2020年04月26日

belong in は「そこにいるのがふさわしい」という居場所 フレンズ1-10改その17

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18:35
[David is feeding Phoebe popcorn. Max walks up]
デビッドはフィービーにポップコーンを食べさせている。マックスが歩いて近づく。
フィービー: Hi, Max. (はーい、マックス。)
マックス: Yoko. [To David] I've decided to go to Minsk without you. (オノ・ヨーコ。[デビッドに] ミンスクに行くことを決めたよ、君なしでね。)
デビッド: Wow. (わぉ。[ト書き日本語補足:フィービーに食べさせていたデビッドの手が止まる])
マックス: It won't be the same- but it'll still be Minsk. Happy New Year. [Walks off] (同じとはいかないけど、でもそれでも(ミンスクは)ミンスクだからね。新年おめでとう。[歩いて去る])
フィービー: Are you all right? (大丈夫?)
デビッド: Yeah, I'm fine. I'm fine. (あぁ、大丈夫、大丈夫。[ト書き日本語補足:と言いながら、フィービーに食べさせようとしたものを自分で食べてしまう。様子がおかしいことに気付いたフィービーは、デビッドが持っていた器を机に置いて、こっちに来るようにと別の場所に誘う])

デビッドの同僚のマックスが近づいてきたので、「はーい、マックス」と呼びかけるフィービーですが、それに対してマックスは憎々し気な表情と口調で Yoko. と返します。
これは、世界的に有名なヨーコさん、である、オノ・ヨーコ(Yoko Ono)さんのこと。
ザ・ビートルズのジョン・レノンの奥さんとして有名で、前衛芸術家、社会活動家の彼女に影響されて、他のビートルズのメンバーと意見の相違が生じ、それが解散に繋がったというような噂が解散当時よく聞かれていたようです。
なお、ビートルズのメンバーであるポール・マッカートニーは、後に、解散は彼女のせいではなかった、というコメントを発表しているとのこと。
たとえメンバーがそのような発言をしていても、解散当時は上に書いたような噂が流れていたので、彼女にはそういうイメージがついてしまった、ということでしょう。
今回のマックスのセリフも「仕事上の共同体であるデビッドとマックス(自分)を引き裂く存在」のような意味で、フィービーをヨーコと呼んだことになります。

I've decided to go to Minsk without you. は「僕はミンスクに行くことを決めてしまった、君なしで」。
意味としては「君なしで(一人で)ミンスクに行くと決めた」ということですが、「君なしで、君がいない状態で」を意味する without you が副詞として最後につくため、日本語にすると「行くと決めたんだ、君なしでね」という倒置のようなニュアンスが感じられます。

It won't be the same- but it'll still be Minsk. を直訳すると、「同じとはならないだろうけど、それでもまだミンスクだろう」。
一緒に行くデビッドがいないことで全く同じとはならないまでも、ミンスクはやっぱりミンスクだからね、と自分を納得させるような発言をしたことになります。

マックスが一人で行くと聞いて以降、デビッドは固まったような状態になり、あげく、フィービーに食べさせようとしていたものを自分の口に運ぶ始末。
明らかに動揺して混乱している様子のデビッドを見て、フィービーは騒がしいパーティー会場を離れるように、寝室に彼を連れて行きます。


19:09
[Phoebe leads David into a bedroom]
フィービーはデビッドを寝室に連れて行く。
フィービー: You're going to Minsk. (あなたはミンスクに行くのよ。)
デビッド: No, I'm not going to Minsk. (いや、僕はミンスクには行かないよ。)
フィービー: Oh, you are so going to Minsk. You belong in Minsk. You can't stay here just 'cause of me. (あぁ、あなたは絶対にミンスクに行くのよ。ミンスクがあなたの居場所なの。ただ私だけのためにあなたはここにいるわけにはいかないわ。)
デビッド: Yes, I can. Because if I go, it means I have to break up with you. And I can't break up with you. (いや、僕はここにとどまれる。だって、もし僕が(ミンスクに)行けば、それは君と別れなければならない、ってことだ。そして僕は君と別れることなんかできない。)

You're going to Minsk. I'm not going to Minsk. You are so going to Minsk. のように be going to が3回連続で使われています。
「あなたはミンスクに行くわ」「僕は行かない」「あなたは絶対に行くわ」のように、最後の so は be going to を強調しています。

You belong in Minsk. は「あなたはミンスクにいるべき人だわ。あなたの居場所はミンスクよ」。
belong は belong to で「〜に属する」という日本語で覚えていることが多いですが、belong in は「(人・ものが)(あるべきところに)ある、いる、ふさわしい」というニュアンスです。
LAAD (Longman Advanced American Dictionary) では、
belong
1. to be in the right place or situation
2. to feel happy and comfortable in a place or situation, because you have the same interests and ideas as other people
in
例) I taught in high schools, but I really belonged in the elementary schools.


1. は「正しい場所または正しい状況にいること」。
2. は「ある場所や状況で幸せまたは心地よいと感じること、他の人と同じ興味や考えを持っているという理由から」。
例文は「私は高校で教えていたが、本当は小学校の方がふさわしかった」。

「あるべき場所にいる・ある」というのが基本的な意味ですが、「同じような考えの人たちがいてそこにいると幸せで心地よい」という説明もわかりやすいと思います。
「そこにいるのがふさわしいと思える、自分の居場所」という感覚です。

映画「インデペンデンス・デイ(Independence Day)」で、ビル・プルマン扮する大統領が自ら戦闘機に乗り込み戦おうとした時のセリフが、"I belong in the air." (空が俺の居場所なんだ。)でした。
元々、湾岸戦争で活躍したパイロットで、その人気から大統領にまで上り詰めたという設定だったので、「俺がいるべきところは空なんだよ。俺は戦闘機乗りだからね」とセリフがかっこ良く聞こえるわけです。

You can't stay here just 'cause of me. は「ただ私のためだけのために、あなたはここにいることはできない(いてはいけない)」。
このように主節が否定文(You can't stay)の場合は「否定文 A because of B」を「Aではない、なぜならBのために・のせいで」と訳すのではなく、「BのためだからといってAではない」のように訳すことになります。

「私という理由だけのためにあなたはここにいてはいけないわ」とフィービーが言うと、デビッドは Yes, I can. つまり、Yes, I can stay here. と返します。
その理由として、「僕が(ミンスクに)行くと、それは僕が君と別れなければならないことを意味する、そして僕は君と別れることはできない」→「だから僕はミンスクに行くことはできない。ここに残ることができる・残らないといけない」という流れです。
デビッドのセリフを直訳すると、「もし僕が〜すれば、僕が…しなければならないことを意味する」というのは「僕が〜すれば、必然的に…することになる」という感覚。
何かを仮定して、「そんなことしたら、こんなことになってしまう」と言いたい場合に、このように表現すれば良いということです。


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posted by Rach at 15:12| Comment(0) | フレンズ シーズン1改 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年04月12日

いつも明るい彼が暗い顔をしているのを見て言った言葉 フレンズ1-10改その16

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17:19
[Someone else knocks on the door. Monica looks through the spyhole]
他の誰かがドアをノックする。モニカはのぞき穴を通して見る。
モニカ: Everybody, it's Fun Bobby! (みんな、ファン・ボビーよ!)
[Everyone cheers. Monica opens the door. Bobby is obviously very depressed]
みんなは喝采する。モニカはドアを開ける。ボビーは明らかにとても落ち込んでいる。
ファン・ボビー: Hey, sorry I'm late. But my, uh, grandfather, he- died about two hours ago. But I-I-I couldn't get a flight out till tomorrow, so... here I am. (やあ、遅くなってごめん。でも、俺のおじいちゃんが2時間前くらいに死んだんだ。でも、ここを経つ便が明日までなかったから、だから…ここに来た。)
ジョーイ: [Approaching] Hey, Fun Bobby! How's it going, man? Whoa! Who died? ([近づいてきて] やあ、ファン・ボビー! 調子はどう? おや! 誰が死んだんだ?)
[Monica gestures wildly behind Fun Bobby's back]
ファン・ボビーの後ろで、モニカは大きなジェスチャーをする。

以前のシーンでモニカは「ファン・ボビーを誘う」と言っていましたが、そのファン・ボビーがパーティーにやってきます。
Fun Bobby は「楽しい・愉快なボビー」というあだ名で、DVDの日本語訳では「ネアカのボビー」と訳されています。
そのニックネームの通り、明るい人であることが想像できるのですが、やって来たボビーは、その名前のイメージとは大きく違って、悲しそうな表情をしています。
モニカが理由を尋ねる前に、ボビーは自ら理由を話し始めます。
get a flight out は「ここを発つ(ここから出る)フライトを取る」という感覚。
ここからおじいちゃんのところに行くフライトは明日までないから、ということ。
すぐに会いに行けないから、ここに来るしかなかったというところです。

その二人の会話が聞こえなかったらしいジョーイは、少し離れたところから笑顔でボビーの方に近づいてきて、ボビーに声を掛けます。
Hey, Fun Bobby! How's it going, man? 「やあ、ファン・ボビー! 調子はどうだ?」と軽い挨拶をしたのですが、ボビーが暗い顔をしているのに気づき、驚いたような口調で Whoa! (発音は「ウォウ」)と言います。
Whoa! は元々、馬を止める時の「どうどう」という掛け声で、そこから「ちょっと待って。落ち着いて」のように相手を止める表現として使われます。
それ以外にも、日本語の「うわ」のような驚きを表すのにも使われます。
今回の場合は「明るいはずのボビーがすごく暗い顔をしていた」ことに対しての「驚き」表現となります。
ちなみに、映画「バック・トゥ・ザ・フューチャー」の主人公マーティのセリフで Whoa! がよく登場します。
拙著最新刊「リアルな英語の9割はアカデミー賞映画で学べる!」の p213 では、「待って」と「驚き」の両方の意味で Whoa! が連続して使われているやりとりをご紹介しています。

Who died? は「誰が死んだんだ?」。
日本語でも暗い雰囲気を漂わせている人に対して、「お通夜みたいだな、葬式みたいだな、誰か死んだのか?」などと冗談ぽく尋ねることがありますが、今回のジョーイの発言はそれと似たニュアンスになるでしょう。
「誰か死んだみたいな暗い顔しちゃって〜」と冗談のつもりで言ったところ、それがビンゴだったので、不謹慎なジョークを言ってしまったジジョーイに対して、モニカはボビーから見えない位置で必死に「そんなこと言っちゃダメダメ!」と手をブンブンしていることになります。


17:45
[Time lapse. Bobby is talking about his grandfather. Everyone else is virtually in tears]
時間が経過。ボビーは自分の祖父について話している。他のみんなはほとんど涙ぐんでいる。
ファン・ボビー: It's gonna be an open casket, y'know? So at least I'll- I get to see him again. (顔が見える棺になる予定なんだ。だから少なくともおじいちゃんをもう一度見る[おじいちゃんにもう一度会う]ことができるんだよ。)
ジャニス: [Ross is still taking their photo] Oh, I'm gonna blow this one up and I'm gonna write "Reunited" in glitter. ([ロスはまだ二人の写真を撮っている] あぁ、この写真を引き伸ばして、(ラメ入りの)グリッターペンで「再会(再結合)」って書くわ。)
チャンドラー: Alright, Janice, that's it! Janice... Janice... Hey, Janice. When I invited you to this party, I didn't necessarily think that it meant that we-- (よし、ジャニス。ジャニス、それまでだ。ジャニス…ねぇジャニス。このパーティーに君を呼んだ時には、必ずしも僕たちが(復活する)つもりだと思ってたわけじゃないんだ…。)
ジャニス: Oh, no! Oh, no! (なんてこと! なんてこと!)
チャンドラー: I'm sorry you misunderstood. (君が誤解したことは残念だと思ってるよ。)
ジャニス: Oh my God. You listen to me, Chandler. You listen to me! One of these times, it's just gonna be your last chance with me! [She runs off] (なんてこと。聞きなさい、チャンドラー、よく聞きなさい! そのうちそれが私と一緒にいる最後のチャンスになるんだからね! [ジャニスは走り去る])
[Ross is still taking photos]
ロスはまだ写真を撮っている。
チャンドラー: Oh, will you give me the thing? [Snatches the camera] (あぁ、そいつを俺によこせ! [カメラをひったくる])

open casket は「顔が見えるように蓋が開いた棺」。
"open casket" で画像検索すると、蓋の上半身部分のみが開くようになっているタイプの棺など、遺体の顔が見える棺の写真が出てきます。
そういうタイプの棺だからお葬式の時にもう一度おじいちゃんに会えるんだよ、という発言に、周囲でその話を聞いているレイチェル始め複数の人々がティッシュで涙を拭いています。

ロスは引き続きジャニスのカメラで、ジャニスとチャンドラーを撮影中。
blow up は「(風船などを)膨らます」という意味でよく使いますが、今回は写真の話なので「写真を引き伸ばす」。「拡大コピーする」という意味にもなります。

unite は「結合する、一体にする、合体させる」なので、reunite は「再結合させる、再会させる」。
LAAD (Longman Advanced American Dictionary) では、
reunite : to bring people together again after a period when they have been seperated and have not seen each other, or to come together in this way
例)The band will reunite for a U.S. tour.

つまり、「人が離れていた、または会っていなかった時期の後で再び人を一緒に引き合わせること(他動詞の意味)、またはこのように一緒に集まること(自動詞の意味)」。例文は「アメリカ・ツアーのためにそのバンドは再結成するだろう」。

ジャニスは、We are reunited. 「私たちは(久しぶりに)再結合した」というニュアンスで、写真に Reunited と書きたいと言っているわけです。

glitter は動詞で「ぴかぴか光る」、名詞で「きらめき、輝き」。
LAAD では以下のような意味も出ています。
glitter [noun] : very small pieces of shiny plastic or metal that you glue onto paper, cards etc. for decoration
つまり、「デコレーションのために、紙やカードに糊づけする、輝くプラスチックや金属の非常に小さな破片」。
write something in glitter は「ラメ入りのペンで〜という文字を書く」というニュアンスだろうと思います。
日本でも「グリッターペン」「グリッターグルー」という商品があるようですので、それらのように女子が好きそうな感じのキラキラのラメで文字を書く、ということだろうと。

チャンドラーとのツーショット写真について楽しそうに語るジャニスですが、ずっと隣で嫌そうな顔をしていたチャンドラーはついに、ジャニスに話を切り出します。
That's it! にはいろいろな意味がありますが、ここでは「それまでだ、そこまでだ」というニュアンス。
not necessarily は「必ずしも〜ない」。
君を誘ったけど、その時は、あくまで一つのパーティーに誘っただけで、君とよりを戻すつもりだと、必ずしも思っていたわけではなかった、ということ。

「私と一緒にいる最後のチャンスになるんだから」と言ってジャニスが走り去った後、ロスはまだ面白がってチャンドラーの写真を撮り続けています。
Will you give me the thing? の the thing は「そのもの、そいつ」という感覚になります。


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posted by Rach at 16:25| Comment(0) | フレンズ シーズン1改 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする