2006年01月18日

フレンズ1-3その6 ご質問3+マザーグースの話

前回、前々回と、記事のタイトルが長いわりに中身がなかったので、ちょっとタイトルをはしょってみました(笑)。
ということで、昨日の続きです。

Q6、
アランが帰った後のシーン
ジョーイ: Know what was great? The way his smile was kinda crooked. (何が良いってさぁ、彼の笑い方が、crooked な感じなんだよな。)
フィービー: Yes, yes! Like the man in the shoe! (そうそう! 靴の中の男みたいな。)
ロス: ...What shoe? (何の靴?)
フィービー: From the nursery rhyme. 'There was a crooked man, Who had a crooked smile, Who lived in a shoe, For a..while...' (童謡にあるでしょ。「曲がった男がおりました。彼は曲がった笑いをしていました。彼は靴に住んでいました。しばらくの間・・・)
みんなの間に「それって何のこと?」みたいな怪しい沈黙が流れて・・・。
ロス: ...So I think ... (それで僕が思うに・・・)
と、まるでフィービーの言ったことを聞いていなかったかのように、別の話題に移るロス。

google で童話がうまく検索出来なかったのですが、フィービーが童話を間違えて(?)記憶していて誰も理解してくれないところが面白いのでしょうか?


nursery rhyme は「童謡、わらべ歌」ですが、ここでフィービーが言っているのはその中でも特に有名な Mother Goose (マザーグース)ですね。
マザーグースに The crooked man 「曲がった男」というわらべ歌があります。
サーチボックスに「Mother Goose crooked man」と入れて Google 検索すると、この歌の歌詞の載っているサイトも見つかるようですよ。

この歌は、
There was a crooked man, and he walked (or went) a crooked mile...
「曲がった男がおりました。彼は曲がった1マイルを歩きました・・・」
と続きます。

フィービーは smile が crooked (ここでの意味は「ひねくれた」)だと聞いて、crooked smile を思い出したようですが、実際のマザーグースは crooked mile であって、smile ではありません。
mile と smile の発音が似ていたから勘違いしたようですね。

さらに、他の唄も混じってきてしまったようです。
lived in a shoe のフレーズは、同じくマザーグースの There was an old woman という唄に出てきます。

There was an old woman who lived in a shoe. She had so many children, she didn't know what to do.
「靴に住んでるおばあさんがいました。彼女には子供がたくさんいて、何をすべきかわかりませんでした。(することが多くて大変だ、という意味らしい)」

ですから、ご指摘の通り、フィービーがマザーグースをごっちゃにして覚えていたため、他の人に話が通じなかった・・・ということのようですね。

ここからは、マザーグースについて語ります。(これまで、このブログで詳しく書いたことがなかったので・・・)
マザーグースは有名なので、いろんなところに出てきます。
わからない表現が出てきた時には、「マザーグースかも?」と一度は疑ってみたらよいかも。
(他には、私のような仏教徒(?)には、「聖書」の話が出てきた場合も、何のことやらさっぱりわかりません・・・一度ちゃんと勉強したいところですが。)

日本人にも有名なのは、アガサ・クリスティー原作の「そして誰もいなくなった」(原題 And Then There Were None)ですね。
マザーグースの Ten Little Indians という歌のとおりに、10人いた人間が一人また一人と減っていって、そして最後には and then there were none. (そして誰もいなくなった)になってしまうのだろうか・・・?という殺人事件の話です。
私は小説は読んでいませんが、映画は見ました。
このマザーグースが非常に効果的に使われていたと思います。

日本でも、横溝正史の小説などで、わらべ歌に合わせて殺人事件が起こったりしますよねぇ。
ああいう昔から伝わる歌、というのは、一種独特の怖〜い雰囲気があって、それが人の死に絡むと、人間の想像を超えた神秘的な力が働いているのを感じて、恐怖が倍増する、という貴重なアイテムなんでしょう。
外国でも日本でも同じような効果がある、というのが興味深いです。
(ちなみに、横溝正史について書きましたが、あぁいうおどろおどろしいのは、私はどうも苦手で・・・)

お正月に放映していた「古畑任三郎ファイナル」第一夜「今、甦る死」でも、「あの世節」とか言うわらべ歌の内容通りに、人が死ぬという話でしたね。(♪アヘ、アヘ、アヘ・・・と始まる歌い出しには大爆笑!)
人のあらゆる死に方が列挙されていて、「どんな人間も最後には何らかの形で死ぬ」という真理を歌った歌だそうです。
そういうなんだか意味深な部分が、わらべ歌にもマザーグースにも共通したイメージですよね。

ちなみに、このエピソードは横溝正史の金田一耕助シリーズを意識した作りになってましたね。
舞台は「鬼切村」(確か、金田一シリーズには「鬼首(おにこべ)村」というのがあった)、石坂浩二の役名は「天馬恭介」で、耕助と似た感じの名前ですし。(石坂浩二は、何本かの映画で金田一を演じてます。)
関係ないですけど、第ニ夜のイチロー、思ったより(?)お芝居上手でしたね。
むっちゃ浮いてしまうんじゃないかと密かに心配しておりましたよ、私は(笑)。

マザーグース→わらべ歌→横溝正史→古畑任三郎、と、とことん話がずれましたので、マザーグースに戻ります(笑)。

うる星やつらTV版98話「そして誰もいなくなったっちゃ!?」は、タイトルからして一目瞭然ですが、アガサ・クリスティーの小説のパロディーでした。(やっぱり話がずれてるよぉー!)
うる星では、同じマザーグースでも別の歌が使われていました。
「誰がコマドリを殺したか?(Who killed Cock Robin?)」という歌で、「誰がコマドリを殺したか? それは私、とスズメが言った・・・」という歌詞通りに殺人事件が起こる、という展開になっていました。
当時のうる星のチーフプロデューサーは、あの押井守さん(!)。
どこまでこのエピソードに関与されてるのかは知りませんが(脚本や演出は別人なので)、ファンの人気投票をすると必ず上位に入る、とっても面白い話でしたよ。
それから、話が脱線したついでに、この「誰がコマドリを殺したか?」は、実は漫画「パタリロ!」で主人公がよく踊る「クックロビン音頭」の元ネタです。
♪だーれが殺した、クックロビン!♪

このように(どのように?)マザーグースは至る所に(日本のアニメや漫画にまで)登場しているのですね。
続きはまた明日。(後半は、ただの趣味の話でしたね。ごめんなさい。)

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posted by Rach at 13:33| Comment(12) | フレンズ シーズン1 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
わらべ歌とか昔話って、残酷なものが多いんですよね。グリム童話も本当は書けないくらい残酷だったりします。洋の東西を問わずそういうものみたいですね。不思議です。
それから「クックロビン音頭」は印象に残ってたんですが、元ネタが分かってスッキリしました(笑)
Posted by sat at 2006年01月18日 21:58
二日連続書き込む暇人です(笑

何がどうしたって、クックロビンですっきりさっぱり。マザーグースまで勉強しないといけないんですねぇ。。。外国語の勉強に終わりはないのですね。

HNはRachさんお察しのとおり、ピカード艦長からとりました。フレンズもいいけどTNGもね♪ってことで。
アールグレイは、艦長の真似をして飲み始めたらはまってしまい、いろんなブランドを試した結果、FAUCHONに落ち着きました。香りと味と値段(これが実は一番大事?)のバランスが、自分に合ってる気がして。

内容がないので短文にて。
常春の国を夢見ながら。

Posted by ほっとあーるぐれい at 2006年01月19日 12:37
satさんへ
数年前に「本当に怖いグリム童話」という本が流行りましたよね。本は読んでませんが、そうやって小さい頃から、人間の持つ残酷性とかを無意識のうちに教えようとしているんでしょうかねぇ?
それから、クックロビン音頭! この元ネタに気付いたのはいつだったか忘れましたが、わかったときは私も何だかとっても嬉しかったですよ!
中学、高校の頃、パタリロ!よく読んでました。今、手元にはないんですが、今から揃えようとすると、膨大な冊数になってしまう・・・(笑)。
でも、いろんなジャンルのネタが網羅されていて、落語、ミステリー、映画、など元ネタ調べるだけで楽しそう・・・。
Posted by Rach at 2006年01月19日 14:02
ほっとあーるぐれいさんへ
クックロビンの謎、面白かったですか?常春の国マリネラ、あぁ、懐かしいこの響き!(笑)

HNはやっぱりピカード艦長でしたか。良かった・・・というか、嬉しいです。(偶然にしては出来すぎだと思ったんだよなぁ。)
フレンズもTNGも好きな人って珍しいかと思ってたんですけど・・・こんなところに同志がおられたとは!
Engage! とか Make it so. とかのキメ台詞を言う艦長が、ス・テ・キ。我ながらえらく渋い趣味だけど・・・(笑)。

アールグレイ、私はブランドで飲み比べはしてませんが、だいたいTWININGSが多いですね。
また、スタートレックネタで是非是非盛り上がりましょう。(スタートレックの記事を書いて良かった・・・感涙)
Posted by Rach at 2006年01月19日 14:04
うわ〜、mile と smile の違いですか、、、よく気がつかれましたねぇ。
うーん、全然分からなかったです。
もしかして、Rachさんはあの英語の笑い声と一緒に笑っていたのでしょうか?!

マザーグースの知識もかなりお持ちのようで、これまたビックリ。
少しは見習わないといけませんね。
あ、私の持っている知識はこんな感じです。
中学の時に英語の教科書で"Mother Goose"が使われていて、
「母さんガチョウ」ノートに訳して、友達に笑われて・・・

フィービーは子供のころ、
普通の人と違う幼少時代を送っているだけあって
こういう勘違いが出るんでしょうね。
Posted by nino at 2006年01月19日 22:14
ninoさんへ
「母さんガチョウ」って響きが何だかカワイイ(笑)。

上で私が解説をえらそうに書いてますが、それが”当たり”かどうかはわからないですよ。
それから、フレンズ1−3の頃は私も英語を勉強し始めた頃で、ほとんど聞き取れませんでした。もちろん、mile だの smile だのには全然気付いてません。多分、フィービーが何か「ごっちゃ」にしてるんだろうなぁ、という程度で。

マザーグースのことは、何かの本で読んで多少は知ってたところもあるのですが、今回のご質問で、初めてちゃんと調べただけです。smile と mile もその段階でわかっただけで・・・。(あ、クックロビンだけは知ってました・・・笑)。
ですから、このようにマザーグースを語れるようになったのは、ninoさんのお陰です。

そういう誰でも知ってるわらべ歌を間違って覚えてたりするところが、フィービーのキャラクターや生い立ちを表しているんでしょうねぇ。
Posted by Rach at 2006年01月20日 15:14
この歌にはオリジナルとバリエーションがあって、バリエーションではsmileも出てきます。たぶんフィービーはそちらの歌詞の記憶で歌ったのかも知れませんね。
Posted by ぴろろ at 2007年07月01日 01:45
ぴろろさんへ
マザーグースは古い歌なので、きっといろんなバリエーションがあるんでしょうね。

"had a crooked smile" でグーグルフレーズ検索してみると、
以下のような歌詞がヒットしました。

There was a crooked man and he had a crooked smile
Had a crooked sixpence and he walked a crooked mile

これは、The Serendipity Singers というグループの曲で、
タイトルは、Don't Let the Rain Come Down (Crooked Little Man)
というようです。
歌詞が非常にマザーグースっぽいので、マザーグースの別のバリエーションなのか、それをアレンジしたものなのか、マザーグースのイメージで新たに書き下ろしたものなのか、その辺りはよくわからないのですが…。

以下のアマゾンのサイトでは試聴もできます。
Amazon.com: Don't Let The Rain Come Down: The Best of the Serendipity Singers
http://www.amazon.com/Dont-Let-Rain-Come-Down/dp/B000006122

私はフィービーが mile と smile を勘違いした、と思ったのですが、この歌をイメージしていた、ということかもしれません。
Posted by Rach at 2007年07月02日 14:03
過去記事の,しかも本筋ではない脱線部分へのコメントで恐縮ですが・・・


クックロビン音頭の元ネタがマザーグースだというのは,間違いではありませんが,細かく言うと,クックロビン音頭の元ネタである萩尾望都の「小鳥の巣」の元ネタがマザーグースということになります.間にワンクッション入っているわけですね.

そのあたりの経緯は「クックロビン音頭」で検索すると比較的簡単にわかると思います.

昔の少女漫画オタクのつまらないこだわりなんで,スルーしちゃってください,ハイ.
Posted by さへき at 2011年10月25日 22:55
さへきさんへ
興味深い情報、ありがとうございます。

クックロビン音頭とマザーグースの間に、萩尾望都さんの「小鳥の巣」が入っているわけですね。萩尾望都さんの作品は残念ながら読んだことがなくて、私は全く知りませんでした。教えてくださってありがとうございます。

「Wikipedia 日本語版: ポーの一族」
の「作品中のマザーグース」
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%9D%E3%83%BC%E3%81%AE%E4%B8%80%E6%97%8F#.E4.BD.9C.E5.93.81.E4.B8.AD.E3.81.AE.E3.83.9E.E3.82.B6.E3.83.BC.E3.82.B0.E3.83.BC.E3.82.B9
に、クックロビンのこと、書いてありますね。裏話も大変面白いです。

「コマドリの雄」は英語では、cock robin で、本来のカタカナ表記であれば(英語をカタカナ表記するには限界があるのは承知の上で)、「コックロビン」となるところ…それが「小鳥の巣」で「クック」と表記されたため、パタリロのクックロビン音頭も「クック」になった…という話には「ほぉ〜」と感心してしまいました。

実際、英和辞典を調べてみると、

英辞郎
cock robin=コックロビン、コマドリの雄

研究社 新英和中辞典でも、
cock robin=【名】【C】 コマドリの雄
Who killed Cock Robin? だれが殺したコックロビン (注:有名な童謡 (nursery rhyme) のひとつの出だし)

と書いてあります。「クックロビン」ではなくて「コックロビン」と!(笑)。
私がもしこの辞書の校正をしていたら、「もぉ〜、”誰が殺した”と言えば、”コックロビン”じゃなくて、”クックロビン”に決まってるでしょぉ〜」とか言いながら、訂正しているところでした(爆)。

Wikipedia の脚注にもあるように、「パタリロ」の中のセリフで、出典が「小鳥の巣」であることを示す発言もあるようですね。「わかる人にはわかる」みたいな、ファンには嬉しい「引用」だということなんですねぇ…。こういう話、とっても楽しいです。

貴重、かつ、楽しい情報、ありがとうございました。
Posted by Rach at 2011年10月28日 16:36
最近Friendsを見始めたところですが、童謡の元歌を検索してこちらに行き当たりました。10年遅れのコメントですが。
解説にあるように、フィービーは、2つの歌を混同したのでしょうが、脚本家の意図としては、"walked a crooked mile"という多分欧米人なら誰もが知っているフレーズを"lived for a while"へ持っていくために、間に"crooked smile"という韻を踏んだ言葉を入れたのでしょうね。皆は、モニカの恋人が長続きしないということを意味することが分かったために、慌てて話題を変えたということなのでしょう。
マザーグースの2つの歌を使って小ネタを作った脚本家さんに拍手です。
なお、The Serendipity Singers の歌は、64年にレコードが出され、TOP10にもなったとのことですので、頭の中にそれがあったかもしれませんね。
Posted by 曉 at 2021年11月10日 18:49
曉さんへ
コメントありがとうございます。お返事大変遅くなり、誠に申し訳ありません。

「欧米人なら誰もが知っているフレーズを〜へ持っていくために、〜という韻を踏んだ言葉を入れた」というのは確かにおっしゃる通りですね。

また、The Serendipity Singers についてもありがとうございます。TOP10 にもなったのなら多くの人が知っていて、それを意識した可能性も多いにありそうですよね。

貴重なコメントありがとうございました!
Posted by Rach at 2021年11月28日 14:51
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