2020年06月26日

心を引き裂いて憂鬱の底に陥れる フレンズ1-11改その1

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シーズン1 第11話
The One With Mrs. Bing
原題訳:ミセス・ビングの話
邦題:チャンドラーのママ登場!


[Pre-intro scene: Monica and Phoebe are walking to a newsstand]
イントロ前のシーン。モニカとフィービーは新聞販売店に歩いていく。
フィービー: Do you think they have yesterday's Daily News? (昨日のデイリーニューズあると思う?)
モニカ: Why? (どうして?)
フィービー: I just wanna check my horoscope to see if it was right. (私の星占いが当たってたかどうか、チェックしたくて。)
モニカ: Oh my God. [Grabs Phoebe and turns her away] Phoebe. Don't look now. Behind you is a guy who has the potential to break our hearts and plunge us into a pit of depression. (まぁなんてこと。[フィービーを掴んで、彼女の向きを変える] フィービー、今は見ちゃだめ。あなたの後ろに男性がいるのよ、私たちの心を引き裂いて、私たちを憂鬱の底に陥れる可能性を持った男性がね。)
フィービー: Where? [Turns to face him] Ooh. Come to Mama! (どこに? [振り返って彼の方を見る] うー、ママのところにいらっしゃい!)
モニカ: He's coming. Be cool! Be cool! Be cool! (彼が来るわ。落ち着いて! 落ち着いて! 落ち着いて!)
[The guy walks past them]
その男性が二人の横を通り過ぎる。
男性: Nice hat. (素敵な帽子だね。)
モニカとフィービー: [unison] Thanks. ([声をそろえて] ありがと。)
[The guy walks on]
その男性は歩いていく。
フィービー: We should do something. Whistle. (私たち、何かしなくちゃ。フューって音、出して]。)
モニカ: We are not going to whistle. (フューなんて音、出さないわよ。)
フィービー: Come on, do it! (ねえ、やって!)
モニカ: No! (いやよ!)
フィービー: Do it! Do it! Do it! (やって! やって! やって!)
モニカ: [Shouts to the guy] Whoo-hoo! ([その男性に向かって叫ぶ] ウーフー!)
[The guy turns round, startled. Monica points to Phoebe. The guy gets hit by a truck]
その男性は驚いて振り返る。モニカはフィービーを指さす。その男性はトラックにぶつかられる。
フィービー: I can't believe you did that! (あなたがあんなことするなんて信じられないわ!)

Daily News 「デイリーニューズ」はニューヨークのタブロイド紙。horoscope は「星占い、占星術」。
昨日の新聞に載ってた占いが本当に当たったかどうか確かめたいと言っているのがフィービーらしくて面白いです。

Behind you is a guy who... は、A guy who... is behind you. が倒置になった形。
a guy who... 「…する人」の who 以下の説明が長くなっているので、それを主語にすると主語が重たくなってしまうため、「あなたの後ろにいるのは…する人なのよ」のように、先に Behind you を持ってきたことになります。
「あなたの後ろにある男性がいるのよ」と先に言っておいてから、関係代名詞 who を使って、その男性の説明を詳しく語っているという、英語っぽい構造になっています。

have the potential to は「〜する可能性がある、する可能性を持つ」。
plunge us into a pit of depression は「私たちを憂鬱の底に陥れる」。
plunge は自動詞だと「急に下がる、急落する」、他動詞だと「…を〜の状態に陥れる、落ち込ませる」。
pit は「穴、くぼみ、落とし穴」。
the pit of darkness, the pit of hell または the pit で「地獄、奈落(ならく)」の意味があるので、the pit of depression は「憂鬱地獄、落ち込み・憂鬱の底」のようなニュアンス。

Come to Mama! について。
直訳すると「ママのところに来なさい、おいで!」ということで、母親が歩き始めたばかりの子供に言う言葉。
そこから、こちらに向かってくるものについて、それが欲しい、自分のところに来て欲しいと思った時に「(坊や、)私[ママ]のところにおいで」というニュアンスで使います。

レディー・ガガのアルバム「ジョアン」(Joanne)にも Come To Mama という曲がありますが、これは文字通りの「ママのところにおいで・いらっしゃい」という意味のようです。

Be cool! は「冷静に、落ち着いて!」。
彼のことをかっこいい!と騒いでいるのを気取られないように、平静を装え、ということ。

Nice hat と褒めてくれたものの、そのまま歩き去ってしまいそうなので、何とか彼を引き留めなきゃという意味で「何かしなくちゃ」とフィービーは言っています。
whistle は「口笛を吹く、口笛で呼ぶ、口笛で合図をする」。
メロディを奏でる「口笛」だけではなく、口でピー、ヒューという高い音を出すことも含みます。

Macmillan Dictionary では、音楽を奏でる口笛以外の意味で、以下の意味も出ています。
whistle : to make a high sound by forcing air through your mouth in order to get someone's attention, or to show that you like or dislike something
つまり「口を通して空気を押し出すことで高い音を出すこと、誰かの注意を引くために、または、自分がそれが好き、または嫌いであることを示すために」。
少し後のシーンでわかるように、今回のモニカの whistle はまさに「相手の注意を引くために出す高い音」を指しているということです。

なお口笛は日本語で「ホイッスル」と表記されますが、英語の発音は「ウィソー」という感じ。
串田アキラさんの「キン肉マン Go Fight!」で、Go! Go! Muscle! が(マッスルではなく)マソー! になるのと同じ原理ですね^^

文字で whistle と書かれてあるのを見れば「ホイッスル…あぁ、口笛か」とわかるでしょうが、実際の英語が日本でのカタカナ語からかけ離れた音であった場合には気づきにくいことも多いです。
英語学習に使う作品に「英語字幕があるもの」をお勧めしているのも「日本語化していて知っているはずの単語でも、英語では音が全く異なる」場合が多々あるからで、意味がわからない音を何度も聞いてわかろうとすることに時間を割くよりは、1回テストで聞いてみて、わからないと思った単語は、すぐに綴りや意味を確認した方がいいと私は考えています。

「ヒュー!ってやって!」「やらない!」という問答が続きますが、フィービーの圧に負けたモニカがサイレンのような声を出します。
去っていこうとした男性は驚いて振り向き、モニカは「この人(フィービー)がやれって言うもんだから」のようにフィービーを指さし、女子二人は微笑むのですが、モニカの声に気を取られ道路の中央に立ち止まってしまった男性は、走ってきた救急車にぶつかってしまうことになります。
走ってきた救急車の前方の文字が *AMBULANCE* を鏡文字(かがみもじ)にしたものが書かれていますが、これは前の車が後ろを走る救急車をバックミラーで見た時に、AMBULANCE(救急車)と読めるようにしたもの。

彼に何か合図を送れ、とさんざんけしかけたのはフィービーなのに、とんでもない結果になると、「あんなことするなんて信じられない」と自分勝手なことを言うフィービー。
吉本新喜劇でも、秘密をポロッとしゃべってしまった本人が「誰が言うたんや?」と言って、一斉に「お前や!」とツッコまれるパターンがありますが、このような笑いのパターンは日英共通するところがあり、楽しいです。


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posted by Rach at 17:34| Comment(0) | フレンズ シーズン1改 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年06月18日

日経WOMAN別冊に掲載されました!

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昨日6月17日(水)発売の『日経WOMAN別冊 ムダなお金をかけずに英語が話せる!』で、私の英語学習法が紹介されました。

Amazon ではこちら。
ムダなお金をかけずに英語が話せる! (日経WOMAN別冊) (日本語) ムック
200617_01 w333px.jpg

part 1 お金をかけずに英語を学ぶコツ」の p.26
ポイントは「3度見」にあり! 海外ドラマで、生きた英語がどんどん身に付く!
というタイトルで、カラー見開きで、私の海外ドラマ3段階英語学習法(レイチ・メソッド)をご紹介いただいています。
以前、『日経WOMAN 2017年7月号』にも掲載していただいたことがあり、その記事を再編集していただいたものとなります。
英語学習におすすめ海外ドラマも、新たに私のほうで選ばせていただきました。
また、以前と比べて動画配信サービスが広く普及したこともあり、動画配信についても加筆しています。

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上の写真のように「人気英語ブロガー」と紹介していただけているのもとても嬉しく、いつもこのブログを応援して下さる皆様方のおかげと、心より感謝いたしております。
本当にありがとうございます<(_ _)>
今回の別冊では、表紙を開けてすぐの p.3 に目次があるのですが、その目次のページにも、私の写真がこんな風に、弾んだ感じ♪で使われていました。

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さらには part 1 の扉(p.4)にもその写真を使って下さっています。
目次の写真をご覧になった方は「…誰?」と思われたに違いない、、、と思いつつも、目次に写真を使っていただけるのは光栄で、嬉しいびっくりでした(^^)

なお、『日経WOMAN』さんの Facebook では、今回の別冊の中身を(パラパラ漫画のように)ページをめくって見せてくれる動画がアップされています。
Facebook: 日経WOMAN

『日経WOMAN』と言えば、毎回この話ばかりしてしまうのですが、『日経WOMAN』(2001年2月号)(表紙:水野真紀さん)の英語特集でおすすめ作品として「フレンズ」が紹介されていたのを見て、私は英語のやり直し学習を始めました。
ですから、2017年7月号(表紙:石原さとみさん)で初めて日経WOMANに掲載していただいた時は、とても嬉しかったです。
それがまたこうして、別冊にも掲載していただけることになるなんて、本当に光栄の極みです!
今回新たに1冊を加えた、日経WOMANの「大事な3冊」を並べてみました♪

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自粛や巣ごもりで、動画配信サービスの加入者が増えたというニュースをよく耳にします。
動画配信サービスの便利さ、作品の豊富さに触れた方に、海外ドラマで英語を学ぶ楽しさや面白さが少しでも伝われば本当に嬉しいなと思います。

今週の月曜日の 6月15日に、私のブログ「シットコムで笑え!」は15周年を迎えました。
それから数日のうちに、またこのような嬉しいニュースをお伝えすることができることを、とても幸せに思っています。

日経WOMAN 関係者の皆様、掲載、ありがとうございました。
そして、このブログをいつも読んで下さり、応援して下さる読者の皆様に、心より感謝申し上げます。
本当にありがとうございます!
海外ドラマで英語を学ぶ楽しさと素晴らしさを感じていただけるような記事が書けるように、これからも頑張ります!

Rach からの嬉しいお知らせでした♪


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posted by Rach at 14:21| Comment(2) | メディア掲載 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年06月15日

ブログ15周年

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2005年6月15日に開始したこのブログ、今日で15周年を迎えることができました!
15年間、このブログを続けることができましたのは、このブログを読んで下さり、応援し続けて下さった読者の皆様方のお蔭と心より感謝しております。
本当にありがとうございます<(_ _)>

こうして15周年を迎えた今日も、ブログランキングの上位にいさせていただけていることも大変ありがたく思っております。
ランキングクリックで応援して下さっている皆様には感謝の気持ちでいっぱいです。

ブログ14周年以降のこの1年間に、著書を2冊出させていただくことができました。
2019年9月2日発売 『海外ドラマ英和辞典』(KADOKAWA)
2020年2月8日発売 『リアルな英語の9割はアカデミー賞映画で学べる!』(池田書店)

その他、以下の雑誌にも掲載していただくことができました。
ENGLISH JOURNAL』(2019年10月号)の特集「寝不足注意の英語学習! NETFLIX & Hulu フル活用ガイド」
海外ドラマで英語をモノにする!』(多聴多読マガジン別冊)
女性セブン』(11月7・14日号)の「本当に使える! 本気になれる! 1年以内にできる「超時短」英会話」

1年の間に著書を2冊出させていただけたのは今回が初めてで、また、いろいろな雑誌に掲載していただけたことも、とても光栄で嬉しく思っております。
動画配信サービスの発達のおかげで、ドラマや映画を観る環境はどんどん便利になっています。
海外ドラマや洋画で英語を学ぶ方が増えてくれればいいな、と心から思っています。

ドラマや映画で生きた英語を学ぶ楽しさやその効果を一人でも多くの方に伝えることができるよう、これからも全力を尽くして頑張ります!
ブログの読者の皆様、15年間本当にありがとうございました。
これからも引き続き、どうかよろしくお願いいたします。


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posted by Rach at 16:42| Comment(7) | 節目となる出来事 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年06月12日

おざなりの反応を返すだけ フレンズ1-10改その20

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21:32
チャンドラー: Y'know, I uh.. just thought I'd throw this out here. I'm no math whiz, but I do believe there are three girls and three guys right here. [Makes kiss noise] (ほら、ここでこの件をそれとなく言おうと思ってたんだけどさ。俺は数学の達人じゃないけど、今ここには3人の女子と3人の男がいるな、って俺は(確かに)思うんだよ。[ん、ん、とキスの音を出す])
フィービー: Oh, I don't feel like kissing anyone tonight. (あぁ、私は今夜は誰ともキスしたくない気分よ。)
レイチェル: I can't kiss anyone. (私は(唇が腫れているから)誰ともキスできないわ。)
モニカ: So I'm kissing everyone? (それじゃあ、私が全員にキスする(ことになる)の?)
ジョーイ: No, no, no, you can't kiss Ross. That's your brother. (いやいやいや、モニカはロスにキスしちゃだめだ。あいつはお前の兄貴だぞ。)
ロス: Perfect. Perfect. So now everybody's getting kissed but me. (完璧。完璧だよ。それじゃあ、今から僕以外のみんなはキスされるんだな。)
チャンドラー: All right, somebody kiss me. Somebody kiss me! It's midnight! Somebody kiss me! It’s midnight. (よし、誰か俺にキスして。誰か俺にキスして! 真夜中だ! 誰か俺にキスして! 真夜中だぞ。)
ジョーイ: All right, all right, all right. [Kisses him. Ross takes a photo] There. (わかった、わかった、わかった。[ジョーイはチャンドラーにキスする。ロスが写真を撮る]ほらな。)

真夜中となり、パーティーに参加しているカップルたちがキスする中、キスの相手がおらず取り残された状態のフレンズ6人。
throw out は「外へ投げ出す」ということから、「〜を投げ捨てる、放り出す」という意味で使われますが、ここでは「(考えなどを)さりげなく・それとなく言う、ほのめかす」という意味で使われています。
LAAD (Longman Advanced American Dictionary) では、
throw out an idea : to suggest an idea
つまり「考えを提案する」と出ています。

whiz は「名人、達人」を意味する口語。
ウィズという音からウィザード(wizard=魔法使い)を連想してしまうかもしれませんが、h が入っていないことからもわかるように whiz は wizard の略語ではなく、whiz は元々、動詞「風を切ってピューと飛ぶ」、名詞「ピュー(という風を切る音)」のように擬音語から来た単語。
ピューと素早く物事をこなす感覚から「名人、達人」という意味になった、ということだろうと。
魔法使いの wizard の語源は wise 「賢い、賢明な、博学の」であるとのこと。

俺は数学の達人じゃないけど、3人ずつ男女がいるってことは、ぴったり数が合うんじゃないかな? それぞれがペアになったらちょうど誰もあぶれないでキスできるよ、と言っていることになります。

デビッドと切ない別れをしたばかりのフィービーは今夜は誰ともキスしようって気分にはならない、と言います。
レイチェルも「私もキスできない」と言っていますが、これはタクシーに乗る時に女性と喧嘩になって、現在、唇が腫れているため。
レイチェルが人と喧嘩してボロボロになって帰ってきたのは、脚本上、キスできない理由を作るためだったということです。
女性3人のうち、2人がダメだと言うので、残ったモニカは「私が男全員にキスするの?」と言っています。
ジョーイは「ロスとモニカは兄妹だからキスしちゃだめだ」と指摘し、ロスは「じゃあ、僕だけキスされないってことか」と怒ります。
Perfect. は言葉としては「完璧な」ですが、ここでは皮肉。最悪な状況の時に Oh, great. 「あぁ、もう最高だよ」と言ったりするのと同じです。
getting kissed but me の get kissed は「キスされる、キスしてもらう」という感覚。
but me の but は「〜を除いて、〜以外に」という意味の前置詞。

Somebody kiss me. は Kiss me. 「俺にキスして」に主語の somebody 「誰か」を付けた形。
「誰かが俺にキスする」という文なら、Somebody kisses me. のように 3単現の -s がつくことになりますから、その違いに注意しましょう。
「誰かキスして!」と、子供みたいにピョンピョン飛び跳ねているチャンドラーに、ジョーイがキスをして、その瞬間、ロスが写真を撮る、という流れでシーンは終わります。


22:09
[Credits scene: Still the party. Time lapse]
クレジットシーン。まだパーティ―中。時間が経過。
ロス: [Watching Marcel and talking to Rachel] I wanted this to work so much. I'm still in there, you know? Changing his diapers. Picking his fleas. But he's just phoning it in. It's just so hard to accept the fact that something you love so much doesn't love you back, you know? ([マルセルを見ながら、レイチェルと話している] このことがとてもうまく行ってほしかったんだ。僕はまだ頑張ってるんだよ、だろ? 彼のおしめを取り替えて。彼のノミを取って。でも彼は適当におざなりな対応を返してくるだけなんだ。とても愛している相手が、愛し返してくれないという事実を認めるのは、ただすっごくつらいよね。)
レイチェル: I think that bitch cracked my tooth. (あの女、私の歯を折ったみたいだわ。)

I wanted this to work so much. の work は自動詞で「うまくいく」。
マルセルを見ながらそう言っているので、マルセルと僕(ロス)との関係について語っていることがわかります。
change his diapers は「彼のおしめを取り替える」。
pick his fleas は「彼のノミを取る」。
フリーマーケットの看板に、free market と書いてあるのを時々見かけますが、本来、フリーマーケットとは「のみの市」のことなのでで、英語の綴りは flea market になります。

he's just phoning it in について。
phone in は一般的には「電話を入れる、電話で報告する、電話で参加する」という意味。

今回のセリフでの意味については、以下のネットスラング辞典である Urban Dictionary の語義が参考になると思います。
Urban Dictionary : phone it in
phone it in
672 up, 76 down
Perform an act in a perfunctory, uncommitted fashion, as if it didn't matter.
例)She sang the National Anthem, but she was just phoning it in as far as I could tell.

つまり、「おざなりで、全力を傾けることのないやり方で行動すること、まるで重要なことではないかのように」。
例文は、「彼女は国歌を歌ったが、私のわかる限りでは、ただおざなりでそうしていただけだった」。

また、ネット辞書 Wictionary にも以下のように出ています。
Wictionary : phone in
Verb
phone in
3. (idiomatic) To fulfill a responsibility with a minimum effort rather than the appropriate level of effort.

つまり、「(慣用的表現) 適切なレベルの努力というよりもむしろ最小の努力で責任を果たすこと」。

言い換えると、「責任を果たすのに必要な最小レベルの努力しかしない」ということですから、上の Urban Dictionary の perfunctory, uncommitted 「おざなりで、全力を傾けることのない」に通じるものがあります。
ロスに言わせると、「僕はこんなに尽くしてるっていうのに、マルセルの方はおざなりの、必要最小限の反応を返してくるだけなんだ」ということなのでしょう。
無反応や無視ってことはないけど、「ん、ありがと」程度にチラッと視線を向けるだけで、適当にあしらわれている感じがする、ということだろうと。

ここからは私の推測ですが、どうして元々は「電話で報告する」という意味の phone it in がそういう「おざなりな対応」みたいな意味になるかについて少し考えてみると、、、
実際に本人が出向いて行って、直接報告したり意見を言ったりするのと比較すると、「電話という機械越しに、顔も合わせずに報告する」という行為が、心がこもっていないように受け取られる、熱意がないように取られる、という感覚から来たのかも…と思ったりします。
現代社会においては、電話やメールでは失礼、という感覚もずいぶん減ったとは思いますが、直接会う(in person)の方が、電話で話す(on/over the phone)よりも、熱心さが感じられる、ということは今でもあるのかな、という気はします。

先のエピソードになりますが、フレンズ3-6その13 で、
エリック: But, he told me over the phone... (でも、チャンドラーは電話で僕に言ったんですよ…)
ヘッケルさん: He told me in person. (チャンドラーは私に直接言ったぞ。)
というやり取りがあり、この会話からも、over the phone よりは in person の方が信頼できる、心がこもっているという感覚が感じられると思います。

bitch は元々「メス犬」という意味ですが、嫌な女のことを「あの女」と軽蔑的に表現する時の言葉としてよく使われます。
crack は「〜にひびを入れる、〜を割る」。口をもごもごして、口の中で歯が欠けているのがわかったような様子ですから、「歯を折った」という感覚が近いでしょう。
ロスがマルセルとの関係について一生懸命語っていたのに、レイチェルは自分の歯のことを言っていて、レイチェルがロスの話をあまり真剣に聞いていなかったことが見てとれます。
マルセルだけではなく、レイチェルにも「おざなりの対応(phone it in)」をされた、という面白さかな、と思いました。


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posted by Rach at 16:12| Comment(4) | フレンズ シーズン1改 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年06月05日

どう言えばいいかわかんないけど(と言いつつ)言えちゃったな フレンズ1-10改その19

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20:26
テレビの中継画面が写る。画面の名前には、Dick Clark の文字。
ディック・クラーク(TV): Hi, this is Dick Clark live in Times Square. We're in a virtual snowstorm of confetti here in Times Square. It gets bigger and better every year. (こんにちは、こちらは、タイムズスクエアから実況中のディック・クラークです。ここタイムズスクエアで、紙吹雪の中にいます。毎年、より大きく、より素敵になっています。)
[Joey puts a blanket over Sandy's kids]
ジョーイはサンディーの子供に毛布を掛ける。
ジョーイ: Here you go, kids. (おやすみ、子供たち。)
チャンドラー: [To a woman who he has clearly just met] And then the peacock bit me. [Laughs] Please kiss me at midnight! [She leaves] ([明らかに会ったばかりの女性に] で、その時、そのクジャクが俺を噛んだんだよ。[チャンドラーは笑う] どうか、今夜、俺にキスして! [その女性は立ち去る])
ジョーイ: You seen Sandy? (サンディーを見た?)
チャンドラー: Ooh. Uh, I don't know how to tell you this, but she's in Monica's bedroom, getting it on with Max, that scientist geek. Cool, look at that. I did know how to tell you. (あぁ、このことをどうやってお前に言えばいいかわからないんだけど、でも、サンディーはモニカの寝室にいて、あの科学者オタクのマックスとヤってる。すごい、今の見たか、俺はお前にどうやって言えばいいか(わからないと思ってたけど)わかってたな。)
レイチェル: Hey, everybody, the ball is going. (ねえ、みんな。ボールが落ちるわよ。)
みんな: What? (何て?)
レイチェル: The ball is dropping! (ボールが落ちるんだってば。)
ディック・クラーク(TV): In 20 seconds, it'll be midnight. (20秒後に[あと20秒で]、真夜中になります。)
チャンドラー: And the moment of joy is upon us. (そして、喜びの瞬間が我々に訪れる。)
ジョーイ: Looks like that "No-Date Pact" thing worked out. (例の「デート(デート相手)なしの協定」ってやつは、うまく行ったみたいだな。)
フィービー: Everybody looks so happy. I hate that! (みんなすっごく幸せそう。そういうの嫌だわ!)
モニカ: Not everybody is happy. Hey, Bobby! (みんなが幸せなわけじゃないわよ。ねえ、ボビー!)
[Bobby waves and then bursts into tears.]
ボビーは(僕はもうダメだよという感じで)手を振り、それから泣き出す。
(フレンズを除く)全員: ...One! Happy new year!
[Midnight comes and everyone at the party except for the gang cheers and kisses]
真夜中が来て、パーティーにいる、フレンズ以外のみんなは喝采し、キスする。

テレビで喋っている男性に、Dick Clark というテロップが出ています。
この人が、大晦日のボール・ドロップを中継するABCの番組の司会者、ディック・クラークです。
その番組のタイトルは、「Dick Clark's New Year's Rockin Eve」で、2009年からは、共同司会者である Ryan Seacrest の名前も番組名に入った、「Dick Clark's New Year's Rockin' Eve with Ryan Seacrest」というタイトルに変更になりました。
New Year's Rockin Eve は略称では NYRE と表記されます。

司会のディック・クラークさんは2012年に亡くなられましたが、亡くなられた後も番組名は、Dick Clark's 「ディック・クラークの」とついた、 Dick Clark's New Year's Rockin' Eve with Ryan Seacrest のままで現在に至ります。
今年の Dick Clark's New Year's Rockin Eve with Ryan Seacrest 2020 には、韓国の人気グループBTSが出演したことでも話題となりました。

virtual snowstorm of confetti は「紙吹雪」のこと。
virtual は「仮想の」、snowstorm は「雪の嵐」すなわち「吹雪」。
confetti は「紙吹雪、紙テープ」。ticker tape とも言います。
ticker tape は情報などが印字された紙で、それを小さく刻んで紙吹雪として使います。
「紙テープの仮想の吹雪」ですから、「本物の吹雪のように見せた紙吹雪」ということです。
実際にカウントダウンの時には、大量の紙吹雪が舞います。メジャーリーグの優勝パレードなどでも使われるので、ご存じの方も多いでしょう。

何とか真夜中にキスする相手を見つけようと、必死に女性に話しかけているチャンドラー。
チャンドラーは「クジャクが俺を噛んだ」という話をしていますが、チャンドラーがクジャクに噛まれた話は、フレンズ1-7 にも出てきました。
私は最後から2番目だったみたいね フレンズ1-7改その16 で、「何かを知る最後の人間はいつも私」と怒るフィービーのセリフで、
フィービー: I was the last one to know when Chandler got bit by the peacock at the zoo. (チャンドラーがあの動物園でクジャクに噛まれた時、それを最後に知ったのは私だった。)

このように「チャンドラーがクジャクに噛まれた」という話は、2つのエピソードで語られていますが、結局、「チャンドラーがクジャクに噛まれた」という部分だけで、どうしてそんなことになったのか、そしてその後どうなったのか? という前後の話が結局わからずじまいなのが面白いところ。

三谷幸喜さん脚本の刑事ドラマ「古畑任三郎」でも、何度か話に登場するも結局結末は語られないという「赤い洗面器の男の話(赤い洗面器を頭の上に乗せた男の話)」というのがあります。
チャンドラーのクジャクの話も、何度も出てきたらこの「赤い洗面器の男の話」みたいな「お約束」話になったかもしれませんが、残念ながら、これ以降のエピソードで、「チャンドラーがクジャクに噛まれた話」が出てくることはありません、、、。

get it on with は「〜とエッチする、いちゃいちゃする」を意味するスラング。「〜とヤる」というニュアンスが近いです。
Cambridge Dictionary でも、
get it on : (slang) to have sex
とダイレクトな意味が出ています。
どう言えばいいかわかんない、言いにくいんだけど…と切り出したチャンドラーでしたが、実際には特に躊躇することもなく、あっさりそのものズバリを言ってしまい、「どう言えばいいかわからないと思ってたけど、俺、ちゃんとわかってたな(言えないと思ってたけど、言えちゃったな)」と言っているわけです。

今回解説しているシーンの始めに、ディック・クラークが紙吹雪のことを言っていた時、テレビの向かって左側に、すでにサンディーとマックスが仲良さそうに向き合っている姿が見えていました。
その後、レイチェルが The ball is dropping! と言う時には、レイチェルの背後に、寝室から出てくるサンディーが映っており、その後、またテレビの左側で二人は楽しそうに会話しています。
チャンドラーが説明した状況が、きちんと映像化されていることになります。

In 20 seconds, it'll be midnight. は「(20秒後に[あと20秒で]、真夜中になります」。
in は「〜後には、〜たてば」。within 「〜以内に」と混同しないように注意。
新年へのカウントダウンですから、20秒以内(つまり、2秒後かも、10秒後かも、20秒後かもしれない)にみたいなあやふやなことではおかしいですし、ちょうど20秒後、だと言っていることがわかります。

Looks like that "No-Date Pact" thing worked out. の work out は「うまく行く」。
みんなが頑張ってそういう結果になったわけではないけれど、いろんな事情が重なって、みんな独り身で新年を迎えることになり、結局、最初の協定が守られることになったな、ということ。
カメラが右から移動して、チャンドラー、ジョーイ、レイチェル、フィービー、モニカ、(かすかに肩だけの)ロスを映し、「デートなしの協定を守った、ぼっちの6人」の姿を見せています。

Not everybody is happy. の not everyone は部分否定で「みんなが〜というわけじゃない」。
フレンズ以外の全員が幸せってことじゃなくて、私たち以外にも幸せじゃない人がいるわよ、と言って、ボビーに声を掛け、おじいちゃんが亡くなったことで悲しんでいるボビーの姿を見せています。

フレンズ以外のみんなはカウントダウンで盛り上がり、真夜中になった瞬間、喜びハグしキスしていますが、サンディーとマックスもちゃっかりキスしています。


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posted by Rach at 17:02| Comment(0) | フレンズ シーズン1改 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする