2023年03月26日

How did I not see this? の not の位置 フレンズ1-12改その13

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15:29
レイチェル: I’m so sorry. (本当にごめんなさい。)
フィービー: No, I’m sorry. (いいえ、私の方こそごめんなさい。)
レイチェル&フィービー: No, I' m sorry! (私の方こそごめんなさい!)
フィービー: No, wait, oh, what are we sorry about? (いえ、待って、あぁ、私たちは何のことで謝ってるの?)
レイチェル: I don't know. Right. He's the pig. (わからない。そうだわ。あいつがブタ(野郎)なのよ。)
フィービー: Such a pig! (本当にブタ(野郎)だわ!)
レイチェル: Oh, God, he's such a pig! (あぁ、なんてこと、あいつは本当にブタ(野郎)よ!)
フィービー: Oh, he's like a... (あぁ、あいつはまるで…)
レイチェル: He's like a big disgusting... (あいつはまるで超むかつく…)
フィービー: ...like a... (…みたいな…)
レイチェル: ...pig...pig man! (…ブタ…ブタ男よ!)
フィービー: Yes, good! Okay. (そうね、うまい! そうよ。)
レイチェル: [voice wavers] Oh, but he was my pig man! How did I not see this? ([声が揺らぐ] あぁ、でもあいつは私のブタ男だったわ! どうして私にはこのことがわからなかったの?)
フィービー: [raises hand] Oh, I know! [Rachel startled] Because... he's gorgeous. And he's charming. And when he looks at you... ([手を挙げて] あぁ、わかった! [レイチェルがびっくりする] なぜなら…彼がかっこいいから。それに彼はチャーミングで。そして彼があなたを見る時には…)
レイチェル: Okay, Okay, Pheebs... (わかった、わかった、フィーブス…)
フィービー: The end. (ジ・エンド(おしまい)。)
レイチェル: Oh, God! (なんてこと。)
フィービー: Should I not have told you? (あなたに話さないべきだった?[話さないほうが良かった?])
レイチェル: No. No, trust me, it's, it's, it's much better that I know. Uh, I just liked it better before. It was better. (いいえ、信じて、知る方が(知らないより)ずっといいわ。あぁ、ただ、前の状況[状態]の方が、もっと好きだったけど。前の方がもっと良かった。)
[Phoebe scoots her chair over to Rachel and hugs her]
フィービーは椅子をレイチェルの方に動かして、レイチェルをハグする。

お互いが「ごめんなさい」とさんざん謝り合った後、フィービーは what are we sorry about? 「私たちは何のことで謝ってるの?」と言い、悪いのは私たちじゃなく、あいつだわ、と、今度はパウロを非難し合う言葉に変わります。

pig は「ブタ」で、日本でも(ブタさんには申し訳ないですが)「ブタ」は悪口としてよく使われます。
この英語の pig も「最低な男」というニュアンスで使われています。
アカデミックな辞典である LAAD (Longman Advanced American Dictionary) にもちゃんとその意味が載っていて、

pig : (spoken) someone who behaves in an unpleasant way toward other people
例)You're a selfish pig.

つまり「(口語)他の人々に対して不愉快な行動をする人」。

LAAD ではこの語義の下に male chauvinist pig という表現が参照されていました。
chauvinist は「同属偏愛・優越の排他主義者」のことで、「自分の国や民族が他より優れていると考える愛国主義者」や「女性より男性が優れていると考える女性蔑視主義者」を指します。
よって male 「男性の」という形容詞がついた male chauvinist は「男性優越・女性蔑視主義者」という意味に限定されることになります。

ドラマ「アリーmy Love(原題:Ally McBeal)」でも、"Male chauvinist pig!" 「男尊女卑のブタ!」と男性をののしるセリフがよく出てきており、そのドラマ特有の表現かと思っていたのですが、このようにアカデミックな辞書に載っているような一般的な表現なのですね。
pig は、そのような悪口との組み合わせに使われる単語だということです。

レイチェルの How did I not see this? は「どうして(どのようにして)私にはこのこと(彼がブタ野郎だということ)がわからなかったの?」。
日本人が一般的にイメージする否定疑問文だと
How didn't I see this?
という形になりそうな気がしますが、それと今回の How did I not see this? は、文の意味としてはほぼ同じです。
didn't という短縮形よりも did not のように not を単独で使った方が否定の意味が明確になるのと同様に、今回のセリフ How did I not see this? も How didn't I see this? よりも否定の意味がより強調された形となります。
not see のように否定語と動詞がくっついていることで「わからない、見えない」という「see という動詞を否定」していることが、より明確に伝わることになるでしょう。
そのニュアンスの違いを、無理やり日本語に出そうとすると、
How did I not see this? 「どうして”これがわからない”ということがあったの?」
How didn't I see this? 「どうして”これがわかる”ということがなかったの?」
となるでしょうか。
「これが”わからない”なんてどうして?」の方が、「わからなかった自分に対するいら立ち」が強調されるということです。

gorgeous は「ゴージャス」ですが、ここでのニュアンスは「(人が)素敵な、魅力的な」という意味。
LAAD では、
gorgeous [adjective] (informal) : extremely beautiful or attractive
つまり「極めて美しい、または魅力的な」。

彼がブタ野郎だという本質をわからなかったのも無理はない、とでもいうように、「ゴージャス(素敵)でチャーミングで、彼があなたを見る時には…」とさらに彼の素敵さを語ろうとしたフィービーですが、先ほど「ブタ野郎」とけなしていたばかりのあいつのことをそんなに褒めないでよと言いたげにレイチェルはフィービーを制し、フィービーも「ジ・エンド(おしまい)」と言って褒めるのをやめます。

Should I not have told you? も先ほど解説した How did I not see this? と同じように、not が動詞の方にくっついている形。
先ほどと同様に比較してみると、
Should I not have told you? 「あなたに話さないべきだった?」
Sholdn't I have told you? 「あなたに話すべきではなかった?」
という違いになるでしょうか。
今回のセリフの形の方が、私がすべきことは「話さない」ということだった? のように「話さない」という動詞 tell の否定であることをより強調していると言えるでしょう。
話したことでレイチェルを傷つけてしまったことに罪の意識を感じている様子が、より感じられる気がします。

it's, it's, it's much better that I know. Uh, I just liked it better before. It was better. 「知る方が(知らないより)ずっといいわ。あぁ、ただ、前の状況[状態]の方が、もっと好きだったけど。前の方がもっと良かった」について。

それぞれの it の指すものですが、まず、it's much better that I know. の it は、it = that I know ということ。
It's much better that I know. の that I know は、that 節 (名詞節)で「私が知ること」。
That I know is much better. 「私が知ることはずっと良い(ベターである)」の that 節を後ろに回して、それを形式主語の it にした構文が、レイチェルのセリフになります。

そして、2番目の liked it の方ですが、この it は、「状況」を漠然と指している感覚でしょう。
like it better before は「前の方がより好きだった」ということになるでしょうか。その後の、It was better. も、過去のその時の「状況」を指していると思われ、「あの時の方が、より良かった」ということになるでしょう。

つまり、レイチェルのこのセリフは、「フィービーが真実を教えてくれて良かった」と客観的に自分に言い聞かせながらも、でも知らなかった時の状況(it before)が、like better 「(知った後の今の状況)より好きである」→「前の知らなかった時の方が良かった」と自分の正直な気持ちを主観的に述べていることになると考えられます。

それぞれ何を比較しているかと言うと、
パウロがフィービーに手を出したことについては、知らないよりも知る方が良かった、知って良かった、教えてくれて良かった。
ただ、状況としては、知ってしまった今よりも、知らなかった昔の方が良かった、幸せだった。
ということになります。


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posted by Rach at 18:43| Comment(0) | フレンズ シーズン1改 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする