2006年12月10日

フレンズ2-23その14

ライアン: Can I please see your face? (君の顔をどうか見せてよ。)
フィービー: Nope. You don't want to see a face covered with pox. (だめ。ほうそう(できもの)だらけの顔なんて見たくないと思うでしょ。)
ライアン: Your face could be covered with lox, I wouldn't care. (君の顔がスモーク・サーモンだらけだったとしても、僕は構わないよ。)
フィービー: And you hate fish. (あなたは魚嫌いなのに。)

covered with lox の部分ですが、DVDの英語字幕では lox となっていて、ネットスクリプトでは covered with lochs となっています。
発音は lox も lochs も同じになります。
どちらにしても、ポックスとロックスで韻を踏んでいるわけです。
(実際の発音は pox は「パックス」、lox, lochs は「ラックス」が近いようですが。)
ここでは、DVDの lox が正しいようです。
以下に理由を説明します。

loch はスコットランド語で「湖、細長い入り江」という意味。
lake と関係のある言葉のようです。
ネッシーで有名なネス湖は Loch Ness となります。
一方、lox は「スモーク・サーモン(smoked salmon)」のこと。
Merriam-Webster Online Dictionary によると、
lox: (especially American English) SALMON that has been treated with smoke in order to preserve it
つまり「(特にアメリカ英語) 保存するために煙で処理された(燻製された)サーモン」ということですね。
ライアンが「ロックスが君の顔についていても、僕は構わない(気にしない)」と言った後のフィービーのセリフが、"And you hate fish." 「そしてあなたは魚が嫌い。」
これは、「そして(私もあなたも知ってることだから、あなたはあえて言わなかったけど、ここで重要な点を付け加えると)あなたは魚が嫌いなのよね。魚嫌いなのにそこまで言ってくれるなんて!(フィービー、嬉しいっ!)」という感じでしょうか。
ここで、fish という単語を出していることで、lox が fish の一種だろう、ということがわかりますね。
だから、lox が正しいと私は思うわけです。
covered with lochs が正しいとすると、「湖がたくさんくっついた顔」ってことになってしまって、やや意味不明ですしねぇ…。
サーモンが顔についている、というのも確かに変ですが(笑)、ポックスと韻を踏むことができる言葉を何か探していて、海関係の言葉である魚介類のサーモンを選んだ、ということだと思います。
フレンズ2-23その12 では、have barnacles on your butt 「お尻にフジツボがくっついて…」というフレーズもありましたね。
それと同じようなイメージでしょうか。

ちなみに私の経験から言うと(笑)、DVDとネットスクリプトで単語が異なっている場合は、やはりワーナーが発売しているオフィシャルなDVDの方が正しい場合が「多い」です。
フレンズ2-20その4 で、DVDの字幕では、Knicks が Nicks となっていた、という話を書きましたように、DVD字幕の綴りが絶対だとは言えませんが、ネットスクリプトは結構誤植(typo)が多いので…。
ただ以前に何度も書いているように、DVD字幕ははしょり過ぎな部分もあるので、ネットスクリプトの情報は大変貴重です。

さらにこのセリフが面白いのは、ライアンは海にずっと潜っている潜水艦の乗組員でいわば「海の男」なのに、彼は魚嫌いだ、という事実がわかるところ。
まぁ、魚嫌いと言っても、食べるのが嫌いなだけで見るのもイヤだ、ってわけじゃないかもしれません。
漁師さんなら魚が食べられない、触れないと仕事になりませんが、そういう仕事でもないので構わないと言えば構わないのですが…。
彼の一連の言動を見ていると、彼は潜水艦乗りになってから、「そう言えば僕は小さい頃から魚が嫌いだったんだ!」と気付くようなタイプなのかも、と思ったりします。

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posted by Rach at 17:19| Comment(7) | フレンズ シーズン2 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
Your face could be covered with lox, I wouldn't care.
couldの使い方は特殊ですね。
even if your face were covered with lox, I wouldn't care.の感じですね。

couldはここで、まさにRachさんの解説通りと思いますが、辞書を調べても、そんな意味を見つかれないです。

If your face could be covered with lox, I wouldn't care. なら、
If I were you, I would't ...と同様に
couldがcan(Used to indicate possibility or probabilityの意味)の過去式で、仮条件を言っていると解説できますが、
Ifが付いてないので。。。

Rachさんの意見を聞かせてください。
Posted by Fen at 2009年07月02日 15:08
Fenさんへ
could を使うことでライアンは「可能性」の話をしていて「君の顔がスモーク・サーモンでおおわれることすら可能だ。(それでも)僕は気にしないだろう。」が直訳になるでしょうか。

could を使うことで、そういうこともあり得ると言っている、「pox だらけだけじゃなくて、lox だらけである可能性だってあるけど、(もしそうだとしても)それでも僕は気にしないだろう。」という感じでしょうか。would の方に「例えそうだったとしても、僕は気にしないだろう。」という仮定の意味が入っている気がします。
Posted by Rach at 2009年07月03日 07:30
Rachさんへ

ご説明ありがとうございます。
ここのcouldが「可能性」を表している意見には、同意いたします。

wouldについて、中国語でのある辞書では、
2.「(表示意志)愿,要;偏要」
I told her to stop nagging, but she just wouldn't listen.
が乗ってます。

[表示意志]はresolutionを表すのことですので、これだったらと思います。
ただ、thefreedictionaryで調べても、wouldにこれに似ている意味が乗っていませんが。

Posted by Fen at 2009年07月03日 12:38
すいません。ちょっと補足します。

wouldについて、該当中国語辞書の説明を良く読んだら、また面白い発見があります。

九番目の意味
9. 能,能够
The hall would seat one thousand people.

wouldがcanの意味も持っていること。
これもthefreedictionaryには乗っていません。

the one with the bulliesの
Chandler: I wouldn't know, i missed everything.
のwouldn'tについて、ずっと悩んだんですが、これの意味に間違いないと思います。

Rachさんが持っている辞書には、wouldについて、該当二つ意味が記載されいますか?

Posted by Fen at 2009年07月03日 12:55
Fenさんへ
中国語の辞書で「表示意志」とされている would は、日本語の辞書には以下のように載っています。

研究社 新英和中辞典
would=[過去の意志・主張・拒絶を表わして] (どうしても)…しようとした
I asked her several questions, but she would not answer any of them. 私は彼女にいくつか質問をしたが, 彼女はどれ一つとして答えようとしなかった。
The door would not open. ドアはどうしてもあかなかった。

日本で学ぶ英文法では、The door would not open. のような文が、「強い拒絶(…しようとしなかった)」を表す例文としてよく登場します。

また、同じく研究社 新英和中辞典に、would の「能力」の意味も載っていました。

would=〈ものが〉…する能力があった、…することができた
He bought a car that would easily hold five people. 彼は5人の人が楽に乗れる車を買った。

元々、現在形の will に以下の意味があり、その意味の過去形が would である、ということのようです。

同じく、研究社 新英和中辞典より。
will=〈ものが〉…する能力がある、…することができる
The back seat of this car will hold three people. この車の後席には3人座れる.

LAAD (Longman Advanced American Dictionary) の would には、そういう能力の意味は載っていませんが、will には載っていました。
will: used like "can" to show what is possible
例) This car will seat five people comfortably.

will や would が能力の意味で使われる例文を見ると、主語は無生物・物であることが多いようです。違う辞書からの例文なのに、みんな「…は何人座れる」みたいな文章であることも興味深いですね。
こういうタイプの文章の場合に、will/would が can/could の意味で使われる、ということなのでしょう。
私自身は、こういう would に今まであまり出会った記憶がありません。

それで、上のセリフの would ですが、「care しようとしないだろう」という「強い拒絶」ではなくて、これは単に、lox だらけだったと仮定した場合に、care しないだろう、という「推量」だと思います。
wouldn't が強い拒絶を表す場合は、その行為をすることを誰かに求められていて、それに対して強い意志を持って拒絶する、というニュアンスになると思いますので。

フレンズ2-21その27
http://sitcom-friends-eng.seesaa.net/article/388470603.html
に出てきたチャンドラーの I wouldn't know についても、上に挙げた例文と比較してみると、will/would を can/could のニュアンスで使っている例文とはタイプが異なるので、可能の意味であると解釈するのは難しいように思います。
Posted by Rach at 2009年07月14日 10:15
Rachさんへ

ご調査ありがとうございました。

Posted by Fen at 2009年07月20日 00:30
Fenさんへ
こちらこそ、お返事ありがとうございました。
Posted by Rach at 2009年07月21日 10:49
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