引き続き、M-1グランプリ2006(今さらですが) のコメント欄 でいただいたご質問から、記事を書いてみました。
今日は、フレンズ1-24 のエピソードから。
(質問)hand over fist はダブルミーニング?
バイトでお金が入るというジョーイに、どんなバイトなのかを知りたがるフレンズたち。
ジョーイ: It's a fertility study. (受精率の研究だよ。)
モニカ: Oh, Joey, please tell me you're only donating your time. (ジョーイ、お願いだから、時間をささげてる[提供してる]だけだ、って言ってよね。)→これは暗に、「時間以外の”何か”を提供してる、ってことはないわよね?」と言っている。
ジョーイ: Alright, come on you guys. It's not that big a deal. Really... I mean, I just go down there every other day and... make my contribution to the project. Hey, hey, but at the end of two weeks, I get $700! (いいかみんな。そんなに大したことじゃないよ。ただ、一日おきにそこへ行って、プロジェクトに対して貢献するだけだよ。2週間後には、700ドル手に入るんだぞ!)
ロス: Hey. (へぇ。)
フィービー: Wow, ooh, you're gonna be making money hand over fist. (わぁ。hand over fist でお金が儲かるのね。)
観客は大爆笑。
ご質問は、この hand over fist というフレーズを調べてみると、(質問者の方の)辞書には、二つの意味が載っていて、そのダブルミーニングのために観客が大受けしているのか?というものでした。
確かに、お察しの通り、ここでの hand over fist は、「どんどん」という意味と、「(ロープを登る時の)たぐるような手の動き」のダブルミーニングですね。
私が過去記事で説明を飛ばしているのは、確かに「露骨だから」…でしょう(笑)。(昔はそうやって恥ずかしいのを飛ばしていることが多々あります。)
こういう内容は、コメント欄で誰かに対する「返事」として書く方が抵抗ありますので、開き直って記事にしました。
不思議なことに、記事として解説を書く方が、私としては恥ずかしくないんですよ。
読んでいる方はびっくりかもしれませんけどねぇ…(笑)。
1-24 を解説していた頃は、多分、そういう意味だろうなぁ、と思いながらあえて解説は避けたのですが、今回詳しく調べて、いろんなことがわかりました。
まず、私の手持ちの辞書やオンライン辞書では、hand over fist にそういう「手の動き」の意味が書いてありません。
英和(研究社 新英和中辞典や英辞郎)では、
hand over fist =どしどし、どんどん
という意味で、
make money hand over fist =どんどん金をもうける
というイディオムが例文に上がっています。
Merriam-Webster Online Dictionary では、
hand over fist: quickly and in large amounts
例) making money hand over fist
「すばやく、そして大量に」、例文は、「すばやく大量に金をもうける」。
ロングマン現代英英辞典では、
hand over fist: (informal) if you gain or lose something hand over fist, you gain or lose it very quickly
例) Five years ago, the company was losing money hand over fist.
「もし何かを hand over fist で得る、または失う、という場合は、それをとても早く得る、または失うこと、を意味する。」
例文は、「5年前、その会社は瞬時に金を失っていた。」
上に挙げた例文たちを見ていると、このイディオムは make money hand over fist (またはその逆の lose money hand over fist )として使われることがほとんどなのかもしれませんね。
make money hand over fist としてまとめて覚えておくと良いのでしょう。
フィービーのセリフも、そのイディオムを使っているので、普通の状況なら、ごくありきたりの表現なわけですが、ここでは別の意味も暗示している、ということで観客が笑っているわけですね。
英和辞典では、hand over fist の下に、それとよく似た、hand over hand というイディオムが載っていました。
研究社 新英和中辞典では、
hand over hand =(登る時に)たぐって
climb a rope hand over hand たぐりながらロープを登る
英辞郎では、
hand over hand =(ロープなどを)両手でたぐって
また、同じく英辞郎の hand over fist の項目をここで改めて見直してみますと、
hand over fist =大量に、どんどん (同)hand over hand
例) The man boasted that they were making money hand over fist on the stock market. その男は、株式市場でお金をどんどん儲けていると自慢した。
とあり、hand over fist = hand over hand だと書いてあるので、この二つのイディオムは同じように使われる、ということですね。
実際、fist は「握りこぶし、げんこつ」ですから、「手」という意味にもなりますよね。
登る時にロープをたぐる仕草というのは、握った手の上にまた手を乗せる、ということですから、hand over fist でも hand over hand でも、そういう仕草を意味するはずです。
そのようにロープを掴んで行う手の動きが、ジョーイが精子を提供する際の方法を彷彿とさせるので(きゃ〜!)、みんなは大爆笑している、ってことですね。
私は何を長々と語っているのか?と思いつつ…とにかく、これで make money hand over fist という表現は絶対に忘れないでしょう(笑)。
(Rach からのお願い)
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「実はソープランドで働いてるんだ」
「あら、濡れ手にアワね」
みたいな感じかな。(笑)
この記事にコメントが入ることはないだろう…と思っていたのですが、よくぞ入れていただきました(笑)。
「濡れ手にアワ」…おっ! 粟(あわ)と泡(あわ)をかけているんですね! お見事!
…と思いつつ、「濡れ」という言葉が「濡れ場」などのちょっとやらしい言葉も想像させてさらにドンピシャな感じがします。(ハルさんはそれも見越してこの慣用句を選ばれたのですか? そうじゃなかったら、私一人が暴走してる感じで恥ずかしいのですが…笑)
「山田くん、座布団5枚!」って感じですね。気に入りました(笑)。
この「濡れ手に粟」もしくは「濡れ手で粟」という言葉は、濡れた手だと粟粒がくっついて簡単に取ることができる、という意味ですが、「濡れ」から「水」を想像して、本当に「泡(バブル)」の方だと思っている人もいるかもしれませんね。キビ・アワ・ヒエなどの穀物の名前、最近聞かないですからねぇ。