知り合いの夫婦と会話を交わすレイチェル。
ワインバーグ氏: It's so wonderful to see you again, my dear. In fact, I hardly expected to see so much. (君をまた見ることができて[会えて]良かったよ。実際、そんなに多くのものを見られるとは予想していなかったけどね。)
ワインバーグ夫人: You told me you didn't see anything. (あなたは何も見てないって言ってたじゃない。)
ワインバーグ氏: I tell ya a lot of things. (たくさん(は見てない)、だよ。)
ワインバーグ夫人: Well it's wonderful to have you up and about, again, dear. (レイチェルがまた元気になって良かったわ。)
ワインバーグ氏: Stay well. (お大事にね。)
レイチェル: Okay, now that is the third time someone has said something like that to me today. (今日、誰かが私にあんなことを言ったのは、今ので3回目よ。)
see は「会う」ですが「見る」という意味もありますね。
ここではそれを使って、レイチェルの顔も見られたし(会えたし)、思ってもいないもの(お尻のこと)まで見られた、と言っています。
I tell ya a lot of things. にちょっとひっかかりました。
ya は you ですから、I tell you a lot of things. と同じですが、I told you と過去形にはなっていないんですね。
普通は「あなたは…と言ったじゃない。」に対しては、「私は…と言ったんだ。」と I told you になると思うのですが、しかし、この場合、もし I told you a lot of things. と答えたとすると、「私は君にたくさんのことを言った。」という別の意味になってしまう気がします。
ここはそうではなくて、前置きとして使う I tell ya (I tell you) 「確かに、 ほんとに、まったく」とか「ねぇ、いいかい」みたいな軽い感じなんでしょうか。
「anything じゃなくて、a lot of things だよ」と念押ししている感じでしょうかねぇ。
そして anything の代わりに a lot of things になるとしたら、I didn't see a lot of things. で「多くのものを見たわけじゃない。」という意味になるのでしょうね。
「多くを見たわけじゃない、と言っただけで、何も見てない(not anything)とは言ってないぞ。」ということでしょう。
You told me you didn't see anything. に対して、完全な文で答えようとすると、I told you I didn't see a lot of things. ということになるのだと思いますが、その誤解している部分だけを取り上げて、「私が言いたいのは、anything じゃなくて、a lot of things だよ」という意味で、I tell ya a lot of things. と答えたということでしょうね。
not any だと「少しも…ない、全く…ない」という完全否定ですから、奥さんは自分のダンナさんがレイチェルのお尻を全く見ていないと言ったと思って安心(?)していたのに、本当は「ちらっとは見た。」と言っているのであきれているわけですね。
だから上の日本語訳も、「たくさん見た」じゃなくて「たくさんは見てない」にしてみたのですが。
(2007.1.27 追記)
I tell ya a lot of things. の解釈について、下のコメント欄に追加説明と訂正があります。
興味のある方は合わせてご覧下さい。
(追記はここまで)
up and about は「(病人が)床を離れて、(元気になって)歩き回って」。
up が起き上がる、about はその辺りをウロウロする感じで、そのニュアンスはわかりますよね。
stay well は「健康でいる、健康を維持する」。
well である状態に stay 「とどまる」のですね。
その2つの表現はかつて病気であった人が元気になった時に言う決まり文句なので、レイチェルは怪訝に思います。
それもこれが初めてではなく、今日はいろんな人にそう言われたようで、ちょっといやな予感のするレイチェルです。
(Rach からのお願い)
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"I tell ya a lot of things." ですが、たぶんこの会話の流れでいうと、
「君には(ふだんから)いろいろテキトーに言っているんだよ」、という感じかなと思います。うまく日本語に訳せないですけど。
言外のメッセージは、「僕が君に言うことを全部信じてんの?」という感じですかね、たぶん。つまり"lot of things"は見えたお尻の量じゃなくて(笑)「いままで妻に話したいろんなこと」だと思います。
それにしても、このお尻事件、Rachの気持ちよく分かります。私も、思い出すたびに死にたくなるような失敗をしでかしたことがあり(本件とはタイプは違う失敗ですが)、自分の記憶はもちろん、その場にいた全員の記憶から消してしまいたい!ってよく思います。
貴重なご意見、ありがとうございます。
YNさんの意見が正しいと思います。
私も改めて考えてみました。
最初のセリフで、"I hardly expected to see so much." って言っていますよね。so many (things) ではなくて、so much となっているので、「そんなにたくさんの”量”を」、ということで、お尻があらわになってしまっていたことを表している気がします。
それを考えると、後のセリフで、見えたお尻の「量」を、a lot of things という可算名詞の複数形で表現するのは変ですよね。お尻以外にあれもこれも見えていたわけじゃないんだし(笑)。
私の記事中の解釈のように、誤解している部分を言い直したい場合なら、
ワインバーグ夫人: You told me you didn't see anything. (あなたは何も見てないって言ってたじゃない。)
ワインバーグ氏: I said, "everything".
もしくは、I told you I didn't see everything.
のように言って、
「anything と言ったんじゃなくて、everything だよ。not any 「全く見てない」じゃなくて、not every 「全てを見たわけじゃない」だよ。」とすると、完全否定と部分否定の対比がはっきりするのかもしれません。
anything と a lot of things では単語のニュアンスが違いすぎて、対比として使うのは不自然ですものね。
I tell ya と現在形になっているのは、まさに「現在の習慣を表す」ということで、このワインバーグ氏は、常日頃から tell you a lot of things する人である、という彼の性格、習性のようなものを表しているわけでしょうね。
「あなたは確かに過去に(さっき)こう言ったじゃない!」と奥さんがびっくりしているのを、「私はいろんなことを言う人間だろ、君はそれを知ってるだろ?」という感じの、I tell ya a lot of things なんでしょうね。
You told me に対して、どうして現在形の I tell ya と返したのか?がずっとひっかかっていたのですが、「anything ではなくて a lot of things だった」、という対比のバランスがおかしいことからも、YNさんの解釈が正しいと思いました。
「過去の言動」と「普段の言動」を比較して、私の普段の言動を考えると、その過去の言動が「いい加減なものである、テキトーなものである」ってわかるだろ、みたいな感じなんですね。
「うまく日本語に訳せない」とおっしゃっていますが、YNさんの訳でそのニュアンスはよくわかりました。私も無理に訳してみると(笑)、「私は(ふだんから)いろんなことを言う人間だぞ。」って感じでしょうかねぇ?
ここまで考えて、改めてDVDを見直してみました。すると、DVDの日本語字幕が、
ワインバーグ夫人「見てないと…」
ワインバーグ氏「適当に言った」
となっていました! これはまさにYNさんの解釈と同じニュアンスですよね。
この日本語の「適当に言った」という意味を、私は深く考えずにスルーしてしまったみたいです。反省。
私なりの説明をいろいろ加えてしまいましたが、YNさんの解釈を私が間違って捉えている場合には、ご遠慮なくご指摘下さいね。
いやぁ〜、誰にでも「記憶を消してしまいたい」と思う失敗はありますよ。私は、自分がそういう過去の嫌な記憶を思い出しそうになったら、頭をブンブン振って思い出さないようにするのですが、人の記憶までは手出しできないですものねぇ。自虐的に笑い話にしてしまうこともあります(笑)。