モニカ: That'll teach you to lick my muffin. (それでわかったでしょ、私のマフィンをなめるとどうなるか、ってことが。)
That'll teach you to lick my muffin. について、くどくどと書かせて下さい(笑)。
まず、that はこの状況、モニカのマフィンを食べたために、チャンドラーは言いたいことが言えなくて悔しかった、ということを指すのでしょう。
普通、teach someone to do は「人に…すること(やり方)を教える」という意味です。
He taught me to swim. なら「彼は私に水泳(泳ぎ方)を教えた。」です。
そういう風に解釈すると、上のセリフの直訳は、「that が、チャンドラーにマフィンのなめ方を教えるだろう。」ということになるのですが、それはつまり、「なめてもいいものなのか、なめることが許されるのか、もしなめたらどういう結果になるか、をわからせる」という意味になるのですね。
英辞郎には、以下のようにあります。
teach: (他動詞-3)(〜すればどうなるか)思い知らせる
例) That will teach him to play a dirty trick on me. 「これであいつは、おれに卑劣な手を使ったらどういうことになるか分かっただろう。」(相手をひどい目に遭わせたあとの発言。)
また、研究社 新英和中辞典には、
teach +目+ to do: [I will [I'll] 〜 で](口語)(人に)(…させないように)する、(人が)(…すると)承知しないぞ
例) I'll teach you to meddle in my affairs. 「人のことでいらぬおせっかいをすると承知しないぞ。」 (注: to meddle は not to meddle の意)
と書いてあります。
(meddle は、「おせっかいを焼く、ちょっかいを出す、干渉する」という意味です)
Merriam-Webster Online Dictionary には、
teach: to cause to know the disagreeable consequences of some action
例) I'll teach you to come home late.
つまり、「ある行動の不愉快な結果を知らせる」ということ。
上の例文だと、「遅く帰ってきたらどんなにひどいことになるかを教えてあげるよ。」という意味が、「遅く帰ってきたら承知しないよ。」になる、ということなのですね。
いずれも will teach と、will が使われているのがポイントです。
will が使われていなければ文字通り、「…するように教える」という意味になります。
研究社 新英和中辞典では
teach +目+ to do: (事実・経験などが)(人に)(…するように)教える
例) The accident has taught him to be careful. 「その事故で彼は注意が必要だということがわかった。」
これはそのまま「be careful するように教える」という素直な意味です。
上に挙げた研究社の新英和中辞典の注意書き、「to meddle は not to meddle の意」という説明が面白いと思うのですが…。
見た目上は「meddleの方法を教える」という形になっているのですが、それが will と併用されることで、「どう meddle したらいいのか、meddle したら結果がどうなるか、を教える」、つまりは「おせっかいするな、と教える(悟らせる)、meddle するなと警告する」という意味になるということですね。
That'll teach you to lick my muffin. を上の辞書の訳語に合わせて訳してみるとすると、「これでチャンドラーは、私のマフィンをなめるとどういうことになるかわかったでしょう?」、「これで、これからはチャンドラーも私のマフィンをなめないようになるわね。」という感じでしょうか。
意味としては、That'll teach you that you should not lick my muffin. という感じかと思います。
最初は、That'll teach you the meaning of licking my muffin. 「マフィンをなめる、という行為の意味を教える」(それが不利益をもたらす行為であることを教える)ということかと思ったのですが、That'll teach you how to lick my muffin. 「マフィンのなめ方を教える」、つまり、「マフィンをなめる」という行為について、どう関わるべきかを教える(真似だけにしておくとか、そういうことはしないとか)というのが本来の意味で、「そういう軽率な行為をしない方がいいと悟っただろう?」というニュアンスになるのかな?と思うのですが…。
それにしても、最初はさらっと流そうと思っていたのに、気になり出すと深みにハマってしまいました。
まさか teach という基礎的な単語を英英辞典で調べるとは思わなかったなぁ。
でも、こういう基礎的な単語ほど、英英辞典の語義がしっくりくる、ってこともあるんですよね。
語義に disagreeable という言葉が書いてあって非常に納得できましたから。
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>まさか teach という基礎的な単語を英英辞典で調べるとは思わなかったなぁ。
でも、こういう基礎的な単語ほど、英英辞典の語義がしっくりくる、ってこともあるんですよね。
語義に disagreeable という言葉が書いてあって非常に納得できましたから。
本当やな〜。(関心、関心)
いえいえ、こちらこそ、長々としたややこしい記事を読んでいただき、どうもありがとう!
どうも私はこのブログを自分のメモ書きのように使っているところがあって、調べてわかったことをいろいろと書いておけば、また後でネタとして使えるなぁ、とか(笑)、書くことで頭を整理しよう、とか思っちゃうんですよねぇ。だから、とことん細かく書いておかないと気がすまないんですよ。あまりあっさり書くと、後でまた調べなおす羽目になったりしますんで…(笑)。
英英辞典に関しては、本当に使う頻度が増えました。ロングマン現代英英辞典は紙の辞書を少し前から持っていたのですが、1年前くらいはほとんど使っておらず、本棚に飾ってただけでしたね。
その後、英和辞典で煮詰まった時とか、ここぞという時に使うようになってきて…。
今では英和にそれらしい意味が書いてあっても、それと同じ意味が英英に書いてないと不安になります(笑)。
コメントありがとうございます。
私の手持ちの一般的な辞書には、英和、英英ともに「彼氏」という意味は載っていなかったのですが、
英辞郎には、
muffin=【名-2】〈俗〉女の子、女性器
のような過激な意味が載っていました。
実際のシーンでは、チャンドラーとモニカが最後に1つ残ったマフィンを取り合いし、チャンドラーは「じゃあ、モニカにあげるよ」と言いながら、実際にベローンとマフィンをなめてから渡しています。
なめられたマフィンをモニカは食べる気にはなれず、結局、マフィンはチャンドラーが食べることになるのですが、上のセリフはその流れでのセリフで、「マフィンをなめて、独り占めして頬張っているから、ジョークが言いたくても言えないわよねー」とからかっているセリフなのですね。
ですから、このセリフは文字通りの意味で、「私のマフィンをなめたらどうなるかこれでわかったでしょ?」という意味になると思うのですが、muffin という単語にそういう俗語の意味があるのなら、別の意味も裏に込めている、ということはあるのかもしれませんね。
ご意見ありがとうございました。