リチャード: You really need the bassinet? (モニカは本当にバシネット[赤ちゃん用かご型ベッド]が必要なの?)
モニカ: Well, I just think the baby would keep falling off the dog. Do you, uh, do you , do you not see kids in our future? (赤ちゃんが(もし犬に乗ってたら)犬から何度も落ちちゃうと思うもの。私たちの未来に子供はいないの?)
リチャード: Oh, hey. I love children. I have children. I just don't wanna be 70 when our kids go off to college... and our life can finally start. (あぁ。ねぇ、僕は子供が大好きだ。自分の子供もいるしね。ただ、僕らの子供が大学へ行くようになって、僕ら二人の生活がとうとう始まる、って時に僕が70歳だ、というのはいやなだけなんだ。)
モニカ: Uh-huh. (あぁ。)
リチャード: Look I want you... now. (ねぇ、僕は、今、君と一緒にいたいんだよ。)
モニカ: Well, that's great. You know we don't need to talk about this now. Really, I mean this is, is so way, way, way in the future. I'm talkin' hovercrafts and apes taking over the planet. (それは素敵ね。そうね、今はこのことに関して話す必要はないわね。本当に、これって、ものすごく、ずっとずっとずっと先の未来の話だもの。(その頃には)私はホバークラフトを話題にしていて、猿がこの惑星を支配しているわね。)
You really need the bassinet? という質問に対して、モニカは精一杯ジョークで返そうとしています。
I just think the baby would keep falling off the dog. の dog はリチャードが勘違いした basset hound 「バセット犬」のことですね。
keep doing は「ずっと・・・し続ける」。
fall off は「…から落ちる」。
off は「…から離れて」なので、何かに接触(on)していたのがそこから離れて落ちる、という感じです。
この場合は、fall off a horse 「馬から落ちる・転落する、落馬する」のイメージですね。
ですから、keep falling off the dog は「犬から落ちるという行為が何度も起こる、何度も落馬…ではなく落犬(?)する」という感じです。
バシネットに寝かせるような新生児ならまだ首もすわってないわけで、犬にちゃんとまたがって乗ることもできないし、犬の背中に寝かせても落ちちゃうし…ということでしょう。
フレンズ2-14その19 にも、keep falling down という表現が出てきました。
ここでちょっと注目したいのは冠詞の変化でしょうか。
昨日取り上げたセリフでは、フランスにいると仮定して、a (little) bassinet, a (basset) hound をそれぞれ想像しているのですが、その後のリチャードのセリフは、"You really need the bassinet?" 「”その”バシネットが君には本当に必要なの?」となっています。
これは既出の[すでに言及された]名詞なので the がついているというのもあるのでしょうが、「その君がこだわっている」 bassinet、フランスでの君の生活には欠かせない「その」 bassinet という感じもあるのかなぁ、と思います。
そしてその次のモニカのセリフ、I just think the baby would keep falling off the dog. の the baby と the dog はまさに「特定している」 the で、the bassinet 「そのバシネット」に寝ることになっているはずの the baby 「その赤ちゃん」が、バシネットというベッドではなくて、the dog 「そのリチャードが想像している bassinet hound」に乗っていた[寝かされていた]としたら、keep falling off 「落ち続ける、何度も何度も落ちる」ことになっちゃうわ、と言っているのですね。
仮定・想像の世界で、a 「ある一つの」と言っていたのが、具体的なイメージとなって、the baby (私たちの赤ちゃん)に言及するところまで来た、という感じでしょうか。
I want you... now. というと、何だかエッチなセリフのようなんですが…(笑)。
フレンズ2-13その9 では、"I want you right here, right now." (あなたが欲しいの。今すぐ、ここで。)というセリフがありましたね。
ここでのリチャードの I want you... now. は、赤ちゃんがいるとその子が成人するまでは二人きりのこんな生活は楽しめない、僕は今のモニカと今を生きて楽しみたいんだ、僕は今、ここにいるモニカが欲しいんだよ、自分がおじいちゃんになってから、おばさんになった(←失礼!)モニカと人生を楽しむよりは…ということですね。
I'm talkin' hovercrafts の talk ですが、一瞬、talk about という風に、"about" は必要ないのかな?と思ってしまいました。
もしくは、taking の間違いかも?とも思いました。
でも、ネットスクリプトもDVDの英語字幕も、talkin' (または talking) hovercrafts となっていますし、モニカも実際に talking と発音しており、間違いではありませんでした。
talk は大体、What are you talking about? みたいに自動詞として使われることが多いので、私は違和感を感じたのですが(私だけ?)、talk が他動詞として使われることもあるようです。
研究社 新英和中辞典には、
talk =(他動詞)(…のことを)語る
例) We talked politics for a long time. 我々は長時間政治を論じ合った。
とあります。
また、Merriam-Webster Online Dictionary には、
transitive verb (他動詞)として、
talk: to make the subject of conversation or discourse
という語義が載っています。
「会話や論議の題目[主題]とする」、ということですから、要は、「話題にする」という意味になるわけですね。
その未来の世界では、世間話の話題にホバークラフトが出てくる、という感じなんでしょう。
(2007.1.19 追記)
I'm talkin' の解釈について、下のコメント欄に追加説明と訂正があります。
興味のある方は合わせてご覧下さい。
(追記はここまで)
hovercraft は「ホバークラフト(水面や地面に空気を吹き出して、その空気の圧力で機体を浮かせて走る乗り物)」。
詳しくはこちら↓。
Wikipedia 英語版: Hovercraft
どうしてホバークラフトなのか?なんですが、「未来の乗り物」のイメージなんでしょうね。
上のウィキペディアの写真を見ると、どれも大掛かりなものばかりで、とても一般人が持つような代物には見えませんが(笑)、それが普通の道路を走っていて、マイカーみたいにどこの家庭にも一台ある、という時代、「ちょっとホバークラフトで買い物に行って来るわね。」みたいに、ホバークラフトのことを簡単に話題にできる未来、という意味で使っているのでしょう。
take over は「支配する、占領する」。
ape は「類人猿、直立して歩く尾のないサル」。
チンパンジーやゴリラなどを指します。
これに対して monkey はそれより小型で尾のあるものを指します。
apes と planet という言葉でわかりますが、これは1968年のチャールトン・ヘストン主演の映画「猿の惑星」(原題: Planet of the Apes)からの連想ですね。
2001年にティム・バートン監督が、この映画のリメイク…ではなくてリ・イマジネーションしたものとして、映画「PLANET OF THE APES/猿の惑星」(原題はやはり Planet of the Apes)を作りましたよね。
この邦題でもわかるように、日本では有名な前作と区別するため、もしくは新作であることを強調するために、わざわざ英語タイトルの PLANET OF THE APES (プラネット・オブ・ジ・エイプス)を邦題に付けています。
それまでは「猿といえば monkey」という連想をする日本人が多かったと思うのですが、このタイトルで「こういう場合のおサルさんは ape というのかぁ…」と改めて知ったという方も多かったのではないでしょうか。
実際に映画に登場しているのは大型の類人猿(チンパンジーとかゴリラとか)でしたしね。
今すぐ一緒に将来のことを考えたいのに、リチャードは先のことは考えたくないらしい。
だからモニカは、そんな風にものすごい未来の話だと冗談で言ってみせて、気にしていないふりを装おうとしています。
つらいね、モニカ。
(Rach からのお願い)
今回の記事、面白いと思われた方は、下のランキングサイトをクリックして下さい。
人気blogランキング
にほんブログ村 英会話ブログ
I'm talkin' 〜は自分の発言にたいして念押しに付け加えて、言いたいことをはっきりさせたり、強調するときの使い方ではないでしょうか。子供を持つことはずっと未来の話だと言うのですが、さらにI'm talkin' 〜未来とはまさに猿の惑星になるくらい先の話だと言っています。モニカが心にもないことを言っているのがいじらしいです。
9-9レイチェル:Phoebe will do anything you want. Seriously, I'm talking dirty stuff.レイチェル:フィービーはあなたの望むことは何でもするよ、何でもするって言うのはすごく過激なSEXのことだからね。
Little Bo Peep はマザーグースのようですね。他の方のコメントにもマザーグースのことが書いてありましたが、有名なんですねぇ…。
実は私、今回調べてみて、初めてボーピープちゃんの存在を知ったのですが(笑)。
I'm talking' 〜 に関してですが、私は勘違いしていたようですね。I'm talking' はまさに「私が今話していることは」ということで、これは、I'm telling you. とか、I mean みたいな感じなんですね?
I'm talkin' hovercrafts and apes taking over the planet. という文の構造と、その現在進行形の意味を、私は見誤ったようです。私は、
I would be talkin' (または I will be talkin') hovercrafts and apes (are) taking over the planet.
みたいに思っていて、未来の姿を想像して、「その頃、私はホバークラフトについて語っていて、猿は惑星を支配している。」という対比構造になっていると思ったのですが、よくよく考えてみると、それは意味としても変ですね。猿の惑星になっている時代では、人間は檻に入れられていて、とてもホバークラフトの話題をするどころではないですから(笑)。
実際は、
I'm talkin' hovercrafts & apes (taking over the planet)
「その未来というのは、ホバークラフトや、惑星を支配する猿が登場するような未来よ。」という感じなんでしょうね。
現在進行形になっているのは、その未来を頭の中で生き生きと想像しているからだ、と思ってしまったのですが、その場合でもやっぱり will や would がついた上での進行形にならないとおかしいですものね?
参考になるセリフも含めて、ご指摘ありがとうございました。