2006年07月10日

フレンズ2-17その15

テレビのチャンネル争いをしている兄ロスと妹モニカ。
モニカ: I wanna watch Entertainment Tonight. (エンターテインメント・トゥナイトが見たい。)
ロス: Tough. We're watching Predators of the Serengeti. (そりゃ残念だね。僕らは今、「セレンゲティの捕食者」って番組を見てるところだから。)
レイチェル: Would you guys stop! (あなたたち、お願いだから、もうやめてよ!)

Entertainment Tonight はハリウッドの芸能情報番組のこと。(タイトルからして、だいたいの感じはわかりますけど)
tough は「かたい、頑丈な」ですが、「骨の折れる、困難な」という意味もあり(a tough job 「困難な仕事」)、また「不愉快な、つらい」という意味にもなります。
tough luck だと「不運」、That's tough. なら「それはつらいね。」ということです。
この場合は、「それ(モニカがエンターテインメント・トゥナイトを見ること)は難しいね。」という感じにも取れなくはないですが、「モニカには不運だったね、残念だったね。(だって、僕らは今、野生番組を見てるところだから)」という方が感じが出るでしょう。
predator は「他の動物を殺して食べる動物、捕食者」です。
アーノルド・シュワルツェネッガー主演の「プレデター」という映画もありましたよね。
あれは宇宙から来た肉食エイリアンの話でした。(この手の映画は苦手なので見てない・・・)
Serengeti はタンザニアのセレンゲティ国立公園のこと。
ユネスコの世界遺産(自然遺産)に登録されています。
いかにも、ロスの好きそうな番組ですよねぇ(笑)。

レイチェルは "Stop!" ではなく、"Would you..." を使っていますね。
これは、「お願いだから・・・してもらえないかしら?」とわざと丁寧な言い方を使って、却って煮えくり返る怒りを表現しているのではないかと思うのですが・・・。
日本語でも「申し訳ありませんけど、・・・してもらえませんか?」と妙に丁寧な表現だけど、それを怒った口調で言われると、却って怖い感じがしませんか?

(2008.9.17 追記)
"Would you guys stop!" の Would you...? について、コメント欄でご意見をいただきました。
Would you...? は「丁寧な表現で怒りを表現している」のではなく、「いい加減にしてくれみたいな怒気を含んだ」ニュアンスがあるようです。
私なりに解釈すると、「相手の頑固さ・固執に対する腹立ちの気持ちが表れたもの」とも言えそうです。
上の訳では、「あなたたち、お願いだから、もうやめてよ!」と訳しましたが、それよりも、「あなたたち、もういい加減にやめてよ!」の方が近いかもしれません。
詳しくは、次の記事 フレンズ2-17その16 のコメント欄 をご覧下さい。

そのような Would you...? の例。

フレンズ2-16 で、リチャードの若い恋人(実はモニカ)の話をしつこく聞きたがって、この話題から離れようとしないモニカパパ(ジャック・ゲラー)に対してのセリフ、
リチャード: Jack, would you let it go? (ジャック、もう(その話題は)やめにしてくれないか?)
フレンズ2-3 で、上の階の物音がうるさいのにイライラして、まるでヘッケルさんが言うように言ったセリフ、
チャンドラー: Hey, would you knock it off! (こら、やめろ!)
などがそのニュアンスに該当するようです。
(追記はここまで)


モニカ: It's my TV! (私のテレビよ!)
ロス: Quit it! (やめろよ!)
モニカ: Bite me! (どっか行ってよ!)
ロス: Monica keeps changing the channel. (モニカがチャンネルを変えまくるんだよ。)
モニカ: That's great. Why don't you tell Mommy on me? (そう来るのね。ママに私のことを言いつけたらどう?)
レイチェル: Now I'm Mommy in this little play? (私は今、このつまんないお芝居でママ役をやってるわけ?)
Look, I refuse to get sucked into this weird little Geller dimension thing, okay? (いい? こんな奇妙でつまらない”ゲラー家”次元のことに巻き込まれるのはお断りよ。)

Bite me! は「ほっといてくれ!、消え失せろ!」など怒っている時の表現です。
keep ...ing は「ずっと・・・し続ける、続けて・・・する」という意味。
ここでは、ロスが野生番組に変える度に、自分の芸能番組にチャンネルを戻す、というのをモニカがずっとやり続けている、ということ。
逆に言うと、ロスもモニカが変えたチャンネルを自分の見たい番組に戻しているとも言えるんですが・・・(笑)。
tell A on B は「AにBのことを言いつける、告げ口する」。
直訳だと「Bに関することをAに言う」なので、そういう意味になるんですね。
Why don't you...? は「・・・したらどうですか?」という意味。
ここでは、ロスがレイチェルに「モニカがチャンネルを・・・」と明らかに”ママに言いつける”セリフを言った後で、モニカが「ママに言いつけたらどう?」と言っていますよね。
これは、もうすでに”ママに言いつける”という子供じみた作戦を取ったロスへのイヤミでしょう。
もしくは、「ママに言いつけるんなら、そうしてみなさいよ!」と非難する表現かも。
日本語でも嘘をついた人に「嘘をつけ!」と言いますよね。
これってよく考えたら変な表現で、もうすでに嘘をついた相手に、「嘘ついただろう!」じゃなくて、「嘘をついてみろ!」と言っているわけです。
これは、「(これ以上)嘘をつけるもんなら、ついてみろよ!」と、嘘をついた相手をとがめて非難している表現らしいですね。(という解釈をどこかで聞いたことがあるんだけど、それが正しいのかどうかは知らない・・・)
だから、このモニカのセリフも、それと似た感じなのかもしれません。
little play の little のニュアンスは「つまらない、子供じみた」という感じです。
suck は「吸う、吸い込む、巻き込む」。
get sucked into... は「・・・に吸い込まれる、巻き込まれる」です。
渦巻きみたいなものに”巻き込まれる”感じでしょうか?
dimension は「次元」ですね。
Geller dimension は「ゲラー兄弟(ロスとモニカ)、またはゲラー家の次元」ということで、ここでは暗に「子供じみた低次元」を指しています。
もうこんな次元にはついていけないわ!という感じです。
dimension については、フレンズ2-15その14 でちょっと触れています。

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posted by Rach at 10:27| Comment(6) | フレンズ シーズン2 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
人にものを頼むときは"Can you..."ですが、"Would you..." "Will you..." は喧嘩の場面でしか使うことはないみたいです。"・・・してよ、" のような高飛車な言い方になるようです。"Would you care to""Would you be kind enough to ""Would you mind"などになると仮定法がはいるので丁寧な物言いになります。レイチェルまでが怒って Oh my God.と言ってますね、レイチェルはほかのシーンではOh my gosh言ったりしてるのに。英語でも多少は男言葉女言葉があるようですね。今回の話ではジョーイが女性言葉を使ったり。モニカたちが
子供の言葉を使ったりしてますね。Why don't you tell Mommy on me? はMommy でなくても大人は使わないような気がします。manの言及がありましたが女性は使わないような気がしますし、ジョーイの You really think he'd take me?は女性言葉のような気がします。
ところでプロポーズの言葉は"Will you marry me? "に決まってますね。伝統的な台詞だからでしょうか。友達はプロポーズの言葉は「また結婚してくれる」だったそうで、なぜかというと。前世で来世でも君と結婚すると決めてたからと言ったそうです。東洋的な発想でしょうかtill death do us part.は20歳代だといいけど、60歳で初婚の人は抵抗ないのかな?
Posted by iwarebiko at 2006年07月11日 01:40
”Would you"だったのか、"Could you”だったのかうろ覚えですが、
「アメリカンビューティ」という映画で、妻(アネットベニング)が、夫(ケヴィンスペイシー)が出勤前にモタモタしてるし、庭で書類ケースが突然開いてしまって、ちらばった書類をよつんばいになってあわてて広い集めるというシーンで、既にずっと前から自家用車に乗って待ってる妻が、

Would you(Could you?)make me a little later,please?
Because I'm not quite late enough.

っ言ってたのです。このシーンでの"would you"は、怒ってたしあきれてたし、慇懃無礼な印象を持ちました。めっちゃプレッシャーかけてました^^

この奥さん、この表現が得意だったみたいでいつも反対の意味合いのことを言って、グサっ!とやってました。

"Would you"と"Could you" は、ほぼ同じニュアンスなのかしら?
うろ覚えの部分がちょっと不安なもので・・・

あ、それましたが、ちょっと思い出したのでw
Posted by みりぃ at 2006年07月11日 09:13
iwarebikoさんへ
お久しぶりです。
"Will you...?" だと「・・・してくんない?」という感じで、「命令文よりは、ややましな程度」だ、と「ハートで感じる」大西先生がおっしゃってました。Would you...? はそれを過去形の婉曲表現にしてそれを和らげているんですよね? それでも、"Would you mind...?" などの表現の方がさらに丁寧なんでしたねぇ。確かにそんなことを過去に学んだ記憶があります(笑)。
ローマの休日でのアン王女のセリフ
"Would you be so kind as to tell me where I am?" 「ここがどこか教えてくださいますか?」が「控えめでとても丁寧な言い方」だと「英語でしゃべらナイト」(2004年4月発行)の本に書いてありました。確かにとても遠回しな言い方で、なかなかパッとこんな表現は出てこないなぁ、コテコテの日本人のおばちゃんには(泣)。
では、このレイチェルのセリフも、わざと丁寧な言い回しをした、というのはちょっと勘ぐり過ぎで、普通に喧嘩で言うフレーズだということなのか? まぁ、荒っぽいってほどではないのでしょうが・・・。

日本語は語尾や名詞の使い方で男言葉と女言葉がはっきり区別されますが、英語でもどんなフレーズを使うかで多少違いはあるみたいですね。なかなか日本人にはわかりにくいところですが・・・。tell A on B という表現は、簡単な単語を使ったフレーズなので、子供っぽい表現なのでしょうね。
ジョーイのそのセリフというのは、私は解説では省略してしまった部分ですが、モニカに「チャンドラーが俺を受け入れてくれると本当に思ってるのか?」ってニュアンスでしょうか? You really think が女性的なのか、take を使ったのが女性的なのか??

プロポーズの言葉は"Will you marry me?" に決まってますよね? それも膝をついたりしてねぇ・・・。ドラマや映画でそういうシーンを見るだけで、感動して涙が出そうになります。いいなぁ、あんな風に言って貰えて・・・と羨ましくなるんでしょうね、きっと。日本人の男性でそんなことしてくれる人は何人いるんだろう・・・と常々思っているのですが(今の若い人は結構してるかも)。私の場合は、プロポーズのセリフすら何だったっけかなぁ・・・てな感じでね(爆)。ちゃんと心に染みる言葉を言ってくれよっ!!(←今さら言っても遅いって)
それにしてもそのお友達はすごくロマンティックな方ですねぇ。源氏物語のように「前世からの縁(えにし)」にこだわる思想は確かに東洋的ですが、そんな洒落たことを言う日本人男性も珍しい!!(笑)。iwarebikoさんもそのお友達と似たタイプのロマンティックな方だと、私は何だか嬉しいですが・・・(←何故嬉しいのかはよくわからないけど・・・?)
・・・と思ったら、60歳初婚の人が「死が二人を分かつまで」と宣言しても、残りの年月が知れてる・・・ってことですかっ!? あまりにブラックなオチにしばし呆然!(笑)
Posted by Rach at 2006年07月11日 09:37
みりぃさんへ
「アメリカンビューティ」ですか・・・これまた見てないなぁ(笑)。ほんっとーに、私って見た映画が少なすぎだよ・・・とほほ。

私もこんな状況で "Would you...?" を使うのは「慇懃無礼」な感じなんだと思ったので、記事でそんな風に解説したのですが・・・。私の最初のイメージでは「・・・していただけませんこと?」みたいなニュアンスかなぁ?と思ったのですが、今思うと、それほど「ご丁寧な」感じでもないのかもしれないと思うし・・・。
上にも書きましたが、「ハートで感じる」大西先生によると、

"Will you...?" はそれほど丁寧とはいえない言い回しなので、赤の他人に「丁寧だ」という印象を与えたいなら、Would (Could) you please...? レベルの丁寧さが不可欠(「ハートで感じる英文法」 p.135より引用)

ということなので、ごく普通に人にものを尋ねる時の一般的な表現なんですよね。
ただ、親しい間柄(夫婦とか恋人とか)だと、もっと気軽にも言えるわけで、それをあえて Would you...? を使って、ちょっと他人行儀な感じを出しているのかなぁ、とか・・・(←ちょっとした思いつきだから、アテにはならない・・・笑)
その時の口調や表情にもよりますかねぇ? ツンケンした感じで言われたら、やっぱりグサっ!ときますよね?

"Would you" と "Could you" だと、私のイメージでは、"Could you"の方が丁寧な気がするのですが、実際はどうなのでしょう??
なにしろ、ネイティブと話すチャンスがないので、使い分けを考えたことがありません・・・(泣)。
Posted by Rach at 2006年07月11日 13:06
Tough. We're watching Predators of the Serengeti.

ロスがここで、Tough のあとにヌーギーと聞こえるような
単語を言ってるんですけど、あれは "noogie"ですかねえ・・・
だとすると、Tough noogie は「拳固でぐりぐりしちゃうぞ」
みたいな事なんでしょうか??
Posted by ぴろろ at 2008年01月26日 00:31
ぴろろさんへ
ネットスクリプトにも、
ロス: Tough noogies, we're watching Predators of the Serengetti.
と書いてありますね。

この記事より随分後になりますが、
フレンズ3-5その19
http://sitcom-friends-eng.seesaa.net/article/388470894.html
で、noogies (noogie) という単語がセリフに出てきます。そこで noogie について解説しているのですが、ぴろろさんのおっしゃる通り、「人の頭にこぶしをグリグリすること」ですね。

DVD英語字幕では、Tough. だけだったので、私の上の記事では、「そりゃ残念だね。」と訳しましたが、Tough noogies. だということになると、また意味は違ってきますよねぇ…。

自分の見たい番組を見たい、というモニカ。実際の画面では既に Entertainment Tonight に切り替わっていて、ロスが We're watching Predators of the Serengeti. と言った後、リモコンでセレンゲティの番組にチャンネルを戻しています。

ここでの、tough noogies のニュアンスなんですが…。
ロスがモニカにそれをお見舞いするぞ、ということか、モニカのやっていることが tough noogies だと言っているのか…?

そんなわがままを言うやつには「きつい拳固をお見舞いするぞ。」ということなら、I'll give you tough noogies. という感じですね。
ロスの言い方を聞いていると、モニカの行動・セリフを非難する言葉として、「それは tough noogies だね」と言っているように(私には)聞こえます。
「きつい拳固のようなネチネチした割り込み攻撃をしてくるんだねぇ、モニカは。」みたいな感じかなぁ、と。

こちらが「拳固でぐりぐりしちゃうぞ」だと、やはり、I'll give you... みたいなフレーズがつくのではないかなぁ、という気がしますが、どうなんでしょう?(正直、よくわかりません)

いずれにしましても、Tough. と Tough noogies. ではニュアンスが違いますので、スクリプトの違いを指摘して下さってありがとうございました。
Posted by Rach at 2008年01月26日 08:18
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