2006年10月10日

フレンズ2-21その7+bearとbullの話

モニカ: What's to know? Buy, sell. High. low. Bears, bulls. Yes, Manhattan. Telephone number for the stock... selling store. ([株式売買について]何を知る必要があるっていうの? 「売る、買う。高値、低値。下げ、上げ。」よ。[電話の相手に]はい、マンハッタンの。電話番号を、株を・・・売っているお店の番号を[教えて下さい。])

昨日の続きです。
bear と bull について説明します。
bear と bull は「クマ」と「雄牛」なのですが、株式の言葉では、bear は「弱気の売り手、弱気筋、下げ相場」、bull は「強気の買い手、強気筋、上げ相場」という意味になります。
何故、bear と bull という動物を表す単語がこういう意味になったのか、についてですが・・・。
Wikipedia 英語版: Market trends に Etymology (語源)という項目があり、
The precise origin of the phrases "bull market" and "bear market" is obscure.
と書いてあります。
つまり、「bull market や bear market というフレーズの正確な起源ははっきりしていない。」ということです。
上のウィキペディアでは、bear についての一般的な語源というのが挙げられているのですが、その部分に [citation needed] が添付されています。
ここからはウィキペディアの話になるのですが、
Wikipedia‐ノート:出典を明記する の「出典を求めるテンプレートの導入」の項目によると、「真偽を巡って対立が生じるような記述に対して」 [Citation needed] が添付される、と書いてあります。
ということは「そういう説があるけれども、必ずしもそうとは限らない。」ということになりますよね。
ですから、興味のある方は、直接、上に挙げた Wikipedia 英語版: Market trends を見ていただくことにして、私がその説をここで引用してその詳しい日本語訳を書くのはやめておきます。

ちなみに、Merriam-Webster Online Dictionary には
bear: [probably from the proverb about selling the bearskin before catching the bear] : one that sells securities or commodities in expectation of a price decline -- compare BULL
と書いてあり、probably 「おそらく」 bearskin 「クマの毛皮」の諺(ことわざ)からきたものだろう、と説明されていますし、英辞郎にもその諺、
Don't sell the bearskin before you've caught the bear. 「クマを捕まえる前に毛皮を売るな。」
が語源として挙げられています。
(Wikipedia では、Don't sell the bearskin before you've killed the bear. と catch ではなくて、kill を使っています。)
ですから、この諺が関係しているのはほぼ間違いないと思うのですが、これ以上深みにハマると大変なのでこの辺で(笑)。
他にも、 false 「間違っている」可能性もあると断りつつ、ウィキペディアでは語源がいくつか挙げられているのですが、英辞郎が採用している bull の語源は、a bull attacks with its horns from bottom up から来たもののようですね。
(こんな回りくどい説明じゃわかんねーよ!という方は、申し訳ありませんが、直接、英辞郎で調べてみて下さい。日本語で語源がわかりやすく書いてありますので。)

ここで誤解のないように書いておきますが、語源というのは確かにいろんな説があって、どれが正しいとはっきり言えるものは少ないと思います。
変な例えですが、「萌え」のような現代のスラングさえ、その起源がはっきりしないくらいですからねぇ(笑)。
ですから、言語学者でもない私には、「この出典にはこう書いてあります。こういう説もあります。」くらいしか言えないわけです。
そして上に挙げた bear や bull のように、ウィキペディア内でも「真偽が定かでない」と言われている事柄に関しては、ますます慎重にならざるを得ません。
(ちょっとこれに関連して、ウィキペディアについて思うところを今日の脱線話で述べます。)

おまけの話ですが、上のウィキペディアのサイトには、フランクフルト証券取引所の前にある、クマとウシの銅像の写真が載っています(笑)。

えらそうなことを言っていたモニカですが、番号案内で株の売買をする会社の正式な名称を知らないことがみんなにわかって、だめだこりゃ、という空気が流れていますね。
selling store だと何かモノを売っているお店みたいな感じなんでしょうね。
この場合は何て言ったら良かったんでしょうか?
実は私もよくわからない(モニカと似たようなもんだな・・・笑)。
証券会社(a stock company, a stock brokerage firm)でしょうかねぇ??


(今日の脱線話。何でもかんでもウィキペディア!?)
ご存知の通り、私はウィキペディアへよくリンクをはっています(便利なんで・・・笑)。
が、あくまで「有名なオンライン百科辞典”ウィキペディア”ではこう書いてありますよ。」という参考資料として使っています。
ウィキペディアは複数の書き手がどんどん追記していって、より正確な情報にしていくという百科辞典ですから、「たまたまネットサーフィンでヒットした、ある一人のブロガーが書いたもの」よりは信憑性が高いと思います。(もちろん、それに詳しい専門家であれば、専門家の意見の方が正しいことも多々ありますが、その人がその分野でどれほどの権威であるかを見極めるのが難しい・・・)

例えば、私のこのブログもそうですよね。
私はフレンズの解釈をえらそうに書いていますが、それはあくまで私個人の考えであって、勘違いや誤解が多々(!)あります。
それを、また別の人が「それはこうじゃないか、ああじゃないか」とコメント欄で意見を下さることで、私の間違いが訂正され、より多角的な解釈が生まれ、より良い「フレンズ解説」に進化していくわけです。(いつもご意見、感謝しております。)

このように複数の人の意見を盛り込むことでより「正解に近づく」という効果があるのは否めないのですが、かといってそれが「絶対に正しい」とは断言できませんよね。
フレンズについてはその脚本を書いた脚本家本人にしか本当の答えはわからないと思いますし、ウィキペディアについては、参加している執筆者の知らない事実がどこかに存在している可能性もあります。
しばらくぶりに同じウィキペディアの項目を見ると、内容が少し異なっているのを発見することもあります。
ある時点で書かれていたことが間違っていたので訂正または削除された、ということでしょう。
日々進化する百科辞典であること、さらには著者が誰であるか明確でないために責任の所在がはっきりしないこと、などを考えて、「だってウィキペディアにそう書いてあったもん!」という理由でその説の正しさを証明できるわけではない、ということは常に頭に置いて使っています。
ですから読者の皆様もそう思って読んでいただけるとありがたいです。

いつもそんな風に思っている私ですが、今回はウィキペディアに書いてあることをメインにして、語源を説明しようと試みました。
それは、誤っているかもしれない語源であっても、イメージにぴったりくるものならば、記憶の手助けになる、と思うからです。
いち英語学習者としては、そういうイメージの湧きやすい語源があるととてもありがたいですよね?(私は変わったイディオムに出会うといつも、その語源を調べたがる・・・笑)
「間違っている可能性」も頭の片隅に置きつつ、役に立ちそうなものは貪欲に使う、という姿勢も必要なのではないかなぁ、と思うんですよね。
この歳になると、とにかく物覚えが悪くなるのです(笑)。
私は「ゴロ合わせ」で覚えることにも抵抗はないですが、それよりもこの「間違っているかもしれない語源から覚える」方が建設的なような気がしますね。

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posted by Rach at 13:56| Comment(2) | フレンズ シーズン2 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
あ〜。なるほど。

Rach さんは、よくWikipedia へのリンクを
はっていらっしゃいますけど

その背景にはこんな思いがあったわけですね。

確かにGoogle だとブログが上位表示されることも
多いから、その記述の信憑性を見極めるのは大変
ですものね。
Posted by はなぶさ at 2006年10月11日 10:39
はなぶささんへ
そうですね。これだけたくさんの人が自分のHPやブログを持って意見を発信していると、間違った情報がネットには溢れているように思います。ですから、私もあまり「こうだ!」と断言するのは避けるように気をつけています。
テレビであるタレントが何の気なしに言った言葉が独り歩きして、たくさんの人がそれを真実だと思ってしまう、ということがありますよね。情報を発信する方も、それを受け取る方も、常に「絶対に正しいかどうかはわからない」という意識を持つことが、今の情報社会には大切だと思っています。
Posted by Rach at 2006年10月11日 14:32
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