2006年09月08日

フレンズ2-20その7

モニカ: So what, he's a little older. Big deal. He's important to me. If you ask him, he might take you in his Jag. (それがどうしたって言うのよ? 彼は少しは年をとってるけど。大したことじゃないわ。彼は私にとって大事な人なのよ。もし、あなたたちが彼に試合に行くように頼んだら、彼のジャガーに乗せてくれるかもしれないのに。)

So what? は「それがどうした。それがどうしたと言うんだ。」「そんなこと構わないじゃないか。」という意味です。
big deal は「重大なこと、大事なこと」ですが、ここでは反語的に使われています。
フレンズ1-3その3 にも同じ表現が出てきており、そこで、Big deal. や No big deal. について説明しています。
Jag は Jaguar 「ジャガー(イギリスの高級乗用車)」のことですね。


ジャガーと聞いて、ちょっと目の色が変わった二人。(やっぱ男の子だねぇ。あ、女性でも同じか・・・笑)
それにしても、モニカのパパはポルシェだし、その友達のリチャードはジャガーだし、この人たちは富裕層なんですねぇ・・・今さらですが。
ジョーイ: How do we say yes and make it seem like it's not just to ride in the cool car? (オーケーして、それがただカッコイイ車に乗るためだけみたいに見えないようにするにはどうしたらいいかなぁ?)
チャンドラー: Okay, this could be tough. (そうだな、これはかなり難しいぞ。)
ジョーイ: We'll bring him, but only if he takes the Jaguar. ([モニカに] リチャードを連れて行くよ。でも、彼がジャガーに乗ってくる場合に限るぞ。)
チャンドラー: You almost had it. (惜しかったな。)

How do we say yes...? は、「どんな風にイエスと言ったらいいか?」ってことですね。
今までリチャードを誘うのを拒んでたのに、ここで手のひらを返したようにイエスとは言えないから、どうしたらいいだろう、ってことです。
smart な(賢い)チャンドラーが、tough 「困難だ、難しい」と言っていることからも、言葉を選ばないといけないってわかりますよね。
で、ジョーイなりに考えたのでしょうが、「彼がジャガーに乗ってきたら、連れて行く。」って、本音そのままで、ヒネリもなんもない(笑)。
ガックリしてるチャンドラーが面白いです。

"You almost had it." について。
「almost +動詞の過去形」は、「もう少しで・・・するところだった、危うく・・・するところだった」という意味です。
フレンズ2-13その3 で、その「almost +過去形」について詳しく説明しています。
have it は「勝つ、有利である」というニュアンスです。
こういう have の使い方は、「持つ、所有する」→「支配する」っていう感じでしょうかね。
日本語でも「ものにする」という言葉がありますが、「手に入れる、自分の物にしてしまう」と、対象物に対してかなりの影響力を持っている感じがするような。
オンライン英英辞典の Merriam-Webster Online によると、have の意味として、
have: to hold in one's use, service, regard, or at one's disposal
と書いてあります。
at one's disposal というのは「(人)が自由に(好きなように・思うままに・勝手に)使える(できる)」という意味なので、自分が自由にできる状態で何かを所持している、ということを意味するのですね。
ですから、have it =「勝つ」と覚えるのではなく、その have の基本的意味から、雰囲気やイメージを何となく察することができたら「いい感じ」だと思うのですが。
ここでは、「ほとんど勝ててたな、それでほとんどオッケーだったな、ほとんどイケてたのに」ということで、一言で言うと「惜しい」って感じなんですが、もちろん皮肉です。(実際は、惜しいどころか、全然ダメじゃん、って感じでしょう。)

ちなみに、have it を have someone という形にすると、「人をだます」という意味になります。
これがなぜ「だます」という意味になるかは、先ほどの「対象物を自由にできる状態で所有する」という感覚から、主語の思い通りにしてやった、相手を振り回してやった、という感じが出てくるのではないかなぁ、と。

ちょっと話は、ずれますが、マーティン・スコセッシ監督の有名なマフィア映画にグッドフェローズ(原題: GoodFellas)という映画があります。
Amazon.co.jp: グッドフェローズ(GoodFellas) DVD
ちなみに、fella = fellow 「仲間、やつ」なので、邦題では、日本人にはなじみのない「フェラ」という単語の代わりに「フェロー」を使っているんですね。(でも、どうせカタカナにするなら、やっぱり原題の通りの発音がいいと思うんですけれど・・・)
この映画で、主人公のヘンリー・ヒル(レイ・リオッタ)が、同じマフィア仲間であるトミー(ジョー・ペシ)に絡まれるというシーンがあります。
トミーが酒場で面白おかしく話をしていたのを、ヘンリーが funny 「面白い」と言ったところ、突然、トミーが怒り出します。

トミー: You said it. You said I'm funny. How am I funny? What the f*** is so funny about me? Tell me what's funny? (お前が言ったんだ。お前が俺を「おかしい(面白い)」と言ったんだ。どんな風に俺はおかしいんだ? 俺の何がそんなにおかしいんだ? 何がおかしいか言ってみろよ。)
張り詰めた空気がしばらく流れて・・・
ヘンリー: Get the f*** out of here, Tommy. (やめろよ、トミー。)
トミー: Motherf***er! I almost had him. (こいつ、すっかりだまされやがった(ひっかかった)ぜ。)

結局、トミーはヘンリーをからかっていただけだとわかるのですが、何しろこのトミーさんは、マフィアの中でもとりわけ気が短く(笑)、すぐに拳銃をぶっ放すようなタイプの人なので、そこにいた人間たちの緊張感といったら、ものすごいものがありました(笑)。
で、このトミーの最後のセリフ、I almost had him. が have someone 「人をだます」を使った表現で、字幕や吹替では上のようなセリフになっていましたが、丁寧に言うと、「俺はもう少しで彼を完全にだましてしまうところだった。」という感じでしょうか?
からかわれたヘンリーの側からすると、「もう少しでだまされるところだった。」ということ。
別に have someone に「だます」という意味があるのを知らなくても、このセリフの流れからすると、「ほとんど彼をモノにしてたな」という感じで、彼という人間をほとんど征服するほどその時は支配していた、俺の手の内にあった、という感じのニュアンスであることがわかりますよね。

しかし、上の英語字幕を見てもわかる通り、f*** という卑語の多いこと、多いこと。
a や the より多いんじゃないの?ってくらい、言葉の端々に挿入されるんですよねぇ。
特にこのトミーさんのセリフはほとんどそれしか聞こえない感じ(笑)。
いろんな意味で大変勉強になった映画でした。

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posted by Rach at 09:57| Comment(8) | フレンズ シーズン2 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
自分の都合だけを考えて「相手を思い通りにする」という言い方があります。You can't have it both ways.(そうはいかないよ)は決まり文句でチャンドラーが使ってます。ほかにもレイチェルとチャンドラーのある交渉でレイチェルがなにか提案を思い付いたときチャンドラーはYou can't have it(そんなのはだめだ)といって拒否しようとします。また、レイチェルがジョーイにI won't have it.(絶対に許せない)といっている場面もありました。have itはニュアンスの言い方なので状況によって意味が違ってくると思うのですが、否定形にすると、Rachさんの影響をもつと言う意味が鮮明になるように思います。
Posted by catch at 2006年09月08日 22:56
Congratulations

RachさんのタイムテーブルAs fate would have it.

「週刊ST」の取材を受ける。

秋篠宮第三子ご誕生

ブログ終了

Podcastで大西 泰斗と共演

「フレンズで学ぶ英語」(表紙はなぜかエプロン姿)を上梓200万部売れる

京都大学から客員教授として招かれる

ミシガン州立大学に留学、ニューヨーク大学でも考古学を学ぶ

京都大学教授に就任

Rachメソッドを開発(これによりアジアでの日本人の英語力が一位になる)

政府より文部大臣の要請があるが断る。

10年後の新フレンズ(出演者は前回と同じ)の脚本家として参加エミー賞にノミネートされるが落選

アカデミー入学

エンタープライズの処女航海に異星人言語研究者として参加、そのご艦長に
Posted by oracle at 2006年09月09日 09:28
catchさんへ
>自分の都合だけを考えて「相手を思い通りにする」
確かに have it はそういう表現がふさわしいですね。フレンズのセリフで使われた部分がパッと思いつかなかったのですが、結構たくさんあるんだぁ・・・。また気になって調べてしまいました(笑)。
どれも先のエピソードなので、その時に詳しく書こうか・・・とも思ったのですが、同様の表現を比較した方がより理解が深まるかなぁ、とも思うし、そのエピソードまでたどり着けるかどうか自信もないので、思いついた時に書いておこうかと・・・(笑)。

フレンズ10-7で確かにチャンドラーがある人に対して、"You can't have it both ways!" と言っていますね。このフレーズ自体をぐぐると、かなりの件数ヒットするので、確かに「決まり文句」のようですね。
研究社新英和中辞典には、
You cannot have it both ways. 両天秤をかけることはできない。
と書いてあります。
このシーンも、チャンドラーのセリフに不満を漏らした相手に対して、「結局、俺がどう動いても文句を言うくせに。」というニュアンスで使っています。「”どっちに転んでも自分の思った通りになる”と思うなよ。」みたいな感じかな?

また、レイチェルとチャンドラーのやり取りは、4-3で、
レイチェル: D’oh!! (pause) I’ve got it!
チャンドラー: You don’t have it.
レイチェル: I have so got it!
というのがありましたが、恐らくこれのことですよね? (ここでもし can't が使われていたとしても、否定の感じがさらに強くなるくらいの差かと思いますので、このまま don't で話を進めます。相変わらず細かいことを気にする女ですみません・・・笑)

この上のセリフを文字で見ているだけでは動詞が抽象的過ぎて何のことやら意味不明ですが(笑)、すごく面白いシーンでしたよね。
I've got it! は「わかった!、いいこと思いついちゃった!」という感じでしょうか?(打開策を見つけられてとても嬉しそうな感じのレイチェルでした。)
それに対しての "You don't have it." ですが、これについては、二通りのイメージが考えられるように思います。
一つは、レイチェルがナイスなアイディアをこれから提示することで主導権を握ろう(= have it)としているのを見越して「そうはさせない。君の思い通りにことは進まない。」と言っている感じ。
二つ目は、「そんな良いアイディア(= it)を思いついた(= have)ってことはないと思うよ。今から言おうとしてるのはそんなに良い提案とは思えないよ。」というニュアンス。
後者の場合は、レイチェルのセリフをそのまま否定している感じでしょうか。
レイチェルの次のセリフ "I have so got it." は、そのチャンドラーの否定に対して「本当にいいこと思いついたんだってば。」とダメ押ししているようです。
喜んでいるレイチェルを見て、チャンドラーは「この展開は俺にとってはマズイかも・・・」みたいな顔をしていました。上のどちらのニュアンスにしても、レイチェルの考えを押しとどめようとしているのは間違いなので、ちょっと細かく拘りすぎたかもしれませんが・・・。あまり気にしないで下さい、いつものクセです(笑)。

レイチェルがジョーイに言うのは、7-3
レイチェル: Because you're not finished yet and I won't have it!
これはいつものレイチェルとは別人のように怒っている時のセリフでした。「この状態を受け入れるつもりはない、このまま許すわけにはいかない、納得できない。」という感じでしょうかねぇ?

確かにこれらの例のように、否定形にすると、「あんたの思い通りにはさせないよ(好きにはさせないよ)! そうは問屋がおろさないよ!」って感じがでますねぇ。

ところで、いつもながらフレンズのセリフを例に出して教えて下さってありがとうございます。こういう have it のようなシンプルなフレーズは、フレンズで一人で勉強していた頃には、特に気に留めずにスルーしていたようです。だから、こんな言い方が他のエピソードでも出て来た、という記憶がないんですよねぇ。catchさんがおっしゃるように、こういうフレーズは「状況によって意味が違ってくる」と私も思います。その場面場面で、それがどういうニュアンスになるか、ということにこだわれるようになった自分がちょっと嬉しいかな、と思ったりもします。
また、いろいろ教えて下さいね。とても勉強になりますので。
Posted by Rach at 2006年09月09日 17:46
oracleさんへ
わはははっ!! これ読んで、コロコロ笑ってしまいました。あぁー、あんまり笑かさないで下さい・・・
あ、「笑(わら)かす」って、多分大阪弁ですよねぇ。私は、誰かが「笑かす」という言葉を使うと、つい「シャカシャカ」と言いながらマラカスを振る真似をしてしまう、ベタな大阪のオバチャンでして・・・(爆)。
親王様ご誕生のニュースが入っていることで、えらく私のタイムテーブルが高尚なものに見えてくるのですが(笑)、でもこのビッグニュースで列島が沸いている時に、「STに掲載されたこと」で私も幸せに浸っていたなぁ、と思い出すことができるわけですねぇ。
「ブログ終了」というのがいつになるのかよくわかりませんが、その後のタイムテーブルは感動的ですねぇ。私はかなりの Dreamer ですが、その私でもここまでは考えませんでしたよ。「考え得る限り大きな夢を描いてみようコンテスト」があったら優勝しそうな勢いだ(笑)。
大西先生と会ってお話してみたいですよねぇ。英語を学ぶというよりも、英語に対する哲学のようなものに触れることができそうな気がします。
「表紙はなぜかエプロン姿」にオオウケしましたが、(これでも)和服が似合うとよく言われるので、着物でもいいですねぇ。(←HNだとどうしても気が大きくなるらしい・・・笑)
アカデミックなキャリアについてはただ「ほほぉ〜」という他ないのですが、ニューヨーク大学(NYU)は確かロスが先生をしている大学ですよね。古生物学(paleontology)は、考古学(archaeology)の一種でしょうから、ロスと一緒に勉強できるわけだなぁ。
何故ここで「ミシガン州立大学(Michigan State University) 」が出て来たのかが謎なんですが・・・。oracleさんにゆかりの大学なのかしら?(別に詮索してるんではありませんので、気にしないで下さい)
私は琵琶湖で「ミシガン」という船に乗ったことは何度かありますが、私の接点はそれだけですねぇ(笑)。

要請を断る、とか、ノミネートされるも落選、とかも波瀾万丈な感じでいいですねぇ。
で、ダメ押しは「宇宙艦隊アカデミー」ですか!?
アカデミーで学びたいし、宇宙にも行きたいんですよ。(←子供の夢みたいですが、宇宙には本当に行きたい!)
そう言えば、スタートレック・エンタープライズ(ENT)には、ホシ・サトウという日本人の言語学者(?)がメンバーにいましたねぇ。異星人とのファースト・コンタクトの際、通訳をやっていましたっけ。(ENTはあまり詳しくないんですが)
「艦長」になって、"Engage!" と言える日を楽しみに、これから頑張ろう、っと。

ところで、HNが oracleさん(神のお告げ、神託)なので、このコメントの重みが増しますよねぇ。
As fate would have it. この場合の have it はまさに「(運命などが)支配する」ですね。「運命が告げているように、運命の定めで」という感じでしょうか。as luck would have it だと「運よく、幸運にも」という意味なんですね。結局、"have it" つながりで、have it にはこういう使い方もありますよ、という一例だったのかも・・・(笑)。

それでも、一瞬でも素敵な夢を見させていただけて、Rach は幸せでした!(←引退公演かいっ!)
他の読者の方には、私の妄想にお付き合いいただき、ありがとうございました。
Posted by Rach at 2006年09月09日 18:18
"oracle"さん作のこれ、名作ですね!!!
今後がほんと楽しみです。夢とはおっしゃらずぜひ実現して下さいませ。

実現するにはかなーり長生きする必要がありそうですよ。
健康第一でがんばって下さいね。
Posted by YN at 2006年09月11日 20:43
Dear YN
良かったぁ、誰かに楽しんでいただけて・・・読者の皆様が、あまりの展開に唖然としているのではないかと心配しておりましたので(笑)。
正直、もうこんな年齢になって、自分自身の夢なんて持つこともないだろう、この平凡な毎日がおばあちゃんになるまで続くのね・・・みたいなあきらめもあったので、こんなことを頭に思い描くだけで楽しいです。また「私以外の誰か」がそんなことを考えてくれるのが本当に嬉しい。自分の人生が輝いて見えてきますね。まだまだイケるぞ、Rach! (と、自分を励ましてみる)

おっしゃる通り、本当に長生きしないといけませんねぇ。
なんと言っても、言語学者のホシ・サトウさんが乗り込んでいるエンタープライズNX-01は、2151年就航ですからねぇ(爆)。それも、2063年にゼフラム・コクレーン博士がワープ航法を完成させるという前提での話ですから、現在の状況を見ていると、あと50年強でワープできるようになっているとは思えませんしねぇ(笑)。一体、人類が未踏の宇宙に旅立つ日はいつになることやら。

まぁそれはそれとして(笑)、楽しい夢を見ながら、毎日健康に気をつけて頑張りますね。これからもよろしくお願いします。
Posted by Rach at 2006年09月12日 13:29
グッドフェローズ大好き!
華やかなマフィアの裏側の悲哀も描かれていて素敵な映画ですよね。
またいろいろな映画を取り上げてくださいね!
Posted by takahashi at 2008年03月28日 19:15
takahashiさんへ
コメントありがとうございます!
グッドフェローズ、お好きなんですね?
「華やかなマフィアの裏側の悲哀」…全くおっしゃる通りだと思います。

私は実はあまり映画を見ないタチで(笑)、この映画は「ブルックリンアクセントが学べる」と言われて、おすすめしてもらった映画なんですよ。私はマフィア映画もあまり見たことなかったので、アクセント以外にも、いろんなことを学べました。

時間があれば、もっといろんなジャンルの映画も見てみたいと思っています!
よろしければ、またお越し下さいね!
Posted by Rach at 2008年03月29日 10:17
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