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21:23
[End credits. Scene: Chandler's office block, yet another coffee break. Enter Lowell...]
エンドクレジット。シーン: チャンドラーのオフィスブロックだが、また別のコーヒーブレイク中。ローウェル登場…。
チャンドラー: Hey, Lowell. (やあ、ローウェル。)
ローウェル: Oh, hey, Chandler. (あぁ、やあ、チャンドラー。)
チャンドラー: So how's it going down there in Financial Services? (それで、そっちの(君のところの)財務担当はどんな感じ?)
ローウェル: It's like Mardi gras without the papier-mache heads. How about you? (張り子の頭がないマルディグラみたいな感じだね。君の方はどう?)
チャンドラー: Good. Good. Listen, um, I don't know what Shelly told you about me, but, uh... I'm not. (いいよ、いいよ。なぁ、シェリーが君に何て言ったか知らないけど、でも…俺は違うんだ。)
ローウェル: I know. That's what I told her. (知ってる。僕もシェリーにそう言ったよ。)
チャンドラー: Really? (ほんとに?)
ローウェル: Yeah. (ああ。)
チャンドラー: So you can tell? (じゃあ、君にはわかるの?)
ローウェル: Pretty much. Most of the time. We have a kind of... radar. (だいたいは。ほとんどの場合はね。僕たちには、ある種のレーダーがあるんだ。)
チャンドラー: So you don't think I have a... a quality? (それじゃあ、僕には…資質はない、って君は思うの?)
ローウェル: Speaking for my people, I'd have to say no. By the way, your friend, Brian, from Payroll? He is. (僕ら(ゲイ)を代表して言うと、僕はノーと言わないといけないだろうね。ところで、君の友達のブライアン、給与担当の。彼はそうだよ。)
チャンドラー: He is? (彼はそうなの?)
ローウェル: Yup. And way out of your league. [Exits] (そうさ。そして君には、超、高嶺の花だけどね。[出て行く])
チャンドラー: Out of my league! I could get a Brian. [Brian enters behind him] If I wanted to get a Brian, I could get a Brian. [Sees him] Hey, Brian. (俺には高嶺の花だって? 俺なら(その気になれば)ブライアンくらいの男はゲットできるさ。[チャンドラーの後ろにブライアンが入ってくる]もし俺がブライアンみたいな男をゲットしたいと思ったら(その気になれば)俺にだってブライアンクラスの男はゲットできるさ。[ブライアンを見て] やあ、ブライアン。)
部屋に入ってきた男性に、チャンドラーが「ローウェル」と呼び掛けていることから、この男性がローウェルだとわかります。
シェリーがチャンドラーに紹介しようとしていた男性で、これまではずっと名前だけの登場だったのが、エンドクレジットのシーンでついに登場したということで、「この人がローウェルなんだ」とわかった観客からも笑い声が起きています。
So how's it going down there in Financial Services? は、ファイナンシャル・サービス(財務担当)という部署の様子を尋ねている疑問文で、down there のように down がついているのは、その部署が今いる休憩室より下の階にあることを示していると考えられるでしょう。
様子を聞かれた後のローウェルの返事、It's like Mardi gras without the papier-mache heads. について。
Mardi gras は「マルディグラ、懺悔(ざんげ)火曜日」。フランス語で「肥沃な火曜日(fat Tuesday)」という意味。
アメリカだとニューオーリンズなどでパレードが行われます。
papier-mache は「張り子の」。
そのマルディグラのパレードのフロートでは、張り子で作られた大きな頭が使われるようです。
つまり、Mardi gras without the papier-mache heads とは「張り子で出来た頭がない、マルディグラ」ということになりますね。
そして、オーストラリアのシドニーで行われるマルディグラは、その名もズバリ、Sydney Gay and Lesbian Mardi Gras 「シドニー・ゲイ・アンド・レズビアン・マルディグラ」と言い、世界各地からゲイやレズビアンが集まってパレードをすることで有名です。
詳しくは以下のウィキペディアで。
Wikipedia 日本語版 : ゲイ・アンド・レズビアン・マルディ・グラ
今回のフレンズのエピソードのキーワードが「ゲイ」であることを考えると、ここでのマルディグラは、アメリカのニューオーリンズのことではなく、ゲイの祭典であるシドニーのマルディグラを指していると考えた方が自然だろうと思います。
そのシドニーのマルディグラの画像をいくつか見ると、着飾った人々が練り歩くパレードで、張り子らしきものはあまり見当たらないように思います。
そういう意味で「張り子なしのマルディグラ」という表現が「シドニーのマルディグラ」を指しているのかもしれません。
ローウェルの部署は、ローウェルだけではなく、他にもたくさんゲイがいる、と言っていることになるでしょう。
その後、チャンドラーは「シェリーが君に何て言ったか知らないんだけど、I'm not.」と言います。
I'm not 〇〇. のように後に続く言葉が省略されていますが、今回の話の流れで、I'm not gay. という意味であると想像されますね。
それを聞いたローウェルは驚く様子もなく、「知ってる。僕もシェリーにそう言った」と返します。
それを聞いたチャンドラーの方が逆に驚いた様子で、So you can tell? と言います。
tell は「言う」の意味で使われることが多いですが、ここでは「見分ける、識別する」という意味。
この意味では、can/could tell の形で使われることが多いです。
radar は「レーダー、電波探知機」。すっかり日本語になっていますね。
radar は、RAdio Detecting And Ranging の頭文字をとった言葉で、日本語では「電波探知測距(そっきょ)」になります。
「ダー」という音を聞くと、-der と綴りたくなってしまうのですが、頭文字からできた言葉なので、語尾はありがちな -er ではなくて、-ar であることに注意して下さい。
君は違う、と断言されて、チャンドラーは So you don't think I have a... a quality? と尋ねます。
今回のエピソードでは、フレンズたちやシェリーに You have a quality. 「あなたには(ゲイの)クオリティ(資質)がある」と言われ続けていたので、そのことを確認しているわけですね。
speak for は「〜のために言う」ですから、「(人)の代弁をする、(人)を代表して言う」。speaking for my people とは、「僕らゲイを代表して言うと」。
「ゲイを代表して言わせてもらうと、君はゲイの資質は持ってないと言わないといけないだろうね」ということで、チャンドラーにはそのクオリティはない、ということを、ゲイの人から直々にお墨付きをもらった形になります。
ここまでの流れで、「クオリティがある」と言われ、「女子みたいなおしゃれの話をすることがそういうクオリティってやつ?」みたいに言っていたシーンもありましたが、結局ラストシーンで、ゲイの人に資質はないと断言されることで、「チャンドラーがゲイに間違えられる理由が結局よくわからないまま終わる」ということになるわけですね。
チャンドラーにはそういう資質がないと言った後、ローウェルは「ところで」と言って、もう一人話題になっていた人物ブライアンの名前を挙げ、彼はそうだよ、と言います。
ここでの会話は、ローウェル: He is. チャンドラー: He is? という形になっています。
ローウェルの発言をおうむ返しに言っているだけのようですが、Really? と答えるよりも、「彼はほんとにそうなわけ?」的に、He IS? と is を強く発音して聞き返す方が、より生きた会話っぽい感じがします。
Yup. は Yes. の口語表現。
way out of your league の way は、on my way とかのウェイ「道」ではなく、「ずっと、うんと、はるかに」という意味の副詞。
LAAD (Longman Advanced American Dictionary) では、
way [adverb] (informal) by a large degree
つまり「大きな度合で」。
way too much 「多すぎる」、way too long 「長すぎる」のような形で使われます。
out of one's league は過去記事、ビリーブ・ユー・ミー フレンズ1-8改その13 にも出てきました。
その時は、シェリーがチャンドラーに、"Well, I think Brian's a little out of your league."「うーん、ブライアンはちょっとあなたには高嶺の花だと思うけど」と言っていましたが、今回はまたそのブライアンと釣り合うかどうかの話で、ローウェルに "way out of your league"「(君にとってブライアンは)超、高嶺の花だ」と言われてしまったことになります。
一つのエピソード内で、時間を空けて、way out of your league という同じフレーズが登場するのがポイントと言えるでしょう。
「前に出てきたネタがまた後で出てくる」というのはコメディの王道パターンでもありますし、コメディに限らず、一つの作品では、同じ単語やフレーズが何度も登場する、ということはよくありますよね。
そして今回の場合は、シェリーは少々遠慮して、a little 「ちょっと(高嶺の花)」と言っていたのですが、ローウェルの方は「超(ものすごく)(高嶺の花)」と容赦のない言い方をしているという違いがあるのがまた大きなポイントとなるでしょう。
way out of your league と言い残してローウェルが出て行った後、チャンドラーは Out of my league. と言っています。
これも、your を my に変えただけで、同じ言葉を繰り返しているパターンですね。
チャンドラーは「ブライアンは君にとっては超高嶺の花」と言われたことにかなりムッとした様子で、I could get a Brian. If I wanted to get a Brian, I could get a Brian. と言っています。
If I wanted.... I could は、現在の事実と反対の仮定を示す「仮定法過去」。
実際に望んでいるわけじゃないけど、もし望むとしたら、という仮定ですね。
日本語で言うところの「その気になればゲットできる」というニュアンスになります。
先ほども参照した過去記事、ビリーブ・ユー・ミー フレンズ1-8改その13 でも、シェリーに高嶺の花だと言われ、"You don't think I could get a Brian? Because I could get a Brian."と言っていました。
out of one's league と共に、I could get a Brian もまた同じように繰り返されているわけですね。
「俺だってその気になればブライアンくらいの男もゲットできる」と大声で叫んだ後、少し前に休憩室に入ってきていた男性に、Hey, Brian. と呼び掛けます。
「ゲットできるさ」と叫んだ直後に、その当人のブライアンとすれ違うタイミングが絶妙で、実に面白いシーンですよね。
エンドクレジットではローウェルが登場しただけではなく、もう一人のキーパーソンのブライアンも最後の最後に出てきた、というのは楽しい演出だと思います。
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