2006年12月20日

フレンズ1-18その8 ご質問2

先日の、フレンズ1-18その7 ご質問1+Tridentの話 に引き続き、フレンズ1-18 に関するご質問からヒントを得て、また別の記事を書いてみました。
(いただいたご質問は、フレンズ2-23その20 のコメント欄 にあります。)

記事にするのは、Trident の話だけにしようと思っていたのですが、調べているうちに深みにハマってしまったので(笑)、いっそのこと記事にしたら何日分か稼げるしね…というのが本音なんですが。(もうすぐ冬休み、年末年始でバタバタするのが目に見えていますのでねぇ…笑)

でも、真面目な理由もあるんですよ。
以前にも、いただいたご質問から記事にしたことが何度かあります。
それはコメント欄よりも本文記事の方が記事を書きやすい、というのがまず一つ目の理由として挙げられます。
リンクもはりやすいし(何故か最近コメント欄では、ウィキペディアへのリンクがはれない)、辞書や文法書から引用する場合に、引用箇所の文字色を変えることができる…とかで、より見やすいものができるからです。

それから、質問をいただいた部分で私が記事にしようと思う部分は、私が過去の解説で飛ばしている箇所です。
過去の解説で飛ばしているのは、ほぼ間違いなく、当時の私には意味がわからなかった、もしくはうまく説明できないと思った部分なんですよね。
それを今の私が改めて解説しようとするとどうなるか、に挑戦してみたいなぁ、と。
質問された方と私以外にも、その部分がよくわからなかった、という方はきっとおられると思いますので、その方たちに読んでいただくことも想定して書いています。

なお、今も、そしてこれからも、ですが、質問者の方(かた)が必要以上に恐縮される必要はありません。
コメント欄での返事もそうなのですが、いつも私のコメントのレスが長いのは、質問した方に返事を書いている、というよりは、私自身が頭を整理するために書いているところがあります。
その時、思ったことや感じたこと、調べたことを全部ノートに書いておく、という感じかな。
後でそれが役立つことも度々ありますしね。

「フレンズを解説するブログだ」と謳(うた)っている以上、過去に説明漏れしているところは、できるだけ埋めていきたいと思いますし、わからないなりに、今の私に出来る限りの仮説を立てることも、それなりの意味があると思うんですよね。
ここで記事にしておくと、また何年後かにでも読者の方が有益なご意見を下さる、もしくは成長した私自身が(笑)また別の解釈を思いつくかもしれないし…。

ということで、このような記事を書いたことについて、ご理解いただけるとありがたいと思います。
こんな風に過去のエピソードを再度説明するチャンスが巡ってくることは、私としてはとても嬉しいことですし、「あぁ、そんなシーン、あった、あった!」と覚えておられる読者の方々に、私なりの見解を読んでいただけるだけで幸せなのです。
(長い前振りでした…)

質問への回答は、思いついた順に書いているので、ストーリーの流れには合っていませんが、何卒ご了承下さい。

(質問)ポピュラー・メカニックスって何?
フレンズたちは、レイチェルの履歴書を送る手伝いをしています。
履歴書の宛先を見て、
モニカ: Do you really want a job with Popular Mechanics? (レイチェルは本当にポピュラー・メカニックスでの仕事をやりたいの?)
チャンドラー: Well, if you're gonna work for mechanics, those are the ones to work for. (もしメカニックス(メカニック)関係の職場で働くつもりなら、それが一番適した職場だよ。)

この「ポピュラー・メカニックス」とは何でしょう?というご質問です。

Popular Mechanics は単語が大文字で始まっていることから、固有名詞であることがわかりす。
またDVD字幕ではイタリック体で書いてあります。
映画のタイトルや本の題名はそのようにイタリック体で書かれることが多いですね。
ということで、固有名詞であると想像した上で、グーグルで検索してみると、雑誌の名前であることがわかりました。
Popular Mechanics 公式ホームページ
このサイトの下の方に、その雑誌の写真が載っていますね。
また、日本でも購入できるようです。
紀伊國屋書店BookWeb: Popular Mechanics
上のサイトでは、日本語で解説が書いてあるのでわかりやすいですね。
Wikipedia 英語版: Popular Mechanics の解説をざっと訳すと、
「科学や技術をテーマにしたアメリカの雑誌。車、アウトドア、科学、技術に関する定期記事を扱う。」

レイチェルはどう考えてもメカに強そうでもないし、また興味がありそうでもない(笑)。
それなのにそんなメカ好きの人が買うような雑誌の会社(ポピュラー・メカニックスを発行している雑誌社、その雑誌の編集部?)に応募しようとしているから、モニカは驚いているんですね。

それに対するチャンドラーの返事ですが、2通りに解釈しました。
1つ目は、メカに興味がないレイチェルをからかって、「”メカ好きのレイチェル”なら、お似合いの会社だよな。」と言っている。
2つ目は、「メカニックス」という名前がついているとは言え、実際の仕事は雑誌の編集などの雑誌業界としての仕事になるから、メカニック好きの人にとっては憧れの職場だとは言えない、というのを逆説的に表現している。

2つ目の場合ですが、確かに一日中機械いじりをする仕事ではないけれど、取材でいろんな最新のメカに触ったり、新しい情報をいち早く知ったりできるでしょうから、メカ好きの人に相応しくない、とも言い切れないですよね。
だから、やっぱり1つ目の解釈が正しくて、びっくりしているモニカに、「何もおかしなことはないよ、そこに応募してるくらいならレイチェルはメカ好きなんだろうし、メカ好きにはたまらなく魅力的な会社だよ。」と言っているのかなぁ、と。

DVDの日本語吹替(ふきかえ)では、
「ポピュラー修理工場なんてとこにも出すの?」
「修理工場で働くなら、ポピュラーなところがいいさ。」
というやり取りになっていました。
これは、雑誌の固有名詞を出しても日本人にはわからないから、雑誌のジョークであることは訳出(やくしゅつ)せずに、ポピュラーという日本語から来るイメージのジョークに置き換えたのでしょうね。

ここで誤解のないように書いておきたいのですが…。
そんな風に、日本語では全然違うものに置き換わっている部分を見た時に、「誤訳だ、意訳しすぎだ」と批判する人がたまにおられるようですが、私はそんな風には思いません。
ちょうど1年ほど前に「日本語字幕の限界?」という記事を書いたのですが、そこにも書いたように、「DVDの日本語字幕・音声(吹替)は英語学習者のためのものではない!」のです。
翻訳をされている方は、まずはコメディとして成り立つことを真っ先に考えないといけないので、そのポピュラー・メカニックスが雑誌であるかどうかをここで説明しても、却って説明が長くなるだけですから、あえてそれを雑誌であるとは言わなかった「だけ」のことだと思います。

これをどうしても雑誌名だと言いたい場合はどうすればいいか?
「ポピュラー・メカニックスという雑誌(の仕事)」というだけでは、ちょっとつらい気もします。
「アイ・ラブ・メカニックスという(名前の)雑誌」みたいに、メカ好きの人が読む雑誌であることがわかるような名前に変えないと日本人にはピンと来ないと思いますし、でもそんな風に勝手に名前を変えてしまっては、あまり意味もないですしねぇ。

映画やドラマの翻訳をされた方は、こんな風に「字幕や吹替」と「オリジナルの英語」との違いが話題になるたびに、「私は、英語学習者向けに訳したわけじゃないですし…」と訴えたいだろうなぁ、と思ってしまうのですが(笑)。
私は、そういう「日本語には訳しにくい」部分をこのブログで解説しているのですが、決して、字幕や吹替の日本語訳が全然違っていることを批判しているわけではないんですよ!(そんな風には絶対に思わないで下さいね。)
日本語に訳すのがどれだけ大変かは、誰よりも(←言いすぎ…笑)わかっているつもりですからね。
それくらい、短い言葉でそっくりそのままの意味に訳すのは難しい、言葉を理解するには、文化的背景などの知識が不可欠だ、ということですね。

私のオススメするDVD学習法は、字幕や吹替をヒントにニュアンスを掴む、というものですが、それがヒントになるものか、あるいは全くの意訳なので参考にはならないか、を判断する必要が出てきますね。(中には一見意訳のように見えて、そこにうまく英語のセリフのニュアンスが入っている、というのもあったりして、翻訳者のセンスを感じることもよくあります。)
そういう判断は、結構難しいことなのかもしれませんが、ずっと同じドラマを見ていると、だんだんそういうところもわかってくるような気もします。
(何だか、日本語字幕・吹替の話になってしまいましたが…笑)

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posted by Rach at 11:30| Comment(8) | フレンズ シーズン1 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
Rach様

この1-18追記シリーズは読みごたえありました!大変勉強になりました。ありがとうございます。
この追記の質問も大体、わたくし自身も?でメモに取ってあったので(yarnとかstepp onとか今回のPopular Mechanicsも)みなさんが疑問や引っかかる点というのは総じて似ているのかなって思いました。自分がわからない点だったので、余計に興味深く拝読させていただきました。
Rachさんも皆さんのサーチ力には脱帽です・・・
なんかおいしいところをかすめ取っていくようで申し訳ないです(笑)

わたくしも今回のところ実はちょっとわからなくて・・・

If you must work for, those are the ones to work for.

でこのthoseとonesがちょっと引っかかりました。
thoseはPopular Mechanicsを指しているんだと思いますが、複数形なので・・・
onesもその手の仕事っていう感じでしょうか。複数なのでonesという複数形で受けるっていう。
この最後のwork for(〜に勤めている)のforを残すところが難しいな〜なんて思っています。
そうだと直訳的にあは
このmechanicsは勤めるための仕事場だよ。って感じでしょうか。
こういう代名詞が簡単な単語でいてむずかしいと感じます。
ありがとうございました。
Posted by katuo at 2016年06月13日 13:20
katuoさんへ
コメントありがとうございます。

追記シリーズを読みごたえあったと言っていただけて、とても光栄です。ありがとうございます。
「疑問や引っかかる点というのは総じて似ている」というお話は、まさにその通りですよね。私がコメント欄でいただいたご質問に対して、メインの記事よりも長々と返信したり、今回のように新しい記事として投稿したりするのは、その方に対する返信であると当時に、「同じ疑問を持たれた方々(そして今後、同じ疑問を持たれるであろう方々)全てに対しての解説でもある」という思いがあるからだと思います。
この記事を書いたのは、2006年ですが、こうして9年半後(!)に katuoさんのお役に立てた、ということが何よりそのことを証明してくれていると思います。誰かに読んでいただけると思うからこそ、ここまでしつこく(笑)調べられるのですから、そのおいしいところを持って帰っていただけた方が、私としても嬉しいのです。

それでは、いただいたご質問について。
if you're gonna work for mechanics, those are the ones to work for. の those, ones という複数形は、Popular Mechanics を指していると私も思います。
mechanics という単語は、形は複数形ですが、意味としては「メカニクス」「システム、構造」みたいなイメージになるでしょう。
work for は「(会社)に勤めている」と訳されることが多いですが、直訳は「〜のために働く」ということですね。
ご質問のセリフは、「もしメカニクスのために[メカニクス分野で]で働くつもりなら、”その複数形”が働くべき・勤めるべき”複数形のもの”だよ」という感覚になるでしょう。

この表現について、9年半後の今、改めて考えてみたのですが、、、。
「ポピュラー・メカニクス」というのは雑誌の名前という固有名詞なので、それを勤務先と考えた場合には、複数形と認識する必要はないはずですが、それをあえて、「複数形で漠然と」表現したところに、チャンドラーのセリフの面白さがあるような気が今の私にはします。

技術をテーマにした「ポピュラー・メカニクス」という雑誌は、モニカが驚いたように、とてもレイチェルの職場に適しているとは思えませんよね。
レイチェルが「どんな会社か、どんな仕事かも知らずに、目に付いた名前の会社に履歴書を出しまくっている」ことが、ここから想像されるように思います。
チャンドラーは恐らく、「レイチェルはこれが雑誌名であることを知らない」と想像したのでしょう、それで、「雑誌名やその雑誌を作っている会社」であるようには表現しないで、「メカニクス分野で働くつもりなら、その複数形(ポピュラー・メカニクス)は、勤務すべき複数形だよね」みたいに言ってみせることで、「レイチェルは、ポピュラー・メカニクスって言葉が指すものが何かを知らないよね?」ということを「漠然とした複数形」で表現することで示した、ということかなぁ、と私は思いました。

絶対にそうだ! という確信があるわけではないのですが、何となくそう感じた、という程度ですので、参考程度にお聞きいただければ幸いです(^^)
Posted by Rach at 2016年06月13日 20:11
Rachさま

早々にご丁寧なご返答ありがとうございました。

なるほど、複数形でそういう分野みたいな表現にしているんですね・・・
TOEICでも会社名は複数でで書いてあって、それをitの単数形で受けていてその会社ってしていますよね。
それをそのまま複数形にして分野みたいにしているっていうのがミソなんですね〜ん〜深い・・・チャンドラーの皮肉を込めた意地悪感が出ていますよねそのほうが・・・(笑)

コツコツ勉強するモチベーションになります。ありがとうございます。
Posted by katuo at 2016年06月14日 23:54
katuoさんへ
こちらこそ、ご丁寧なお返事ありがとうございます。

おっしゃるように、形が複数名詞であっても、それが固有名詞の場合は、実際にそれが指すものは単数になりますよね。
それをわざわざ複数扱いで表現しているところがミソなんだろうと思います。
この記事を書いた時はその部分をスルーしてしまったので、今回こうしてご質問いただけたことで、もう一度じっくり考えることができました。こちらこそありがとうございます(^^)
Posted by Rach at 2016年06月15日 16:25
こんにちは

mechanics は、 [uncountable] the study of machines とも取れますが、those や ones は人を指すことが多い代名詞ですから、[countable] someone who is skilled at repairing motor vehicles and machinery の複数形とも取れます。雑誌名を意図的に取り違えて「整備士のために働くなら、人気のある整備士がいいよ」などという冗談にしているのだと思います。
Posted by mq at 2016年10月16日 01:12
popular にも liked by a lot of people と、 relating to ordinary people, or intended for ordinary people の二つの意味があり、雑誌名の Popular は後者かと思います。

音声では単語が大文字で始まっているかどうかを区別できません。モニカの台詞は、「雑誌、出版社」などの言葉を避けて、ジョークが成り立つように調整してあるように感じられます。

ダブルミーニングを利用したジョークは、それぞれを普通に訳してもおかしさが伝わらないので、吹替を翻訳した人は苦労したことと思います。
Posted by mq at 2016年10月16日 23:32
mqさんへ
こんにちは。コメントありがとうございます。
いただいたコメントを読ませていただいて、「整備士のために働くなら、人気のある整備士がいいよ」という冗談だった、というご意見、私もその通りだと思いました。

おっしゃるように、mechanic には「整備士、修理工」のような「人」の意味がありますよね。
「大衆向けの(みんなの)メカニクス」という感じの雑誌名を、「人気のある整備士たち」みたいに意図的に取り違えたという冗談だと考えると、全てがしっくりきます。

モニカ: Do you really want a job with Popular Mechanics? (レイチェルは本当にポピュラー・メカニックスでの仕事をやりたいの?)
の a job with popular mechanics という部分は、「人気のある整備士たちと一緒の仕事」とも解釈可能ですよね。
「人気のある整備士たち」と解釈した流れで、次のチャンドラーのセリフを見てみると、
チャンドラー: Well, if you're gonna work for mechanics, those are the ones to work for.
「そうだな、もし整備士のために働くつもりなら、”人気のある整備士たち”が、そのために働くべき人たちだよ」→「整備士のために働くなら、せっかくなら人気のある整備士たちのために働くべきだよね」
と解釈可能となり、
モニカ: 本当に”人気のある整備士たち”と一緒の仕事をするつもりなの?
チャンドラー: そりゃ、人気がないより人気がある方がいいに決まってるじゃん
みたいにツッコんだジョークになっている、ということですね。

a job with が「〜での仕事」「(人)と一緒の仕事」の両方で解釈可能で、work for が「職場で働く」「人のために働く」という意味で解釈可能なので、雑誌名を「人」に意図的に取り違えたジョークが可能ということなんですね。

レイチェルが興味あるはずない、と思われる他の職種や職場がいろいろ考えられる中で、このセリフで Popular Mechanics が使われたのは、そういうダブルミーニングのジョークに使えるからだったということで、全てが非常に納得できます。

貴重なご意見、ありがとうございました!(^^)
Posted by Rach at 2016年10月17日 18:53
If you're gonna work for mechanics, those are the ones to work for.
これ、私には、超、超、超、ちょー難しいので、レイチさんのブログなしでは永遠に解決できませんでした。
最近、知ったブログ主、この人、恐らくバイリンガルと思われるぐらい、英語に超堪能に見えるのですが、この人でさえ、解釈が「機械力学を学びたいならピッタリだよ」なんですが、
これ、完全に間違ってると思います。
レイチさんのブログによって、実は、簡単なジョークだったということが判明して、レイチさんのブログの貴重さを再認識しました。
mechanicsの意味、二つあり、@機械学 A機械工の複数形
これを利用しただけの、チャンドラーの、ネイティブにとっては、ごくごく単純なジョークだったんですね。
「機械工のために働く仕事に就くつもりなら、人気のある機械工の方がいいね」
日本人って真面目だから、難しく考えすぎる時があるんですよね。
(質問ではないので、ご返信、特には無用でございます)
Posted by JB at 2024年05月16日 09:06
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