引き続き、フレンズ1-18 に関するご質問を元に書いた記事です。
女性陣がポーカーで負けて、男性陣にお金を取られる時の話。
フィービーがお金を払った後、
ロス: So that just leaves the big Greene poker machine, who owes 15. (それじゃあ、それで、偉大なるポーカー・マシーンの(レイチェル・)グリーンが残ったわけだ。グリーンは15ドル払わないといけないよ。)
レイチェル: It's so typical: "I'm a man! I have a penis! I have to win money to exert my power over women!" (全く典型的ね! 「俺は男だ! 俺にはペニスがついてるぞ! 女に対して俺の力をふるうために金を勝ち取らないといけないんだ!」)
そう言いながら、レイチェルがお金を払います。
最後にモニカはお金をドンと机において、
モニカ: You know, this isn't over. We will play you again. And we will win and you will lose. And you will beg and we will laugh. And we will take every last dime you have. And you will hate yourselves forever! (いい、これで終わりじゃないわよ。私たちはもう一度あなたたちと勝負するわ。そして、私たちが勝って、あなたたちが負けるのよ。そして、あなたたちが許しを請い、私たちが笑うのよ。そして、あなたたちが持っている最後のダイム(10セント貨)まで取り上げるわ。そして、あなたたちは永遠に自己嫌悪に陥るのよ!)
レイチェル: Kind of stepped on my point there, Monica!
上で色をピンクにした部分、つまり、leaves と、kind of stepped on my point there のニュアンスがよくわからないのですが…というご質問でした。
まず、1つ目の leaves について。
that just leaves の leave は動詞です。
そして意味は、多分(笑)、「…を残す」という意味だと思います。
研究社 新英和中辞典に、
leave=(…を)(余りとして)残す、とり残す
Two from four leaves two. 4引く2は2。
There was little coal left. 石炭はもうほとんど残っていなかった。
というのが載っています。
that というのは今の状況を指しているのでしょう。
ただ、少しひっかかることがあります。
もし、フィービーとモニカが先に払って、最後にレイチェルが残っている場合なら、この leave が「最後に残す」という意味でドンピシャだと思うのですが、実際に支払う様子を見ていると、フィービー、レイチェル、モニカの順になっていて、レイチェルは最後ではないんですよねぇ。
でも、
日本語字幕では「残るはグリーンさん 15ドル頂きますよ」
日本語吹替では「お次はカードさばきがマシーンのようなミス・グリーンだなぁ。15ドル頂きます。」
となっていたので、やはり「残るは」「お次は」というニュアンスが出ていますし、「残す」という意味かな、と思うのですが…。
That leaves Rachel. 「それで残るはレイチェル、次はレイチェル。」と言えばいいところを、さっきレイチェルはあんなにカードさばきが見事だったのに、勝負では負けた、とロスは言いたくて、レイチェルを the big Greene poker machine と呼んで茶化しているのですね。
2つ目の、Kind of stepped on my point there. ですが、このニュアンスはちょっと難しくて、正直よくわかりません。
悩みに悩んで、恐ろしく長い記事なので、無理に読んで下さらなくても結構です。
ただ、私はこれだけ調べてみた、という「学習記録」みたいなもんですかね(笑)。
ネットスクリプトでは、Kinda となっており、DVD字幕では、Kind of となっていますが、どちらも意味は同じで、「ちょっと、なんだか、どちらかと言えば」という意味です。
step on は「…を踏む」。
辞書をざっと調べたところ、step on someone's point というイディオムは載っていません。
英辞郎には、step on someone's feet(または someone's toes)というイディオムが載っています。
それによると、
step on someone's feet(または someone's toes)=(人)の足を踏む、(人)を怒らせる、(人)の感情を損ねる[害する]、(人)を不快にする、(人)の権利[領分]を侵す
例1) At parties, Tony always interrupts conversations, stepping [treading] on others' toes [feet].
パーティーで、トニーはいつも会話に口を挟み、他人の気分を害する。
例2) Mary is angry with you. You stepped [treaded] on her toes [feet] when you mentioned her martial problems.
メアリーはあなたのことを怒ってるよ。彼女の夫婦の問題に触れたときに機嫌を損ねたんだ。
ロングマン現代英英辞典にも、
step on somebody's toes: to offend or upset someone, especially by trying to do their work
例) I'm not worried about stepping on anybody's toes.
訳しますと、「誰かの感情を害したり憤慨させたりすること。特に仕事をしようとすることで。」
例)私は誰かの感情を害することを気にしていない。
ロングマンの語義の do their work というのがよくわかりませんが、つまり何かをしようとして、上の英辞郎の例で言うと、「会話に口を挟んだり、他人の問題に触れたり」という誰かのやっていることに割り込んで何かしようとして、ということなのかな?
上の例からわかるように、足(つま先)を踏む、なので、もっぱら悪い意味で使うようです。
これが feet や toes ではなくて、point ならばどうなるか、ということですよね。
point には、「先端、先」という意味があるので、もし toe 「足指、つま先」の代わりに使っている、ということなら、上に挙げた step on somebody's toes と同じ意味だ、ということになって、一件落着!なのですが(笑)。
もし「先端」という意味で使っているのではないとしたら、どうなるのでしょう?
この point は「問題点、論点、論旨、ポイント、要点、真意、主張」みたいな意味でしょうかねぇ。
stepped on my point を直訳すると、「私のポイントを踏んだ」となり、何となく「私のポイントを言い表してくれた、私のポイントにドンピシャなことを言ってくれた」みたいに一瞬思いたくもなるのですが、上のイディオムの語義から判断すると、やはり「(足で)踏む」には悪いニュアンスが入っているんだと思います。
「踏む」、つまり「踏んづける、踏みつける」という感じなのかなぁ?と。
ちょっと意訳になるかもしれませんが、「足蹴(あしげ)にする、土足で踏みにじる」みたいに、せっかくの私の主張を台無しにしてしまう、みたいなニュアンスが感じられなくもないです。
モニカの前にレイチェルがひと演説ぶつのですが、それに対しては「よくぞ言った、レイチェル!」みたいな感じで、観客から拍手まで起こっています。
それに勢いづいたモニカが調子に乗って、さらに男性陣に追い討ちをかけるのですが、それがやはりモニカなので、ちょっとえげつないというか(笑)、しつこいというかくどいというか、「そこまで言うか?」みたいに随分とひどいことを言ってしまうわけですね。
モニカの長いセリフを聞いている間に、他のフレンズたちもだんだんげんなりしていく様子が映っています。
さんざん言い過ぎた後、レイチェルがポツリとその問題のフレーズを言うわけですが、その意味は多分、「そこまで言っちゃうと、私がせっかく言ったことをフォローする効果はなくなって、却って逆効果よ。」みたいな感じだと思います。
上に挙げた英辞郎の訳に、「(人)の権利[領分]を侵す」というのがありますが、「私の論旨を侵す」という感じで、「私の言ったポイントを台無しにする」ということかなぁ?
明らかにレイチェルもげんなりしているわけで、本音としては決してモニカを褒めるつもりはないはずですが、イヤミを込めて正反対のことを言う、ということはあり得ますね。
その場合だと、「私のポイントにドンピシャなことを言ってくれたわ。」という意味であっても構わないわけです。
ただ、そんな風に褒める表現だとすると、「モニカはまさに私の…を〜してくれたわね! ありがとう!」という感じで、exactly などの強調表現が入る気がするんです。
実際のセリフでは、kind of という「はぐらかす表現」が入っています。
そういう和らげる表現が入っていることからも、その後に続くのは否定的な話で「モニカは私の…を〜しちゃった、みたいね。」とやんわり批判しているような気がするんですよねぇ。
stepped と過去形になって there も入っているのは、モニカが直前にさんざんひどいことを言ったことを、距離感を持って「今さっきのあれは、…だったわよ。」と語る感じでしょうか。
日本語に訳すと、「ちょっとそれは、私の言わんとしたことを台無しにした、って感じね。」というところかな、と。
そして、こんなフォーラムを発見。
UsingEnglish.com ESL Forum: What "kinda stepped on my point" means?
フォーラムの内容をそのまま引用するのは避けたいのですが、少しだけ…(ごめんなさい)。
質問者の方は、まさにこの "kinda stepped on my point there" の意味を尋ねていて、さらには、「ネットの掲示板(message board on the net)で、このフレーズをよく見かける」とも書いてあります。
その質問に対しての答えが1件載っていて、そのニュアンスを2種類の動詞で表していますが、やはりネガティブな意味のようです。
その答えが一般的なネイティブの答えなのか、答えた人の持つイメージなのかもよくわからないのですが、step on someone's toes などから来るイメージと似た感じではあると思います。
このフォーラムを見て興味を惹かれたのは、どちらかと言うとその答えではなく(笑)、質問の方ですね。
このレイチェルのセリフと全く同じフレーズ、というのが気になります。(ご丁寧に、kinda と there まで同じ、という…)
質問は結構最近投稿されたもののようです。
フレンズ1-18 と言えば1995年頃ですから、全く同じフレーズが最近の掲示板でも使われている、というのは一体どう解釈したらよいのやら…。
全く同じフレーズをよく見かけるということは、レイチェルのセリフが誰かの有名なセリフを真似したものなのか、それとも、これはちょっと可能性が低いですが、フレンズでレイチェルが言ったフレーズをその後に誰かが使い始めた…とか?
ちなみに、"stepped on my point" でぐぐると、このフレンズのスクリプトがヒットしますが、それ以外にも、Kind of stepped on my point there をちょっとバージョン違いにしたような文が3つヒットしました。
どれも kinda または kind of がくっついているのが、偶然にしては出来すぎな気がして、何か明らかな出典がありそうな気がするんですよねぇ。
"step on your point" をぐぐってみると、I didn't mean to step on your point. というフレーズがいくつかヒットし、sorry などと一緒に使われています。
ということは「ごめんね、step on your point するつもりじゃなかったんだ。」ということですから、やっぱり相手に対して悪いことをした、ってことですよね。
実際の使用例で何となく使い方はわかる気がするけれど、意味を解説してくれていたのはそのフォーラムだけで、他にはどこにも意味が載っていない…というのが何とも不安でして。
これについては、誰かご存知の人に聞いた方が早い気がする(笑)。
(Rach からのお願い)
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充実した内容ですね。
英語を楽しく学んでいらっしゃって羨ましいです。
また応援にまいります。
主語が第3人称単数の場合、語尾に s ・・・・でした。
嗚呼、、、すっかり忘れてました!
なんか一人難しい解釈をしてたけど「幽霊の正体見たり枯れ尾花」
Kind of stepped on my point thereについては何とかかすってたみたいで良かった(笑)
踏むという言葉、、、英語の表現に「地雷を踏む」 日本でも「虎の尾を踏む」なんてありますから、ニュアンス的にはそんなに東西の乖離はなかったかなと思います・
Kind of ・・・からの考察 さすがラケさんですね!
サーモン・ルーレットにおきましても、おかげで大体のイメージは掴んだと思います。
細かいことにこだわりすぎとも思ったのですが、しかし細部まで分かると あのジョイの台詞が何を言わんとしたか良く分かります。
じつは後述の台詞 You can't serve food with more than one syllable. It's gotta be like chips or dip or pretz--
も実は半分かりだったんですよね。
でもチャンと違ってジョイだから・・・(笑) もちろん設定としてですが。
そんなに裏のあること、ヒネリのある事が含まれてはいまいと流していたのです。
結果は・・・ある程度予想の範囲内でしたが しかしサーモン・ルーレットの実態が掴めて、より深くあの台詞の意味が分かりました。
ジョイにしては真っ当すぎるぞ! ・・・ていうか良くも悪くも ひねりのない茶目っ気がジョイですね!
相方のチャンとは対照的 改めて脚本のキャラ設定の緻密さに感心します。
それよりもシラブルが辞書では単語の「・」で区切ってあるとこまでというのを知りませんでした。
コメディーを楽しむにも前提となる知識がなくては真の面白さは分かりませんね。
ところで、残り私の 質問 あと 一つでしたね。 こんなにも細かくやっていただき本当にありがとうございます。
話は変わりますが、もうすぐクリスマス 仏教徒だしオッサンの私には無縁の話ですが・・・
お子さんの小さなラケさんにとっては間接的にも大きなイベントではないでしょうか?
クリスマスといえばアリーでは大切なアイテムでしたね。 フレンズでは感謝祭がらみのエピに力点が置かれてました。
当時のライバル番組だったアリーとはカラーの差別化をするためだったのかなかんぐってしまいますが。
アネリカで必ずクリスマスに見る番組の定番は「素晴らしきかな人生」だそうです。
フレンズでも、この映画の話題が一度出ましたね!
・・・で私もYouTube で、この映画のだいたいを見ることが出来るとお話したことも・・・
この映画、私も大変好きな映画です。
話は変わりますがラケさん、SFがお好きですよね! 私も昔はかなりハマッテいました。
私の場合、時間軸系のSFなんですが。
実はね、、「素晴らしきかな人生」が、なんと「バック・トゥ・ザ・フューチャー」「ターミネーター」の元ネタなんだそうです。
この話、詳しくは町山智浩さんのサイト 第12回『アメリカ人が毎年クリスマスに必ず観る映画』をクリックすると聞けます。
http://www.eigahiho.com/podcast.html
町山智浩さんはアメリカの社会事情なんか、いつも漫談風に語ってくれる方で、この人の「コラムの花道」なんかは必ずポッドキャス
とで聞いてるんです。
今日、ある意味 感銘を受けた話なので、よろしかたっらお聞きください。
leavesの件
なんか明後日の方向に解釈してましたね
(ちなみに外人は逆に、この表現に戸惑うかもしれませんね ^^)
でもネットは匿名性の世界とはいえ、こんなトンでも解釈した自分が恥ずかしいです(汗)
これで結構、この仮説は当たってるぞなんて悦に入っていたんですからなんとも・・・・
またしても文法構造をミスった例です。
またご訪問下さり、どうもありがとうございます。「英語を楽しく学んでいる」と言っていただけると、本当に嬉しいです。
sekkatiさんも、ご自分のやり方をいろいろと工夫されて、いつも前向きに取り組んでおられますよね。
頑張っている方(かた)を見ると、こちらもとても励まされます。これからもその調子で頑張って下さいね。
記事へのお返事ありがとうございます。
私も仏教徒ですが(笑)、クリスマスは一大イベントですね。毎年違った場所にプレゼントを隠して、それを息子が探すさまをビデオに撮るのが恒例行事となっております。今年は2歳の妹もプレゼント探しを一緒に楽しめそうです。
確かにアリーはクリスマスネタが多かったですね。フレンズは「クリスマス」を前面に出すことは少ないですが、ロスやモニカがユダヤ教徒である、というのも関係しているのかもしれません。Merry Christmas! という挨拶はキリスト教のものなので、最近は宗教的に中立な、Happy Holidays! がよく使われる、とか言いますよね。
教えていただいた町山さんのサイトからポッドキャストで iTunes に取り込みました。なんと23分もあるようなので(笑)、また時間のある時にゆっくり聞かせていただきます。いろんな映画のお話をして下さるようなので、楽しみです。
それと ”Kinda stepped on my point there, Mon.”はせっかくレイチェルが「「男は金を搾り取って女に力を見せつけようとする」、と非難しているのに、モニカがまったく同じことをすると言ったので「私の論点(主張)が台無しだわ」と言っているのだと思います。
コメントありがとうございます。
"The Big Bright Green Pleasure Machine" というタイトルの曲があるんですね。私はそのタイトルを知らなくて、検索してみたのですが、サイモンとガーファンクル(Simon & Garfunkel)の曲のようですね。
私はサイモンとガーファンクルにはあまり詳しくなくて、The Sound of Silence や Scarborough Fair くらいしか知りません(泣)。
stepped on my point については、やはり「論点を台無しにする」という感じなんですね。
私はモニカがフォローしようとしたけど全然フォローになってない、という意味で解釈したのですが、レイチェルが非難している男性の悪行と全く同じことを、さらにもっと激しい言い方でモニカが表現したので、「私が非難していることをあなたがやっちゃったら、せっかくの私の演説が丸つぶれじゃないの。」という感じで、「論点を台無し」にしたと怒っているわけですね?
その中にもこの曲は入っています。Scarborough Fair はいい曲ですね。何処にあるのか知りませんが、何か深い意味が隠されているような詩が好きです。
若い頃、The Beatles のオリジナル・アルバムを全部テープに録音して持っていたはずなのですが、そのタイトルには聞き覚えがなかったので検索してみたのです。
Scarborough Fair はいい曲ですよね。今まで歌詞をちゃんと見たことなかったのですが(笑)、改めてネットで探してみました。確かに、意味深な感じがしますね。
私の考えを述べる前に、他のサイトでの使用例を見ていただくとこの表現のニュアンスがつかみやすいかと思いますので、全く同じ表現の使用例を3つと、step on itという慣用句を以下に紹介します。
他のサイトでの使用例1
http://www.bboy.org/forums/beginner-help/150912-does-look-good-like-normal-dancer-.html
JJ13 「ユーザーが動画を削除した・・・?」
BboyCrazian 「この動画はユーザーによって削除されました。」
JJ13 「Kinda stepped on my point there, buddy」
この流れからして「Kinda stepped on my point there, buddy」は「それが俺の言いたかったことだよ。」だと思います。
他のサイトでの使用例2
http://simstopia.forum-motion.com/t916-disney-does-not-own-fairytales-right
↓以下、意訳しまくり、はしょりまくりですが大意はこんな感じかと。
MadameChung 「ディズニーがおとぎ話の著作権を持っていると主張してる人がいたんですがそんなことあませんよね?」
brunettesimgirl 「笑っちゃうね、持ってるわけがないよ。」
MadameChung 「シンデレラとか眠れる森の美女とか白雪姫は著作権切れのパブリックなものだけど、ディズニーと全く同じ衣装で描いちゃいけないっていうだけの話でしょ?」
brunettesimgirl 「そのとおり。完璧にディズニーにそっくりな絵を使って同じストーリーラインを使ったらだめってだけだよ。実際ドリームワークスの白雪姫はディズニーと微妙に違うからディズニーは訴えてないし。」
MadameChung 「たとえば白雪姫でディズニーが誰かを訴えられるとしたらガラスの靴からかぼちゃの馬車からいじわるなママ母まで全部そっくりまねした場合だけでしょ。」
brunettesimgirl 「Kind of stepped on my point there.」
この流れからして「Kind of stepped on my point there.」は「それは俺の指摘していることに完璧にあてはまってるよ。」ということになると思います。
他のサイトでの使用例3
http://forums.liverpoolfc.com/threads/290590-Oh-great-!!!-Someone-in-the-KOP-is-alleged-to-have-said-something-to-Oldham-s-black-player/page26
リバプールとオールドハムの試合で人種差別発言を繰り返したことでリバプールのファンが逮捕され、そのファンとリバプールが糾弾されている事件について、リバプールのファン同士の会話。英語のレベルが高いのでいまいち自信がありませんが、こんなことを言っているようです。(超意訳です。)
billboy 「このままでは逮捕されたファンが何を言ったのかと関係なく、また最終的に彼が無罪になったとしても、彼だけでなく全てのリバプールファンや関係者は、永遠に人種差別主義者のレッテルが張られてしまう。」
jamiechloe 「Kinda stepped on my point there mate.but absoloutley right.礼儀正しい多くのファンが突如として人種差別主義者みたいに言われているよ。頭にくるぜ。ウェストハムの奴らは人種融和主義者だから言ってるわけじゃない。たんにリバプールをたたきたいだけだ。」
ここでもやはり相手を非難しているとは思えません。「Kinda stepped on my point there mate.but absoloutley right.」を訳すとしたら「俺が言いたかったこともだいたいそんな感じだ、いやしかし君の言っていることはまことに正しい。」でしょうか。
日本語のニュースhttp://lscj.at.webry.info/201203/article_26.html
慣用句step on itには否定のニュアンスが全くありません。
http://www.urbandictionary.com/define.php?term=step%20on%20it
step on itでTo hurry, to accelerate. の意味であると説明されていて(upしている人が8割以上なのでこの説明はまずもって正しいはずです)、この表現は否定のニュアンスをもっていません。文字通り足を前に動かしてアクセルに接触するというそれだけのことでしょう。
上記のような例からstep onそのものに悪い意味があるわけではなくfeetやtoeを踏んで初めて悪い意味になるのだと推定されます。step on someone's feet(toe)の場合、ビジュアル的な連想から踏みにじるという意味に発展するわけで、しかもこれは定着した表現なのでそれ以外の意味はないわけです。
この場面でのstep onはそのような慣用表現ではないので、文字通りに解釈していいのではないかと思います。Stepは歩を進めるでonは接触を意味する前置詞ですから、歩を進めて接触したということなので、私が考える日本語訳は直訳「あなたの今の行為によって、なんというか、私の指摘した典型的な男性のやりそうなこと(相手を打ち負かして支配することに喜びを感じる)にあなたから進んでくっついたわ、モニカ。」、自然な日本語にすると「今のやつ、なんていうか、私の言ったことにぴったりあてはまるわね、モニカ。」、意訳すると「モニカのほうが典型的な男みたいね。」です。論点を踏みにじった(台無しにした)と非難しているわけではないように思います。
この場面より前に"Hello, Kettle, this is Monica. Youre black!"の部分や"The Pictionary incident"で暴れたという部分などモニカの男性っぽさに対する言及が何度も出てくるのですが、モニカはそれをすべて否定しています。しかしここでやっぱりモニカは典型的な男よねというような話になっています。
さて一方でI'm sorry, I didn't meanをつけた用例ではstep onは確かにネガティブな意味で使われています。なぜこのような起きるのでしょうか?私はstep onが基本動詞と基本前置詞の組み合わせであることから生じる文脈依存の多義性に原因があると思います。
step onとやや似た意味の日本語に”踏み込む”がありますが、これは使い方によってポジティブにもネガティブにもなります。
A 「私もいつかあなたの領域に踏み込めるようになりたいです。」
B 「あなたの領域に踏み込んだ発言をしてしまい大変申し訳ございませんでした。」
C 「〜。我々はついに神の領域に踏み込んだのである。」
Aは「この物理学は難しすぎて今の私のレベルでは理解できませんが、私も一生懸命勉強して、いつかあなたの見ている世界が見えるようになりたいです。」というような文脈で使われますが、この場合は”踏み込む”はポジティブな意味です。
Bは「私は年金問題に関しては本当はかじった程度なのに、専門家のあなたに対して、事態の難しさを理解せずに、上から目線で発言してしまい、大変申し訳ございませんでした。」というような文脈で使われますが、この場合は”踏み込む”はネガティブな意味です。
Cの”踏み込む”は前にある”〜。”の文脈によってネガティブにもポジティブにもなります。
ネガティブ 「胎児の先天性異常を発見し妊娠中絶する行為によって、人間はモラルに逸脱する行為に手を染めるようになった。人間はついに超えてはいけない一線を越えてしまった。」
ポジティブ (SF映画の冒頭で)「西暦2455年は人類の科学がついに平行宇宙の謎を解き明かす方程式を完成させた年として歴史に刻まれた。人類はついに宇宙の謎を解き明かす偉業を成し遂げた。」
step onは”踏み込む”のように、I'm sorry, I didn't meanをつけるとネガティブな意味になるのだと思います。上記のAとBの違いによく似ています。
Rachさんが参照されたフォーラムで質問した人は「ポジティブな意味だと思っていたんですが、違うんでしょうか?」という聞き方をしていますが、この疑問を生んだ理由はstep onが基本単語の組み合わせであることからくる多義性にあるように思われます。答えた人はネガティブな場面しか頭に浮かんでいなかったようです。
コメントありがとうございます。
例として挙げて下さったものを見ていると、確かに「step on には否定的なニュアンスはなく、むしろ肯定している」という解釈が正しいかもしれませんね。
辞書などに step on someone's feet/toes が載っていることから、そのバリエーションかな?と私は思ってしまったのですが、「私のポイントをぴたっと踏んだ」という感覚で、「ぴったりあてはまる」という意味として使われる、というのは納得できます。
I'm sorry, I didn't mean のような言葉に続く場合は、詫びて否定していることから、ネガティブなニュアンスであることはわかる、ということですね。そのあたりは、例に挙げて下さった「踏み込む」とまさに同じで、シンプルな表現であるだけに、使える幅も広くなる、ということになるのでしょう。
貴重なご意見ありがとうございました。
Kind of stepped on my point there
=「それ、今言いましたやん」(よしもと風)
Rachさんが最初におっしゃっていた感覚と同じです。
要するに、文章は否定ではないけれど、意味としたら否定的&嫌味です。
神田様は肯定的と解釈をされているようですが、神田様の挙げられた上記の使用例すべてに
「それ、今言いましたやん」を入れても違和感がないような気がします。
実際入れると面白いですよ(笑)
何かの記事のコメント欄で
thank you!!! but you kinda stepped on my point ( just joking..)
と書いてありました。カッコ内でジョークよジョーク、とわざわざ断り書きをしているところからも、
やはり否定や嫌味の感覚を持った表現ではないかと思いました。
(ソース http://www.bellanaija.com/2007/11/16/weekend-luv-the-supa-edition/)
コメントありがとうございます。
この Kind of stepped on my point there の解釈では、私もいろいろ悩んでいますよね^^
「それ、今言いましたやん」という訳、面白いですね。「台無しにした」のようにダイレクトにネガティブな言い回しではなくて、「あなたの意見、それ、さっき私が言ったのと同じなんだけど」みたいな感じで、つまりは「勝ち誇ったように言ってるけど、もう私が先に言っちゃったんだけど。別にわざわざあなたがそれを付け足す必要なかったんだけど」みたいなニュアンスに聞こえる感じ、なのでしょうね?
上の記事のフレンズのセリフも、レイチェルが言ったことを、モニカがさらにえげつなく(笑)言って、みんなをドン引きさせている感じでしたし、三原さんが例に挙げて下さった英語コメントも、「それ、今言いましたやん」のニュアンスで理解すると、just joking という断り書きも自然に繋がるように思います。
私の記事もコメント欄もとにかく長いのに(笑)、いつもきっちり読んでいただき、ご意見をいただけること、とても感謝しています。ありがとうございます(^^)