ロス: She says Marcel's humping thing is not a phase. (獣医さんは、マルセルの交尾もどきは一時的なものじゃないって言うんだ。)
Apparently, he's reached sexual maturity. (どうやら、マルセルは性の成熟期に到達したようだ。)
ジョーイ: Hey, he beat you! (おい、チャンドラー、マルセルに負けたぞ!)
beat は「相手や敵を負かす」という意味。
マルセルが性的に成熟したお年頃になったと知り、「マルセルに先を越されたな。」とジョーイはチャンドラーに言いたいようです。
チャンドラーは年齢的にはとっくにお年頃なんですが、いつまでも女性との大人の関係を築くのが下手なので、ジョーイはからかっているんですね。
マルセルを手放すしかないと知って落ち込むロス。一緒に悩むジョーイとチャンドラー。
その格好が何故か、「見ざる・言わざる・聞かざる」のポーズなんですよね。
これには笑ってしまいました!!
が、このことわざ、日本固有のものだと思っていたのに・・・。
だって、日光東照宮の有名な彫刻の一つの三猿「見ざる・言わざる・聞かざる」ですものね。
ところが、一応英訳もあるのです。
"see no evil, hear no evil, speak no evil" というそうです。
日本からアメリカに渡った言葉なのかもしれません。
この言葉は、「・・・ざる」=「・・・しない」の古語と、猿とをかけているから面白い言葉なんですが、
英語にしてしまうと、そのニュアンスが伝わらないのでは・・・とも思うんですが。
ロスはマルセルの引き取り先を探しています。
ロス: We're applying to a lot of them. Our first choice would be a state zoo. You know, like San Diego. (たくさんの動物園に申し込んでるんだ。第一希望はは州立動物園だろうな。ほら、サンディエゴとか。)
But that may just be a pipe dream because he's out-of-state. (でも、それはかなわぬ夢だね。だって、マルセルはその州出身じゃないからさ。)
pipe dream は「かないそうもない夢、空想的な考え」という意味。
これは pipe でアヘンを吸っている人が見るような夢、というところから来ています。
out-of-state は「他の州から、州外の」という意味。
サンディエゴはカリフォルニア州にあります。
マルセルはアメリカでは飼うことを許されていないという外来種ですし、今住んでいるところもニューヨーク州なので、確かに「カリフォルニア州出身」ではなく、州外在住者になりますね。
でも、その州出身の動物なら動物園に入りやすいという特別枠でもあるのでしょうか? (それともただのジョーク?)
(2005.10.5 追記)
F.D.J.さんから、「out-of-state は”正常な状態ではない”と言う意味をかけているのかもしれない」というコメントをいただきました。(くわしいコメントは下のコメント欄をご覧下さい。)
州立動物園の話だったので、私には state は州だという思い込みしかなくって、そこまで考えが及びませんでした。
out-of-state というフレーズをいろいろ調べてみたのですが、意味としては、やはり「(アメリカの)州外の」という意味しか見当たりませんでしたし、辞書にも「正常な状態ではない」という意味はありませんでした。
ただ、「マルセルが州外出身だから、州立動物園に入るのは pipe dream(アヘン吸引者が見るような、かないそうもない夢)だ。」という表現が何だか大袈裟すぎるなぁ、と思っていて、少し違和感を感じていたんですよね。
out of state がイディオムとして「正常でない」という意味がないとしても、確かにF.D.J.さんのおっしゃったように、state の「状態、ありさま、様子」という意味からout of「外れている」こととかけているような気がします。
out of order (常軌を逸して)、out of control (手がつけられない)、out of temper (かんしゃくを起こして)などからの連想でしょうね。
つまり、「州外出身だから州立動物園に入れない」というだけではなく、マルセルが今、発情期で、ちょっと「正常な状態ではない」ので、州立動物園に入るのは「(正常でない人が見るような)夢だ、実現不可能だ。」と言っているとも取れますね。
out-of-state のダブルミーニング(だじゃれ?)だから、観客が笑っているのかもしれません。(州外出身だから、というオチでは、観客がそれほど笑うとも思えないので。)
追加として、すごく紛らわしい話をします。
ここでは、out of stateを「正常な状態ではない」という意味に解釈しようとしていますが、普通は、in a stateで、「興奮状態にある、興奮している」という意味になります。
これはtemper(気分、機嫌)という単語を使った in a temperというイディオムが「短気を起こして」という意味になるのと同じです。
こういうイディオムの場合には、それぞれ普通の状態ではなく、ちょっと特殊な状態(それも悪い意味)を表すというのが、英語の傾向ですね。
まぎらわしい話をして恐縮ですが、ついでに関連する熟語を覚えれば良いかと思って書いてみました。混乱されたらごめんなさい。
(追記はここまで)
レイチェル: Don't wait up. (先に寝ててね。)
wait up とは「起きて待っている、寝ないで待つ」という意味。
up には「体を起こして、(ベッドから)起きて」という意味があるので、wait up は「体を横たえないで待っている」、つまり「起きて待っている」という意味になるのです。
自分が遅くなりそうだから、先に寝ていて欲しい場合には、この Don't wait up.「起きて(私を)待たないで。先に寝ていてね。」という表現をよく使います。
(Rachからの感謝の言葉)
な、なんと、「みんなの英会話奮闘記」の10月4日付「週刊!人気ランキング」で2位になりました。
うわぁ〜、嘘みたい?! クリックして下さった皆様ありがとうございます。(注:「みんなの英会話奮闘記ランキング」への参加は、2016年5月末日をもって終了しました)
「人気blogランキング」も頑張っています。25位に入ったり入らなかったりと微妙な位置につけています。
人気blogランキング
正直トップ5は、かなり手強いブログがひしめいていたので、難しいかなと思ってましたが、あっさり2位まで行っちゃったのでビックリしました。今1位のブログに偵察?に行ってきましたが、あそこは毎日3600ヒットしている超弩級ブログですね。しかもフレンズネタでかぶってるし、手強すぎる相手です。(考えてみると、フレンズ人気って凄いですね)
いつもご指摘ありがとうございます。
私もそんな気がしてきました。だから、pipe dreamという言葉を使っているようにも思えますね。
コメントを元に追記させていただきました。
ありがとうございます。私も2位になれるとは夢にも思っていませんでした。それもこれも、satさんを始め、応援して下さった皆様のお陰ですね。
しかし、こんなに上がっちゃうと、後は落ちてゆくだけかな、と・・・。
それから、「偵察任務ご苦労でした。」(←キシリア少将なら、こんな風に言うかしら?)
もう、ジオンと連邦の国力の差くらい違いますよね。いくら新型MS出しても、学徒兵では勝てない、って感じで(笑)。
あの方のブログは、もうブログの域を越えていて、ホームページでもかなり凝った部類に入るのではないでしょうか。
カバーしている内容も広いし、それぞれも掘り下げ方も深いし、もともと張り合うつもりなど毛頭ありません。
ただ、あの方もフレンズでの英語学習には効果があると思っていらっしゃるようなので、このブログの方向性は間違ってないと言えるかなぁ?
http://sitcom-friends-eng.seesaa.net/article/388470139.html#comment
で、
この回に出てくる
Popes in a Volkswagen.
Take off their hats!
ってどういう意味なんでしょうか?
というご質問がありましたので、こちらで私なりの解釈を述べさせていただきます。
そのご質問のセリフは、上に書いた記事の、
ジョーイ: Hey, he beat you! (おい、チャンドラー、マルセルに負けたぞ!)
と
ロス: We're applying to a lot of them. Our first choice would be a state zoo. You know, like San Diego. (たくさんの動物園に申し込んでるんだ。第一希望はは州立動物園だろうな。ほら、サンディエゴとか。)
の間のシーンに登場します。
そのやり取りは以下の通り。
ロス: I've just gotta get him into a zoo. (マルセルを動物園に入れないといけないんだ。)
ジョーイ: How do you get a monkey into a zoo? (どうやって猿を動物園に入れるんだよ?)
チャンドラー: I know that one! ...No, that's Popes into a Volkswagen. (その方法知ってる! [ひらめいた!という感じで指を鳴らす] …いや違う。あれは、法王をフォルクスワーゲンに入れる[乗せる]方法だ。)
その話には反応せず、ロスは話を続ける。
ロス: Well, we're applying to a lot of them. (たくさんの動物園に申し込んでるんだ。)
その後、マルセルはどこの動物園に行くべきかの話があって、そこに女性陣も入ってきて、今度はニセモニカの話になります。
そこで、突然思い出したように、チャンドラーが、
チャンドラー: ...Take off their hats! (…帽子を脱がせろ!)
フィービー: Popes in a Volkswagen! ...I love that joke. (法王をフォルクスワーゲンに乗せる方法ね! 私、そのジョーク大好き。)
という話の流れになっています。
hat というのは、Pope(法王)がかぶっている帽子のことですね。
Pope とボックスに入れて、グーグルの画像検索をすると、法王様の画像がいくつもヒットします。かぶっておられる帽子には主に2種類あるようで、一つは、頭頂部を覆う形の小さな白い帽子。
もう一つは、前から見るとひし形の下の部分が切れたような形の、白地に金などの帯が装飾されている豪華な感じの帽子。かなり背の高い帽子です。
今回のセリフは、この「背の高い帽子」のことを言っているようですね。
以下のニュースサイトに、その帽子をかぶられている写真があります。
CBC News: Pope starts to eat normally
http://www.cbc.ca/world/story/2005/02/04/pope-health050204.html
このジョークは
Q: 法王をフォルクスワーゲンに乗せるにはどうすればいいか?
A: 帽子を脱がせればいい!
というやり取りになっています。
法王と言えば高貴なお方、フォルクスワーゲンは一般市民が乗る車(安い車、という意味ではありませんので、オーナーの方は気を悪くされませんように…笑)、そういう一般の市民が乗るような車に高貴なお方を乗せるにはどうしたらいいか?という質問に対して、
「あの法王様がかぶっておられる背の高い帽子を脱がせれば、車高の低い(?)ワーゲンに乗せることができるよ。」と答えているのですね。
確かにあの大きな帽子をかぶったままでは乗れないから、まずは帽子を脱いでもらわないといけないけどさぁ…みたいに、期待したのとは違う、ちょっとピントハズレな答えになっている、ただ「物理的な方法」を述べているだけじゃん、という感じのジョークになっているようですね。「あの大きな帽子じゃ乗れないよなぁ…」と思わず納得もしてしまう、あの帽子をイメージできた人には笑えるジョークなわけですね。
チャンドラーが最初にそれを言った時は、ロスやジョーイは何も反応せず、つっこみも入れませんでしたが、後から、フィービーの前でそれを言うと、すかさず「それって法王をワーゲンに乗せる方法ね!」との反応が返ってきました。そのジョーク大好き、と言っていることからも、それなりに有名なジョークなのかなぁ、とも思うのですが…誰でも知っているジョークなのかどうかはよくわかりません。
ちなみに、その帽子の名前はわかりませんでした。ご存知の方がおられたら、教えて下さい。
納得です!
Pope→高貴な人、Volkswagen→一般市民の物、みたいなイメージがあるんですね。
だからTake off〜 がとぼけたジョークになるのかぁ、ナルホド〜って感じです。
わざわざのお返事、ありがとうございます。
Popes in a Volkswagen. と聞くと、「高貴な人が一般市民の車に乗っている」というイメージが浮かぶのですが、その乗せ方を説いた答えは「背の高い帽子をかぶった人を、車高の小さい車に乗せる」方法だった…というオチのようです。
そのピントはずれなところが、とぼけたジョークになっている、ということでしょうね。
その疑問がたぶん解けたと思うのでコメントします。
三猿はWikipediaでは英語版では the Three Wise Monkeys の項目で出ています。この記事では日本の東照宮の三猿などの影響が大きいように書かれています。
一方日本語版の中に
「またアメリカ合衆国では教会の日曜学校などで三猿を用い猥褻なものを見たり、性的な噂を聴いたり、嘘や卑猥なことを言わないよう諭すことがある。」
とあり
英語版にも次の文があり
Today "See no evil, hear no evil, speak no evil" is commonly used to describe someone who doesn't want to be involved in a situation, or someone willfully turning a blind eye to the immorality of an act in which they are involved.
この中のimmorality を(アメリカの教会で教えられているように)わいせつという意味にとれば3人が早くこの問題から解放されたいという欲求をそのままフレンズの一場面にしたおかしさが出てくるのではないかと思います。
コメントありがとうございます。
マルセルに関することでみんなが悩んでいるので、「おサル」繋がりで、the Three Wise Monkeys のポーズをしていることに加えて、今回の悩みの種類がもっぱら「マルセルが発情期である」という性的な問題に集約されているので、immorality なことに対するのと同じような意味も示唆している、いうことは考えられますね。
興味深いコメント、ありがとうございました。
まず、out-of-stateは素直に州外という意味だと思います。アメリカの州立大学は、州内生を優先的に合格させ、その上州内生に安い授業料を設定している一方で、州外生への対応は厳しくなっています。
またアメリカの受験生は憧れの学校のことをdream schoolといい、世界最大級のサンディエゴ動物園を大学に例えると有名難関校ということになり、pipe dreamと表現したのではないかと思います。
party zooに関しても、パーティーが盛んな大学のことをさすparty schoolという表現からもじってるのだと思います。
コメントありがとうございます。
現在、アメリカに留学しておられるのですね。実際に留学しておられる方に、大学受験に関する情報を教えていただけて、とてもありがたいです。
上の記事で、「その州出身の動物なら動物園に入りやすいという特別枠でもあるのでしょうか?」と私は書いたのですが、動物園にそういう枠があるという話ではなく、「州立大学は、州内生優先、州外生には厳しい」という大学受験の話に例えている、と考えると、確かにしっくりきますよね。
動物園選びに関するセリフが、dream school 「憧れの学校」、party school 「パーティーが盛んな大学」という表現から来ているというのもなるほどなと思います。
次の記事、フレンズ1-21その5
http://sitcom-friends-eng.seesaa.net/article/388470145.html
に、
ロス: We didn't get into Scranton. (スクラントンにも入れなかった。)
That was our safety zoo. They take, like, dogs and cows. (あれはすべり止めだったのに。あそこは犬や牛まで受け入れてるんだ。)
というセリフがあって、そこでは私も、
safety school だと「(受験の)すべり止めの学校」という意味になります。
ロスは、子供のお受験に悩む親のようになってますね。
とか書いているのですが、safety zoo だけではなく、zoo に関する全ての話が「子供のお受験」みたいになっている面白さだ、ということですね。
out-of-state は、「州外の」という意味であることは間違いないと思うのですが、私自身は、上の記事内に追記した通り、「正常な状態ではない」という意味を「かけている」という可能性があるような気がしています。
2005年に書いた解釈を、今の私が再度考えてみるとどうなるか、というのを、以下に書かせていただくことをお許し下さい。
pipe dream という単語は、英和、英英、どれにも載っていて、例えば、LAAD (Longman Advanced American Dictionary) では、
pipe dream : a hope, idea, plan etc. that is impossible or will probably never happen
つまり、「不可能である、または恐らく決して起こらない(実現しない)希望、考え、計画など」。
と出ています。
そのような「実現不可能な夢」ということではあるのですが、
研究社 新英和中辞典に、
pipe dream 【名】【C】 空想的な考え[計画, 希望(など)]
語源:あへんを吸って起こる空想から
と出ているように、pipe の部分がポイントかな、と思うわけですね。
この記事を書いた 2005年当時も、a pipe dream という表現が大袈裟過ぎるような気がしていました。just a dream ではなく、あえて、just a pipe dream という言葉を使った理由を考えてみると、out of state を、out of condition 「健康でない、調子が悪い」的な意味としてのダブルミーニングで使っているのならばつじつまが合う気がしたのですね。まさに今回のエピソードが「マルセルが”正常ではない状態”のため、動物園に送られる」という話であることとも一致する気がしますし。
ロスの But that may just be a pipe dream because he's out-of-state. というセリフの後の観客の笑い声を聞いていると、「ジョークにウケている」という印象も受けますので、「州外だから難しいかも」という大学受験になぞらえたことに加え、そういうダブルミーニングネタで笑っているのかもしれない、とも思いました。ただ(自分の中でも意見が揺れ動いているのですが)このセリフを言うロスの言い方が非常にあっさりしているので、判断が難しいとも感じます。同じこのセリフをチャンドラーが、最後の out-of-state をいかにもオチっぽく、ドヤ顔で言っていたりすると、ダブルミーニング説が有力かな、と思うのですが、、、。
ということで、今回のマルセルの state/condition と絡めて、州外のという意味の言葉 out-of-state をジョークのオチに使った、そのダブルミーニングを明確にするために、あえて、a pipe dream という言葉を使った、という可能性も捨てきれない、というのが、今の私の見解になります。
長々と書かせていただきましたが、あくまで「私の受けた印象」に過ぎませんし、a pipe dream という言葉を使ったことに意図があったかどうかということは、脚本家の方に尋ねてみないとわからないことでもありますので、この部分については、参考程度にお聞き流しいただけると幸いです。
興味深いご意見、ありがとうございました!(^^)