リチャードには自分ほどのこだわりがないことを残念がるモニカ。
モニカ: I can't believe this. I hate this. You're too normal. I can't believe my boyfriend doesn't have a "thing." My boyfriend doesn't have a "thing." (こんなの信じられないわ。こういうのはいやよ。あなたはノーマルすぎる。自分の恋人が thing を持ってないなんて信じられない。私の恋人には thing がないのよ。)
リチャード: See, if anyone overheard that, I didn't come off well. (ねぇ、誰かが今のを立ち聞きしてたら、僕はうまく出来なかった、ってことになる。)
この二人のやり取りが、ちょっとよくわからないのですが…。
まずリチャードのセリフから見てみると、overheard と過去形になっているのは「現実の事実に反対の仮定」をする「仮定法過去」でしょうね。
今は隣の部屋には誰もいないから誰かが立ち聞きしているということはないけれど、もし仮に誰かが聞いていたとしたら、ということでしょう。
I didn't come... の文章を丁寧に言うと、he/she (=立ち聞きしている人) would think (that) I didn't come off well. 「そのセリフを聞いた人は、僕が come off well しなかったと思うだろう。」になるのだと思います。
come off well は「いい結果になる、うまくいく」ですから、この場合はエッチがうまくいく、ということですね(笑)。
モニカはただ、自分のような神経質な部分がリチャードにない、と文句を言っているのですが、その言い方だと、何か僕がエッチの面において物足りない男であるように聞こえるよ、とリチャードは言いたいわけですね。
問題は have a thing の解釈なんですが…。
英辞郎には have a thing about に以下の意味が載っています。
1. 〜について独特の[特別な]考え方[感情]を持っている
2. (人)に気がある、〜が大好きだ
I have a thing about that song. 私はその歌が大好きだ。
3. 〜が大嫌いだ、〜に恐怖心がある、〜が怖くて仕方ない、〜が苦手だ
I have a thing about snakes. 私はヘビが大嫌いだ。
つまり直訳すると、「…について a thing がある」ということなので、「とあること」がある、と言う場合には、好きか嫌いか何らかの感情がある、という意味になるわけですね。
ロングマン現代英英辞典にも、
have a thing about sb/sth(=somebody, something): (informal) to like or dislike someone or something very much, often without a good reason
訳すと、「しばしば、もっともな理由もなく、誰かや何かをとても好き、または嫌いであること」となります。
このモニカのセリフは、何かが好きか嫌いかという話ではなくて、そういう「理由もなくこだわる強い感情」があるかないか、という話なのでしょう。
don't have a thing で「モニカが持っているようなこだわり、特別な独特の考え方」がリチャードにはない、ということですね。
その前に、You're too normal. というフレーズがあり、それは逆に言うと「あなたはアブノーマルではない、アブノーマルな部分がない。」という意味なので、それに続けて don't have a thing となると、「アブノーマルなことに対するこだわりがない」と聞こえてしまうので、アブノーマルなことを求めるモニカをリチャードは満足させることができなかった、と他の人には聞こえるよ、ということなのかな、と思うのですが。
他にちらっと思ったのは…。
thing を強調しているので、thing=モノ、みたいなニュアンスで、あなたには恋人を満足させる”モノ”がないのよ、みたいに聞こえて、まるで”それ”が役に立たなかったかのように聞こえる、という意味なのかなぁ…とか。
thing の語義を調べてみると、特にそういうモノを指すとははっきり書いていないのですが、
英辞郎の thingy の項目に、
thingy=(話)あれ、(例の)やつ、変なの、一物、ナニ、ブツ(ぞんざいに、特定の何かの代わり。説明しにくい[言わなくても通じる・名前が分からない・口にするのをはばかる]もの。時に penis )
と書いてあるんですよ(笑)。
thingy は thing の変形ですから、やっぱり thing と聞いてもそういう意味に聞こえる気がしますけど…どうなんでしょう?
勘ぐり過ぎかしら?
それより、何気(なにげ)に、”モノ”とか書いてる自分が怖いですけど(爆)。
(Rach からのお願い)
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モニカのセリフの"thing"は、やはり訳すとすれば「こだわり」でしょうね。リチャードのセリフの方はどう考えたらいいか、うぶな私にはまったく見当もつきません。他の方がRachの分析をフォローして下さることを期待しております(笑)。
お疲れ様でした! 1週間も私の疑問だけのために奮闘していただいて・・・
何やら、その間 ラケさんを独占したみたいで他の読者の方にも申し訳ないような気がしました。
根がこだわり屋なもんで、また 細かい質問するかとお思いますが 相手してやってください!(といいつつ早速 また質問 今日も質問しています ↓)
ラケさんは単に英語力だけでなく推理力も非凡なものがあると思い知らされました。
Dee, the sarcastic sister from What's Happening!の件での御回答です。
私もDeeという過去の人気ドラマのお転婆キャラまでは近づけましたが、そこから 「トボけるのも大概にしなさい!」へ どう変換するのかさっぱりでした。
それを物の見事に! どちらの仮説も充分説得力のあるものです!
本当に推理小説の解決編を読むようで素晴らしいです!
ところでクリスマス 終わりですね! 御家族で楽しまれました?(笑)
前回 >ロスやモニカがユダヤ教徒である、というのも関係しているのかもしれません。Merry Christmas! という挨拶はキリスト教のものなので、最近は宗教的に中立な、Happy Holidays! がよく使われる、とか言いますよね。
・・・・という御指摘を伺いなるほどと思いました。
そういえばロスが鹿のヌイグルミかなんか着て「ハヌカ」をやるんだと騒いでいたエピを思い出しました。
実はね、、、なんとタイムリーな!といおうか 私の贔屓してる町山さん・・・彼をそもそも知った「コラムの花道」で今日 クリスマスとユダヤ教の話 じっくりやってくれたんですよ!
Happy Holidaysになった話もありましたし、 ハヌカのいわれ クリスマス・ツリーは本来 なく邪教なものとみなされていたとか、、、今日の小西さんとの対談も大変面白かったです。 かつなかなかディープな話題も。 よろしければ又お聞きください
http://tbs954.cocolog-nifty.com/st/ 12/25(月)コラムの花道 です。
最後に こだわり屋として、又一つ こだわらせてください!
今日のcome off についてです。
ラケさん 御解説のように come off は「いい結果になる、うまくいく」ですから、この場合はエッチがうまくいく。
私の辞書でも
@〈事が〉起こる,実現する;〈計画などが〉成功する,うまくいく.A《well, badly, satisfactorily などの副詞(句)や補語を伴って》(結果が…と)なる,(…の状態で)終わる;〈天候が〉(…に)なる:
などと書かれています
その他に オルガスムに達する,「いく」 とまで。
すいません! せっかくの聖夜に性夜な話題でひっぱって・・・ 決して他意はありません。
あくまで純粋な英語的興味からです(汗)
日本で言うところの「いく」を come off というように 来る のcome を使っています。
「いく」も「くる」も紙一重の表現なのかなと・・・・ つまり あの感覚が 日本では「あの感覚の境地へ行く」 英語圏では「あの感覚が体内に来る」なんじゃないかなと 思ったのですが。
そもそも今日の「こだわり」の眼目は 「いい結果になる、うまくいく」 エッチがうまくいく が come off になるかです。
エッチ方面では何となく さっき記したように 何となく分かります。
そこで off です。 off が 加わると ただ あの感覚が来る というより エッチがうまくいく く計画などが〉成功する,うまくいく・・・
昨日、新感覚キーワード の再放送見てたんですが その時 off について取り上げていました。
off のコアイメージは、『分離して』
接触を表す on に対して「分離」を表すのが off
「行為・活動から開放されて」「価格から割り引いて」「ある基準から離れて」などに発展。
off・・・分離を表す 「離れる動作」 「離れている状態」を表す
30% off the price 定価から30%離れている ⇒ 3割引
That's a little off the point. 少し要点からoffした状態 ⇒ 的外れ
We are off. 自分たちが離れた状態にある ⇒ さあ行くぞ
ですので私なりの仮説なんですが comeは 「来る」の他に 起こる といのがあります。
つまり 起こる →継続して起きている を off (を離れる)する。
努力し継続してることがoff 出来る状態になる→ エッチがうまくいく く計画などが〉成功する,うまくいく
、、、、そういう展開なのかなぁ〜と 思ったんですが
またラケさんのご意見 お聞かせください。
「ハッピー・クリスマス」、、、町山さんのサイトで聴けます
とてもハッピーになれる曲です。
節を聞いて判りました 有名な曲です
今、異教徒の私も静かにこの曲を聴き クリスマスに浸っています。
アクセスはこちら!
http://d.hatena.ne.jp/TomoMachi/
モニカのはやっぱり「こだわり」という訳が相応しいですよね?
リチャードのセリフの方なんですが、なんか意味ありげな感じがしますよねぇ?(笑)
私もこんなブログを書いてはおりますが、読者の方が考えておられるよりはずっと「うぶ」なんですよ(爆)。でも、フレンズを解説するには、ある程度の開き直りも必要なので、その辺りの兼ね合いが難しいところでねぇ(笑)。
何だか自分でフォローを入れたくなって、新しい記事では開き直りすぎたかもしれません。ネタがネタだけにコメント入れにくいと思いますので、お気にならさず(笑)。
「推理力」についてお褒めいただきありがとうございます。そんな謎解きみたいなことがあるから、こういう解説を書くのが楽しいんだと思いますね。素人だから間違った推理をしても構わないだろう、という言い訳みたいなものを持っていると、勝手なことが書けますし…(笑)。
おかげさまで、クリスマスは楽しみましたよ。子供たちへのプレゼントを3箇所に分けて置いて、「次はランドセルの中を見てね」などのメッセージを貼り付けて、あちこち誘導してみました。ちゃんとビデオにも収めましたし、プレゼントも気に入ってくれたので良かったなぁ、と。
教えていただいた「クリスマスとユダヤ教の話」も、今度チェックしてみます。
John Lennon の Happy Christmas (War Is Over) は良い曲ですよね。昔、ジョン・レノン・ベストというのをテープに録音して持ってましたから(笑)、よく聴いていましたよ。Imagine は言うまでもなく、(Just Like) Starting Over、Woman、Power to the People とかが好きでした。どれもCMソングで使われていたような…。時が経っても、やっぱり良い曲は残るのだなぁ、と思います。
come off については、追加説明をしたいと思いましたので、記事にしました。恥ずかしいので、解説のエッチな部分についてはあまり反応しないで下さい(笑)。
確かに thing はよく出てきますよね。はっきりとは言えない(説明しにくい)何かを指す時によく使われます。
フレンズ2-10その9
http://sitcom-friends-eng.seesaa.net/article/388470306.html
では、ラスが自分のことを、a date-type thing of Rachel's と言っていたり…(笑)。
フレンズ2-17その2
http://sitcom-friends-eng.seesaa.net/article/388470455.html
には、excellent, excellent water, table thing というのもありました。
そこでも触れましたが、私は thing と言えば、パイロット版(フレンズ1-1)でのレイチェルのセリフの中の、job things 「仕事とかいうもの」という言い方がとても印象的でした。
stuff などと言ったりもしますが、日本語でもそういう漠然としたものを、「もの、とかいうもの、そんなやつ」などと言うので、その感覚は同じですね。
このエピソードの、モニカの言う thing は、やっぱりそういう「こだわり」で、それもモニカみたいに「病的なこだわり」ということなんでしょうね。
上のセリフで、モニカは確かにそういう意味で言っているのでしょうが、それをリチャードはどう受け止めたんでしょうか?
「何かしらエッチの行為におけるこだわり」か、はたまた私の書いたように、モノと捉えることが可能なのか…?
未だによくわかりません。
初歩的な質問ですみませんが、
thingというのは前のセリフ”You don't have any of these cute little obsessive things.”
のthingsを単数形にしただけ、ではないのでしょうか?
「a thing は前に出てきた、... things を単数形にしただけ」というお話、なるほどなと思いました。
any of these cute little obsessive things というフレーズが出てから、a thing までの流れは、以下のようなやり取りになっていましたね。
モニカ: No. You don't have any of these cute little obsessive things.
リチャード: No that's not true. That is not true.
モニカ: Oh yeah.
リチャード: Yeah.
モニカ: Alright, well tell me one of yours.
リチャード: Ok. Ahh. One of my things is, I always separate my sweat socks from my dress socks.
モニカ: What if they get mixed up?
リチャード: Boy I would just uh, I would freak out.
モニカ: You would not. I can't believe this. I hate this, you're too normal. I can't believe doesn't have a thing.. My boyfriend doesn't have a thing.
リチャード: See, if anyone overheard that, I didn't come off well.
any of these cute little obsessive things が、one of yours, one of my things などと言い換えられて、最後に問題の、doesn't have a thing が出てきますね。
モニカが持っているようなこだわりを、... things と表現しているので、それを単数形にしただけの a thing であるという考え方、シンプルでわかりやすいですね。
ただ、そのように前に things という複数形が出てこない場合でも、My boyfriend doesn't have a thing. という文章は、「彼にはあるものがない」という意味には聞こえるように思います。ここではこだわりの話をしているので、彼にはこだわるものがない、という意味に自然に解釈される気がするのですね。そういう意味では、a thing は純粋に前に出てきた ... things の単数形を指す、と言い切れるかどうかが私にはわかりません。
私の彼(リチャード)は、私が持っているようなこだわりがない、という意味で、these cute little obsessive things を単数形にするのであれば、My boyfriend doesn't have any of these/those (obsessive) things. みたいに表現するような気もします。「そういうもの(こだわるもの)が1つもないのよ」みたいなニュアンスになるでしょうか。
途中で、one of yours, one of my things と表現していた流れに合わせると、any/one of ... things という形になるような気がする、ということです。
前の複数形を受けて単数形にするのであれば、その複数形に属するものを1つも持っていないという形にするのが自然で、a thing とは表現しないような気がするのですね。
上のセリフでは、doesn't have a thing という表現を使うことで、何も知らない人が聞くと、リチャードが come off well できなかったように聞こえるよ、というオチになっています。
そういうタブルミーニングにするために、漠然とした have a thing という表現を使っているように思います。
リチャードには私のようなこだわりがない、とだけ言いたい場合は、have a thing とは表現しないような気がする、別の意味にも聞こえるセリフにするために、いろんな意味に聞こえる have a thing と表現したのかな?と今は思っています。が、正直、よくわかりません。
私ももう少し考えてみます。
何だか惑わせてしまっているみたいで済みません。
ホントに単純な思いつきを書き込んでしまいました。
このドラマを観て、知り合いのアメリカ人と話をしていて気づいたのですが、結構thisがただ単なるaを表現していたり、someoneはtheyで受けられるとか、想像以上にaとかthisとかは、あいまいと言うか分かりにくいと言うか、段々私にとって難しいものになっていくような気がします(私だけ??)
Rachさんのコメント読ませていただきました。
タブルミーニング、そうですよね。それをすっかり忘れてました。
私ももう少し考えてみます。
ありがとうございました。
「すみません」などと言っていただく必要はありません。一緒に考えていただけるのがとても嬉しいですから。
this が a のような意味になるとか、単数形 someone を複数形 they で受けるとか、セリフのような口語表現では興味深い事例がたくさん登場しますよね。そういうものは、やはり、たくさんの生きた英語を浴びることでしか学べないような気がします。「this=これ、この」だけではない感覚を学べるのが、セリフで学ぶ醍醐味、というところでしょうか。
今回の a thing については、一応、私なりの見解を書いてみただけですが、それも自信があるわけではありません。これから英語を学び続ける中で、何かに気づくことがあるかもしれません。「今はこう思った」ということをこのようにブログ上に記録しておくことも、意味があることだと思うので書いておいた、という感じです。
こちらこそ、お返事ありがとうございました。