2005年08月24日

フレンズ1-14その1

シーズン1 第14話
The One With the Candy Hearts (バレンタインの恋愛騒動)
原題は「ハートキャンディの話」

この間フッたばかりのロジャーとデートするというフィービー。
フィービー: Still, it's nice to have a date on Valentine's Day! (それでも、バレンタインデーにデートできるっていいことよね。)
stillは「それでもなお、それにもかかわらず」という意味。
ロジャーのことは好きじゃないけど、デートが出来ないよりはましだ、ということです。
クリスマス、新年、バレンタインと、恋人のいない人にはつらい日々が続きますね。
どうして冬はこういうプレッシャーの多いイベントが続くのでしょうか。
寒くて、人肌が恋しいから?

レイチェルはジョーイとチャンドラーのデートの予定を尋ねます。
ジョーイ: Actually, tomorrow night depends on how tonight goes. (実は、明日の夜は今夜どうなるかで決まるんだ。)
depend onは「・・・で決まる、・・・次第である」という意味。
It depends.だと、「時と場合によるね。」という意味になります。
何か質問されて、状況によって答えが変わる場合には、It depends.と答えてから、細かい事情を説明すれば良いのです。

デートをOKしてもらったロスに、
チャンドラー: Way to go, man! (よくやった!)
これは激励する言葉、または誉め言葉です。Good job.(よくやった)と同じです。
アメリカでは、良い上司とは、部下を上手に誉めることが出来る人だそうですね。
ですから、上司がWay to go!やGood job!と言って、部下を誉めているシーンをよく見かけます。
「理想の上司」を尋ねるアンケートがよくありますが、私の中の理想の上司は、「新スタートレック」のピカード艦長と、「特捜戦隊デカレンジャー」のドギー・クルーガー署長です。(え? 知らない?)
二人とも、部下の能力を認める才能に長けた人(ドギーは犬だけど)です。
機会があったら、一度見てみて下さいな。
↑ガンダムといい、戦隊物といい、私の趣味がどんどん暴露されてゆく・・・ブログって怖い(笑)。

ダブルデート直前のジョーイとチャンドラー
ジョーイ: How do I look? (どう、かっこいい?)
チャンドラー: I don't care. (どーでもいいよ。)
How do I look?は洋服を試着した時に、「どう、似合う?」という時にも使えます。
「私はどう見えますか?」が直訳。
I don't care.は「どうでもいい。気にしてないよ。」と投げやりな感じ。

チャンドラーのダブルデートの相手はなんと、ジャニス。
ジャニス: Oh, my God! (やだ、なんてこと。)
これはジャニスの口癖です。この後、何度もいろんなエピソードに出てきますが、例の笑い声とこのキメ台詞は必ず出てきます。
ちなみに、「オーマイゴッド(オーマイガーッ)」はほぼ日本語と化していて、驚いた時に使うのも英語と同じですね。
ですが、英語では、このようにGod(神)という言葉をみだりに口に出すことはよくないと考えられているので、Oh, my.で止めたり、My goodness!とGodと似た言葉で代用することも多いです。
フレンズでは毎回のように聞くセリフなんですけど、以上のような理由から、あんまり人前では使わない方が良いらしいですよ。

ロレイン(ジョーイのデート相手): Can we have three chocolate mousses to go, please? (チョコムース3個テイクアウトお願いします。)
to goは「お持ち帰り」という意味です。
ファーストフード店では、"For here or to go?" 「こちらでお召し上がりですか? それともお持ち帰りですか?」と尋ねられます。

ジョーイ: Here's my credit card. Dinner's on me. I'm sorry. (これが俺のクレジットカードだ。ディナーは俺がおごるよ。ごめんな。)
"Dinner's on me."のonは「・・・のおごりで」という意味。
これがon the houseだと、「店のおごりで」という意味になります。

(Rachからのお願い)
今回の記事、面白いと思われた方は、下のランキングサイトをクリックして下さいね。
最近、アクセス数が増えてきたのですが、その割にはあまりランキングが上がりません。
もうこれで限界とか!?
とりあえずは、内容を充実させるように頑張りま〜す!!
人気blogランキング

posted by Rach at 12:15| Comment(20) | フレンズ シーズン1 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
オーマイガッ! 
これって、本当に気をつけて使いたい(使わない?)言葉のひとつですね。
不定期に通わせてもらっている英会話教室のフリートークタイムというのがあるんですが、そこの英国出身の講師も、「この言葉を安易に口にしてもらいたくない」と言っていました。子どもに英語を教えることが多い彼女は、小さな彼らがやたらめったら「オーマイガッ」を連呼するのにうんざりするそうです。
文化の違いからくる言葉の受けとめ方の違い、注意したいですね^^;
私たちは大人だから、なおのこと気をつけないといけません。
Posted by Emi at 2006年10月31日 15:06
Emiさんへ
Oh, my God! って、「使わない方がいい、使ってもらいたくない」と言う人が多いわりには、よく出てくる表現ですよね。テニスのマリア・シャラポアさんがインタビューで使っていたのを聞いたことがあるような…。
だからネイティブがそんな風に嫌がっているというのを知らない日本人は結構いるのではないかなぁ、と。

日本の子供は本当によく使いますよね。うちの息子も使ってます。まぁ、小学生男子なら友達との付き合い上(?)、しょうがないかと思うけど、正直、使って欲しくない。あまり気になる場合は注意しますけどね。これを連呼しているのはある意味「ボキャ貧」みたいでかっこ悪いと思うし。

さらに困るのは、2歳の娘まで最近この言葉を覚えてしまったことですね。これはテレビアニメで言っていたのを聞いて、それがどうも印象に残ったらしくて、何かを落としてバラバラになった時に「オーマイゴッド!」と言っていたから、まぁ、使うべき状況はわかっているようなんですが(笑)。
御堅いことを言うようですが、「国際化」だの「英語が大切」だの「美しい日本語」だのと言う前に、この妙な英語の氾濫をどうにかしたらいいんじゃないか、英語圏で使うべきでないと言われている英語を安易にテレビで使うな!と言いたいですねぇ、私は。(←何か、怒ってる?)
Posted by Rach at 2006年11月01日 11:40
古い記事への書き込みですみません。でもこの記事が私にとっては最新なのです。

この記事のジョーイの最後の台詞の後にチャンドラーが、"I hope she throws up on you."と言ってます。彼がどうしてこんな事を言ってるのか、何が面白いのかよく分らなかったのですが、これはジョーイが言った"Dinner's on me."を受けているのですね。
ご存知の通り、"throw up"には「食べたものを吐く」という意味があります。つまり、ロレインが食べたディナーをジョーイの上に…。
汚くてごめんなさい。でも今さっきこのことに気づいて、ちょっと嬉しくて誰かに言いたくて書いてしまいました。きっとRachさんなら気づいていたのではないかと思いますが、こういう発見があると楽しいですね。
Posted by rere at 2007年07月07日 23:23
rereさんへ
古い記事にコメントをいただけるのはとっても嬉しいです。私なりに当時一生懸命書いた記事が、何年も経ってから読んでいただけるなんて、本当にありがたいことだと思っています。

古い記事は、自分でもどういう基準でセリフを取り上げていたのかよくわからないのですが(笑)、確かにご指摘の部分は、笑いのポイントですよね。
on を使った表現を重ねて使っているのが面白いわけですね。この on は「…の上にかかる、乗っかる」みたいなニュアンスでしょうか。
日本語風に言うと、「ディナーは俺に(まかせて)。」というジョーイに対して、「彼女が throw up したものも、お前に(かかっちゃえ)。」という感じですね。

こういう言葉遊び的なものは、日本語訳には出にくいので、英語のセリフを見て、改めて気付く部分ですね。こういう発見があるのは本当に楽しいですよね。
Posted by Rach at 2007年07月08日 11:03
throw upは「吐き出す」の意味を持っていますが、
ここでの"I hope she throws up on you."は
Hug,エッチ関連のものではないかと思われます。

私はいつも大変参考になっているある英語Slangを紹介しているWebsiteでは、(中国語で解説されていますが)
throw sb on sbのことを以下の例として書いてあります。
I saw her throw herself on him.
ここはHugのことですが、HugよりVividly感じられるね。

またこれと似てる単語として、hit on sbがあります。
ここは「打つ」ではなく、「ナンバ」の意味です。例:
Those boys like to hit on me all the time.

例にはthrow,ここではthrow upですので、違うではないかと思ってもしょうがないですが、ChandlerがJoeyからおごって貰って、「彼女があなたに食べたものを吐き出すと希望する」のは何か考えにくい。
Joke好きなChandlerですが、自分のデートが旨く行かなかった当時で、そんなjokeをいうと、なんか意地悪い人になるか。
よって、私は、エッチのことを指しているだと思います。

※アメリカでは、
Throw the power on (turn the power on)
Hit the bed (go to bed)
Hit the road (leave)
のような単語をよく使うらしい
Posted by Fen at 2009年05月27日 13:02
Fenさんへ
throw oneself on somebody が hug のような意味になるのはよくわかります。直訳すると「自分の身をその相手に投げ出す」という感じで、相手に全てをゆだねる感じが出ますね。

ただ、今回の "I hope she throws up on you." については、やはり「吐く」という意味だと私は思います。

ジョーイはずっとロレインとデートしたいと思っていて、ダブルデートならオッケーと言われたので無理やりチャンドラーを連れてきた。チャンドラーの相手はこともあろうに最近2回も振ったジャニスだった。
今、ジョーイは最高、チャンドラーは最悪の気分なのですね。
その上、チャンドラーとジャニスの二人を残して、ジョーイはロレインと帰ろうとする。それだけは勘弁してくれよ、と言うチャンドラーに、クレジットカードを渡し「俺がおごるから」と説得するジョーイ。
そこでやっとチャンドラーもジョーイたち二人が帰ることに同意するのですね。
帰ることを許可しただけであって、ジョーイへの怒りが収まったわけではありません。

ここで「食べたものを吐き出す」という言葉が出ているのは、その前の、
ジョーイ: She said she wants to slather my body with stuff and then lick it off.
ロレイン: Uh, can we have three chocolate mousses to go, please?
からの流れですね。
この二つのセリフから、ロレインはジョーイの体にチョコレートムースを厚く塗りつけて、それをなめて取る(なめて食べる)というプレイをしようと言っていることがわかります。
ジョーイはみじめな俺たち二人を残して、可愛い彼女とそんなことをして楽しもうとしている、だから、その食べたチョコレートムースをお前の上に吐いちゃえばいいのに、と言っているのだと私は思います。

ジョーイはどうしてもロレインと帰りたいので、そんなことを言われても、Thanks. と言って帰って行きます。そんなことを言うチャンドラーが意地悪なのではなくて、二人を残して帰ってしまうジョーイがあまりにも自分勝手だ、ということですね。
Posted by Rach at 2009年05月28日 07:19
Rachさんの説明を読んだら、やっぱり「吐く」の意味かなと動揺している私。
Posted by Fen at 2009年05月28日 23:40
Fenさんへ
あくまで私の解釈を示しているに過ぎませんので、参考程度に聞いておいて下さい。
Posted by Rach at 2009年05月29日 11:18
いつも楽しく拝見しております。

この回の中で、鉄板焼きのお店でロスとキャロルが二人きりで話している場面がありますが、そこでロスがキャロルに "What's say you and I give it another shot?"と聞きます。この"shot"は何を意味しますか?
Posted by wako at 2011年05月24日 14:10
wakoさんへ
いつも楽しく読んで下さっているとのこと、ありがとうございます。

さて、ご質問の件ですが、この shot は attempt 「試み」という意味です。
以前に、その部分のセリフについて、フレンズ1-14(その5) のコメント欄でご質問いただいたことがあり、それにお答えする記事として、
what's sayという表現 フレンズ1-14(その6)
http://sitcom-friends-eng.seesaa.net/article/388471500.html
という追加記事を書きました。
その記事内で、shot の意味についても解説しています。

その説明でわかりにくい部分があれば、またおっしゃって下さいね。
Posted by Rach at 2011年05月25日 12:02
>Rachさん

すいません、既に書かれていましたね。ありがとうございます。
Posted by wako at 2011年05月25日 14:48
wakoさんへ
わざわざのお返事ありがとうございます。
特にシーズン1では、ずいぶん後になってから追加記事を書くことも多かったので、目的の記事が探しづらいことも多々あると思います。今後もどうかお気軽にお問合せ下さい。
Posted by Rach at 2011年05月26日 14:09
"Oh, my God!" についてですが...
「ジュリエットからの手紙」(2010年?)の中で、イギリスの青年とアメリカ女性との間でおもしろい会話があります。アメリカ女性がその青年の祖母について「She is awesome! 」と言ったところ、青年は怒りだし、「"awesome "とか"Oh, my God"と言うアメリカ人は・・・」とアメリカ人の非難を浴びせます。。。イギリスの映画やドラマを見ていると "Jesus!"とか"Jesus Christ!"という言い方はよくするようですが、どうも、"God!"とは言わないようです。
 文化的な背景があるようにみえますが、どうでしょうか?
Posted by kumarla at 2011年12月14日 09:31
kumarlaさんへ
コメントありがとうございます。
その「ジュリエットからの手紙」のセリフを考えると、アメリカ人は、Oh, my God. としょっちゅう言うけれど、イギリス人はそんなことはあまり言わない、みたいな印象を受けますね。

私はアメリカ作品を見ることが多いので、アメリカとイギリスの頻度の違いは、それほどはっきりとは認識していないのですが、確かにアメリカ人は何かと言うとやたらと、Oh, my God. という傾向にはありますね(笑)。

Oh, my God! のような驚嘆のニュアンスを表現するのに、イギリス英語の「ハリー・ポッター」では、Blimey. (発音は「ブライミー」)という言葉がよく使われていた気がします。「ナルニア国物語」「パイレーツ・オブ・カリビアン」「タイタニック」でも、Blimey. は使われていました。
アメリカ英語ではまず聞かない表現だったので、この単語が私には妙に印象的だった記憶があります。

ちなみに、研究社 新英和中辞典では、

blimey 【間】 《英俗》 しまった!, これは驚いた!, とんでもない!
語源 (God) blind me! のなまった形

と出ています。

他に同じような驚嘆のニュアンスのセリフとして、God や Jesus が使われているセリフを自分のデータベースで調べてみたのですが、
「パイレーツ・オブ・カリビアン」では、"Mary, Mother of God."
「タイタニック」では、"Jesus, Mary and Joseph!" みたいなセリフもありました。
また、「タイタニック」では、I'll be goddamned. のように、やたらと、goddamned という形容詞をつける傾向も見られました。

ということで、私もきっちり分析したわけではないのでよくわからないのですが、驚嘆のニュアンスで God にまつわる言葉を使うのは、アメリカ英語以外にもありそうですが、"Oh, my God!" という表現そのものは、イギリス英語ではあまり使われない、と言えるのかもしれません。
私もこれからイギリス作品を鑑賞する場合には、その部分に注目してみたいと思っています。
興味深いコメント、ありがとうございました。
Posted by Rach at 2011年12月16日 17:09
見れば見るほど、フレンズにはまっていきます!私はアメリカに住んでいて、シーズン7くらいから再放送を見始めて、今シーズン1に戻ってきたところです。

こちらのローカル達は何かあるごとに、”Oh my Gosh!! ”って口にします。やっぱり、Oh my God は本当に特別な時にしか言わないみたいで、GodをGoshに変えて使ってますね。
私が住んでるのが中部の田舎なので、どこでもそうなのかわかりませんが、この間ドラマのGleeでもその台詞を耳にしたので、田舎方言というわけでもないのかな(^^;)

Rachさんのこのブログを読み始めて2ヶ月くらいの新参者ですが・・・本当に詳しく調べて解説されていて、すごいと思っています!!こんなに不覚調べるのってすごく時間かけていらっしゃるだろうと思いますが、これからも楽しみにしています。応援してますね!
Posted by ゆず at 2013年06月11日 07:06
ゆずさんへ
コメントありがとうございます。
「見れば見るほど、フレンズにはまっていきます!」とのお話、同じフレンズファンとして、とっても嬉しいです。キャラを掴めてくればくるほど、よりストーリーも楽しめてしまいますよね。

やはり、God を使うのはよろしくない、ということで、Gosh などで代用するのはよくあるみたいですね。フレンズでも、相手が目上の人、あまり親しくない人の場合には、Gosh を使うこともあり、一応使い分けはしているようです。

また、解説についてのお褒めのお言葉もありがとうございます。調べる行為自体も楽しいですし、またそれを読者の皆さんとシェアできるのが本当に嬉しいんですよね。「これって、こういうことなんですよ〜!」とご披露できるから、調べ甲斐がある、と言いますか。
楽しみにして下さっている方がいると思えることが、ブログ継続の原動力です。これからも頑張りますので、今後ともどうかよろしくお願いします!
Posted by Rach at 2013年06月12日 18:13
Rach様
こんにちは!講演会後も楽しく、勉強しています。(今、やっと1−17です・・)
先生のおかげです。ありがとうございます。

ジョーイが、チャンドラーに言った、don't you dare bail on me. の意味が全く分かりません。
裏切るという表現なのでしょうか?
お時間のある時で結構ですので、教えてください。
よろしくお願いします。


Posted by 古川 朋子 at 2014年07月23日 11:24
古川朋子さま
コメントありがとうございます。セミナーへのご参加、誠にありがとうございました。
懇親会でもいろいろお話させていただけて、とても楽しかったです(^^)
その後も、楽しく勉強されているとお聞きしてとても嬉しいです。

「先生のおかげ」などと言っていただけると、「先生って誰?」みたいになってしまうのですが^^ セミナーでは「講師」ということで、南谷先生とご紹介いただくことから、その後の質疑応答や懇親会でも「先生」と呼んで下さる方がいて、本当にありがたくもったないことだと思っております。
個人的には、ブログのハンドルネームである「Rach(さん)」と呼んでいただくのが一番嬉しいのですが、面と向かって「Rach(さん)と呼んで下さい」というのもこれまた恥ずかしいんですよね^^
いろんな呼ばれ方が混在しているのも、「私のことを最初に知って下さったのが、ブログなのか本なのかセミナーなのか」という違いによるものだろうと思うので、それもまた今は楽しいな、と思っています。

「先生」の話で引っ張り過ぎましたw 本題に入りますね(^^)
ご質問の、don't you dare bail on me. について。
その部分、DVDの日本語字幕では、
(字幕)今さら裏切る気か?/(音声)おーおー、今さらキャンセルなんてダメだぞ
と訳されていましたね。
先に結論を言ってしまうと、この英文は、「俺を見捨てるなよ!」というような意味になるのですが、以下でそのニュアンスを説明しますね。
長くなってしまいましたので、お時間のある時に、ゆっくりお読みいただければ幸いです。

まず、don't you dare の部分について。
この Don't you dare...! というのは、普通に Don't と言う「否定の命令文」(〜するな!)をさらに強調した形です。
Don't you dare! だけでも、「やめなさい!」という意味になります。
dare (to do) は「あえて〜する、思い切って〜する」という意味があるので、「あえて挑戦的にそんなことをわざわざしないで」みたいな感覚が入るんだろうな、と個人的には思っています。
LAAD (Longman Advanced American Dictionary) では、
don't you dare! : said to warn someone not to do something because it makes you angry
例) Don't you dare hang up on me again!
つまり、「自分を怒らせるから、という理由で、誰かに何かをしないように警告するために言われる」。
例文は、「二度と私の電話を切るな!」

この Don't you dare については、ずぅーっと先のシーズン7、
新入り、やるわね フレンズ7-13その5
http://sitcom-friends-eng.seesaa.net/article/388472051.html
に、上の LAAD の例文によく似た、
Don't! Don't you dare hang up on me!!! (やめて! 私の電話を切ったりしないで!)
というセリフで出てきました。(朋子さんにとってはネタバレになるため、今はそのリンク先を読んでいただかなくても結構です。参考のため、リンクをはっただけですので)
大意としては、Don't hang up on me!! 「私の電話を切らないで!」とほぼ同じなのですが、you dare が入ることで、「わざわざ私を怒らせるようなことはしないで」のような脅しや警告のニュアンスが入る、ということなのだろうと思っています。

次に、bail on について。
一般的な英和辞典では、あまり意味が載っていないように思うのですが、英辞郎には以下のように出ていました。
bail on=(人)を見捨てる
まさに今回もそういう意味で使っているのですが、英英辞典でもう少し細かく見てみると、
LAAD では、
bail : (slang, disapproving) also bail on somebody
to stop being involved in a situation because you do not want to be involved, especially when this leaves other people to finish something alone
例) You totally bailed on us, man!
つまり、「(俗語、非難(めいた)表現) ある状況にかかわることをやめること、かかわりたくないという理由で。特に、このことが、他の人が何かを単独で終わらせる[片づける]という状態にさせる時」。
例文は、「お前はすっかり俺たちを見捨ててくれたな!」

英英の語義を直訳し過ぎましたが、要は、「ある状況があって、主語がそれとのかかわりを断つことで、残った人がそれを自分だけで成し遂げないといけない、という状況に追い込まれる」みたいなことですね。
残った人だけでやれ、みたいな状態で自分は手を引く、という感じなので、「見捨てる、置き去りにする」または「逃げ出す」のようなネガティブなニュアンスでかかわりを断つ感じの日本語が当てはまると思います。

今回の場合は、ダブルデートなのにチャンドラーが逃げ腰なので、「逃げるなよ、俺を見捨てるなよ」みたいな意味で、bail on を使っていることになりますね。

これまた、先のエピソードになりますが、bail on という表現が出てきた回がありますので、参考までにリンクを以下にはっておきます。
戦うか逃げ出すか フレンズ3-16その21
http://sitcom-friends-eng.seesaa.net/article/388471342.html

ちなみに、don't you dare bail on me. という表現に引っかかった、というのは非常によくわかるんですよね。見た目の構造がわかりにくい文章だと私も思うからです。
特に「あれ?」と思ってしまうのが、don't you dare のところだと思うのですが、これは、以下の研究社 新英和中辞典の、dare の用法にポイントがあると思います。

dare (他動詞)
〔+to do〕あえて…する、思い切って[勇気をもって、生意気にも]…する
用法
ただし否定文・疑問文では dare のあとの不定詞の to が略されることもある
He doesn't dare (to) tell us. 彼には私たちに告げる勇気がない。
Don't you dare (to) touch me. (生意気なまねをして)おれに手を触れたりするな。

(to) の部分は省略可能で、to なしで使える、ということですね。

dare to do(動詞) が「あえて〜する」で、「あえて(そんなことを・俺を怒らせるようなことを)するな」という意味で否定文にするのなら、Don't dare to do になるのが普通ですよね。
それが、「否定文に主語 you をつけて、さらに否定のニュアンスを強調」すると、
You don't dare to do
になり、
それを、「倒置させて、さらにニュアンスを強調」したものが、
Don't you dare to do
という形になる。
研究社の説明にあるように、「否定文・疑問文では dare のあとの不定詞の to が略されることもある」ということで、dare のあとの to が省略されたものが、
Don't you dare do
という形、つまり今回のセリフの、Don't you dare bail on me. になる。
と私は解釈しています。

とりあえず、Don't you dare... が、Don't... 「〜するな」のような意味だと理解しておけば、これから先、Don't you dare do...! の形が出てきた時に、「〜するな!」のキツい意味だと認識することはできますよね。
ただ私は、「どうしてこんな変なカタチ、構文になってるんやろぅ?」と引っかかることが大切だと思っていて、今回もそのアプローチで補足説明させていただきました。

懇親会で朋子さんとお話していた時に、私のあの超長いコメント欄のやりとりをきっちり読んで下さっていること、それを評価して下さっていることがわかったので、それがとても嬉しかったこともあり、今回もちょっと詳しめに書いてみました^^
たかが1文、なのですが、ここで意味や構造についてきっちり理解しておくことで、また似たような構造の文章に出会った時に、その感覚がわかるようになると思うのですね。

Don't you dare... と bail on については、あとの方のシーズンの解説記事でわりと詳しく書いているのに、こんなに初期のフレンズ1-14 に出てきた時には解説で触れていなかったんですね^^
この記事は、9年前(!)の2005年のものですが、当時の私は英英辞典は全く使っていなかったので、仮に記事で取り上げていたとしても、今日書いたような説明はできていなかったと思います。
そういう意味でも、今回こうしてご質問をいただけたことで、コメント欄で記事を補完できたことはとても嬉しいです。ありがとうございます!

この長いレスに怯えず(笑)、どうかこれからもお気軽にご質問下さいね。
セミナーにご参加いただいた方に、こうしてブログをご訪問いただけることは、本当に嬉しく幸せです(^^)
今後ともどうかよろしくお願いいたします。
Posted by Rach at 2014年07月24日 15:23
Rach様
早速、お返事いただき、ありがとうございます。今後は、遠慮なく、Rachさんと呼ばせていただきます。

詳しく、分かりやすい解説に、感動、感激しました。
1-17まで進みましたが、この表現が頭の片隅にずっと残っていて、スッキリしなかったので、Rachさんに思い切って質問しました。

次、同じ表現に出会ったら間違いなく思い出せると思います。

本当にありがとうございます。

今日も関西は暑いですね。
お体に気をつけてください。
Posted by 古川 朋子 at 2014年07月25日 10:39
古川 朋子さま
こちらこそご丁寧なお返事ありがとうございます。はい、これからは、朋子さん、Rachさんと呼び合う仲で行きましょう^^

長いご説明になってしまいましたが、感動、感激、と言っていただけてとても嬉しいです。「もっと簡潔に説明してくれ」と思われる方も大勢いらっしゃると承知の上で、私のこういう、長い解説、説明をすっと受け入れて下さる方に対して、じっくり説明させていただけるのは、私のブロガーとしての喜びでもあるんですよね。

今回のご質問をいただいた時、「なるほど、このセリフか!」と非常に納得したのですが、それは、私がこのブログで、Don't you dare... と bail on について解説したことがあったからです。見た目が変な配置だったり、あまり一般的な辞書には載っていなかったり、、と、引っ掛かる部分にはどこか気になる点があり、実際、それが気になって、後のエピソードでそれを解説した経験があったからこそ、こうしてここでご質問をいただいた場合に、すんなりお答えすることができるわけですね。
フレンズは娯楽作品ですから、学習者用に重要表現をわざと盛り込むような意図的な操作はありません。それでも、「同じ表現に出会う」というのはしょっちゅうです。違ったエピソードで、違った人のセリフの中で、「同じ表現に出会う」という経験の積み重ねが、英語力を高めてくれると信じています。

ここ数日の関西の暑さは特別ですね〜。おかげさまで私は毎日元気に過ごしております。どうか朋子さんもお体にお気をつけて(^^)
これからもよろしくお願いします!
Posted by Rach at 2014年07月26日 16:25
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]

認証コード: [必須入力]


※画像の中の文字を半角で入力してください。