フィービー: You won't even taste it? Not even if you just pretend it's milk? (味見するつもりはないの? 牛乳だってことにしても、味見はしないの?)
ロス: Not even if Carol's breast had a picture of a missing child on it. (たとえキャロルの胸に行方不明の子供の写真が印刷されてても、味見なんかしないよ。)
この a picture of a missing child について説明します。
アメリカの牛乳パックには、行方不明の子供たちの写真が印刷されています。
そこには、"Have You Seen Me?" 「私を見かけたことはありますか?」というタイトルがついていて、子供の氏名や最後に目撃された場所・時間などが記載されているそうです。
毎日飲むものだから、より多くの人の目に触れるだろうということで、こういう人捜しの広告がついているようですが・・・。
それだけアメリカでは児童誘拐が多いということなんでしょう。
ロスは当たり前のように”牛乳パック=行方不明の写真が印刷されている”という連想が働くようです。
つまり、説明が回りくどくなりましたが、「キャロルの胸に子供の写真がついている=キャロルの胸が牛乳パックで、そこから出た母乳が牛乳だとしても」僕は味見したくないよ、と言っているのです。
ウイットに富んだセリフではありますが、日本にいる私たちからすると、ちょっと笑えないというか、怖い世の中だな、というか、そんな感じ。
ジュリーと出かけてたことがレイチェルにバレて、必死に言い訳をするモニカ。
モニカ: When it started, I was just trying to be nice to her, because she was my brother's girlfriend. (最初はジュリーに優しくしようと思っただけよ、だってジュリーは兄さんの恋人だから。)
And then one thing led to another and before I knew it, we were...shopping. (それがまた別のことにつながって、気が付いた時には、私とジュリーは・・・ショッピングしてしまってたの。)
led to はlead to (〜につながる、結果として〜を引き起こす)の過去形なので、one thing led to another は「一つのことが別のことを引き起こす、あることがまた別のことにつながる」という意味になります。
ここでは、最初は優しくしようと思っただけなのに、だんだんと行動がエスカレートしていったことを表現しています。
before I knew it は直訳すると、「私が気付く前に、自分で意識してない間に」ということなので、「気が付くと、いつの間にか」という意味になります。
他の人にしてみれば「たかが」ショッピングの話なんですが、ショッピング大好き人間のレイチェルにとっては一大事。
浮気がバレて言い訳をしている夫のようなモニカに笑ってしまいます。
モニカ: Wait, we only did it once. It meant nothing to me! Really, I was thinking of you the whole time. (待ってよ。ジュリーとそんなことをしたのは一回だけよ。私にとっては何の意味もないわ! 本当に、私はいつもあなたのことを考えてるのよ。)
「一回だけ」というのもよく男が使う言い訳です(笑)。
「魔が差しただけ、本気じゃない、大事なのは君だ」などなど。
どこの国でも男の言い草はこんな感じなんですね。
ところでこのモニカのセリフは明らかに男性のセリフのニュアンスを真似ています。
日本語訳も男性言葉にした方が雰囲気が出るのですが、モニカは女だし、その辺が難しい。
日本語だと、最後に「・・・だぜ」とか「・・・だわ」とかが付くことで男性か女性かがわかりますが、英語ではセリフだけでは判断つきませんよね。
だから、このセリフが却って面白く聞こえるのでしょう。
(Rachからのお願い)
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モニカとレイチェルの喧嘩シーンは、いつも面白いですけど、今回紹介なさってる「浮気発覚時の夫婦の喧嘩風」バージョンは、とくに好きで大笑いしました。ブルーミングデールスのオチも。そういえば、チャンとジョーの「子育てがらみの夫婦の喧嘩風」バージョン(ヒヨコがらみ)も後にありますよね? あれも大好きです。
夫婦喧嘩みたいなシーンは本当に面白いですね。チャンとジョーのが特に面白いと思うのは、ゲイのカップルみたいになってるところ。
二人はいつもゲイのカップルと間違えられて、必死に否定してるけど、あの喧嘩の様子を見てると、そうとしか思えないでしょー、って感じです。
tamakoさんのブログ、拝見しました。デヴィッド・シュワイマーのファンでいらっしゃるんですね。ロスがレイチェルに向ける表情は、本当に優しくて素敵だと思います。
これからもよろしくお願いしますね。
浮気を見つかった男が「彼女と会ってる時も考えるのは君のことだよ」と言い訳にならない言い訳をしたりしますが、それを下敷きにしたギャグだと思います。
ご指摘ありがとうございます。
過去進行形なので、おっしゃる通り、ジュリーとショッピングしていた時のことを語っていることになりますね。「ジュリーとショッピングしている時も、ずーっとあなたのことを考えていた」と、心の中ではあなたを片時も忘れたことなどなかった、みたいな言い訳ですね。
ご意見、ありがとうございました。
このEpisode2で質問があるのですが、よろしいでしょうか?
Julieとランチに行ったことがばれたRachelとMonicaの喧嘩のシーンで、Rachelが「Oh, so you just sort of happened to leave it in here?」と言ったのに対し、Monicaが「Did it ever occur to you that I might just be that stupid?」と答えるシーンあるのですが、
字幕では(モニカ)「私がそんなドジを踏む間抜けだと思ってるの?」と書いてあったのですが、私は「私がそんなドジを踏むマヌケかもしれないと今まで気づかなかったの?」と解釈したのですが、どうして字幕のような意味になるのでしょうか?
あと、この後のシーンが変わって、ChandlerとRossがBenの相手をするのに疲れて眠っているシーンで、CarolとSusanが帰宅した時に、Carolが「How did we do?」というフレーズで字幕では「どうも」となっているのですが、How did we do?ってhow do you do?みたいな決まりきった会話的フレーズなのですか?
最後に、Rachさんは、一つのEpisodeを何回位観られますか?私はまず英語字幕無しで観て、iPODに落としたものを音声のみ、もしくは英語音声英語字幕で何回か観て自分で出来る限り解釈してから、辞書で調べたりRachさんのブログの助けを借りながら解釈します。その後電車の中で同じEpisodeを何回も聴いて全部とは言わないまでもある程度フレーズが出てくるようになるまで繰り返し聴いていたのですが、最近先を観たくてたまらなくなってきました。特にRachelとRossの展開が気になって(笑。でもSeason2からスタートしたばかりなので、まだ会話的表現に慣れていなく、Episodeにもよりますが、字幕無しだと60-70%位しか理解できていないと思います。丸暗記しようとはしてませんが、ある程度最初はわからなかったフレーズがすらすらと出てくるようになるまで繰り返し聴くと、1週間に2Episodeが精一杯です。もっとたくさんの英語に触れないとと焦って、どんどん先に進もうとすると、ストーリー展開がわかっただけで先に進むことになり、未消化的な感じがして、DVD学習が本当にためになっているのか?不安になる時もあります。RachさんはDVD学習を英語のどの能力を伸ばすためにはじめられたのですか?私はある程度native speakerとのcasual speakingに役立てられないか?とこの学習を始めたのですが、このやり方でいいのかな?とたまに不安になります。でもcasualなdailyなフレーズって、ドラマでしか学べないのも事実なのですよね。
お時間のある時で構いませんのでRachさんからのアドバイスを頂けると嬉しいです。
コメントありがとうございます。このブログが少しでもお役に立てているとしたら、とても嬉しいです。
まず、ご質問のセリフ、Did it ever occur to you that I might just be that stupid? について。
occur to は「・・・の心に浮かぶ、思い当たる」なので、そのセリフを思いっきり直訳すると、
レイチェル: Oh, so you just sort of happened to leave it in here? (まぁ、それじゃあ、あなたはたまたまここにそのレシートを残してただけ、みたいなことなのね?)
モニカ: Did it ever occur to you that I might just be that stupid? (私がそんなにマヌケかもしれない、ってあなたの心に浮かんだの?)
みたいになるでしょうか?
研究社 新英和中辞典には、
Didn't it occur to you to lock the door? 「ドアに錠をおろすということを考えつかなかったのですか」
という例文が載っていました。
その例文を考えると、「私がそんなドジを踏むマヌケかもしれないと今まで気づかなかったの?」と言いたいのであれば、Didn't it ever occur to you that...? という「否定疑問文」の形になるような気がします。
「思いつかなかったの?」という否定疑問文を使うことで、「思いつかなかったなんておかしい、友達のあなたなら、私がそんなドジを踏むマヌケだってわかってるはずなのに」というニュアンスが出る気がするのですね。
今回のセリフは、Did it ever occur to you that...? という(肯定の形の)疑問文なので、「私のことをそんな風に思ったの? 考えたの? (そんなの信じられない)」みたいなニュアンスが出ているような気がします。
では、that stupid 「そんなにマヌケ(だと思った)」の stupid が何を指しているか?ですが、その前のレイチェルの質問は、「わざと見つかるように入れておいたんじゃなくて、たまたま私のポケットに置き忘れただけだ、って言うのね?」という感じですね。
その言い方は、「モニカはそう言いたいようだけど、私にはそうは思えない」というニュアンスがあるように思います。
stupid が、「レイチェルに見つかる可能性も考えずに、モニカがレイチェルのジャケットのポケットにレシートを入れてしまったというドジ」を指しているのであれば、「私はよくそういうドジをするじゃない、そういう人間だって知ってるでしょ?」と返事することになりますが、その場合はやはり上に書いたように、Didn't it ever occur to you...? という「否定疑問文」になる気がするのですね。
今回のセリフは肯定疑問文で「レイチェルは私をそんなにマヌケだと思ったの?」という意味になることを考えると、stupid が指しているのは、「わざとレシートをレイチェルが見つけそうなところに入れておく」ことを指しているのかな、と思います。レイチェルがそれを発見したらどういうことになるか、こんな風に修羅場になるに決まってるので、わざわざそんなトラブルを招くようなことは愚かだ、とモニカは考えているのかなと思いました。
ですから、そのセリフを、もう少し本心を出して訳してみると、
「ふーん、モニカは、わざとじゃなくて、うっかりポケットに入れちゃったって言うのね。そんなの信じられないけど」
「じゃあ、あなたに見つかるように私がわざと入れたとでも? そんなことしたら、どうなるかくらい私にもわかってるわ。私はそんなにバカじゃないわよ。こんな修羅場になるのは避けたいと思ってたから、あなたに内緒にしてたのに」
みたいな感じになるのかなぁ、と。
それから、How did we do? について。
これは、以下のようなやり取りでしたね。
キャロル&スーザン: Hey! (This wakes Chandler and Ross up) (はーい! [この声で(疲れて居眠りしていた)チャンドラーとロスが起きる]
キャロル: How did we do?
フィービー: Oh, I tasted Ben's milk and Ross freaked out. (あぁ、私がベンのミルク(母乳)を味見したら、ロスがパニクっちゃったの。)
ロス: I don’t-- I did not freak out. (僕は…僕はパニクったりしなかったよ。)
この How did we do? は、How do you do? に形が似ていますが、時制が過去であることと、主語が we である部分が異なりますね。
通常の挨拶の How do you do? と異なり、過去になっていることから、「過去の行動の様子」を尋ねるセリフになると思われます。
英辞郎に以下の文章が載っていました。
How did you do in the race? 「レースの結果はどうでしたか?」
How did you do on your math? 「算数の出来はどうだった?」
そのニュアンスを考えると、過去に行われたことの「結果、様子」を尋ねている感覚だと思います。
意味としてはそのような、How did you do? と同じ感覚だと思うのですが、ただこの場合は、主語が we であることがひっかかりますよね。
この we は恐らく、「親身の we 」と呼ばれるものだと思います。
「親身の we (the paternal "we")」とは、相手に同情的な気持ちを示すために、you の代わりに用いる we のことです。
医療関係者が患者に対して、また親が子供に対して用いることが多いです。
今回は、「私たちがいない間、ベンのお世話で大変だったでしょうけど、どんな感じだったかしら?」という気持ち、その時の様子を気持ちの中でシェアしたい、というような共感の気持ちから、親身の we が使われたのかな?という気がしました。
それから、1つのエピソードを見る回数についてですが、DVD学習法を始めたごく初期の頃は、計5回見ていました。
それは、「Rach流DVD学習法」としてこのブログや拙著でご紹介している方法の「完全5段階」に当たるものですが、その場合は、
1. 英語音声、字幕なし (必ず「”ネタバレ禁止”状態」で)
2. 英語音声、英語字幕
3. 英語音声、日本語字幕
4. 日本語音声、英語字幕
5. 英語音声、英語字幕 (ここで英語の意味を自分で調べる)
になります。
ですが、このやり方はかなり「くどい」ので(笑)、ある程度、慣れてきたら、「はしょる3段階」に変えました。
それは、
1. 英語音声、字幕なし
2. 日本語音声、日本語字幕
3. 英語音声、英語字幕
になります。
最初の頃は、1つのエピソードを調べるのに時間がかかっていたので、そのエピソードが終わるまでの間は、家事の合い間にDVDをつけっぱなしにして、今取り組んでいるエピソードをリスニングするようにしていましたが、調べるのが終わると、さっさと次のエピソードに進みました。
私は、「英語のセリフを字幕でしっかり確認して、わからないところは自分で調べてみる」という作業は大変大事だと思っていますが、あまり1つのエピソードにこだわり過ぎない、という姿勢も大切だと思っています。1つのエピソードを完璧に覚えるとか、かなりの部分を暗記してからでないと次に進めない、と思ってしまっては、なかなか先に進めないからですね。
ドラマを使った英語学習の良いところは、同じシリーズのドラマをどんどん見続けることで、そのドラマに頻出の会話表現がどういうものか、がだんだんわかってくることです。何度も何度も登場するフレーズやセリフが、実際の会話でも良く使われる表現だとわかる、ということですね。
「続きを観たい」という気持ちは、英語学習において非常に大切です。そういう気持ちが芽生えることが、海外ドラマを使う大きな利点の一つでもあります。確かにストーリー展開ばかり気になってしまって、肝心のセリフの解釈がおろそかになってしまってはいけませんが、ある程度、自分なりに調べてみて納得できたら、例えそれが暗記できていなくても、次に進まれることをお薦めします。「何回も聴いて暗記する」という機械的な作業は、その時は覚えたつもりになっていても、またすぐに忘れてしまう気がします。それよりも、新たな話の中で、同じ単語が使われていたり、フレーズがまた少し違ったバージョンで出てきたり、というものに出会う中で、だんだんそのイメージが自分の中ではっきりしてくると思うのです。同じフレーズを100回聞いてそれを丸暗記するよりも、そのフレーズのいろんなバージョンを、また別の状況で、違うキャラの発言として聞く方が、英語のニュアンスをより深く理解できると思います。
私がこの学習法を始めたのは、まずは「英語のセリフを英語のままで理解できるようになりたい」という気持ちからでした。リスニング能力を高める、とかは二の次で、「英語のセリフの本当の意味」を知りたかったからですね。英語のセリフの意味を調べていく中で、英語の構造のようなものがだんだんわかってきて、また、意味を意識して聞くことで、リスニング力も上がってきました。英語の構造が理解できるようになると、普通の書き言葉の英文も左から右にすんなり理解できるようになってくるので、それが結果として、TOEIC の長文リーディングや、英検1級の読解問題にも対応できるようなリーディング力をつけてくれたのだと思っています。
「英会話力を身に付けるには?」ということが最近よく言われていますが、やはり「会話」ができるようになるには、「会話とはこういうものだ」という実例にたくさん当たらないといけないと思います。日本にいながらにしてそれができる一番簡単かつ効率的な方法が「海外ドラマや映画を見る」だと思うのですね。
DVD学習法の成果は、テストの点数のように数字となってはっきり表れるものではないので、不安や焦りを感じられることもあると思います。最初はなかなか自分のペースのようなものを掴めないものですが、こういう学習法を続けていくにつれて、だんだん「調べ方」も上手になってきますし、自分の中に表現のストックも増えてきて、だんだんスピードアップしてきます。ですから、焦らず、楽しみながら、学んでいっていただけたら、と思います。
また、わかりにくい点などありましたら、おっしゃって下さいね。
Didn't it ever occur to you thatで理解していたんだということに気付き、スッキリしました。あと、親身のweなんて、初めて知りました。
本当にありがとうございました。
Season2のEpisode1のどなたかが質問されていたJoeyがRachelに対してI've been with my share of women.に対するRachさんの解説も完璧でしたよ!先日nativeの先生に意味を聞いたらRachさんの解釈通りで、Joeyはplayboyなんだよ、って言ってました。
そしてDVD学習へのアドバイス、どうもありがとうございました。
一つのEpisodeに縛られ過ぎずに100%生の英語で理解し楽しめたら先へ進めていきたいと思います。まだ初めて1ケ月程度ですが、確実にlistening力が上がっているのを感じますし、それが自分の発音にも現れているようで発音をみてもらっている先生に、一つ一つの音がとてもクリアになってきていると褒められました。やっぱりいままで文字中心の学習をしてきたので、今度は聴く学習に特化していこうと思います。
これからも参考にさせてください。
よろしくお願いします。
こちらこそご丁寧なお返事ありがとうございます。
また、別の解説部分についても「完璧」と言っていただき光栄です。native の先生にも解釈を認めていただけて、とても嬉しいです。
DVD学習は、英語力の伸びを数字で測ることができないものですが、数字に表れない「実感」みたいなものが感じられるようになれば、その方法を続けることに確信が持てますよね。私も「いつから」とははっきり言えないのですが、「これでいける!」という感覚を持てるようになってからは、この方法に疑いを抱くことなく、ずっとそれを続けることができました。今でもその「確信」は揺らいでいません。
これからも頑張りますので、今度ともよろしくお願いします。