レイチェルママ: Do you know my husband has glasses just like that? (うちの主人もそんな眼鏡をかけてるのを知ってる?)
レイチェル: Well, those are very popular frames. (だって、それはすごく人気のあるフレームだもん。)
ロス: Neil Sedaka wears them. (ニール・セダカが(同じ眼鏡を)かけてますよ。)
誰でも持っている人気のあるフレームだと誤魔化そうとするレイチェルですが、ロスはニール・セダカを引き合いに出しています。
「恋の片道切符」(原題: One Way Ticket (To The Blues))などで有名な歌手ですよね。
Wikipedia 英語版: Neil Sedaka
日本でも有名な歌手なので、日本語版も紹介しておきましょう。
Wikipedia 日本語版: ニール・セダカ
1939年生まれの人ですから、もうかなりのお年ですし、このフレンズの放映当時に彼がリバイバルで人気だった、ということもないでしょうね(笑)。
「人気のあるフレームだ」という説明にはなっていないわけです。
この後、ニール・セダカさんから話がかなり脱線して、そのまま終わります。(←またかよ)
このニール・セダカさんは、ザ・トーケンズ(The Tokens)というドゥーワップ・ボーカル・グループ(doo-wop vocal group)に所属していました。
Wikipedia 英語版: The Tokens
ニール・セダカは初期のメンバーですが、ウィキペディアによると、1958年にこのグループを脱退して、それからソロ・アーティストとして活躍することになったそうです。
ニール・セダカ脱退後、ザ・トーケンズは "The Lion Sleeps Tonight" (ライオンは寝ている)という曲をヒットさせました。
これは1961年に全米チャート1位になっています。
(日本語のサイトでは、ニール・セダカ在籍中にこの曲がヒットしたような記述も見かけるのですが、上の「英語版」Wikipedia: The Tokens の Carrer を読むと、やはり「脱退後」だと思われます。間違っていたら、ご指摘下さい。)
♪In the jungle, the mighty jungle, the lion sleeps tonight♪で有名なこの曲は、ロスが飼っていたおサルのマルセルくんのお気に入りの曲でした。
フレンズ1-18その4 では、マルセルがCDに合わせて踊っていましたし、
フレンズ2-12その13 では、映画撮影中のマルセルの気を引くために、フレンズたちがこの歌をみんなで歌っていましたね。
The Tokens のウィキペディアを見ていて気付いたのですが、「ザ・トーケンズは、1955年にブルックリン・リンカーン・ハイスクール(Brooklyn's Lincoln High School)で結成された」とあります。
「リンカーン・ハイスクール」って何か聞き覚えのある名前だなぁ…としばらく考えて、やっと思い出しました。
この名前、フレンズのセリフに出てきたことがあるんですよ。
フレンズ1-1 で、花嫁姿でセントラルパークに飛び込んできたレイチェルをみんなに紹介するモニカ。
モニカ: Okay, everybody, this is Rachel, another Lincoln High survivor. (さぁみんな。こちらはレイチェル、もう一人の(=私と同じく)リンカーン・ハイ(リンカーン高校)を卒業した仲間よ。)
さらに、フレンズ1-19 で、マルセルが逃げ出して、部屋に動物管理局員がやってくるシーン。
AC(Animal Control)=動物管理局(員): Louisa Jeanette. Lincoln High? I sat behind you guys in, in homeroom! (私はルイーザ・ジャネットよ。リンカーン・ハイでしょ? 私はホームルームで、あなたたちの後ろに座っていたのよ!)
その動物管理局員が、実はレイチェルとモニカの高校の同級生だったことが判明する、というシーンでした。
Wikipedia 英語版: Monica Geller (←今見たら、思いっきりネタバレになる写真が載っていたので、リンクはるのをやめときます)にも、"Monica's new roommate was her best friend from Lincoln High School, Rachel Green." 「モニカの新しいルームメートは、リンカーン・ハイスクールでの親友のレイチェル・グリーンだった。」と書いてあります。
では、このフレンズのセリフで出てきた Lincoln High というのは、ニール・セダカも卒業したという、実在の高校を指すのでしょうか?
実は、「リンカーン・スクール」という名前の学校はたくさんあるようです。
Wikipedia 英語版: Lincoln School
上のウィキペディアに、「リンカーン・スクールというのはアメリカの学校(特に高校)のポピュラーな(人気のある)名前である。」と書いてあり、そこにリンカーンと名前のついた学校がずらりと並んでいます。
まぁ、有名な大統領の名前ですので、学校名に相応しいということなのでしょう。
また、そのリンカーン・ハイスクールのうち、「エイブラハム・リンカーン・ハイスクール」とフルネームのついた高校もかなりあります。
Wikipedia 英語版: Abraham Lincoln High School
上のウィキペディアに、Abraham Lincoln High School (Brooklyn, New York) in Brooklyn, New York という名前が載っています。
これが、ニール・セダカの卒業した、ブルックリン・リンカーン・ハイスクール(Brooklyn's Lincoln High School)のことですね。
Wikipedia 英語版: Abraham Lincoln High School (New York)
ノーベル賞受賞者なども輩出している有名な高校のようです。
当然ですが、Notable Alumni(有名な卒業生)の中にちゃんとニール・セダカの名前も書いてあります。
ちなみに、フレンズ2-22その3 で説明した、Long Island (ロングアイランド)という New York 州の東南部にある島に、ブルックリン(Brooklyn)は存在します。
そこでも説明しましたが、レイチェルはロングアイランド出身なので、やはりフレンズのセリフで、Lincoln High というと、このブルックリンにあるリンカーン・ハイスクールだと見るのが妥当でしょうね。
ですから、レイチェルとモニカ(とルイーザも…笑)は、この「実在の」高校の出身だ、という設定になっているのかなぁ、と思うわけです。
日本のドラマだと、たまに実在の高校名や大学名が出てくることもありますが、どちらかと言うと、「どっかで聞いたことありそうだけど実際にはない名前」を使っていることの方が多いような気がしますので、ちょっと意外だなぁ、と思ったのですが…。
でも、後のエピソードで、実在する大学が舞台となる話も出てきますし、アメリカは実在する名前を言う方が普通なのかもしれませんね。(別に不名誉なことではないわけですし…)
まぁ、これは深読みしすぎかもしれませんが、セリフにニール・セダカが出てきたのは、「ニール・セダカ→ザ・トーケンズ→ライオンは寝ている」つながり、と、「ニール・セダカ→ブルックリン・リンカーン・ハイスクール出身→レイチェルやモニカも卒業生」つながり、ということがあったのかも…と思うと、ちょっと楽しくなりません?(楽しいのは私だけ?…笑)
(Rach からのお願い)
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学校では、同じ物を指す時の、itとoneの違いを習いましたよね。itはまさに、その同一の物をさすから、「私もそれ欲しいな」とか、「彼もそれと同じ物を持ってます。」の時は、itではなくoneを使うと。
であれば、ここでも、themではなく、onesとか、the same onesとかであるべきですよね。???
私はこの them についてあまり深く考えていなかったんですよ。
"glasses just like that" はやっぱり like those じゃなくて、like that でいいのかぁ…と違うことを気にしていたりして…(笑)
そういう it と one の違いって習いましたよねぇ。it だと「まさにその同一の物、目の前に存在する”それ”」になってしまうから、同じ種類のものの場合は one と言わないといけない…ということでしたね。
で、このセリフの場合は、them となっているのは glasses が複数形だからで、それがもし単数名詞の場合だと it ということになり、そうすると「そのものを指す」ことになるから、「同じ種類のもの」を指す場合は one を使わないとおかしいんじゃないの???ということなわけですよねぇ?
このセリフが、「ニール・セダカが、”今、僕がかけているのと同じ種類の眼鏡”をかけてますよ。」と文字通り表現したいのであれば、"Neil Sedaka wears the same ones." になるのだろうと思います。
もしこのセリフが、Neil Sedaka wears these. 「ニールは”この眼鏡”をかけてますよ。」となっていたら、それは明らかに「同一の物」を指すことになり、間違いだと思うのですが、ここでの them は、these や those という「自分の目に見えている物を指す代名詞(これら、それら)」と同じような意味で使っているのではないような気がします。
このセリフの them というのは、「すでに話題にのぼっている眼鏡というもの」を指す代名詞なんだと思うんですよ。
ロングマン現代英英辞典に
them: used to refer to two or more people or things that have already been mentioned or are already known about
訳すと、「すでに話題に出た(言及された)、またはすでに知られている2人以上の人または2つ以上のものを言うのに用いられる」
ですからこの場合も、ロスは自分がかけている「今、目の前にあるこれ(ら)、それ(ら)」という意味で them を使ったのではなくて、レイチェルママの言った glasses just like that (まさにそんな感じの眼鏡)や レイチェルの言った very popular frames (とても人気のある眼鏡のフレーム)を受けて、それを them という代名詞で表現している、ということなのではないかなぁ…と思うのですが。
私の書いた和訳が「ニール・セダカが(同じ眼鏡を)かけてますよ。」となっており、とても紛らわしい和訳を書いてしまった気がして反省しているのですが、本当のニュアンスは「今、話題にのぼっているようなそういう眼鏡をニール・セダカはかけてますよ。」という感じかなぁ、と思います。
…というのが、ひとしきり悩んだ結果の私の意見です(笑)。自分でもよくわからないので、また他の方のご意見もお待ちしております。
まったく違和感をかんじないのですが、、、。 込み入った解説を希望します。
えーっと…。マイブログはコメント欄にコメントが反映するのが遅い時があるので、私が16:10に書いたコメントがまだ読めない状態でのそのFDJさんのお言葉だと良いのですが、もし上の私のコメントを読んで下さった上で「込み入った解説を…」というご希望だとすると、私は一体どうしたらよいのでしょう…オロオロ(笑)。
まぁ、どちらにしましても、私の書いたことで何か気になる部分、もしくは、全然見当違いのことを書いてるよ!というご指摘でも何でも結構ですので、何かご意見をお聞かせいただけると幸いです。
"them ≠(ノット・イコール)these glasses" で、"them = glasses just like that" ということだ、というのが今のところの私の結論でございます…。
ここではRachさんの訳どおりなのですが,「just」はlikeの類似性を強調してると思います。似てるのはあたり前で、ご主人のメガネですからね。
just like that には確かにそういう意味がありますね。
研究社 新英和中辞典には「やすやすと、あっけなく」、
英辞郎には
1. 当たり前のように、何のためらいもなく、いとも簡単に、平気で、実にあっさりと、むげに
2. 突然、急に、アッという間に、何の予告[前触れ]もなく、ふとにわかに
とありますね。
1-3 ではジョーイが情けな〜い顔をして、そんなセリフを言っていましたねぇ。
また上のセリフの just like that をもう少し厳密に訳すと、「”まさに”それと同じような」という感じになるのでしょうね。
私も、違和感はないのですが、文法的に考えた場合変だなと思い、質問させて頂いたのです。内容は、Rachさんのして下さった込み入った解説(笑)通りです。
>ですからこの場合も、ロスは自分がかけている「今、目の前にあるこれ(ら)、それ(ら)」という意味で them を使ったのではなくて、レイチェルママの言った glasses just like that (まさにそんな感じの眼鏡)や レイチェルの言った very popular frames (とても人気のある眼鏡のフレーム)を受けて、それを them という代名詞で表現している、ということなのではないかなぁ…と思うのですが。
上記のご説明で、わたくしは納得いたしましたわ!
皆様どうもありがとうございました。
Rachさん、本当にどうもありがとうございました。
ご丁寧なお返事ありがとうございます。さらには、私の説明で納得していただけたとのこと、とても嬉しく思います。
it と one の違いについては、日本語に訳すだけではわかりにくい感覚なので、英語でその感覚を掴むことは非常に大事だと思います。
Mayumi.Kさんは「学校で習った」とおっしゃいましたが、私がその違いを知ったのは、随分大人になってからです。確かNHKの英会話番組か何かで、"I'll get one." (それと同じものを買ってくるよ。)というような表現があり、そこで it ではなく one を使うことが詳しく解説されていました。(多分、学校でも習ったんだろうけどなぁ…笑)
そして、私の上のコメントは it と one の違い、というよりも、them か these かの違い、みたいな話になってますよねぇ?
私は以前から、複数の物体を指す時に、they(them)か these, those かのどっちを使ったらいいか?というところに悩んでいたのですが、週刊ST2006年10月20日号の、堀内克明さんとV.E.ジョンソンさんによるコラム「英語Q&A」で、them と they、these、those の使い分けに関する質問があったんです。
その回答内容を引用させていただくと、
通例まず何かを出して、それを they, them で受ける。ただし、目に見えている物・人やお互いに知っている物・人を指して、最初から they と言うことは可能。
はっきり「これら(の本)」、「それら(の本)」または「あれら(の本)」と指定すれば、these (books) や those (books) になる。(引用終わり)
ですから、このセリフの場合は、these や those を使ってしまうと、明らかに「目に見えているそれ(ら)、物理的に近くにあるそれ(ら)」を指すことになるけれど、them はもう少し応用範囲が広くて、these や those のようにも使えるし、前に出てきた複数の単語を受けてそれを they(them)と表現するという使い方もする、ということになるわけですよね。
私は、このコラムを読んでいろいろと納得できたところがあったんですよ。それで今回、ご質問を受けて、改めて英英辞典で them を調べると、やはり「すでに言及された」ということが書いてあったんですね。もちろん、そういう使い方をするのは知っていたのですが(笑)、セリフの中で実際にそこに登場するアイテム(この場合は眼鏡)の話をしている場合には、them というと、「そのロスが今かけている眼鏡そのもの」を指す場合もあり得ますよね。でもここではそれが「そのもの」であると、(it と one の場合と同じで)文法的におかしい、ということになってしまいますよね?
ですから、私は記事を書いた時点では全くスルーしていましたが、「この them が気になる」と言われた理由は自分なりにわかった気がしましたので、ちょっと these に脱線しつつ、くどくど書いてしまったわけです。上のコメントでその週刊STのコラムのことも書こうかと思っていたのですが、私が見当違いの話を書いてる恐れもあったので、ここで改めて引用させていただきました。
it と one、または this, that, it または they, these, those の違い、というのは本当に「感覚的」なもので難しいと思うんですよねぇ。これは間違いなく、日本語訳の「あれ、それ」という言葉では表現しきれない違いがあると思います。
私もまだまだわかっていない部分が多いと思いますので、私の今回のコメントに書いた部分で、何かおかしいところがあるな、と思われた方は、ご遠慮なく、ご指摘下さいませ。