スージー: But you know what would be even sexier? (でも、どうしたらもっとセクシーになるか知ってる?)
チャンドラー: What? (どうしたらいいの?)
スージー: If you didn't have your shirt tucked into them. (シャツをパンティーの中にはさみ込まなかったら、もっとセクシーよ。)
tuck は「(衣服などの)端を・・・に押し込む、はさみ込む」という意味。
また名詞では「縫いひだ、タック」という意味にもなります。
スージーのセリフで、チャンドラーが自分のシャツを、ズボンの中に入れるようにパンティーの中に入れていた、ということがわかります。
それは変でしょ、やっぱり(笑)。
ちなみに、tucked into them の them と複数形になっているのは、panties が複数形だからでしょうね。
panties、pants (パンツ)、trousers (ズボン)、scissors (はさみ)、glasses (眼鏡)など、二つがセットになっているものは複数形なんですよね。
日本人の発想では、仮にパンティーが頭に浮かんでも、それを代名詞で表現する時に、them ではなく、it などの単数形で言ってしまいそうな気がします。
ところで、このエピソードでは、スージーの下着のことを underwear または panties と2つの表現を使っています。
もしスージーのセリフが、tucked into panties ではなくて、tucked into underwear だったら、その代名詞はどうなるか?
underwear は辞書に uncountable noun (不可算名詞)と書いてあります。
意味は「下着類」。
Merriam-Webster Online英英辞典では、
underwear = clothing or an article of clothing worn next to the skin and under other clothing
とありますので、「衣類」または「衣類1点」を指すということですね。
このエピソードで使われている underwear は、「スージーの下着」という「ある衣類1点」を指しているわけですが、不可算名詞なので、たとえ衣類1点を指す場合でも、"an underwear" とは言わないわけです。
そして、この場合の underwear を代名詞で受ける場合は、it になるはずなので、スージーがこの時、panties という言葉を思い出さずに underwear という単語を思い出していれば、tucked into it になったかもしれない、ということでしょうか?
そうすると、仮に日本人がここを them とせずに何の気なく it にしても、相手は勝手に it = underwear と解釈してくれるので、この場合は問題ない、ということでしょうか?
(一人で問題提起して、一人で悩んでるみたいですね・・・すみません。)
この underwear という名詞を見ていて、ふと疑問がわきました?
これはもしかして集合名詞なんだろうか?
そもそも、underwear は wear (衣類)の複合語ですよね。
ですから、この underwear 並びに wear が集合名詞なのか、について考えてみたくなったわけです。
以下、ひたすら文法の話が続きます(笑)。
集合名詞とは、family (家族)、committee (委員会)、government (政府)など、その中に複数のメンバーがいるものの集合体、または、clothing (衣類)、furniture (家具)、baggage (手荷物)など、同じ種類のものをまとめた総称、を表す単語ですよね。
よくTOEICの下線部訂正問題でひっかけに出てくるヤツ(笑)です。
文法書を見ると、集合名詞は、同じ種類のものの集合を表し、集合体をまとめて1つの単位として見る場合は単数扱いで、集合体を構成する個々の物体を考えている場合は複数扱いにする、とあります。
さらには、週刊ST 2006/3/24 号の James Tschudy さんによる英語コラム ODDS & ENDS では、
アメリカ英語ではそういう集合名詞を単数形として受けることが多く(例: The Government is... )、イギリス英語では複数形として受けることが多い(例: The Government are... )
と書いてありました。
それはやはり、その単語をまとめて見るか、構成要素で見るか、という違いから来ているようです。
underwear の場合は、普通は、無冠詞で Underwear is... と単数扱いになると思うのですが、複数の下着類がイメージとして浮かんでいるなら、Underwear are... と複数扱いになるようです。
複数扱いになる例としては、下着の会社が自社製品の品質の説明などをする時などでしょうか。
(Disney shopping) Disney Underwear
のサイトに以下の文章を見つけました。
Our Disney Underwear are the best quality available and are 100% authentic. 「我々のディズニー・アンダーウェアは、(この世で?現在?)入手可能なものの中では最高級品で、100%本物です。」(←ちょっと訳がパッとしませんが・・・笑)
Disney Underwear と大文字になっているので、「ディズニー・アンダーウェア」という固有名詞(商品の種類)だとは思うのですが、それでも are で受けて複数として扱っているのは、「わが社が扱っているパンティー、ショーツ、ブラなどの個々の下着類は・・・」というイメージがあるからなんだと思うんですよね。
ただ、文法書の「集合名詞」の中に wear は載っていないし、英英辞典などを見ても、有名どころの集合名詞でも、「collective noun (集合名詞)である」とわざわざ明記してあるものは見つかりませんでした。
underwear が集合名詞かどうかを調べたくてネット検索していると、不可算名詞、集合名詞について詳しく書かれている記事を発見しました。
日向清人先生の ビジネス英語雑記帳 というブログです。(私がなかなか上に上がれない(笑)人気blogランキングで、常に上位にいらっしゃる有名ブログですよね!)
先生の書かれた
数えられない名詞:何が不可算とされるのか
(続)数えられない名詞:可算名詞と不可算名詞を分けるものは何か
(完)数えられない名詞:不可算だったり、可算だったりする名詞について
の記事に、集合名詞の例などが挙げられていたので、思い切って、
「数えられない名詞:何が不可算とされるのか」のコメント欄 で、「underwear は集合名詞(collective noun)でしょうか?」という質問をさせていただきました。
すると、早速先生からコメントのお返事をいただきました。(ありがとうございます!)
詳しいお返事の内容は、上にリンクしたコメント欄で読んでいただいた方が望ましいと思います。
先生の結論は、
underwear は mass noun (→下で解説します)とみて問題はないし、その使われ方から、集合名詞 clothing の仲間であるとも言える。
が、mass noun は実際上は不可算名詞と同義で使われるので、ただ「不可算名詞である」という理解でよいのでは?というお話でした。
ちなみに、mass noun とは、私が調べたところによりますと、「質量名詞。数えられない名詞で、物質名詞と抽象名詞を含む」もののようです。
私は今回初めてこの単語を見たのですが・・・(まだまだ勉強が足りませんね・・・笑)
つまりは、clothing と同じような扱いをする collective noun または mass noun であるとして問題はないが、その区分けにこだわるよりも「不可算名詞であること」に注目すべきではないか、ということだと私は理解いたしました。
実際、先生の記事では、不可算名詞について、「集合名詞」「抽象名詞」という区分けとは違った別のカテゴリー分けについて説明されていますし、そのカテゴリー分けの方がよりイメージが沸きやすいものであるのは間違いありません。
最初、先生に質問した時は、「underwear (またはwear)は集合名詞である」ということを断言していただきたかったのですが(笑)、そういう単なる文法上の区分けではなく、もっとその単語の持つイメージに即した理解をすることが大事なのだと思いました。
・・・ということで、初コメントの私の質問に、先生がご丁寧にお返事して下さったこともあり、久しぶりに文法がらみの記事を書いてみました。
文法は苦手、という方には申し訳ありませんでした。
明日はフレンズ解説に戻ります!
(Rachからのお願い)
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ここで最初に「それもアリですね!」と書いちゃうと、誤解を招く恐れがあるので(笑)、ゆっくりじっくり書かせて下さい。(fdjさんの3行コメントに、むっちゃ長いコメントの返事を書く私をお許し下さいませ・・・短く書けないんですよね、いつまで経っても・・・笑)
コメントが長くなるので、まず私の意見の要旨を述べると、
1.実際の運用例としては、underwear は「(例外なしに)不可算名詞である」と書いてあるところから、an underwear という表現は恐らく現在使われていないし、間違いだと見なされる可能性が高い。
2.しかし、a という冠詞の持つ性質を考えると、an underwear という言葉を”あえて”使った場合に、ネイティブが「個々の下着である」と認識できるはずである。
実際に、不可算名詞でありながら、可算名詞扱いされる単語も存在するので、underwear も近い将来、「可算名詞」として使われるようになる可能性もある。
1.については、fdjさんにとっては、釈迦に説法なんですけど(笑)、ちょっと自分の頭を整理するために書かせて下さい。
集合名詞について、「数研出版 基礎と完成 新英文法」には以下のように書いてあります。
集合名詞には、それぞれ単数のメンバーを表す別な名詞があって、いわば”分業”が行われている。
例としては、集合名詞 cattle に対して、a cow, an ox, a bull などの単数名詞があること、など。
霊長目・ヒト科 ホモ・サピエンス、みたいに言うと、衣類目・下着科・パンティー(例えが、お下品ですみません)という感じになり、下着科の下には「さらに細かいカテゴリーを表す言葉がある」という理由で、下着科である underwear は「集合名詞」であり、「不可算名詞」であると言えるのだと思います。
また、ぐぐってみますと、a piece of underwear という表現はかなりヒットしますが、"an underwear" で検索すると、「an underwear + 名詞」の形、つまり形容詞として使われているものしか見当たりません。
これはやはり wear が不可算名詞である、だから定冠詞の an はつけないのだ、というネイティブの共通認識があるからなんでしょうね。
2.についてですが、実際、日本語で「下着」という言葉で個別のものを指すように、「下着という(パンティーなどと種類を特定することなしの)個別のもの」は確かに存在しているんですよね。そういう意味では、particularize 「個別なものとして言及し、示し、扱う」されてもおかしくないと言えるかも。
今回の記事でリンクさせていただいた日向先生の記事
(続)数えられない名詞:可算名詞と不可算名詞を分けるものは何か
http://tottocobkhinata.cocolog-nifty.com/bizieizakkicho/2005/11/post_baf6.html
で、不可算名詞が可算名詞化する場合の説明として、「輪郭」という言葉を使われていました。
ですから、不可算名詞である underwear を "an underwear" とあえて表現した場合には、「下着類の中の”輪郭を持った”ひとつのアイテム」がネイティブの頭には浮かぶだろう、と私は思います。
a を使うことで、輪郭を持つことを表現できるのが英語なわけですから(←そんな風に断言していいのか、私?)、今現在は不可算名詞で無冠詞とされているものでも、それを冠詞をつけて、particularize したものとして使うという傾向は増えてくるような気がします。
日向先生も記事の中で、コーヒーを例に挙げておられました。
私の記憶では、学校で英語を習った時に、a cup of coffee と言わないと間違いだ、みたいに言われていた気がしますけど、実際は a coffee という表現はよく使いますよね。a coffee = a cup of coffee であると瞬時にわかるわけですし、わざわざ a cup of coffee といわずに、a だけで「輪郭を持ったコーヒー」であることが明示できるのであればわざわざ回りくどい a cup of という表現をしなくなっていきますよね。
a coffee という表現がいつから使われているものかは知らないのですが、きっと言葉が変化していって、この形が出来たのだと思います。
だから、個々の下着を an underwear と呼ぶのは「感覚的には」または「将来的には」「アリかも」と私は思います。
(ここまで読んで下さった方、ありがとうございました!)
ということで、上に書いたのは、あくまで「私が考えた」意見です。
正直、それがあり得るのかどうかもよくわからなくなってきました。
まぁ、ひとつの”説”として、読んで下さいませ。
また後で何か気が付いたことがあれば、書きますね!