ロス: For your information, there's a woman at the museum who's curator of moths and other winged things who's let it be known that she is drawn to me, much like a, you know. I've kept her at bay, but if this is the deal... (参考までに言っとくけど、博物館にとある女性がいるんだ。その人はガや他の羽のついた虫の主事をやってる人で、その人がどうやら僕に魅力を感じてるらしいんだな。僕は彼女と距離を置いてるけど、もし、オッケーだって言うなら・・・。)
レイチェル: This is the deal. (オッケーよ。)
let it be known that... は「・・・ということを知ってもらう、知られるようにする、吹聴する」という意味。
drawn は draw (引く)の過去分詞形です。
draw には、「(人の)心を引きつける、(人に)[・・・の]魅力を感じさせる」という意味もあります。
she is drawn to me. は「彼女は僕にひかれてる、僕に魅力を感じてる」ということ。
ですから、ロスが言っているのは、彼女はロスに直接好きだと言っているのではなく、「私はロスのことが好きなのよ。」と周りの人に言っていて、それがロスの耳に届いている、ということ。
人づてに、彼女が自分に好意を持っているのを聞いた、ということですね。
keep ... at bay は「・・・を寄せつけない」という意味。
bay は「湾、入り江」ですから、船を港に着けずに、湾に入った状態で停めておく、ということから来ているのだろう・・・と思っていたら、実は違うようなんですよね、これが。
相互リンクさせていただいている KopyKat さんのブログ ♪♪♪もっとイディオム♪♪♪ の記事 hold / keep sb/sth at bay に
(注:ここでの bay の本来の意味は「窮地」です)
という注意書きがあるんですよね。
それを読むまでは私は「湾」だと思い込んでいたので調べてみると、英和辞典では確かに keep (hold)...at bay のイディオムは、「追い詰められた状態、窮地」という意味の単語の方に載っていました。(つまり「湾」の方のイディオムとしては載っていませんでした。)
Merriam-Webster Online Dictionary (オンライン英英辞典)でも、
bay = the position of one checked (例: police kept the rioters at bay)とあり、いわゆる「湾」のbayとはやはり別の単語に分類されています。
私の持っているロングマン米語英英辞典では、
keep/hold sth at bay = to prevent something dangerous or unpleasant from happening or coming too close と載っているのですが、何故かbayの分類はされていませんでした。(「湾」と「窮地」とを分けていないということ。)
目的語が something dangerous or unpleasant とあることからもわかるように、目的語に当たる部分には「敵や災難」を表す単語が入るようですし、KopyKat さんのダイアログでも、目的語はinsectsでした。
それが辞書に載っている本来の使い方なのは間違いないのですが、じゃあ、ここでのロスのセリフの意味はどうなるんでしょうねぇ?
ロスはその女性のことをそれほどいやがってるようには思わないので、「いやなものを寄せつけない」というよりは「距離を置いている」という感じが近い気もします。
もともとの意味から派生して、その対象物がいやなものでなくても、単に「距離を置く、近づけないようにする」という意味でも使うってことかなぁ?(一人で勝手に悩んじゃってすみません。)
deal は「取引、取り決め、契約」という意味。
It's a deal. や That's a deal. で「商談成立、取引成立だ。」という意味になります。
Deal. とも言います。
ロスとレイチェルは、一度は相思相愛になったのですが、ロスがリストを作ったことで、今は決裂状態になっています。
それでも、一度は付き合おうとした間柄なので、別の人と付き合うことに抵抗があるロスですが、ここでは、レイチェルがラスと付き合い、ロスがその博物館の女性と付き合うことで、「取引が成立するというのなら・・・」、つまり「これでお互い様だから、何も後ろめたく感じる必要がないというのなら」という意味で使っています。
ラスとレイチェルがデートに出掛けたので御機嫌ななめのロス。
モニカ: Do you not see it? (ロスは見てないの?)
ロス: See what? I don't know what she sees in that goober! (見たって何を? レイチェルが、あんなおバカのどこが良いと思ってるんだか、わからないよ。)
I don't know what she sees in him. は「レイチェルがラスの中の何を見てるのかわからないよ。レイチェルがラスのどこが気に入っているのかわからないよ。ラスの一体どこが良いっていうんだ?」という意味。
ラスのことをけなしているところから、ロスは単にレイチェルがデートに行ったから怒ってるだけのようで、相手がロスのそっくりさんであることには全く気づいてないようです。
see in は フレンズ1-24その5 にも出てきましたね。
(Rachからのお願い)
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いっしょに考えていただいて、本当にありがとうございます!(何だか、KopyKatさんに意見を求めるみたいな記事になってしまってますねぇ、ごめんなさい。)
「ロスの表情を見ることができない」とおっしゃったので、じゃあ私が見てみようとDVDを見たら、このセリフの時に、ロスはレイチェルの方を向いていて、観客の誰にも彼の表情を見ることはできないんですね。(そういう意味だったんだ・・・?笑)
something dangerousとして「冗談ぽく」言っているというのは「なるほど!」です。ロスはレイチェルが好きなので、レイチェルに対して彼女のことを「大歓迎だ」と言いたくはないでしょうしね。
「言葉は辞書通りではない、生き物だ」というお話はその通りだと思います。ドラマのセリフでそういうニュアンスが少しは掴めるようになってきたような、ならないような・・・(笑)。
たぶん、それが一番の理由だと思います。そうか、このころはまだレイチェルに未練があったときだったんですね。
辞書自体、人々の間で実際に使われている単語やフレーズなどの用例を集めた「コーパス」というものを基にして作られているので、頻繁に更新されなければ、out of date になります。新しい用語・語法としてこれから辞書に入れられるべきものと、認められないような間違いの線引きが難しいですよね。そういう意味で、DVDやメディアを使った学習は効果的だと思います。
日本語でも、若者言葉や間違い言葉を辞書に入れるかどうかでよくもめてますよね。でも、辞書を見ると、「昔はこういう意味だったがそこから派生して・・・」とか、「誤用されて」とか書いてある言葉もあります。
「新しい(あたらしい)」という言葉は、もともとは「あらたし」で古典でも習う古語なんですが、その「あらたし」が可惜し(あたらし、「このままにしておくのは惜しい」という意味)と混同したとか、「ら音」と「た音」が逆転したとか、言われているそうです。(何故に私は英語ブログで古文の話を書いているのか・・・?)
つまり、そうやって言葉は変わっていくんですよね。
だから、あまり辞書どおりの意味でないことには拘らずに、このドラマではこんな風に使っていたな、とかで覚えた方が、結局は使える英語が身につく、ってことでいいんですよね!
ROSS: Hey, I didn't know we were, uh, seeing other people.
ここまでは、ロスは「一体なぜなんだ」という感じなのですが、
RACH: Well, we're not seeing each other, so....
レイチェルにあっさりと言われ、ここで、ロスは見栄を張って「ちょっとまって、君だけが過去にとらわれず新しい道を歩き出しているんじゃないんだよ」的なモードに入ります、
ROSS: Well, uh, for your information, there's a woman at the museum, who's curator of moths and other... uh... winged things... who's, uh, let it be known that she is drawn to me much like a... well, you know. But so far I've been keeping her at bay, but, uh, if this is the deal...
まず、これが事実であるとは思えませんよね。 ロスの様な専門家が、その女性のことを言うときに
"who's curator of moths and other ...u ...winged things." のようにしどろもどろになりながら "winged things" という表現を使うでしょうか? レイチェルにわかりやすいような表現を使うがために言葉に詰まった、とも考えられますが、私には「空想の女性」としか思えませんでした。 また、全くのでまかせではないかも知れませんが、"who's let it be known that she is drawn to me." というのは極端な誇張ではないでしょうか?
また、ここではわざと、冷静に装って、ロス的なまわりくどい表現を無理して使っているように思えます。
"who's, uh, let it be known that she is drawn to me much like a ..." の部分ですが、ここの不自然に平成を装った表現と、レイチがラスと出かけてしまった後でのものが全くことなる調子だからです。
ROSS: [upset] She's dating. She's dating.
ここでの調子は "if this is the deal." とわりきっていた様子とは全く異なるものです。
さらに、
CHAN: Yes, yes, but did you see who she was dating?
ROSS: What do you mean?
MNCA: Do you not see it?
の問いかけに対しては、完全にダダッ子のようにごねています。
ROSS: See what? I don't know what she sees in... innn that goober. And it takes him, what? Like... like... I don't know, uhh... uhhh, hello.... a... week, to get out a sentence.
また、これは私の完全な推測ですが、
So far I've been keeping her at bay.
の部分は第三者を語るにおいて優等生のロスが使うような表現とも思えません。 まず、ここではその女性がロスにとって「危険なもの」である、つまり非常に強引に迫っている、ということを匂わせたかったのではないでしょうか。 押し寄せてくる敵、のような感じでしょうか。 そして、勿論、ロスのレイチェルとの関係を断ち切ってしまいたくない、ということを遠まわしに示しているのではないかと思います。
Wow! 久しぶりの長文コメントありがとうございます! こういうの、お待ちしておりました(笑)。
そのガ担当主事の女性は「空想の女性」だ・・・というのは、F.D.J.さんの説明を読んで、私もそんな気がしてきました。
winged things といいながら、羽をパタパタするジェスチャーをして、「こんな感じのやつ」って説明してますよね。
これが本当に実在する女性なら、ロスならもっと詳しく説明して、さらには詳しく説明しすぎて、「蛾には結構珍しい種もいるんだけど」などと話がその蛾の方に脱線してしまって、"I mean..." いや、僕が言いたいのは・・・と軌道修正するくらいのこともあり得そうです。(ちょっとこれは考えすぎかもしれませんが。)
だから、その「しどろもどろ」具合が、ロスが冷静でない、いつものロスでない、のを表してると言えるし、全くの真実を語ってるのではないと示唆しているとも言えますね。
また、「僕にデートしてくれって言う女性がいる」とは断言せずに、そんな話を聞いたとぼかしているのも、あとの逃げ道を用意しているようにも思えるような。後でその女性とはどうなったの?と言われた時に「彼女が僕に気があるって話を誰かから聞いたんだけどなぁー、誰かの勘違いだったのかなぁー」みたいな言い訳ができるように。(これまた考えすぎか?)
だから、keep...at bay はやはり辞書通りの意味で使っていて、something dangerous or an enemy を遠ざける、ということになりますね。
「僕におネツなんで困っちゃうんだよねー、相手が積極的なんだよねぇー」と自分もモテモテである、自分だっていくらでも相手がいるんだよ、女の子がほっとかないんだよ、と言いたくて、わざと「僕からは危険なものとして遠ざけてるけど、相手が勝手に迫ってくるんだ」みたいにkeep...at bayを使っているということですね?
それから、レイチェルが僕のことまだ想ってる場合のために、あえてここで止めてあるんだけど・・・という余裕を見せてる、ってことかもしれません。
私が最初のコメントで書いた「その女性のことを大歓迎だとは言いたくないからkeep...at bayを使っている」というのは、レイチェルに未練があるロスの本音だと思ってたんですが、「大歓迎ってほど、女には困ってないよ」っていう見栄の表れだと解釈するのも面白い気がします。
あまり書き込みはしていませんが、マイペースでフレンズ攻略をぼちぼちと続けています。
Rachさんの丁寧な書き込みや説明は本当に役立っています。m(_ _)m
さてkeep〜at bayは全く知らない熟語で、ここで覚えました。
英和活用にも
hold [keep] an enemy [a disease] at bay 敵[病気]を寄せつけない
とありました。
例文が欲しくてググってみたところ
8 Ways to Keep Mosquitoes at Bayなんてのがあり、本当に「寄せ付けない」意味だと納得しました。
ところでラスはシュワイマーの一人二役なんですか?
こちらで読んでびっくりしました。
私は、よくもまあこんなに似た俳優を見つけてきたなあ〜ぐらいで見てたので。(爆)
二人同時に映っているところは、テレビなら特撮ができますが、舞台上ではどうしてたんでしょう?
お久しぶりです。コメント、そしてお褒めのお言葉もありがとうございます。
やはり、そういうフレーズを覚える場合は、「…を寄せ付けない」ではなくて、「敵を・病気を・蚊を、寄せ付けない」という風に、具体的なものと一緒に覚えるべきですよね。その方がイメージがよりはっきりしますし、誤った使い方を避けることにもつながりますよね。
ラスは、ロスとあごなどの形が違っているようにも思いますし、色もロスより白いですし、髪形も違いますけれど、やはりシュワイマーの一人二役のようです。特殊メイクか何かで、少しだけ違う感じを出しているのでしょうね。
エンドクレジットでは、Snaro とクレジットされていましたが、
IMDb : "Friends" The One with Russ (1996)
http://www.imdb.com/title/tt0583567/
の、Cast では、
David Schwimmer ... Dr. Ross Geller / Russ (also as Snaro)
と表記されています。
また、
IMDb : David Schwimmer (I)
http://www.imdb.com/name/nm0001710/
にも、
Alternate Names:David Schwimmer Arquette | Snaro
と書いてありますね。
(ちなみに、アークエットと名前についているのは、モニカ役のコートニー・コックスがデビッド・アークエットと結婚した時に、クレジットで他のみんなにもアークエットという名前をつけてお祝いした時のものです)
フィービーとアースラの場合も、一人二役ですよね。代役を立てて、後で合成しているのでしょうが、舞台の前で見ている観客にはそれがイメージしにくくて、困ったかもしれませんね。