. Believe me, it's worth it, okay? Y'know in a relationship you have these key moments that you know you'll remember for the rest of your life? Well, every single second is like that with Aurora. And I've just wasted about 35 of them talking to you people. So, uh, Monica, can you help me with the door? (HE HAS ARMLOADS OF STUFF) (いやいやいやいや、憤りなんてないよ。ほんとだよ、それだけの価値があるんだよ、だろ? ほら、恋愛関係においては、残りの人生でずっと覚えてるだろうとわかるような大切な瞬間があるんだよ。ほら、オーロラとは1秒1秒がそんな感じなんだ。そして俺は君らと話すことでその35秒を無駄にしちまったな。で、モニカ、ドア開けるの手伝ってくれる? [チャンドラーは腕一杯の荷物を持っている])
モニカ: Sure. Oh, um, Chandler? Y'know, the-the old Monica would-would remind you to scrub that Teflon pan with a plastic brush. But I'm not gonna do that. (いいわ。あぁ、ねぇ、チャンドラー? ほら、昔のモニカなら、そのテフロン加工のフライパンをプラスチックのブラシでごしごし洗うことを思い出させようとするでしょうね。でも(今の)私はそんなことは言わないわ。)
(SHE OPENS THE DOOR AND HE LEAVES)
モニカはドアを開け、チャンドラーは去る。

新聞を渡す、モニカがガウンを着ている、などから、ジョーイが朝早くからモニカの部屋を訪ねてきたことがわかります。
保湿剤(化粧水)を借りたいというジョーイに、モニカが理由を尋ねると「今日は大事な日だ!」と言うので、「アル・パチーノのお尻の代役をする日だから、お尻を保湿剤でお手入れする」つもりだとわかる仕組みですね。
モニカはバスルームを案内して、何でも好きなものを使っていいわ、と言うのですが「バスルームで何をしたかは私に言わないで」と言っています。
自分の保湿剤をジョーイがお尻に念入りにペタペタと塗っている姿を想像したくないということですね。

ジョーイがバスルームに入った後、ジョーイのママから電話だと言って、チャンドラーはジョーイに子機を渡そうとしています。
バスルームだと言うと、チャンドラーはそのままバスルームに入ろうとするので、モニカは「そこに入らない方がいいと思うわ」と助言するのですが、「俺たちルームメイトだぞ」と言ってチャンドラーは気にせず入ります。
ジョーイの裸なんか見慣れてるから、今さら気を遣う必要なんかない、というところだったのですが、その直後、チャンドラーが目を押さえつつ叫びながら出てくるのが面白いですね。
モニカが「バスルームで何したかは言わないで」と言ったその光景をチャンドラーは目の当たりにしてしまったので、俺はどえらいものを見てしまった〜、目が腐るぅ〜! のように大騒ぎしていることになります。

My eyes! My eyes! について。
日本語ではこういう場合「目が! 目が!」と言い、わざわざ「俺の」とは言いませんが、英語ではこのように my という所有格が付くことに注意しましょう。

I warned you. は「(だから)警告したのに。言ったのに」。I told you. と同じ感覚。
Who is being loud? は「大声出しているのは・大声で騒いでいるのは誰?」。
今現在、be loud しているのは誰? というニュアンスで現在進行形が使われていることになります。

チャンドラーは「オーロラが泊ったんで、朝食を作ってあげたいんだ」と言って、モニカの冷蔵庫から借りるものを探し始めます。
「イーサンまで20分しかない」という表現から、一夜を共に過ごしたオーロラは、この後すぐイーサンという別の恋人のところに行く予定であることがわかります。

resentment は「怒り、憤り(いきどおり)」。
sense は「感じる」。
Do I sense...? を直訳すると「私は〜を感じるかしら?」になりますね。
これは恐らく「私は〜を感じるんだけど、それって正しいかしら?」「私の気のせいじゃなくて、本当にそうなのかしら?」のようなニュアンスになるのかなと思います。

worth it は「それだけの価値がある」。20分後に次の男という辛い状況であっても、それを受け入れるだけの十分な見返りがある、という感覚。
key moments は「大切な瞬間」。
人との恋愛関係の中では、残りの人生でずっと覚えているような大切な瞬間ってあるだろ、と言った後、every single second is like that with Aurora. と言っていますね。
every single は「一つひとつ」と every を強調するニュアンス。
「1秒1秒がそんな感じである、オーロラとは」というところで、「オーロラと一緒にいる時は、その1秒1秒が、今言ったような一生忘れられない大事な瞬間になるんだよ」ということですね。
「毎秒が忘れられない思い出」という話をした後で、「君らと話すことでその35秒を無駄にしちゃったけど」と付け足すところがチャンドラーらしいです。

Can you help me with the door? は「ドアのことで俺を手伝ってくれる?」ということから「ドアを開けるの、手伝ってくれる?」という意味になります。
チャンドラーは両手に荷物を抱えておりドアを開けることができません。ですから、モニカに開けてくれと頼んでいるのですね。

scrub は「ゴシゴシ洗う」。
モニカは、the old Monica と I を対比させて、「昔の私ならこうするだろうけど、今の私はそんなことはしない」と言っています。
remind someone to... は「人に…することを思い出させる」なので、「お願いだから…してね」と一言声をかける感覚ですね。
少し前、モニカが几帳面で神経質だという話でフレンズたちが盛り上がっていたので、口うるさいことを言ってまた「几帳面で神経質」と非難されないよう、このように言ったことになります。
「昔の私ならこう言ったでしょうけど」と言っている時点で、本当はそうして欲しいけど、と言っているのと同じですが、そう言った後に「でも(今の)私はそんなこと言わないからね」と付け足すことで「几帳面すぎたモニカは変わったのよ」ということを演出しているつもりなのでしょう。
昔の自分に例えてでも、一言注意せずにはいられないところがモニカらしいですね。


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posted by Rach at 12:31| Comment(11) | フレンズ シーズン1改 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年06月19日

double=代役 フレンズ1-6改その18

このたびの大阪府北部を震源とする地震により被害を受けられた皆様に、心からお見舞い申し上げます。
私も大阪府在住で、棚から物が落ちてくるなど揺れはかなり激しかったのですが、ありがたいことに怪我などはなく、ライフラインも平常通りに機能しています。
昨日の朝の大きな揺れ以降も何度も余震を感じますので、これからも気を緩めずに用心したいと思います。
ライフラインが復旧されていない地域の方は、本当に大変な時間を過ごされていることと存じます。
その地域のライフラインが一刻も早く復旧しますように、そして、これ以降大きな地震がどうか起きませんようにと願っています。


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11:05
ロス: Come on. Seriously, Joey, what's the part? (なぁ、まじでさ、ジョーイ、何の役なの?)
ジョーイ: ...I'm his (MUMBLES) (俺は彼の、、(もごもご))
レイチェル: You're, you're.... What? (あなたは、あなたは… 何って?)
ジョーイ: I'm his butt double, okay? I play Al Pacino's butt. All right? He goes into the shower, and then… I'm his butt. (俺は彼の尻の代役だ、いいか? 俺はアル・パチーノの尻を演じるんだよ。いいかい? 彼がシャワーに入る…そしてそれから…俺は彼の尻だ。)
モニカ: (TRYING NOT TO LAUGH) Oh, my God! ([笑わないようにしようとしながら]なんてこと!)
ジョーイ: Come on, you guys. This is a real movie and Al Pacino's in it and that's big! (おいおい、おまえら。これは本当の映画なんだぞ。その映画にはアル・パチーノが出ていて、大作なんだ!)
チャンドラー: Oh, no, it's terrific. It's- it's- y'know, you deserve this, after all your years of struggling, you've finally been able to crack your way into show business. (あぁ、すごいよね。ほら、お前はこういう(すごい)ことを受けるに値するよ。この奮闘してきた年月の後[長年奮闘してきて]、お前はついに、ショービジネスに自分の道を、割って(割れ目を入れて)入り込ませることができたんだからな。)
ジョーイ: Okay, okay, fine. Make jokes, I don't care. This is a big break for me! (いいよ、いいよ、構わないさ。ジョークにしろよ、俺は気にしない。これは俺にとって、大ブレイクなんだよ!)
ロス: You're right, you're right, it is. So you gonna invite us all to the big opening? (その通り、その通り、確かにそうだよ。それじゃあ、僕たち全員を、ビッグ・オープニングに招待してくれるんだね。)
(AD BREAK)
CMブレイク

アル・パチーノの真似をするばかりで、何の役かちっとも教えてくれないジョーイに、今度は3回目、ロスまでもが、seriously 「真剣に、冗談抜きに、本当のところ」どうなんだよ、結局、役柄は何なんだよ? と尋ねています。

butt は「尻」。「しかし」を意味する接続詞 but と同じ発音になります。
「お尻」という意味では他に buttocks という表現もありますが、フレンズではもっぱら butt が使われています。
butt などのお尻を意味する単語については、最新刊「リアルな英語の9割は海外ドラマで学べる!」で詳しく説明していますので、併せてお読みいただければ幸いです。

double は「代役」。
double はいわゆる「2倍のダブル」ですが、名詞で「生き写しの人・もの」という意味があり、ドラマや映画では「替え玉、代役」という意味として使われます。
有名な俳優が裸のシーンだけ代役にすることなどが多く、そういう代役のことを body double 「ボディダブル」と言いますが、今回は、butt double なので「お尻の代役」ということで、これも大物がお尻を見せるのではなく、その部分だけ代役にやらせるという感覚になります。

LAAD (Longman Advanced American Dictionary) では、
body double : someone whose body is used instead of an actor or actress's in a movie, especially in scenes in which they do not wear clothes
つまり「映画の中で、俳優女優の体の代わりに、その人の体が使われる人。特に服を着ていないシーンで」。

Macmillan Dictionary では、
body double : CINEMA someone whose body is used in a film instead of the body of the real actor, especially in a sex scene
つまり「(映画)本物の俳優の体の代わりに映画の中でその人の体が使われる人。特にエッチシーンで」。

「ボディダブル」と同じように「代役」を意味する「スタンドイン(stand-in)」という言葉もあるのですが、スタンドインはもっぱら「本番の撮影前に照明や立ち位置を決めるために、本物の俳優の代わりに演技する代役」を指します。
この2つの違いについては、以下の日本語版ウィキペディアの説明がわかりやすいです。
Wikipedia 日本語版: ボディダブル
Wikipedia 日本語版: スタンドイン

スタンドインがそのままボディダブルを兼ねる場合もあるようですが、大まかに言うと「スタンドインはカメラチェックの段階で俳優の代わりに演技をする(ので実際の映画には映らない)。ボディダブルはそのボディが映画の画面に実際に映る」ということになります。

余談になりますが、映画「ラブ・アクチュアリー」(Love Actually)ではジョンとジュディというスタンドインの男女が登場し、照明とカメラの確認のためにエッチシーンの代役を演じるシーンが出てきます。
(ちなみにこの映画でジョンを演じているのはイギリスドラマ「シャーロック」のジョン・ワトソン役、マーティン・フリーマンです)

「フレンズ」の解説に戻ります。
「何の役?」と何度も聞かれているのに、それになかなか答えなかった理由が、butt double という言葉でわかる、この部分がオチになる、ということですね。
今回のこのエピソードの英語の原題が、The One With the Butt となっており、DVDなどでタイトルを見て先に単語を調べていた人は、英語で butt double と聞いた時に、その意味とオチが理解できたかもしれませんね。

I play Al Pacino's butt. は「俺はアル・パチーノの尻を演じる」。
その次の He goes into the shower, and then… I'm his butt. というセリフがまた笑える表現になっていると思います。
直訳すると「アル・パチーノがシャワーに入る…そしてそれから…俺が彼の尻」というところですね。
シャワーシーンでは「俺=彼の尻」になっているということですが、その前に出てきた「(尻を)演じる)」という動詞 play を使った表現よりも、俺=彼の尻、という表現の方がダイレクトで面白い表現になっていると言えるでしょう。

せっかくジョーイが映画の役をもらったと喜んでいるんだから笑っちゃいけない、、と思いつつ、尻の代役と聞いて笑いそうになっているモニカ。
ジョーイは「本物の映画で、アル・パチーノも出てるんだ。大作なんだ」とそんな映画で役をもらえたことはすごいことだと主張しています。

deserve は「〜の価値がある、〜を受けるに値する」、struggle は「奮闘する」。

crack your way into show business について。
crack は名詞で「ひび、割れ目」、動詞で「〜にひびを入れる、〜を割って・破って入り込む」。
LAAD では、
crack [noun] : BREAK a thin line on the surface of something when it is broken but has not actually come apart
つまり「(ブレイク) 何かの表面の細い線、壊れているが実際にバラバラにはならない時に」。

「完全に割れてバラバラになる手前のひび」という感覚ですね。
crack は「割れ目」という意味であることから、スラングで「お尻の割れ目」という意味があります。
「尻の代役をすることで、ショービジネスの世界に割って入り込めた」ということを、crack を強調して言うことで、「お尻の割れ目」を使ったジョークになっているのですね。
butt の話で、crack という言葉を出すと、みんなが、butt crack 「お尻の割れ目」を連想する、ということになるわけです。

ジョーイが自分が大作映画の役をゲットしたことを主張した後、チャンドラーはそれに同意した感じで話し始め、You deserve this. と言ったあたりでは、ジョーイは嬉しそうな顔をしてそれを聞いています。
フレンズのようなコメディでは、確かにそうだよなぁと相手に共感し、真面目な顔をして話し始めた場合には、結局最後はジョークでからかってオチになる、というパターンが多いです。
妙に相手に理解ある風なことを話し始めると、それはオチでジョークが来るというサインでもあると言えるのですね。

make jokes は「ジョークを言う、ジョークを飛ばす」。そうやってジョークにしてればいいさ、何とでもバカにすればいいさ、という命令形で、ジョーイのこの発言からも、その直前のチャンドラーのセリフがジョークであることがわかりますね。
I don't care. は「俺は気にしない」。

This is a big break for me! について。
日本語でも「幸運、好機、チャンス」という意味で、「ブレイク」という言葉が使われますね。
ジョーイは今回のことは俺にとってはビッグなブレイクなんだ! と強調しているのですが、実は、ジョーイ自身が言っている、big break の break にも「割れ目、裂け目」という意味があります。
ですから、ジョーイ自身も、意図せずお尻がらみのジョークを言っていることになります。

それぞれの意味を LAAD で見てみると、
break [noun]
5. A CHANCE (informal) a sudden or unexpected chance to do something, especially to be successful in your job
a big/lucky break
例)The band's big break came when they sang on a local TV show.

つまり「(チャンス)(インフォーマル) 何かをするための突然のまたは予期しないチャンス。特に仕事で成功するような」。例文は「そのバンドのビッグブレイク(大成功のチャンス)は、彼らがローカルテレビ番組で歌った時に来た」。
8. A SPACE a space between two things or between two parts of something
例)Occasionally you could see the moon through a break in the clouds.

つまり「2つのものの間、または何かの2つの部分の間の空間」。例文は「時々、雲の切れ間から月が見える」。

opening は「オープニング、開始、開演、開会式、始まり、序幕」のような意味ですから、big opening は映画公開初日のセレモニーのイメージでしょうか。

ですがここでも、opening には「(開いている)穴」という意味があり、ロスまでもが、ジョーイのお尻ネタに関するジョークを言っていることになります。
LAAD では、
opening : a hole or space in something through which air, light, objects etc. can pass
例)a narrow opening in the fence

つまり「空気、光、物体などが通過できる何かの中の穴や空間」。例は「フェンスの狭い穴」。

一連のやり取りで登場した、crack, break, opening が全て「お尻の割れ目、穴」をイメージさせるという「お尻、割れ目、穴」繋がりのジョーク、ということになるわけですね。


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posted by Rach at 14:07| Comment(2) | フレンズ シーズン1改 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年06月15日

ブログ13周年

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2005年6月15日に開始したこのブログ、今日で13周年を迎えることができました!
13年間、このブログを続けることができましたのは、ずっとこのブログを読んで下さり、応援し続けて下さった読者の皆様方のお蔭と、心より感謝いたしております。本当にありがとうございます<(_ _)>

こうして13周年を迎えた今日も、ブログランキングの上位にいさせていただけていることは本当に嬉しく、ランキングクリックで応援して下さっている皆様に、感謝の気持ちでいっぱいです。

ブログ12周年以降のこの1年間は、セミナーを複数回開催させていただき、12月には4冊目の著書も出版させていただくことができました。

セミナーについては、
2017年6月に目黒、7月に京都、9月に青山、10月に梅田
2018年4月に西宮
と合計5箇所で開催させていただくことができました。
この先も、8月に守口、9月に京都で開催することが決まっています。

そして、昨年12月に4冊目の著書「リアルな英語の9割は海外ドラマで学べる!」を出版することができたことは、本当に本当に嬉しいことでした。
海外ドラマのセリフを解説した本を作ることは長年の私の夢でしたので、このように夢が形となってくれたことをとても幸せに感じています。

私がブログを開始した2005年には想像もできなかったほど、今は海外ドラマを見る環境がどんどん便利になっています。
海外ドラマを教材にして英語を学び、それに基づいたブログを長年書きながら、iTunes で大量の音楽を一元管理し、検索で瞬時に曲を聞けたりするように、いつか、あらゆるドラマがPC内で瞬時に見られるようになればいいなぁ、とずっと思っていました。
今はそれが動画配信サービスで可能となり、さらにはスマホでどこでも見られるという環境にもなっていますよね。

世界中で人気な海外ドラマという「作品」を「教材」として使って英語を学べるということが、どれほど素晴らしくどれほど楽しいことであるかを多くの方に知っていただけたらと思います。
動画配信サービスの進歩と共に、海外ドラマで英語を学ぶ方がもっともっと増えてくれることを心から願っています。

海外ドラマで生きた英語を学ぶ楽しさとその効果を一人でも多くの方に伝えることができるよう、これからも全力を尽くします!
ブログの読者の皆様、13年間本当にありがとうございました。
これからも引き続き、どうかよろしくお願いいたします!(^^)


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posted by Rach at 20:13| Comment(3) | 節目となる出来事 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年06月12日

俳優になった理由が彼=彼に憧れて俳優に フレンズ1-6改その17

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10:25
(ENTER JOEY ON THE PHONE)
電話中のジョーイ登場。
ジョーイ: Uh huh.. uh huh.... Oh, my God! Okay! Okay, I'll be there. (TO ALL) That was my agent. (TOSSES AND CATCHES PHONE) My agent has just gotten me a job in the new Al Pacino movie! (ええ、ええ…なんてこった! オッケー! オッケー、そちらに行きます。[みんなに] 今のは俺のエージェント。[電話をぽいと投げてそれをキャッチして] 俺のエージェントがたった今、俺に仕事をゲットした(取ってきた)んだ、新しいアル・パチーノの映画の仕事をね。)
みんな: Oh my God! Whoah! (なんてこと! おぉー!)
チャンドラー: That's great. (それってすごいな。)
モニカ: What's the part? (何の役?)
ジョーイ: Can you believe this? Al Pacino! This guy's the reason I became an actor. "I'm out of order? Pfeeeh. You're out of order! This whole courtroom's out of order!" (こんなの信じられるか? アル・パチーノだぜ! この人は俺が俳優になった理由なんだ[俺はこの人に憧れて俳優になったんだ]。「俺がおかしい? お前がおかしいんだ! この法廷全体がおかしいんだ!」)
フィービー: Seriously, what-what's the part? (まじで、何の役なの?)
ジョーイ: "Just when I thought I was out, they pull me back in!" (「俺が抜けたと思ったちょうどその時、あいつらが俺を引き戻すんだ!」)

モニカとレイチェルの部屋に、電話で誰かと話しながらジョーイが入ってきます。
ジョーイの表情と口調から、何か嬉しい内容であることがわかりますね。
That was my agent. 「今の電話は俺のエージェントだったんだ」と言って、電話をトスしてキャッチする、という動作をしていますが、「エージェントから、とか、我ながらかっこいいな」と思っている様子が伺えます。
その後、My agent has just gotten me a job... というセリフを続けていますが、初めて伝える大切なニュースであることから、はっきりゆっくりしゃべっていることにも注目しましょう。

My agent has just gotten me a job in the new Al Pacino movie! を直訳すると「俺のエージェントがたった今、新しいアル・パチーノの映画での仕事を俺にゲットした」というところ。
「仕事をゲットした」というのは、事務所やマネージャーが俳優のために「仕事を取ってきた」という感覚ですね。
英語では「〜での仕事」の「〜」の部分が後に来るので、「仕事を取ってきたんだ、新しいアル・パチーノの映画のね」という配置になり、その部分でみんなもびっくりすることになります。
アル・パチーノは映画「ゴッドファーザー」などたくさんの作品に出演している名俳優ですね。
Wikipedia 日本語版: アル・パチーノ

part はドラマや映画での俳優の役ですから、What's the part? は「(その映画であなたの)役は何?」ということ。

This guy's the reason I became an actor. という表現について。
直訳すると「この男は俺が俳優になった理由である」。
「俺が俳優になった理由は彼」→「この男(彼)に憧れて、俺は俳優になった」ということですね。
このような、<人 is the reason I became a ...>という形は、例えば、He is the reason I became a teacher. 「私が教師になった理由は彼」「彼に憧れて教師になった」のようにいろいろと応用して使えると思います。
アル・パチーノはイタリア系アメリカ人で、ジョーイもそうですから、ジョーイが彼に憧れたというのは非常に納得できる話だと言えるでしょう。

その後、引用符付きで、"I'm out of order? ..." というセリフを言っていますが、これは「憧れの俳優」であるアル・パチーノのセリフの真似をしていることになります。
このセリフは1979年の映画「ジャスティス」(原題: ...And Justice for All)のアーサー・カークランド役でのセリフ。
映画での実際のセリフは以下のようになっていました。
アーサー: You're out of order! You're out of order! The whole trial is out of order. They are out of order! (お前らがおかしいんだ! お前らがおかしいんだ! この裁判全体がおかしいんだ! あいつらがおかしいんだ!)
ジョーイと本物のセリフとでは、courtroom「法廷」と trial「裁判」との違いなどがありますが、out of order を連呼しているところは同じですし、熱を帯び、興奮気味に叫ぶセリフをジョーイは真似ているということですね。

seriously は「真面目な話だけど、冗談はさておき」。
先にモニカが What's the part? と尋ねていましたが、ジョーイはそれに答えることなく、アル・パチーノの真似をしているので、「あなたがアル・パチーノの大ファンで、その物真似もよーくわかったから、”何の役なの?”って質問に答えて」と促す感じです。

そこまで言われてもジョーイはまだ何の役かは答えず、別のセリフを真似ています。
"Just when I thought..." のセリフは、1990年の映画「ゴッドファーザー PART III」(原題: The Godfather: Part III)のマイケル・コルレオーネ役のセリフ。
実際のセリフは以下のようになっています。
マイケル: Just when I thought I was out, they pull me back in.
こちらは本物とジョーイの真似とが全く同じセリフになっていますね。
この映画でのマイケル・コルレオーネは白髪交じりの老いを感じさせるキャラクターになっていることから、実際のマイケルのセリフは(上の若い頃の「ジャスティス」のセリフとは対照的に)静かな口調で怒りを表現した、というようなトーンのセリフになっています。

このセリフで、pull me back in! と言う時に、ジョーイは拳を握った腕を自分の方に引き寄せるようなしぐさをしています。
実際の映画「ゴッドファーザー PART III」の中でも、マイケルはこのセリフを言いながら、両手を引き寄せるようなしぐさをしていて、ジョーイはそれを真似ているのですね。
ジョーイの真似を聞いているモニカも、ジョーイと同じようなしぐさをしているのですが、このシーンを見ても、「あの映画のマイケルは、腕をこんな風に動かしながらそのセリフを言うよね〜」ということがフレンズたちの共通認識として存在することがよくわかると思います。

映画「ゴッドファーザー」シリーズは3部作で、1972年の Part I と、1974年の Part II はどちらもアカデミー作品賞を受賞しており、今でも名作として高い評価を受けています。
随分長い年月が経過してから撮影・公開された Part III は、全2作ほどの評価は得られていないのですが、やはり「ゴッドファーザー」シリーズということで誰もが知っている作品だからこそ、こんな風にセリフだけでなく、その時のしぐさまでみんなは覚えているということなのでしょうね。

これより前のシーンでも、映画「サイコ」に関するセリフが出てきていました。
今回はジョーイが「映画の役をゲットする」という話であることから、映画ネタがちょこちょこ使われているということかもしれませんね。


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posted by Rach at 12:40| Comment(0) | フレンズ シーズン1改 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年06月09日

You're Momと「サイコ」の繋がり フレンズ1-6改その16

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前回の記事、コースターがなく水滴が木のテーブルの表面に近づく フレンズ1-6改その15 で解説したやりとり
モニカ: Who am I? (私は誰(何者)?)
ロス: Monica, you're Mom. (モニカ、お前はママだよ。)
フィービー: Ree! Ree! (リー! リー!)
について、非公開コメントにてご指摘がありました。

★これ以降、この記事の最後まで、映画『サイコ』の(かなり詳細な)ネタバレになってしまいますので、『サイコ』のネタバレになっても大丈夫という方のみ、続けてお読みください★

非公開コメントでいただいた内容は、以下の通り。

フィービーが2回目に「リーリー」と言っているのは、"Who am I?" "You're Mom." のやりとりによるものです。これは映画「サイコ」を見たことがある人には、すぐに分かります。

そのコメントを読んで、私もようやく気付きました。
この "Who am I?" "Monica, you're Mom." というやりとりは、映画『サイコ』のラストシーンで明かされる事実に基づいたセリフだったのです。

(以下、映画のあらすじとなります)
シャワー中のマリオンを殺害したのは、ベイツ・モーテルを経営する青年ノーマン・ベイツだったのですが、彼は過去に自分の母親を殺した罪の意識から、母親がまだ生きていると思い込もうとし、彼の中にはいつしか彼と母親の人格が同居するようになっていた、そして、マリオンを殺した人格は母親の人格だった、ということがラストシーンで明かされるのです。
Wikipedia 日本語版: サイコ (1960年の映画) に詳しいあらすじが載っていますので、興味のある方は併せてご覧下さい。

そのあらすじを見ていても「母親」という言葉が何度も(しかも、かぎかっこ付きで)出てきますので、あらすじを読めば気付きそうなものだったのですが、そもそも私はこの映画を、大学生時代に映画館のリバイバル上映(シネマアルゴ梅田の「ヒッチコック劇場」という週替わり6作品上映)で実際に見ているんですよね(物持ちの良い私は、当時のチラシを今でも持っていたりする、、)。
ですから、ノーマンが自分と母親との二重人格を持っているということは当然知っていたので、「モニカ=彼女の母親」から「ノーマン=彼の母親」という構図にどうして気付かなかったのかと、我ながら不思議で、、、(←言い訳がましくてすみません)

ネタバレついでにもう少し詳しく語らせていただきますと、映画『サイコ』のラストシーンへの流れは、

1:41:03 母親の後ろ姿が登場
1:41:16 ミイラ化した母親の姿が画面に映る
それを見つけた女性(ライラ)が叫ぶ。ここで「リーリー」の音楽が鳴り(←このシーンにぴったり)
1:41:25 女装した人物が刃物を持って現れる。サムがその人物を取り押さえ、カツラが取れてその人物がノーマンだとわかる。
1:42:12 ノーマンと話した分析医(psychiatrist)が、ノーマンと話した内容を皆に語り始める。

その分析医のセリフから、ノーマン=彼の母、であることがわかるセリフを引用させていただくと、

1:42:18
分析医: I got the whole story, but not from Norman. I got it from his "mother." Norman Bates no longer exists. He only half-existed to begin with. And now the other half has taken over... probably for all time.
(私は全ての話を聞いた。だがそれはノーマンから(聞いたの)ではない。彼の「母親」からそれを聞いた。ノーマン・ベイツはもはや存在していない。そもそも彼は半分だけの存在だった。そして今はもう半分の別の人格が支配してしまっているんだ…恐らく、永遠にね。)

ノーマンが過去に母親を殺してしまったことを、分析医が説明した後、

1:44:49
分析医: So he began to think and speak for her... give her half his life, so to speak. At times he could be both personalities, carry on conversations. At other times, the "mother" half took over completely. He was never all Norman, but he was often only "Mother".
(そしてノーマンは母親のために考え、話し始めた…言ってみれば、母親に自分の人生の半分を与え始めたんだ。ある時は、ノーマンは両方の人格となり、(二人の)会話を続けることができた。またある時には「母親」という半分の人格が完全に支配した。彼は決してノーマンだけになることはなかったが、しばしば「母親」だけにはなった。)

このように「ノーマンの人格が、母親の人格と半々になり、ついには母親の人格だけに支配されてしまった様子」が語られたことになります。

フレンズ1-6 での
モニカ: Stop it! Oh, my God! It's true. Who am I? (やめて! なんてこと! ほんとだわ。私は誰(何者)?)
ロス: Monica, you're Mom. (モニカ、お前はママだよ。)
フィービー: Ree! Ree! (リー! リー!)
というのは「ノーマンの人格は、彼の母親のものであった」という「サイコ」の「衝撃のラストシーン」の内容そのものが元ネタだったわけですね。

それを考えると、このエピソードでフィービーは「リーリー」を2回言っているわけですが、脚本家が一番言いたかったオチは You're Mom. +2回目のリーリー、の部分だったのだろうと思えます。
「同居してた時のモニカは『サイコ』みたいな恐怖だったわ」というのは、あくまで前振りだったと言えるでしょう。
(1回目のリーリーだけだと、絶対に『サイコ』でなければならない、という必然性がない、見事にハマった感がここではあまり感じられない、と言いますか)

ちょうど「モニカとママは神経質なところがそっくり」という設定で、フレンズ1-2 でその様子も描写されていたので、「モニカはママだ」というオチと、「病的な神経質さ」=「恐怖」とが一致することから、『サイコ』のBGMを使おうという流れに(脚本上)なったのだろうと思います。
「お前はママだよ」のところで唐突に「リーリー」を出すのではなく、その前にさらっと「リーリー」を出しておき、『サイコ』のイメージを観客や視聴者に植え付けておいてからの〜、「お前はママだ」+♪リーリー♪ →映画『サイコ』で完全に繋がる、という流れだったのですね。

今回、一連の解説を書きながら、自分の中でも「リーリーの音楽は、恐怖を表すわかりやすいサインではあるけれども、ここで『サイコ』の音楽を使わなければならない必然性が感じられない」という気持ちがずっとどこかにありました。
You're Mom. に持ってくるための伏線と流れであると考えれば、全てが納得いきます。
この脚本書いた人、すごいなぁ^^

これに気付くのと気付かないのとでは、You're Mom. というセリフの面白さと重要性が全く変わってくるので、この件を非公開コメントでご指摘いただけたこと、心より感謝申し上げます。ありがとうございました<(_ _)>


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posted by Rach at 12:52| Comment(2) | フレンズ シーズン1改 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年06月08日

コースターがなく水滴が木のテーブルの表面に近づく フレンズ1-6改その15

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9:16
モニカ: Okay, so I'm responsible. I'm organized. But, hey, I can be a kook! (いいわ、私は責任感があるわ。私はきっちりしてるわ。でも、ねぇ、私は変人にもなれるわよ!)
ロス: All right, you madcap gal! Try to imagine this. The phone bill arrives, but you don't pay it right away. (よし、向こう見ずなギャル! これを想像してみて。電話代の請求書が届く。でもお前はそれをすぐには払わない。)
モニカ: Why not? (どうして払わないの?)
ロス: Because you're a kook! Instead, you wait until they send you a notice. (それはお前が変人だからだよ! 代わりに、相手が(催促の)お知らせを送ってくるまで待つんだ。)
モニカ: I could do that. (それくらいできるわよ。)
レイチェル: Okay, okay, then, uh, you let me go grocery shopping, and I buy laundry detergent. But it's not the one with the easy-pour spout. (オッケー、オッケー。それじゃあ、あなたが私を食料雑貨の買い物に行かせる、そして私は洗剤を買う。でも簡単に注げる注ぎ口のついてるやつじゃないの。)
モニカ: Why would someone do that? One might wonder. (どうしてそんなことするの? …って、人は不思議に思うかもしれない。)
チャンドラー: Someone's left a glass on the coffee table. There's no coaster. It's a cold drink. It's a hot day. Little beads of condensation are inching their way closer and closer to the surface of the wood.... (誰かがコーヒーテーブルにグラスを置き忘れた。コースターはない。冷たい飲み物。暑い日だ。水滴のしずくが徐々に近づいて近づいて、木の表面に…。)
モニカ: Stop it! Oh, my God! It's true. Who am I? (やめて! なんてこと! ほんとだわ。私は誰(何者)?)
ロス: Monica, you're Mom. (モニカ、お前は(僕らの)ママだよ。)
(MONICA GASPS)
モニカは息を呑む。
フィービー: Ree! Ree! Ree! Ree! Ree! Ree! Ree! Ree! (リー! リー! リー! リー! リー! リー! リー! リー!)

みんなに几帳面すぎる部分を責められたモニカは、ええ確かに私は几帳面よ、と認める発言をしています。
responsible は「責任感がある」。
organized は「整理された」ということから「きっちりしている」。
でも私は a kook になれるわ! と言っていますが、kook は「変人」。
発音は「クーク」という感じです。
LAAD (Longman Advanced American Dictionary) では、
kook : (informal) someone who is silly or crazy
つまり「愚かでクレイジーな人」。

私は几帳面だけど、私だって「まともじゃない人間」にもなれるわよ、ということですね。

madcap は「向こう見ずな」。
LAAD では、
madcap : done or behaving in a wild or silly way that is often amusing or entertaining
例)a madcap adventure

つまり、「しばしば楽しい、または娯楽的な、ワイルドまたは愚かなやり方で行われた、または(そのように)行動している」。例は「向こう見ずな冒険」。
gal は「ギャル」ですね。
LAAD では、
gal : (informal) a girl or woman
と出ているように、ガールのインフォーマルな言い方となります。

phone bill は「電話代の請求書」、right away は「すぐに」。
Why not? は「なぜ not なの?」ということで、ここでは「なぜ払わないの?」という文字通りの意味。
モニカはきっちり屋なので、請求書が来たらすぐに払うタイプ。「それをすぐには払わないことを想像しろ」と言われたので、払わない理由はなぜかを尋ねている文章となります。
Why not? は「なぜしないの?」という意味であることから「もちろん」という意味の返答として使われることもよくあります。
instead は「その代わりに」、notice は「通知」で、請求書の代金が払われていませんので払って下さい、というお知らせがくるまで払わない、ということですね。

I could do that. は「やろうと思えばそれくらいできるわ」という感覚。
そう答えたモニカに、レイチェルは「例えばこういうことがあればどうする?」という話をしています。
go grocery shopping は「食料雑貨を買いに行く」。
laundry detergent は「洗濯洗剤」で、前回のエピソード 1-5 の英語の原題は、The One With the East German Laundry Detergent 「東ドイツの洗剤が出てくる話」でしたね。

pour は「(液体)を注ぐ、つぐ」なので、easy-pour spout は「簡単に注げる注ぎ口」。
液体洗剤に注ぎ口が付いていないと、使った後に容器の側面に液が垂れてしまいます。
几帳面なモニカはそういうのが許せなくて、液が垂れないように上手に注げる the easy-pour spout 付きのものを必ず買う、ということなのでしょう。
それで「もしそういう注ぎ口じゃないものを私が買ってきたらどうする?」と言ったわけですね。
ちなみに、the one with the easy-pour spout は「簡単に注げる注ぎ口がついてるやつ」という感覚で、さきほどご紹介したフレンズ1-5 の原題、The One With the East German Laundry Detergent と構造が同じです。
これも「東ドイツの洗剤が出てくるやつ・もの」のような感覚で、the one に with 以下のことが「伴っている」感覚となります。

Why would someone do that? は「どうして誰かがそんなことをしようと思ったりするの?」という感覚。
One might wonder の one は人を一般的に表すニュアンスで使っているのだと思われます。
「人はどうして〜なのかなぁ、と思うかも」というところですね。
「どうしてわざわざ、簡単注ぎ口じゃないものを買うの? そんなことするの信じられない」みたいに叫んだ後で、また几帳面すぎると言われそうだと気づいたモニカは、今のは非難の言葉じゃなくて、どうしてそういうの買うのかなぁ〜? って疑問に思う人がいるかも、って思ったのよね、のように言い直したことになるでしょう。
「どうして〜なの?!」と非難のニュアンスで言った後に「責めてるんじゃなくて、単なる疑問よ」とごまかした感覚でしょう。

今度はチャンドラーがまた新たな仮定を話しています。
bead は「露、汗などの玉、しずく」。アクセサリーに使うガラス玉のビーズもこの beads です。
condensation は「濃縮、凝結、(水蒸気の)水滴」。動詞は condense で「液体を濃縮する、気体を液体に凝縮させる」。
コンデンスミルク(英語では、condensed milk と過去分詞形になります)は「濃縮したミルク」という意味ですよね。
チャンドラーの言い方が小説のような語り口になっているのも面白いところでしょう。

グラスからしずくが垂れてくるのに、コースターがない、、という状況を想像させられたモニカは、木のテーブルにグラスの跡がついてしまうことを恐れたのでしょう、「そんなの我慢できないわ!」というように Stop it! とチャンドラーの発言を制止しています。

ちなみに、これよりずっと後のシーズン9 の記事「跡を付けたくないからコースターを フレンズ9-22その4」(ネタバレになるので、リンクははっていません)で、モニカの家にある男性がやってきて、以下のセリフを言っていました。
Do you have a coaster? I don't wanna make a ring. (コースターあるかな? 輪(の跡)をつけたくないんだ。)
このセリフを言うまではその男性のことをよく思っていなかったのですが、この一言でモニカは急にその男性のことを気に入るという流れになっていました。
今回の 1-6 のセリフが印象に残っていれば、その 9-22 のセリフもより楽しめるのだろうと思います。
また、「フレンズ2-22その13」でも、モニカの気をそらすための作戦で、
フィービー: Oh no, ooh, ooh! Did somebody forget to use a coaster? (あらまぁ! 誰かコースターを使うのを忘れた?)
と言うセリフもありましたので、「モニカは必ずコースターを使う」というのはモニカというキャラのお約束となっているわけですね。

(今回のエピソードに戻ります)
みんなが言うように、そういうことを言われたら耐えられないと思ってしまうことに気づいたモニカは「私は一体誰なの? 何者なの?」みたいに言います。
ロスが Mom と言っているのは、語頭が大文字で固有名詞のような扱いになっている通り、一般的な「母親」ではなく、ロス&モニカのママのこと。
ロス&モニカのママは、フレンズ1-2 に登場していましたが、ママがモニカの家に来ることになっていた時、モニカはクッションがぺちゃんこにならないように膨らませたりと神経質になっていました。
実際に来た後も、ママはあれこれ気になり、お小言的なことを言っていましたが、そういうママの神経質なところをモニカは受け継いでるんだ、とロスは言いたいようですね。
ここでまたフィービーが、前回の記事、映画「サイコ」の音楽で恐怖を表す フレンズ1-6改その14 で説明したのと同じく、ヒッチコックの映画「サイコ」のBGMを真似て、リー! リー! という高い音を出しています。
最初に「リーリー」と言った時の Netflix のト書きは ( imitates music from Psycho ) でしたが、今回の2回目のト書きは ( imitates Psycho music ) となっています。
表現が全く一緒ということではないですが、どちらも同じく「サイコの音楽の真似」であると言っていることになりますね。

ここでフィービーが「リーリー」と言っているのは、前回と同じく「モニカの神経質さが恐怖のレベル」ということを言っているのかもしれませんが、ちょっと以下のような「別の意味」も考えてみました。
「モニカはうちのママだよ」と言われて、モニカがショックを受けた様子で gasp つまり「はっと息を呑んだ」ので、その様子が、映画「サイコ」の中で恐怖を感じた被害者の様子(映画のDVDのジャケットなどで使われているような恐怖の表情)を彷彿とさせるので、ここでまた「サイコ」のBGMを使ったという可能性もあるのかなぁ、と。
「サイコ」のこのBGMは、とにかく「恐怖」を思い起こさせる象徴的な音楽なのですが、最初にフィービーが使った時は「モニカが恐怖を与える加害者」のイメージで、今回の2回目の方も同様の「加害者」のイメージと捉えることも可能だとは思うのですが、モニカが恐怖の顔を浮かべていることから、2回目の方は「モニカが恐怖を感じる被害者」のイメージであると考える方が面白いかな、という気がしました。

(2018.6.9 追記)
非公開コメントにて、"Who am I?" "Monica, you're Mom." というやりとりの意味について、貴重なご指摘がありました。
映画『サイコ』のネタバレになってしまうのですが、新たに別の記事、You're Momと「サイコ」の繋がり フレンズ1-6改その16 として投稿しましたので、『サイコ』のネタバレになっても大丈夫、という方は、併せてお読みいただけると幸いです。
(追記はここまで)

いずれにしてもこの「リーリー」音が、日本人にも有名な映画「サイコ」のイメージだとわかると、このフィービーのセリフ(というか音?)もより楽しめると思います。
余談ですが、今日の日経新聞のテレビ欄「BSはいらいと」に「ベイツ・モーテル〜サイコキラーの暴走(新番組)(WOWOWプライム)」が紹介されていました。
その紹介文では
「映画「サイコ」に登場した殺人犯〇〇(注:ここでは一応伏字にしておきます)の青春時代をテーマにしたサスペンスドラマの第4シーズン。」
と説明されています。
前回の記事と今回の記事で、フィービーがサイコの音楽の真似をするセリフが連続しましたが、ちょうどそのタイミングで「サイコ」をテーマにした新シリーズのドラマの紹介が載っていたことがタイムリーだと思ったので紹介してみました。
ヒッチコックのサイコが有名だからこそ、このような新作ドラマも作られるわけですよね。
先ほど Netflix の字幕をご紹介しましたが、動画配信サイトではト書きも文字化されていることが多いので、そういうものも大いに解釈のヒントとして使っていただければと思います。


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posted by Rach at 14:17| Comment(0) | フレンズ シーズン1改 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年06月05日

映画「サイコ」の音楽で恐怖を表す フレンズ1-6改その14

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8:28
モニカ: Yeah, it's interesting. But you know what? Just for fun, let's see what it looked like in the old spot. (MOVES IT) All right, just to compare. Let's see. Well, it looks good there too. Let's just leave it there for a while. (えぇ、面白いわね。でも、ほら。ちょっと面白半分に、元の場所ではどんな風に見えるかを見てみましょうよ。[足置きを動かす] よし、ただ比較するためにね。ほら。そこに置いてもいい感じに見えるわね。そこにしばらく置いておくことにしましょう。)
フィービー: (TO RACHEL) I can't believe you tried to move the green ottoman. ([レイチェルに] 緑の足置きを動かそうとするなんて信じられないわ。)
チャンドラー: Thank God you didn't try to fan out the magazines. I mean, she'll scratch your eyes right out. (君が雑誌を広げようとしなかったこと、良かったよ。ほら(そんなことしたら)モニカが君の目をくりぬくからね。)
モニカ: You guys, I am not that bad! (みんな、私はそんなにひどくないわ。)
フィービー: Yeah, you are, Monica. Remember when I lived with you? You were like, a little, y'know, (PSYCHO) Ree! Ree! Ree! Ree! Ree! Ree! Ree!(いいえ、あなたはひどいわよ、モニカ。私があなたと一緒に住んでいた時のこと覚えてる? あなたはほら、ちょっとこんな感じだった。(サイコ)リー! リー! リー! リー! リー! リー! リー!)
モニカ: That is so unfair! (そんなのすっごく不公平よ!)
ロス: Oh c'mon! When we were kids, yours was the only Raggedy Ann doll that wasn't raggedy. (あぁ、よしてくれよ! 僕たちが子供の頃、モニカの(人形)は、ラガディ(ぼろぼろ)じゃなかった唯一のラガディ・アンだったぞ。)

レイチェルが足置き(ottoman)を動かしたのを見たモニカは、Just for fun, let's see... と言いながら、足置きを元の場所に戻しています。
just for fun は「ただ楽しみのために、面白半分に」。
特に目的はないけれど、そうしてみたら面白いかと思ってやってみる、という感覚。
モニカは家具を動かされるのが嫌いなので元に戻したい、でも、それを露骨に言うのはまずいと思って、「ちょっとどうなるか見てみたいから、特に理由はないけど動かしてみるわね」という感じで、just for fun を使っているのですね。
in the old spot は「元の場所に、元あった場所に」。

足置きを移動させた時にレイチェルが I thought it looked better there と言っていましたが、それに対抗するようにここでモニカも、it looks good there too と言っています。
「あそこの方が良く見える[見た目がいい]ってレイチェルは言ったけど、”ここも・ここでも”よく見えるわよね」ということですね。

Let's just leave it there for a while. について。
言葉では、「その台を”しばらく”そこに置いておくことにしましょう」と言っていますが、レイチェルが勝手に場所を移動させたと知った時のモニカの反応、まわりのフレンズの反応からも、「しばらく」と言いながら実質的には元あった場所に完全に戻す、という意味だということがわかります。
レイチェルに勝手に場所を移動されたので、しばらくこっちに置いてみましょう、と言って、強引に元の場所に戻したことになります。

Thank God... は「…でよかった、…でありがたい」。
fan out は「扇形に広げる、並べる」。fan は「扇、扇子(せんす)」のことです。
scrach out は「えぐり取る」。
モニカがきれいに重ねて整頓した雑誌を、レイチェルが机の上にバラバラに広げないでよかった、さもないと、こういう恐ろしいことになってただろうからね、と she'll 以下でモニカがしたであろう結果として「レイチェルの目玉をえぐり出す」という表現を使っています。
雑誌を広げたくらいで、そんなことしないわ、という意味で、モニカは「私はそんなに・そこまでひどくない」と主張すると、フィービーは「私があなたと一緒に住んでた時のこと覚えてる?」と言います。
このセリフから、フィービーは以前、モニカとルームシェアをしていたことがわかるのですが、後の「フラッシュバックエピソード」では、その時の様子が語られることもあります。

You were like, a little, y'know, Ree! Ree! Ree! Ree! ... について。
Ree! 「リー!」という高い音をここでは7回繰り返していますが、この部分、ネットスクリプトのト書きでは (PSYCHO)、Netflix のト書きでは ( imitates music from Psycho ) と書かれています(ちなみに hulu のト書きは [SQUEAKING] となっていました。squeak は「キーキー音を立てる、キーキー声で言う」という意味)。
Psycho というのは、アルフレッド・ヒッチコック監督の1960年に公開されたサスペンス映画『サイコ』(原題:Psycho)のことで、その映画の有名なシャワーシーンに流れる音楽をフィービーは声で真似ていることになります。

★以下、映画『サイコ』のネタバレになりますので、『サイコ』を見たことない方はご注意下さい★
「サイコ」と言えば「シャワーシーン」というくらい、シャワー中に女性が殺害されるシーンが非常に有名で、その時に流れているBGM(タイトルは The Murder と言うそうです)も同じく有名です。
その音楽が流れる有名なシャワーシーンは、映画で 47:40 あたりのシーンになります。

ナイフで襲われた女性マリオン(ジャネット・リー)が叫んでいる姿が、DVD や Blu-ray などのジャケットでも使われていることからも、そのシーンがどれほど有名かがわかります。
「サイコ」でのシャワーシーンがショキングで強い印象を与えるため、「迫りくる恐怖」をイメージさせる音楽として、日本のバラエティ番組などでもよく耳にする有名なBGMです。

ちなみに、リーリー!と言っている時のフィービーは、リーリーの音に合わせて、拳にした手を上げ下げしています。
単にリズムに合わせて手を動かしているようにも思えるのですが、もしかすると、このシーンの殺人者が何度もナイフを上から振りかざしてマリオンをメッタ刺しにしているので、「その動きを少し感じさせる動作」になっているのかなぁ、と思ったりもしたのですが、、、
ただ、それを真似ているのだとすると、映画のシーンでは目の前にいる相手を刺しているので、もう少し前方に向かって振り下ろす形になりそうでもあるし、リーリーのリズムに合わせてだとちょっとテンポが速すぎる(実際にはもう少し間を置いて刺しています)、さらにはあの残酷なメッタ刺しの動作を真似るというのはちょっと悪趣味な気もしますので、考えすぎかなぁとは思うのですが、ちょっとフィービーのあの目立つ動作が気になったので、、、。
多分、「リーリーのリズムに合わせて腕を上下させてるだけ」なのでしょうね、、、(一人で悩んですみません)
★映画『サイコ』のネタバレはここまで★

フレンズの解説に戻ります。
「私はそんなにひどくないわ」と言ったモニカに対して、モニカの神経質さは恐怖の域に達している、ということを、言葉ではなく「恐怖」をイメージする音楽を使って、「同居してた時のあなたはこんな感じだったわ」とフィービーが説明したことになるでしょう。
「映画サイコばりの恐怖」と言われたのでモニカは「そんなの不公平よ」と反論するのですが、今度は兄のロスまでもが、子供の頃の話を持ち出します。

Raggedy Ann は「ラガディ・アン、ボロ人形のアン、アン人形」。
髪の毛が赤い毛糸で、古着・ぼろきれでできた女の子の人形。
raggedy = ragged で「服がぼろぼろの、ぼろを着た、髪の毛がもつれた」。rag は「ぼろきれ、ぞうきん」という意味です。
LAAD (Longman Advanced American Dictionary) では、
raggedy : (old-fashioned)
1. torn and in bad condition
例)raggedy gloves
2. not straight or neat, but with rough uneven edges
例)raggedy hair

つまり、1. は「破れて、悪い状態である」、例は「ボロボロに破れたグローブ」。2. は「まっすぐできちんとしている、ということがなく、雑ででこぼこの端を持った」、例は「もつれた不ぞろいな髪」。

詳しくは以下のウィキペディアで。
Wikipedia 日本語版: ラガディ・アン&アンディ

raggedy であることが特徴のラガディ・アン人形が、モニカの場合は raggady ではなかった、つまり、服や髪の毛などがきれいに整えられていたことを言っているようですね。


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posted by Rach at 13:42| Comment(4) | フレンズ シーズン1改 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年06月01日

全ての部品を使った、ただし〜は除いて フレンズ1-6改その13

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7:37
SCENE 3: MONICA AND RACHEL'S (RACHEL IS THERE; ENTER ALL BUT JOEY)
シーン3: モニカとレイチェルの部屋(レイチェルがそこにいて、ジョーイ以外のみんなが登場)
レイチェル: Ta-da! (じゃじゃーん!)
チャンドラー: Are we greeting each other this way now? Because I like that. (俺たち、今からお互いこんな風に挨拶する? だって俺、今の好きだから[気に入ったから]。)
レイチェル: Look! I cleaned! I did the windows, I did the floors. I even used all the attachments on the vacuum except that little round one with the bristles. I don't know what that's for. (見て! 私は掃除したのよ! 私は窓を掃除して、床も掃除した。私は掃除機の全部の付属部品を使いさえしたのよ。ただし、あのブラシのついた小さな丸いやつは除いてね[小さな丸いやつは使わなかったけどね]。あれは何のためにあるのかわからないわ。)
ロス: Oh yeah, nobody knows, and we're not supposed to ask. (あぁそうだね。誰も知らないんだ。そして(お互いにあれが何に使うものかを)尋ねないことになってる。)
レイチェル: What do you think? (どう思う?)
チャンドラー: Very clean. (すごくきれいだ。)
フィービー: It's great! (素敵!)
モニカ: Really, it looks great. (本当に、素敵ね。)
チャンドラー: Very clean. (すごくきれいだ。)
モニカ: ...Oh! I-I see you moved the green ottoman. (あぁ! あなた、緑の足置きを動かしたのね。)
みんな: Uh-oh... (おっとー。)
モニカ: How, how did that happen? (どうして[どのようにして]そんなことが起こったの?)
レイチェル: I don't know. I-I thought it looked better there. And I- and also, it's an extra seat around the coffee table. (わからないわ。そこだともっと良いように思ったの。そして、コーヒーテーブルの回りのエクストラシート(余分・追加の座席)にもなるし。)

ta-da は「ジャジャーン」のニュアンス。発音は「タダー」で、後ろのダーを強めに発音します。
日本語の「ジャジャーン!」と同じで、何かすごいものを披露する時に使う言葉です。
日本語の「ジャジャーン」も英語も「タダー」も、何となく似た音の言葉であるのが興味深いですね。

Macmillan Dictionary では、
ta-da : mock fanfare said to introduce something exciting
"Ta-da!" I screamed, showing off the new magic trick I learned.

つまり「何かエキサイティングなことを紹介するために言われる[発せられる]まねごとのファンファーレ[ファンファーレのまね]」。
例文は「”タダー![ジャジャーン!]”と私は叫んだ、覚えた新しいマジックのトリックを披露しながら」。

チャンドラーは Ta-da! が何かを自慢気に披露する言葉だとわかっていながら、「今の気に入ったから、これから俺たちお互いあんな風に挨拶しちゃう?」みたいに言っていますね。
今回のエピソードの過去記事、俺と契約したいんだな フレンズ1-6改その7 で、チャンドラーが "And she's Italian and she pronounces my name "Chand-lrr." "Chand-lrr." I think I like it better that way." 「それで彼女(オーロラ)はイタリア人で、俺の名前を「チャンドラ〜」「チャンドラ〜」って発音するんだ。そんな風に発音される方がいいなって思うよ」というセリフがありましたが、「そういう言い方気に入った」みたいなところにちょっと似たものを感じる気がします。

レイチェルが Look! I cleaned! と言っていることから、この部屋を掃除したことを自慢していたことがわかります。
attachment は「付属品、付属物」。ここでは掃除機のアタッチメントなので、掃除機のホースの先を付け替える別の部品のこと。また、attachment には「電子メールの添付ファイル」という意味もあります。
vacuum = vacuum cleaner で、「電気掃除機」。bristle は「剛毛、ブラシの毛」。
「毛のついた小さくて丸いアタッチメント以外の全ての掃除機のアタッチメントを使いさえしたわ」ということで、掃除するのに1つを除く全部のアタッチメントを使ったわ、ということ。
実際の英語のセリフは、前から順番に聞こえてきますので、その流れのままにイメージ化していくことが大切です。
「すべてのアタッチメントを掃除機につけて使ったわ」と言った後、直後に except がくることで、「ただし、これは使わなかったけどね」と、例外を述べている形ですね。
all ... except で「(except 以下のもの)を除いて全部」と、例外を追加で述べている感覚を掴んでいただけたらと思います。
日本語だと、〜以外は全部、と訳す方が自然な流れになりますが、英語では全体的な話を述べた後、「ただし〜は除く」というような追加条件がつく文の構成になることも多いです。
英語の流れのままに理解していくようにして、後からの情報はその前文を詳しく説明する追加情報であると理解するようにしましょう。

I don't know what that's for. は「そのアタッチメントは何のためにあるのかわからないわ」。
we're not supposed to ask の be not supposed to は「〜してはいけないことになっている、〜しないことになっている」。
あれはみんな使い方がわからない謎のアタッチメントなんだよ。みんな知らないから、お互いにあれについては「あれは何に使うもの?」って聞かないでおこう、ってことになってるんだ、みたいなことですね。

レイチェルが掃除した部屋を見て、みんなは口々に「きれいだ、素敵」と褒めるのですが、モニカは the green ottoman が移動していることに気づき、それを口に出します。
それを聞いたみんながそれぞれ「おっとー、あっちゃー」というニュアンスの Uh-oh. を言っていることから「動かしてはいけないものを動かしてしまった」ことが想像できますね。
ちなみに Netflix の字幕では、ロス、チャンドラー、フィービーそれぞれに重なる形で、UH-OH. UH-OH. UH-OH. と3つの字幕がついていました。
Netflix では時々そういう「イレギュラーな位置での字幕表示」があるのですが、みんなが同時に揃って同じ反応をすることがわかりやすい字幕表示になっていると言えるでしょう。

ottoman は「足置き、足乗せ台」。
世界史で習うオスマン帝国は英語では Ottoman Empire となるのですが、そのように ottoman は「オスマン帝国の」という意味があります。
LAAD (Longman Advanced American Dictionary) では、
ottoman : a soft piece of furniture shaped like a box that you rest your feet on when you are sitting down
つまり「箱のような形をした柔らかい家具で、自分が座っている時にその上で自分の足を休める」。

How did that happen? 「どのようにしてそんなことが起こったの?」というセリフには「どういう経緯で足置きを動かすことになったのか私には理解できない」という気持ちが出ていますね。
レイチェルは足置きを動かした事情を説明しています。
そこ、つまり移動した先の方がより良く見えるから、そして、コーヒーテーブルの周りのおまけの椅子にもなるし、とも言っています。
足置きを本来の機能としての足置きではなく、単独の椅子として置いてみた、というところで、それでモニカは怒っているわけですね。


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posted by Rach at 13:59| Comment(0) | フレンズ シーズン1改 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする