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7:33
[Cut to Mrs. Bing on the telephone]
電話中のミセス・ビング(ノーラ)に画面がカットする。
ノーラ: Yeah, any messages for room 226? (えぇ、226号室へ何か伝言は入ってない?)
[Ross emerges from a toilet marked 'Chicas']
ロスは Chicas (スペイン語で「女の子」の意味)のマークがあるトイレから出てくる。
ノーラ: You okay there, slugger? (大丈夫、スラッガー?)
ロス: Oh, yeah. I'm fine, I'm fine. [A woman emerges from the toilet behind him and he tries to pretend he was in the other one] (あぁ、はい。僕は大丈夫、大丈夫です。[彼の後ろのトイレから女性が出てきたので、ロスは別のトイレから出てきたようなふりをする])
ノーラ: What is with you tonight? (あなた、今夜はどうしたの?)
ロス: Nothing. Nothing, nothing, nothing. (何も。何も、何も何もないです。)
ノーラ: [To phone] Okay, thank you. [To Ross] It's the Italian hand-licker, isn't it? ([電話に] えぇ、ありがとう。[ロスに] イタリアの手舐め男のせいでしょ?)
ロス: No. It's the one he's licking. (いいえ。彼が舐めてる方(のせい)です。)
ノーラ: She's supposed to be with you. (彼女はあなたと一緒にいる[付き合う]ことになるわ。)
ロス: You're good. (優しいですね。)
ノーラ: Oh, Ross, listen to me. I have sold 100 million copies of my books, and y'know why? (まぁ、ロス、聞いて。私はこれまでに自分の本を1億部も売ってきたの、なぜだかわかる?)
ロス: The girl on the cover with her nipples showing? (乳首を見せてる表紙の女の子(のおかげ)?)
ノーラ: No, because I know how to write men that women fall in love with. Believe me, I cannot sell a Paolo. People will not turn 325 for a Paolo. C'mon, the guy's a secondary character, just a... y'know, complication you eventually kill off. (いいえ、それは女性が恋に落ちるような男性の描き方を私が知ってるからよ。信じて、私はパウロを売り込むことなんかできないわ。パウロみたいな男のために人は325ページもめくらない[読まない]もの。ねぇ、あの男は脇役のキャラクターよ、ただ、ほら、最後には殺して退場させるような、(話を)複雑化するためだけの(要素)ね。)
ロス: When? ((殺されるのは)いつですか?)
ノーラ: He's not a hero. You know who our hero is? (彼はヒーローじゃないわ。私たちのヒーローが誰だか知ってる?)
ロス: The guy on the cover with his nipples showing? (乳首を見せてる表紙の男?)
ノーラ: No, it's you. (いいえ、あなたよ。)
ロス: Please. (やめてくださいよ。)
ノーラ: No, really. Come on. You're smart. You're sexy. (いいえ、ほんとに。ねぇ。あなたは頭がいいし。あなたはセクシーだし。)
ロス: Right. (そうですよねぇ。)
ノーラ: Come on, kiddo. You're gonna be fine, believe me. (よしてよ、坊や。あなたは大丈夫よ、信じて。)
[She kisses him on the cheek]
ノーラはロスの頬にキスをする。
ロス: Uh-oh... (あ、あぁ…)
[...Then full on the mouth]
…それから、口でキスをする。
[Enter Joey]
ジョーイ登場。
ジョーイ: Uhhhh.... I'll just pee in the street. (あぁぁぁ… 俺、通りでおしっこしてくるわ。)
[Commercial]
コマーシャル
slugger は日本でも野球で「スラッガー」と使われる通り「野球の強打者」という意味。またボクシングでハードなパンチを繰り出す強打者のことも指します。
動詞 slug が「ボールを強打する、人を(握った拳で)強打する」という意味があることから来ています。
ここでは、野球やボクシングは関係ないものの、「強打する男」→「強い男」のイメージでそう呼び掛けたのでしょう。
その後、ロスの出てきたトイレから女性が出てきたので、ロスはあわあわしています。
トイレの扉に書いてある文字 Chicas はスペイン語で「女の子」の意味。
ベロベロに酔っぱらっているロスがトイレの男女を間違えたのは、メキシコ料理店だからスペイン語で書かれていたことも一つの原因なのでしょう。
It's the Italian hand-licker, isn't it? は「イタリア人の手舐め男のことでしょ、手舐め男のせいでしょ?」。
ここでの It's ... は「問題の焦点・ポイントは…である」という感覚。
「(今こんな状況・状態であるのは)…が原因だ」と訳してもよいでしょう。
「それって…よね、…でしょ」のように漠然と表現しても、そのニュアンスは出る気はします。
ノーラはパウロを the Italian hand-licker 「イタリア(人)の手舐め男」と表現しています。
少し前のシーンで、レイチェルがパウロに何かを食べさせた時に、レイチェルの手も舐めていたことを言っているわけですが、ロスがパウロを嫌いなことを知っていて、また、ノーラ自身もパウロをあまり良く思っていないことがわかる言い回しだと思います。
ロスの返事 It's the one he's licking. は、licker(パウロ)が原因・問題じゃなくて、彼が舐められてる対象の方が問題なんです、パウロのことはどうでもよくて、僕が気にしているのはレイチェルの方なんです、ということ。
パウロが何をしようと興味はないが、レイチェルが男に手を舐められているのがいやなんです、ということになるでしょう。
I have sold 100 million copies of my books, and y'know why? について。
日本語で「コピー」というと、「複写、転写、写し」のニュアンスが強いですが、本や雑誌を何部という場合には、このように copy という単語を使います。
I have sold 100 million copies of my books. を直訳すると、「私は私の本を1億部(これまでに)売ってきた」ということで、現在に至るまでそれだけ売れた、ということを表す現在完了形です。ノーラは今でも作家を続けているので今後も本は売れ続けるでしょうから、「今までのところはこれだけ売れた」という感覚から、現在完了形を使うことになります。
ロスは本が売れている理由を、The girl (on the cover with...) だと言っています。
with her nipples showing は「乳首を見せた状態で」ということ。
何とも露骨な表現ですが、表紙に裸かそれに近い姿の女性が描かれていて、その表紙につられてみんな買うんでしょ? みたいなジョークです。
sell は「売る」なので、「売り込む、価値を納得させる、(人に〜を)良いと思わせる」。
turn (over) the pages は「ページをめくる」なので、People will not turn 325 for a Paolo. は「パウロみたいな男のために、読者は 325ページものページをめくりはしない」、つまり「325ページも読まない」。
固有名詞に a をつけた形の a Paolo で「パウロのような男、パウロのようなタイプの男」という意味になります。
「ああいうタイプの男を主役にしたら、誰も本を最後まで読み通してくれないわ。つまらなくなって途中で読むのをやめちゃうわ」ということで、パウロは男性としてそれほど魅力的ではないことを、恋愛小説家らしく説明したことになるでしょう。
secondary character は「二次的な役、脇役、サブキャラ」。
complication は「複雑(化)、紛糾、やっかいな問題」なので、just a complication は「物語や筋書きを複雑にするためにいるだけの存在」というニュアンスでしょう。
メインキャラクターだけでは話が単調になるので、そういう脇役を登場させれば、話が複雑になり、いろんなドラマを生む効果がある、という感じです。
eventually は「最終的には、結局は、最後には、いずれは」。
kill off は「全滅、絶滅させる」という意味で使われることが多いですが、この場合は、「殺して(小説の筋書きから)退場させる」というニュアンスだと思われます。
「殺されるってそれはいつ?」「じゃあそのサブキャラのパウロはいつ殺される予定なんですか?」という意味で、即座に When? と尋ねるロスが面白いです。
最初に You know why? と尋ねたのと同じ感覚で、今度は、You know who our hero is? と尋ねるノーラ。
それに対して、girl を guy に変えただけの「同じセリフの男バージョン」になっているのが楽しいです。
ヒーローは表紙の裸の男でしょ、と、またエッチな表紙が読者を引き付けるんだ、という話を言っていることになります。
The girl on the cover with... というセリフがあった後、しばらく経ってから、また、The guy on the cover with... という同じパターンのセリフが出てきた時に、英語で聞いて「またその話かい!」とクスッと笑えるようになるといいですね。
ロスの Please. は「やめて下さいよ。そんな気休めや励ましを言うのはよして下さいよ」という感覚。
「僕が恋愛小説のヒーローになれるなんて…」と、ノーラの言葉をただの社交辞令だと思っている様子が伺えます。
「あなたはセクシーだし」と言われた後のロスの Right. も言葉としては「そうですね」という肯定ですが、本音は「またそんなこと(気休めを)言って」という否定の気持ち。
kiddo は、子供や年下の人物への親しい呼び掛け語で、あなたよりずっと年上の私には、本当の男性の魅力がわかるのよ、と言いたげな感じが出ている気がします。
ロスを励ますように頬にキスしたノーラですが、その後、二人は口でキスしてしまいます。
ちょうどそこにトイレしにきたジョーイが現われて、大変なものを目撃してしまったとばかりに「(ここのトイレじゃなく)通りでおしっこしてくるわ」と言って去っていくのも笑えます。
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2020年10月24日
2020年10月20日
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今日10月20日発売の、映画、DVD&ブルーレイソフトの情報誌「DVD&動画配信でーた」11月号に掲載されました!
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今月号の特集は「海外ドラマの30年」。
「目利きライターが選ぶ 海外ドラマ30年 何でも BEST3」という見開きのコーナーで、「海外ドラマ通のライター10人」の一人として、「英会話の勉強に使える作品」のタイトルでコメントを書かせていただきました(掲載されているのは p.27)
海外ドラマ通の有名な方々と共に掲載していただけたこと、大変光栄で嬉しいです!
自分がおすすめしている「フレンズ」の写真と共に掲載されていることはもちろん嬉しいのですが、それ以外に、岸川靖さんが「スター・トレック」のおすすめ作品を挙げられていて、私の大好きな「新スター・トレック」(TNG : The Next Generation)のメインキャストの写真と同じページに自分の名前が載っているのが Trekkie の私としてはさらに嬉しい♪(ピカード艦長! データ少佐!)
TNG も DVDコンプリートボックスを持っていて、「フレンズ」と同じように英語学習教材として使いました。
岸川さんがトップに挙げられている「超時空惑星カターン」は私もお気に入りのエピソードです(^^)
今月号では「海外ドラマの30年」として古今さまざまな作品が紹介されているので、海外ドラマ好きの方はぜひご覧下さい。
Rach からの嬉しいお知らせでした♪
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2020年10月04日
Aから始めてBを放り込んだらCの出来上がり! フレンズ1-11改その7
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6:30
ノーラ: Well, I think we're ready for some tequila. (そうね、私たち、テキーラを飲みたい気分になってるかと思うんだけど。)
チャンドラー: I know I am. (俺は飲みたいね。)
ノーラ: Who's doing shots? (ショット(用の一口グラス)で飲みたい人は誰?)
モニカ: Yeah. Hit me. (ええ。(私の分を)もう一杯(追加で)。)
フィービー: I'm in. (私も乗った。)
ノーラ: There you go. Ross? (そうね。ロスは?)
ロス: Uh, I'm not really a shot-drinking kinda guy. (あー。僕はテキーラのようなキツい酒をショットグラスで飲むようなタイプの人間じゃないんですよ。)
[Enter Rachel and Paolo. They are both somewhat flustered]
レイチェルとパウロが入ってくる。二人はいくぶんあわてている。
レイチェル: Hi! Sorry- sorry we're late, we, uh, kinda just, y'know, lost track of time. (はーい! ごめんなさい、遅れちゃって。私たち、その、ほら、時間が経つのを忘れちゃって。)
ロス: But a man can change. [Downs a shot] (でも、男は変われるんだ。[ショットを飲み干す])
[Time lapse. Ross is now clearly drunk. He is holding up a shot glass to his eye like a jeweller's eye]
時間が経過。今ロスは完全に酔っぱらっている。彼は宝石鑑定師の目のように自分の目のところにショットグラスを掲げている。
ロス: Anyone want me to appraise anything? (僕に何かを鑑定してほしい人はいるかな?)
[Rachel feeds something to Paolo. He eats it and licks her hand]
レイチェルは何かをパウロに食べさせる。彼はそれを食べ、彼女の手を舐める。
レイチェル: Mrs. Bing, I have to tell you. I have read everything you've ever written. No, I mean it! I mean, when I read Euphoria at Midnight, all I wanted to do was become a writer. (ビングさん、こう言わせて下さい。あなたがこれまでに書いたものを私は全部読みました。いいえ、ほんとの話なんです。私は「真夜中の絶頂」を読んだ時、ただ作家になりたいと思ったんです。)
ノーラ: Oh, please, honey. Listen, if I can do it, anybody can. You just start with half a dozen European cities, throw in 30 euphemisms for male genitalia, and bam! You have got yourself a book! (あぁ、(そんなに褒め過ぎるのは)よして、ハニー。ねぇ、もし私ができるなら、誰にでもできるわ。ただ半ダース(6個)のヨーロッパの都市から始めて、そこに男性器の30個の婉曲表現を放り込んだら、バン![あっという間に] 1冊の本の出来上がりよ!)
チャンドラー: My mother, ladies and gentlemen! ((これが)私の母です、(紳士淑女の)皆さん!)
shot は「酒の一口、一杯」。
Hit me. はこのようにお酒の席で言うと「もう一杯」(Give me another drink.)という意味になります。
I’m not really a shot-drinking kind of guy. は「テキーラのようなキツい酒をショットグラスで飲むようなタイプの人間じゃない」。
ノーラがその前に、テキーラ(tequila)という酒の具体的な名前を出していますので、それに対する返事です。
shot glass は「度数の強い酒(テキーラ・ウォッカなど)を飲むための一口用の小さなグラス」のこと。
レイチェルとパウロが遅れて登場します。
lose track of time 「時間が経つのを忘れる」。lose track of は「〜を忘れる、〜の跡を見失う」。
LAAD (Longman Advanced American Dictionary) には以下の例文が出ています。
It's easy to lose track of time (= forget to check the time) when you're working hard.
lose track of time = forget to check the time 「時間をチェックするのを忘れる」と説明されていますので、この例文の意味は「一生懸命働いている時は、時が経つのを忘れやすい・忘れがちである」となります。
恋人同士の二人が「時間が経つのも忘れちゃって」と言えば、エッチに夢中だったということになりますから、レイチェルのことが好きなロスはそんな話を聞いて冷静でいられるはずもなく、「さっきはショットなんか飲めないって言ったけど、男は変われるから」と言って、ショットグラスをぐっと飲み干すことになります。
appraise は「鑑定する、査定する、評価する」。
ここでのロスは、テキーラのショットグラスを宝石などの鑑定人が使うルーペのように持ち、鑑定人(appraiser)の真似をしています。
「私に何か鑑定してほしい人はいますか?」「何か鑑定いたしましょうか?」というニュアンス。
この様子から、ロスはテキーラをやけ飲みしてすっかり酔っぱらっていることがわかるわけです。
mean は「〜のつもりで言う、本気で言う」という意味なので、No, I mean it! は「いいえ、(お世辞や社交辞令じゃなくて)ほんとの話なんです。本心からそう言っているんです」ということ。
euphoria は「幸福(感)、陶酔、絶頂(感)」。
LAAD では、
euphoria : a feeling of extreme happiness and excitement
つまり「極度の幸福と興奮の感情」。
ノーラが官能小説の作家であることを考えると、本のタイトル Euphoria at Midnight は「真夜中の絶頂」と訳せばそれっぽい感じに聞こえるでしょう。
「あなたの本は全部読んだ。私も作家になりたいと思った」と熱く語るレイチェルに、ノーラは「私ができるなら、誰にだってできるわ」と言った後、You just start with... の長めのセリフを言っています。
half a dozen は「半ダース、6つ」。
throw in は「投げ込む、投入する」。
euphemism は「婉曲表現、婉曲語句」。
LAAD では、
euphemism : a polite word or expression that you use instead of a more direct one, to avoid shocking or upsetting someone
例)"Pass away" is a euphemism for "die."
つまり「より直接的な単語・表現の代わりに使う、丁寧・上品な単語・表現、人にショックを与えたり、動揺させたりするのを避けるために」。
例文は「pass away は die の婉曲表現だ」。
genitalia は「性器、生殖器」なので、male genitalia は「男性器」。
bam は音の通り「バン」という衝撃音を表す言葉で、and bam! は「そしたらすぐに、あっと言う間に」というニュアンスになります。
LAAD では、
bam : used to say that something happens quickly
例)Just turn it on, and bam, you're ready to go.
つまり「何かがすぐに起こるということを言う時に使われる」。例文は「ただスイッチを入れたら、そしたらすぐに、行く準備が整います」。
and bam! を使った表現は、過去記事、ちょっとした巧みな動きで フレンズ1-5改その1 の以下のセリフにも出てきました。
ロス: Ok, you just reach in there, there's one little maneuver, and bam! A bra. Right out the sleeve. (ほら、君ら女性は、そこに手を入れて、ちょっとした巧みな動き(操作)で、バン![あっという間に] ブラが、袖から出てくる。)
You have got yourself a book. を直訳すると「あなたがあなた自身に1冊の本を手に入れてあげられる」→「あなたは1冊の本を手に入れる(You have got a book)、あなたに1冊の本が出来てしまう」という感覚。
官能小説の書き方指南として、「おしゃれな感じでヨーロッパの都市を6個ほど出しておいて、男性器を様々な遠回し表現を使って散りばめといたら、それで官能小説が1冊出来上がっちゃうわよ」と言ったことになり、「ストーリーや筋書きなんてそんなに考えなくてもいい」みたいに言った感じが出ています。
また、30個という数が出ていますが、婉曲表現とは言え、要はそれだけの数(もしくはそれ以上)の男性器が話の中に出てくるということですから、性的な場面だらけだということも想像できます。
このノーラのセリフをシンプルな形にすると、You start with A, throw in B, and bam! You have got yourself C! で「Aで始めて、(それに)Bを放り込んだら、Cが手に入る![Cの完成・出来上がり!]」という意味になるわけですが、
(今回のお話より、先のエピソードになってしまいますが)フレンズ2-10 で、
チャンドラー: Throw in a tree and a fat guy and you've got Christmas! (木と太った男を放り込んだら、クリスマスが手に入る![クリスマスの出来上がり!](って感じだろ)。)
というセリフも出てきます。
フレンズ2-10 だと、Throw in A and B and you've got C.
今回のフレンズ1-11 だと、You start with A, throw in B, and bam! You have got yourself C!
となりますが、throw in と you have got が使われている構造がよく似ており、どちらも「(Aと)Bを放り込んだら、Cの出来上がり!」となる感覚も非常に似ていると思います。
チャンドラーの My mother, ladies and gentlemen! について。
本当なら他人のふりをしたいような時に、よくこのような表現が使われます。
「そんなこと言ったら、身内の俺が恥ずかしいよー」というところを、「紳士淑女の皆さん、見て下さい。すごいでしょ? これが私の母親ですよ!」と誇らしく宣言しているかのように言う表現。
あまりの大胆発言に、身内としては開き直り、逆にそれを自慢しているような感覚になります。
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6:30
ノーラ: Well, I think we're ready for some tequila. (そうね、私たち、テキーラを飲みたい気分になってるかと思うんだけど。)
チャンドラー: I know I am. (俺は飲みたいね。)
ノーラ: Who's doing shots? (ショット(用の一口グラス)で飲みたい人は誰?)
モニカ: Yeah. Hit me. (ええ。(私の分を)もう一杯(追加で)。)
フィービー: I'm in. (私も乗った。)
ノーラ: There you go. Ross? (そうね。ロスは?)
ロス: Uh, I'm not really a shot-drinking kinda guy. (あー。僕はテキーラのようなキツい酒をショットグラスで飲むようなタイプの人間じゃないんですよ。)
[Enter Rachel and Paolo. They are both somewhat flustered]
レイチェルとパウロが入ってくる。二人はいくぶんあわてている。
レイチェル: Hi! Sorry- sorry we're late, we, uh, kinda just, y'know, lost track of time. (はーい! ごめんなさい、遅れちゃって。私たち、その、ほら、時間が経つのを忘れちゃって。)
ロス: But a man can change. [Downs a shot] (でも、男は変われるんだ。[ショットを飲み干す])
[Time lapse. Ross is now clearly drunk. He is holding up a shot glass to his eye like a jeweller's eye]
時間が経過。今ロスは完全に酔っぱらっている。彼は宝石鑑定師の目のように自分の目のところにショットグラスを掲げている。
ロス: Anyone want me to appraise anything? (僕に何かを鑑定してほしい人はいるかな?)
[Rachel feeds something to Paolo. He eats it and licks her hand]
レイチェルは何かをパウロに食べさせる。彼はそれを食べ、彼女の手を舐める。
レイチェル: Mrs. Bing, I have to tell you. I have read everything you've ever written. No, I mean it! I mean, when I read Euphoria at Midnight, all I wanted to do was become a writer. (ビングさん、こう言わせて下さい。あなたがこれまでに書いたものを私は全部読みました。いいえ、ほんとの話なんです。私は「真夜中の絶頂」を読んだ時、ただ作家になりたいと思ったんです。)
ノーラ: Oh, please, honey. Listen, if I can do it, anybody can. You just start with half a dozen European cities, throw in 30 euphemisms for male genitalia, and bam! You have got yourself a book! (あぁ、(そんなに褒め過ぎるのは)よして、ハニー。ねぇ、もし私ができるなら、誰にでもできるわ。ただ半ダース(6個)のヨーロッパの都市から始めて、そこに男性器の30個の婉曲表現を放り込んだら、バン![あっという間に] 1冊の本の出来上がりよ!)
チャンドラー: My mother, ladies and gentlemen! ((これが)私の母です、(紳士淑女の)皆さん!)
shot は「酒の一口、一杯」。
Hit me. はこのようにお酒の席で言うと「もう一杯」(Give me another drink.)という意味になります。
I’m not really a shot-drinking kind of guy. は「テキーラのようなキツい酒をショットグラスで飲むようなタイプの人間じゃない」。
ノーラがその前に、テキーラ(tequila)という酒の具体的な名前を出していますので、それに対する返事です。
shot glass は「度数の強い酒(テキーラ・ウォッカなど)を飲むための一口用の小さなグラス」のこと。
レイチェルとパウロが遅れて登場します。
lose track of time 「時間が経つのを忘れる」。lose track of は「〜を忘れる、〜の跡を見失う」。
LAAD (Longman Advanced American Dictionary) には以下の例文が出ています。
It's easy to lose track of time (= forget to check the time) when you're working hard.
lose track of time = forget to check the time 「時間をチェックするのを忘れる」と説明されていますので、この例文の意味は「一生懸命働いている時は、時が経つのを忘れやすい・忘れがちである」となります。
恋人同士の二人が「時間が経つのも忘れちゃって」と言えば、エッチに夢中だったということになりますから、レイチェルのことが好きなロスはそんな話を聞いて冷静でいられるはずもなく、「さっきはショットなんか飲めないって言ったけど、男は変われるから」と言って、ショットグラスをぐっと飲み干すことになります。
appraise は「鑑定する、査定する、評価する」。
ここでのロスは、テキーラのショットグラスを宝石などの鑑定人が使うルーペのように持ち、鑑定人(appraiser)の真似をしています。
「私に何か鑑定してほしい人はいますか?」「何か鑑定いたしましょうか?」というニュアンス。
この様子から、ロスはテキーラをやけ飲みしてすっかり酔っぱらっていることがわかるわけです。
mean は「〜のつもりで言う、本気で言う」という意味なので、No, I mean it! は「いいえ、(お世辞や社交辞令じゃなくて)ほんとの話なんです。本心からそう言っているんです」ということ。
euphoria は「幸福(感)、陶酔、絶頂(感)」。
LAAD では、
euphoria : a feeling of extreme happiness and excitement
つまり「極度の幸福と興奮の感情」。
ノーラが官能小説の作家であることを考えると、本のタイトル Euphoria at Midnight は「真夜中の絶頂」と訳せばそれっぽい感じに聞こえるでしょう。
「あなたの本は全部読んだ。私も作家になりたいと思った」と熱く語るレイチェルに、ノーラは「私ができるなら、誰にだってできるわ」と言った後、You just start with... の長めのセリフを言っています。
half a dozen は「半ダース、6つ」。
throw in は「投げ込む、投入する」。
euphemism は「婉曲表現、婉曲語句」。
LAAD では、
euphemism : a polite word or expression that you use instead of a more direct one, to avoid shocking or upsetting someone
例)"Pass away" is a euphemism for "die."
つまり「より直接的な単語・表現の代わりに使う、丁寧・上品な単語・表現、人にショックを与えたり、動揺させたりするのを避けるために」。
例文は「pass away は die の婉曲表現だ」。
genitalia は「性器、生殖器」なので、male genitalia は「男性器」。
bam は音の通り「バン」という衝撃音を表す言葉で、and bam! は「そしたらすぐに、あっと言う間に」というニュアンスになります。
LAAD では、
bam : used to say that something happens quickly
例)Just turn it on, and bam, you're ready to go.
つまり「何かがすぐに起こるということを言う時に使われる」。例文は「ただスイッチを入れたら、そしたらすぐに、行く準備が整います」。
and bam! を使った表現は、過去記事、ちょっとした巧みな動きで フレンズ1-5改その1 の以下のセリフにも出てきました。
ロス: Ok, you just reach in there, there's one little maneuver, and bam! A bra. Right out the sleeve. (ほら、君ら女性は、そこに手を入れて、ちょっとした巧みな動き(操作)で、バン![あっという間に] ブラが、袖から出てくる。)
You have got yourself a book. を直訳すると「あなたがあなた自身に1冊の本を手に入れてあげられる」→「あなたは1冊の本を手に入れる(You have got a book)、あなたに1冊の本が出来てしまう」という感覚。
官能小説の書き方指南として、「おしゃれな感じでヨーロッパの都市を6個ほど出しておいて、男性器を様々な遠回し表現を使って散りばめといたら、それで官能小説が1冊出来上がっちゃうわよ」と言ったことになり、「ストーリーや筋書きなんてそんなに考えなくてもいい」みたいに言った感じが出ています。
また、30個という数が出ていますが、婉曲表現とは言え、要はそれだけの数(もしくはそれ以上)の男性器が話の中に出てくるということですから、性的な場面だらけだということも想像できます。
このノーラのセリフをシンプルな形にすると、You start with A, throw in B, and bam! You have got yourself C! で「Aで始めて、(それに)Bを放り込んだら、Cが手に入る![Cの完成・出来上がり!]」という意味になるわけですが、
(今回のお話より、先のエピソードになってしまいますが)フレンズ2-10 で、
チャンドラー: Throw in a tree and a fat guy and you've got Christmas! (木と太った男を放り込んだら、クリスマスが手に入る![クリスマスの出来上がり!](って感じだろ)。)
というセリフも出てきます。
フレンズ2-10 だと、Throw in A and B and you've got C.
今回のフレンズ1-11 だと、You start with A, throw in B, and bam! You have got yourself C!
となりますが、throw in と you have got が使われている構造がよく似ており、どちらも「(Aと)Bを放り込んだら、Cの出来上がり!」となる感覚も非常に似ていると思います。
チャンドラーの My mother, ladies and gentlemen! について。
本当なら他人のふりをしたいような時に、よくこのような表現が使われます。
「そんなこと言ったら、身内の俺が恥ずかしいよー」というところを、「紳士淑女の皆さん、見て下さい。すごいでしょ? これが私の母親ですよ!」と誇らしく宣言しているかのように言う表現。
あまりの大胆発言に、身内としては開き直り、逆にそれを自慢しているような感覚になります。
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