シーズン1 第13話
The One With the Boobies (目には目を歯には歯を)
原題は「おっぱいの話」
フィービーの彼氏について女性陣は語り合っています。
フィービー: He's so sweet. And so complicated, you know? And for a shrink, he's not too shrinky. You know?
(彼って優しいの。それに、すぐには理解できない複雑さを持ってるのよ。精神科医にしては、そんなに恐ろしい感じもしないし。)
フィービーの今回の彼氏は精神科医(shrink)です。
shrinkとは、「縮む、縮ませる」という意味ですが、「妄想ででっかく膨らんだ頭を縮ませる」ことから、「精神科医」の意味でも使われます。
アリーmy Loveでは、主人公のアリーは精神的に参って、よく妄想を見ますので、shrinkという単語もよく出てきました。
complicatedは「複雑な、わかりにくい」という意味で、人を形容するのに良い表現かどうかはわかりませんが、フィービーは「単純ではない」という意味で使っているのだと思います。
精神科医だから、常人には理解しがたい深遠な部分がある、という意味だと。
not too shrinkyも難しいところですが、「精神科医っぽくない」ということでしょうか?
もしくは、shrinkが「縮ませる、ひるませる」という意味もあるので、「人をひるませるところがない」ということかもしれません。(自信のない説明ですみません。)
レイチェルとチャンドラーが険悪な雰囲気なのを見て、
ロジャー: Did I miss something? (何か僕の知らない事情があるようだね。)
これは直訳すると、「僕は何かを見逃したのかな? 聞き漏らしたのかな?」ということで、つまり、「僕は何も聞いてないけど、何か問題があるようだね」、というニュアンスで使います。
チャンドラーは、偶然、レイチェルの胸を見てしまったことを話します。
「良い胸だったよ。」と誉めても、レイチェルの怒りが収まらないので、
チャンドラー: Rock, hard place...me. (岩、堅い場所、そこに挟まってる俺、って感じだ。)
between a rock and a hard place「苦境に陥って、板挟みになって」という表現がありますが、
それをチャンドラーはジェスチャーを交えて言っています。
何を言っても許してくれないレイチェルを見て、もう手の打ちようがない、って感じですね。
ロジャー: You're so funny. He's really funny! I wouldn't want to be there when the laughter stops. (チャンドラー、君は面白い、すっごく面白い。その笑いが止まった時に、居合わせたくはないけどね。)
面白いと誉めながらも、意味深な発言をするロジャー。チャンドラーがつめよると、
ロジャー: It seems that maybe you have intimacy issues that you use your humor to keep people at a distance. (多分、君は親密な関係になることに対しての問題を抱えてるんだ。だから、ユーモアで人と距離を置こうとするんだね。)
I mean, I just met you. I don't know you from Adam. (僕は君に会ったばかりだし、君をよく知ってるわけじゃないけどね。)
Only child, right? Parents divorced before you hit puberty. (一人っ子だろう? 思春期になるまでに両親が離婚してる。)
チャンドラー: How did you know? (どうしてわかるんだ?)
ロジャー: It's textbook. (典型的なケースだよ。)
not know ... from Adamは「(人)を全く知らない、面識がない」という意味です。
このfromは"tell A from B"「A と B を見分ける」と同じfromで、「(人)をアダムと見分けることができない」、が元の意味です。
Adamとは旧約聖書に出てくる最初の人類。
「そうだ。最初の人間、"アダム"だよ。」(by碇ゲンドウ)←突然のエヴァネタ、すみません・・・。
アダムは誰も見たことがないわけですから、それと見分けがつかないということは、アダムと同じようにその人のことも知らない、という意味になります。
hit pubertyは「思春期に達する、年頃になる」という意味です。
hitはもともと「打つ、当たる」という意味ですが、そこから、「・・・に達する、至る」という意味にもなります。手が届く、という感じかな。
hitの代わりにreachも使えます。
textbookは「教科書」、そこから「教科書的な、教科書の例に出てくるような典型的な」という意味にもなります。
精神科医だから、精神分析はお手の物のロジャー。
すべてを見透かされてしまったようなチャンドラーが、かわいそう。
(Rachからのお願い)
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フィービーが shrink を 形容詞的に shrinky として使っている所ですが、主語は he なので、私は彼が人を恐れさせると言うより
彼自身が「恐れる」「気が弱すぎる」とか「しり込みするタイプ」では無いと言っているのかな?と感じました。
shrinky という形容詞形は辞書にも載っていなくて、ややフィービーの造語っぽい感じもします。
shrink は自動詞「縮む」、他動詞「縮ませる」の両方の意味があるのですが、この形容詞 shrinky は、他動詞のニュアンスがあるのか、自動詞のニュアンスがあるのかがよくわかりません。
普通は、このように人の性格を表す形容詞として使うと、自動詞(縮む)の形容詞形、つまり「気が弱い、しり込みする」という意味だと捉える方が自然なのかもしれませんね。
ただ、彼は「人の頭を縮ませる」という精神科医なわけだから、自分自身が「縮こまってしまう」「小さくなってしまう」人じゃない、というのは、あまりにも当たり前すぎる気がします。
もしくは、フィービーはわざとそんな当たり前のことを言っているのかもしれませんね。shrink の語源を忘れたかのように、彼は shrink だけど、shrinky な性格ではない、つまり、「彼自身は shrink する(自動詞、ひるむ・しり込みする)ことはないのよ」と言っているということかもしれません。
私がどうして上の記事のように解釈したのかをもう一度説明しますと…。
shrink を精神科医という意味で使うのは、「縮ませる」人だから、ということですね。
それで、私は「縮ませる人」なわりには、「人をものすごく縮ませる人、ひるませる人」ではない、と言っているのかなぁ?と思ったのです。
for a shrink, he's not too shrinky. という文は、「shrink にしては、too shrinky ではない。」ということになりますよね。つまり、「He is a very shrinky shrink. ではない」と言っているような感じがしたので、上の記事のように訳してみた、ということです。
ここではジョークや洒落(しゃれ)を言っているというより、ただ単に、その彼がどんなに素敵かを語っているだけのようで、「精神科医って言っても、いかにも精神科医です!っていう威圧的な感じはしないのよ。」と彼を弁護しているような気がしました。
つまり、shrink という名詞に -y をつけて形容詞化した「精神科医っぽい、精神科医のような」という意味が一番近いのかなぁ、と思いました。
後の登場するロジャーくんは、「いかにも精神科医」って感じの人なのですが、恋するフィービーにはそれがわかってないというのが、後から考えると面白いのかなぁ…とか。
イメージされているのか(特にアメリカ社会において)よく
分からないので、訳しにくいところですが、いずれにしろ、フィービーは精神科医らしくない精神科医だと言いたいわけですよね。
フィービーは名詞に -y をつけて「…っぽい、…らしい」みたいな意味の形容詞を作り出すことがあるので、これもそれと似た感じかなぁ、と思ったのですが、実際のところはよくわかりませんね。
最近フレンズを見始めたばかりのChokoboと申します。
先日Rachさんの本を購入させていただきました!
ところで、現在この13話を見ているところなのですが、
チャンドラーとジョーイが二人一緒にベットで寝ている場面で
チャンドラーがジョーイに向かって言う、
"Are they end-to-end, or tall, like pancakes?"
という台詞の意味がすごく気になっています。
日本語の台詞は全然違うので、意訳なんだろうなぁと思って
いるのですが、直訳しても全然意味をなさないし、やっぱり
何か文化的背景を理解していないと分からないんでしょうかね?
Rachさん的にはどのように理解されましたか?
ずいぶん古い回の投稿でとても申し訳ないですが、Rachさんや
皆様のお知恵をお借りしたいなぁと思い投稿してみました。
P.S-書店で本を購入しました!これからも頑張ってブログ
続けてくださいね。応援してます!
はじめまして。ご訪問&コメントありがとうございます。
さらには、拙著をお買い上げ下さったとのこと、重ねてありがとうございます。本当に嬉しいです!
そのご質問のセリフについては、私なりの解釈を、今日、新しい記事として投稿してみました。
そこにも書いたのですが、そのシーン辺りの下書きを、以前にざっと書いたことがあるのです。
end-to-end, or tall, like pancakes については、私もそれほど自信があるわけではないです。私の解釈は、限りなく直訳したものに近いのですが、それが面白いジョークになるのか?と聞かれると、私もよくわからないのです(爆)。他の方のご意見を聞かせていただけるのも期待しつつ…(笑)。
それから、暖かい応援もありがとうございます。これからも頑張ります!
私もアメリカのドラマを見るのがとても大好きな主婦の一人です。
私がフレンズにはまりだしたころはまだ今のようにいろいろなドラマはDVD化されておらず、「フレンズ」か「アリーマイラブ」か、という感じでした。
さて、このエピソードで気になる部分があるのですが、
ストーリーの最後のほうで、チャンドラーが
Things sure have changed here on Walton's mountain.
と言っていますよね。
ここで観客の笑いが入っているのでなにかいつものチャンドラーらしいジョークを言っているということはわかるのですが、私には何がおもしろいのかさっぱりわかりません。ウォルトンの山?って何ですか?
チャンドラー大好きですが、彼のジョークにはいつも悩まされっぱなしです。
はじめまして。ご質問ありがとうございます!
私もフレンズとアリーマイラブは全部見ました。
英語を学ぶためにセリフを見つめる題材としては、どちらも面白いですよね。
そのご質問のセリフと関係ある部分を、フレンズ1-13(その5) で取り上げていますので、そちらのコメント欄にて、私の解釈をご披露したいと思います。
お手数で申し訳ありませんが、
フレンズ1-13(その5) のコメント欄
http://sitcom-friends-eng.seesaa.net/article/388470091.html#comment
をご覧下さい。
「縮む」、「縮ませる」意味ではなく、
「恐れる」ではないかと思います。
まったく推測ですが、精神科医は精神患者を扱っています。特殊の患者なので、
患者には配慮を配りつつ、治療するのは普通だと思います。
(直接病状を聞かなくて、話している内に、自然に病状を理解し、
治療も言わずに、患者に復元する行動を行わせることを誘導する)
つまり、精神科医は洞察力が鋭いですが、直接正直な言い方を回避します。
ここでの[not shrinky]は(病状について)正直な話を言うのは恐れないことを含んでいると思われます。
つまり、意訳すると「精神科医ですが、恐れない(鋭い話をすることについて)」
精神科医らしくないのは間違いないそうです。
参考:
shrinkは、以下の意味もある。(random house dictionary)
to draw back, as in retreat or avoidance: to shrink from danger; to shrink from contact.
またある辞書から(Dr.eye)
The boy shrank into a corner when the bully threatened to beat him.
She shrinks from meeting strangers.
という例も載っています。
以前にも、上のコメント欄で、
shrinky =「恐れる」「気が弱い」「しり込みするタイプ」
という意味ではないか?というご指摘をいただきました。
その「恐れる」が、「(病状について)正直な話を言うのを恐れる」という意味だと Fenさんは解釈されたのですね。
精神科医であれば、相手にズケズケとはっきりものを言うことは避けるべきなのに、彼はそうではない(he's not too shrinky)という解釈も面白いですね。
上のコメント欄でも少し書いたのですが、フィービーは名詞に -y をつけて「…っぽい、…らしい」みたいな意味の形容詞を作り出すことがよくあります。動詞 shrink にいくつか意味があるため、shrinky という形容詞にもさまざまな意味が想像されますが、フィービーはただ、「精神科医なのに、いかにも精神科医ってところがないのよ、精神科医らしくないのよ」と言いたかっただけなのかも、という気もします。正直、この部分はいまだによくわかりません。
shrinkyですが、Season1-1でジョーイとチャンドラーが大工仕事をしているシーンでbrackety thingという部分がありました。
bracketでL字型の取り付け金具ですが、それに-yをつけて「〜っぽい」みたいな意味で使っています。(台詞をbracket-yと表示してあるサイトもあり)
これと同じように shrink-yで「精神科医っぽい」の意味ではないかと思いますが…。
ご意見ありがとうございます。
フレンズ1-1 に、brackety という形容詞が出てきましたね。
また、フィービーはよく、名詞に -y をつけて形容詞にすることが多いようにも思います。
この記事よりも後のエピソードになってしまいますが、
フレンズ2-8その6
http://sitcom-friends-eng.seesaa.net/article/388470252.html
にも、
フィービー: It's not very Thanksgiving-y. (それじゃあ、あんまり感謝祭って感じがしないわ。)
というセリフも出てきます。
今回の shrink-y も「精神科医っぽい」というニュアンスだと捉えるのがやはり一番しっくりくるでしょうか。
「精神科医にしては、極度に精神科医っぽいところがない」「いかにも精神科医です!って感じがしない」というニュアンスなのでしょうね。でもその後、このセリフに反して、いかにも精神科医っぽい言動や行動が続くところがまた面白いのでしょうね。
最近小生が重宝し信頼しているSIM外語研究所の無償メルマガ(VOAを
活用したもの)で所長が推奨するソースネクストの超字幕シリーズで
英語学習を始めたものです!
貴殿の理論は、厚労省認定教育プログラムを保有するSIM外語研究所の
所長の理論(同時通訳方式)とサブリミナル効果という点で共感を覚えました。
今後とも宜しくお願いします。
小生的には、24が好みなのですが日常のコミュニケーションで好評
のフレンズを超字幕シリーズをダウンロードし勉強し始めました。
90年代に5年ほど海外駐在経験があるのですが、未だ貴殿のレベル
まで到達していないので、どうか自信を持ってサイト運営して下さい。
さて興味のなさそうなパッケージを飛ばし13話まで役立ちそうなもの
を購入し見終えました。
またここで
end-to-end, or tall, like pancakes
が、話題になっていますが、私も直訳的に受け止め受けましたよ!
特に男性には受けるのでしょう!?
パンケーキが複数形ですから重ね合わせをイメージしレズビアン的
という補足字幕で納得してしまいました。
如何でしょうか?
はじめまして! ご訪問&コメント、ありがとうございます。
また、私の学習法に共感を覚えていただけたとのこと、さらには私の英語力に対するありがたい評価のお言葉、ありがとうございます。光栄です。
超字幕のフレンズで学ばれているのですね。「パンケーキの重ね合わせがレズビアンをイメージさせる」というのは私も納得です。ジョーイはレズビアンものが好きなので、チャンドラーはちょっとそういうチャチャを入れてみた、ということでしょうね。
一から楽しく見させてもらっています!
1つ質問があるのですが...
このシーン。
Chandler: Y'know, I don't know why you're so embarrassed, they were very nice boobies.
Rachel: Nice? They were nice. I mean, that's it? I mean, mittens are nice.
のやりとりでのmittenは平凡なものの代表例としていわれているのでしょうか?
ミトンだってniceじゃない(そんな表現しないでよ)という意味合いで正しいですか??
回答頂けると嬉しいです!
こちらにもコメントいただき、ありがとうございます。
ご質問の mitten についてですが、やはり「平凡なもの」として名前を挙げたのだろうと私も思います。
同じように手にはめるものとして、5本指の手袋と比べると、作るのがラクそうだし(毛糸で編む場合も簡単そうだし 笑)、「ものすごく手の込んだ、繊細で高級な品物という感じがしない」というイメージ、、なのでしょうね。
boobies を nice と言われたことに対して、mittens を挙げたわけですが、They were nice. という複数形で表現できるものとして、胸と同じように2つで1セット(笑)となる感じのアイテムを挙げたということでしょうね。対になるものと言えば、gloves (手袋)、shoes (靴)も複数形ですが、それらはゴージャスで上等なものも存在しますし、「概して庶民的」な感じがするミトンを使ったような気がします(^^)
先の回でも何度か質問投稿しているみたいです。それにしても昔の自分の投稿は9年前。何かタイムカプセルみたいで、ちょっと感動です(笑)
それよりも何もRachさんのブログが当時と変わらず、お続けになられているのに感動です!本当にいつもありがとうございます!
このコメントもまたさらに9年後に見れるだろうか。(笑)
ということで、今後は石井改めchokoboで投稿させて頂きます。どうぞ宜しくお願い致します。
コメントありがとうございます。
過去にこうしてコメントを下さっていたこと、そして今回、当時の HN を発見して下さったこと、誠にありがとうございます! 本当にタイムカプセルみたいですね(^^)
パンケーキのセリフにご質問いただけたおかげで、別の記事として新たに解説し直すことができました。このセリフはフレンズっぽくて実に面白いなと思います。
そのパンケーキの解説記事へのコメントで「実際に読んでいる本の著者の方と、このような形で交流が持てるとは光栄です」と書いて下さっているのを見て、石井さんと chokoboさんが、しっかり繋がりました!
コメント下さった2008年は1冊目の本を出した直後でした。それから9年後、3冊目の本を出した後の京都セミナーにご参加いただけたことは本当に光栄で、ブロガー冥利に尽きます。私にとってブログは生活の一部、というか人生の一部みたいになっているのですが、ずっと続けてきて良かったなぁ、としみじみ思います。
シーズン1改を始めることができた今、後はもう死ぬまで続けるだけ(笑)と思っています。また9年後にコメントをいただけるよう、これからも頑張って続けていきますね♪
嬉しいコメント、本当にありがとうございました。
こちらこそ、これからもどうぞ宜しくお願い致します(^^)