2021年01月23日

さもないと、どうなっていたことか フレンズ1-11改その12

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13:30
ロス: I was really upset about Rachel and Paolo and I think I had too much tequila, and Nora... um, Mrs. Mom, your Bing, was just being nice, y'know, and- But nothing happened. Nothing. Ask Joey. Joey, uh, came in-- (僕はレイチェルとパウロのことで本当に動揺していて、それにテキーラをかなり飲みすぎたと思うんだ。そしたら、ノーラが、えーっと、ミセス・ママが、君のビングが、ただ優しくしてくれたんだよ、ほら、それで…でも何も起こらなかった。何も。ジョーイに聞いてくれよ。ジョーイが(その時)入ってきて…)
チャンドラー: [To Joey] You knew about this? ([ジョーイに] お前はこのことを知ってたのか?)
ジョーイ: Uh... y'know, knowledge is a tricky thing. (あー…ほら、知識ってのは、なかなか難しい問題なんだよな。)
チャンドラー: I spent the entire day with you. Why didn't you tell me?! (俺はお前と一緒にまる一日過ごしてたんだぞ。どうして俺に言わなかったんだ?)
ジョーイ: Hey, hey, hey. You're lucky I caught them when I did, or else who knows what would’ve happened. (おいおいおい。俺があの時に二人の姿を見つけて、お前はラッキーだったんだぞ。さもないと(あの後)何が起こってただろうかってことか誰にわかる?[誰にもわからないんだぞ])
ロス: Thanks, man. Big help. (ありがと。大いに助かるよ。)
チャンドラー: [To Ross] I can't believe this! What the hell were you thinking? ([ロスに] こんなの信じられないよ! お前は一体何を考えてたんだ?)
ロス: I wasn't. I don't know.... (僕は考えてなかった。わからないよ…)
チャンドラー: Y'know, of all my friends, no one knows the crap I go through with my mom more than you. (なぁ、俺の友達の中で、俺がママのことで経験してきたひどいことをお前より知っているやつはいない、ってのに。)
ロス: I know-- (そうだよな。)
チャンドラー: I can't believe you did this! [Walks toward the door] (お前がこんなことをしたなんて信じられないよ! [ドアに向かって歩いていく])
ロス: Chandler. (チャンドラー。)
ジョーイ: Me neither, y'know what-- (俺も信じられないよ、わかるだろ…)
チャンドラー: I'm still mad at you for not telling me. (俺に言わなかったことで、俺はまだお前に怒ってるんだぞ。)
ジョーイ: What are you mad at me for?! (お前は何で俺に怒ってるんだよ?)
ロス: Chandler-- (チャンドラー…)
チャンドラー: You gotta let me slam the door! [Leaves; slams the door] (俺にドアをバタンと閉めさせろよ! [立ち去り、ドアをバタンと閉める])
ジョーイ: [Shouting after him] Chandler, I didn't kiss her. He did! [To Ross] See what happens when you break the code? ([去ろうとする彼の後ろから大声で叫びながら] チャンドラー、俺は彼女(お前のママ)とキスしなかった。ロスが(キス)したんだぞ! [ロスに] コード(掟)を破ると何が起こるかわかるだろ。)
ロス: Joey-- (ジョーイ…)
ジョーイ: Ah! [Points to door] Huh? [Leaves and slams the door] (あぁ! [ドアを指さして] は? [立ち去り、ドアをバタンと閉める])

be upset about は「〜について動揺する、混乱する、動転する、憤慨する」。
upset は元々動詞で「ひっくり返す」という意味で、そこから「(人の)気持ちを動揺・動転させる」など、人の気持ちをひっくり返したり乱したりする状態を表します。穏やかな状態ではなく、気持ちが落ち着かない状態ということです。

Nora... um, Mrs. Mom, your Bing... のように、チャンドラーのママを指すロスの言葉が、二転三転しています。
最初につい「ノーラ」とファーストネームを使ってしまい、それでは男女の親密な関係を示唆するようで、また、チャンドラーのママを一人の女性として見ているように聞こえてしまいそうでマズいと思ったロスは、続けて、Mrs. Mom, your Bing と言っています。
本来なら、Mrs. Bing 「ミセス・ビング、ビング夫人」、your Mom 「君のママ」と言うはずが、パニクっているために、両者の一部が入れ替わってしまったわけで、ロスが動揺していることがわかる面白い表現だと言えるでしょう。

Nothing happened. は浮気を疑われた時などに「何もなかったんだ」と言い訳するのによく使われる表現ですが、ここでは、キスは確かにしたけど、それ以上のことはしなかった、ということ。
ジョーイは目撃者だから、ジョーイに聞いてくれ、と言ったことで、今度はチャンドラーの怒りがジョーイにも向かいます。
何か悪いことをした相手を憎む気持ちは当然として、そのことを知っていたのに黙っていた人に対しても怒りを覚えるということはよくあります。
過去記事 であなたはそれを知ってたの? フレンズ1-2改その18 では、ロスが「元妻は実はレズビアンで、その妻は僕の子を妊娠している」と両親に告白した時、ママはロスではなくて、モニカに対して、And you knew about this?! 「それであなたはそのことを知ってたの?!」と非難めいた口調で言うシーンもありました。

「お前、知ってたのか?」と強い調子で聞かれたジョーイは、Knowledge is a tricky thing. と答えます。
tricky は「扱いにくい、やっかいな、やりにくい」、knowledge は「知っていること、知識」。
ですから、直訳すると「知識ってのはやっかいな代物なんだよね、クセモノなんだよね」みたいな感じでしょう。
「知っているとか知っていないとかの概念は難しい、どこまで知ってて、どこからは知らないかの線引きは難しい」みたいな感覚かな、と思います。
このように、... is a tricky thing. 「・・・は難しい問題だ、扱いにくい問題だ」という表現はよく使われます。
過去記事 彼女より俺の方が多くの人間と付き合ってるなら フレンズ1-6改その12 では、ロス: Well, y'know, monogamy can be a tricky concept. (ほら、一夫一婦制が扱いにくい概念なんだよ。)というセリフで tricky が使われていました。
また、Knowledge is a tricky thing. に似た、A little knowledge is a dangerous thing. 「生兵法は大けがのもと」ということわざもあります。
「わずかの知識は危険なものである」→「少しばかりの知識を持っていることは、却って危険だ」という意味です。

一日中一緒にいたのに、どうして俺に話してくれなかったのか? と責められたジョーイは、You're lucky... と返します。
or else は「でなければ、さもないと」。ジョーイは「俺があの時、二人を発見していなかったら、どうなっていたことか…」みたいなことを言っています。
who knows what would’ve happened は「何が起こっただろうかが誰にわかるか?」ということで、「誰にわかるか」は「誰にもわからない」という意味の反語的なニュアンス。
もし俺が目撃してなかったら、その後、何が起こっていたかなんて誰にもわからないんだ、という感じです。
俺が見たのに言わなかったことを怒ってるけど、俺が見つけたからお前は助かったんだぞ。俺が目撃せずに、二人があのままの状態だったら、どんなことになってたか…と、邪魔が入らなかったら、もっとエスカレートしていたかもしれない可能性を示唆しています。

ロスはナイスフォローをありがとう、みたいに親指を立てて(サムアップして)感謝の言葉を述べていますが、内心は「それじゃ全然フォローになってない! 二人はどんだけロマンティックになってたかと思われちゃうだろ!」とジョーイの発言に怒っているでしょう。
「大いに助かる」というのは皮肉で、「さらに状況を悪くするようなことを言ってくれちゃって!」というのが本音です。

no one knows ... more than you. は「お前よりも…をよく知っている人はいない」つまり「お前が一番…をよく知っている」。
否定+比較級で、最上級の意味を表しています。
the crap は「ひどいこと、最低なこと」で、「俺がママとのことで経験してきた(いろんな)ひどいこと」というのは、ママが他の男性とすぐに恋愛関係になり、そのせいで息子である俺は複雑な思いをしてきた、ということでしょう。

slam the door は「ドアをバタンと閉める」。
ト書きによく使われる表現でもあります。
Macmillan Dictionary では、
slam : to shut a door or a lid with great force so that it makes a loud noise, often because you are angry
つまり「大きな音を立てるように、ドアや蓋を大きな力で閉めること、しばしば怒っているからという理由で」。
語義にも angry という言葉が使われているように、ドアをバタンと閉めて出ていくのは怒りの表現でもありますので、「もうお前たちとは話したくない、このままドアをバタンと閉めて俺は出て行かせてもらう」という気持ちが出ています。
チャンドラーに怒りを向けられたジョーイは、話しかけようとするロスに Ah! Huh? と言いながら、ドアを指さし、チャンドラーと同じようにドアをバタンと閉めて去っていきます。
俺に怒ってチャンドラーがそうしたように、俺はお前に怒って同じことをするからな、ということになります。


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posted by Rach at 20:32| Comment(0) | フレンズ シーズン1改 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年01月09日

後で立ち寄る、途中でこれを置いていく フレンズ1-11改その11

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(遅ればせながら)明けましておめでとうございます。
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12:09
[Scene 6: Hospital. Phoebe is there stroking Coma Guy's hair, when Monica enters with a bunch of balloons]
シーン6。病院。フィービーはそこにいて、昏睡男の髪の毛を撫でている。そこにモニカがたくさんの風船を持って入ってくる。
モニカ: Hi. (はーい。)
フィービー: Hi. (はーい。)
モニカ: What are you doing here? (ここで何してるの[どうしてここにいるの]?)
フィービー: Nothing. I just thought I'd stop by, y'know, after the uh... that I.. y'know. So what are you doing here? (何も。私はただ立ち寄ろうかなと思っただけよ、ほら、私が…した後で…。それであなたは[そういうあなたこそ]ここで何してるの?)
モニカ: I'm not really here. Just thought I'd drop these off on the way. My way. Do you come here a lot... without me? (私はここにいるってほどじゃないわ。ただ思ったのよ、途中でこれを置いていこうって。途中でね。あなたは何度もここに来るの?…私抜きで?)
フィービー: No. [Monica brushes Coma Guy's hair in the other direction] No! No! ...So, um, do you think he's doing any better than he was this morning? (いいえ。[モニカが昏睡男の髪の毛を別の方向にとく] だめ、だめよ! それで、その、彼は今朝の状態よりも少しは良くなってるって思う?)
モニカ: How would I know? I-I wasn't here. (どうやって私がそんなことを知るっていうのよ? 私は(今朝)ここにはいなかったわ。)
フィービー: Really? Not even to, um, change his pajamas? [Whips back the sheet] (ほんとに? 彼のパジャマを着替えるためにさえもいなかった(って言う)の? [シーツをさっとめくる(昏睡男が前とは違うパジャマを着ているのがわかる。)]

ト書きの stroking Coma Guy's hair の stroke は「(人の髪や動物などを優しく)撫でる、撫でつける」という意味。
LAAD (Longman Advanced American Dictionary) では、
stroke : to move your hand gently over something
例)She was sitting on the sofa, stroking her cat.

つまり「何かの上で優しく手を動かすこと」。例文は「彼女はネコを撫でながら、ソファに座っていた」。

寝ている男性の髪の毛を優しく撫でているのは愛しさの表現ですし、風船をたくさん持って入ってきたのも彼へのプレゼントなのが明白ですから、二人の間に気まずい空気が流れます。

What are you doing here? は「ここで何してるの?」ということですが、「一人で彼の病室で何してるの?」という意味はもちろんのこと、「どうしてあなたがここにいるの?」というニュアンスも含まれています。
フィービーがここにいることが意外だった、フィービーがいるとは思わずにやって来たことがよくわかります。
I just thought I'd = I just thought I would ということで「ただ〜しようかなと思っただけ」。
stop by は「立ち寄る」。
after the uh... that I.. y'know. と言って「ただ〜した後にちょっと立ち寄ろうと思っただけよ」と説明しようとしたのですが、メインの用事が何だったかを説明できない感じが出ています。
この言い回しで「何かのついでというのは嘘で、ここに来ることが主目的だった」ことがわかるということ。

他の用事を思いつかなくて、すぐに相手への質問に切り替えるフィービー。
「あなたこそ、どうしてここに来たの? ここにいるの?」と言われたモニカは「別に”ここにいる”ってほどでもなくて」と言ってから、Just thought I'd drop... と、さきほどのフィービーと同じような言い回しで「ただ〜しようと思っただけなの」と説明します。
drop off は「(物)を置いていく」。drop は「落とす、降ろす」で、off は「分離」のニュアンスですから、「持ってきたものを(自分から離す形で)置く」という感覚になるのはわかりやすいでしょう。
on the way / on one's way は「途中に、行きがけに、帰り道に」。
モニカも「あることの途中で、これを置くために立ち寄っただけ」と説明しているのですが、on the way. My way. としか言えないところに、具体的に「どこに行く途中か」を説明できない、メインの用事がこれだったことが表れています。

Do you come here a lot... without me? のように、without me の前に間(ま)があるので、「あなたはよくここに来るのかしら…”それも私抜きで一人で”」という最後の部分がより強調されています。
それに対してフィービーは No. 「いいえ。あなた抜きで、私一人が何度も来たりはしないわ」と否定するのですが、モニカが、さっきフィービーが撫でていた髪の毛を、それとは反対方向にとくので、次の No! No! は「やめて!(彼の髪の毛をそんな風に撫でるのはやめて!)」という意味になっているのも面白いところです。

any better は「多少は・少しでも、よりよく(なる)」という感覚。
彼が今朝の状態よりも少しでも体調が良くなったとあなたは思う? と聞かれたので、モニカは「私は今朝ここにいたわけじゃないのに、朝と比べて体調がどうかなんて、どうやって私にわかるのよ?」と返します。

Really? Not even to, um, change his pajamas? は Really? You were not even to...? 「(モニカは今朝ここにいなかったって言うけど)ほんとに? 〜するためにさえいなかったの?」と先に言ってから、少し間を置き、シーツをめくるのと同時に「彼のパジャマを替える(着替えさせる)ために」と言っていることになります。
フィービーは彼のパジャマが違っていることに気づいていて、しらばっくれているモニカに証拠を突き付けた感じです。


13:05
[Cut to Chandler and Joey's place. Ross is talking to Chandler. Joey is making a snack at the bar]
チャンドラーとジョーイの家に画面がカット。ロスはチャンドラーと話している。ジョーイはバーで軽食を作っている。
チャンドラー: Oh my God. (なんてこった。)
ロス: You're my friend. I-I had to tell you. (君は僕の友達だ。(だから)僕は君に言わないといけなかったんだ。)
チャンドラー: I can't believe it. Paolo kissed my mom? (信じられない。パウロが俺のママにキスしたのか?)
ロス: Yeah, I mean, I don't know if you noticed, but he had a lot to drink. I mean, you know how he gets when he's drun..uh... [He has caught sight of Joey scowling at him] I can't do this. I did it. It was me. I'm sorry. I kissed your mom. (あぁ、ほら、君が気づいてたかどうかはわからないけど、やつは酒をたくさん飲んでた。ほら、酔っぱらうとやつがどうなるか知ってるだろ…あぁ… [ロスはジョーイが自分をにらみつけているのが目に留まる] 僕にはこんなことはできない。僕がしたんだ。僕だったんだ。ごめん。僕は君のママにキスした。)
チャンドラー: What? (何だって?)

ロスを前にしてチャンドラーが Oh, my God. と言い、「君は僕の友達だから、(真実を)話さないといけなかった」と言っているので、チャンドラーのママとキスしてしまったことを正直に告白しているのかと思いきや、チャンドラーの「信じられない。パウロが俺のママにキスしたなんて」という発言で、ロスが嘘を語っていることがわかります。

その後も、「酒をたくさん飲んでて、飲むとどうなっちゃうかわかるだろ」と、自分に起こったことをパウロがやったことのように語っているので、ジョーイはパンに何かを塗りながら、ロスの方を怖い顔で睨みます。
ト書きの catch sight of は「光景をキャッチする」ということから、「〜を見かける、〜(という光景・姿)が目に留まる」という感覚。
scowl は「(怒って・不機嫌で)顔をしかめる、にらみつける」。発音は「スカウル」。
LAAD では
scowl [verb, intransitive] : to look at someone in an angry way
つまり「怒った様子で人を見ること」。自動詞なのでこのト書きの scowl at のように、前置詞 at が必要になります。

ジョーイに怖い顔でにらまれて、嘘を続けられなくなったロスは「こんなことはできない=嘘をつくことはできない」と言って、I did it. It was me. と告白します。
「僕がそれをした。それは(パウロじゃなくて)僕だった」ということですが、最初はこのようにダイレクトな表現は使わずに告げて、謝罪の後、はっきり I kissed your mom. 「僕は君のママにキスした」と告白することになります。


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posted by Rach at 15:09| Comment(0) | フレンズ シーズン1改 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする