2021年09月07日

その口でキスするの? フレンズ1-12改その1

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シーズン1 第12話
The One With the Dozen Lasagnas
原題訳:12皿のラザニアの話
邦題:おなかのベビーはどっち?


0:00
[Scene: Gang sitting around Central Perk.]
シーン:ギャング(フレンズたち)がセントラルパークで時間を過ごしている。
[Ross working on crossword puzzle, starts humming theme from "The Odd Couple". Chandler joins in, followed by Monica & Phoebe, then the whole gang. Ross starts humming theme from "I Dream Of Jeannie"]
ロスはクロスワードパズルをしていて、「おかしなカップル」のテーマソングをハミングし始める。チャンドラーが加わり、モニカとフィービーが続き、それから全員が続く。ロスは「かわいい魔女ジニー」のテーマをハミングし始める。
チャンドラー: No no no no, we're done! (ダメダメダメダメ、もう終わったの!)

ト書きの Gang sitting around Central Perk. について。
gang というのは「ギャング、群れ、集団、一味」というニュアンスでそこから「遊び仲間」も意味するので、フレンズたちのことを gang と表現することも多いです。
sit around Central Perk を直訳しようとすると「(コーヒーハウスの)セントラルパークの周りに座る」となってしまいそうですが、ここでの sit around は「ぶらぶらして過ごす」という意味。
LAAD (Longman Advanced American Dictionary) では、
sit around [phrasal verb] : to spend a lot of time sitting and doing nothing very useful
つまり「(句動詞)座って、特に有用なことは何もせずに時間を過ごすこと」。

ロスがハミングし始めると、フレンズたちが次々に合流して、ノリノリになっていく様子が楽しいオープニングシーン。
曲の説明をしますと、最初にハミングしていたのは、The Odd Couple のテーマソング。
続いてロスがもう1曲歌おうとして、チャンドラーに止められたのは、I Dream Of Jeannie のテーマソング。

まず最初の、The Odd Couple は、アメリカの70年代シットコムで、邦題は「おかしなカップル」(または「おかしな二人」)。
共に離婚歴のある二人の男性、きれい好きのフェリックス(Felix)と、だらしないオスカー(Oscar)が同居する生活を描いた作品。
元々は、ニール・サイモンの戯曲で、映画になり、さらにテレビドラマ化されました。そのドラマのオープニングテーマをフレンズたちはハミングしていることになります。
2番目の I Dream Of Jeannie は、1960年代のアメリカのシットコムで、邦題は「かわいい魔女ジニー」。
宇宙飛行士のトニーに惚れた魔女ジニーが巻き起こす騒動を描いた作品。
ジニーのアラビア風衣装が有名で、原案は「ゲームの達人」などの作者であるシドニー・シェルダンです。

we're done の be done は「終わった、おしまい」という意味。
自分が歌い始めてみんなが乗ってくれたことに気を良くしたロスでしたが、2曲目はもういい、1曲でおしまいだ、とチャンドラーに宣言されたことになります。


1:48
[Scene: At girls' apartment; Monica working in kitchen]
シーン:女性陣のアパートメント、モニカは台所で作業している。
モニカ: [on phone] Aunt Syl [Silv], stop yelling! All I'm saying is that if you’d told me vegetarian lasagna, I would’ve made vegetarian lasagna. [pauses, listens to person on phone] Well, the meat's only every third layer. Maybe you could scrape. ([電話で] シルおばさん、どなるのはやめて! 私が言っているのはこれだけよ、もし(おばさんが私に)ベジタリアン用ラザニアと言ってくれていたら、私はベジタリアン用ラザニアを作ったでしょうに、って。[一呼吸おいて、電話の相手の声を聞く] そうねぇ、肉は3層ごとにあるだけよ。多分、(その肉の層だけ)削り取れるんじゃないかしら。)
[Camera moves to Chandler, Phoebe, Ross and Joey sitting in living room]
リビングに座っている、チャンドラー、フィービー、ロス、ジョーイにカメラが移動する。
ジョーイ: Ross, did you really read all these baby books? (ロス、お前はほんとにこれだけの本全部を読んだのか?)
ロス: Yup. You could plunk me down in the middle of any woman's uterus, no compass, and I can find my way out of there like that! [snaps fingers] (うん。どんな女性の子宮の真ん中にポンと置かれても、コンパスなしで、僕は外に出る方法を見つけることができるよ、こんな風に(簡単に)ね! [指を鳴らす])
フィービー: Ooh, this is cool. It says in some parts of the world, people actually eat the placenta. [Joey grimaces] (まぁ、これってクールね。この本によると、世界のある場所では、実際に胎盤を食べるんだって[世界には、実際に胎盤を食べる場所があるんだって]。[ジョーイは顔をしかめる])
チャンドラー: And we're done with the yogurt. [sets yogurt down on table] (そしてヨーグルトはもうおしまい。[ヨーグルトをテーブルに置く])
フィービー: [softly] Sorry. ([そっと] ごめん。)
[Camera pans back to Monica, still on phone]
カメラは、まだ電話しているモニカに戻る。
モニカ: Aunt Syl, I did this as a favor. I am not a caterer. What do you want me to do with a dozen lasagnas? [listens to Aunt Syl on phone, looks shocked] Nice talk, Aunt Syl. You kiss Uncle Freddie with that mouth? (シルヴおばさん、私は好意でやったことなのよ。私はケータラー[ケータリング業者、仕出し屋]じゃない。1ダース(約12個)のラザニアを私にどうしろって言うの? [電話のシルおばさんの声を聞いて、ショックを受けた顔をする] ナイストークね[言うわね]、シルおばさん。その(汚い)口でフレディおじさんにキスするの?)
[Camera pans back to group in living room]
カメラはリビングのフレンズのグループに戻る。
ジョーイ: Hey, Ross, listen. You know that right now your baby is only this big? [measures about 2 inches with his thumb and index finger] This is your baby. [in baby-like voice] “Hi, Daddy.” (なぁ、ロス、いいか。たった今、お前の赤ちゃんはたったこれくらいの大きさだって知ってるだろ? [自分の親指と人さし指で約2インチを測る[長さを示す]] これがお前の赤ちゃんだ。[赤ちゃんのような声で] 「はーい、パパ」)
ロス: [waves] Hello. ([手を振って] ハロー。)
ジョーイ: [in baby-like voice] “How come you don't live with Mommy?” [pause; shows Ross less than amused] “How come Mommy lives with that other lady?” [pause; Ross still looks less than amused; Joey smiling] “What's a lesbian?” [playfully hits Ross] ([赤ちゃんのような声で] 「どうしてパパはママと住んでないの?」 [一瞬の間。喜んでいないロスが映る] 「どうしてママはあの別の女の人と住んでるの?」 [一瞬の間。ロスはまだ喜んでいない表情、ジョーイは微笑んでいる] 「レズビアンって何?」 [ふざけてロスを叩く])

台所にいるモニカは誰かと電話しています。
モニカが呼び掛けているセリフは、DVDでは Aunt Silv、Netflix では Aunt Syl と表記されていますが、この記事では Syl で統一しています。
All I'm saying is that ... を直訳すると、「私が言っていることの全部は…である」ということなので、「私はただ…と言っているだけ」というニュアンス。

if you’d told me vegetarian lasagna, I would’ve made vegetarian lasagna について。
if you had told..., I would've made... は「もし(過去に)言ってくれていたら、(過去に)そうした(作った)ことでしょう(に)」という意味の「過去の事実と反対の仮定」を述べる「仮定法過去完了」。
ここで仮定法過去完了が使われていることで、モニカが作ってしまったのは、リクエストと違うものであることがわかります。
「もしそうだといってくれていたら、それを作ったのに」という言葉の裏には「おばさんがそう言ってくれないから、別のもの、つまりベジタリアン用じゃない普通のラザニア(肉の入ったラザニア)を作っちゃったわよ」という気持ちが込められているわけです。

Well, the meat's only every third layer. Maybe you could scrape. について。
the meat's only every third layer は「肉はただ3番目の層ごとにある」→「3層ごとに肉が入ってるだけ」。
scrape は「削り取る、こすり落とす」。
ニューヨークなどの高層ビルを摩天楼と言いますが、あれは英語で skyscraper と言います。
摩天楼という日本語が、その英語を直訳したもので「天を摩する(まする=こする、近づく)楼閣(高い建物)」という意味です。
肉は3番目の層ごとにある「だけ」だから削れるんじゃない? と言っていますが、3層ごとにあるものを、そこだけ削るのは実際には難しいでしょう。
事前にきちんと伝えてくれていたらこんなことにはならなかったのに、という思い(不平不満)が、「3層ごとにあるわけだから削ればいいんじゃない?」という「無理なことを言う」発言に繋がっている、ということです。

ジョーイが「この本を全部読んだのか?」に対して答えたロスのセリフの plunk down は「〜をポン・ドサッと置く・放り出す」。
LAAD では、
plunk [transitive] (informal) : to put something down somewhere, especially in a careless noisy way
plunk something in/on etc.
例)She plunked the bag down on the table.

つまり「(インフォーマル)何かをどこかに置くこと、特にぞんざいで騒々しい方法で」。例文は「彼女はそのバッグをテーブルの上にドサッと置いた」。
ただ置くだけではなく、ぞんざいな感じで置くのがポイントということです。
uterus は「子宮」。ロスの元妻のキャロルが現在妊娠中であることが過去のエピソードで語られていましたので、ロスが出産に関するたくさんの本を読破したということだと想像できます。

フィービーのセリフの placenta は「胎盤」。妊娠時には赤ちゃんを守り、出産後は母親の体から排出されるものですが、世界の中には、それを食べる地域もある、と聞いて、ヨーグルトを食べていたチャンドラーは食べる気をなくしてしまいます。
And we're done with the yogurt. は「そして、俺たちはヨーグルトについてはもうおしまい」という感覚。
冒頭のハミングのシーンでも、2曲目を続けようとしたロスにチャンドラーが No no no no, we're done! と言っていましたが、その be done と同じ「終わった、おしまい」というニュアンスです。

モニカとシルおばさんの電話の会話はまだ続いています。
I did this as a favor. は「私は好意で(好意として)これ(ラザニア作り)をやった」。
What do you want me to do with a dozen lasagnas? は「12個(約10個)のラザニアを私にどうしろって言うの?」。
dozen は「ダズン、ダース」で12個ですが、必ずしも12個ちょうどとは限らず、約10個くらいのイメージ。
その後、電話相手のシルおばさんが何か言うのを聞いて、モニカは目を見開き、口をあんぐりして、あきれた表情を見せています。
この表情から、相手のシルおばさんが、モニカがあきれるようなひどい言葉を使った、または罵(ののし)ったであろうことが想像できるでしょう。

You kiss Uncle Freddie with that mouth? は「おばさんはその口でフレディおじさんとキスするの?」。
「その口」というのは、「そんな汚い言葉を発した、そんな汚い口で」というニュアンス。
今回は相手がモニカのおばさんだったので、その夫であるおじさんが目的語になっていますが、一般的によく使われるのは、
You kiss your mother with that mouth? 「君はその口でお母さんとキスするのか?」
というフレーズ。
汚い言葉を使った子供に向かって「そんな汚い言葉を発した、そんな汚いお口で、君はママとキスするのかなぁ?」と使われる表現です。

7月16日に私の最新刊『Avengers: Age of Ultronで英語が話せる本』(KADOKAWA)が発売になりましたが、『アベンジャーズ/エイジ・オブ・ウルトロン』の中で、まさにその You kiss your mother with that mouth? というセリフが(時間は 1:51:35 頃に)登場しており、その本の中でもそのセリフについて解説しています。
ネタバレになるかもしれないので詳しい状況は伏せますが、人物Aが人物Bに対して、"B(人名), you son of a bitch." 「君は何て野郎だ」という意味の汚い言葉を言ったので、それに対して人物Bが "Ooh! You kiss your mother with that mouth?" 「おぉー! 君はその口でお母さんとキスするのか?」と返したという会話です。
人物Aは子供ではなく、立派な大人ですが、子供に注意するような言い方でからかうように言った面白さになります。

ジョーイはロスに、You know that right now your baby is only this big? と言って、指で2インチほどを示しています。
only this big は「ほんのこれくらいの大きさ」。this big と言いながら、どれくらいの大きさなのかを、今回のジョーイのように指と指の間隔で示すしぐさをすることがよくあります。
How come you don't live with Mommy? は「どうしてパパはママと一緒に住んでないの?」。
How come...? は「どうして…? なぜ…?」で、Why...? の口語表現。
How come の後ろは、SV(主語+動詞)の平叙文の語順になります。


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posted by Rach at 10:46| Comment(2) | フレンズ シーズン1改 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする