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4:26
ジェイ・レノ: So now you're doing this whole book tour thing. How's that going? (それであなたは今、本の(宣伝)ツアーというのをやっていますが、それはどんな感じに進んでますか?[ツアーの状況・様子はどうですか?])
ミセス・ビング: Oh, fine. I'm leaving for New York tomorrow, which I hate. But I get to see my son, who I love! (あぁ、上々よ。明日はニューヨークに発つの、ニューヨークは嫌いなんだけどね。でも息子に会えるの、愛する息子に!)
みんな: Awww! (おぉ〜!)
チャンドラー: This is the way that I find out. Most moms use the phone. (これが俺が知る方法なんだ[俺はこんな風に知るんだよ]。たいていのママは電話を使うもんだぞ。)
ジェイ・レノ: Y'know, don't take this wrong, I-I just don't see you as a mom, somehow. I don't mean that, I don't mean that bad. (あの、悪く取らないで下さいね。ただ、あなたはどことなく、母親には見えないんですよ。そういう意味じゃなく、悪い意味でそう言っているのではなくて。)
ミセス・ビング: Oh, no. I am a fabulous mom! I bought my son his first condoms. (まぁ、そんなことないわ。私は素晴らしい母親よ! 私は息子に最初のコンドームを買ってやったんですもの。)
[The gang turn to look at Chandler]
フレンズたちはチャンドラーの方を見る。
チャンドラー: And then he burst into flames. (そしてそれからその息子は性に目覚めた[or 恥ずかしさで顔が真っ赤になった]。)
How's that going? は How is that going? で「それはどのように進んでいるか?」→「本の宣伝ツアーの状況・様子・調子はどうですか?」ということ。
leave for は「〜に向かって出発する」。
その後、, which I hate そして , who I love というように、関係代名詞の非制限用法(カンマ+which / who)が使われています。
which I hate の which は New York を指していると考えられるでしょう。
my son, who I love は、カンマのない形の関係代名詞の制限用法だと my son who I love となり、「私が愛する息子(に会える)」という意味になりますが、I get to see my son, who I love! とカンマが挿入されると、「私は自分の息子に会える、その息子を私は愛しているんだけどね」のように、カンマの後に情報を付け足した感覚になります。
..., which I hate. But ..., who I love! で「…は大嫌いだけど、…は大好きなの!」というように、嫌いなものと好きなものが対比されているのがポイントです。
嫌いを表現するには、don't like, dislike もありますが、hate は嫌いを意味する単語の中でも特にキツい言葉。
NYが嫌い(hate)とはっきり言っていますが、このセリフから、ノーラが自分の言いたいことを言う毒舌家であることもわかります。
This is the way that I find out. は「これが、俺が(そのことを)知る方法だ」→「俺はこんな風に(そのことを)知るんだ」。
明日はニューヨークに行くから、息子に会えるわ! と言っているテレビでのママの発言で、チャンドラーはママが自分に会いに来ることを知ったということです。
どうしてそんなプライベートなことをテレビ越しに伝えるんだ、という気持ちが出ています。
Most moms use the phone. は「たいていのママは電話を使うもんだろ」。
普通そういうことはまず電話で知らせるもんだろ、ということ。
Most moms use the phone. の 現在形 use は、「習慣・習性」を表す現在形。たいていのママは、普通ママってのは、息子との連絡に電話を使うものだ、それが普通のやり方だ、というニュアンス。
Don't take this wrong. は「(今から言うことを)悪く取らないで。誤解しないで欲しいんですが」。
take ... wrong は「間違って受け取る、誤解する、勘違いする」。
get ... wrong とも言います。Don’t get me wrong. だと「(私のことを)誤解しないで」。
see you as a mom は「あなたを一人の母親として見る」なので、I just don't see you as a mom, somehow. は「どことなく、私には、あなたのことは母親(である人)には見えないんですよね」ということ。
I don't mean that bad. は「悪い意味でそう言っているのではない」。
mean は「…の意味・つもりで言っている」。
bad は形容詞で「悪い」ですが、bad を badly の意味で副詞として使うこともできます。
アカデミックな英英辞典である LAAD (Longman Advanced American Dictionary) には、以下のように出ています。
bad [adverb] (spoken, nonstandard) : badly
例)He needed a drink pretty bad.
つまり「(話し言葉、非標準的)悪く・ひどく」。例文は「彼はひどく飲み物を欲しがった」。
この例文の badly はもはや「悪」の意味はなく、very much のような強調の意味で使われています。
ロングマンに nonstandard 「非標準的(用法)」と記載されていることがポイントでしょう。
badly という副詞が存在する以上、そちらを使う方が標準的であり、bad を badly の意味の副詞で使うのはやはり非標準的ということですが、口語では、形容詞 real を really の意味の副詞として使うことも多いので、-ly がないという見た目の形だけにとらわれず、文の構成や全体の意味から、形容詞なのか副詞なのかを見極める目を養いたいところです。
レノのセリフは I don't mean that badly. 「それを悪いように[悪い意図で、悪意を持って]言っているのではない」ということで、別に悪口ではないんですよ、という弁解です。
セクシーな作品の作家としてセクシーな部分が強調されているので、「女」ではない「母親」というイメージが浮かばないということでしょう。
fabulous は「素晴らしい、素敵な」。イギリス・リバプール出身のビートルズ(The Beatles)には、FAB4(ファブフォー)という愛称がありますが、これは Fabulous four 「素晴らしい4人組」の略です。
buy someone something で「人に物を買ってやる」。
And then he burst into flames. について。
burst は「バースト」というカタカナにもなっていますが、「破裂する、爆発する」。
そして burst into ... は「突然…の状態になる」という意味で使われます。
burst into laughter. なら「突然(どっと)笑い出す」。
flame は「炎」なので、burst into flames は「炎を出して急に・ぱっと燃え上がる」。
burst は過去形も burst で、bursts のように3単現の -s がついていないことから、この burst into flames は過去形であることがわかります。
ですからこのセリフを直訳すると、「(母は息子に最初のコンドームを買い与え)そしてそれからその息子は、ぱっと燃え上がった」ということになります。
「過去形」なので、ノーラが買い与えた話をテレビで聞いた後の、今の自分のことを言っているのではなく、買い与えられた当時のことを言っていると考えられるでしょう。
その「燃え上がった」の意味については、正直よくわかりません。
「体がカーッと燃え上がった」ということなので、「(体が火照る感じで? もしくは本能に火がついた感じで?)性に目覚めた」ということか、「顔が熱くなるほど、恥ずかしさで顔が真っ赤になった」ということかのどちらかかなぁ、と。
チャンドラーはジョーイと違い、プレイボーイやモテ男のキャラではないので、それを親に堂々と買ってもらったからと言って、あちこちでそれを使うチャンスがあったようにも思えません(チャン、ごめん)。
ならば「恥ずかしくて真っ赤になり顔から火が出た」ということかなとも思うのですが、それだとオチとしてそんなに大爆笑でもない気がするんですよね、、、
「恥ずかしさで顔が真っ赤になる」という表現としては他に、blush with shame(blush は「顔を赤らめる、顔が赤くなる」という自動詞)や、turn red with embarrassment などが考えられますが、このセリフが(意味が同じの)And then he blushed with shame. だったら、それはオチとして面白いだろうか? と。
ノーラとしては「私は良い母親で、性教育の一環としてコンドームまで買ってあげた」ということだったのですが、それが逆に作用して、「エッチなことで頭がいっぱい、みたいな状態になるよう火をつけてしまった、焚きつけてしまった」という結果になった(つまりは逆効果だった)、という方が話のオチとしては面白いのではないかな、と思ったということです。
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2020年08月22日
2020年08月08日
誇りで幸せそうに微笑む フレンズ1-11改その4
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3:31
[Rachel opens the door to Paolo]
レイチェルがパウロのためにドアを開ける。
パウロ: Bona sera. (ボナセーラ。)
レイチェル: Oh, hi, sweetie! [They kiss] (あぁ、はーい、スウィーティ! [二人はキスする])
ロス: When did "Rigatoni" get back from Rome? (リガトーニはいつローマから帰ってきたの?)
モニカ: Last night. (昨日の夜よ。)
ロス: Really? So then his plane didn't explode in a big ball of fire? Just a dream I had. But... phew. (ほんとに? それじゃあ、彼の乗った飛行機が大きな火の玉になって爆発しなかったの? 僕が見たただの夢か。でも……フュー(ほっとしたよ)。)
フィービー: Hey hey hey! She's on! (ねえねえねえ! 彼女が出るわ!)
パウロ: Ah! Nora Bing! (あー! ノーラ・ビング!)
ジェイ・レノ(テレビ): ...Now what is this about you-you being arrested in London? What is that all about? (…ロンドンであなたが逮捕されたということについてのこの件はどうですか? それはどういうことなんですか?)
フィービー: Your mom was arrested? (あなたのママ、逮捕されたの?)
チャンドラー: Shhh, busy beaming with pride. (シー、誇らしくて微笑むのに忙しいんだから(黙ってて)。)
ミセス・ビング(テレビ): This is kind of embarrassing, but occasionally after I've been intimate with a man.... (これはちょっと恥ずかしいんだけど、男性と親密な関係になった後に時々…)
チャンドラー: Now why would she say that's embarrassing? (あの人はどうしてそんなことが恥ずかしいって言うんだ?)
みんな: Shhh. (シー。)
ミセス・ビング: ...I just get this craving for Kung Pao chicken. (ただ、クンパオチキンがものすごく食べたくなるの。)
チャンドラー: That's too much information! (それは余計な情報だ!)
パウロがやってきて、レイチェルと長いキスをしています。
rigatoni は「リガトーニ」という名前の、表面に溝のついた、太くて短い筒型のパスタ。
レイチェルのことが好きなロスは、レイチェルの恋人のパウロを「あのイタリア野郎」と呼ぶ代わりに、「パスタ野郎」というニュアンスで「あのリガトーニ」と呼んでいることになります。
explode in a big ball of fire は「大きな火の玉になって爆発する」。
「パウロの飛行機は爆発しなかったのか。ただ僕が夢で見ただけか」のように言った後、But... phew. と言っています。
phew は「ヒュー」という音の通り、ホッとした時になどに出る声。
LAAD (Longman Advanced American Dictionary) では、
phew [interjection] said when you feel tired, hot, or relieved
例)Phew! I am so glad it's Friday.
つまり「(間投詞)疲れた時、熱い時、ほっとした時に言われる」。例文は「フュー! 今日が金曜日で嬉しい」。
今回のロスの phew も「フュー、ほっとした」という意味で使っていると思います。
いくら恋敵のパウロでも「飛行機が爆発したら(そして死んだら)良かったのに」と口に出しては言えないでしょうから、「彼の乗った飛行機が爆発する夢を見たんだけど、ただの夢だったみたいでホッとしたよ」と言葉では言ってみせた、ということでしょう。
ノーラ・ビングがテレビに出てきた時、パウロはそれを指して、彼女の名前を叫んでいます。
フレンズ1-7 でパウロが初登場した時、ボードゲームのモノポリーを見て、”Monopoly!” と叫んでいたのと同じノリです。
エッチな小説家だからパウロも知っていた、プレイボーイのパウロが知っているぐらいだから官能小説家として彼女はかなり有名なんだな、ということがここからもわかります。
arrest は「(人)を逮捕する」なので、be arrested は「逮捕される」。
beam with pride は「誇りで幸せそうに微笑む、誇らしくて微笑む」。
beam は日本語にもなっている「ビーム、光線」ですが、そこから「(顔・表情の)輝き」という意味にもなり、動詞 beam は「(喜びで)微笑む」という意味にもなります。
LAAD では、
beam [intransitive] to smile very happily
例)He looked at his son and beamed proudly.
例)Meg beamed with pleasure.
つまり「(自動詞)とても幸せそうに微笑むこと」。例文は「彼は自分の息子を見て、誇らしげに微笑んだ」「メグは喜びで微笑んだ」。
ママがロンドンで逮捕されたなんて「恥ずかしい、みっともない」となるところを、「誇らしくて微笑んじゃうのに忙しい」と正反対のことを言っています。
実際のチャンドラーの顔にも全く笑顔はなく、難しい顔をしているので、実際とは全く逆のことを言っていることがわかります。
Shh, (I'm) busy beaming with pride. 「シー、俺は今〜するのに忙しいんだから」と表現することで「俺にそんなことで話しかけないでくれ、いちいちそんなこと言わないでくれ」と言っていることになるでしょう。
embarrassing は「恥ずかしい、気恥ずかしい、きまりが悪い、ばつの悪い」。
intimate は「親密な」という意味ですが、たいていは男女関係の親密さ、深い関係があること、肉体関係を示唆する言葉です。
この場合も「ある男性と親密になる」というのは「深い関係になる」「エッチする」という意味。
息子としてはそんな話をフレンズのみんなに聞かせたくないのでしょう、それで「何でそんなことが恥ずかしいとか言ってるんだ?」と口を挟むのですが、ノーラの話に興味津々のフレンズたちに今後はチャンドラーの方がシーと言われてしまいます。
crave for は「〜を渇望する、切望する、しきりに欲しがる」。
Kung Pao chicken は「クン・パオ・チキン(宮保鶏丁)」。鶏肉とピーナッツ(またはカシューナッツ)他を唐辛子で炒めた四川料理。
Wikipedia 日本語版: 宮保鶏丁
ウィキペディアの説明に以下の記述があります。
「丁」は中国語で「さいの目に切った」と言う意味である。さいの目に切った鶏肉、キュウリにピーナッツ、鷹の爪を加え炒める。
その「クンパオチキン」の話を聞いた後のチャンドラーの反応、That's too much information! について。
「それは多すぎる情報だ!」というところで「そんなことまで言わなくていい」ということでしょう。
この部分については、過去記事でもいろいろ意見交換させていただいたのですが、「これだ!」と一つに決まる解釈はまだ見つけられていません。
以下に、今の私の見解をいくつか書かせていただきます。
レノの質問は「ノーラがロンドンで逮捕された件」についてだったので、ノーラの答えは「ロンドンで逮捕された理由」を語っていると考えるのが自然かなとまずは考えました。
官能小説作家ですから、性的な事柄である可能性が高いので「クンパオチキン」が何か性的なもの(体の一部など)を指しているのかな、とも思ったのですが、先ほど説明したように「さいの目に切った鶏肉」で、あまり「部位」っぽい形でもありません。
また、ノーラの発言 occasionally after I've been intimate with a man... I just get this craving for Kung Pao chicken. を言葉通り解釈すると、「男性とエッチした後には時々、クンパオチキンがものすごく食べたくなる」ということ。
相手と intimate な関係になった「後」なので、やはりそれは「エッチの後に私はこういうものが食べたくなっちゃうの」という「食べ物」の話をしていると考えるべきなんだろうと思います。
ただ「クンパオチキン」と言う時のノーラの発音がセクシーな物・ことを言うようなトーンであることと、(too much information の後ではなく)「クンパオチキン」と言った直後に観客がどっと笑っているようであることを考えると、「クンパオチキン」という言葉そのものに何らかの意味があるという可能性も残っている気はします。
(ただ、これ以降は、あくまで「食べ物、料理の名前」という観点で話を進めます。)
このクンパオチキンの話が直接「逮捕された話」と結びつくとすると、「中華料理店で(人目もはばからず公然わいせつと判断されるような状況で)エッチしていた」ということを示唆しているのかなぁ、と。
この番組では「ロンドンで逮捕されたこと」と尋ねていますが、ここで質問されているということは「どこで何をしていて逮捕されたか」ということがニュースとしてある程度、人々に伝わっていると考えられるのではないかと。
その部分の状況説明を省略して、「なぜ中華料理店にいたか」ということだけを説明したのが、このノーラのセリフなのかなぁ、と。
「男性と親密になるとクンパオチキンが食べたくなる。それで中華料理店に行ったけれど、またその場所でエッチの続きをしてしまって、、、」みたいなこととか。
お店でエッチするのは大胆すぎる感じもしますが、今回のエピソードのもう少し後のシーンでも、店で男性といいムードになるとそのまま行為に進んでしまいそうな感じの人だとわかる場面がありますので、(考えすぎかもしれませんが)それの伏線だったのかも、とか。
息子であるチャンドラーの That's too much information! については「それは余計な情報だ! そんなことまで言わなくていい!」的なものだと思われます。
テレビで「男性とエッチした」という話をするのもやめてほしいのに、「そういう時にはこんなものが食べたくなるの」と具体的な料理名まで出されては、人にそれを知られるのも嫌だし、自分もそれ以降、その料理を見た時にそんなことを思い出してしまうし。
またはノーラがクンパオチキンを食べているのを見たら、その前にエッチしたばかりだと自分を含めみんなにわかってしまう、等々で「そんな具体的なことまでペラペラしゃべるな!」という気持ちの発言だったのかな、と思います。
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レイチェルがパウロのためにドアを開ける。
パウロ: Bona sera. (ボナセーラ。)
レイチェル: Oh, hi, sweetie! [They kiss] (あぁ、はーい、スウィーティ! [二人はキスする])
ロス: When did "Rigatoni" get back from Rome? (リガトーニはいつローマから帰ってきたの?)
モニカ: Last night. (昨日の夜よ。)
ロス: Really? So then his plane didn't explode in a big ball of fire? Just a dream I had. But... phew. (ほんとに? それじゃあ、彼の乗った飛行機が大きな火の玉になって爆発しなかったの? 僕が見たただの夢か。でも……フュー(ほっとしたよ)。)
フィービー: Hey hey hey! She's on! (ねえねえねえ! 彼女が出るわ!)
パウロ: Ah! Nora Bing! (あー! ノーラ・ビング!)
ジェイ・レノ(テレビ): ...Now what is this about you-you being arrested in London? What is that all about? (…ロンドンであなたが逮捕されたということについてのこの件はどうですか? それはどういうことなんですか?)
フィービー: Your mom was arrested? (あなたのママ、逮捕されたの?)
チャンドラー: Shhh, busy beaming with pride. (シー、誇らしくて微笑むのに忙しいんだから(黙ってて)。)
ミセス・ビング(テレビ): This is kind of embarrassing, but occasionally after I've been intimate with a man.... (これはちょっと恥ずかしいんだけど、男性と親密な関係になった後に時々…)
チャンドラー: Now why would she say that's embarrassing? (あの人はどうしてそんなことが恥ずかしいって言うんだ?)
みんな: Shhh. (シー。)
ミセス・ビング: ...I just get this craving for Kung Pao chicken. (ただ、クンパオチキンがものすごく食べたくなるの。)
チャンドラー: That's too much information! (それは余計な情報だ!)
パウロがやってきて、レイチェルと長いキスをしています。
rigatoni は「リガトーニ」という名前の、表面に溝のついた、太くて短い筒型のパスタ。
レイチェルのことが好きなロスは、レイチェルの恋人のパウロを「あのイタリア野郎」と呼ぶ代わりに、「パスタ野郎」というニュアンスで「あのリガトーニ」と呼んでいることになります。
explode in a big ball of fire は「大きな火の玉になって爆発する」。
「パウロの飛行機は爆発しなかったのか。ただ僕が夢で見ただけか」のように言った後、But... phew. と言っています。
phew は「ヒュー」という音の通り、ホッとした時になどに出る声。
LAAD (Longman Advanced American Dictionary) では、
phew [interjection] said when you feel tired, hot, or relieved
例)Phew! I am so glad it's Friday.
つまり「(間投詞)疲れた時、熱い時、ほっとした時に言われる」。例文は「フュー! 今日が金曜日で嬉しい」。
今回のロスの phew も「フュー、ほっとした」という意味で使っていると思います。
いくら恋敵のパウロでも「飛行機が爆発したら(そして死んだら)良かったのに」と口に出しては言えないでしょうから、「彼の乗った飛行機が爆発する夢を見たんだけど、ただの夢だったみたいでホッとしたよ」と言葉では言ってみせた、ということでしょう。
ノーラ・ビングがテレビに出てきた時、パウロはそれを指して、彼女の名前を叫んでいます。
フレンズ1-7 でパウロが初登場した時、ボードゲームのモノポリーを見て、”Monopoly!” と叫んでいたのと同じノリです。
エッチな小説家だからパウロも知っていた、プレイボーイのパウロが知っているぐらいだから官能小説家として彼女はかなり有名なんだな、ということがここからもわかります。
arrest は「(人)を逮捕する」なので、be arrested は「逮捕される」。
beam with pride は「誇りで幸せそうに微笑む、誇らしくて微笑む」。
beam は日本語にもなっている「ビーム、光線」ですが、そこから「(顔・表情の)輝き」という意味にもなり、動詞 beam は「(喜びで)微笑む」という意味にもなります。
LAAD では、
beam [intransitive] to smile very happily
例)He looked at his son and beamed proudly.
例)Meg beamed with pleasure.
つまり「(自動詞)とても幸せそうに微笑むこと」。例文は「彼は自分の息子を見て、誇らしげに微笑んだ」「メグは喜びで微笑んだ」。
ママがロンドンで逮捕されたなんて「恥ずかしい、みっともない」となるところを、「誇らしくて微笑んじゃうのに忙しい」と正反対のことを言っています。
実際のチャンドラーの顔にも全く笑顔はなく、難しい顔をしているので、実際とは全く逆のことを言っていることがわかります。
Shh, (I'm) busy beaming with pride. 「シー、俺は今〜するのに忙しいんだから」と表現することで「俺にそんなことで話しかけないでくれ、いちいちそんなこと言わないでくれ」と言っていることになるでしょう。
embarrassing は「恥ずかしい、気恥ずかしい、きまりが悪い、ばつの悪い」。
intimate は「親密な」という意味ですが、たいていは男女関係の親密さ、深い関係があること、肉体関係を示唆する言葉です。
この場合も「ある男性と親密になる」というのは「深い関係になる」「エッチする」という意味。
息子としてはそんな話をフレンズのみんなに聞かせたくないのでしょう、それで「何でそんなことが恥ずかしいとか言ってるんだ?」と口を挟むのですが、ノーラの話に興味津々のフレンズたちに今後はチャンドラーの方がシーと言われてしまいます。
crave for は「〜を渇望する、切望する、しきりに欲しがる」。
Kung Pao chicken は「クン・パオ・チキン(宮保鶏丁)」。鶏肉とピーナッツ(またはカシューナッツ)他を唐辛子で炒めた四川料理。
Wikipedia 日本語版: 宮保鶏丁
ウィキペディアの説明に以下の記述があります。
「丁」は中国語で「さいの目に切った」と言う意味である。さいの目に切った鶏肉、キュウリにピーナッツ、鷹の爪を加え炒める。
その「クンパオチキン」の話を聞いた後のチャンドラーの反応、That's too much information! について。
「それは多すぎる情報だ!」というところで「そんなことまで言わなくていい」ということでしょう。
この部分については、過去記事でもいろいろ意見交換させていただいたのですが、「これだ!」と一つに決まる解釈はまだ見つけられていません。
以下に、今の私の見解をいくつか書かせていただきます。
レノの質問は「ノーラがロンドンで逮捕された件」についてだったので、ノーラの答えは「ロンドンで逮捕された理由」を語っていると考えるのが自然かなとまずは考えました。
官能小説作家ですから、性的な事柄である可能性が高いので「クンパオチキン」が何か性的なもの(体の一部など)を指しているのかな、とも思ったのですが、先ほど説明したように「さいの目に切った鶏肉」で、あまり「部位」っぽい形でもありません。
また、ノーラの発言 occasionally after I've been intimate with a man... I just get this craving for Kung Pao chicken. を言葉通り解釈すると、「男性とエッチした後には時々、クンパオチキンがものすごく食べたくなる」ということ。
相手と intimate な関係になった「後」なので、やはりそれは「エッチの後に私はこういうものが食べたくなっちゃうの」という「食べ物」の話をしていると考えるべきなんだろうと思います。
ただ「クンパオチキン」と言う時のノーラの発音がセクシーな物・ことを言うようなトーンであることと、(too much information の後ではなく)「クンパオチキン」と言った直後に観客がどっと笑っているようであることを考えると、「クンパオチキン」という言葉そのものに何らかの意味があるという可能性も残っている気はします。
(ただ、これ以降は、あくまで「食べ物、料理の名前」という観点で話を進めます。)
このクンパオチキンの話が直接「逮捕された話」と結びつくとすると、「中華料理店で(人目もはばからず公然わいせつと判断されるような状況で)エッチしていた」ということを示唆しているのかなぁ、と。
この番組では「ロンドンで逮捕されたこと」と尋ねていますが、ここで質問されているということは「どこで何をしていて逮捕されたか」ということがニュースとしてある程度、人々に伝わっていると考えられるのではないかと。
その部分の状況説明を省略して、「なぜ中華料理店にいたか」ということだけを説明したのが、このノーラのセリフなのかなぁ、と。
「男性と親密になるとクンパオチキンが食べたくなる。それで中華料理店に行ったけれど、またその場所でエッチの続きをしてしまって、、、」みたいなこととか。
お店でエッチするのは大胆すぎる感じもしますが、今回のエピソードのもう少し後のシーンでも、店で男性といいムードになるとそのまま行為に進んでしまいそうな感じの人だとわかる場面がありますので、(考えすぎかもしれませんが)それの伏線だったのかも、とか。
息子であるチャンドラーの That's too much information! については「それは余計な情報だ! そんなことまで言わなくていい!」的なものだと思われます。
テレビで「男性とエッチした」という話をするのもやめてほしいのに、「そういう時にはこんなものが食べたくなるの」と具体的な料理名まで出されては、人にそれを知られるのも嫌だし、自分もそれ以降、その料理を見た時にそんなことを思い出してしまうし。
またはノーラがクンパオチキンを食べているのを見たら、その前にエッチしたばかりだと自分を含めみんなにわかってしまう、等々で「そんな具体的なことまでペラペラしゃべるな!」という気持ちの発言だったのかな、と思います。
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