2006年12月17日

フレンズ1-18その7 ご質問1+Tridentの話

昨日の記事、フレンズ2-23その20 のコメント欄 で、フレンズ1-18 に関する質問をいくつかいただきました。
コメント欄でいただいた質問は、基本的にはコメント欄でお返事しているのですが、その中で一つ、いかにもフレンズ的、チャンドラー的と思えるセリフが出てきましたので、今回、記事にしてみました。


1-18 はフレンズたちがポーカーをする話です。
ロスの部屋に嬉しそうに入ってきたレイチェル。
レイチェル: Guys! Guess what, guess what, guess what, guess what? (みんな! 何だと思う? 何があったか当ててみて!)
チャンドラー: Um, okay... the... the fifth dentist caved, and now they're all recommending Trident? (よーし、わかった、えーっと…5番目の歯医者さんが降参して、今では彼ら全員がトライデントを推薦してる?)
レイチェル: Noooo... the interview! She loved me! She absolutely loved me. (違うわ、仕事の面接よ! 面接を担当した女性が私を気に入ってくれたのよ。本当に気に入られたわ。)

このチャンドラーの「5番目の歯医者さん…」というジョークの意味は何か?というご質問です。

レイチェルが嬉しそうに「何があったと思う?」と尋ねているので、チャンドラーがそれに対してジョークで返す、というシーンです。
本当のところは、レイチェルは就職のための面接試験を受けに行き、そこで面接担当の女性に気に入ってもらえた、というのが、レイチェルの話したいビッグニュース。
そもそも、レイチェルが面接を受けに行ったのはみんな知っているはずなので、ここでは「面接がうまく行ったのね?」とか、本人の口から言いたいだろうからと「何、何? 早く教えて!」とねだるのが普通だろうと思うのですが。
チャンドラーは、レイチェルが何か面白いネタを仕入れてきたかのように、「それってこういうビッグニュースのこと?」とトライデントの話を持ち出しているようなんですが…。

まず、トライデント(Trident)について。
Wikipedia 英語版: Trident gum
シュガーレス・チューインガムのブランド名ですね。
上のウィキペディアに、今回のチャンドラーのセリフを解く鍵となる説明が書いてありますので、そのまま引用します。
In the mid-1960s, the Adams gum company acquired American Chicle and introduced a new slogan for Trident:
"4 out of 5 Dentists surveyed would recommend sugarless gum to their patients who chew gum."
The phrase became strongly associated with the Trident brand.
1960年代半ば、アダムス・ガム・カンパニーはアメリカン・チクルを買収し、トライデントの新しいスローガンを導入した。
そのスローガンとは、
「調査対象となった(調査によると)歯科医の5人に4人は、ガムを噛む習慣のある自分の患者にシュガーレス・ガムを勧めるという。」
そのフレーズはトライデント・ブランドと強く結び付けられるものとなった。


上のスローガンでは「シュガーレス・ガム」と書いてあるだけですが、それはすなわち自社のトライデントのことを言っているわけでしょう。
who chew gum と現在形になっているのは、「現在の習慣」を表し、ガムを噛む習慣のある人なら、そのガムはシュガーレスにした方がいいですよ、と歯医者さんが勧める、ということですね。
そう言えば、日本のCMでも、「それを使った…パーセントの人が」などとアンケートの結果などを示して、その効果が素晴らしいことを示しますよね。
上に挙げたトライデントのそのフレーズはとても有名なもので、随分昔(1960年代半ば)からあるようです。

cave は「(圧力・説得などで)(…に)屈服する、降参する (to)、折れる」という意味。
フレンズ2-3その6 にもそういう意味で出てきました。
「5人に4人(4 out of 5)は勧める」わけですから、5人のうちの最後の1人は、トライデントを勧めない、効果を認めていない、ということですよね。
それがついに最後の一人も降参して、とうとう5人全員が(5人が5人とも)トライデントを勧めるようになったんだ、っていう話のことかい? それなら、ものすごいビッグニュースだねぇ、とチャンドラーは言いたいわけです。

「Trident fifth dentist」でグーグル検索したら、面白いCMを発見しました。
AdvertisementAve.com - The Fifth Dentist
↑上のサイトでは、CMを動画で見ることができます。
ADWEEK BestSpots: Trident "Squirrel"
↑上のサイトでは、CMの動画を見ることはできませんが、the fifth dentist の写真は載っています。
また、CMについての簡単な説明が書いてあります。
また写真の上に February 17, 2003 と書いてあるので、2003年のCMということでしょうかねぇ?

上のサイトでCMが見られるのでその内容はわかるのですが、何故か、CNN.com のサイトにこのCMの完全スクリプトが載っていました(笑)。
番組の途中に入るビデオクリップまでご丁寧に拾っている、ということみたいですが…。
CNN.com Transcripts

CMのスクリプト部分を以下に引用します。

(BEGIN VIDEO CLIP)
ANNOUNCER: Four out of five dentists surveyed would recommend Trident for their patients who chew gum. But what about the fifth dentist?
UNIDENTIFIED MALE: Yes.
UNIDENTIFIED MALE: Yes.
UNIDENTIFIED MALE: Yes.
UNIDENTIFIED MALE: Yes!
UNIDENTIFIED MALE: No!
ANNOUNCER: One thing's for sure. Long lasting Trident is good for teeth.
(END VIDEO CLIP)


訳しますと、
ナレーション:調査対象となった歯科医の5人に4人は、ガムを噛む習慣のある自分の患者にトライデントを勧めるという。でも、5人目の歯科医は(どうなんだろう)?
1人目から4人目:(順番に)イエス
5人目:ノー!
ナレーション:確かなことはひとつ。効き目が長持ちするトライデントは歯にグッド。


5番目の歯医者さんが何で「ノー!」と叫んでいるかというと、リス(Squirrel)がその歯医者さんの脚をかじった(見えないが、かじった音がする)からですね。
まぁ、日本語訳はイマイチですが、勘弁して下さい(笑)。

このCMは有名なようで、あちこちのサイトで取り上げられているのですが、きっとトライデントの最新CMなんでしょうね。
「5人に4人は」の有名なキャッチコピーを使って、「その5番目の歯医者さん」をモチーフにした、セルフパロディのようなものでしょうか。
他の4人はイエスと言っていて、5人目だけがノーと言うけれど、それはリスに噛まれたからであって、トライデントの効果を否定しているのではないですよ、と言いたいのですね。
上にも書いたように、恐らく2003年頃のCMのようなので、チャンドラーがこのセリフを言った時は、そのリスに噛まれるCMはまだ放映されていなかったわけです。
が、そのキャッチコピーが有名なので、チャンドラーが the fifth dentist, Trident と言うだけで、観客は Four out of five dentists を思い出すのでしょう。
あるいは、その当時も、the fifth dentist を使った他のバージョンのCMが放映されていた、ということかもしれません。

以前に、フレンズ2-23その2 のコメント欄 で、"Guess what?" と聞かれたら、何と返すべきか?について語り合ったことがあるのですが(笑)、そこで私はこんなことを書いています。

相手が "Guess what?" と尋ねてきたら、"What?" と返すのが無難で、また失礼にも当たらないのでしょうね。
そりゃあ、チャンドラーのように何かひねったギャグで面白い guess を披露できたら、それに越したことはないのでしょうが…でもあまりにも面白いジョークにこだわりすぎると、それは話の腰を折ったような(チャチャを入れたような)形になって、"Guess what?" と質問した側は気分を害するかも…(笑)

このコメントを書いた時、チャンドラーがそういう「ひねった面白い返事」をどこかで言っていたような気がしてたんです。
私がそんな風に思ったのは、きっとこの歯医者さんのジョークを何となく覚えていたんでしょうね。
チャンドラーはレイチェルが "Guess what?" と言った後、しばらく考えてから、これでどうだ、みたいな感じで返事をしています。
彼にとっては練りに練ったジョークだったのでしょう。
観客も大笑いしていますので、チャンドラーのジョークは大成功だったようです。
このジョーク、そのキャッチコピーを知っている人なら、大ウケ間違いなしだったでしょうね。
あいにく、私は今まで知りませんでしたので、今になってやっと大笑いしておりますが(笑)。

しかし、どうして私は、この解説をスルーしたんでしょうねぇ?
当時の私はウィキペディアも使っていなかったし、リサーチ力(検索力)も非常に低かったですからねぇ。
今だからこそ、ここまで調べられたのかな、とも思います(って、自画自賛…笑)。

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posted by Rach at 10:08| Comment(2) | フレンズ シーズン1 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントは初めてですが、いつも感心しながら読んでます。
ほんとすごいです。調査能力もすごいですが、その解説力!!
説明がなんて上手なんだ!って感心しきりです。
英語だけでなくいろんな面で勉強させてもらってます。
今回のトライデントでとにかく伝えたくなったので
コメントしてみました。
どうかこのブログをずーっと残してくださいね!
突然なくなってしまったらとっても困ります。
Posted by mippy at 2011年07月27日 07:55
mippyさんへ
ありがたいお褒めのお言葉ありがとうございます。そこまで言っていただけて、本当に嬉しく光栄です!

私もこのトライデントのジョークは大好きで、それをあーだこーだと説明できるのがとても幸せです。その面白さを多くの方とシェアできるのがとても嬉しいのですね。その私の記事に関して、解説力を褒めていただけると、これからももっとわかりやすい記事を書けるように頑張ろう!という意欲が湧いてきます。ありがとうございます。

「なくなったら困る」と言って下さる方がいてくださる間は、ブログを続け、ネット上にも残しておきたいと思っています。そのようなお言葉は実に励みになります。これからも頑張りますので、どうかよろしくお願いいたします!
Posted by Rach at 2011年07月30日 08:29
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