息子のベンを預かっていたロス。
元妻キャロルとその恋人スーザンがベンを迎えに来ます。
ロス: You are not gonna believe what happened! We were playing on the floor, and he grabs the table and he pulls himself up! He pulls himself up! Standing man! (キャロルたちは、何が起こったか信じられないだろうね。僕とベンが床で遊んでいたんだ、すると、ベンはテーブルを掴んで、まっすぐ立ったんだよ! まっすぐ立ったんだ! 立ってる人間なんだよ!)
I'm sorry you missed it, but I did tape it if you wanna see it. (君たちがそれを見逃したのは残念だったね。でも、もし見たいのなら、テープに録画しておいたからさ。)
キャロル: We know. He already did it last week. (私たち、(ベンが立つのは)知ってるの。ベンは先週もうすでに立ったのよ。)
スーザン: You can watch our tape if you want. (見たかったら、私たちのビデオテープを見てもいいわよ。)
You are not gonna believe.. は「・・・が信じられないだろう」ですから、この後、信じられないような話をするよ、と期待を持たせているわけです。
これからすごいビッグニュースがあるぞ、って感じですね。
pull oneself up を直訳すると、「自身の身体を引っ張り上げる」ということですから、テーブルに手を置いて、よっこらしょ、と身体を引き上げたわけですね。
実際は引き上げた、というより、脚を踏ん張って立ち上がったわけですが。まぁ、自分の身体を考えると、身体をしゃんとして、まるで上から糸で引っ張られているかのように、身体をまっすぐにピンと伸ばして立った、という感じでしょうか。
ロスは興奮していますが、二人の反応はイマイチですね。
観客には、この後の展開の予想がつきますよね。ビッグニュースではなかった、ということが。
standing man とまるで原人か何かのように表現していますが、二人が盛り上がってくれないので、上手い言葉が見つからず、変な造語になってしまったんでしょう。
ちゃっかり録画してるのがロスらしい。
でもなかなかこういう瞬間ってビデオに撮るのが難しいんですよねぇ。いざ、撮ろうとすると、カメラを気にしてやってくれなかったりするし・・・。
our tape 「私たちのテープ」を見てもいい、というスーザンのセリフはちょっと毒がありますねぇ。(さすが恋敵?)
ロス: See, I don't believe this. I missed the first time of everything. The first time he rolled over, the first time he crawled. (ほらね、こんなこと信じられないよ。僕は、ベンがしたあらゆることの最初の瞬間を見逃したんだ。彼が初めて寝返りを打った時、彼が初めてハイハイした時。)
What else? Has he spoken? Is he driving? Does he have a favorite liqueur? (他には何かあるの? ベンはもうしゃべった? 車は運転してるの? ベンのお気に入りのリキュールってあるのかな?)
キャロル: He is getting closer on the talking thing. He can't quite say "mama" yet, but once he said "Yemen." (もう少しでしゃべりそうなの。ベンはまだ「ママ」とは完全には言えないの、でも一度、「イエメン」って言ったわ。)
ロス: See, I don't know. I'm so sick of missing stuff. I want him for more than a day. I want him for a whole weekend. Listen. I feel... (ほらね、もうわからないよ。もう何かを見逃すのにはうんざりだ。ベンを一日以上預かりたいよ。週末全部とか。ねえ聞いてよ、僕の気持ちは・・・)
キャロル: That would be great. (それはいい考えだわ。)
ロス: Really? I had a whole speech prepared. (本当? スピーチを用意してたのに。)
スーザン: Oh, shoot, that would've been fun. (あぁ、残念ね。それは楽しめたでしょうのに。)
See は「ほらね」。
この一連の会話で、ロスは See を二度使っています。
それは、こんな風に息子と離れて暮らしているから、「僕が思ってた通りだ。いわんこっちゃない。想像してた通りになったよ、ほらね。」って感じでしょう。
roll over は「寝返りを打つ」、くるっと回転してひっくり返る感じが出ていますね。
crawl は日本人には「(水泳の)クロール」が真っ先に思い浮かぶかと思いますが、基本的な意味は、「はう、腹ばいで進む、ハイハイする」です。
liqueur は「リキュール」。liquor (お酒)のフランス語です。
大事なことを見逃してばかりだから、僕の知らない間に、車も運転できるようになってて、もうお酒も飲めちゃったりするのでは?とロスは尋ねています。
"He is getting closer on the talking thing." は、talking thing 「しゃべること」という時期や段階に is getting closer だんだん近づいていっている、という感じが出ていますね。
on は接触を表す前置詞なので、もう少しでその「しゃべること」に届きそう、っていう感じ。
quite は「全く、すっかり」、not quite だと「全く・・・とはいえない、すっかり・・・ではない」という部分否定を表します。
ママとイエメン、m の部分が似てるような、全く似てないような・・・(笑)。
Listen. と「まぁ、僕がこれから言うことを黙って聞いてくれ・・・」という感じで話し始めようとしたのですが、あっさりオッケーをもらえて拍子抜けのロス。
これから、自分がベンと一緒にいる時間が少ないのでどれほど悲しいか、ということを、延々語ろうとしていたようです。
お涙頂戴の大演説を話しそびれたロスでした。
shoot は shit の婉曲語です。
「うわー!、くそっ!」という感じの意味ですが、ここではそれほどキツい意味はないようです。
このように、卑語の代わりに音が似ている別の言葉を代用することはよくあります。
damn の代わりに darn を使ったりもしますね。
また、shoot には「早く話して」という意味もあります。
would've been は「もしそのスピーチを聞くことができたなら、楽しかったでしょうのに(実際は聞けなかった)」という意味になります。
(Rach からのお願い)
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2006年09月09日
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