2007年01月28日

フレンズ2-24その22

フィービー: What if the husband person is the wrong guy, and you are the right guy? I mean you don't get chances like this all the time, if you don't meet her now, you're gonna be kicking yourself when you're 80... which is hard to do and that's how you break a hip. (もしその夫って人が彼女の理想の男性じゃなくて、あなたが理想の男性だったらどうするの? こんなチャンスがいつもあるわけじゃないのよ。もし今あなたが彼女に会わなかったら、あなたが80歳になった時に、自分に蹴りを入れることになるわよ[後悔することになるわよ]。自分に蹴りを入れるのは難しいし、それで腰にひびが入るわよ。)
チャンドラー: Okay, I'll do it! (わかった、そうする[直接本人に会う]よ!)
フィービー: Oh, yeah! Okay! Great! Go, man, go put on your shoes, and, and march out there and meet her. (そう、良かった。素敵。今すぐ行くのよ、靴を履いて、そこへ堂々と歩いていって彼女に会うのよ。)
Oh, wait, no, no you have to take a shower, 'cause, eww. And I'll get the... No, you know what, you have to answer her, answer her first. No, no, you know what, make some coffee 'cause it's too much. (あ、待って。シャワーを浴びなきゃ、だって、ほら、ウヘーッって匂いでしょ。それから私が…いいえ、違うわ。答えなきゃ、彼女に最初に返事しなきゃ。違う、コーヒーを飲んで。いろいろ(することが)多すぎるんだもの。)

昨日の続きです。
"which is hard to do and that's how you break a hip" ですが、which はその前の文で述べた行動、kicking yourself を指しますね。
昨日説明しましたように、kick oneself というのは、「自分を責める、後悔する」という意味の比喩表現です。
が、which 以下ではそれを文字通りに「自分に蹴りを入れる」と解釈し、それは hard to do だと言っています。
hard には「堅い、硬い、固い」、「耐え難い、つらい、苦しい」、「(仕事など)努力を要する、骨の折れる、つらい」などいろんな意味があります。
which is hard だけなら「それはつらいことよね」という解釈もあり得るかと思うのですが、hard to do という形を取ると、「…し難い、…するのが難しい」という意味になるのだと思います。
研究社 新英和中辞典では、
hard=(+to do)(…するのに)難しい[くて]、(…し)にくい[くて]
例文) That fence is hard to climb over. 「その垣根は乗り越えにくい。」
変換: That fence が climb over の目的語の関係に立つ場合の表現で、It's hard to climb over that fence. と書き換え可能。

とあります。
この場合も、It's hard (for you) to do that (= kicking yourself). ということで、つまりは、It's so hard (for you) to kick yourself. 「自分に蹴りを入れるのは難しい。」ということになるのだと思います。

that's how you break a hip がこれまたよくわからなくて、以下、話が堂々巡りしています。
興味のない方は飛ばして下さい。

break a hip と a hip になっていますね。
hip は「ヒップ、腰」ですが、日本語のヒップ(お尻)というイメージよりは「腰、臀部(でんぶ)」という感じ。
ロングマン現代英英辞典では、
hip: one of the two parts on each side of your body between the top of your leg and your waist
例文) She stood there with her hands on her hips glaring at him.
The old lady had fallen and broken her hip.

つまり「脚の上部とウエスト(胴のくびれた部分)の間にある、体の両側の二つの部分のうちの一つ」
例文) 「彼女は彼をにらみつけながら hips に手を当ててそこに立っていた。」
「その老女は転倒して hip を痛めた。」

特に最初の例ですが、これは「お尻に手を当てて」というよりもう少し上の「腰に手を当てて」という感じですよね。
お尻だと言いたい場合は、butt とか卑語では ass を使うかなぁ、と思います。
break one's ass だと「懸命にやる、必死で頑張る」という意味があるようです。
break one's back も「背骨を折る」ことから「懸命に努力する、一生懸命働く」という意味になるのですが、それをもう少しくだけて(あるいはお下品に)言った表現なのでしょうね。
ここでは、主語が you なのにあえて a hip を使っているので、この break your ass [back] などの意味とは異なる、と思います。

ここでの break は「(骨を)折る、傷つける」、文字通り、「一つの hip を break する(骨折させる)」ということで、that's how 「それが…の方法だ、そんな風にすることで…になる」とくっつけると、that's how you break a hip 「それが腰を骨折させる方法だ、そうして腰が骨折する(ひびが入る)のだ、そんなことをすると腰を骨折することになるのだ。」という感じになるのでしょうか?
hip を蹴って、その蹴った部分が衝撃によって傷つく、というよりは、自分で自分を蹴る、という無理な体勢を取ると、腰を痛めるという感じなのでしょうか??
現在形で表現されているので、「普遍的な真理」を述べている気がするのですが…。
kick yourself すると、break a hip することになってしまう、という感じかな、と。

また、ちょっと違う考え方として、break には「切断する」という意味もありますよね。
研究社 新英和中辞典には1番最初の基本的な語義として「切断する」という意味が載っています。
break=切断する(注:形のあるものに瞬間的に強い力を加えて二つまたはそれ以上の部分に壊す)
(ものを)(二つ以上または細片に)壊す、割る、砕く
She broke the cup in two [into pieces]. 彼女は茶わんを真っ二つに割った[粉々に砕いた]。


ここで break 'a' hip と「一つのヒップ」と言っていることに注目してみると、「そうやって(一つの)ヒップは(二つに)割れるのだ」という解釈も可能なのでしょうか??
DVDの日本語字幕は「お尻にひびが入るわ。」となっているのですが、吹替は「でもお尻って蹴る前から割れてるけど。」となっています(笑)。
日本人の発想として「お尻は二つに割れている」というものがあると思うのですが、この吹替はただ単にその日本人的発想を使って、日本人的なジョークに置き換えた、と考えることも可能です。
私も最初は意訳かと思っていたのですが、アメリカ人にもそんな発想はあるのかなぁ?とか、「そうしてお尻が割れるわけね。」と言っているけど「そうする前からお尻は割れてるってば!」というツッコミを期待したボケなのかな?とか。
でも、上にも書いたように、hip は butt とは微妙に部位が異なるわけですよねぇ。
だからこういう「お尻」ネタだと勘ぐるのは間違いなのかもしれませんが、でも多少はそういうイメージがあるセリフなのかも?とか。
これが break a butt だったら、こんな解釈も可能なのか?、もしくは「骨折」と「割れたお尻」をかけたしゃれ、と捉えることも可能なのでしょうか?
(一人で悩んですみません。)

march は日本語のマーチから連想されるように「行進する」ですが、ここでは「堂々[悠々]と歩く」という感じですね。
相手はあなたの運命の人かもしれないのだから、何もこそこそすることはない、堂々と胸を張って歩いて行きなさい、という意味です。
フィービーは思いついたことを次々とチャンドラーにアドバイスします。
何度も you know what 「ほら、ねぇ」という言葉が挿入されているところに、フィービーも考えながらアドバイスしている感じが出ているのかなぁ、と。
シャワーを浴びろ、と言っているのは、チャンドラーが一晩中パソコンで彼女と話をしていて、服を着替えていない、つまりシャワーをしばらく浴びていないのでくさいわよ、ということです。
'cause(=because) it's too much はよくわからないのですが、多分すべきことが多すぎる、という意味なんだと思います。
だから、まずは落ち着いてコーヒーでも飲んで、これからのことをゆっくり考えたら?という提案なのでしょう。
フィービーが何か言うたびに走り回るチャンドラーですが、最後には走るのをやめて怒った顔で歩いているのに笑えますね。

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posted by Rach at 12:23| Comment(6) | フレンズ シーズン2 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
>you're gonna be kicking yourself when you're 80... which is hard to do and that's how you break a hip

私がここを読んで感覚的に思ったのは、「80歳で後悔することになるわよ・・・ 80歳で自分にけりを入れるのは大変だし、それが腰部骨折の原因よ。」でした。hipsには、割れている柔らかい部分(笑)の意味はあまりないような・・・ だから、吹替えは大阪人の翻訳者のちょっと悪ふざけの思いつきでしょう。(笑) 知らんけど。
Posted by まゆみ at 2007年01月28日 16:31
8-6のト書き「Stands with her hands on her hips like a Supergirl pose」Rachさんの例題にもありましたが2つのお尻というより左右両方の手が腰にあるということでしょうね。80歳でkicking yourself すれば腰骨を骨折することは起こりがちですからね、二つに裂けるというのはないでしょう。
What are yourmeasurement?(3サイズは?)この場合はbust,waist,hipでhipは上品なお尻の言い方にもなると思います。日常会話で3サイズの話をすることはないでしょうけど。
Posted by catch at 2007年01月28日 18:53
まゆみさんへ
やっぱり、その吹替は、日本語的ジョークなんでしょうねぇ。
お尻を蹴られると、「ほら、お前が蹴るから、割れてしもたやんけ。」みたいなことを言う人が、大阪にはそこらじゅうにいてるもんねぇ?(笑)
全く同じノリが英語でも通用するのかも?と5%(?)くらい思っちゃったんですよ。ポイントは「80歳で」なんでしょうね。「80歳でそういうことをするとこうなる」というジョークなんですよね、きっと。
break a hip の a hip というのは、「体の両側の二つの部分のうちの一つ」、つまり「片側の尻、腰」なわけだから、それが「割れている」わけじゃないですからねぇ…。
Posted by Rach at 2007年01月29日 10:44
catchさんへ
その8-6のト書きのように「スーパーガールのように立っている」という姿を想像すると、やはり手は「腰」ですね。老化するに従って骨が弱くなると言いますから、そういうことを踏まえての「80歳でそういうことをすると…」発言なんですよね。
「二つに裂ける」というのは違うと思う、という意見を誰かから聞きたかったのかもしれません。

確かに日常会話で露骨に、"What are your measurements?" と3サイズを聞かれることはないと思いますが、IMDb などを見ていると、時々、Measurements が載っていますよね。
日本人はその3サイズのイメージで、「お尻=ヒップ」と思いがちなのでしょう。
フレンズではほとんど butt と表現されていますが、アリー my Love でアリーが男性にお尻を触られた時、彼女はお尻のことを buttocks と言っていました。何となく、butt よりも丁寧に聞こえました。
Posted by Rach at 2007年01月29日 10:48
>>お尻を蹴られると、「ほら、お前が蹴るから、割れてしもたやんけ。」みたいなことを言う人が、大阪にはそこらじゅうにいてるもんねぇ?(笑)

大阪って楽しそう!!!

ちなみに昔、私が頭痛がひどくて「頭が痛くて割れそう」といったときに、ダンナが「おれは尻が痛くて割れそう。あ、もう割れてた。」と言ったので、蹴りを入れました(「もっと割ってやるー」みたいな)。蹴りつつも、うちのダンナってばおもしろいじゃない、と密かに思っていたのですが、大阪だったら普通のノリなのですね(ちなみにうちのダンナは関東人です)。
Posted by YN at 2007年01月30日 21:33
YNさんへ
「楽しそう!」と言っていただけて何だか嬉しいです(笑)。「普通のノリ」かどうかはよくわかりませんけど、一見そういうことを言いそうにない人までが言うので驚く、みたいな文化はありますね。

やーん、YNさんとこもラブラブですね。蹴りを入れるところが何とも愛らしいです。ダンナさんはYNさんの頭痛を少しでも軽くしようとジョークを言ってくれたんですね? ギャグを外してしまうと、余計に頭が痛くなりそうだから、危険な賭けですが…(笑)。
Posted by Rach at 2007年01月31日 08:54
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