2006年11月08日

フレンズ2-22その6+Three's Companyの話

今度はレイチェルのママがやって来ました。
パパとママを合わせまいとするフレンズたち。
ジョーイ: Uh, hey, Dr. Greene, why don't you come with me? We'll put your jacket on Rachel's bed. (グリーンさん、私と一緒に来て下さい。あなたのジャケットを、二人でレイチェルのベッドに置きに行きましょう。)
レイチェルパパ: Alright. That sounds like a two-person job. (わかったよ。まるで二人がかりの仕事のような言い方だな。)

two-person job は「二人がかりの仕事。二人でする仕事。二人が必要な仕事。」ということでしょう。
最初、bed に置きに行く、つまり寝室に行くわけで、その後の two-person job というフレーズだったので、エッチな意味かと思ったのですが(私、変な想像しすぎ?…笑)、パパは嫌がっているというよりも、怪訝な顔をしているので、「何を大袈裟な」ということなんでしょうね。
「そんなこと一人でできるのに、わざわざ付き添われることもないよ。」という意味なのでしょう、きっと。


パパとママが鉢合わせしたことでパニクるモニカに、
チャンドラー: Okay, think, what would Jack and Chrissy do? (わかった、考えるんだ。ジャックとクリッシーならどうするだろう、って。)

これが何を指しているかは、DVDの字幕でわかりました。
日本語字幕には、「ドラマの”スリーズ・カンパニー”みたいだ」と書いてあります。
IMDb: "Three's Company" (1977) [TV-Series 1977-1984]
この登場人物の中に、Jack Tripper、Chrissy Snow という人がいますので、その二人を指しているのですね。
Wikipedia 英語版: Three's Company
このスリーズ・カンパニーというのはフレンズと同じようなシットコムのようです。
IMDb の Plot Outline には、
「アパートメントの一つの部屋に住んでいる女性二人、男性一人とその隣人たちによる不運な出来事(災難)」
とあります。
その説明では、misadventure 「不運、不運な出来事、災難」という言葉が使われているのですが、そんな大袈裟なものではなく、いわゆるドタバタコメディということでしょうね。
今、チャンドラーたちが直面しているようなやっかいな出来事が次々と起こるドラマで、スリーズ・カンパニーの登場人物ならこういう場合どうするかを想像してみよう、ということだと思います。

この Three's Company というタイトルですが…。
諺(ことわざ)に、Two's company, three’s none [a crowd]. というものがあります。
研究社 新英和中辞典では、none でも a crowd でも同じ意味として、「二人はよい連れだが三人は仲間割れ」という日本語訳。
英辞郎では、none の場合は「二人なら友達、三人では他人」、a crowd の場合は「二人寄れば仲間で三人寄れば群衆である」という訳になっていて、どちらもほぼ同じ意味だ、と書いてあります。
このドラマの場合は、その諺をもじって、元の諺の一般的な意味とは違って、Three's company 「三人はよい連れ、仲間」だと言っているわけですね。

上のウィキペディアの Referenced in other media という項目に、興味深いことが書いてありました。
ざっとまとめてみると、
「フレンズのキャラクターがいろんな場面で、スリーズ・カンパニーを見たり、それについて言及したりする。(スリーズ・カンパニーの出演者である) Audra Lindley は、フレンズで、フィービーのおばあちゃん役で登場している。モニカとレイチェルが、スリーズ・カンパニーの女の子たちのように誤解している(having a misunderstanding)、とチャンドラーはほのめかしたりもする」

フレンズにスリーズ・カンパニーに関する場面が度々出てくる、という話は後回しにします。
フィービーのおばあちゃんは、フレンズ2-9 に出てきました。
その女優さんは、スリーズ・カンパニーのレギュラーだったんですね。
Wikipedia 英語版: Audra Lindley
IMDb: Audra Lindley

チャンドラーがほのめかす…という話ですが、ウィキペディアの Basic description という項目に、
「ジャックという男性が、クリッシーとジャネットという女性二人と同じアパートに住むことを許可してもらうために、ジャックは大家さんのスタンリーに、自分はゲイであると信じさせる。本当はジャックはゲイではないが、スタンリーはそれに気付かず、しばしばジャックのことを "one of the girls" (女の子の一人)と呼んでいた。」
とあります。
チャンドラーはよくゲイに間違えられるし、フレンズたちも未だにそうだと思い込んでいる節もありますよね。(フレンズ1-8 は特にそれに注目したエピソードでした。)
ですから、チャンドラーがスリーズ・カンパニーを引き合いに出す時は、あのドラマと同じで、俺がゲイだとみんなが思ってるのは単なる誤解で本当は違うんだよ、と言いたい、ということなんでしょうね。(今回のエピソードでは、ゲイの話は関係なさそうですが…)

フレンズに度々出てくるということですが、これまでのエピソードでは、フレンズ1-2 に出てきました。
1-2 のその場面のネットスクリプトを、ト書きを含めて、以下に引用します。

[CUT TO MONICA AND RACHEL'S APARTMENT, WHERE CHANDLER, JOEY, PHOEBE AND MONICA ARE WATCHING 'THREE'S COMPANY']
(モニカとレイチェルのアパートのカット。そこでは、チャンドラー、ジョーイ、フィービー、モニカがスリーズ・カンパニーを見ている。)
チャンドラー: Oh, I think this is the episode of Three's Company where there's some kind of misunderstanding. (あぁ、これって、何かしらの誤解がある(生じる)っていう、スリーズ・カンパニーのエピソードだよね。)
フィービー: ...Then I've already seen this one! [TURNS OFF TV] (…それじゃあ、このエピソード、私もうすでに見たわ。)[と言ってテレビを消す]

上にも書いたように、ゲイであることを含めて、いろんな誤解(misunderstanding)が出てくるドラマですから、毎回「誤解」は存在するはずです。
それを冗談っぽく言ったのに、そういう「誤解が関係したエピソードなら見た」とテレビを消してしまうフィービーに大爆笑、なわけですね。
言うなれば、「これって水戸黄門が最後に印籠を出すエピソードだよね。」と言ったら、「そのエピソードなら見た。」と言って消してしまうのと同じです。
印籠のない水戸黄門なんて、水戸黄門じゃねぇ!って感じなのに…。
脱線しますが、どうして水戸黄門を出したかと言うと、長嶋茂雄さんが監督をしていた時、選手が集まって水戸黄門を見ていて、さぁ、クライマックスの印籠の場面という時に、「ここからどんな展開になるか、みんな知らないの? 分かってるなら見る必要ないだろう?」と言って、テレビをプチっと消してしまった…という話を、子供の頃、(確か)板東英二さんの本で読んだ気がするのです…。

ちなみに、英語とは関係ないですが、日本語吹替では「ロイス&クラークならどうする?」と言っています。
これは「新スーパーマン」からの引用みたいですね。
英語での正式タイトルは、Lois & Clark: The New Adventures of Superman です。
IMDb: "Lois & Clark: The New Adventures of Superman" (1993) [TV-Series 1993-1997]
Amazon.co.jp: 新スーパーマン <ファースト・シーズン> DVD コレクターズ・ボックス1
ディーン・ケイン、テリー・ハッチャー主演ということですが、テリー・ハッチャーというと、「デスパレートな妻たち」のスーザン・メイヤー役で有名な女優さんですよね。
上のアマゾンのサイトにはDVDのジャケット写真が掲載されていますので、若い(笑)テリー・ハッチャーさんの姿が見られます。

「ロイス&クラーク」にしたのは、フレンズが WOWOW で放映されているのと同時期に、このドラマも放映されていたんでしょうかねぇ?
日本ではスリーズ・カンパニーというドラマがそれほど有名ではないので(私も全く見たことがなく、何の予備知識も持っていませんでしたし)、まぁ、困った時にはスーパーヒーローを呼ぼう、という発想から来たもので、同じような男女のカップルとなると、これが適切だということになるんでしょうねぇ。(翻訳者の人って、大変だわ…)

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posted by Rach at 19:09| Comment(8) | フレンズ シーズン2 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
いつも面白いんだけど、今日の記事は特にまた面白かったです。
トリビア満載で、全部読み終わるまでに「20へー」全部使い切ってしまいました。
物知りおばさん(ごめんね)の本領発揮ですね。(笑)

ちなみに、僕のフレンズはこのブログをとっくに追い越して、今シーズン3のエピソード6を見ています。
これがなかなか面白くて、僕的には久々のヒットです。
でも、ここで記事になるのは来年の夏かな。まあ、楽しみに待ってます。
Posted by ハル at 2006年11月08日 23:56
ハルさんへ
コメントありがとうございます!
面白かったと言っていただき光栄です。「20へー」を使い切ってしまったのは、単に記事が長い、ということもありそうですが…(笑)
下書きの時点では、もう少し短かったんですよ。でも、フレンズでよく引き合いに出されるドラマのようだったので、ここで詳しく書いておくと、次回 Three's Company の話が出てきた時に、この記事にリンクをはったら楽チンだし…と思い直して、少し掘り下げて調べてみました。そのせいで、異様な長さになってしまいました。
「物知りおばさん」というより、「こだわりおばさん」かもしれませんねぇ。
(おばさんと言われるのは大丈夫ですよー。子持ちだし、甥や姪も6人いるし(一番大きい甥は何と大学生だっ!)、「おばさん」としか表現しようがないです…この歳で「おねえさん」と言われると、何か裏があるのかと勘ぐってしまう…笑)

そうですか、フレンズ、もう追い越されたんですね。それは良いことです(笑)。最近のハルさんのブログでは、あまりフレンズについて触れられていないので、今どの辺なのかなぁ…と思っていたんですよ。
フレンズを学習として使う場合は、まずは自分で見て、自分でわからない部分に気付いて、自分で調べて…その上で、他の人の解釈を見たり聞いたりして、「ふ〜ん」と思う…という過程が大事だと思うんですよね。
先にマイブログの解説を見てしまって、それからドラマを見ると、ドラマを新鮮な気持ちで楽しめないですものね。

3-6... あぁ、これは面白いです、笑えますよねぇ。ちょっとファンサービスみたいなエピソードでしょうか。シーズン3が好き、という人が結構多いと聞いたことがあります。私も解説するの楽しみにしています。その時も私のブログを読んで下さっていると嬉しいです。
Posted by Rach at 2006年11月09日 12:52
いつも執拗で楽しい記事をありがとうございます。 私はフレンズ解説を断念しましたが毎日ご苦労さまです。 さて、この Three's Company もよく観てましたよ。 黒髪でしっかりものの Janet と、天然金髪美女のちょっといってる Chrissy のコンビって共通するものがありますよね? まぁ観ていたのは勿論 Suzzanne Somers の Chrissy の時ですけど。この sitcom の解説があったと言う事は将来 Cheers も大々的にやるわけですよね? き・た・い してます!
Posted by FDJ at 2006年11月09日 13:56
FDJさんへ
暖かい激励とねぎらいのお言葉、ありがとうございます。
「淡々として他人行儀…」という言葉が、あれ以来頭の中をぐるぐるしていて、その結果、この執拗な(!)記事が出来上がったわけですね(笑)。
下書きの時点では、諺の話、Wikipedia の Referenced in other media の話、1-2 の場面の話、は全く書いておらず、この日になってから、やっぱりこれじゃあ淡白すぎるだろう、ということで、改めて調べてみたんですよ。まぁ、あっさりした記事を投稿しても、何がしかのコメントが入って、結局鬼のように長い(笑)コメントを書くことになりそうな気がしたので、今回は本文記事で勝負してみたわけです。
FDJさんからの厳しいツッコミがなかったところを見ると、私の上の解説はそんなに外してないってことですね? 良かった、良かった…。

Janet & Chrissy というのは、Monica & Phoebe みたいな感じなんですね?
このドラマのプロットを見ると、Jack と Janet と Chrissy が中心人物だと思われるのに、IMDb では Suzanne Somers 演じる Chrissy が、登場人物としては4番目に挙げられているんですよ。この順序は登場エピソードの回数の多いものから並んでいるらしく、Chrissy だけ、他の二人と比べるとエピソード数もぐーんと減っていました。
どうやら、1981年に、Priscilla Barnes 演じる、Terri Alden というキャラクターに交代したようで、「金髪担当」の引継ぎがあった、という感じでしょうか? Wikipedia の Cast に載っている写真も、上が Suzanne Somers で、下が Priscilla Barnes になっています。

メインキャラが交代になってからも、3年くらい(?)続いていたようなので、それはすごいことですが、だいたいメインを代えてしまうと、ドラマとしての魅力が減って、ドラマの勢いも失速したりしますよねぇ。私が見ていたドラマでは、アリー my Love がそんな感じで、ビリーが死んでしまってからは、あのドラマの魅力が減ってしまった気がしますし…。
よく言われているように、フレンズは主役6人がずっと変わらなかったところが、最後まで人気が続いた理由でもあったのかなぁ、と思います。

FDJさんも以前のブログで、今回の 2-22 について解説しておられましたよね? 私の説明がかぶってしまうところもありますし、ちょっと解釈が微妙に異なることもあります。違っていた方が楽しいと思うので(笑)、何か "Huh?"(はぁ?)と思われるところがあれば、ビシバシご指摘下さいませ。

Cheers というシットコムもまだ名前しか知りません。そのスピン・オフのフレイジャー(Frasier)も見たことないんですよ。そもそも、フレンズのどこで Cheer がらみの話が出てくるかさえ知りません(笑)。もしかしたら、気付かずにスルーしてしまうかもしれませんので、その場合はちゃんと教えて下さいね。
その時が来たら、私の検索能力を駆使して、できるだけ執拗な(笑)記事になるように頑張ってみますね。き・た・い にちゃんと応えてみせます!
Posted by Rach at 2006年11月10日 18:49
こんにちわ。
Cheersがらみのエピソードってフレンズに出てくるんですか?Cheersおもしろいですよ。って数回しか見たことないけど。

フレイジャーは日本でも放映していたのでけっこう見ていました。ほんとむちゃむちゃおもしろいですよ。主要人物は父親と中年(?)息子2人で、主役の長男フレイジャーの職場はラジオ局という、これだけきくととても退屈そうな設定なのに、これでこんなに爆笑できるドラマが作れるなんて、驚いてしまいます。

また日本で放映することがあったらぜひ見てみて下さいね。
Posted by YN at 2006年11月11日 09:44
YNさんへ
Cheers がらみのエピソード、多分、出てくるんでしょうねぇ(笑)。私には全く記憶にないんですが…。
何しろ、最初にフレンズを見た時は、そういう知らない固有名詞は「何かそういう感じのものがあるんだろう…」くらいに軽く流していたんですよ。当時の私のパソコンには無線LANがなくて(笑)、即座にネットで調べるということもできなかったので、いちいちメモにとって、それを主人のデスクトップパソコンで検索するのが面倒くさかった、というのもあります。
実は私がブログを始めたのも、無線LANを導入したのがきっかけなんですよ。自分のパソコンで投稿できるから、いろんなことをさっと調べられて(変な検索ワードを入れることに躊躇しなくてもいいし…笑)、こんな風に思いっきり自分風なブログができるんだろうなぁ…と思ったりもします。(話が完全にずれましたね…笑)

Cheers って日本語のタイトルがないんですが、どうも日本では放映されていなかったみたいですね。アメリカではかなりの人気ドラマで、視聴率も非常に高かったという話を聞いたことがあります。そして、そのフレイジャーというのが、YNさんがおっしゃるように「退屈そうな設定」(笑)なのに人気が出て、スピンオフの成功例として有名なんだそうですね。
とりあえず何となく聞いて知っているのはその程度で、また Cheers がらみの話が出た時に、ゆっくりじっくり調べるとします。その頃までに、フレイジャーだけでも何回か見て、雰囲気掴んでおかないとマズいかも…(笑)。
Posted by Rach at 2006年11月11日 16:03
そんなに大げさに取り上げられてるわけではないのですが、、、
ヒントはロンドン、ジョーイ、ホームシック、ってことで。あまりスポイルしたくないし。
Posted by FDJ at 2006年11月11日 16:19
FDJさんへ
ヒントありがとうございます。だいたいどの辺りかはわかりましたが、それでもどんな風に出てくるのかはさっぱり思い出せません。
まぁ、その時が来ればおのずとわかるでしょう(?)。結構、先の話ですよねぇ。その頃までこのブログが続いているのを祈りつつ…。

ところで、「スポイル」ですが、spoil は「台無しにする、(興味などを)そぐ、水を差す、価値を損なう」で、spoiler には「台無しにする人、ネタばれ」という意味がありますよね。

私が spoiler =ネタばれ、だと知ったのは、ウィキペディアです。
あらすじが書いてある項目の前に、
Spoiler warning: Plot and/or ending details follow.
訳すと「ネタばれ警告:あらすじと(または)エンディングの詳細が以下に続きます。」
と書いてあります。
ウィキペディア日本語版ではこの部分を「注意 : 以降に、作品の結末など核心部分が記述されています。」と書かれていました。

それが何だ?と言われると困るのですが、ちょっと思い出したので書いてみました(笑)。
Posted by Rach at 2006年11月12日 07:39
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