次に、モニカたちが見せたのは、ロスが行きたがっていたコンサートのチケット6人分。
モニカ: It's on us. So don't worry. This is our treat. (これは私たちが費用を持つわ。だから、心配しないで。これは私たちのおごりよ。)
on には「・・・が支払う、・・・のおごりで」という意味があります。
これまでのフレンズにも何度も出てきました。
treat は「もてなし、おごり」という意味です。
つまり、It's on us. = This is our treat. で、この二つのフレーズは同じ意味になるのです。
ジョーイ: Look, it's a nice gesture. It is. But it just feels like...charity. (なぁ、それは素晴らしい行為だと思うよ。本当に。でも、まるで何て言うか・・・慈善行為みたいだ。)
gesture はジェスチャーと日本語になっていますが、その場合は、「身振り、手真似」、「うわべだけのそぶり、心がこもっていないのにやる気があるように見せている思わせぶりな言動」などを指しますね。
英語の gesture には、そのような「うわべだけのそぶり」という意味ももちろんありますが、うわべだけではない「意思表示としての行為」という意味もあります。
このジョーイのセリフでは、「ナイスなジェスチャーだ。でも、チャリティーみたいだ。」とあるので、gesture は悪い意味で使っているのではないようです。
charity もすでに日本語のチャリティーとして浸透しているように、「慈愛、思いやり」、「慈善行為、施し」という意味です。
ここでは、困っている人に手を差し伸べるという慈善行為や施しのように思える、とジョーイは言っています。
いくら金欠だからって、そこまでのお情けをかけられるのはみじめだ、俺にもプライドってもんがあるぞ、といったところでしょうか。
さらに、「金欠組がそんな高いチケット代を払うお金がないから、いっそのこと、みんなでそのコンサートに行くのはやめよう」と、友情を優先する発言をしたにもかかわらず、コンサートをあきらめきれず、友情よりもコンサートを選んだ、と、ジョーイたちは感じたようでもあります。
このあたりの感情はわかる気がしますね。
ただ、モニカたちにしてみれば、純粋にみんなで楽しめるようにとカンパしただけなのでしょう。
それを、そんなお情けはいらないと拒まれて、お互い、引くに引けない状況になり、ついには喧嘩に。
レイチェル: Do what you want. Do we always have to do everything together? (あなたたちのやりたいようにしなさいよ。私たち、いつも何でもかんでも一緒にしなくちゃいけないわけ?)
モニカ: You know what? You're right. (ねぇ。あなたの意見は正しいわ。)
フィービー: Fine. (いいわ。)
この後、全員が次々と Fine. といいます。この Fine. の使い方は、フレンズでよく出てきます。
fine は「素晴らしい、申し分のない」という意味ですが、それを皮肉っぽく反語的に用いて、「けっこうな、ごりっぱな」という意味にもなるのです。
日本語でも、「それでいいよ。」という時に、普通に言えば承諾したことになりますが、怒った口調で「それでいいよ。」というと、「そっちがそういうのなら、それで結構だ。」と少し投げやりな感じがしますよね。
(Rachからのお知らせ)
このブログはDIONのLOVELOGなんですが、明日11月30日の夕方17:00から12月1日の朝9:00まで、メンテナンスを行うそうです(かなりの長時間ですね)。
その間は、このブログを見ることが出来ませんが、なにとぞご了承下さいませ。
これまでにも、コメントがすぐに反映されないなど、いろいろとご迷惑をおかけしましたが、このメンテでそれが改善されると良いのですが・・・。
(Rachからのお願い)
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いつも楽しく拝見させてもらっています。むし返すようで悪いのですが、ロスの、
14分ぐらいのところに、
I don't understand. I mean, it's like we can't win with you guys.
というセリフがあります。
このWe can't win with you guys.とはどういう意味でしょうか?
You can't win. という言い回しで「何でもうまくいくとは限らない」というような言い方がありますが、これと関係あるのでしょうか。
だけど、with you guysと付くと何だか変だし。。。
分かるようでしたら是非お力をお借りしたいです。よろしくお願いします。
ご質問ありがとうございます。
私はすっかりスルーしていたのですが、can't win は面白い表現ですね。
私なりに調べてみたことを以下に書いてみます。
比較的お金のある3人が、お金のない3人のためにコンサートチケットを買ってあげたら、それが逆に金欠組を怒らせることになってしまったのですね。
そんなことされても、ちっとも嬉しくない、この程度しかありがたくないわ、と指で小さいサイズを示すレイチェルやフィービーたち。
それに対してのロスのセリフが、
ロス: I don't, I don't understand. I mean, you, it's like we can't win with you guys.
でした。
直訳すると、「君たちと一緒にいて、勝つことができない、みたいな感じだよ。」というところでしょうか。
ぷりさんがおっしゃるように、You can't win. には「何でもうまくいくとは限らない」という意味があるようですね。
英辞郎には、
You can't win.=(失敗した人に対して)いつもうまくいくとは限らないよ。いつも成功するとは限らないよ。
という語義が載っています。
また、同じく英辞郎に、
can't win=どうやっても駄目だ
という意味も載っています。
LAAD (Longman Advanced American Dictionary) では、
somebody can't win: used to say that there is no satisfactory way of dealing with a particular situation.
例) No matter what I do, I just can't win.
つまり、「ある特殊な状況に対処する満足な方法がないことを言うために使われる」。
例文は、「私が何をしようと、ただ勝つことができない[ただ、それに対処するのに満足のいく方法がない]。」
次に、with you guys の with のニュアンスについて。
この with は、以下の語義に当たるでしょうか。
研究社 新英和中辞典では、
with=[処置・関係の対象を導いて] …に対して, …について
I can do nothing with this boy. 私はこの子に対して何の力もない(手に負えない)。
上に挙げた、can't win と、with の感覚を使って、日本語にしてみると、「感謝されると思ったら、逆に文句を言われてしまって、これじゃあ、君らに対して満足のいく方法が見つからない。君らに対して何か行動するのに、君らが納得してくれる方法を見つけることができない、方法がない。」という感じかな、と思います。
つまり、「こちらは君らのためにお金を払ったのに、それをそんな風に不満そうに文句を言われるとしたら、僕らは一体どうしたらいいんだよ。じゃあどうすればいいんだよ。どうすれば納得してくれるんだよ。」みたいな感じでしょうか。
英辞郎の語義で、「can't win=どうやっても駄目だ」というものがありましたが、「勝てない、勝つことができない」→「勝ち目がない」→「手立てがない、手段がない」→「どうしようもない、どうやっても駄目だ」という感覚に繋がるのだろうと思いました。
ということで、「君たちのためだと思ってお金を出したのに、それに対して怒るのなら、僕たちは君たちに対してお手上げ、って感じだよ。」と、君たちの言うことや状況に対処しようがないよ、と言っている感覚だと思います。
私も色々調べたら、全く同じ解釈にたどり着きました。
それでも不安だったので、アメリカ人の友人に聞いたところ、その解釈で間違っていないよ、と言われたので安心しています。
それにしても、とても分かりやすい解説で感心してしまいます。
ありがとうございました。
こちらこそ、お返事ありがとうございます。
アメリカ人の友人の方もそう言って下さっているのであれば、私も安心です。
また、解説もお褒めいただき、ありがとうございました。