2005年06月28日

フレンズ1-3その3

みんなに煙草を吸っていることを非難されたチャンドラー、
Big deal! (そんな大騒ぎするほどのことじゃない!)
big dealは「重大なこと」という意味で、Big deal!だと、「すごいね、大したもんだ。」という意味なのですが、それを反語的に、また皮肉っぽく使うこともできます。
チャンドラーは反語的に、「どうってことはない。」という意味で使っています。
反語的に使う場面では、
Big deal! = No big deal! という意味になるのです。(不思議ですね。言葉って難しい。)
日本語にすると、「へいへい、おっしゃる通り、大変なことですねぇ。」と騒ぎ立てる人たちに対して、そんなに騒ぐなよ、と抗議している感じかと。
What’s the big deal? 「それがどうしたの?」という表現もあります。

ジョーイは指の関節をポキポキならす、ロスは大げさに発音する、モニカは笑う時に鼻を鳴らす、フィービーは髪の毛を噛む、レイチェルはオーダーされたものを覚えられない、と相手の欠点をあげつらうチャンドラー。
ロスの発音は、この後も彼の特徴として残りますが、他のクセはこの場限りのもの。
後のエピソードには出てきません。
話を面白くするために、そのエピソードのみの設定を作っただけ、のようです。
もしくは、あんまり評判がよくなかったとか、面白くなかったということで、却下されたのかもしれません。

煙草を手放そうとしなかったチャンドラーですが、アランが電話で説得すると、簡単に煙草をやめてしまいます。
ロス: If only he were a woman. 「アランが女だったらなぁ。」
レイチェルまで、一瞬、「そうよねぇ。」という表情を浮かべますが、お互いに言ってることが変だと気づいて、顔を見合わせて気まずくなります。
女だったらチャンドラーと付き合うとか? もしかしてロスも惚れるとか? ひげを生やしてるアランが女性になった姿を想像して?
きまずい想像の原因は何でしょうか?
if onlyは「〜しさえすれば、〜ならよいが、〜してほしいものだ」。
後ろは仮定法過去が続きます。(実現不可能な話をしているので。)

テレビを見ているチャンドラー、
Lamb Chop(ラムチョップ)という靴下人形に文句を言います。
How old is that sock? If I had a sock on my hand for 30 years, it'd be talking too. (あの靴下、一体何歳だよ? もし俺が靴下を30年間も手にはめてたら、俺の靴下もしゃべり出すよ。)
えらく芸歴の長い人形のようですね。

銀行口座に勝手にお金は入るわ、ジュースに入ってた親指のお詫びとして会社からお金は貰うわ、そして、
フィービー: And on my way over here I stepped in gum. What is up with the universe? (それに、ここに来る途中、ガムを踏んだのよ。一体この宇宙はどうなってんの?)
ガムの話をされて、みんな「何を驚けばいいの?」という顔をして、ポカーンとしています。
ガムを踏んだことから、宇宙にまで話が行くところが、フィービーらしいですが。

話があるというモニカに、
ジョーイ: What's going on? (一体何事だよ。)
What's going on?は「どうしたの? 何事だ? どうなってるんだ?」という意味。
これはよく出てくるセリフです。
状況が飲み込めない時とか、アクション映画でどえらいことが起こった時に、ヒロインがヒーローに「ねぇ、どうしちゃったの? 何があったの?」という風に使います。

みんなに告白しようとするモニカですが、フィービーのチャチャが入ります。
モニカ: We have to talk. (話さないといけないことがあるの。)
フィービー: Wait, I'm getting a deja vu. No, I'm not. (待って、今、デジャブを感じたわ。ううん、やっぱり違う。)
モニカ: ...We have to talk. (<気を取り直して>・・・話さないといけないことがあるの。)
フィービー: There it is! (ほら、それよ。)
deja vu(デジャブ)とは日本語にもなっていますが、既視感、つまり、実際には経験していないのに、経験したことがあるように感じることです。
フィービーは人の話の腰を折っておいて、また同じセリフで話し始めたモニカに、やっぱりデジャブだわ、と言っているのです。

モニカ: I've decided to break up with Alan. (私、アランと別れることに決めたわ。)
break up withは、「(恋人などの関係が)壊れる、別れる」という意味です。
この時のみんなの驚いた表情(ちょっとわざとらしいけど)。
別れる当事者でもないのに・・・みんながアランをどれほど気に入っていたかがわかります。

ロス: Is there somebody else? (誰か他にいるのか?)
もちろん、他に「好きな」人という意味ですが、これだけでもわかります。

アランに別れを告げるモニカ。
アランは残念だけど、実はホッとしたと言います。
アラン: I had a great time with you. I just can't stand your friends. (君とは楽しかったよ。ただ、君の友達には耐えられなくて。)
結局、みんなはアランに嫌われていたんですね、かわいそー。

アランとボートに乗ったのはCentral Park(セントラルパーク)。
ニューヨークにある大きくて有名な公園です。
いつもみんながたむろしている、喫茶店のセントラルパーク(Central Perk)は、この公園の名前をもじっています。
パーク(perk)の綴りが違っており、perkとは、「パーコレーター(コーヒー沸かし器、コーヒーろ過器)で(コーヒーを)いれる」という意味のpercolate の短縮形です。

(2006.1.21 追記)
以下の記事に、この1-3のエピソードに関する説明があります。
興味のある方は覗いてみて下さい。
フレンズ1-3その4 ご質問1
フレンズ1-3その5 ご質問2
フレンズ1-3その6 ご質問3+マザーグースの話
フレンズ1-3その7 ご質問4

(2011.3.24 追記)
さらに追加記事を書きました。
フェア・シェア フレンズ1-3その8
(追記はここまで)

posted by Rach at 14:16| Comment(10) | フレンズ シーズン1 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
はじめまして。
タイトルに惹かれてお邪魔しました。
フレンズは第6シーズンの半分くらいまで見ています。
そうそう最初はこういう話だったなーと、楽しく読ませていただきました。
更新楽しみにしています。
Posted by mame at 2005年06月28日 20:13

私のブログに投稿してくださってありがとうございました。
映画の英語を紹介してくれるこのブログ、参考にさせてください。
Posted by Ikuko at 2005年06月28日 20:51
mameさん、コメントありがとうございます。
私も、このブログを書くにあたり、昔のDVDを引っ張り出して、
「懐かしいなー。」と思いながら見ています。
タイトルは、インパクトのあるものを・・・といろいろ考え抜いた末、決めたものなので(ちょっと大袈裟)
「タイトルに惹かれて・・・」と言っていただけると嬉しいです。
これからもよろしくお願いいたします。
Posted by Rach at 2005年06月29日 13:23
Ikukoさん、コメントありがとうございました。
参考にしていただけるかどうかはわかりませんが、
自分でもいろいろ調べて、頑張って書き続けたいと思います。
これからもよろしくお願いいたします。
Posted by Rach at 2005年06月29日 13:25
"the universe" が「世間」「世の中」と言う意味で
使われているのを最近良く見かけます。
私も最初はフィービー特有のオーバーな言い方なのかな?
と思っていましたが、ネイティブに取っては普通みだいですね
Posted by ぴろろ at 2008年02月15日 20:31
ぴろろさんへ
ユニバースと聞くと私は「宇宙」というイメージが浮かんでしまうのですが、辞書には「世界」という意味も載っていますね。

universe を使うことで、world とはまた違ったニュアンスを出しているのでしょうが、フィービー以外でも「世間」「世の中」という意味で使うことがあるんですね? 私もこれからそんな使われ方に注意してみることにします。
Posted by Rach at 2008年02月18日 11:27
2巡目です。音声をウォークマンに入れて聞く等、1巡目よりちょっと気合が入ってきました。

内容について初の質問です。

20分56秒あたりからの場面

I'll meet someone else.
There'll be other Alans.
またいい男探すわ。
アランみたいな彼氏作る。


Yeah,right!
いる訳ない!

の部分がどうしても腑に落ちないのです。

英語字幕を目で追ってると、Yeah,right!をモニカの発言に対して肯定的な返事
(そうだよ。君の言うとおりだ。(だらかアランと別れて次の彼氏をみつけようと
決心した君を応援するよ))


を返してるように解釈してしまいます。

でも逆なんですよね。どうして「Yeah,right!」が「いる訳ない」といった
否定的なニュアンスになるのかご教示いただければ幸いです。
Posted by aki-kiyo at 2014年06月07日 16:51
aki-kiyoさんへ
コメントありがとうございます。また、「内容について初のご質問」をいただけて、とても光栄です。

ご指摘の通り、Yeah, right! の部分は、DVDの日本語で、
(字幕)いるわけない/(音声)あー、いるわけない
のように否定的なニュアンスで訳されていましたよね。
単語をそのまま直訳すると、「ええ、そうね。うん、そうだよね」となりそうなところなのですが、これは、言葉としては「そうだよ。君の言う通りだ」と言いつつ、内心は「そんなはずないだろ、そんなわけないでしょ」と否定する「皮肉っぽいニュアンス」の言葉になります。

このような「否定的なニュアンスの Yeah, right」については、このエピソードより後の記事、
フレンズ1-8その1
http://sitcom-friends-eng.seesaa.net/article/388470049.html
で解説しています。
今、じっくり 2巡目に取り組んでおられるところだと思うので、1-8 に到達された時にまた読んでいただければ幸いです。

1-8 で解説するよりも先に、この 1-3 で出てきていたわけですが、実はさらにその前の 1-2 にも、この Yeah, right. は登場していました。
ブログの解説記事では飛ばしてしまったので、ちょっとここで触れておきますね。

フレンズ1-2 の冒頭シーン、フレンズたちが男女の恋愛観の違いを語り合っているシーン。
モニカ: What you guys don't understand is, for us, kissing is as important as any part of it. (あなたたち男性がわかってないことは、私たち女性にとって、キスすることは他のどんな部分よりも重要だって、ことよ。)
ジョーイ: Yeah, right! ....You serious? (あーあ、そうだよねぇ! …って、マジなの?)
フィービー: Oh, yeah! (えぇ、そうよ!)
レイチェル: Everything you need to know is in that first kiss. (あなたたちが知る必要があるすべてのことは、そのファーストキスの中にあるのよ。)
モニカ: Absolutely. (間違いないわ。)

「女の子にとって、キスが何より大事なのよ」と言うモニカのセリフに対して、ジョーイが、Yeah, right! と言っているのですが、その表情や声のトーンを聞いていると、「あはは、全くその通りだよねぇ」と言葉では言いながら、モニカのセリフを、全然、真に受けていないことがわかる気がします。「そんなわけないだろ」というのがジョーイに本音だったのですが、女子の様子を見ていると、それが冗談ではなかったと気づき、「それってマジなの? モニカはマジでそう言ってるわけ?」のように You serious? と言ったのですね。
その後、フィービーやレイチェルもモニカを援護することになります。

このやりとりを文字で見ていると、
ジョーイ: Yeah, right!
フィービー: Oh, yeah!
のような、似た言葉が出てくるのですが、ジョーイのセリフは否定的ニュアンス、フィービーのセリフは(文字通りの)肯定的ニュアンスのように、「表情や声のトーン」で意味が正反対になっているのが、とても面白いなと思いました。

「Yeah, right. という言葉が、否定的に皮肉っぽく使われる」という事実は、学習者としてちょっと混乱してしまいそうですが、実はこのフレーズは、英英辞典などにもちゃんと載っていたりします。

LAAD (Longman Advanced American Dictionary) では、
yeah, right : used to say you do not believe what someone has just told you
例) "She's just trying to help you." "Yeah, right."
つまり、「誰かがちょうど言ったばかりのことを信じられないと言うために使われる」。
例文は、「彼女はただ君を助けようとしているんだよ」「えーえ、そうよねぇ」
(本音は「そんなわけないじゃない」)

Macmillan Dictionary では、
yeah, right : (spoken) used for saying that you do not believe something that someone has just told you
'I'll pay you tomorrow.' 'Yeah, right.'
つまり、「誰かがついさっき自分に言ったばかりの何かを、自分は信じることができないと言うために使われる」。
例文は、「明日、君に(金を)払うよ」「ああ、そうかい」。
(本音は「また嘘ばっかり。払う気なんかないくせに」)

辞書にわざわざ載っていることからも、「文字通りの意味ではない、違うニュアンスで使う」フレーズであることがよくわかりますよね。
もちろん、特に皮肉っぽい口調ではなく、普通に、Yeah, right. と言うと、「ああ、そうだよ」という文字通りの意味になります。
私のブログの解説では、
俺はお笑い担当 フレンズ3-6その8
http://sitcom-friends-eng.seesaa.net/article/388470916.html
に、皮肉ではない、Yeah, right. が出てきていました。

誰かの発言に対して、あきれたように、信じられないというようにむっとした感じで、または少し小バカにしたように笑いながら、Yeah, right. と言った場合には、「皮肉っぽくそう言っている」ニュアンスになる、ということですね。

文字通りの意味ではなく皮肉っぽく使うということでは、最低最悪の状況の時に、Great! 「ったく、もう最高だよ」などと言ったりするのと似た感じでしょうか。
Yeah, right! については、「うん、全くその通りだよねぇ〜」と大げさに言うことで、「んなわけないだろ」というニュアンスを出していることになるわけですね。
Posted by Rach at 2014年06月09日 15:24
早速のお返事をありがとうございます。

英英辞典にも載っているのですね。
とても詳しくかつわかりやすく解説してくださって助かります。

すっきりしました。

第2話にも同じ表現があったのは気がつかなかったです。
記録を見ると5月7日〜5月13日に見て(聞いて)います。

どうしてここではスルーしたんだろうと再度見てみたところ、
私はこの場面のジョーイの「Yeah,right」は
「へー、そうなの?」と割と素直な返事を返したように
受け取っていたようです。

語尾が若干上がり気味だったことでそのように受け取ったのかな〜。

でも改めて見てみるとジョーイの「Yeah,right」は
やっぱり皮肉っぽい感じですね。

それにしても1つの表現で即座にいくつかのエピソードが出てくるところなどは
恐れ入ります。

以前ある鉄道ファンの方とたまたま近くを走る電車のことに話が飛んで、
その方曰く「あの電車は何時何分に××駅で△△行きの快速に接続するから、
何時何分にどこどこの○○駅に到着する」とおっしゃったのに
驚愕した覚えがあるのですけど、今日はそれと同じくらい驚きました。

また疑問な点が出てきたら質問させていただきますので
よろしくお願い致します。
Posted by aki-kiyo at 2014年06月09日 21:34
aki-kiyoさんへ
ご丁寧なお返事ありがとうございます。
「詳しくわかりやすく」と言っていただけて良かったです(^^)

Yeah, right. というフレーズは、文字を英語字幕で見ても、「こんなの簡単、わかるわかる」みたいに、スルーしてしまいがちですよね。日本語で見た時に逆の意味で訳してあって初めて、「あれ?」と思える感じです。
直訳なら「はい、その通り」になりそうなのに、実は逆の意味だった、というのは、フレンズを見始めた頃の私にも結構なインパクトがあったので、1-2, 1-3, 1-8 に出てきた、というのは記憶に残っていたようです。
電車の接続を答えられるようなその鉄道ファンの方には到底及びませんが(笑)、でも、好きな作品だから、「そういえば、、」と芋づる式に、あれやこれやと思い出す、ということはあるのかもしれません^^

ご質問していただけるのは本当に嬉しいことです。2005年に書いた記事が今でも「アクティブ」であることは本当にありがたいのです。ですから、これからもどうぞご遠慮なく、どんどんご質問して下さいね(^^)
Posted by Rach at 2014年06月11日 14:24
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