チャンドラー: Ross can't go, so it's between my friend Eric Prower, who has breath issues, and Dan, with the poking. "Did you see that play? You want more beer? Is that Spike Lee?" (ロスは行けないんだ。だから、俺の友達二人のどちらかになるんだ。エリック・プラウワー、彼は口臭があって、もう一人はダン、彼はこづくんだよ。「あのプレー見たか? もっとビール欲しい? あれってスパイク・リー?」)
have breath issues は「息の問題を抱えている」ですから、「口臭がある」ということですね。
poke は「突く、つっつく、こづく」です。
poke がどういうものかは、チャンドラーがモニカにしている仕草を見ればわかります(笑)。
あんな風に、何か話すたびに人をツンツンする人って、いるようないないような・・・。
笑いながら、人の肩や背中や腕をバンバン叩くオバチャンは、大阪にはたくさんいます(笑)。(私じゃないぞ)
ちなみに、スパイク・リー(Spike Lee)は、「マルコムX」などで有名な映画監督ですね。
Wikipedia 英語版: Spike Lee
私は NBA には詳しくないので、どうしてここにスパイク・リーが出てくるんだろう?と思ったのですが、上のウィキペディア内で、Knicks という単語で検索したら、Trivia に興味深いことが書いてありました。
(さすがウィキペディア・・・というか、私もだんだんウィキペディアの構成がわかってきて、きっと Trivia ネタに何か書いてあるんじゃないかなぁ、と予想はしてました・・・笑)
"He is a well-known and highly visible fan of the NBA's New York Knicks"
とあり、直訳すると、「彼は NBA のニューヨーク・ニックスの、有名で目立つファンだ。」ということですね。
変な日本語ですが、まぁ、ニックスのファンであるということがよく知られていて、また有名人なのでファンの中でも目立つ存在だ、ということでしょう。
上のウィキペディアに、"Lee has courtside seats" というフレーズがあります。
つまり「リーはコートサイドの席を持っている」!
・・・それで気付きました。
上のチャンドラーのセリフは、そのコートサイドの席に座っている人を指差して「あの前の方の席に座ってるのは、スパイク・リーだよね?」と尋ねるシチュエーションを想像しているわけだ。
そうかぁ、例えばK−1の試合を見に行って、「あれって藤原紀香?」って聞くようなもんなのかなぁ?
モニカ: Why don't you ask Richard? (リチャードに尋ねたら?)
ジョーイ: Richard, if you had an extra ticket to the Knicks game... and you had to choose between a friend who smelled and one who bruises you, who would you pick? (リチャード、もしニックスの試合のチケットが1枚余ってたとして、匂う友達と、打撲傷を与える友達との間から選ばないといけないとしたら、リチャードならどっちを選ぶ?)
リチャード: Being a huge Knicks fan myself, I think you should take someone who's a huge Knicks fan. (僕自身がニックスの大ファンだから、ニックスの大ファンの人を連れて行くべきだと思うねぇ。)
チャンドラー: That's Eric. (それじゃあエリックだ。)
リチャード: Glad to be of help. (お役に立てて嬉しいよ。)
an extra ticket to the Knicks game と to を使っているのに注目。
日本語で「ニックスの試合”の”チケット」という場合、ticket of the Knicks game と of を使いたくなりませんか?(私は昔、そうでした)
「・・・へのチケット」なので、to の後にその行くべき「目標、行き先」が来るんですね。
この a ticket to... という表現は、a ticket to happiness 「幸福への切符」、a ticket to Easy Street 「安楽な生活への切符」などと比喩的にも使います。(Easy Street は「裕福(な状況)」という意味。)
key (カギ)もこれと同じような to の使い方をします。
a key to a door 「ドアのカギ」とか、a key to a car 「車のキー」などですね。
ついでに言いますと、日本では、キーホルダーにつけてジャラジャラしてるのも、ドアについてる錠前も、どちらも「カギ」と言いますが、英語の key はジャラジャラしてる方だけを指します。
key で開け閉めする錠前(または錠)は、lock と言います。
だから、日本語で「カギがかかっているか確かめる」という時は、ドアの錠前がかかっているかどうか、ということなので、check the lock と言うわけですね。
ところで、"if you had an extra ticket to the Knicks game" と言った時点で、モニカがいやーな顔をして、観客も笑っていますよね。
モニカの言った ask の意味を勘違いしているジョーイが、いかにも、って感じです。
書くまでもないですけど、モニカは「リチャードに一緒に行くかどうか尋ねてみたら?」と言っているのですが、それをジョーイは「誰を連れていったらいいかについて、リチャードに意見を求めてみたら?」という風に受け取ったわけです。
このボケは吉本新喜劇的なノリですが、ここで観客と一緒に笑えるようになりたいところです。
ジョーイは、友達について、さっきのチャンドラーほど詳しく説明していませんね。
きっと面倒くさかったんでしょう。
初めて聞くリチャードは、smell 「匂う」とか、bruise 「打撲傷を与える」友達ってどんなだろうと思ったかもしれません。
でも、ニックスのチケットの話なのに自分が誘ってもらえないことに意識が向いているはずなので、そんなことは気にしてないかもしれませんが。
bruise には「(桃などの果物などに)傷をつける、傷める」という意味もあります。
確かに桃を指で押してへこませて色が変わったのを見ると、人間が殴られて青タン(内出血)が出来たのに似てますよね(笑)。(青タンって、方言らしいですね・・・。何となくそんな気はしてましたが・・・笑)
リチャードは、ニックスのチケットなのに、自分が候補に挙がってないことを知ってショックながらも、そこは大人の余裕を見せ、分詞構文を使って(笑)、自分はニックスの大ファンなんだよ、とさりげなく(いや結構あからさまに?)アピールしていますね。
Being a huge Knicks fan myself の主語は、主節と同じ I で、ここでは理由を表す分詞構文になっているので、Since I am a huge Knicks fan myself と言い換えることができます。
of help は「助けになる、役に立つ」。
helpful と同じ意味のようですが、完全に二つが入れ替え可能かどうかはよく知りません(笑)。
最後まで気付かないジョーイたちに、どこまでも大人な対応のリチャードです。
それにしても、ジョーイはともかく(笑)、チャンドラーがリチャードのアピールに気付かないとは、何だか変な気がしますねぇ。
というか、この段階では、一緒に遊びに行く、ということなど夢にも思ってないからでしょうけど。
(Rach からのお願い)
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虐げるものと、虐げられるもの。権力との闘争、宗教対立、いろいろ考えさせられました。
コメントありがとうございます。
私は残念ながら「マルコムX」を見ていないのですが、いろいろ考えさせられるテーマを扱っているようですね。
いつか機会があれば、是非見てみたいと思っています。
who smelled and one who bruises you,
この仮定の話でジョーイは何故 "bruises" と現在形で
言っているんでしょう?
誤植かなと思って何度も聞いてみましたが
確かにこう言ってます。
話し言葉なので必ずしも文法的に正しい必要はないのですが...
"bruised"と"smelled" と同じように過去形にしないのか・・・
ちょっと気になりました。
確かに英語字幕もそう書いてあり、ジョーイもそう発音していますね。
ネットスクリプトでは、
ジョーイ: ... and you had to choose between a friend who smells and one who bruises you who would you pick?
と書いてあります。つまり、どちらも現在形ですね。
smelled と過去形になっているのは、had to に合わせた「時制の一致」なのだろうと思います。意味としては、口臭のある友人、こづく友人で、日常的に smell, bruise するということで「現在形」を使うのが普通ですが、時制の一致で(had to という言葉に引っ張られて) smelled になっているのかな、と。
そして、ちょっと間を置いて、... and one who... と言った時には、その had to の過去形の影響から離れているので普通に、bruises という現在形を使った、のだという気がします。
このエピソードのもう少し後の、 フレンズ2-22その16
http://sitcom-friends-eng.seesaa.net/article/388470623.html
でも、DVD字幕・音声と、ネットスクリプトで、時制が異なるセリフがあります。
そこでも「時制の一致」について触れているのですが、特にセリフのように思いつきで話している場合には、一致が厳密に行われない、ということがあるのかな、とも思います。もしくは、そうやって時制の一致を厳密にしないことで、よりリアルな感じを醸し出しているのかもしれません。